文教科学委員会-2号 2010-10-21


2010年10月21日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。この委員会、私初めてでございまして、いろいろと的外れなこともあるかもしれませんが、頑張りたいと思います。
まず初めに、私は今日は高校生の卒業クライシスの問題についてお聞きしたいと思っております。
今の日本におきましては、義務教育だけで就業することがより困難になっている。そういう意味では、高校生が家計の困窮により修学を断念せざるを得ないということは大変な大きな問題であるというふうに私自身は思っております。
しかも、以前とは異なりまして、現在では高校中退となりますと正規労働に就くことが非常に難しく、貧困の連鎖につながりやすいという問題があります。労働政策研究・研修機構の調査によりますと、東京に暮らしておられる男性の中卒、高校中退の正社員比率という数字が出ておりますけれども、二〇〇一年時にはその数値が六七%でありましたが、二〇〇六年時には三六%へと半減している。女性も同様の傾向がございまして、高校中退者の正社員への道というのは近年一段と狭くなっていると言わざるを得ないわけであります。
また、国連におきましては、児童の権利委員会の第三回目の最終見解、総括所見、六月に公表になりましたけれども、新たに我が国における子供の貧困ということにつきまして焦点が当てられております。
こうした背景を基に、平成二十一年度補正予算では、経済的理由にかかわらず高校生が学業を継続できるよう授業料減免補助、私立について、また奨学金事業を行う都道府県に対しまして新たな交付金による緊急支援のための高校生修学支援基金という基金ができました。今年度よりこの基金には入学料減免補助事業も追加をされているということであります。
しかし、今日皆様にもお手元にお配りさせていただきましたが、この基金がどのように使われているのかということにつきましては、県によってかなりばらつきがあるという現状であります。
多いところでは六割とか七割とか行っているところもある一方で、少ないところでは数%と。いろんな事情がありますので一概にこれを見て云々はできないかもしれませんが、現状はこうなっているということでもございます。
昨年に比べ、あるいは一昨年に比べまして困っている生徒が減っているというふうには思えない、こういう状況におきまして、この交付金によって造成されました基金が余り使われていないという現状も、もちろん三か年ありますので、これからといえばこれからですけれども、現状としてはそのような状況、また県によってばらつきがあるという現状につきまして、大臣としてはどのように認識されているのか、またお聞きしたいと思います。

○国務大臣(高木義明君) 西田委員にお答えをいたします。
高校生修学支援基金については、厳しい経済環境の下で、高校奨学金事業や私立高校生に対する授業料の減免補助について、平成二十一年から二十三年度までの三か年の緊急支援を行うため、平成二十一年補正予算によって各都道府県に設置されたものであります。本基金は、授業料減免補助制度の拡充、授業料と同等とみなせる施設整備費等の減免補助にも活用できるものとなっております。さらに、平成二十二年度からは入学料減免補助も対象に加えたところでございます。
御指摘のように、各都道府県における本基金の平成二十一年度取崩し額は五十億円にとどまっています。今後とも、私どもは、各都道府県において本基金が活用され、私立高校への経済的支援が充実されますように取組を進めてまいりたいと、このように思っております。

○西田実仁君 この基金の取崩しが進んでいない理由というのは各県によっていろいろだと思いますが、例えば、私の地元は埼玉県であります。埼玉では、授業料減免補助に対しまして、なぜ基金が余り取崩しが進んでいないのかといいますと、元々県の単費で一生懸命やっていたということもありますが、同時にその補助単価に上限があるということを挙げておられます。既に埼玉県では年収五百万円以下の世帯に年間二十七万円の補助を実施しておりまして、生活保護や家計急変、非課税世帯等以外については、補助単価が全国標準の十三・六万円と、ここまでしか基金が取り崩せないと。こうした補助単価の上限を取り払ってもらえばもっと基金を使うことができると、こういう意見があります。一方、私学助成の対象が生活保護だけに限定をされているような県におきましてもこの基金の活用は進んでいないという現状があるわけです。
なぜにかくも都道府県で大きなばらつきがあるのかと。現場からは、都道府県が支援制度を拡充した場合に二分の一を、都道府県の負担になってしまうと、基金がそのために使われないと、こんな声も上がっているわけであります。
いずれにいたしましても、今大臣がおっしゃっていただいたように、この基金、なぜできたのかという背景があるし、その背景はより厳しくなっているというのが私自身の認識で、恐らくこれは変わらないと思います。
そういう意味で、この基金を取り崩して高校生の修学支援に活用しているところと余りそうでないところのこの落差の原因についてきちんと文部科学省としても調べるべきではないか、また、どうしたらこの基金が活用されていくのかということについてもっと緊急に検討していかなければならないのではないか、このように思いますけれども、そうした調査をするおつもり、あるいはその基金を使うためのインセンティブをどう付けていくのかという検討、これをするお考えはありますでしょうか。

○国務大臣(高木義明君) 御指摘のように、都道府県によって本基金の取崩し額の状況に大きな差があることが事実でございます。本基金の対象事業となっている奨学金及び授業料減免補助等は、各都道府県が地域の実情に応じて取り組んでおるところでありまして、対象人員が増えた都道府県、あるいは制度拡充によって所要額が増えた府県など、様々な要因によって取崩し額が多様な状況になっております。
御指摘のとおり、今後、私たちは、まず都道府県においても本基金が活用されることが重要と考えておりまして、今の今年度の状況についてもしっかり把握をするように努めてまいりたいと思います。

○西田実仁君 是非その把握をしていただいて、どうしたらこの基金が使われていくのかと。やはり都道府県の意見もよく聞いた上で、変えるべきところはしっかり変えていただきたいというふうに思います。
同時に、今日は厚生労働副大臣の藤村副大臣にもお見えいただきました。ありがとうございます。
私は、次に、生活福祉資金、教育支援資金につきましてお聞きしたいと思います。
まず、この四月から授業料の実質無料化というのが始まりましたけれども、入学金や制服代、体操服代や教材費等の学校納付金、これは自己負担でありますが、これが払えない生徒が増えているということが聞こえてまいります。四月から授業料は無料化になったんですけれども、学校納付金を払えない生徒が増えていると、こういう現状につきまして高木大臣はどのように掌握されておられますでしょうか。

○国務大臣(高木義明君) 学校納付金の滞納の実態については把握をしておりませんが、公立高校の授業料の無償化及び私立高等学校の就学支援金制度の下において、授業料以外に、この制度があったほかに保護者の教育費の負担というのは増えておると、このように承知をしております。
来年度の概算要求においては、新たにこのような実情にかんがみて低所得世帯の高校生に対する給付型の奨学金事業として九十二億円を要望しておるところでありまして、議員御指摘のとおり、親の経済状況にかかわらず、高校生が安心して学校に行ける環境を更に努めてまいりたいと思っております。

○西田実仁君 この給付型の奨学金というのは概算に入っておられるということで、額としては九十二億円、一人当たりではたしか一万数千円だったと思いますが、教材費等のカバーできるものであるというふうに把握しておりますが。給付型奨学金は我々も随分前から主張させていただいておったことでもございますが、この額がそれで足りるのかどうかということはまたいろんな議論があると思いますが。
高校の現場で、今申し上げた学費の滞納、授業料のみならず学校納付金も含めてでありますけれども、これを理由に卒業式に出られないとか、あるいは就職の推薦も得られないという、こういう問題がいわゆるクライシス問題と言われる問題でありますが、これもう既にいろんなところで指摘もされておりますけれども、こうした実態について、高校現場でそういうことがどのぐらい起きているのか、あるいは起きていないのかという実態については、文部科学省としては把握をされておられるんでしょうか、あるいは今後把握をするおつもりがおありになるんでしょうか。

○副大臣(鈴木寛君) 今御指摘のありました一つ一つの状況について十分に把握はできておりませんし、なかなか把握も難しいたぐいの事柄だというふうに思っておりますが。
平成二十一年の四月に文部科学省が私立高校を対象に行った調査で申し上げますと、約七二%、九百五十三校に相当しますが、の学校が、何らかのそうした状況を踏まえて経済的支援策を実施をしている。検討もしなければいけない、それは問題意識を持っているということだと思いますが、そういうところで申し上げると、八三%がそのような問題意識の下に対応策といいますか、支援策を検討をしているというふうに把握をいたしております。それから、それに対しましては授業料の減免であるとか授業料の納付猶予だとか学校独自の奨学金給付などの取組が行われております。
それから、今年の四月一日に、高等学校等の生徒や保護者に対する各種支援施策の十分な周知を行う際に、生徒と親、家庭の事情を十分把握した上で、各学校において更にきめ細かな柔軟な対応をいただくように要請はいたしておるところでございますが、今日の御議論も踏まえて更に検討してまいりたいと思います。

○西田実仁君 なかなか実態といっても掌握は難しいとは思いますけれども、中には学校の内規とかで、こうした学費を納めなかった人はこう処置というか対処をしなきゃいけないというようなことを定めているようなところもあるやに聞いておりますので、そうしたことも含めて把握をお願いしたいと思います。
私立高校を取り上げると、お金持ちが行くんだからいいんじゃないかみたいな議論が一部ありますけれども、実際には、それぞれの地域におきまして公立高校の入学定員が中学卒業生全員の枠がないわけでありますので、お金持ちだけが私立行くというわけではないという前提があります。
そういうことから今質問させていただいたわけでありますけれども、こうしたことを背景に、厚生労働省では、今年の二月から三月にかけてのいわゆる卒業クライシス対応として、社会福祉協議会が貸し付ける生活福祉資金、教育支援資金、これを活用しまして高校の授業料が滞納したときに遡及して滞納額を貸し付ける一年限りの特例措置を講じておられます。これは大臣の判断だったと思いますが、この利用実態がどのようなものだったのか、またこの特例措置、どう現時点で評価をしているのかについてお聞きしたいと思います。

○副大臣(藤村修君) 西田委員に厚生労働省の立場からお答え申し上げます。
二月、三月の今年の卒業クライシスということで、私たちも何とかしないと、そんな思いでございました。高校生の授業料について、生活福祉資金貸付事業において、実はこの貸付けは過去の滞納分を貸し付けるというスキームはなかったんですが、本年二月、特例的に対象とするように運用を改め、いわゆる卒業クライシス問題に対応したところでございます。
貸付状況につきましては、本年二月から三月にかけて新たに貸付対象とした滞納分全体では、件数は一千三十三件、金額二億五千五百七十六万円であり、うち高校三年生に係るものは件数三百五十一件、金額九千七百四十七万円でありました。なお高一、二年生に係るものがその残りですが、六百八十二件、一億五千八百二十九万円であります。これらによって生活困窮世帯の子供の卒業と修学を支援できたものと考えております。

○西田実仁君 今お話は、私立高校で生活が困窮している御家庭についての中退率の減少に効果があった、こういう話であります。
この教育支援資金の利用者につきましては、利用世帯の親が無職である場合が多いという報告もいただいておりますし、また持家比率も低いということもありまして、国の教育ローンの利用が難しい、成績につきましても五段階評価で三に届かない場合が多い場合はどうしても成績要件のある学生支援機構の利用もできない、こういうことで今回の特例措置ということが効果があったと評価がされているんだと思います。
現時点で景気の状況も去年のこのクライシスのときに比べるとより一層厳しくなっているというのは大方一致しているところでもあろうかと思います。この一年限りとされました特例措置につきまして、今年度も同様の措置をおとりになる予定はあるのかどうか、あるいはそうした検討をなさるおつもりがあるのかどうかお聞きしたいと思います。

○副大臣(藤村修君) 昨年度、つまり今年の二月、三月において、高校生が経済的な理由により卒業できないという事態に対して、子供の貧困問題への対応という観点からこの資金を貸付け、特例を組みました。
今年度につきましては、一つは公立高等学校授業料無償化、あるいは国立、私立高等学校の授業料に充てる高校就学支援金の創設があります。それからもう一つは、昨年度、すなわちこの二月、三月、授業料を滞納している先ほど申しました高校一、二年生についても特例措置の対象として既に生活福祉資金の貸付けを実施したところであります。このことから、この二月、三月、すなわち昨年度のような問題は生じにくいとは考えております。
ただし、この問題は生活困窮状態にある世帯の子供の問題であることから、教育行政、文科省と連携を図って、実情を踏まえつつ必要な対応を検討してまいりたいと存じます。

○西田実仁君 こうした特例措置、そういった事情を見ながら是非判断いただきたいんですが、一方、経済的に困窮している高校生に対しまして、現在は義務教育のみを対象としております就学援助の拡充をすることによって、生活保護受給よりも緩やかな所得要件での高校版の就学援助というようなことも考えていいのではないかと、こう思うわけでありますけれども、文部科学省としてはこうした検討、お考えはどのようになっておられるのか、お聞きしたいと思います。

○副大臣(鈴木寛君) 昨年度、公明党の御指導、御支援も得ながらこの就学支援金の制度をつくらせていただいた問題意識の背景には、今おっしゃったことがあるわけであります。
私どもも、もう高校への進学率が限りなく一〇〇%に近いという状況の中で、今おっしゃった小中学生にございます就学援助という制度のいわゆる高校版、それをどう言うかというのは別問題としまして、同様の問題意識と必要性を痛感をいたしております。
したがいまして、こうした授業料以外にも、昨年は授業料の手当てをいたしましたけれども、授業料以外にも保護者の教育費の負担が大きいということ、このことに対して支援をするために、来年度の概算要求におきまして低所得者世帯の高校生に対する給付型奨学金事業の創設を要望し、まずこれを実現をしてまいりたいというふうに思っております。今、九十二億円を計上させていただいている、先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、これをまず実現をしていきたいと思っております。
高校無償化法案の採決に当たりましても、奨学金の給付に係る制度の創設その他低所得者世帯の負担軽減を図る旨の附帯決議をなされておりまして、文部科学省としては高校生の皆さんが安心して学べる環境をつくるために最大限努力をしてまいりたいと、御支援をお願いを申し上げたいと思います。

○西田実仁君 是非とも御検討の方をお願いしたいと思います。
次に、大臣所信で示されました強い人材ということについてお聞きしたいと思っております。
大臣は、強い人材は成長の原動力であると、こういうふうに位置付けられて所信表明なされました。そこでまず大臣にお聞きしたいと思いますが、日本のこれまでの学校教育におけます人材育成ということについて、この大臣がイメージされている強い人材という、その育成にかなうものだったでしょうか、あるいはそうではなかったでしょうか。

○国務大臣(高木義明君) まさに強い人材を育成するというのが私どもの大きな目標の一つであります。グローバル化が進んでおりまして、資源の少ない我が国がこれから新たな価値を生み出すためには、まさにイノベーションに挑戦をしていくと、そういう意味で強い人材をつくるということは必要不可欠なことであろうかと思っております。
これまでの学校教育は、国民全体の知識と能力の向上を図ることには成功したと私は認識をしておりますが、今後はいわゆる発想力あるいは創造力、こういったものが最大限伸ばされるような、そういう教育が重要と考えております。
このため、例えば知、徳、体、まさに学力であり、あるいは人間性であり、そしてまた健康や体力である、こういったバランスの取れた生きる力をはぐくむためにも新しい学習指導要領の実施が重要になってくると思っております。また、情報通信技術の持つ可能性を教育の場でも活用しなきゃなりません。国際社会をリードする人材の育成のためには、大学や大学院の機能強化も必要となっております。新しい視点や柔軟な発想を持った若手研究人材の育成についてしっかり取り組んでいきたいと、このように考えております。

○西田実仁君 この強い人材というイメージ、今大臣からお聞きしましたけれども、私自身がこの強い人材ということに感じますことは、そうした社会におけるリードしていく人たちをどう強くしていくのかという問題ももちろんありますけれども、全般的に日本のこれからということを考えたときには、菅総理は雇用、雇用、雇用と連呼されていましたけれども、その前にやはりしっかりとした強い人材を育てる教育をやって、そしてそこから新しい起業家が生まれ、そしてそこに新しい雇用ができていく、そのことによって経済が発展していくというのが世界における教育政策の位置付けではないかというふうに思うわけでありまして、そうしたことをお考えになっておられるんではないかというふうに思ってお聞きしたわけでありますが、一方で、この所信表明において大臣は、最近の日本人は内向きとの指摘があるという、この内向き志向ということについて触れられておられます。
確かに、その一例として、アメリカで学ぶ留学生の出身国を見ますと、インド、中国、また韓国が増えているということはよく指摘されているところであります。日本は、一方で二〇〇〇年代に入りまして減り続けていると言われております。韓国につきましては、二十代の人口が二割も実は減っている、九〇年代半ばから。にもかかわらず、アメリカへの留学が増え続けているというのは大変衝撃的であると私は思っているわけであります。
そしてまた、今若者の就職難ということが言われておりまして、第二の氷河期などとも言われておりますが、一部企業の新卒採用枠には、日本人に限定せずと、こういう流れも実際出てきております。就職を支援する会社の調査等によりますと、例えば全国主要企業一万社余り対象に、回答企業は九百社強でありますけれども、二〇一〇年度に外国人留学生を採用した企業は一二%ぐらいある。ところが、二〇一一年度採用見込みでは、その倍、二二%というふうに言われておりまして、つまり競争するのは日本人だけではないという事態にもうどんどんなっているということであります。
そこで、今大臣も生きる力ということを言われました。九六年七月の中教審でこの生きる力ということが言われましたけれども、大臣が言われる強い人材には、生きる力がやはり備わっていなければとても強くはなれないというふうに思うわけでありますが、これまでの中教審でこの生きる力ということが言われてから約十年余りでありますけれども、日本における生きる力は大きくなっているのか、またあるいは低下してしまっているのか、どのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(高木義明君) 生きる力は、御指摘のとおり、平成十四年から実施された小中学校の現行の学習指導要領の中で示されたものでございます。ただ、子供たちの生きる力の現状について見てみますと、平成二十三年度から本格実施とされる新しい学習指導要領の方向性を示した、いわゆる平成二十年一月の中教審の答申において、依然として課題があると指摘をされております。
例えば、思考力、判断力、表現力などを問う読解力、記述式の問題に課題がある。また、算数や数学、理科に対する意識など、学校外での時間の過ごし方について国際平均を下回る状況がある。また、自分に自信があると答えた児童生徒の割合が低下をしておる。あるいは、体力、運動能力は、ピークである昭和六十年度と比較すると依然と低い水準にある。もちろん、近年においてはこれが回復傾向が見られますけれども、そういったことが指摘もされております。
したがって、私どもとしましては、先ほども申し上げましたように、学力あるいは人間性、体力、健康、こういった、知育、徳育、体育とよく言われますけれども、このバランスの取れた教育の必要性、ますます感じておりますから、引き続き努力をしてまいりたいと思います。

○西田実仁君 この生きる力ということをはぐくむことには課題があるというお話でございました。
生きる力とは何かと、いろんな議論があるんでしょうけれども、今大臣から思考力とか判断力とか、あるいは知育、徳育、体育ですか、そういうような話もありましたが、生きる力、言ってみれば、一つの教科書あるいは教科ということではなくて、やっぱり教科を横断していく学力ということが含まれているのではないかと思うんですけれども、私の印象ですと、この生きる力というのがいつの間にか総合学習という何か一つの教科みたいなことになってしまいまして、極端に、私の友人で教師をなさっている方も随分いらっしゃいますが、総合学習といっても総合学習の教科書を早く作ってくれというようなことも聞いたことがありまして、大変に何か何が本質なのか分からなくなってしまっているなという気が正直いたします。
私は世界における教育政策ということの位置付けを先ほど申し上げましたが、今主要先進国の首脳の間では教育政策として度々登場するキーワードとしては二十一世紀型スキルということが言われております。昨年の三月のオバマ大統領の演説にも登場しておりますし、二〇一二年のPISAにも導入される方向であるというふうにも聞いております。既にオーストラリア、ポルトガル、フィンランド、シンガポール、イギリスがパイロットカントリーとしてこの検証研究事業にも参加をしているというふうにも聞き及んでおります。
このICT教育の中核となる学力観として世界の教育界で研究が進んでおりますこの二十一世紀型スキルということについて、大臣はどのように認識されておられるのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(高木義明君) 二十一世紀型スキルということが御指摘いただきました。
様々なとらえ方があるかと思いますが、それぞれの識者によっては定義もかなり異なる部分がございます。おおむね二十一世紀の知識基盤社会において必要となる課題発見、解決能力、あるいは論理的思考力、コミュニケーション能力、情報通信技術に対応できる力、こういったものを指すものと理解をしております。まさにこれは生きる力と共通する考えでありまして、文部科学省といたしましても、新しい学習指導要領の改訂とその普及定着を図っていって、コミュニケーション能力を高める教育、学びのイノベーションに取り組んでいきたいと思っております。
私も子供の教育においては、やはり集団生活の中で、活動の中で、見たり聞いたりしゃべったり、そして時には協調し時には競い合う、そういう中に自らの位置を確かめ、そして新たな目標を選ぶ、こういうことが豊かな教育の大きな源泉じゃないかと思っております。そういう意味で、人づくりは国づくり、こういう精神に立ってしっかり取り組んでいきたいと思っております。

○西田実仁君 今大臣は、今世界が注目する二十一世紀型スキルということについて生きる力そのものではないかというようなお話がございました。私もそう思うわけでありまして、その意味では、生きる力ということに早くから着目したことは正しかったというふうに思います。
しかし、その生きる力が先ほどちらっと申し上げた総合学習という一教科に押し込めがちになってしまったということが、逆に従来の科目に割く時間を圧迫してしまって、いわゆる学力低下という論争にもなっていったのではないかと。生きる力を育て切れなかったという、先ほど課題があるというお話がありましたが、それは教師、先生方の教授法、あるいはその授業のスタイル、先生の指導そのものに深化ということが十分ではなかったということではないかというふうに思いますけれども、大臣がどのように思われているのか分かりませんが、この生きる力にまだまだ課題があるということであれば、私が今申し上げた問題意識、その原因、どこにおありになるとお考えでしょうか。

○国務大臣(高木義明君) 教育の大きな中心はやはり子供でありますが、その子供を教える教育者、いわゆる教員の使命感をより高く、そしてまた情熱を熱く、このことが何よりかと思っております。
また、時代が変わりまして、子供たちを取り巻く環境というのは大きく変わってまいります。そういう意味で、まずは家庭の中でしっかりとしたしつけをし、そして知恵を付けること、これから始まるわけでありますが、家庭環境あるいは核家族化などの社会の進展によりまして子供たちにとっては厳しい状況がございます。だからこそ、今こそ地域と学校と家庭、連携を取って、コミュニティー社会の中で総合的な、子供たちを育てていく、地域ぐるみで、総ぐるみで育てていくという、そういう努力を我々としてもしっかりやっていきたいと思っております。

○西田実仁君 それはそのとおりなんでしょうけど、私が申し上げたいのは、この二十一世紀型スキル、生きる力そのものでありますけれども、これをどうはぐくんでいくのかというときに、やはり地域や家庭や学校というのが当然連携して子供を支援していくわけでありますが、教員の教え方とか、今までの教師像から例えばファシリテーターというような位置付けにして変えていくとか、こういう教え方そのものを深化させないと、世界の中で競争せざるを得ない子供たちという環境からしますと、変えなきゃいけないんじゃないかと私は思っているわけでありますが、そこを自治体に任せているだけでは、日本の子供たちがこれから迎えるであろう様々な環境の中で、生きる力をはぐくむことは大変難しくなってきているんではないかというふうに思っているわけであります。
ICT教育あるいは情報の利活用ということについても、教員の指導法そのものに国がもっと関与していかなければならないんではないかと。デジタル教科書とかのツールは増やしても、宝の持ち腐れになりかねないと。教員に、そういう意味では指導法等を深化してもらうための国としてのサポート、これをもっと充実させるべきではないかと思いますけれども、大臣はいかがお考えでしょうか。

○国務大臣(高木義明君) 御指摘のとおりに、資質能力を教員が適切に身に付けていただくということが重要であろうかと思っております。その意味でも、中央教育審議会などでは大学における教員養成や現職教員に対する研修の在り方含めて、今教員の資質能力向上方策について御論議をいただいております。
私どもとしましても、この検討を踏まえて能力を備えた教員の養成に努めてまいりたいと思います。

○西田実仁君 そういう中央で今いろいろ検討されているということですけれども、これまでそうした教員の研修とかになりますと、国というよりも地方で研修を行っていくというスタイル、それはそれで結構なんですが、しかし、それが十分になされてきていないというのも実態ではないかと思います。
先ほど韓国の例も挙げましたけれども、どの国でも、教育はよほどの国じゃなきゃ中央集権でもうがちがちに国が全部決めているということはないわけでありまして、韓国でも当然、地方というのが分権化して教員養成も担っているという面が多いわけであります。しかし、その韓国においても、国と地方の仲介機関というのが韓国では教育学術情報院という名前になって、KERISというものでありますけれども、これをつくって国と地方を媒介する政策執行機関ということがあるわけでありまして、今までは国はそれは地方に任せているといって、地方はもう手いっぱいでできませんという中で、なかなか生きる力がはぐくまれない、あるいは二十一世紀型スキルというものが身に付けられないと、こういう実態があると私自身は問題意識としては持っておるわけであります。
こうした国と地方を媒介する政策執行機関ということがこの教育政策の中で必要になってくるのではないかと思いますけれども、大臣、どうでしょう。

○国務大臣(高木義明君) 地域における教育行政は、御承知のとおり、地方自治の本旨にのっとって地方公共団体が主体的に取り組むものであります。
国は、全国的な教育制度の枠組みを設定をしたり、あるいは全国的な基準の設定をしたり、教育条件の整備、地方に対する適切な指導、援助を行う役割と責任を担っておると思っております。これからも、実は国と地方がしっかりその役割分担を持ちながら、よく連絡を取りながら、相談をできる体制を築くことが何よりも必要であろうと思っております。
私たちとしましても、地域の自主的な判断、これを尊重しながら、各自治体が質の高い教育が実現されるような、必要な支援を今後とも強力に行っていきたい、このように考えます。

○西田実仁君 この問題、最後ですけれども、教育の情報化ビジョンというのを骨子として八月末にまとめられております。鈴木副大臣も熱心にお取り組みなさっていたと聞いておりますけれども、この教育の情報化ということが教育イノベーションということに直結するというのであれば、是非、文部科学省、メーンストリームできちんと腹を据えてやっていただきたいというふうに思いますので、期待を申し上げておきたいと思います。
最後のテーマでありますけれども、外国語指導助手、ALT配置に関する民間事業につきましてお聞きしたいと思います。
来年度から小学校五、六年生の英語の授業が必修化されます。既に全国の公立小学校では英語授業を始めておりますけれども、文科省の調査によりますと、そうした英語授業の現場では七割近くが外国語の指導助手いわゆるALTを活用しているということであります。やはりネイティブスピーカーというのはその活用は欠かせないというふうに思います。実際に英語教科の教員免許を持った先生方の配置は極めて少ないのが現状でありますので、こうした活用はこれからももっと進んでいくんだろうというように思います。
国もこのALTを紹介するJETプログラムというのを行っていると聞いております。しかし、このJETプログラムは、現場の自治体から上がってくる声としては、ALTを紹介はされますけれども、その生活面でのサポート、簡単に言うと、アパートを探したり、買物を支援したりというようなことはすべて自治体が担わなければならないということもあり、また紹介されるALTもばらつきがあるというような声も上がってきているということであります。実際にこのJETプログラムを使ってALTを活用している小中学校は二五%ほど、残りは民間業者への委託によって行われているというのが現状であります。
そこで、民間企業がALTを配置する場合の契約上の問題を挙げたいと思います。業務請負契約の場合、指揮命令権は教師にはありません。したがって、学校現場では非常にやりにくいとの声が上がっております。例えば、先生方とALTとの打合せやお願いなどができない、偽装請負ということで指摘をされかねないと。また、業務が独立していなければならないという規定から、文部科学省が進めております日本人教師とのチームティーチングということも行えないと。
こういう現場での問題点が指摘されておりますが、こうしたALT配置に関する民間事業についての、委託に特に関してですが、問題点をどのように認識をされておられるのか、お聞きしたいと思います。

○副大臣(鈴木寛君) 実は私どもも同じ問題意識を持っております。直接雇用ができれば、自治体が、これは何ら問題がないわけであります。直接雇用したALTと教員がチームティーチングを行う、これが最も望ましいわけでありますけれども、しかし財政上の観点からこれがなかなか難しい。
そうしますと、次に、派遣でありますれば、派遣をされてまいりましたALTと教師がチームティーチングできるということになるわけでありますが、派遣の場合は、委員御案内のように、最長三年以上の派遣期限の制限というものが付いてしまいます。その観点から、そのALTに三年を超えて、しかも財政状況厳しい中でやってもらおうということになりますと、御指摘の請負契約と、こういうことにならざるを得ないと、こういうことになってしまいます。そうしますと、これを厳密に解しますと、この担当教員とALTとのコミュニケーションに今のような課題があるということになります。
したがいまして、私どもは、なるべくこの請負契約を見直して、今お話がございましたJETプログラムの活用でありますとか自治体による直接雇用だとか、あるいは派遣というふうにしてほしいというふうに思っておりますけれども、ただ、その際に、これはやや所掌を超えた話になりますけれども、御案内のように、今厚労副大臣いらっしゃいますけれども、派遣業法の政令の二十六業務にALTが仮に加えられることになれば、これを加えるか加えないかは我々が発言すべき立場にございません、これはひとえに労働政策審議会において御議論がなされるものでありますけれども、そういうことになりますると、教員とALTとの円滑なコミュニケーションが可能になるということでございますので、そうした議論がなされることを期待はいたしているということでございます。
と同時に、今三十五人学級等々の要求等々しておりますが、この反射効としましては、結果として直接雇用をする余裕等々も出てくるといったようなこともありますので、いずれにしても、そうした今の御懸念あるいは問題意識、私どもも共有させていただいておりますので、関係当局ともいろいろ御相談をしながらこの改善に努めてまいりたいというふうに考えております。

○西田実仁君 ということは、文科省としては、派遣の二十六業種、政令で定めるところに入れてもらうということを要請をするというか、期待をしているということの話があったと思いますが、厚生労働副大臣にお聞きしたいと思いますが、これもきちんとした手続を踏まえての決定ということになりますが、今のような問題点というのは、これ各省の何というか縦割りとかではなくて、先ほど来から強い人材の話もさせていただいた御議論も聞いていただいたと思いますが、日本に必要不可欠な国際理解教育という、日本全体のことを考えてこのALTをどうしていくのかということを、これは文科省は文科省の立場で、また厚労省は厚労省としてやっぱりきちんと考えていかなきゃいけないと。今問題が起きているということはしっかり認識いただきたいというふうに思いますが、この政令改定についてどう考えるのか。
また、派遣契約の場合も、三年以上は駄目ですが、例えば三か月と一日のクーリング期間を設けて再びこの派遣ということが可能なのかどうか。これについてもはっきりしないという現場からも随分お声をいただいておりますので、この二つ、お聞きしたいと思います。

○副大臣(藤村修君) 西田委員にお答えいたします。
まず最初は、専門業務二十六業種ということであります。
ちょうど今、御承知のように労働者派遣法改正案が国会にかかっているという中で、この時点で今二十六業務を見直すということはちょっと不可能に近いことであります。ですから、この法改正が成立した場合ということで、その施行に係る政省令の整備が終了後、速やかに労働政策審議会に検討をお願いすることとしているわけであります。
見直しの検討過程においてこの外国語指導助手の業務を専門業務に追加が可能かということを是非私どもも御議論いただくということで、それは十分に議論して、その方向というのは可能性としてそれなりに私はあるような気がいたします。二十六業務、中に入れるという意味ですね。それでないと今の状態では偽装請負になります。違法状態になると、こういうことであります。
もう一つ今お尋ねの件は、いわゆる派遣可能期間というのが三年を超えないということであります。クーリングという、いったん少しその間に三か月以上空白があったらその後また同じ業務できるのかと。これ、民間で少し誤解がありまして、派遣はあくまでトータルで三年でありますので、そのクーリング期間を利用して更に同じ業務を行うというのはこれは違法状態になると、こういうことでございます。

○西田実仁君 来年からとにかく英語が授業として必修化されるという、国として決めてスタートを切るわけで、子供たちにこの国際理解教育ということにいい環境をつくっていくということが何よりも大事でありますので、これはやはり政府を挙げてそこに向けて取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。

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