179-参-法務委員会-6号 2011年12月02日


2011年12月2日

○委員長(西田実仁君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、熊谷大君が委員を辞任され、その補欠として溝手顕正君が選任されました。
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○委員長(西田実仁君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁刑事局組織犯罪対策部長小谷渉君、法務省保護局長青沼隆之君、厚生労働大臣官房審議官唐澤剛君及び厚生労働省社会・援護局長山崎史郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(西田実仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(西田実仁君) 刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。

○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。平岡大臣、今日もよろしくお願いいたします。
この法案について二十四日にも質問をさせていただきまして、私、福島県の被災地の立場から、被災地の体制整備をしっかりとしていただきたいということを申し上げました。
私、毎日、国会が終わってから地元に帰っているんですが、昨日は川俣町、ここは山木屋地区の方が避難されています。その前は伊達の富成地区、ここで住民説明会が開かれました。そして、その前の日は福島市の渡利地区、行きましたけれども、皆さん、住民が本当に放射線のことについて不安で、心配でいると。私の顔を見ると泣いてしまうんです。本当に国会議員の先生方も地元によくお帰りになって、毎回毎回会う人が泣いてしまうというのはなかなかないと思うんですけれども、やはりそれだけ非常にまだ平時ではないという、緊急時であるということを御理解いただきたいと思います。
私、前回も申し上げましたけれども、そのような中でこの法案が出てくること自体、少し違和感があるということを申し上げました。まずは被災地の状況をしっかりとしていただきたいと申し上げました。その中の一つの例として、地検の、検察庁のいわき支部のことも申し上げましたけれども、それに対して具体的などういう処分をしたのか、そしてどういう指示をしていくのか、今後はどうするのかということのお答えが明確にありませんでした。後でもう一度御質問しますので、きっちり答えていただきたいんです。そういったことを一つ一つ大臣が答えていただくことで、被災地も一歩ずつ前に進めると思うんです。
まず最初に、この被災地の体制整備をどうやっていくのか。前回は、大臣が私の質問に対して、この法案の施行までに、しっかりと被災地の就労支援ですとか、それから保護司の増員ですとかいったことの体制を整備するというふうに答弁をしていただきました。これを検証する方法、これがきちっと本当になされるのかどうかということを今日はもう少し具体的に聞いてまいりたいと思います。
この被災地の体制整備、就労の確保というのも、刑務所にいらっしゃる方が出てきて、その就労をどうするかということがありますが、その前提として、まず県民自体が大変な、これ就労を確保できないわけでございます。それから、保護司の数も足りないわけでございます。こういったことを、体制を整備をしていくということを施行までにしていただけるというふうに言いましたけれども、それをどのように検証するのか。これをもって体制が整備できたというふうに判断するのは、誰が、いつ、そしてどのような基準で判断するのか、教えていただきたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 委員の方から体制整備の検証の在り方、どういうふうにやるのか、誰がどういうふうにやるのかというお話でございましたけれども、これ自体は、やはりまずは我々法務当局においてどういう取組をしていくべきなのかということについてしっかりと検証していかなければならないというふうに思っておりますけれども、必要に応じて、当委員会を含めて国会の皆さん方のところにも状況を報告するなり、あるいは御質問にお答えして状況を皆さん方に把握していただくなりというようなことを通じて、しっかりとした体制整備に努めてまいりたいというふうに思っております。

○森まさこ君 今大臣からこの委員会に報告することなどを含めてというふうに言っていただきましたので、よろしくお願いをしたいと思います。
検証について、今、施行までの検証、質問しましたけれども、次に施行後のことについて質問しますけれども、参考人の方が前回おっしゃっておられました、司法から地域に出た場合、司法の刑務所の処遇からぽんと出されて地域に、社会に出される、社会の方では保護司さんなりがまた受け入れるということですが、その間をつなぐ機関がないんだと。例えば、薬物の依存症の方を例にしておっしゃっておられましたけれども、今までの状態やいろんなこと、そして、今見ている方が、これがよく連携を取ってやっていくことが大事であって、その間をつなぐ、アレンジしたり相談に乗ったり、そういう機関が必要なんだという御意見がありましたけれども、こういった機関をつくっていくようなお考えはあるんでしょうか、大臣の方に伺いたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘になりましたように、再犯を防止していくためには、施設内処遇をしっかりやるということ、そして、それに引き続いて社会内処遇としての保護観察をしっかりしていくこと、さらに、先日の参考人質疑の中にもあった、参考人のお話の中にもあったとは思いますけれども、保護観察が終わった後またどうしていくのかということも、特に薬物なんかの関係については大変重要だというようなお話もあったというふうに私承知しておりますけれども、いずれにしても、社会内においてしっかりとした処遇があり、そしてそのことが本当の再犯防止あるいは社会復帰につながっていくということが大事だというふうに私たちも思っております。
とりわけ、薬物事犯者については、刑務所出所直後あるいは保護観察終了直後の言わば処遇の切れ目における再犯の危険性ということが、先ほど申し上げましたように、参考人の方々からも指摘されているところでありまして、その再犯防止を図るために、矯正施設と保護観察所において一貫して連携した処遇を行うことはもちろんでありますけれども、薬物依存症の治療やあるいは薬物依存者に対する支援等を行う地域の医療、保健あるいは福祉機関等と保護観察所とが密接に連携することが大事であるというふうに今思っております。
先日の委員会の場でもお話し申し上げましたけれども、現在、薬物処遇研究会というものを開催させていただいておりまして、ここには精神科医等の薬物依存の専門家の方々とか、あるいは民間の自助グループでありますダルクの指導者の方々だとか、そういう方も入っていただいて、今、関係機関との連携のための地域支援ガイドラインというものの案を作成するというふうなことで具体的な連携方策について検討、協議を続けているところでございます。
この検討結果等も踏まえまして、司法関係機関と地域社会との密接な連携体制の構築に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○森まさこ君 参考人の方の御意見の趣旨は、個別の案件で連携、又は、連携はしていくんですけれども、その連携をしていくときの間に入る人間が必要なんだと、調整をしていったり、又はほかのところに振ったりする場所が必要なんだという、そういう意味だったと思いますが、大臣が今おっしゃった地域支援ガイドライン、これが今後でき上がってくる、それを参考に、またこういった間の調整役というものもその中に、検討の対象の一つに入っているんでしょうか。ちょっとその辺を教えてください。

○国務大臣(平岡秀夫君) 法務省の仕組みとして見れば、施設内にいるとき、あるいは保護観察という形で関与できるときということにどうしても限られてくるだろうというふうに思います。そういう場面においては保護観察所がしっかりとこれからも取り組んでいきたい、あるいはこれまで以上に地域の関係機関とも連携協力をしていきたいということは今申し上げたとおりでございますけれども、保護観察が終わってしまった後の状況についてどのようにするかということについては、これは法務省だけの問題というよりは、むしろあらゆる方々、地域社会の方々も含めて取り組んでいかなければならない課題だというふうに今思っておりますけれども、今法務省として具体的にこういうものを用意しているというものがあるという状況ではございません。

○森まさこ君 今具体的に用意している状況ではないということですが、この地域支援ガイドラインというのはいつごろでき上がる御予定なんですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 一応、目安としては今年度末を目安として案を作成していきたいというふうにしているというふうに聞いております。

○森まさこ君 分かりました。ありがとうございます。私の方も、そちらの方も注視してまいりたいと思います。
次に、施行後、この制度が目的である再犯防止に効果があったのかどうかということの検証でございます。
参考人の方々のお話を聞くと、やはり受入れ側にかなり負担が生じる制度だと思います。負担が生じても、それが再犯の防止につながれば喜んでやりますという保護司さんの本当にすばらしい御意見もございましたけれども、この制度が本当に効果があったのかどうかというものの検証はどのようになさっていくおつもりなんでしょうか、お聞かせください。

○国務大臣(平岡秀夫君) 再犯防止が図られたかどうかを検証する方法としては、例えば再犯に及んだ人の中で、前の刑、前刑において一部執行猶予を言い渡された者を把握していくというような方法が考えられるとは思いますけれども、どういうふうに適切に検証を行うことが可能なのかということについては、これから具体的なことを検討していかなければならないというふうに今思っております。
ただ、この検証結果という意味において言いますと、やはり新たな制度の下で対応される事案というものの数がそれなりに集まってこないとなかなか検証ということもできないのではないかという意味においては、一定程度の年数が必要だろうというふうに思います。事件が起こって、裁判があって、そして一部執行が行われて、そして一部執行猶予が行われて、そしてその後社会に出てどうなのかということでございますから、年数的に言えば、制度が施行されてからも二、三年といったような期限がどうしても必要だろうと思いますし、数が集まってくるためにはまたそれなりのものが必要になってくるだろうというふうに思います。
そういう意味において、少し検証できるような状態になるまでには時間が掛かるとは思います。その間にどういうふうな形でやっていくのがいいのかということについては検討もしてまいりたいというふうに思いますし、そうした検討した結果としての検証の内容については、必要に応じてこの委員会の皆さん方のある意味では検証というものもあるんだろうと思いますけれども、そういう検証の機会には提供できるような、そういう準備を進めてまいりたいというふうに思います。

○森まさこ君 今大臣から、この委員会にもその検証の材料となるものを提供するという答弁がありました。私からも希望をいたします。もちろん、検証ができるようなある程度の期間が過ぎてから、当委員会に報告をしていただきたいと思います。
この制度は本当に大きな改正なんですね。刑法という基本法の改正です。私たち司法試験を受けるときには、憲法、民法、刑法のこの三法が基本法ということで、一番最初にこれを学んで択一試験で受けるわけでございますが、この基本となる刑法、この中でもその総則部分であります刑罰、これを、懲役刑を全部科すのか、それとも全部執行猶予にするのかという二つに一つであったものを、一部懲役にして一部執行猶予にするというふうに、そこを大きく変えるわけでございますから、これについてはしっかりと国会でも検証してまいりたいと思いますので、是非委員会への報告をお願いしたいと思います。
次の質問に移りますけれども、前回、我が党の松下委員が、社会貢献活動の受入れ機関やその利用者、地域住民に不安を与えない仕組みづくりというものについて質問をしたのに対し、法務省の保護局長が、活動先に対して社会貢献活動の趣旨や意義などについて丁寧な説明をするとともに、定期的な協議の機会をするということを考えている、これらを通じて地域の関係者や住民の不安を解消して、その理解と協力を得られるように努めてまいりたいと、大変立派な御答弁をなさっていたんです。
しかし、福島県に、実は法務省が地域住民に対して誠意ある丁寧な説明を行わなかった、そのゆえに地域住民が後から反発して大変苦戦をしているという事業が既に存在をしています。これが福島県の自立更生促進センターです。
この自立更生促進センター構想は、帰住先のない刑務所出所者等に対して国が一時的な宿泊場所を提供して、その確実な立ち直りと再犯防止を図っていくという、まさに今、この本法案と同じ目的を持ち、例えば福島の自立更生促進センターでは、報道によりますと、施設の建設前に説明したのは町内会長だけということで、また法務省が概要を説明した文書も難解で理解できないものだったということなんです。
そして、施設が完成されるころになってから、あれは何だと、今建てているのはという話になって、その建物の近くに小学校を始めとした学校教育機関がたくさんあったために、PTAを始めとした周辺の住民が関心を持って、急激に反対運動が広がってしまったわけでございます。また、反対団体の合同会が保護観察所を訪れ、公開討論会を求めても、反対する立場の方と話をしても議論は平行線になるだけなので出席できないというふうに断られたり、市民の理解を得たい者の態度とは思えないというように福島県では非常に批判をされたわけでございます。
結局、施設を完成してもなかなか開所することができず、二年以上たって、つい最近ですね、依然として地域住民の反対は続いているんですけれども、事実上開所して入所者を入れているという大変残念な状況にあるわけです。
ですから、答弁で、口では立派に先ほどのように丁寧な説明とか定期的な協議の機会を言っていても、そういうふうになってないわけでございますので、こういったことの反省の上に立って、社会貢献活動又はそれ以外のことについても、地域の関係者や住民の不安を解消するために先ほどの御答弁を具体的にどのように実現していかれるのか、これについて大臣のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(平岡秀夫君) ちょっと今の御質問は、福島の自立更生促進センターについての説明ということでしょうか、それとも今法案の審議の対象となっている件についてでございましょうか。

○森まさこ君 この法案についてでございます。

○国務大臣(平岡秀夫君) これについては、先ほど来から検証をどうするのかということを、例えば体制整備の問題、施行までの間にどういう体制整備ができるのかということについての検証、あるいはこの法律が施行された後にどういうふうな再犯防止ができているのかということについての検証、こういうことを我々としても必要だと思っておりますし、この委員会でも私は求められているんだろうというふうに思います。そういう状況を通じて、やっぱりしっかりと説明すべきは説明しなければならないというふうに思いますし、我々としても、そうした状況においてはできる限りの説明をしてまいりたいというふうに思います。
ただ、この法案全体について申し上げれば、これは全国にかかわる仕組みでもございますので、被災地のみならず、全国の方々に理解をしていただかなければならないということでございますので、この法案、成立するという状況の下では、関係する職員が関係する方々に対して、つまりは弁護士会であるとかあるいは関係の機関、福祉機関であるとか地方公共団体であるとか、あるいは民間のNPO法人であるとか、そういう方々にもしっかりと説明をしていかなければならないというつもりでおります。

○森まさこ君 しっかりと説明をしていくという大臣の答弁をいただきました。是非、自立更生促進センターのように、後から住民が知らされるとか、それから、説明会を求めてもやらないとかいうことがないようにしていただきたいと思うんです。
そこで、今度はこの自立更生支援センターについてちょっと御質問させていただきますが、今大変対立した状況にあるわけでございます。これを、今大臣が、大臣は住民にきちんと説明をしていく大臣であるとおっしゃったので、この状況を解決していっていただきたいと思うんですけれども、この福島の自立更生支援センター、私、場所的にもどうかなと思う場所にありますが、もう建ってしまっているんですけれども、もう少し事前にやはり相談をしてほしかったと思いますが、反対運動を受け、ようやく運営状況をチェックするための住民との間の運営連絡会議というのが設置されたわけでございます。そして、保護観察所から入所者に関する提供できる限りの細かい情報を提供してもらい、入所者が県内に住むことを希望しているなどの福島優先枠に合っているかなどを話し合っているようです。その福島優先枠というのは治安悪化を心配する住民の声を受けて設けられたようですけれども、その優先枠が破られる事態なども起きたということで、やはり双方の信頼関係がなかなか構築されないという状況にあるようです。
それからまた、入所者が保護観察期間終了後、再犯を犯した事例も出ているようです。この再犯を犯した事例について説明をしていただきたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今、再犯の事例ということでございましたけれども、かつてこのセンター、福島自立更生促進センターにおられた方が退所した後に起こされた事件ということで我々としても承知をしております。今、何といいますか、報道されているところによれば、福島自立更生促進センターの元入所者が保護観察期間終了後に詐欺容疑で逮捕されたということでありますけれども、この保護観察所の方で、この事案について先ほど委員が御指摘になりました連絡会議の中で詳細な説明を求められているというような状況の中で、現在、この事件については裁判中であるということもございまして、そういう状況の下で、今当局の方から開示できる情報というものについては慎重に取り扱わなければならないという状況にあるというふうに承知しております。
したがいまして、私もこの問題については、どういう状況の下で、どれだけのことが御説明できるのかということについては、事務当局ともしっかりと意見交換をさせていただいておりますけれども、裁判後にはしっかりとした情報の提供と、説明ということができるというふうに承知しているところでございます。

○森まさこ君 なぜこんなような質問をしたかと申しますと、震災後、入所者が当初の予定より早く外に出されているんですよね。前回、いわきの検察も、十二人ですか、処分保留で釈放しちゃって、またそこから再犯者が出て、地域住民はもう本当に大変なショックを受けたわけなんですがね。別に釈放をするなと言っているんじゃないんですけど、十二人も一遍にというのは大変多いし、その理由も、そのときに庁舎が別に使えなかったわけでもなく、避難地域でもなかったということで、私、いわき市のことは大変遺憾に思っているんですが、この福島の自立更生支援センターも、震災直後に、そこにいた入所者を全員釈放しているんですよね。それなので、予定より早く釈放しているんですよね、全員。その理由は何なのか。そして、予定より早く釈放をした人が先ほどの再犯をした人なのかということを確認したいと思います。御答弁お願いします。

○国務大臣(平岡秀夫君) まず、後者の方の御質問にお答えしたいと思いますけれども、この仮釈放者、三名でありましたけれども、その者については再犯ということはございません。その上に立って、どういう状況であったのかということについて御説明を申し上げたいというふうに思います。
東日本大震災発生時には、このセンターには仮釈放者が三名ほど入所しておりました。震災によりましてセンターの壁の一部が崩落をしたり、あるいはガス、水道等のライフラインが休止したことから、三月の中旬に、うち一名を安否が判明した親族の家に転居させる、そして二人については近県の更生保護施設に転居させて、それぞれ保護観察を継続したものというふうに承知しております。
転居させるに当たりましては、この促進センターに宿泊すべき期間を定めた特別遵守事項の変更及び転居の許可については所定の手続を行った上で転居をさせておりまして、手続上の問題についてはなかったというふうに承知をしているところでございます。
その後の状況としては、いずれも本来の期間というもの、退所予定日については、しっかりとそこまで保護観察が継続されていたということでありますので、特に問題は発生していなかったというふうに承知しております。

○森まさこ君 ありがとうございます。
先ほどの再犯の方に関する報道がこの八月三十日にあったものですから、ちょうど三か月前で、震災から五か月後なので、震災直後に出た方が再犯したのかなというふうに住民の方は思っているわけなんですよ。そこを大臣が今そうじゃないんだということを言っていただいたので、それは分かりました。
ただ、この福島市というのは避難地域でありませんし、当初、一時的にガス、水道が止まったのは皆さん、住民、一緒なんですね。それでなぜ決まっている退所期間よりも早く出してしまうのかなというのは疑問があります。
この退所時期というのは決まっているわけですよね。そして、それを変更する手続には問題なかったとおっしゃいましたけれども、決める方は誰で、そしてその変更手続というのはどういうふうになされるんですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほどの特別遵守事項の変更、転居の許可についての手続については、保護観察所長が決定権を持って実施したということでございます。

○森まさこ君 保護観察所長が変更についても決めるということですか、答弁ください。

○国務大臣(平岡秀夫君) 御質問のとおりでございます。

○森まさこ君 先ほどのいわき市の検察の問題もそうですし、この問題もそうなんですが、災害時はこういう問題に直面するものだと思います。ただ、これ、逮捕された者や刑務所を出所された方が災害時にいろいろな状況によってまた社会内に出るというときに、やっぱりそこもきちっと社会が受け入れていけるような工夫が必要なんじゃないかなと。やはり、通常の住民も大変混乱している中ですので、その中で再犯が犯されたり治安が悪化することがないように、今後その部分は検討していただきたいと思うんです。
そのために、前回も質問しましたけれども、地方検察庁のいわき支部が震災直後に避難地域でないのに郡山に移転をして、移転をする前提にその十二人の方を処分保留で釈放してしまったということについて、何らかの責任者の処分をなされたのか、そして、今後そのようなことが起きないように、その中の方が一名再犯を犯されたということですけれども、そういうことがないようにどのような指示なりを大臣がなされたのか、お答えください。

○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほどちょっと私の答弁、訂正させていただければと思うんですけれども、特別遵守事項の変更というのは、所長が決定するのではなくて、保護観察所長が申し出て、地方更生保護委員会が決定をするということでございますので、そこの点だけちょっと訂正させていただきたいというふうに思います。
そこで、今、福島地検のいわき支部の閉庁の問題についてでございますけれども、この問題についての状況というのはこの委員会でも御説明したとおりでございます。いろいろと住民の皆さんに不安を与えてしまったり、あるいは再犯が起こってしまったりというようなことに対しては我々としても大変残念であったというふうに思っておりまして、これについては皆さん方にもいろんな御不信の念を抱かせたということで残念であったというふうに思っておるところでございます。
そこで、処分のお話でございますけれども、これもるる御説明申し上げたような事情で閉庁あるいは釈放ということをしたわけでございます。事情を聞いてみればそれぞれ相応の理由があったというようなことで、職務上の義務に違反したとまでは認められないということで、国家公務員法上の処分を行うということは行っておりません。
しかしながら、この点については、先ほど来から申し上げておりますように、地域の住民の皆さんに疑問を抱かせ不安を与えてしまったこと、あるいは関係機関との連絡調整が不十分であったことについては反省点が認められるということだと思います。この点については、既に上級庁からいろいろな形での指導が行われているということでございます。
例えば、五月九日には、仙台高等検察庁の検事長から福島地検の検事正に対して、関係機関や上級庁との緊密な連絡調整に努め、対処に万全を尽くすように指導をしたところでございますし、この問題を踏まえて、私自身も、検察長官会同において訓示でも述べさせていただきました。昨日も、検察長官会同での会合の場面でも、国会でこういう厳しい指摘もされているということをしっかりと認識をした運営を努めてほしいということについても申し上げさせていただいたということでございます。

○森まさこ君 大臣がお話しになった訓示というものを今言っていただけますか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 九月の二十八日の検察長官会同におきましての私の訓示でございますけれども、これは私が、何の事情だったかちょっと記憶にはないところなんですけれども、何らかの事情で出席ができておりません。滝法務副大臣の方から代読するという形で行わさせていただきました。
本年三月十一日、我が国は東日本大震災に見舞われました。現在、国を挙げて一日も早い復旧復興に努めているところですが、そのためには、国民が安心して安全に生活できることが大前提となります。検察においては、震災後の混乱に乗ずるような犯罪については厳正に対処するとともに、今回の経験を生かし、非常時の危機管理に万全を期していただくようお願いいたしますということで述べさせていただいているところでございます。

○森まさこ君 いや、大臣、今のは、訓示をされましたというので念のためと思って読んでいただいたんですが、それじゃ全然現場の方、分かりませんよ。地検が場所を移してしまう、避難地域でないのに移してしまった、その前に十二人も釈放してしまった、釈放した中から再犯者も出たということ、全く伝わってないですよね。
もし、これ今後ほかの地域で同じ状況が起きたらどうするんですか。私は大臣からきちっと書面で通達なり出していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) この委員会でもるる議論がされています。どういうところに問題があったのか、反省すべき点はどこなのか、そして委員の方々からもどういう指摘があったのか、この点についてはしっかりと文書で通知をしていきたいというふうに思います。

○森まさこ君 文書で通知をしていただけるという御答弁を得ましたけれども、是非、今みたいなもう抽象的な、緊急時の状況においては厳正にしますみたいなことのないように、具体的に指示をしていただきたいと思います。
次に、被災地における就労支援についてお伺いをしますけれども、刑務所出所者の再犯防止のために、今回の法案で早く出てくる場合があると。そのときに、その就労先を確保して生活を軌道に乗せることが何よりも重要になりますけれども、現在、被災地域の雇用情勢は極めて厳しい状況です。厚労省の調査でも、岩手、宮城、福島三県で失業して雇用保険の失業手当を受けた人のうち、受給中に新たな職を見付けられず期間を延長した人が九月末現在で約一万二千七百五人に上っています。昨年の九月末の約四倍となっていることが明らかです。被災地での再就職の難しさが改めて浮き彫りになっています。これは一般の住民の方なんですよ。そこに、そのような被災地域に刑務所の出所者の方が出てきて就職できるとお考えですか。それが本当に私は非現実的なことだと思っているんです。
それなのに、今回の法案に当たって、政府の犯罪対策閣僚会議がこの被災地について、震災後の平成二十三年七月に出しているんです、対策を発表しているんです。被災地域においては、保護観察官が対象者との面接をして、就労支援などの応急的な体制を整備し、被災により大きなダメージを受けた保護観察処遇の体制を再構築すると書いてあるんです。
そしてさらに、被災者を対象とした就労支援メニューの積極的な活用をして、被災地域の刑務所出所者等の就労先を確保するというふうに言っているんですけれども、被災者を対象とした就労支援メニュー、これ一般の住民を方とした就労支援メニューがあります。だけど、それをやっても、先ほどのように、もう昨年の四倍となる失業者が、延長者が出ているというぐらい大変厳しいんです。その一般住民を対象とした被災地の就労支援メニューを積極的に活用してこの刑務所出所者の就労を確保しますというのはおかしいと私は思うんですけれども、非現実的だと思うんですけれども、大臣、この平成二十三年七月の政府の犯罪対策閣僚会議のこの対策、これは二十六日に閣僚会議で報告されています、犯罪対策閣僚会議でね。これは非現実的だと思いませんか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 確かに、委員がおっしゃられるように、被災地においては一般の方々の雇用確保も大変厳しい状況にあるというふうには思います。ただ、だからといって、被災地の刑務所出所者等の就労の問題について何もできないというような状況で推移していくわけにはいかないというふうにも思っております。
我々としては、現在、刑務所出所者等について、これは全国的な話ではありますけれども、刑務所出所者等総合的就労支援対策ということで就労支援を実施してきているわけでありますけれども、被災地三県については今年度の第三次補正予算に更生保護被災地域就労支援対策強化事業というものを予算として計上させていただいております。これは三県で合計いたしまして約二千二百万円でございますけれども、この事業では、矯正施設在所中から就職後の職場定着に至るまで、専門家による継続したきめ細かな支援等を民間法人に委託して実施するものという位置付けになっておりまして、現在、この民間法人の契約をすべく、委託契約という形で契約をしてまいりますけれども、その作業に取り組んでいるところでございます。

○森まさこ君 刑務所出所者の就労支援について、何もしないでいるわけにはいけないというのはそのとおりなんですよ。だけど、私はこの法案を施行したら更に刑務所出所者が、早期に出てくる方が増えると思っているから、やはりこのような時期にやるのは非現実的なんじゃないかと。それは一生懸命にお仕事を探してあげたいですけど、現実にお仕事ないんですよ。これから増えていくとしたら、土木、建築、そして福島県の場合は除染です。それが仕事になっていくと思います。
除染についてちょっと聞きたいんですけれど、除染について、今環境省が除染ボランティアというのをやっています。私は、これは大変問題であると思っています。やはり除染をするんであればきちっと仕事にして、被曝等に関しても保険を掛けて、そしてちゃんと対価を払ってするべきではないかと思っているんですけれどもね。
法務省は、この法案がもし施行されたら、この刑務所出所者の方の社会貢献活動の中に除染活動というものを考えていらっしゃいますか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今の御質問に答える前に、先ほど委員の方から御指摘があった就労の支援の話ですけれども、現在、大変厳しい状況にあるということで、二十三年度補正予算に先ほど申し上げたような予算を計上させていただきました。
ただ、この法案をこの時期に作るということがより就労困難な人を増やしてしまうんじゃないかというような御趣旨の質問に対して言えば、これは施行までに三年間の準備期間があるということと併せて、先ほど申し上げましたように、そこから一部執行猶予の判決を受けた人が刑の一部を勤め、そして一部執行猶予という形でいろいろな保護観察を受けていくという、そういうことを経て就労ということになっていくだろうというふうに思いますから、ある程度の時間が、五年とか六年とかというような時間がたったところで本当の意味での就労の必要性というものが出てくるんではないのかなというふうに思います。そのときには、期待として言えば、やはり復興についての集中的な期間が進んでいるときで、就労の機会というものも増えてくるということを私たちとしては期待をしたいというふうに思っております。
それから、今御質問の除染の件でありますけれども、我々のこの社会貢献活動というものについて、まず一般的に言えば、保護観察対象者に保護観察の特別遵守事項として義務付けられるものであるということを考えますと、専門的知識を要する活動とかあるいは作業に危険を伴うような活動というのは、活動内容としては適当ではないというふうに考えております。これはまず一般論です。
そこで、除染活動について言えば、先ほど委員の御指摘のように、ボランティアでやられている方々もおられるということなので、いろいろな形態のものがあるんではないかというふうに我々も考えてはおりますけれども、自発的意思に基づくボランティア活動と特別遵守事項として義務付けて行わせる社会貢献活動とは必ずしも同列に考えることはできないというふうに思っておりまして、委員御指摘の除染作業については、社会貢献活動として実施することについては慎重に検討すべきものというふうに考えているところでございます。

○森まさこ君 今、専門的知識と作業に危険を伴うと言ったじゃないですか。何でそれで政府はボランティアを募集してやらせているのか。昨日も、読売新聞に実際にそのボランティアに参加したルポがありましたけれども、大変私は問題だと思っていますので今の質問をしましたが、大臣は考えていらっしゃらないということでした。
最後の質問ですけれども、松本参考人が、薬物の依存症、これが治療している病院が大変少ないので、診療報酬のかさ上げが考えられないのかというふうにおっしゃいましたけれども、厚労省の方で御答弁をお願いいたします。

○政府参考人(唐澤剛君) お答えを申し上げます。
松本先生の御指摘がございましたように、前回、平成二十二年に告示されました診療報酬改定におきましては、重度のアルコール依存症の治療に対しまして入院医療加算が設けられました。
今回議題になっております薬物依存症の患者さんでございますけれども、やはり計画的で細やかなケアを必要とする方々でございますので、私どもといたしましても、こうした精神科医療の在り方につきまして、中央社会保険医療協議会での専門家の御議論、また診療現場の先生方の御意見を踏まえつつ、患者の皆さんに適切な医療が提供されるように検討してまいりたいと考えております。

○森まさこ君 ありがとうございます。
以上で終わります。

○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。前回に引き続き、質疑をさせていただきます。
まず、前回もお伺いをいたしましたけれども、本法案の立法趣旨、提案理由でございます。
例の諮問の第七十七号、被収容人員の適正化を図るとともに、犯罪者の再犯防止と社会復帰の促進という、そういう諮問にもかかわらず、提案理由は再犯防止と社会復帰という、この収容人員については捨象しているというような状況で、ちょっとそれは違うんじゃないのかという角度から質問をさせていただきました。
おとといにこの委員会で参考人の方々においでいただきまして、参考意見を聴取をさせていただいたわけでございますが、刑事政策の藤本参考人、非常に刑事政策として予算面も含めて幅広で物を見ておいでになる先生でございましたけれども、ちょうどこの諮問出てきたときは非常に過剰収容という問題があったということでございますが、それは、バブル崩壊してから五年、六年たって、平成の八年、九年、十年ぐらいからずっと被収容者が増えてくるんだと、このときは、諮問出したとき、もう非常に過剰収容が問題化していた、そういう時期ですと。そこの経済が悪化していくことと、この収容人員が増えてくるというところにはタイムラグがある、大体五年、六年だと、そういう御意見でございました。
そこで、私から御意見をちょうだいしたんですが、リーマン・ショックがあった、そして今超円高で大変厳しいデフレ状況だと、そうすると三年、更にこの法案が準備期間が三年だと合計六年だと、これ施行されるころちょうどまた収容人員が増えてくる、そういう時期に当たるんではないのかなと。そうすると、この諮問のとおり、やっぱりこの被収容人員の適正化ということもきちっと提案理由で述べておく必要があるんではないのか。なぜこれを捨象して、再犯防止あるいは社会復帰の促進、まあきれいですよ、非常にきれい事といいますかね、それだけで喫緊の課題になるんですかね。
是非この適正化ということもやっぱり正面から掲げて、刑事政策上の施策として配慮していくべきじゃないですか、大臣。

○国務大臣(平岡秀夫君) 私も参考人の皆さん方の発言あるいは質疑応答も見させていただきました。
藤本参考人が、今委員がおっしゃられたように、経済の流れによってこれからの収容人員の状況も変わってくるであろうと、そのために今準備しておくことが大事ではないかというような答弁もされておられたと思いますし、川端参考人もこの収容状況の改善ということが法制審議会の中でどういうふうに議論されたのかということについてもお話をされておられたというふうに思います。
そういう状況の下で、我々としては、確かに諮問では被収容人員の適正化を図るという観点も申し上げておりますけれども、犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進するという観点というものから、社会奉仕を義務付ける制度の導入の当否、中間処遇の在り方及び保釈の在り方など刑事施設に収容しないで行う処遇等の在り方等について諮問するというふうな形での諮問をさせていただいたということでございます。
被収容人員の適正化というのは、犯罪者の再犯防止及び社会復帰の促進と並んで考慮すべき観点の一つではありますけれども、諮問のテーマというのは、刑事施設に収容しないで行う処遇等の在り方であったものというふうに理解をさせていただいております。
そういう意味で、この法案については、そうした法制審議会での議論を踏まえて、社会内処遇の在り方も含めた再犯抑止対策を中心的な課題として検討されたものでありまして、それが長期的視点に立てば、再犯防止によって適正収容の実現につながるものと考えておりますけれども、このような法制審議会における意見を踏まえた内容のものになっているというふうに理解をしているところでございます。

○魚住裕一郎君 それはまあ大臣のおっしゃるとおりですよ。それは部会の中で、こんな収容人員の適正化、要するに予算面のことをわあわあやっていても、部会員の先生方は耐え難いんだと思います。やはりその再犯防止とか社会復帰ということを前面に出して、それで、その結果として適正化になっていくんだという言い方しないと議論できない。だけど、やっぱりそれは建前なんであって、本音の部分もきちっと入れておかないといかぬのじゃないかなと思います。だから、かえってこの諮問七十七の方が本当に正直に出ているなという気がいたします。
何でこんな更に聞くかというと、この建前と本音といいますか、やはり事実にしっかり目をとらまえて対処していかなきゃいけないなというふうに思うからなんですね。
昨日、今日の新聞にも載っておりましたけれども、例の京都刑務所の副看守長の事件がありますね。看守の皆さんというのは、被収容者には先生と呼ばせているわけですよね、大体は、被収容者はずっと。刑務所はまあ犯罪傾向の高い人が入っているわけでありますが、その副看守長がお風呂の温度を高く設定する、四十度のものを七十度に設定して、何か事故が起きたような形にして、その担当職員に対する嫌がらせを図ったと。最後、この浴槽の自動制御盤の液晶パネルを平手で四回たたいて壊したというふうになっています。刑務所はしようがないから防犯カメラ設置して、その副看守長が関与していたことが判明したというわけでありますが、何か看守に監視を付けなきゃいけないような、そういう事態になっているわけですよね。
だから、何というんですか、この副看守長さんは受刑者を何だと思っているんですかね、人間と思っているのかなといいますかね、そんなやけどをさせて、同僚の職員に対する嫌がらせというのはあり得ない話だと思うわけでありますが。そこは、この立場によって、こちらは先生と呼ばれる側だ、そちらは受刑者だみたいな、やっぱりしっかりその事実、リアリズムを持って見て対処をしていかなきゃいけないと思いますが、ちょっと今引用しましたので、これ、この副看守長、どうしているんですか、処分は。

○国務大臣(平岡秀夫君) お尋ねの事案につきましては、御指摘のあった職員に対しては、先月二十九日付けで減給一月、百分の二十の懲戒処分とされているというふうに承知しております。

○魚住裕一郎君 まあ刑務所は特殊な社会ですから、前にも名古屋だったですか、受刑者に、ホースでおしりを洗って亡くなってしまったというのがありましたけれども、そういうのがぽつぽつ出てくるんですね。本当にこの施設内処遇が大事だ、そして社会内処遇も大事だというふうに言っている中で、まず看守の先生方の再教育というか、これを図っていくべきだと思いますが、ちょっとその点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員の御指摘になったところは、私もまさに同じような問題意識を持っております。というのも、私が大臣に就任してから、やはりいろいろな職員の不祥事の案件が報告として上がってまいります。そういう中で、やはりこの刑務官の人たちの不祥事というのは、それなりに数としては私は多いんではないかと。
どうしてこういう状態になっているんだろうかということを私もちょっと疑問に思っておりまして、実は先日、矯正当局に対しまして、その原因はどういうところにあるのか、あるいは風通しのいい職場をつくっていくためにはどうしたらいいんだろうか、職員が持っているいろいろな不満なりあるいは困っている点というものをしっかりと把握していくためにはどうしたらいいんだろうかと、そういう問題意識をしっかり持って、職員の人たちからもしっかりと話を聞いて、こういう不祥事が少しでも減る、根絶をしていきたいとは思いますけれども、少しでも減らしていくためにはどうしたらいいんだろうかということをみんなで考えてほしいということについて指示をさせていただいたということでございます。

○魚住裕一郎君 今、沖縄の防衛局長の話が大きな話題になっておりますけれども、事は受刑者という、とらわれて、それで命にかかわるところにいるわけですから、単に更迭すればいいという話じゃないわけで、そこのところはしっかりやっていただきたいと思っております。
続きまして、本法案の関連で、前回も御指摘を申し上げましたけれども、知的障害や高齢という事情を抱えて社会と刑務所を行き来するというような人たちが増えてきているという状況にございます。特に、高齢者の再入所者の状況を詳しく見ていきますと、入所二回目以上の舞い戻り組ですか、ここ二十年ほどで六・五倍に増えていると。ですから、蓄えや身寄りもなくて、無銭飲食を繰り返して刑務所に入ってくると。ほとんど刑務所が老人ホーム化しているという、そういうような指摘もあるわけでございます。
また一方で、服役時に受刑者が受けるテストで、知的障害を疑われる知能指数七〇未満の新受刑者数も大体二三%というふうに報道されておりまして、服役二回以上の知的障害者を対象にした調査では、六割が前回の服役から一年未満で再犯に至っていると、こういうような状況にあるわけですね。
今回、再犯防止を掲げておりますけれども、初入者に該当しないような累犯の高齢者や知的障害者、この対象外にしてしまっているわけですね。参考人の山下参考人、まずここから第一歩ですというふうにフォローしてくれているわけでございますけれども、大臣、高齢者とか知的障害者のこの深刻な状況、どういう問題意識を持っておいでになるのか、また、その知的障害者、高齢者の累犯者、どういう再犯防止策を進めていこうとお考えなのか、大臣の問題意識と御見解をお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘になられた高齢の刑務所出所者、あるいは知的障害を有する刑務所出所者につきましては、社会復帰に著しい困難があり、さらには再入者、刑務所にまた入ってくる人の割合が高く、これらの人たちに対する円滑な社会復帰、そして再犯防止に向けた取組を推進していくことは極めて重要な問題であるというふうに認識をしているところでございます。
こういう状況を踏まえて、法務省としては、保護観察所において高齢又は知的障害により特に自立が困難な人たちにつきまして釈放後に必要な福祉サービスを受けられるよう、都道府県が設置しております地域生活定着支援センターと連携してその調整に努めてきているところでございます。
また、刑務所においても、保護観察所と緊密に連携しつつ、釈放後に福祉サービスにつなげるための調整を実施するほか、健康管理の重要性や社会福祉制度等を理解していただくための指導や、一部のPFI刑務所において専門スタッフによる処遇を行うことを取り組んできているところでございます。
まだまだいろいろな努力をしなければならないという御指摘だというふうに思いますけれども、我々としても、今後とも高齢又は知的障害により自立が困難な刑務所出所者の方々の円滑な社会復帰及び再犯防止に向けまして、関係省庁とも連携の上、取り組んでまいりたいというふうに思っております。

○魚住裕一郎君 今大臣が御答弁の中で出ました地域生活定着支援センター、これについてお聞きしたいと思いますが、厚生労働省さん見えていると思いますが、これは今の、現在の設置状況はどういう状況なんでしょうか。
また、昨年度であれば、センターが支援した出所者は何名ぐらいで、そのうち受入先が決まった者は何名で、大体内訳どんな状況になっているのか、御報告をいただきたいと思います。

○政府参考人(山崎史郎君) お答え申し上げます。
御指摘の地域生活定着支援センターでございますが、現在四十五の都道府県で設置されてございます。また、支援の活動内容でございますが、平成二十二年度におきましては延べ六百五十三名の方の支援を行いました。その中で、二百六十一名の方は受入先等に帰住されましたが、残りの方々についてはまだ支援継続中と、こういう状況でございます。

○魚住裕一郎君 支援された方、半分以下という状況ですね、この受入先が決まったということでございますが。
大臣、そういう状況の中で、先月の半ばの新聞記事でございますけれども、刑務所が出所予定者の情報をセンター側に連絡する時期が遅いと、こういう指摘が、これ日経ですかね、あったということでございまして、大体出所するのは分かるはずなのであって、この保護観察所への伝達の時期、期限、まず決まっているんでしょうか。ちょっとその辺の説明をお願いをしたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) まず、一般論としてどういうふうにしているのかということについて御説明を申し上げたいと思いますけれども、保護観察所は、矯正施設と連携をし、地域生活定着支援センターあるいは地方公共団体の福祉関係部局等々の協力を得まして、連絡協議会というものを随時開催をしているところでございます。
連絡協議会につきましては、関係機関から、例えば福祉施策の取組の状況や各種社会支援の状況、矯正施設の収容動向、更生保護制度の運用状況等についての説明や具体的な課題にかかわる協議等を行いまして、関係機関との相互理解の促進及び連携体制の構築を図ってきているということでございます。
先ほど委員が御指摘になられましたセンター側に連絡をする時期については、矯正局の方から全国の刑務所の方に事務連絡をさせていただいておりますけれども、このように申しております。地域生活定着支援センターが公共の衛生、福祉に関する機関等と調整を行うための期間を確保する必要があるため、保護観察所の長が特別調整対象者として選定する時点で可能な限り出所又は出院までの期間が六か月以上確保されるよう、特別調整候補者の選定時期について配意することというふうに連絡をさせていただいているところでございます。

○魚住裕一郎君 是非、その辺よろしくお願いしたいと思いますが、もう一方で、受入先が決まらないということは、やっぱり犯罪者だということで断るというケースもあるだろうと思います。
これは、兵庫県が二〇〇九年に県内の知的障害者施設を調査したところ、回答した百三の施設のうち、出所した障害者を受け入れた経験があったのは十三だけで、四十五施設は対応が難しいという、そういう理由で受け入れられないと答えたということでございます。やはり受入れの受皿となる施設側の理解を促していくということが本当に大事だと思っておりますが、今後、法務省また厚生労働省として、このスムーズな受入れを促進するために施設等にどのような働きかけあるいは支援を行っていく必要があると考えているか、両省にお聞きしたいと思います。

○政府参考人(山崎史郎君) お答え申し上げます。
委員御指摘の点、大変大事だと考えておりまして、地域の社会福祉施設におきまして、刑務所の退所者に対する理解を十分深めてまいりたいと考えております。現在、地域生活定着センターを通じまして普及啓発を行ってございますが、さらに、厚生労働省としましても、積極的に社会福祉施設に対しましてこの趣旨について普及を図ってまいりたいと思いますし、また、福祉施設入所後の定着という点もフォローアップを強化充実してまいりたいと、このように考えている次第でございます。

○魚住裕一郎君 法務省はいないの。

○国務大臣(平岡秀夫君) 法務当局の方がいないようでございますので、私から答えさせていただきたいというふうに思いますけれども、今厚生労働省の方からもいろいろなお話がありました。とにかくよく連絡をし、そして、この必要性についてもよく理解していただくことがまず我々としてはやらなければならないことだというふうに思いますので、連絡協議会を通じてしっかりと意見交換、相互理解の促進を図ってまいりたいというふうに思います。
特に、この連絡協議会につきましては、地方公共団体の福祉関係部局等との関係も大変重要だというふうに思いますので、そうした部局に対しても働きかけを行いまして、それによりまして、受入先となる福祉施設等の一層の理解と協力が得られるように今後努めてまいりたいというふうに思います。

○魚住裕一郎君 それで、これ、支援センターは厚生労働省の全額補助で都道府県が設置するという仕組みでございますけれども、補助金が額が少ないといいますか、四人の職員で運営をしているということのようでございます。新聞報道によると、大体職員一人当たり常時三十人ほど受け持つというセンターもあるようでございますし、近距離の移動は自転車を使って経費節減を努めているということで、人も予算も全く足りないと、面会の時間もままならないという、そういうことが報じられました。
やはりその部分、充実させていくといいますか、予算上の措置もやっぱりしっかりやらぬといかぬのじゃないですかね。ちょっと現在検討していることがありましたら、お伺いをしたいと思います。

○政府参考人(山崎史郎君) お答え申し上げます。
センターの業務、これの円滑な遂行を私どもとしましても是非とも支援してまいりたいと考えております。例えば、一つはセンター一か所でやるというケースもございますが、センター同士の横の連携といったようなことの促進もございますし、加えまして、委員御指摘の予算に関しましても今後とも必要な予算の確保に引き続き努めてまいりたいと、このように考えている次第でございます。

○魚住裕一郎君 それと、高齢者、知的障害者を中心にお聞きしておりますけれども、やはり施設の中にいるうちに、出たら、その中における専門の教育プログラムも必要だと、またやっておいでになると思いますけれども、福祉関係についてもしっかり教えておくということが必要ではないかと思うんですね。
といいますのは、出てからよく福祉制度というのを十分理解できないで、そのまま支援センターによる支援を自ら拒んでしまうという、そういう受刑者もいるようでございまして、やはり早い段階から知っていてもらうということが非常に大事ではないのかなと。
この点、長崎刑務所ですか、センターやあるいは保護観察所、そういう協議会の中で、出所後の福祉制度、生活の仕方を受刑者に伝えるという独自の教育プログラムを始めたというふうに報じられましたけれども、この点ちょっと説明と、それから、やっぱりこれ、いいことなので全国に波及させるべきだと考えますけれども、大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘いただいた長崎刑務所の事案については、これから御説明申し上げたいと思いますけれども、今全国的に取り組んでいることとして申し上げれば、円滑な社会復帰を成し遂げるためには、やはり施設内におきまして、健康診断等によりまして疾病の早期発見をしていく、あるいは作業、食事等に関しその者の心身の状況を配慮していく、さらには社会福祉士等を活用した相談支援体制の整備等に努めているところでございます。
それに加えて、先ほど御指摘のありました長崎刑務所においては、出所後の状況というものをしっかりと認識をしてもらうという必要があるということを含めまして、保護観察所あるいは地域生活定着支援センター等の関係機関と協力をいたしまして、出所後の福祉制度や生活の仕方を受刑者の方々に伝えるというプログラムを開始しているというふうに承知をしております。
こうした取組については、我々としても大変有意義、効果があるものだろうというふうにも思います。良好な取組を行っている例としてこれらの情報を全国の刑事施設に提供して、各施設において実施可能なことから取り組むように指導をしてまいりたいというふうに思いますし、関係当局との連携を図りながら、高齢受刑者、知的障害のある受刑者の方々に対する処遇の充実を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

○魚住裕一郎君 もう時間がなくなってきましたけれども、高齢者、知的障害者、いろんなハンディ持っておいでになると思っておりますけれども、このハンディからのリハビリが必要な者も多いのではないかと。
PFIの刑務所ありますね、山口の美祢ですか、そこでは何か一般の受刑者とは区別した特化ユニットというものを編成して、作業療法あるいはリハビリテーションの専門的なプログラムを受けさせて、処置しているというふうに承知しております。
ただ、PFIの刑務所というのは初入者ですから、今議論しているのは高齢者あるいは知的障害者であっても累犯者ということでございますが、しかし、やっぱりそこでも処遇上も配慮していくべきではないかと思いますが、この点につきまして法務当局から説明を伺って、私の質問を終わります。──だから、もう大臣、大臣。

○国務大臣(平岡秀夫君) 済みません、法務当局と言われたものですから、私よりは専門家の答弁を求められたのかなというふうにちょっと思いましたものですから、失礼いたしました。
今おっしゃられたように、PFI刑務所については、今現在四施設あるんですけれども、そのうちの三施設、島根あさひ、それから喜連川、そして播磨の社会復帰促進センターにおきまして特化ユニット、つまり高齢者を含む障害を有する受刑者の方々を対象としたものを設けさせていただいているということでございます。そして、民間の創意工夫を活用しつつ、音読、計算等を実施する知的能力維持向上のためのプログラム、あるいは作業療法を兼ねて行う陶芸、農作業訓練などを実施しているわけでございます。
これらのことを委員が御指摘の高齢受刑者あるいは知的障害のある受刑者の方々に対してしていくということについては、いろいろな、何といいますか、施設の問題であるとかあるいはその指導者の問題であるとか、いろいろな課題があろうかというふうには思いますけれども、やはり冒頭に申し上げましたように、そうした方々の社会復帰等の重要性ということについては我々もしっかりと認識して行動しなければならないというふうに思っておりますので、引き続き検討させていただきたいというふうに思います。

○魚住裕一郎君 終わります。

○桜内文城君 みんなの党の桜内文城です。
先般、当委員会の参考人質疑で六人の専門家等々の方に来ていただきまして、大変勉強になりました。
その中で、まず法務大臣にお聞きしたいんですけれども、この法案をこのタイミングでなぜ出されるのかということでございます。
これは前回のこの委員会でも、私、冒頭に質問したわけですけれども、もちろん、今現在、震災の復興関連の法案が滞っておったりですとか、やるべきことをやらずに、かつ、この法案ですけれども、当初の法務大臣の諮問が過剰収容の解消ということが一番先に来ておったわけですけれども、これが今の現状からいうと趣旨説明からも落ちているような状態。
かつ、もう一つ指摘しておきますと、前回のこの委員会での参考人質疑でも明らかになりましたように、保護司の方から見れば、再犯防止、特に薬物事犯について、保護司なり今の保護観察の在り方では不十分だと、対応できないという非常に率直な御意見もいただいたところですけれども。
そういった中で、保護観察の在り方を今後どうやって考えていくのかという点もきちんと考慮した上でこういった法案を出してくるべきだと思うんですけれども、そういった意味で、なぜこのタイミングなのか。また、諮問からずれたと言ったら失礼ですけれども、そういった、今回の法案の趣旨説明にあったように、それがなぜ今出てくるのか、もう一度大臣にお伺いいたします。

○国務大臣(平岡秀夫君) これは前回の委員会でも御審議をいただいた点ではございますけれども、この法案の基となっております法制審議会の諮問、答申というのは、平成十八年七月に諮問させていただいて、昨年の二月に答申をいただいたということでございます。
我々としては、確かに被収容人員の過剰問題というものについては少しは改善をしてきているというふうには思いますけれども、この再犯の状況について申し上げれば、犯罪者のうち再犯者が占める割合は決して少なくはなくて、平成九年から一貫して上昇し続けているという現状を鑑みますと、犯罪者の再犯防止のための取組というのは喫緊の課題だというふうに思っております。そのための法整備についてはできる限り早く実現する必要があるというふうに考えているところでございます。
先ほど、まだ十分な体制が整っていない中でこの法律を成立させることはいかがなものかというような御指摘もございました。確かに我々も、今の状況ということでは、これは、新しいこの法案に基づく制度というものを導入するということは体制が十分ではないというふうに思っておりまして、この法案の施行期日というものが公布後三年以内あるいは二年以内という、そういう仕組みの中で準備期間を設けさせていただいております。この準備期間のうちにしっかりと体制整備に努めてまいりたいというふうに思います。
この点については若干の御異論もあるかもしれませんけれども、私もかつて役所にいた者としての体験を考えますと、これからこういう法案を作っていくのでこういう体制整備をしてほしいという調整ではなかなか役所全体が動かない。むしろ、こういう法案ができて、もう二年後、三年後にはこういうことになるんだと、そのためにこれをしなければいけないんだという形で、しっかりと前提条件を整えて体制整備をしていくということの必要性というのも私はあるのではないかというふうに思っております。そういう意味で、是非御理解をいただきたいというふうに思います。

○桜内文城君 役所の先輩にこうやって申し上げるのもちょっと僣越かとは思うんですけれども、もし今大臣がおっしゃるように法案を通してからその準備をきちんとやっていくと、これを取っかかりにして予算も含めやっていくというのは一つの考え方だと思うんですが、しかし、そもそもこの法案を予算関連法案にしてしまえば済んだ話なんですよ。そのときに、保護観察の在り方をどういうふうに強化するのか、そこまできちんと法制審で議論して予算とともに出してくるということであれば、こういったタイミングの議論とかしなくて済んだわけですよ。もし来年度予算からというのであれば、このタイミングなので、今お出しになる理由もあるんですけれども、三年後というのを今こうやって、復興関連法案、私も幾つか関与しましたけれども、大変遅れておる中で、政権の対応としていかがなものかということを申し上げておきます。
このタイミングというのにも関係してくるんですけれども、やはり法制審の議論の内容というものを、先般の参考人質疑でちょうど部会長を務められていらっしゃいました川端参考人からるる御説明があったところなんですが、やはりどうなんでしょう、もちろん役所ですので、こういった法制審を回して、それでこういうふうに閣法として立法化していくというプロセス自体は当たり前のことではあるんですが、ちょっと内容的にいかがなものかという点があります。
というのは、川端参考人の御説明の中では、特に諸外国と比べて社会内処遇というのが日本は遅れておるという指摘が何度も出されました。実際、諸外国の実態調査も行って、それに基づいて時間を掛けた議論をしてきたというふうに述べられているわけなんですけれども、一方でこうやって諸外国との比較ということで社会内処遇を増やしましょうというのは一つの方向性であってもいいんですけれども、一方で、先般、私触れました例えばGPSですね、保護観察の実効性あるいは再犯防止ということにとってこういったGPSの装着を義務付けるですとかというものについてお尋ねしたわけですけれども、その法制審の議論では、ここに至ると諸外国との関係というのはなくなって、我が国の国民意識とか文化、伝統との関連でこのGPSを装着させて監視するというのはどうもなじまないというような言い方されているんですね。
元々が今回の社会内処遇を増やすという立法趣旨といいますか、一つの根拠となっておりますのが、諸外国に比べて我が国の社会内処遇が立ち遅れているということを言いながら、一方で保護観察の実を上げる、あるいは再犯防止というのが目的であれば、それをしっかりと行っていくためにこういったGPSも含めて保護観察の在り方というものも議論すべきだったと思うんですけれども、そのGPSなりの議論になってくると我が国固有の理由を言い出す。ちょっとこれ矛盾していると思うんですけれども、大臣、どういうふうにお考えになられますか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 矛盾しているということでは多分なくて、やはりいろいろなことを検討するに当たっては、諸外国でどういうことが行われているのかということについては幅広く調べていくと。ただ、その中で、やはり我が国にとって既存の制度、あるいはこれまでの歴史、あるいは国民意識というようなものがいろいろあるわけでありますので、そういうものに合ったもので、できるだけ導入がスムーズに行われるものを選んでいくというような作業というのは当然にあるのではないだろうかというふうに思います。
そういう意味において、法制審議会の場でも幅広く外国のいろんな仕組みというものを調べ、勉強され、そしてその議論の過程の中で我が国にとって導入しやすいもの、なじみやすいものは何なんだろうかというような御議論をしていただいた結果として今回の答申が作られているというふうに私としては理解しているところでございます。

○桜内文城君 それはどうでしょうか。先ほども別の方の質疑の中で、例えば自立支援センターですか、こういったところで社会内処遇の在り方といいますか、広く言えばこれに該当すると思うんですけれども、我が国の置かれた現状というのを考えるのであれば、この社会内処遇自体をもっと検討すべきであって、かつ、社会内処遇をするのであれば、それに応じた必要な保護観察の仕組みというのを強化していかなくちゃいけないということを申し上げているわけです。
そういった意味で、こういった内容面で、例えばある地方の弁護士会の会長さんなどは、刑法の理論あるいはロジックという意味でいえば、これまでの刑法の大原則である行為責任というものをある種踏み越えていくわけですね。予防刑法といいますか、再犯予防という目的を含めてこういった刑法総則の中に書き込んでいく。そういったところが別に悪いとは言いません。もちろん、立法ですので、立法論としてそういった目的も含めて法整備をしていくというのは一つの方向性だと思うんですが、その中で諸外国の例を見る、これも悪いことじゃありません。であれば、一方の社会内処遇を増やすということだけを言って、保護観察の在り方について我が国になじまないというふうに言っているのが不公平じゃないのかということを申し上げているわけです。もう一度、御答弁お願いします。

○国務大臣(平岡秀夫君) いろいろなことが諸外国で行われているということとして、GPS装置を義務付けている国もあるというふうにも承知しておりますし、あるいはソーシャルファームといったようなことをやっておられるというような国もあるというふうにも承知しておりますし、同じような、この一部執行猶予というようなものと類似の仕組みとしての分割刑であるとか、あるいはドイツで行われているような有期自由刑を一定程度執行した段階で裁判所がまたその残刑を延期をするといったような仕組みであるとか、いろんな仕組みがあるということで検討はされたというふうに思っております。
そういう中で、今回の一部執行猶予制度というものが我が国の裁判制度なりあるいは現在の保護観察制度なりに照らしてみてもなじみやすいし、そして導入も円滑にできるというような視点で答申を出していただいたというふうに考えているところでございます。

○桜内文城君 今の御答弁では納得いきません。
といいますのは、法案の通しやすさということを最後おっしゃいました、納得いただけるんじゃないかという言葉で。むしろ、こういうふうに社会内処遇を増やすというのであれば、しっかりとした保護観察の仕組みを同時に提示してこそ社会に受け入れられるわけですよ。それが不公平じゃないかと、そこがないんで不公平じゃないかということを申し上げているわけです。
続いて、今のに関連してなんですけれども、これからの保護観察の在り方、施行まで比較的期間が、三年以内ということであるわけですけれども、どういうふうな体制なりで検討されていくのか、それについてお尋ねいたします。

○国務大臣(平岡秀夫君) これもこの委員会でお答えしたことがあるわけでありますけれども、現在、薬物処遇研究会というもので、これは精神医療の専門家の方々であるとか、あるいはダルクのような民間の機関であるとか、いろいろな方々に参加していただいて実施しているわけでございます。オブザーバーとしても、厚生労働省あるいは法務省の矯正局とか、あるいは東京都の福祉保健局といったような方々にも参加をしていただいて、いろいろな検討をさせていただいております。
保護観察対象者の増加、あるいは保護観察期間の長期化に対応する専門的処遇プログラムの開発とか、あるいは医療、保健、福祉、薬物依存リハビリ施設等との連携方策について検討を進めておりまして、こういう検討の結果としての保護観察処遇の充実強化を図ってまいりたいというふうに思っております。
さらに、我々としては、関係機関や団体との一層緊密な連携を確保することの重要性に鑑みまして、薬物依存のある保護観察対象者の増加に伴う保護観察官の業務負担などの状況を踏まえまして、保護観察所における処遇実施体制の整備、これは保護観察官を増員をしていくというようなことも含めてでありますけれども、体制の整備、あるいは保護観察官の専門性の向上というものに努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○桜内文城君 いろいろおっしゃるわけですけれども、是非、今回の法制審での答申を出すに至った過程で諸外国について大変調べられたということなんですけれども、諸外国のそういった保護観察に類する制度の中でどういった再犯防止の手段が取られているのか、GPSについてはもう議論済みだよというようなこともなく、幅広に、予断を抱くことなく、是非検討を行っていただいて、この法案が実際に施行されるまでに一定の方向性は出していただく必要があろうかと思いますので、これはお願いと、そして指摘をしておきます。
そして、次にもう一つ、ちょっと理論面ということになるかもしれませんけれども、ややこれまでの刑法の大原則の行為責任ということから一歩踏み出して、再犯予防ですとか、こういった予防刑法的な観点が今回盛り込まれるわけで、これはもちろん理論的にはどうかという意見もあるかとは思うんですけれども、裁判官の判決の裁量の範囲を広げるということで、私はこれはこれで、実際の現場の対応ですとか含め、いいことじゃないかなというふうに考えるところなんですけれども、その場合も、先ほど大臣からも若干御指摘ありましたが、これまでの裁判官の判決を書く実務の中で、どうしても裁判時にこういった刑の一部執行猶予まで刑期を定めて判決を書いていくという訓練がなされていないわけですね。
今回、いろいろと工夫もされておるのも認めますが、例えば、他の情状という文言だけでなくて、再犯防止の必要性、相当性と工夫もされてはいるんですけれども、裁判官の訓練というか、そういったものは、なかなか行政の法務大臣としての立場では言いにくいかもしれませんけれども、何かしらやはり対応が必要だと思うんですけれども、その辺についてはどのようにお考えになりますでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 我々としては、この制度を導入するに当たって、裁判所に与える影響あるいは裁判実務に与える影響というようなことも当然考え、そして、いろいろな情報を収集した上でこの制度を提案させていただいているということでございます。
まずは裁判所の負担といいますか、裁判官が適切に判断することができるのかという観点から申し上げれば、今回の仕組みというものについては、刑の量定に当たりましては、被告人に対し刑事責任に見合った刑を科すという観点、そして被告人の再犯防止、改善更生を図るという観点が重要な判断要素となっているわけでございまして、刑の一部執行猶予の言渡しにおいてもこれらの二つの観点が重要な判断要素となって刑の量定が行われるということになるわけであります。
しかしながら、この一部執行猶予の判決につきましては、刑期としては三年以下の懲役、禁錮という上限を設けておりまして、刑の執行後に社会内処遇を行うことの当否、あるいは社会内処遇のための期間はどの程度のものが相当かについての予測的判断がある程度できるようなものに限定をさせていただいているということでございます。
さらに、こうした一部執行猶予の言渡しがなされるべきか否かということが問題となる事案の審理では、検察官そして弁護人が、事案の内容に応じて、被告人の生活状況、監督者の有無やその見通しなど関連する情状事実を主張し、立証することになるというふうに考えておりまして、裁判所においては、必要な事実関係を基に刑の一部執行猶予をすべきか否かを判断することができるというふうに考えているわけでございます。
当然のことながら、我々としてはこう考えておりますけれども、裁判所の方においても適切な判決が出されるように、しっかりとした準備あるいは研修、そういったものもしていただけるものと期待をしているところでございます。

○桜内文城君 時間ですのでこれでやめますが、最後に、今回の再犯防止という目的を達成できているかどうか、大分先の話にはなりますけれども、やはりしっかりと検証をしていただきたいと思っております。
それについて、最後、前向きな御答弁をお願いできれば幸いです。
これで終わります。

○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほど森委員の方からも、検証はどうしていくのかというお話がございました。
この制度が導入されましてどういう効果が上がるのかということについては、先ほど申し上げたように、準備期間もありますし、さらに、事件の裁判、そして一部刑の執行、そして一部執行猶予、それから社会というような、そういうある程度の時間がたたないと、なかなか検証できるだけの材料がそろってこないという点はあろうかというふうに思いますけれども、我々としては、できる限りそうした事案を把握し分析した上で、この委員会等において検証するための材料が必要だというときには、しっかりとしたそういう材料が提供できるように、これからもそういう体制をつくってまいりたいというふうに今思っておりますし、必要に応じてまた御報告もさせていただきたいというふうに思います。

○桜内文城君 終わります。

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
法案に入る前に、昨日あった再審開始決定に関連して大臣にお聞きいたします。
一九八六年に福井市で発生した女子中学生殺人事件で殺人罪が確定して服役した前川さんが行った再審請求に対し、昨日、名古屋高裁金沢支部が、判決に合理的な疑いが生じたとして再審開始を決定いたしました。
決定的だったのは、この再審請求審で、検察官が隠していた手持ち証拠が弁護団の努力もあって多数出てきた。それを見ますと、この検察ストーリーに合わせて関係者の目撃供述を変えさせたことが浮き彫りになっておりますし、また、この検察が開示した遺体の解剖写真からも凶器の判断に合理的疑問があるとされております。
改めて検察の取調べの在り方を問いただしているわけでありますが、検察が反省をして、この異議申立てを行うことなく、速やかに再審が開始されることを強く求めておきます。
その上で、大臣、やはりこれは全過程の可視化と証拠の全面開示ということの必要性を改めて浮き彫りにしたと思うんですね。先日、国民救援会、自由法曹団、全労連の皆さんと申入れもしたわけでありますけれども、改めて、この取調べの全過程の可視化、そして証拠の全面開示の問題、私はこのことが改めて必要性が浮き彫りになっていると思いますが、まず大臣の所見をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 個別の事件の問題についてはちょっとコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思いますけれども、従来から取調べの可視化については、我々もその必要性については十分認識しているつもりでございます。しっかりと取り組んでいきたいというふうに思いますし、証拠の開示の問題も、せんだって井上委員の方からも御指摘がございました。法令にのっとって適切に証拠の開示が行われるということも、検察の基本規程の中で法令の遵守ということを明記させていただいておりますので、その趣旨にのっとって適切に対応するということを私としては期待をしております。

○井上哲士君 公判前整理手続が行われるようになって証拠がかなり出るようになったということは、ここでも議論がありました。それでも極めて不十分だということをいろいろお聞きするんですが、少なくとも、今この再審が問題になっている事件というのはそういうことが行われる前のことなんですね。再審請求をしても、なかなか弁護団が言っても証拠が出てこないということで、大変困っているわけですよ。少なくとも、こういう事件についてはもう証拠隠滅のおそれもないわけですから、再審請求のものについてはこれ速やかに全面的に開示をするということが、これはもう直ちに行われてもいいと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) あくまでも法令に基づいて適切に対処していくということを私としては期待いたしたいと思いますけれども、個々の案件についてこれはどうだああだということについては、私の方からはコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

○井上哲士君 この間、同じようなことが繰り返されているわけでありまして、少なくとも、繰り返しますが、再審請求のものについては速やかに出させていくと。それがあれば、もう十年、二十年なんということを繰り返す必要ないんですね。まさに人権が懸かっているわけでありますから、この点強く求めておきます。
そこで、法案に入りますけれども、まず前回質問の答弁に関連してお聞きします。
一部執行猶予制度の下でも仮釈放制度の運用は変えないという答弁がありました。ちょっと意味が分かりにくかったんですが、この一部執行猶予中の者が例えば特別遵守事項を守らなかったというような理由でそれが取消しになって実刑に戻ったという場合であっても、その実刑期間中に仮釈放がされることはあり得ると、こういうことで理解してよろしいでしょうか。

○政府参考人(青沼隆之君) 委員お尋ねの、一部執行猶予期間中に再犯をするなどで執行猶予が取り消されて矯正施設に再び収容がなされた場合におきましても、仮釈放の要件を満たせば仮釈放は許されると、こういうことでございます。

○井上哲士君 はい、分かりました。
次に、更生保護の体制強化の問題です。
各委員からも繰り返しこの問題が出てきたわけですが、この間の答弁で、大体、一部執行猶予制度の導入で年間三千人前後増える可能性があると、保護観察対象者が、そういう答弁がありました。
現在の全部執行猶予と比較してより刑責が重くて処遇の必要性が高い対象者が増えるということもありますし、薬物犯などに必ずしも専門的知識のあるわけでない保護司の方が対応するのも困難な事例が多いと思います。それから、薬物プログラムの対象者などは観察官が個別に対応する必要もある。それから、この観察期間が非常に長い、最長五年ということになりますと、更に人が増えていく。それからあと、社会貢献活動の対応にもこれ大変人手が要るんですね。水戸の保護観察所で試行していますけれども、ここは社会貢献担当官というのを保護観察官の中に置いているということをお聞きしました。そういう点でも相当の増員が必要かと思います。
それぞれ各会派からもこの求めがあったんですが、二〇〇六年の更生保護のあり方を考える有識者会議の提言でも、現場の第一線において保護観察事件を担当する保護観察官の数を少なくとも倍増する必要があると、こういう提言がされているわけですね。にもかかわらず少ないわけですから、私は、今回、この制度導入でいいますと、これまで以上の決意を持ってやらなければ必要な人員確保はできないと思うんですが、そこの御決意と計画について、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) この保護観察官の増員の問題については、この委員会でもいろいろと御議論、御指摘をいただきました。私たちも、できる限りの増員を図っていかなければ今の状況に対応するということについてはかなりの困難があるという思いで増員に取り組んでいきたいというふうに思っております。
実は、これまでも保護観察所の組織体制を変えていく、この前もちょっと申し上げましたけれども、課制を専門官制にするというようなことで、既存の職員ができる限り保護観察の処遇業務にも従事できるようにするというような工夫も行ってまいりました。その結果としましては、平成十八年当時の保護観察官数が六百五十人であったものが、平成二十三年度には管理職を除きまして九百五十人というふうにかなり増加をしてきているということでございますし、平成二十三年度もたしか六十余名ぐらいの増員を実現し、そして平成二十四年度の概算要求では六十二人の増員を要求しているということでございます。
ただ、これ残念ながら純増ということじゃなくて、これに計画定員削減というものがかぶさってまいりますものですから、かなりまた純増という意味では減ってくるわけでございますけれども、我々としてもできる限りの増員を図ってまいりたいというふうに思っております。
せんだって、たしか魚住委員からだったと思いますけれども、今後どうするんだ、計画が何もないじゃないかというようなこともありましたものですから、ちょっと部内に持ち帰りまして、そういう御指摘を踏まえてどんなことが考えられるのかということで、いろいろ議論をさせていただいております。
ただ、こういう厳しい財政事情、定員状況でございますので、向こう三年間、四年間の計画的な増員ということを言える状況ではございませんけれども、我々としては、そういう状況もにらみながら、しっかりと計画的に増員が図れるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

○井上哲士君 この有識者会議の提言は、制度を動かすのは人であり、いかに制度が完備していても、運用に人を得なければ十分には機能せず、死せる制度になってしまう、その意味で、保護観察官の採用及び育成は極めて重大な課題であるということを強調しているわけでありまして、是非これに基づいて一層の増員に努力をしていただきたいと思います。
かつ、専門性の向上ということも必要になると思うんですね。これまで覚せい剤事犯の処遇プログラムは五回だけでありますけれども、今後これ五年間の保護観察期間ということになりますと、相当長期のプログラムも薬物犯用に必要になってくると思います。そういうことも含めた新しいプログラムをどのように検討をしていくのか、そしてそれを実施する保護観察官の専門性の向上についてどのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(青沼隆之君) 委員御指摘のとおり、一部猶予制度の導入によりまして保護観察期間が長期化するということが見込まれるため、それに応じた専門的な処遇プログラムを開発するということとともに、実施後のフォローアップにも配慮する必要があると考えております。
今回の審議でも出てまいりましたけれども、ただいま薬物処遇研究会というのを開催しておりまして、これに対応できるような専門的な処遇プログラムの開発とフォローアップも含めた地域支援の在り方について検討、協議を現在続けております。今年度中にはある程度の案を作り、来年度以降、新たなプログラムと地域支援の連携方策についての試行、検証を行った上で、施行までの間に更なる検討をしてまいりたいというふうに考えております。
それから、専門性の向上という点についてでございますけれども、従来から、当局の方では保護観察所で覚せい剤事犯者の処遇プログラムを現実に行っておりまして、その過程で必要な処遇技法に関する研修を実施するなどして、処遇に当たる保護観察官について一定の専門性は確保してきたところでありますけれども、さらに、二十四年度からは国家公務員採用試験の専門職試験の一つとして法務省専門職員(人間科学)採用試験が新設されることになっておりまして、今後、保護観察所職員はこの専門職試験の保護観察官区分の合格者を中心に採用することを予定しております。
この合格者は、関連する心理学、教育学、福祉及び社会学といった分野において一定の専門的知識を有する者でありますから、これによって保護観察官の更なる専門性の向上が図られるものと、こういうふうに考えております。

○井上哲士君 次に、薬物犯、特に初犯の人の対策についてお聞きします。
薬物依存症の家族連合会からお話聞きますと、少しでも早い時期に治療の機会が必要だと、初犯の段階から対応してほしいというお声なんですね。日本ダルクの近藤恒夫さんも、やめるというモチベーションが全くないという人たちが実は初犯で、これは執行猶予になっていると。この対策の必要性を繰り返しておられます。やはり治療を促す、それからリハビリシステムにつなげていくということで、いろいろできることがあると思うんですが、警察庁、来ていただいていますが、東京でこういう執行猶予者を対象とした薬物再乱用防止モデル事業を実施されたと思いますが、その内容と、それから課題についてどうお考えでしょうか。

○政府参考人(小谷渉君) 議員お尋ねの事業は、薬物事犯により検挙され、即決裁判手続により執行猶予となった人を対象とする薬物再乱用防止プログラムを民間団体に委託して行うものでございまして、平成十九年度及び平成二十年度においてモデル事業として警視庁で実施したものでございます。
その内容は、乱用者に対し、起訴されてから公判までの間にこのプログラムの内容を教示をいたしまして、プログラムに参加しようとする意思を示した人に対して、民間団体がカウンセリングや医師等、専門家による薬物依存からの脱却のための講習等を行うものでございます。
この事業の問題点でございますが、このプログラムに参加した人は、警察がプログラムの内容を教示した乱用者のうちの残念ながら約一割にすぎなかったということでございます。これは、この事業があくまで乱用者自身の薬物依存をやめる意欲とプログラムへの自主的な参加の意思を前提条件として、これらの条件を満たした方に対してのみ実施することとしたためであるというふうに考えております。

○井上哲士君 強制ができないわけですからなかなか御苦労が多いと思うんですが、いろんなやはり知恵を使ってつなげていくことが必要だと思うんですね。
地方自治体との連携もしてそういうこともやっていらっしゃると思うんですが、そういう点はいかがでしょうか。

○政府参考人(小谷渉君) 警察におきましては、執行猶予判決が見込まれる薬物乱用者やその御家族等に対して、再乱用防止のためのパンフレットを閲覧あるいは配付をいたしまして、地方公共団体や民間団体の相談窓口を紹介するなどの情報提供を実施をいたしております。また、栃木県警察及び京都府警察においては、このような乱用者に対しまして、府県の薬務当局が民間団体に委託して実施をしております薬物再乱用防止のための教育事業の内容を紹介するなどの協力を実施いたしております。
警察といたしましては、このような取組をより効果的に推進し、今後も薬務当局等との連携強化を図りながら、再乱用防止対策を推進してまいる所存でございます。

○井上哲士君 希望する場合は直接面接もするというふうに伺っているんですが、そういうことでしょうか。

○政府参考人(小谷渉君) そうでございます。

○井上哲士君 ダルクなども、そこにたどり着くのにはもう十年、二十年掛かるというお話がありますし、やはり近藤さんの書いたものを読みますと、刑務所にいるときなどにも紹介はされるけれども、どこに、誰に行けとか、もっと詳しいことがあればつながっていくんじゃないかというお話があるんですね。これは是非、やっぱり早い段階でしていくということが大事であります。
今、即決裁判のお話がありましたけれども、これは事案が明白かつ軽微な事件で、被告人自らが有罪と述べるということで即決裁判と決まるわけで、必ず執行猶予になるわけですね。これは起訴から公判期日まで十四日以内と決まっていますから、大半が逮捕から一か月以内で言わば自由の身になってしまって、少なくない人は助かったということでなかなか治療に行かないというお話があります。
二〇〇八年でいいますと、この即決裁判の地裁判決の四〇%が薬物事犯なんですね。ですから、こういう皆さんが初犯でとどまるのか、再犯に進むかというのは決定的だと思うんです。そういう点で、初犯の段階で治療にアクセスするということを、法務省独自でも、また各省庁とも協力して進めることが大事だと思うんですが、この点、法務大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 法務省では、薬物事犯の再乱用防止に向けた取組というのは重要な課題であるということで、未決拘禁の段階においても、薬物犯罪の被害者、被告人に対しましては、希望に応じてということではございますけれども、再乱用防止に資する資料を貸与したり、あるいは未決拘禁者を収容する刑事施設に関連書籍を整備するといったような、再乱用防止に関する効果的な情報提供等の取組を行っているということでございます。
しかしながら、先ほど委員も御指摘になられたように、これは強制してやるということではございませんし、なかなか、利用という面から見たときには十分な効果が上がっているかということについてはしっかりと検証しなければいけないというふうに思いますけれども、いずれにしても、警察とかあるいは法務当局とかいったような、薬物の使用が犯罪であるということを前提として物事に取り組んでいるというところについては、やはり強制的な処分をしていくためにはそれなりの手続がまた必要になってくるということでございます。
この問題については、そうした司法当局のみならず、やはり医療関係者あるいは地方自治体といったような関係者がやっぱりお互いに連携しながら、協力しながら取り組んでいくという必要があろうかというふうに思いますので、そういう問題提起を我々法務省の方からも関係するところには投げかけていきたいというふうに思っております。

○井上哲士君 最後一点。更生保護法の改正で、地域貢献活動が少年犯にも適用されることになります。これまでは任意にやった社会参加活動が遵守義務となる、そうなるとかえって少年などは反発するという場合もあるんじゃないかという、かえって効果がなくなるんじゃないかという懸念も関係者から出されております。
これまでの任意による社会参加活動を中心にするなど、少年法に配慮した運用が必要かと思いますが、その点をお聞きしたいと思います。

○政府参考人(青沼隆之君) 御指摘ありましたとおり、少年の保護観察対象者に対して任意の社会参加活動を実施するのか、あるいは特別遵守事項として義務付ける社会貢献活動を実施するのかといった点については考慮の余地があるというふうに考えておりまして、対象者の特性、問題性に対応して個別具体的に判断していきたいというふうに考えております。
具体的には、少年の保護観察対象者に対しましては、健全育成を重視してレクリエーション活動を含む任意の社会活動を実施することが適当である、あるいは善良な社会の一員としての意識と規範意識の涵養を重視して特別遵守事項として義務付ける社会貢献活動を実施することのいずれが適当であるのかを事案に応じて適切に判断し、運用してまいりたい、こういうふうに思っております。

○井上哲士君 終わります。

○委員長(西田実仁君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより両案について討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
まず、刑法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕

○委員長(西田実仁君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕

○委員長(西田実仁君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、森さんから発言を求められておりますので、これを許します。森まさこさん。

○森まさこ君 私は、ただいま可決されました刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案に対し、民主党・新緑風会、自由民主党・無所属の会、公明党、みんなの党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、両法の施行に当たっては、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 更生保護の責務は国が負うべきものであることを踏まえ、両法の施行までに、施設内処遇と社会内処遇の有機的な連携を図るために必要な体制整備を計画的に進めるとともに、保護観察官の専門性の一層の強化及び増員など、国の更生保護体制に関する一層の充実強化を図ること。
二 刑の一部の執行猶予の適用に当たっては、厳罰化又は寛刑化に偏ることがないよう、関係刑事司法機関とその趣旨について情報の共有化に努めるとともに、両法の適正な運用を図るため、その施行状況を把握する体制を整備すること。
三 薬物事犯者の処遇に当たっては、民間の医療・社会福祉関係機関及び地方公共団体との更なる連携を強化し、その治療体制の拡充及び地域での効果的なフォローアップなど、改善更生及び再犯防止の実効性を高めるための施策の充実を図ること。
四 再犯防止及び社会復帰を図る上で、保護司や民間の自立更生支援団体等の担う役割は大きく、その機能の拡充が緊要となっていることに鑑み、その支援体制の確立及び十分な財政措置を講ずるとともに、保護観察等における緊密な連携強化を図っていくこと。
五 社会貢献活動については、どのような活動・期間が再犯防止等に有効か十分検証を行い、民間の自立更生支援団体等とも緊密な連携を図るとともに、地域住民等関係者の不安を払拭するため、効果的な体制を設けること。
六 再犯を防止するためには、刑務所出所者等の就労の促進安定が効果的であることに鑑み、昨今の厳しい雇用・経済情勢に対応したよりきめ細やかな就労支援・雇用確保を一層推進していくこと。
七 政府のこれまでの再犯防止施策について適正な評価を行うとともに、両法の対象とならなかった事犯者の再犯防止等を図るため、諸外国で導入されている保護観察の充実強化策の例も踏まえながら、引き続き有効な施策を研究調査し実施できるよう努めること。
八 薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部執行猶予が、刑事施設における処遇に引き続き保護観察処遇を実施することによりその再犯を防ぐためのものであることを踏まえ、本制度の施行後、薬物使用等の罪を犯した者の再犯状況について当委員会に報告するとともに、より充実した制度にするための検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
九 東日本大震災の被災地においては、多数の保護司等が活動困難な状態に陥っていることに鑑み、その更生保護体制について、保護司の充足に加え、地方公共団体及び医療・社会福祉関係機関等との連携体制の整備に万全を期するとともに、両法の施行に当たっては、被災地の状況に十分配慮すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○委員長(西田実仁君) ただいま森さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕

○委員長(西田実仁君) 全会一致と認めます。よって、森さん提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、平岡法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。平岡法務大臣。

○国務大臣(平岡秀夫君) ただいま可決されました刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

○委員長(西田実仁君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(西田実仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時八分散会

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