災害対策特別委員会 3号 2007-10-30


2007年10月30日

1.道路の維持管理について
2.利根川流域の堤防強化について

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
この委員会、初めてでございますけれども、どうかよろしくお願い申し上げます。
今日、防災また減災という観点で最初にお聞きしようと思っているのは、道路橋を含む道路の維持管理ということについてでございます。
近年、この道路橋など橋の点検や補修の在り方が課題になっているわけです。アメリカでは、いわゆる「荒廃するアメリカ」という本がございましたけれども、それを象徴するような、1920年代また30年代に建設され老朽化した道路橋の補修、架け替えが大きな課題になっております。
また、我が国でも、30年ぐらい遅れてでありますけれども、60年代また70年代に造った橋がこれからいよいよその耐久年数であります50年をそろそろ迎えようとしている。こんな状態でございまして、我が国におきましての道路橋、14万ぐらいあるそうでありますけれども、建設して50年たつ橋が、2006年時点で6%ぐらい、これがだんだん増えてまいりまして、2016年には20%、20年後には半数近くの47%と、こういうふうに達するという見込みがなされております。
そうした中、もう御存じのとおり、8月にアメリカのミネアポリス近郊でのミシシッピ川に架かる高速道路橋が崩落、崩壊いたしまして多数の方が亡くなったわけでありまして、そういう意味でも、日本の橋についても、これ対岸の火事というわけにいきませんので、今後どのように点検、補修していくのかということが大きな課題になってきていると思います。
そこで、まず国土交通省にお聞きしたいと思いますけれども、国の管理している、また県あるいは市町村、それぞれの管理している道路また橋があるわけですけれども、この道路橋の点検、補修状況はどんなことになっているのか、まず現状をお聞かせいただきたいと思います。

○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
点検状況でございますが、高速道路、直轄国道につきましては5年ごと、定期的に点検をしてございます。それから、都道府県の方はおおむね定期的な点検ができているようでございますが、市町村、市区町村については9割が定期的な点検ができておらない、そういう状況でございます。

○西田実仁君 9割が市町村におきましては定期的な点検がなされていないと。これは、今後ますます、50年たとうとしている、ピークに達しようとしているときで大変に心配な点でありまして、なぜこのようなことになってしまうのか、御見解をお聞きしたいと思います。

○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
今年の9月に市区町村に対して調査を実施をいたしました。先ほど申し上げましたように、9割の市区町村で定期点検がなされておらないわけでありますが、今年の定期点検の予定もないと回答されました1500市町村の約半数が技術者不足を回答されてございました。そのほか、財政的に困難あるいは専門知識が不足しているという答えが多うございました。

○西田実仁君 原因としては、財政が足りない、財源の問題と、また点検する技術者が不足していると、こういうことを原因に挙げているわけですね。これ、なぜ財源が不足しているのかとか、あるいは技術者が不足しているのかというのは、表面的にはそういうことなんでしょうけれども、その背景にそういうふうに財源の不足あるいは技術者が不足しているというものがあるんじゃないかというふうに思うわけなんです。
そこで、道路法というのをひもといてまいりますと、42条という法律がございまして、「道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もつて一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない。」と道路管理者の義務規定がなされております。その第二項には、「道路の維持又は修繕に関する技術的基準その他必要な事項は、政令で定める。」と政令にゆだねられているわけでございます。
点検する際の技術的な水準ということについては政令で定めるということになっていますけれども、この政令の中身はどうなっているでしょうか。

○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
現時点で政令は未制定でございます。
その理由でございますが、いろんな維持管理をやっていく際に、個別具体の道路でいろんな状況が、点検の状況が違うと思います。交通の状況でございますとか地形、それから雪等の気候の状況、そういうことが、いろんな観点から細かく考慮して点検の基準を定めるということでございまして、なかなか政令レベルで画一的に何か掛けるということではない、非常に作りづらいということもございまして、政令に代わる基準といたしまして少し細かく道路の維持修繕管理要領、そういったようなものを定めておりまして、これによって各道路管理者が維持管理ができるように措置を講じているところでございます。

○西田実仁君 政令で別途定めるとなっていながら政令そのものが作られていないというのは、昭和27年に道路法できておりますけれども、それ以来変わってないわけでございまして、その理由として今幾つかの点挙げられました。
しかし、今の理由を述べられたことは今までの国会答弁でも繰り返されております。その際に、併せてこのような国会答弁も過去ございました。昭和45年9月には、政令がないという変則的な状態を早く解消する、こういう答弁がこの参議院で行われております。また、昭和57年の2月の御答弁では、道路局長通達等によっているという現状のままでいいというわけではないので、その制定について引き続き検討すると、こういう御答弁も二度なされておりまして、この政令の中身、つまりこの道路維持補修に関する技術的な水準、確かに定めるのは様々な困難があるということは承知しておりますけれども、ではこのままでいいのか、あるいは局長通達だけでよいのか、ということではないというのが過去の答弁でございまして、昭和45年から今日まで、この局長通達ではない、政令によって定める方向を検討され続けてきていると思いますけれども、いまだにそれが未制定なのはなぜでしょうか。

○政府参考人(宮田年耕君) 繰り返しになりますが、非常に事細かく規定をしないと実態としては維持管理が生きてこない。したがって、要領という形で、先ほど申し上げましたようないろんな地域の状況でございますとか交通の状況でございますとかあるいは気候の状況、それに即して分類をして、維持管理ができるような要領を定めておると。実態上これで進んでいるんでという言い訳でございますが、先生御指摘のように、ずっと長く委員会で御指摘になったものが実っておりませんので、引き続きこの政令、どういうものになるか検討を進めていきたいと、こう考えております。

○西田実仁君 もうずっと検討し続けてきているわけでありまして、いつまで検討すると答えが出てくるのかよく分かりませんが、私は、市町村で点検等がなされていない理由の一つとして、もちろん財源の問題もあります、これはその後申し上げますけれども、しかし、技術者不足あるいは点検そのものをどうしていくのかということも市町村ではなかなか明確ではないということも背景にあるわけでありまして、その根本のところをたどっていくと、この道路について、道路の維持管理につきましての技術的な水準を定める政令が、その中身がずっとないままであるということは大きいと思います。
また、先ほど御答弁されました道路の維持補修等管理要領、これを局長通達で行って政令に代えているという話がございました。しかし、この要領そのものも昭和37年に制定をされたものでありまして、実態に合わないのではないかという声が自治体からも聞こえてくるわけですけれども、この点いかがでございましょうか。

○大臣政務官(金子善次郎君) お答えいたします。
先生御指摘の点でございますが、現在、国交省におきましては、地方公共団体の橋梁の点検の問題、維持管理につきましては、これからも御答弁申し上げますが、非常に重要な点であるという基本的な認識は当然持っているわけでございまして、ちょうど平成16年の3月に橋梁定期点検要領案というものを、実はこれは直轄道路につきまして定めたものでございますが、これを地方公共団体の橋梁点検にも参考にしてもらいたいということで、同時に地方公共団体の方に御連絡を通知を申し上げたと、こういうことがございます。
また、本年度からの予算措置を講じているわけでございますが、地方公共団体が策定する長寿命化修繕計画、橋梁の長寿命化の修繕計画、これに対しまして補助を行うと、こういう制度を今回、今年度に新たに始めたところでございます。
こういう中で、先ほど道路局長からも御答弁申し上げましたように、いろいろな、技術者の問題でございますとか財政的な理由でございますとかいろんな要素で地方団体の点検が余り進んでいないというような実態にあるわけでございます。そういう状況を踏まえまして、国交省といたしましては道路橋の、橋梁でございますが、予防保全に向けた有識者会議、有識者会議でございますが、設置いたしまして、既に検討を開始したところでございます。
この会議におきまして、橋梁点検の義務化の問題、あるいは点検の資格の問題、技術者等々でございますが、また必要となる技術基準などをこの有識者会議におきまして取りまとめていきたいと、このように考えているところでございます。
その結果を踏まえまして、今後、先ほど御指摘ございました政令の問題等もございますが、予算あるいは施策、そして制度にも反映することに努めていきたいと、このように考えているところでございます。

○西田実仁君 その有識者懇談会で今後中身を詰めていくということになろうと思いますけれども、鉄道についての定期点検は、これはきちっと法律で周期等も定められて、国土交通省告示で明確に定められているわけですよね。ですから、道路についても、やはりこれ今後、50年が間もなくたとうとしている、こういう時期に当たっていますので、また、実際に自治体で88%、9割近くが点検全くされていないということでありますので、ここでもう一度、新たにきちっとそうしたことができるように環境整備を是非とも真剣に取り組んでもらいたいというふうに思います。
また、その点検ができない理由のもう一つの大きな柱が財源の話でございます。この財源につきましては、特に地方公共団体から聞こえてくる声は、例えば、現状維持管理費を1億円出そうと思えば新規の建設費を10億程度抑制しなきゃならない、あるいは、維持補修は自治体の単独費で行わなければならないので、極論すれば、壊れるのを待って災害復旧で申請した方が通りやすいと、こんな声も実際のところは上がってきているわけなんです。なぜそうなるのかといえば、やはり新規の建設投資とそれから維持管理費に対する予算付け、これにやや制度上の不均衡があるんではないかという懸念がございます。
具体的に申せば、補助金の制度も、もちろん橋梁の維持補修に関しても一定額以上の事業規模がございますれば橋梁に対する補助制度というのはございます。しかし、新規の建設と比べるとやや見劣りがすると。また、地方債、これも地方財政法の第五条を見る限りは、建設事業費ということでは地方債の例外的に認められておりますけれども、しかし基本的には、道路の維持管理の費用に地方債を充てるということは基本的に想定されていないと。
こういう補助制度、また地方債の起債、それぞれのことを考えますと、新規の建設投資とまた更新、維持に関する予算と、やや不均衡、アンバランスがあるんではないか。これ自治体によって、それぞれがどちらかに誘導するということではなくて、その自治体にとって必要な新規の建設あるいは維持補修ということがバランスを取って裁量できるように、決定できるような、制度上の不均衡というものを、これはやっぱり仕組み自体を変えていかなければならないんじゃないかというように私は問題意識として持っているわけでございますけれども、財源にかかわる問題でございますので、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

○大臣政務官(金子善次郎君) お答えを申し上げます。
先生御指摘の、いわゆる道路についての維持管理と申しますか、この点につきましては、やはり基本的な方向といたしましては、いわゆる新たに造るという観点から、いわゆる管理と申しますか、維持管理というものに重点を置いた物の考え方を行う時期が来ているんじゃないかという基本的な御指摘だと思いますが、私どもといたしましても、基本的にはそういうことが非常に大切な視点であるという認識を持っているところでございます。
ただ、これまでも国土交通省におきましては、いわゆるバイパスの整備でございますとか、いわゆる改修事業というような呼び方で呼んでいるところでございますが、また橋梁の補修、こういうのは修繕事業として呼んでおりますが、これらにつきましては、御案内のとおり補助金も出ておりますし、また地方債の起債も認められているというようなところがあるわけでございます。
それに対しまして、先生御指摘のいわゆる管理面と申しますか、そういうところにつきましては、これまでも地方独自の財源で行うんだというような基本的な枠組みがございまして、その財源といたしましては、御案内の地方交付税でございますとか地方道路譲与税、いわゆる道路特定財源ですが、こういうもので行うと。
そこででございますが、新たな視点を強調するということになればそうした財源の問題もどうしていくかということも当然問題になってくるわけでございまして、今後、関係当局ともまた国土交通省といたしましてはいろいろ相談をさせていただきながら、先生の御指摘の点につきまして十分配慮した行政を展開していきたいと、このように考えているところでございます。

○西田実仁君 是非その取組をお願いしたいと思います。
先ほど政務官がおっしゃられました道路橋の長寿命化修繕計画、これを補助して進めていくわけですが、その補助の採択要件として道路管理者の定期点検ということを掲げておられますよね。この自治体における点検、補修ということを更に促進していくためには、技術者不足、財源の問題指摘させていただきましたけれども、もうちょっとブレークダウンしますと、維持管理の点検マニュアルのようなものがやはりあった方が自治体としても行いやすいんじゃないか。実際に、既にそうした橋梁健全度指標という指標を作っている例えば横浜市とか北海道とかもあるわけでして、こうした自治体における先行事例なども参考にしながら、その維持管理点検マニュアルといったもの、あるいはそうした指標、こうしたものを早期に作るべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。

○大臣政務官(金子善次郎君) 先ほど御答弁申し上げました道路橋の予防保全に向けた有識者会議、これも取り急ぎまして、取り急ぐというのはちょっと言葉は問題かもしれませんが、できるだけ早めに年度内に中間報告を出したいという方向で考えているところでございまして、この中で総合的な観点からそういう先生御指摘の点も踏まえた会議を行っていきたいと、このように思っております。

○西田実仁君 あわせて、国民への情報の公開ということについても御意見をお聞きしておきたいと思います。
アメリカなどでは実際に橋梁の点検データを公開することによって様々な注意喚起も含めて情報が共有されているわけでありまして、日本においても今後こうした橋梁の点検を促して、そして点検データを公開していくというふうに進むべきではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。

○大臣政務官(金子善次郎君) この公開の点についてでございますが、先ほどの有識者会議の中でも既にそういうような議論も出ているような状況ございまして、有識者会議で総合的な観点からよく考えていきたいと、このように思っているところでございます。
なお、基本的にはデータそのものは、点検を行ったところはそのデータをすべて取ってございますので、それを有効に活用すると、場合によっては一元的な扱いも必要かなというようなところも今議論に出ておりますので、先生御指摘の点をよく踏まえて対応してまいりたい、このように考えております。

○西田実仁君 ありがとうございました。
次のテーマでございますけれども、利根川流域の堤防強化につきましてお聞きしたいと思います。
今年2007年はカスリン台風から60年、関東から東北にかけて戦後最大級の被害をもたらしたわけでありまして、1000人以上の方がお亡くなりになりました。そういうカスリン台風の、私自身、埼玉が地元でございまして、大変に利根川の堤防強化ということについては地域住民の皆様も、また単に埼玉ということではなくて、首都圏全域に被害が広がる問題でもございますので、関心を高く持っているわけであります。
今般、内閣府中央防災会議におきまして大規模水害対策に関する専門調査会というものができました。その際の試算として、利根川の堤防が決壊すれば最大240万人に浸水被害、こういう試算が出されました。水害対策ということについてはこれまでは国土交通省が中心になって進めてきたと認識しておりますが、今回、中央防災会議がこの水害ということを対象に専門調査会を設けたというのは初めてではないかと私は思っております。そういう意味では、政府全体でこの水害について最悪のシナリオに基づいた防災体制の整備ということが認識されているんではないかというふうに思っているわけですね。これにつきまして泉大臣の御所見を承りたいと思います。

○国務大臣(泉信也君) 西田先生から大変厳しい御指摘をいただいて、我々また気を引き締めて取り組まなければならないと思っております。かつての荒廃するアメリカと言われた、この社会資本の維持管理が十分なされていない事態がこの災害によってどんな大きな国民生活に混乱をもたらすか、被災をもたらすかという御指摘を十分に受け止めてまいらなきゃならないと思っております。
今お話がございました22年のカスリン台風のこのクラスの台風が参りますと、利根川や荒川は大変な大きなはんらんが発生いたしまして、甚大な被害が生ずるおそれがある。堤防を造るというか整備水準を上げておりますけれども、その整備水準が追い付かないという状況でございます。
たまたま一昨年のハリケーン・カトリーナによる高潮災害を始め世界各国で大規模な水害が発生しておりますし、我が国においても、1時間50ミリ以上のいわゆる集中豪雨というものが昭和52年から61年までは200回であったものが、この平成9年から18年まで、途中も増えておりますが、平成9年から18年までに313回というふうに大変異常気象、集中豪雨が発生しておるわけであります。
こうした背景の下に、中央防災会議に18年の6月に専門調査会を設置して、大規模水害対策の検討を進めようということで取組を始めたところでございます。
具体的には、つい先日テストケースとして、利根川や荒川等での大規模はんらんが生じた場合の被害の想定を行い、広域避難対策や孤立者の救助救援対策など災害時に政府として取り組むべき応急対策等についての検討を始めて、進めておるところでございます。
具体的な対応策はまだ未確定な部分が多くあるわけでありますが、この事例を一つの踏み台にいたしまして、また、今後淀川とか木曽三川も含めまして対象を広げ検討して、対応策を政府一体となってつくっていきたいと考えておるところでございます。

○西田実仁君 この今試算は、60年前のカスリン台風よりも雨水が2割ほど多いということを前提に試算されているというふうに思っておりますが、そういう大量の雨水が利根川に流れ込んで堤防が決壊してしまうと、洪水が起きた場合にどういう被害があるのかということだと思います。そのカスリン台風では、先ほど申し上げたとおり1000人以上の方が亡くなっておられまして、今でも地元に行きますと、電柱にここまで水が来たという赤い線がどこも引いてあるわけですね。このカスリン台風を契機にして実は1949年に水防法ができていると。また、52年には気象業務法というのが成立をしているということがあろうかと思います。
このカスリン台風の被害に遭いました特に埼玉の栗橋地区では今堤防強化事業というのが進められておりまして、ここは利根川と渡良瀬川との合流地点ということもありまして、大変にその堤防整備の重要性が高い地域であると、こういうふうに指定をされて、住民の皆さんにもアンケートを取りながら、当初スーパー堤防でいくのか堤防強化でいくのかといろいろ議論がありましたが、最終的には地元の皆さんの御意見で堤防強化という事業のスタイルになったわけなんです。実際に堤防強化事業は既にもう計画をされて進められております。
しかし、これとは別途に、ここでお聞きしたいのは、この防災の観点から、ここに走っております国道4号線の上下線の高さを合わせているわけですけれども、それとともに、更なる盛土を行うことによって、大変に危険な地域なものですから、やはりこれは避難場所を、これはやはり国の責任において設けていくということは考えてしかるべきではないかと、こう思いますけれども、国土交通省、いかがでございましょうか。

○政府参考人(門松武君) お答えいたします。
利根川の中上流あるいは江戸川の右岸側、山の方から海の方を見て右側でございますが、正に埼玉県側でございますが、そちらの堤防が切れますと東京の東部まで洪水流が達しまして壊滅的な被害が予想されるわけでございまして、通称スーパー堤防という幅の広い堤防、堤防の上を洪水が流れても決壊しないような堤防の整備等々で堤防強化の対策を実施しているところでございます。
栗橋町の堤防部分でも堤防強化事業を実施しておるところでございまして、今先生御指摘のように、スーパー堤防にするか、あるいはもうちょっと幅の狭い堤防で我慢するかということで地元の町長さんあるいは地元の住民の方々と協議してまいりました。一定の結論が出たようでございますが、今回御指摘いただきましたその避難場所の確保ということでございまして、これについても、河川管理者といたしましては避難場所の確保というのは大事だというふうに思っています。これにつきましても、町長さんあるいは地元の方々と引き続き連携を取ってその実現性を探ってまいりたいというふうに思っております。

○西田実仁君 単に栗橋町一地域の問題というよりも首都圏全域にまつわる話でございますので、是非、国としてその責任を持って対応していただきたいと思います。
併せてお聞きしたいのは、やはり地域の防災力ということがよく言われます。その中で、水害に対しては水防団というものが大変重要な役割を果たしているわけであります。しかし、この水防団の実態はほとんど消防団になっている、兼任していると。しかも水防団の、全国平均ですけれども、もう7割方はいわゆる会社勤めをされている方ですので、日中出動することはほぼ無理と、そういう現状がございます。後継者もいないとか様々な問題が指摘をされていて、このままで本当に地域の防災力大丈夫だろうか。
消防団の場合、火が起きてから、火が出てから行くわけですけど、水防団の場合は水が出てから行ってもしようがないので、水が出る前に、発災する直前に行かなきゃいけないという違いが本来あるわけだと思いますけれども、実際には消防団とほとんど同じ人がやらざるを得ないと。様々な工夫もされておりますし、一昨年に水防法の改正で様々な手当てをされていることも承知しております。しかしながら、現状としてはこのままいって水防技術、本当に大丈夫なんだろうかという大変懸念を私は持っております。
そこで、一つお聞きしたいことは、今申し上げましたとおり7割方はサラリーマンというか会社勤めされている方々が水防団員になっているわけでありまして、水防団員として出動する場合に企業によっては有給休暇を認めているところもあるんですけれども、いまだそういう認識のない企業もございまして、そうした企業への啓発ということをもっと強めていくべきではないかというふうに思うわけですけれども、いかがでございましょうか。

○政府参考人(門松武君) お答えいたします。
今御指摘のとおり、水防団、非常に弱体化しております。弱体化の中身でございますが、団員の減少、高齢化、サラリーマン化というような中身でございまして、水防団の取り巻く環境というのは非常に厳しいものがありまして、様々な課題に対します対策が急務でございます。
そういう認識の下で、その中の課題の一つとして御指摘のサラリーマンが働きます会社、事業所の方の温かい取扱いということにつきましては、先生も御存じのように自治事務でございまして、市町村長さんが基本的には責任を負うわけでございますが、我々河川管理者としてできることはやってきたつもりでございます。
例えば、水防活動時の休暇の取扱いについての配慮など所属事務所の理解と協力が得られるよう、市町村長を長といたします水防管理団体などから働き掛けていただくようにしむけておりますし、今後とも全事業所の理解と協力が得られますように水防管理団体等を指導していきたいと、こう考えております。

○西田実仁君 確かにこの水防団というのは自治事務になっていますし、ですから出動手当とか訓練手当とかもすべて自治体が決めているわけでありますが、全国平均を見ますと、出動手当は平均団員1人1回につき2652円と、出動するのに2652円なわけですね。訓練手当2870円と。かなり危険の伴う出動にしては非常に低いと言わざるを得ないと。そうはいっても、国が決めているわけではないということで終わってしまうのかもしれませんけれども、しかしこの辺も、本当に地域の防災力って考えたときには、いや、それは自治事務だからということで放置しておいて本当に大丈夫なのかということは大変強く感じるわけであります。
あわせて、後継者がいなくなっている水防団員、その水防の河川の伝統技術というのが様々ございますね。私も何度か、そういう大会というんでしょうか、水防技術の大会に行かせていただいて実際にどのように破堤を防ぐかということを見させていただいた経験ございますけれども。こうした技術も、今、年に1回のそういうイベント的には行われていますけれども、これをきちっと伝承していくという仕組みを国としても、これ自治事務だから、地方事務だからということではなくて、バックアップしていかなきゃいけないんじゃないかと。
特に、水防に関する研修とか啓発、また実際にそうした河川伝統技術を受け継いでいくための、座学だけではなくて実地の研修センター、そういう機能、これをやっぱりつくっていかないと地域の防災力本当に担保できるんだろうかと、こんな問題認識を持っているわけでございますけれども、いかがでございましょう。

○政府参考人(門松武君) お答えいたします。
先ほども申し上げましたが、水防団を取り巻く環境というのは非常に厳しゅうございます。特に、今御指摘のように、人の数が足らない、あるいは技術、技能の伝承ができにくいという状況にございます。
水防団の技術、技能の伝承対策として一つ我々の対策を御紹介いたしますと、今年の2月に市町村等の要請を受けまして、水防訓練とか講習会に水防専門家、水防専門家とは、水防団とか消防団とか、あるいは国土交通省のOBの人たちを活用するという意味で、水防専門家を派遣する水防専門家派遣制度というものをつくりました。これによりまして、水防技術の指導者不足に悩みます市町村などでも専門的な技術指導を受けることができるようになったと考えております。
いずれにいたしましても、水防技術の伝承は重要な課題でありますので、更なる水防活動の充実を図るために、御提案の研修センター構想も含めて引き続き対策を検討していきたいというふうに考えております。

○西田実仁君 是非、検討の方よろしくお願いしたいと思います。
最後に、ちょっと地元の問題なんですが、秩父に二瀬ダムというダムがございまして、ここの地すべりの問題が大変に住民の方々が心配なさっております。私も現地に何度か、何度かというか一度行かせていただいて、2年前ですけれども、様々その後処置をとっていただいたわけですけれども。しかし、その後も、ひび割れが続いているとか、家の中にも15センチぐらいの亀裂ができてしまっているとか、大変に住民の方は不安に思っておるんです。大丈夫だという情報があると思えば、いや、ダムが新しくできるとか、現存しているダムのかさ上げ工事が行われているとか、情報がいろいろ飛び交っています。
大丈夫だと言われる割には心配だという住民の声も多くて、地すべり対策についてどのように今現状なっているのかということについてお聞きしたいと思いますし、また確実な情報をきちっと住民の方にお伝えいただいて安心いただけるようにしてもらいたいと。現状と対策について、最後、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(門松武君) お答えいたします。
二瀬ダムの上中尾地区という地区がございますが、そこで地すべりが起こっておるというふうに認識しておりまして、昨年、18年にボーリング調査を実施しまして、その変異等を観測しているところでございます。その観測結果によりますと、この1年間で0.5ミリ移動があったという結果が得られております。
今のところ、そう大事に至らないではないのかというふうに考えておりますが、なお観測を続け、その観測結果につきましては、今先生御指摘のように住民に不安を与えないような情報開示に努めてまいりたいというふうに思っています。

○西田実仁君 終わります。

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