179-参-憲法審査会-3号 2011年12月09日


2011年12月9日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
公明党は、憲法改正につきましては、現行憲法をそのまま残した上で新たな条項を加える加憲方式を主張しております。その上で、加える視点といたしましては、以下の五つの視点を示したいと思います。
第一に国民主権をより明確にする視点、第二に新たな人権条項を加えて人権を確立する視点、第三に平和主義の下で国際貢献を進める視点、第四に環境を重視する視点、第五に地方分権を確立する視点、この五つの視点から加憲方式による現行憲法を変えていくということを目指していただきたいと思います。
立憲主義そのものは、憲法がはっきりと認めている事柄について憲法がはっきり認めている方法で権力者が政治を行うということであろうかと思いますが、その意味から、本日は、個人的な意見として、特に第一の国民主権をより明確にする視点の中から第二十六条、教育を受ける権利について、また環境を重視する視点から新しい人権としての環境権について新たに加憲すべきであるとの意見を表明させていただきたいと思います。
まず、憲法調査会におきましてこれまで趨勢である意見として整理をされました新たな人権としての環境権について述べたいと思います。
憲法学説の主流は、憲法第十三条あるいは二十五条から解釈上、環境権を導き出すことも可能であり、必ずしも憲法規定がなければ環境政策が進まないというわけではないと言われております。しかしながら、現実問題としましては、行政が環境権を環境政策の基本として承認しない場合には環境権を基礎とする環境政策の前進は期待できず、その意味で、憲法の条文に新たな環境権に関する権利・責務規定が必要になると考えます。その際、環境権は、現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受する権利と定義されるんではないかと思われます。
具体的な条文のイメージといたしましては、ポルトガル憲法の第六十六条第一項が分かりやすく、参考となります。すなわち、全ての者は、健康で生態的にバランスの取れた人間環境に対する権利を有し、それを保護する義務を有する。全ての者は、法律に従い、環境の劣化をもたらす要因の防止又は中止を求める権利を有し、環境が直接に失われるときには、それに対応する権利を有する。
もちろん、この環境権につきましては、憲法上に位置付けた上で、同権利にどのような特色、内容を持たせるのか、また、それを保護するためにどのような法制度を具体的に整備するかという具体的な議論が必要なことは言うまでもありません。
次に、教育を受ける権利につきまして、加憲の立場からは更に一歩進めて、生涯にわたる学習権の保障を明記すべきと考えます。
日本における生涯学習の体系化の施策は、既に一九八〇年代後半以降に整えられつつあり、一九九〇年には生涯学習の施策の推進体制の整備に関する法律として結実しております。
その背景には、一九八〇年代以降のユネスコなどでの学習権を保障すべきとの議論があることは間違いありません。すなわち、ユネスコにおける第四回国際成人教育会議では、一九八五年に学習権宣言を発しております。
この学習権については、この宣言の中で、未来のために取っておかれる文化的ぜいたく品などではなく、人間の生存にとって不可欠な基本的人権の一つであり、学習こそは、人々を成り行き任せの客体から、自らの歴史をつくる主体に変えていくものと定義付けております。
さらに、昨今の急激なICT環境の発達も、新たな人権としての生涯にわたる学習権の保障を後押ししていると考えます。近年における衛星通信や大容量光ファイバー、インターネットなどの飛躍的発展が、生涯学習の手段としての遠隔教育の力を大いに拡大しているからであります。
以上でございます。

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