179-参-法務委員会-4号 2011-11-24


2011年11月24日

○委員長(西田実仁君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る二十二日、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として徳永エリ君が選任されました。
また、本日、はたともこ君が委員を辞任され、その補欠として石井一君が選任されました。
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○委員長(西田実仁君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省刑事局長稲田伸夫君、法務省矯正局長三浦守君、法務省保護局長青沼隆之君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長岡田太造君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(西田実仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(西田実仁君) 刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。

○有田芳生君 民主党の有田芳生です。おはようございます。
今日の法律改正案についての質問をするときに、私はいつもテーマを自分なりに設定をするんですけれども、今からお聞きしたいことは、一言で言えば、人間性を回復するための刑法等の一部を改正する法律案などについてお聞きをしたいというふうに思っております。特に、一般に出所をした人だけではなくて、私のかつて仕事を一緒にしたタレントさんなどは、薬物犯罪を何度も犯して今でも刑務所にいる者がおりますけれども、薬物から脱出することがいかに大切なのか、いかに困難なのか、しかも、今回の法律改正においてそれが前向きな方向に改善される可能性が高いと、そういう趣旨でお話を伺いたいというふうに思います。
まず、大臣にお聞きをしたいんですけれども、今回の法改正の目的についてお聞きをしたいと思います。
法制審議会が二〇一〇年に今回の法改正についての答申を法務大臣に行いました。その前に、二〇〇六年から三年三か月、二十六回にわたって審議が法制審議会では行われてまいりましたけれども、刑事裁判関係で珍しく全会一致で今回の法律改正が決まったというように聞いておりますけれども、今回の法改正の意義と目的についてまずお聞きをしたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 有田委員の御質問にお答えいたしたいと思いますけれども、この前もこの二つの法案の趣旨説明の中でも申し上げました。大きく分けて二つのことをこの法改正で実現しようとしているわけでありますけれども、一つは刑の一部の執行猶予制度を導入すること、もう一つは保護観察の特別遵守事項の類型に社会貢献活動を加えることということでございます。
これらの目的、やろうとしていることについての状況でありますけれども、我が国では近年、犯罪をした者のうち再犯者が占める割合が少なくない状況が続いております。こういう状況の中で、再犯防止のための取組が政府全体の喫緊の課題となっているというふうに認識しておりまして、効果的かつ具体的な施策を講ずることが求められているというふうに考えています。
そういうことで、今回の両法律案につきましては、施設内処遇後に十分な期間にわたり社会内処遇を実施することにより犯罪者の再犯防止及び改善更生を図るため、刑の一部の執行猶予制度を導入するということが第一点。第二点としては、善良な社会の一員としての意識の涵養及び規範意識の向上を図るため、保護観察の特別遵守事項の類型に社会貢献活動を行うことを加えることということで法整備を図ろうとしているものでございます。

○有田芳生君 もう一点お聞きしたいんですけれども、この法改正の出発点、やはり刑務所への過剰収容、それがスタート点にあったのではないでしょうか。いかがでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 確かに、平成十七年ですか、法制審議会に諮問したときの諮問の表現の中に過剰収容の問題も触れられていましたけれども、これはあくまでも我々の認識としては主目的ということではなくて、主目的はあくまでも再犯防止、改善更生ということが主目的であって、効果として収容過剰ということを軽減していくというものが結果として出てくるということは期待はされていたと思いますけれども、それは主目的であったというふうには認識はしておりません。

○有田芳生君 出発点が過剰収容をいかに克服するかということであったとしても、やはり今お話がありましたように、犯罪者の社会復帰をどのように効果的に進めていくか、再犯をいかに防いでいくのか、それが社会の治安を、防ぐことにもつながっていくという意味においては今回の法改正は非常に大事だと思いますが、そこで当局にお聞きをしたいんですけれども、一般刑事犯の再犯率の傾向について、それぞれの犯罪の中身によって違うわけですけれども、全般的な傾向、そして個々の問題点、例えば、今日後ほどお話を伺いますけれども、薬物犯罪での再犯率の傾向についてお聞きをしたいと思います。

○政府参考人(稲田伸夫君) お答え申し上げます。
一般刑法犯、すなわち道路交通法違反を除きます罪によりまして検挙されました再犯者、これを人員数で見ますと平成十年ごろから増加し続けておりました。ただ、平成十九年以降は四年連続で数は若干減少してきておりまして、平成二十二年は十三万七千九百十四名ということになっております。
ただ、この減り続けたというのは、実は平成十七年ぐらいから検挙人員自体が減り続いてきているところに由来しているところが大きゅうございまして、再犯者率、すなわち検挙人員の中に占める再犯者の人員という割合で見ますと、平成九年前ぐらいまで、平成八年ころまでは三〇%前後であったところが、昨年、平成二十二年は四二・七%というふうに上っておりまして、再犯をめぐる情勢は、そういう意味では深刻な状況にあると思います。
個別の罪につきまして、今つまびらかにしているものを承知しておりませんが、やっぱり薬物関係等につきましては再犯率が非常に高い状況にあるというふうに認識しているところでございます。

○有田芳生君 例えば、窃盗犯に比べて薬物犯罪者の再犯率、その傾向というものは数字としてどのようになっていますでしょうか。

○政府参考人(稲田伸夫君) ちょっと済みません。今手元に正確な数字を持っておりませんけれども、窃盗犯も比較的再犯率高いところもあるものでございますけれども、いずれにしましても、こういう今委員御指摘のような薬物犯とか窃盗犯というのは、特に強行犯等に比べますと比較的再犯率が高いものではないかというふうに考えております。

○有田芳生君 統計的には取られてはいないんでしょうか。

○政府参考人(稲田伸夫君) 失礼いたしました。
これは、出所者での比率で見ますと、薬物犯等につきましては、例えば覚せい剤でありますと六割前後の再入率を持つというようなところも統計的に出てきているところでございます。

○有田芳生君 作家の吉村昭さんに「仮釈放」という作品があります。これは、殺人を本当に情状酌量されるような原因、理由で犯してしまったある高校の教師をやっていた人が無期懲役の判決を受けるんですが、十六年で仮釈放で出てきます。そして、その吉村さんの小説の主人公は社会に復帰していくんだけれども、十六年もたって社会に出てくると、とにかく、例えば電車の切符を買おうとしても、以前だったら改札で切ってもらっていたのが、何だかいつの間にか自動販売機でチケットを買ってと、どう買えばいいのか分からないということを含めて、社会に戻ってきて大変な苦労をしていくということが描かれております。
そして、例えばデパートの地下の食品売場に買物に行っても人のざわめきだけが物すごく気になって、本当に人間関係が不安になってくる。特に、いろんな多くの人たちの中にいると、自分が犯罪者だったということを、刑務所に入っていたということが知れてしまうんではないか、だから罪を悔いて事件を起こした自分のふるさとに戻っていこうとしても、なかなかそれが容易ならない、そういう傾向があるという、これは吉村さん、小説で書いておりますけれども、きちんとした取材に基づいた作品なんですよね。
そうした大変な思いをして社会復帰を遂げていくんですが、そのときにやはり保護司の方々の役割というものがとても大切だということが、この作品の主旋律ではない背後にある大きなテーマになっているわけなんです。
そして、この作品については、ある文芸評論家なんかに言わせますと、ドストエフスキーの「罪と罰」の日本版だというような評価があるんですが、本当に人間の心理を深く描き、その中で、私たちが外から見ているとなかなか分からない社会復帰を遂げようとしている刑務所にいた元犯罪者たち、そしてそれを支える保護司の方々の、私たちは日常的にはなかなか見ることができない大変な努力というものが描かれております。
これ、私は読んでおりまして、今度の法改正にもかかわってくるんですけれども、まず仮釈放というのは、もう大臣たち一番詳しく御存じのように、更生保護法に基づくわけですけれども、今度の一部執行猶予については裁判官が判断をするわけですよね。この今回の刑法の一部改正する法律の中で、一部執行猶予の中でも仮釈放というのは可能なんでしょうか。これは刑事当局にお聞きしたいと思います、大臣でも構いませんが。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今回の一部執行猶予の下で、委員御案内のように、最初に実刑の期間が過ぎて、そして一部執行猶予と、そして残りの刑の執行というのがあるわけですけれども、この仮釈放についていえば、最初の執行される実刑についても当然適用にはなります。ただ、その仮釈放については、全体の刑期の三分の一が経過した後でなければ仮釈放になりません。そのときの基本となる実刑という意味においては、最初に執行されるものと後から執行されるものを合わせた期間でその三分の一を経過しているかどうかということを計算するという仕組みに今なっているところでございます。

○有田芳生君 つまり、一部執行猶予の法改正ではあるけれども、その中で仮釈放はあるという理解でよろしいわけですよね。

○国務大臣(平岡秀夫君) そのとおりでございます。

○有田芳生君 そうしますと、これから様々な人員をもっと厚く増加しなければいけない課題も恐らく出てくるだろうと思うんですが、局長にお伺いしたいんですけれども、保護観察官と刑務所から出てきた人たちとの関係、そしてまた保護観察官の定義が今どうなっているかということをお聞きしたいと思います。

○政府参考人(青沼隆之君) お答えいたします。
まず前提として、保護観察と申しますのは保護観察官、これは国の職員でございますけれども、これと法務大臣から委嘱を受けた民間の篤志家である保護司との協働体制ということで実施しております。
委員御質問の保護司の方々ですけれども、保護司は全国に四万九千人おりまして、それぞれの地域において保護観察になった対象者の近隣に住み、地域事情に通じているなどの特色を生かして対象者と定期的に面接して、生活状況の把握ですとかあるいは日常的な指導、助言を行うと、そういったことを行っております。

○有田芳生君 保護観察官の定員というのは何人でしょうか。

○政府参考人(青沼隆之君) 保護観察官は、地方更生保護委員会と現場の保護観察所というところの二か所にいるわけですけれども、主に保護観察を担当している保護観察官は現場の保護観察所におりまして、一線で実際の、処遇と呼んでおりますけれども、保護観察事件を担当している者は約九百五十名でございます。

○有田芳生君 それは定員なんでしょうか。

○政府参考人(青沼隆之君) 定員ではございませんで、管理職を除いた実際に保護観察を担当している一線の保護観察官の実数でございます。

○有田芳生君 定員は何人なんでしょうか。それを初めから聞いているんですが。

○政府参考人(青沼隆之君) 保護観察官の定員でございますけれども、地方委員会の方では百四名、現場の保護観察所では九百五十四名でございます。

○有田芳生君 百四名ですか、もう一回確認したいんですが。

○政府参考人(青沼隆之君) 保護観察所の観察官の定員は九百五十四名でございます。
百四名と申しましたのは、地方更生保護委員会といいまして、保護観察所の上部組織で全国八か所ある方の定員が百四名でございます。

○有田芳生君 その次に、保護観察官の定員が今九百五十四名、地方が百四名というお話ですけれども、そうすると現場で一人当たりの負担件数というのは何人ぐらいになるんでしょうか。

○政府参考人(青沼隆之君) 概数でございますけれども、年末時点での保護観察の数を現場で働いております九百五十名の数で割りますと、大体年間五十件程度でございます。

○有田芳生君 一人当たり五十件の担当ということですね。
そうしますと、さらに、一番末端という表現はちょっと適切かどうか分かりませんけれども、日常的に出所者と交流をして精神的なケアあるいは就職あっせんなども努力をされている保護司の方々、四万九千人とお答えいただきましたけれども、この保護司の方々にとっての一人当たりの担当人数というのは大体どのぐらいなんでしょうか。

○政府参考人(青沼隆之君) 保護司さんの一人当たりの担当人数ということでございますけれども、地域の事情ですとか、あるいはその方がベテランかどうかといったようなことも関係しまして一概には言えないんですけれども、年末時点の保護観察の担当件数を実数である四万九千人で割りますと、大体年間当たり一件の担当ということになります。

○有田芳生君 この間説明いただいたときは二件と伺っていたんですが、二日前には二件と伺ったんですが、一日たつと一件になるという、これはいかに。

○政府参考人(青沼隆之君) 大変失礼いたしました。
今申し上げましたとおり、年末時点での件数を人員で割ると一件ということになるわけですけれども、当然、毎年毎年積み残しがありますので、年間の総取扱件数というものを保護司さんの数で割りますと年間二件ぐらいになると。つまり、年間では取扱件数は年末時点の大体倍ぐらいになると、こういうことで取扱件数から見ると二件ぐらい、こういうことでございます。

○有田芳生君 吉村昭さんの「仮釈放」という作品の中に出てくる主人公の場合は、十六年間で仮釈放、社会復帰を果たしていくわけですけれども、そのとき、刑務所の中での作業を行いまして、その当時は作業賞与金、今は作業報奨金に監獄法が変わって名前が変わっておりますけれども、その吉村作品の中の主人公は、社会に出てきたときに百数万円ほど手持ちの賞与金を持って社会に出ていったんですよね。本人からすれば、物価水準が変わっていますから、すごいお金だなと思っていたものの、いざ社会に出てくれば物価はもう何倍も変わっておりますから、それでショックを受けたりする。また、自分で働いたりもするんだけれども、一番最初に住むところが必要になってくる。そのためには敷金、保証金も必要になってくる。そして、ストーブから布団からもう日常生活に必要なものを買っていかなければならない。そうすると、どんどんどんどんお金が減っていって、これは大変だなという思いをしていた。
私がかつて取材をしたときに、再犯をした人たちの理由の一つに、社会に出ていっても、先ほども言いましたけれども、保護司の方々が一生懸命努力をしてくださっていても、社会での人間関係というのはなかなか厳しいものがあるというのが一点。と同時に、お金がないんだと。刑務所から出ていったってお金がないから、本当にどうしようもなくなってまた犯罪に加わってしまったというケース、幾つか聞いているんですよね。
今回の法改正においては、非常に短い刑期の方々、初犯の方々が対象になる、基本的にはなるわけですけれども、そういう人たちであったとしても、一部執行猶予あるいは仮釈放で社会に出てきたときに、刑務所の中で作業をしていたその対価ですね、それは労働の対価ではないということらしいんですけれども、そのお金が、社会に出所するときに、例えば独り身の人とか家族がいない人たちにとっては大変な問題になってくる。
つまり、再犯の物質的な背景とでもいうんでしょうか、そのこともやはり克服していかなければいけない課題だと思っておりますが、一般的に作業報奨金について出所者は平均幾ら手にして社会に戻ってくるんでしょうか。

○政府参考人(三浦守君) お答えいたします。
平成二十三年度における受刑者一人当たりの釈放時の作業報奨金支給額はおよそ六万七千円程度でございます。

○有田芳生君 一般的に平均六万七千円、それで出てきたって敷金にもならない、権利金にもならない、あしたからの暮らしをどうしていくのか、そこから苦しみが始まるわけですよね。今回の場合、もっと短い刑期ですから、もっと少ない報奨金を手にして出ていく。
だから、そこら辺のこともやはり今後の課題としても取り組んでいかなければいけないんだろうというふうに思うんですが、この作業報奨金を与える基準というのはどういう基準で、こういう作業をやればこのお金だよ、例えば封筒張りであるとかいろんな作業がありますよね、そこの基準というのはどういうことなんでしょうか。これは労働の対価ではないわけですよね。

○政府参考人(三浦守君) 委員御指摘のとおり、この刑務作業は、懲役について言いますれば、刑務作業そのものは刑罰の内容でありますので、その作業報奨金につきましても、いわゆる労働の対価ではなく、作業を行ったことについて報奨として原則釈放の際に支給する金銭ということになります。
その金額でございますが、私どもでは一人について一時間当たりの単価というものを定めておりまして、その単価は、作業の内容でありますとかその作業を行っている期間などを考慮いたしまして、一等工から十等工まで十段階にその時間当たりの単価を定めて、それで計算しているところでございます。

○有田芳生君 一人当たり平均六万七千円で社会に復帰できるとお考えでしょうか。

○政府参考人(三浦守君) 先ほど申し上げましたように、懲役刑におきましては刑務作業が刑罰の内容そのものであるということで、まさに報奨として支給しておりますが、実際のその目的といたしましては、受刑者の勤労意欲を高めることによって改善更生の意欲を喚起するとか、あるいは釈放時の円滑な社会復帰の一助にするということでありますので、そういった観点でこの額が決められているものというふうに理解しております。

○有田芳生君 勤労意欲を持続をして、社会に出ていっても頑張って働こうと、もう一回自分の人生をやり直そうと、そう思った人であったとしても、やはり社会に出てくれば毎日御飯も食べなければいけないし、その前提として衣服それから住むところも必要なんですが、この平均六万七千円じゃ厳しいですよね、全くもって。これで社会復帰できるとお考えですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 委員御指摘の趣旨は私もよく理解するところでございます。
ただ、この作業報奨金でそれを実現できるかというと、なかなか難しいんではないかというふうに思います。というのは、先ほどの六万七千円というのは実は受刑者一人当たりの釈放時の支給額でありますけれども、その受刑者というのは大体平均すると二十一か月ということに相当するものになっているということでございます。平成二十二年度の予算を見ますと、刑務作業によって得られる収入というものが約四十六億円です。他方、この刑務作業の実施経費として三十二億円掛かっていると。さらに、作業報奨金として出しているのが平成二十二年度で約四十億円。つまり、収入から経費そして作業報奨金というものを引いていくと赤字が出ているというのがこの刑務作業の実態ということでございます。作業報奨金は二十億円です、済みません、間違っていたかもしれません。二十億円ということで、赤字が出ているということでございます。
したがって、我々としては、この作業報奨金で出所後の住居あるいは仕事というものを賄っていくというよりは、やはり出るときにあるいは出たときにどういうふうな対応ができるのかということで今我々としての対応を考えてきていると。特に、やはり厳しい経済状況の下でございますから大変厳しい状況にございます。そういう中で、いろいろな作業、例えば就職については刑務所出所者等総合的就労支援対策というようなものを実施したり、あるいは帰住先といいますか、住む先については、今までの更生保護法人による施設だけではなくて、NPO法人であるとか一般の民間の法人であるとか、そういうようなところにも受け入れてもらえるような、そういう今作業といいますか政策を進めているという状況にあるということで御理解いただきたいというふうに思います。

○有田芳生君 出所者がどのように社会復帰をしていくかというのは、これは人間性の回復の問題であると同時に、社会の治安をこれからどのように安定させていくかという大きな課題でもあると思いますから、せっかくの政権交代ですから、そういった部門にもこれから目を届かせていただきたいというふうに思います。
今大臣からもお話がありましたように、出所者の就職あっせんについて、これは法務省管轄というよりも、むしろ厚生労働省との連携の下で省庁を超えて取り組んでいかなければいけないというふうに思っておりますが、厚生労働省の方としてはどのような対応、対策、取られていらっしゃいますでしょうか。

○政府参考人(岡田太造君) 大変申し訳ございません。私、その担当でないので、ちょっと今しっかりした御答弁ができない状況でございます。

○有田芳生君 質問通告でこの件もお願いをしていたんですが、ちゃんと、赤字で厚生労働省との連携はどのようになるのかと。

○政府参考人(青沼隆之君) 法務省と厚生省との間の連携する就労関係の事業について、私の方から御説明をさせていただきます。
大臣からも答弁がありましたとおり、平成十八年度から法務省と厚生労働省とが連携して、刑務所出所者等への職業相談あるいは職業紹介、就職時の身元保証、それからトライアル雇用、試用ということですけれども、などの各種の支援メニューを活用しておりまして、これを刑務所出所者等総合就労支援対策ということで呼んでおります。これによりまして毎年二千人以上の者が具体的に就職に至っているということでございまして、一定の成果を上げているということでございます。

○有田芳生君 今回の法改正においては、更に社会貢献活動について強化をしていくと、そのような内容になっていると理解しておりますが、この社会貢献活動の内容について、その期間であるとかあるいはその内容、それを個人が選択することができるのかということも含めて、大枠で、目的も含めてお話しいただきたいんですが。

○政府参考人(青沼隆之君) 社会貢献活動の目的と活動内容について概略を御説明いたします。
目的でございますけれども、対象者に対しまして、社会に貢献する活動を行わせることで社会に役立つ活動を行ったとの達成感を得させたり、あるいは地域の方々から感謝をされるということなどを通じまして自己有用感を獲得させたりして、改善更生の意欲を高め、また他者一般を尊重し、社会のルールを守るということを認識させるということを目的としております。
活動内容ですが、今現在、いろいろ試行をしておりまして、なおかつ地域の事情もありますので様々でございますけれども、例えば公共の場所での清掃活動ですとか落書き消し、あるいは福祉施設における介護の補助の活動、あるいは公園の緑化活動といったものが考えられます。
それから、期間と回数等につきましてですけれども、これについても今いろいろ試行の過程で様々なものを考えておりまして、今のところ五回程度が適当じゃないのかというふうなことを考えております。
それから、個人に応じたメニューができるかということでございますけれども、なかなかオーダーメードでその人その人に応じたというのをすぐに始めるということは難しゅうございまして、一定程度、試行によっていろいろ固めていきたいとは思うんですけれども、罪種ですとかどういった犯罪傾向を持つかといったことと、その対応としてどういった活動が適当かということで、幾つかの選択肢から選んでいただくというふうなことを考えております。

○有田芳生君 さらに、今回の法改正において非常に重要な内容を持ってくる、つまり、日本の社会の治安をどれだけ維持していくかということと同時に日本の未来である若者たちを守っていくためにも、やはり薬物犯罪の問題というのはもっと強化されなければいけないというふうに思います。
今朝も新聞でタレントの奥様が覚せい剤の問題で逮捕をされたという報道がありました。これまでも元オリンピック選手、あるいは有名女優の息子さん、そして私も一緒に仕事をした残念ながら元タレントが逮捕をされたりもしておりまして、やはり物すごく難しい。例えば、覚せい剤で逮捕された事例などをいろいろ調べてみますと、覚せい剤でもう精神がおかしくなってしまって、逮捕をされたときには森の中にいて、じいっと突っ立っていて逮捕されて、何で森の中でじいっと突っ立っていたんだと言ったら、いや、木のふりをしていたというような、そういうようなのが覚せい剤犯罪の一つの典型なんですよね。
ですから、私はこれからもう駆け足でお聞きをしなければいけませんけれども、あるタレントについても、最初はのぞきで逮捕をされて、そのとき覚せい剤を持っていた。そのときは懲役二年、執行猶予三年なんですが、更に覚せい剤事犯で逮捕をされて、そのときは懲役三年六か月の実刑判決を受けたんですよ。そして、刑務所というのはもう地獄だというような表現を出てきてから単行本なんかに書いていたんですけれども、その彼が更に覚せい剤で逮捕をされてしまって懲役三年六か月、実刑判決で今も刑務所に入っているんですけれども、二回目の逮捕で満期で出所したときに彼が、そのタレントが言っているのは、薬物からの脱出についてのフォローがなかった、これは言い訳にも聞こえるんですけれども、そういう言い方をしているんですよね。
果たして、このタレントだけではありませんけれども、薬物犯罪者への刑務所内での処遇というもの、対策というものはどのようになされているんでしょうか。

○政府参考人(三浦守君) お答えいたします。
刑事施設におきましては、刑事収容施設法が施行されました平成十八年の五月から、受刑者に対しまして改善更生のための処遇を義務付けるということが可能となっておりまして、麻薬、覚せい剤、その他薬物に対する依存がある受刑者に対しましては薬物依存離脱指導として処遇を行っているところでございます。
具体的には、一単元五十分で十二単元を標準としたプログラムを三か月ないし六か月の期間を掛けて実施しておりまして、ダルクなどの民間自助団体の協力を得て行うグループワークですとか、講義、視聴覚教材の視聴、個別面接等の方法を組み合わせて実施をしているところでございます。

○有田芳生君 薬物の使用というのは三段階あって、まず乱用してしまう、その次に依存症に陥る、更に中毒になっていく。中毒になれば精神科医なんかにかからなければいけないんですけれども、これは御承知のように、薬によって、ヘロインだともう生理食塩水を点滴をやって薬物を出していくしかないとか、さらに、覚せい剤になるとフラッシュバックなんかがありますから、それをどのように克服していくかというのは非常に大変な、社会の若者たちを守る大変な作業を日常的にもやらなければいけないというふうに思うんですよね。
ここでまずお聞きしたいのは、そういう薬物再犯者の特徴についてどのようにとらえられていますでしょうか。

○政府参考人(稲田伸夫君) 薬物使用事犯につきましては、先ほども申し上げましたように、全般としてやはり再犯率が高いというところにあるわけでございますが、それぞれの方の事情はあろうかと思いますので一般的にというのはなかなか難しゅうございますが、例えば、最近では平成二十一年の犯罪白書で若干検討した際に、薬物事犯の中での一番多い覚せい剤取締法違反の事案においてはどのような傾向があるかと申しますと、覚せい剤の使用開始年齢が低い場合、あるいは有機溶剤、すなわちシンナー等の乱用経験を有する者は比較的再犯性が高く、再入に陥りやすい傾向がうかがわれるというようなことが一つの傾向として出されております。
なお、ちなみに、若干先ほどの答弁の中で、私、窃盗の再犯の関係で、ちょっと検挙人員の関係で申し上げたかのように答弁しておりますけれども、起訴人員で見ますと窃盗の再犯は高うございます。ただ、検挙で見ますと総数が多いので、割合的には窃盗はそれほど、総数で占める、検挙人員に占める再犯者の数は薬物ほどは高くないというところでございます。
そこだけ訂正させていただきます。失礼しました。

○有田芳生君 お話の中にありましたように、民間団体のダルク、全国に組織があるわけですけれども、そこと協力し合って、薬物犯罪が起きないように、そしてまた再犯が起きないように努力を社会として行わなければいけないと思いますが、これはゴールのないマラソンのようなもので、やめることが大事なんではなくて、やめることが大事なんだけれども、やめ続けることが大事だということになっていくと、じゃ一体何が社会として必要になってくるかという課題だというふうに思います。
依存症、薬物依存症についての専門病院というのは日本に一体あるんでしょうか。

○政府参考人(岡田太造君) 薬物依存治療を専門に行っている主な病院といたしましては、国立精神・神経医療研究センター、それから神奈川県立精神医療センターせりがや病院などが薬物治療者に対しての専門的な医療を行っているというふうに聞いております。
しかし、全体としては必ずしもその数は多くないということでございますが、薬物依存症につきましては、症状にもよりますが、一般の精神科におきましても対応可能なものであるというふうに考えているところでございます。

○有田芳生君 薬物の治療を何とかしたいといってそういうところに相談するのもなかなか、ああ、あの人は薬物やっていたんだというようなことが広がるというので難しいのが当事者たちの問題点、課題だというふうに何人からも聞いておりますけれども、そう考えたときに、例えば今回の法改正とのかかわりでいいますと、やはりアメリカが一九八九年にキューバから難民がざあっと入ってきて、そのときに、今では全米二千か所ぐらいに、州によって違いますけれども、あると聞いておりますけれども、ドラッグコート、つまり薬物専門の裁判所というものをこれからつくっていく必要があるというふうに思いますし、今回の法改正についても、専門家の間では日本版のドラッグコートの役割を果たす可能性があるんだと、だから、とても大事な法改正だというふうに思っております。
アメリカのドラッグコートについてどういう仕組みになっているのか、簡単にお聞きしたいと思います。

○政府参考人(稲田伸夫君) アメリカにつきましては、具体的な制度内容は州によって異なるというふうに聞いておりますが、一般的には、被告人が告発というか裁判所の手続が開始された後でこの処遇プログラムに参加し、プログラムを修了できなかった場合はその事実について有罪認定をされることになりますが、修了した場合に起訴されることが取り消されるあるいは起訴されたことがなくなってしまうというようなやり方をしているところ、あるいは、被告人が裁判により一旦有罪とは認定されますが、処遇プログラムを修了するか又は脱落する、すなわち逃げ出してしまうまでの間、量刑の言渡しが猶予されるか、量刑の言渡しはなされるものの、その間執行の猶予をするというような運用がなされているというふうに伺っております。

○有田芳生君 是非今回の法改正を、そういう日本版ドラッグコートのような内実を今後備えていかなければならないと思いますし、法務大臣を先頭にしてそういう体制を是非社会治安の面からも、若者たちを守るという側面からも進めていっていただきたいというふうに思いますが。
ここで、最後に、最初の方の質問で保護観察官あるいは保護司の役割の重要性についてお聞きをいたしましたけれども、こういう薬物についても専門性を持った保護観察官の養成というものは必要だというふうに思います。あるいは、日常的に出所者と接触をしている、薬物犯罪者だった人とも接触をしている保護司の中でも専門性を養成していくということが必要だろうというふうに思いますが、当局、そういう方向、いかがでしょうか。

○政府参考人(青沼隆之君) 現在におきましても、保護観察官につきましては覚せい剤を中心としたいろいろな処遇プログラムについての研修等をやっておりまして、一定程度の専門性は持っているというものでございますけれども、二十四年度からは保護観察官の採用試験の形態を専門職試験というふうに変える予定でございまして、これによりまして、主に心理あるいは社会といったようなより専門性が高い分野の保護観察官を中心に採用したいというふうに思っておりますので、それによってより専門性を高めたいというふうに考えております。
それから、保護司さんですけれども、保護司さんについても覚せい剤等の処遇についての取扱いの研修も行っております。

○有田芳生君 この間の委員会で趣旨説明が行われ、そのプリントの最後のところに、一番最後のページの後ろから五行目、「薬物等に対する依存がある者に対する」、次ですが、「保護観察の特則を定める」、それからその次の行に、「このほか、所要の規定の整備を行う」。この特則、そして整備について、具体的な内容について御説明をいただきたいと思いますが。

○政府参考人(青沼隆之君) お答えいたします。
まず、具体的には、薬物依存の改善に資する医療あるいは援助を行う病院、公共の衛生福祉に関する機関その他の者との緊密な連携を保ちつつ、保護観察の充実強化を図ることにいたしました。
また、対象者につきましては、これらの医療や援助を受けることにつき、指導監督として指示等の措置ができると。それとともに、その際には、あらかじめ本人の意思を確認するとともに、事前事後にわたって医療や援助を行う機関と協議をするといったことも規定いたしました。
さらに、薬物法の規定によりまして、出所後五年以内に再び薬物使用等の罪を犯したいわゆる累犯者につきましては、必ず必要的に保護観察に付されるということでございますので、この者については、今現在やっております薬物依存を改善する必要性が高いということで専門的な処遇プログラムの受講を義務付けるということになっております。
以上でございます。

○有田芳生君 政権交代の果実をこういう分野でも是非とも進めて形にしなければいけないと思いますが、最後に法務大臣の今後の課題について一言お聞きをして、質問を終わりたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今後の課題ということでございますけれども、これはまさに今まで委員が御質問なさってこられたことというのが大変私は大事だというふうに思います。
すなわち、こういう仕組みができても、それを実行していくための体制の整備ということが必要であろうと。専門的な知識をしっかりと備えた職員が数的にもそれなりに備わっており、また、外部の専門的な機関、医療機関であるとか援助機関であるとかいう人たちとの連携も必要であるし、ダルクのような民間のこういう問題に取り組んでこられた方々とのやはり協調関係といいますか、そういう方々とも協力を得て進めていく、そういう体制をいかにこれからつくっていくのかということが大事だというふうに思います。
そういう意味で、今回の法律案については、施行期日というものが、例えば一部執行猶予については三年以内で政令で定めるときということになっていますけれども、その趣旨というのはまさにそうした体制整備をしっかりとしてからスタートさせたいということの表れだというふうに考えておりますので、そうした体制整備に是非我々としても取り組んでいきたいし、皆さん方の御支援、御協力も得たいというふうに考えているところでございます。

○有田芳生君 終わります。

○中村哲治君 民主党・新緑風会の中村哲治です。
有田芳生委員に引き続きまして質問をさせていただきます。有田委員の質問と重なる部分については極力省きまして質問をさせていただきます。
まず、本法案の改正の趣旨でございます。
改正の趣旨につきましては有田議員から質問がありましたので、私からその後として質問をさせていただきます。
今回の趣旨は先ほどの答弁のとおりですが、この本法案の改正によって、典型事例としてはどのようなものが考えられるでしょうか。

○副大臣(滝実君) 本法案の適用される典型的な例といたしましては二つぐらい考えられると思うんでございますけれども、一つは、例えば窃盗とか道路交通法違反、そういう比較的軽微な事案の場合には起訴猶予処分とか、そんな刑があるわけでございます。
ところが、こういう軽い刑についてはなかなかきちんとした処遇ができないというようなこともあるものですから、それを今回は言わば社会内的な教育とか、そういうようなこととして改めて対応をしていくということと、それから、先ほど来問題になっておりますように、薬物使用ということが言わば再犯といいますか、常習性を有する人たちが多いという意味で、社会内処遇というようなことで今回の法律の典型的な対象事例に該当するというふうに考えているところでございます。

○中村哲治君 道路交通法違反や窃盗、そして薬物犯がその具体例として考えられるということでございました。初入者に対する刑の一部の執行猶予ですから、今まで何回も執行猶予になって、何回というか、執行猶予になっていた人たちが対象になるということで、そういう人たちには社会内処遇も併せてやらないといけないというのが趣旨だということを伺いました。
そうすると、やはり薬物犯というものはどういうものなのかということが非常に重要です。薬物犯罪というものは薬物依存症という病気と表裏一体ではないかと考えられますが、その点いかがでしょうか。

○副大臣(滝実君) ここは言わば薬物依存症というふうなお話でございましたけれども、確かに、薬物の薬効が切れてくると、そうしますと、強度の言わば渇望といいますか、薬物が欲しいという欲求に駆られると、こういうようなものが言わば薬物依存症の典型的な症状と、こう言われているわけでございます。
したがって、薬物依存症と薬物の常習犯というのは切っても切れない関係にあるという意味で、基本的にそういうような依存症というものについて改めて刑事法の中で対応していこうというのが今回の法案の基本的な目的と、こういうふうに言っていいのではないかと考えております。

○中村哲治君 そうすると、よく言われていることですが、この薬物犯罪につきましては一般の犯罪とは別の扱いをしなくてはいけないのではないでしょうか。つまり、薬物依存症というのは病気なわけですから、今までの一般的な犯罪のように矯正というような姿勢で臨んだとしても、病気を治さなければその矯正の効果が表れてまいりません。そういった意味では、一般的な犯罪とは違うような、そういうふうな扱いをしないといけないと思われるんですが、いかがでしょうか。

○副大臣(滝実君) 御指摘のように、ただ単に刑事施設の中で隔離しておけばいいとかということではなくて、常習性というものをどこで遮断するかと、こういうことでございますから、それなりの処遇プログラムと申しますか、そういうものは当然これまでも考えてまいりましたけれども、こういったプログラムをこういう傾向の人たちには特別なプログラムとしてその内容を強めていくと、こういうようなことになるんだろうというふうに考えております。

○中村哲治君 そうすると、更生保護の領域においても精神保健福祉の領域の知見を積極的に取り入れていく必要があると考えられますが、それはプログラムの中で反映されているということでしょうか。

○大臣政務官(谷博之君) 精神保健福祉の分野で大変中村委員が取り組んでおられるという、そういう前提で御質問いただいたというふうに思っておりますが、まず共通の認識として考えておかなきゃいけないと思いますのは、薬物依存のある保護観察対象者の再犯防止、改善更生を図るためにはその依存を改善することが重要であって、そのためには、刑務所や保護観察所といった刑事司法機関のみが対応するのでは不十分であって、薬物依存症の治療や薬物依存者に対する支援等を行う、こういう医療・保健・福祉機関等とも密接に連携することが不可欠であるということは前提の話だと思います。
それらを受けまして、その対応策として、現在法務省としましては、精神科医等の薬物依存治療の専門家や民間の自助グループであるダルクの指導者等を交えて薬物処遇研究会というものを開催をして、そして地域の医療・保健・福祉機関等との具体的な連携方策というものを今検討しているところでございまして、この研究会の結論等を踏まえながら、御指摘のような精神保健福祉の領域の知見、こういうものを十分取り入れていくような取組をしてまいりたいというふうに考えております。

○中村哲治君 今御答弁にありました薬物処遇研究会、これは保護局長の下に置いている勉強会だというふうに聞いております。平成二十三年五月二十日に全体会議が行われて、そして今まで分担班による会議が行われていると、プログラム開発班、連携方策班、そのような分担班による会議が行われているということでございます。そこで、平成二十四年三月ごろを目途に全体会議最終回が行われる。その目的は、新たな薬物処遇プログラムの開発、関係機関との連携のための地域支援ガイドライン案の作成という形で目標も設定をされております。
さて、そういうふうな形で体制の整備をしていくんですけれども、そこで一つ参考になるのが、先ほど有田議員の質問にもありましたアメリカのドラッグコートと呼ばれている薬物事犯専門の裁判制度でございます。先ほどの答弁にもありましたように、このドラッグコート、様々な州の仕組みがあるというふうに言われておりますけれども、この起訴のところで特別な手続に入ると、プログラムを受講することによって成果を上げればその起訴の手続から外れていくという、そういうある意味で再犯をしにくい、そしてまた更生の意欲をかき立てやすい、そういう仕組みになっていると思うんですけれども、これは日本の現行制度では無理だと、現行では無理なんじゃないかと考えられますが、この点について法務大臣はいかがお考えでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほどの有田議員の質問に対して、当局の方からドラッグコートというものがどういう仕組みになっているのかということについては御答弁申し上げましたので繰り返すことはいたしませんけれども、そのような仕組みを前提とするならば、今の日本の刑事訴訟法制の中では非常に難しいといいますか、大幅な検討をしなければならないことではないだろうかというふうには思っております。

○中村哲治君 そうすると、今法制審の特別部会で新たな時代の刑事司法についての議論が進められております。そこの中で、やはりこのような薬物犯については特別な手続を検討すると、そういうことが必要なのではないかと考えられますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) ちょっと、法制審議会の中で議論される話なので、我々が個々具体的にこの点についてこうしてくださいということは、実際上の話としてはしておりません。そういう中で、法制審議会の中でどこまで議論が広がるのかということについては、我々としても関心は持ちたいと思いますし、今日ここで、委員会の中でそういう議論があったということについても法制審議会の方にも伝えていきたいというふうには思います。

○中村哲治君 民主党の中で、刑事司法制度の在り方についてワーキングチームが設定をされます。私も座長を務めさせていただくことになっておりますけれども、もし法制審の方で議論が進まないのであれば、党の方でも先行して議論を進めないといけませんので、是非そこの点については伝えていただくとともに、もし今の特別部会でやらないのであれば、やはり新しくその点だけでも諮問をするというようなことが法務大臣としては考えなくてはならないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) アメリカはアメリカでドラッグコートという仕組みで取り組んでおられるということであります。ただ、その成果といいますか結果というものについても、まだ十分に評価できるものではないのかもしれませんけれども、再犯率も高いというような数字もあるようでございますので、その評価というものもしっかりとしていかなければいけないというふうには思いますけれども、まず我々としては、今回御提案させていただいている、我が国の制度としてはなじみやすいといいますか、先ほどの有田委員のお話の中にもありましたように、珍しく全会一致で決まった仕組みだということでもございますので、我が国の今の制度になじみやすい制度だろうというふうにも思いますので、まずこれをしっかりと実行していくということを我々としては努力してまいりたいというふうに考えております。

○中村哲治君 今の大臣の答弁では、まず体制の整備を十分にやっていくということでございますので、そこの点の質問を後にさせていただきたいと思います。
時間の都合もありますので、条文解釈の方に移らせていただきます。
この法案の趣旨説明の中にはこのようなくだりがあります。「この刑の一部の執行猶予制度は、刑の言渡しについて新たな選択肢を設けるものであって、犯罪をした者の刑事責任に見合った量刑を行うことには変わりがなく、従来より刑を重くし、あるいは軽くするものではありません。」とあります。
しかし、今まで全部実刑と全部執行猶予というのがあって、その中間領域のものに一部執行猶予は言い渡されるということでありますので、これまで全部執行猶予であった人たちに実刑判決が下るということがあるということではないのかと思われるのですが、この点いかがでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員の御指摘について言えば、なかなか、これまで現行法の下でどのような刑が言い渡されていたのか、それについて、じゃこれからどうなるのかということについては、ちょっと仮定の議論ということでもありますので、それを前提にお答えすることは難しいというふうに考えておるところでございます。

○中村哲治君 事前の説明からすると、ここが非常に与党内でも問題になっていたので、ここは事前にいただく答弁と今の話は全然違うので、かなりそれならここからやり合いをしないといけないのは非常に残念なんですが、短期有期刑の問題があって、そこに対する見解をまず述べていただけませんでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今のは当てはめだけの話としてちょっと答弁申し上げましたけれども、我々としては、現在の制度とそれからこれからやろうとしている制度の違いがあるので、単純には比較といいますか、仮定の議論としてこうなりますということは言えませんということでございました。多分、そうは言ってもということで、我々としてもあえて検討すればどういうことになるのだろうかということについては整理をしておりますので、御答弁申し上げたいというふうに思います。
あえて検討いたしますれば、現在の裁判実務では、覚せい剤取締法や窃盗など法定刑に幅がある罪については刑期数か月の刑が言い渡される事例は少ないという状況でございます。全部執行猶予相当のものを一部執行猶予とするためには実刑部分をかなり短期にする必要がありますけれども、このような裁判実務に照らしますと、実刑部分をそのように短期にする運用がなされるとは考えにくいというふうに思っております。
そもそも一部執行猶予につきましては、先ほど来から御答弁申し上げておりますように、施設内処遇を実施すべき者に対し、刑のうち一定期間を執行して施設内処遇を行った上で、残りの期間について執行猶予し、相応の期間、執行猶予の取消しによる心理的強制の下で社会内で更生を促す社会内処遇を実施することにより、再犯防止、改善更生を図ることを趣旨としているものでございまして、裁判所としては、この制度趣旨を踏まえて、刑事責任の軽重等から見て、一部でも実刑を言い渡すことが相当性の要件を満たしているかという点、それから施設内処遇による矯正の効果が上がるかという点、さらに、いわゆる悪風感染や釈放後の正業復帰を困難ならしめるといった短期自由刑の弊害など、本人への影響等、種々の要素を考慮して適切な刑を選択するというふうに考えられるところでございます。
以上のことを要約いたしますと、これまで全部執行猶予だった人について一部執行猶予を言い渡すといった運用がなされるとは考えにくく、厳罰化につながるという懸念は当たらないというふうに考えているところでございます。

○中村哲治君 先ほど短期有期刑と言いましたが、短期自由刑の間違えでしたので訂正しておきます。
先ほどの法務大臣の答弁をまとめますと、短期自由刑の弊害というのはもう十分あると、それを認識した上で、施設内処遇を実施すべき者と判断した場合に限って一部執行猶予も適用されると、そのような考え方でよろしいですね。

○国務大臣(平岡秀夫君) 委員の御質問は、今の法案で提出してある条件が当然付いています、やっぱり三年以内の懲役、禁錮といったようなものとかですね。そういうことを前提として考えれば、委員の御指摘になった点で私も間違いないというふうに思います。

○中村哲治君 その点が一番与党内の議論で問題とされていた点でございますので、今の法務大臣の答弁でかなりの部分がクリアになったのではないかと考えております。
それでは次に、いわゆる社会貢献活動についてでございます。
更生保護法五十一条第二項の六号に、社会的活動の条文が入りました。読ませていただきますと、「善良な社会の一員としての意識の涵養及び規範意識の向上に資する地域社会の利益の増進に寄与する社会的活動を一定の時間行うこと。」と書かれております。
ここで問題となるのは、誰が社会的活動だというふうに判断するのかということ、それから具体的内容は何か、どのような手続で決まるのか、そして社会的活動として認められるような活動は誰が提供するのか。福祉ならば、それに協力する社会福祉法人などなどのそういった団体が必要でございます。そういった協力していただけるようなところをどのように発掘していくのか。このようなところをいかに考えていらっしゃるでしょうか。

○大臣政務官(谷博之君) お答えいたします。
まず、この社会貢献活動の活動内容、それから実施方法ということになるかと思いますけれども、活動内容につきましては、もう先ほどの有田委員の御質問にもお答えいたしましたが、大きく三つ具体的にはあるというふうに考えておりまして、一つは公共の場所での清掃活動や落書き消し、二つ目には福祉施設における介護補助活動、そして三つ目に公園の緑化活動、こういうふうなものを具体的な活動内容として事例で挙げまして、具体的にこの内容を決めているところでございます。
実施方法につきましては、どこでという御質問もございました。この社会貢献活動が保護観察の特別遵守事項として定められた場合には、保護観察所の評価、当該保護観察対象者の犯した犯罪の種類や犯罪傾向、その者の性格、年齢、心身の状況等を考慮して、最もふさわしいと思われる社会貢献活動の内容を選定すると、こういうことになります。
活動のその回数及び時間については、保護観察対象者の改善更生に必要かつ相当な限度において行う観点から、おおむね五回程度、そして一回当たり二時間から五時間程度の内容ということで想定をいたしております。
なお、今年度から既に現行法の枠組みの中で社会貢献活動の先行実施を行っているところでありますけれども、こうした活動内容、その結果を踏まえながら、今後の具体的な内容、実施方法について検討、検証していきたいと、このように考えております。

○中村哲治君 少し答弁漏れがあったと思うんですけれども、今五回程度、一回二時間から五時間行うと。それは特別遵守事項として、どんな執行猶予期間であっても、残り刑期がどれぐらいであっても、そういうふうな五回だと。そこをやるときに、一緒にやってくれる団体がなければ、ちゃんとやっていたかどうかも分からないわけです。その団体をこれ見付けていくのが非常に難しいんじゃないかというのが私の問題意識として聞かせていただいていることなんですけれども、現状、どのような団体が手を挙げていただいて、今おっしゃった三つのカテゴリーのその特別遵守事項としての社会貢献活動、これを一緒にやろうとしてくれている団体が出てきているんでしょうか。

○大臣政務官(谷博之君) その点につきましては、結論から申し上げますと、この改正法案が成立をした後、いわゆるこの社会貢献活動については二年間の施行までの期間がございますので、そういう期間に今御指摘をいただいたそういうことについての取組を法務省としてもやっていきたいというのが結論でございます。

○中村哲治君 刑の一部執行猶予の制度自体は三年後施行なんですね。この社会貢献活動自体は、先行して一年前倒しで二年以内に施行という形になっています。ということは、かなり前倒しの気持ちでやらないといけないんですけれども、それが本当にできるのかと。今の御答弁ではそれはやっていくという話だったんですけど、ここは引き続きしっかりと見ていきますので、御認識ください。
それでは次に、保護観察の在り方について質問をさせていただきます。
保護司さんの在り方をどのようにしていくのかということが非常に大切な課題となっております。保護司さんはどういうものであるのかということについては、先ほど有田委員からの質問に対する答弁でもありましたので省かせていただきますが、大事なことは、保護司さんが本当にボランティアでやってくださっているにもかかわらず、その待遇といいますか、費用弁償も含めて非常に、こう言ってはなんですけれども、非常にプアなんではないかと、貧しいのではないかというふうに感じられていると思います。
この辺りの保護司さんに対する待遇、実費弁償等は今どのような状態になっているでしょうか。

○大臣政務官(谷博之君) 今委員御指摘のとおり、保護司の皆様方に対する処遇の在り方というのは非常に課題が多々あるというふうに私たちも認識をいたしております。
そういう中で、具体的に申し上げますと、保護司法の第十一条によって、保護司には給与は支給しないけれども、その職務を行うための実費を弁償すると、こういうことになっております。
そして、近年、非常に対象となるその対象者が複雑な問題を抱えたり、その問題の多様化、あるいはまた様々なそういう人間関係の希薄化に伴った教育力や犯罪抑止力の低下とか、あるいはいわゆるその人たちの生活基盤の脆弱化、こういうようなものが行われておりまして、そんな中に、私どもとしましては平成二十三年度に五十億九千五百万円の予算を組んだ、この中で保護司の皆さん方に対してその対応を図っている。
特に当面の課題としましては、更生保護サポートセンター、これは現在、今年度五十五か所設置ということになっておりますが、これを、その箇所数を更に増やしていくというようなことなどを踏まえながらより充実した内容にしていきたいと、このように考えております。

○中村哲治君 今保護司のなり手がいないと言われている現状があります。それは実費弁償の問題もあるでしょうけれども、保護司というものが何を仕事としているのかということが社会一般に知られていないということもあろうかと存じます。
そこで、保護司がやりがいのある仕事だと社会一般で知られるための広報や研修の在り方について、どのようにお考えでしょうか。

○大臣政務官(谷博之君) その問題につきましても非常に御指摘のとおりでございまして、先ほどお話ありましたように、全国で約四万九千人の保護司の方々に活躍をしていただいておりますが、こういう皆様方に対する具体的な予算的なものも含めた支援というのはまだまだ不十分であるというふうに私たちも認識をいたしております。
したがって、私たちとしましては、保護司が効果的に活動し、適任者を確保するためには、地域社会の人々に保護司の活動をよく理解していただく、そしてまた、そのことによって、社会を明るくする運動などを通じて保護司制度の意義について地域住民に訴えたり、保護観察所の職員が関係機関に赴いて説明するなど、積極的な広報の展開に取り組んでいるところでございまして、さらにまた、将来につながる保護司制度の基盤強化を図るために、本年三月、保護司制度の基盤整備に関する検討会を設置いたしまして、約一年間掛けて保護司活動を充実させるための基盤整備の在り方について幅広く検討しているところでございます。

○中村哲治君 谷政務官に改めてお聞きしたいのは、今御答弁になった内容で社会一般の人が保護司に対する理解をどのように深めていけるというふうにお考えでしょうか。
社会を明るくする運動、私、一般市民として生きている中で、そういうふうな運動にかかわった、そういうものがあるということを認識したことがありません。そういった意味で、普通の人たちが、保護司という仕事があってその人たちどれぐらい大変なんだ、しかしどれぐらいやりがいがあるのか、こういうことが分かることが非常に必要だと思うんですけれども、今御答弁された内容、どのような形で一般の人たちにそういう内容が伝わるというふうにお考えでしょうか。

○大臣政務官(谷博之君) もう御案内のとおり、この社会を明るくする運動については、毎年七月を強化月間ということで取り組んでいるところでございますけれども、今、中村議員が御指摘をいただきましたように、全体的にはこの取組がまだまだ国民の中に十分知られていないというような御指摘もございまして、私たちは、そういう御指摘を踏まえて、今後ともよりこうした運動が広がっていくような、そういう取組をしてまいりたいというふうに考えております。

○中村哲治君 私の印象では、保護司さんたちの直接のお話を伺っても、結局、法務省としては取り組んでいくと、力を更に増していきますというふうなことは言われるんだけれど、抽象的に言われるだけで具体的な取組としてなかなか見えないというようなことを保護司さんたちから言われるわけです。
昔は国の下請みたいな形で、お上が言うんだから仕方ないだろうという形で保護司さんは思っていらっしゃったのかもしれませんけれども、今はそういうことはなくて、やはり国と保護司さんたちと同じ目線で仕事をしたいと思われております。昔のように上から目線でいろいろ仕事を押し付けられても困ると、そういうことを言われているわけです。
そこで、ポイントとなってくるのは更生保護サポートセンターです。今御答弁にもありました。この更生保護サポートセンター、どのような内容でしょうか。

○大臣政務官(谷博之君) 更生保護サポートセンターは、面接の場所の例えば確保が困難なそういう事例、あるいはまたそういうときの面接の場所として利用できるようなそういうふうな場所を備えるということ、また保護司会で活動を始める、そういう方々に対する様々な支援、そしてまた保護司同士の様々な情報交換、連携などについて、その更生保護サポートセンターでそうしたものをより取り上げ、深めていくということであります。
したがって、この場所、いわゆる支援ネットワークのそういうふうな場所等を通じて、そうした関係する方々のより一層の連携を図っていくということで現在全国に五十五か所設置をされてきていると、こういう状況でございます。

○中村哲治君 今のような御説明だと、その五十五か所、当然国が用意をして、国が場所を探してきて保護司会に提供しているということでよろしいですね。

○大臣政務官(谷博之君) これは、この更生保護サポートセンターの設置につきましては、御案内のとおり、市町村の理解を得ながら、そして市町村の所有する公的施設、こういうようなものをお借りをしながら保護司の活動の拠点となるこのセンターの設置を進めておりまして、平成二十三年度中には、先ほど申し上げましたように、五十五か所の設置をする予定で取り組んでいるということであります。
なお、このセンターに対しましては、そこに常駐する保護司の活動の経費あるいはまた通信費等については現在国の方で措置をいたしておりまして、平成二十四年度の概算要求においては、こうした設置保護司会の負担軽減を図るために、常駐の保護司の人数増やあるいは備品、設備等の運営経費についても、今後、国としてもその役割をしっかり果たしていきたいと、このように考えております。

○中村哲治君 政務官、質問に答えていただきたいんですけれども、更生保護サポートセンターの場所を借りているのは誰ですか。

○大臣政務官(谷博之君) もちろん、それは更生保護サポートセンターのこの運営を図っていくという意味で、保護司会の方々がその場所をお借りしているということでございます。

○中村哲治君 ここではっきりと問題だと申し上げたいのは、国が政策として更生保護サポートセンターを設けていくということにもかかわらず、その場所を用意するのは保護司会なんです。保護司会って法人格ありますか。本当は国が地方公共団体と交渉をして場所を用意して、保護司会に提供するのが筋なんじゃないでしょうか。その点についてはいかがお考えでしょうか。

○大臣政務官(谷博之君) 御指摘の点は十分承知しておりますけれども、全国のそれぞれの地域にこのセンターを設置するということになりますと、その具体的な設置場所等についてはかなり保護司会の皆さん方御自身が見付けていくこと、非常に困難な問題が多々ございまして、そういう意味で、地方自治体なり市町村と連携を取らせていただいてその場所の確保をしているということであります。
今後、そういう意味では、保護司会の方に任せるというのではなくて、保護観察所としてしっかり保護司会をサポートしていくとともに、地方公共団体との連携強化にも努めてまいりたいと考えております。

○中村哲治君 一か所当たりの助成額、補助額というのは年間十万円だと聞いています。自治体が貸してくれない場合にはアパートを借りて行うと。そうしたら年間十万円では到底やっていけませんよ。奈良市の場合でも、やはり五千円は市の方に払わないといけないと、これは電気代ですね。そういうふうな条件ものみながら、保護司会としては市と交渉してやっとやっと借りられたわけです。
そのときにやはり問題になったのは、保証人を付けてくれという話が出てくるわけですね。そして、今から五十五か所を二百四十七か所ですか、増やしていくんでしょう。奈良市と同じように自治体から保証人を求められるケースも出てくると思います。この奈良保護観察所長は保証人になってもいいということを言ったんですけれども、本省に言うと、もうそれはやってはなりませんと。そういうふうな交渉があった上で、結局は保証人を求められないという形でなったと思うんですけれども、そこについて、保護司会の皆さんにそこまで負担を掛けて市町村、自治体との交渉に当たらせるべきなんでしょうか。そこについてはいかがお考えでしょうか。

○大臣政務官(谷博之君) 先生の御指摘の奈良市の例についても、その話は私どもも承知をいたしております。
それで、この保証人の問題についてでありますけれども、更生保護サポートセンターの設置に当たっては、当初、ある市から保護観察所長に保証人になってほしい、こういう話があった、これは奈良の例だと思います。ほかにこうした話は全くありませんけれども、いずれにしましても、このケースにつきましては保護観察所が市の当局と直接協議をした結果、不要になったというふうに聞いておりますが、今後とも、先ほど申し上げましたように、保護司会に任せるのではなくて、今後、保護観察所としてもしっかりとそういった保護司会に連携強化をしながらサポートをしていきたいと、このように考えております。

○中村哲治君 保護司に対する予算も足りないと同時に、やはりそこの保護司さんたちに対してサポートを行っていく保護観察官の人員もやはり不足しているのではないでしょうか。
平成二十四年概算要求では、保護観察の体制の整備は日本再生重点枠として要望しているというふうに聞いておるんですけれども、それはどれぐらいの予算を要求しているのでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今、保護司を含め、保護観察の関係で中村委員から大変いろいろな問題点を指摘していただきました。
我々としても、地域社会と協力しながら進めていかなければならないということでございますので、地域の皆さんともよく相談をしながらできる限り支援をしていきたいというふうに思っているところでございます。
他方、今御指摘のありました保護観察官の増員の関係でございますけれども、これも今大変厳しい定員事情というのがございまして、我々も今大変苦労しているところでございますけれども、平成二十四年度の予算に関しましては、概算要求という形で薬物依存のある刑務所出所者等に対する再犯防止対策の強化のために保護観察官六十二人の増員を要求している、これは要求の方でございます。
他方、日本再生重点化措置要望という形で別途要望することが認められておりますけれども、要望として、再犯防止を強力に推進するための社会内処遇の充実のため、民間との連携による薬物事犯者対策の強化のための経費として十二億二千三百万円を要望しているというのが現状でございます。

○中村哲治君 大臣に是非閣内でもう少し議論をしていただきたいことがあります。
それは、私も法務省の政務官にいたときからおかしいと思っていたことなんですけれども、この治安を担当する法務省の予算、それがほかの省庁の予算と一緒にまず一割カットをして要求をすると、そして残りの一割について掛け目を掛けて要望枠で、今年の場合は日本再生重点枠というふうに請求をすると、そういうふうな予算編成のやり方は法務省では無理なんです。
人件費がほとんどですし、物件費も事件関係のものが多いので、そういったような枠でシーリングはめて行うというのは、予算編成としてはほとんど裁量がないので無理だと思うんですけれども、そこの辺りのところは、やはり政治主導でここは分けて考えるというような予算編成のやり方をしていく必要があるのではないでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 中村委員の御指摘は、まさに私ももっともだというふうに思います。それぞれの省庁の予算の中身というのはそれぞれの省庁の特徴というのがあって、政策的な官庁であれば政策的な経費というものがあって、それに対する枠のはめ方というのと、そういうところでない法務省のようなところの枠のはめ方というのは違いがあってしかるべきだというふうには思います。
ただ、これも長年の経緯の中で、一律的にやらなければ物が進まないというようなことで進められたこともありますので、今委員の御指摘の点はまた改めて、私の方からも閣内で理解が得られるように努力してまいりたいというふうに思います。

○中村哲治君 時間がないので、次にダルクについて伺います。
奈良ダルクに行ってまいりまして、そこでお話を聞かせていただくと、奈良出身者の人というのは極めて、むしろ少なくて、全国から集まってこられているというふうにお聞きしております。
そこで、質問の順番を少し変えまして、厚生労働省にお聞きしたいんですけれども、生活保護や医療保険などについては住所がどこかによって負担する自治体が異なります。全国的にこのような取組を行っているダルクに人が集まってくるわけですから、そういうことを考えると、生活保護をその場所の自治体で負担をしないといけないということになってくると、その自治体からもうダルクさん出ていってということになりかねないわけです。
こういったところで、その生活保護の在り方について費用の負担、ここはどのようになっているでしょうか。

○大臣政務官(津田弥太郎君) 中村委員にお答えを申し上げたいと思います。
生活保護の問題、それから健康保険、いずれも所在地ということになっているわけでございます。そこをいろいろこう、御指摘のように、前の住所のところにとかいうことがあるわけですが、それもまたいろいろ課題が出てくるんではないのかなと。
対応の仕方としましては、御指摘のダルクさん、これは民間の支援団体として活動されておるわけでございますが、その皆さん方の活動というものを制度的にどう位置付けるかということがまだ全くなされていないというところに問題があるのではないかと。そこは厚生労働省として制度上の位置付けができないか、制度上の位置付けがしっかりできれば、また医療の問題あるいは生活保護の問題についても対応が違ってくるんではないのかな、その辺が大きな課題となっているように思います。
御指摘の刑務所に入る前の住所のところに生活保護の申請をさせるというのはなかなか難しいことでありまして、その点は是非御理解を賜りたいと思います。

○中村哲治君 時間が参りましたので、まだ聞きたいことはありますけれども、これで質問を終わります。ありがとうございました。

○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。
本日は、私の質問時間四十五分ございますけれども、今十一時半でございますので、十二時まで三十分間、そして休憩と衆議院の会議を挟んで二時からまた十五分、私の方から大臣に質問をさせていただきたいと思います。昼休みを挟んで午前と午後とで質問をさせていただくわけでございます。
今日は刑法、また薬物犯罪の刑の一部の執行猶予に関する法案の審議でございますが、私、この法案をこの時期に出すことについては、若干違和感というか大変不安を感じています。と申しますのは、被災地の現状からでございます。
私、福島県でございますけれども、福島県、今被災をして、そして放射線の風評被害等が非常にきつくて、企業も県外に移転をしております。県民の雇用が非常に厳しい中で、刑務所から出所してくる方をまた増やすということで、その就労先が確保できるのであろうかといった点でありますとか、平常時であれば、刑務所からまた早く出所していただく方を早く社会復帰していただくように社会として温かく受け入れていく努力をすべきものと思いますが、現状、被災地では、特に福島県では放射能の不安におびえながらの緊張した精神状態の中での生活を続けておりますので、そのような余裕が持てるかどうかということでありますとか、はたまた保護司の数の問題、今委員からも質問がございましたけれども、津波等で減少、さらに避難区域から保護司そのものが避難をしているという現状の中で、刑務所からの出所者が増えてくるということで大丈夫なんだろうかということ、さらには、毎回私この委員会で質問をさせていただいておりますが、警戒区域内の空き巣等の犯罪が激増して、それが止まりません。
何度も国家公安委員長の方にも要請しているわけでございますが、こういった治安悪化が懸念される状況の中でまた更に刑務所からの出所を早くするということを、今平時でなくて被災地は緊急時でございますので、そのような中でこの法案を提出してこられて審議をするということで、被災地としては、被災地の現状を分かっていただけてないのではないか、非常に置き去り感、忘れ去られ感というものを感じます。
以下、一つ一つ質問をさせていただきたいと思うのですが、その前に大臣にお願いをしておきたいことがございます。
大臣には、私は十月二十七日に大臣の所信に対する質問をさせていただきました。十月二十七日といえば、大臣が御就任になってから二か月が過ぎようとしている期間でございました。私は、民主党になってから五人目の大臣でいらっしゃいますけれども、平均の就任期間がそれぞれ半年に満たないという中で、二か月を過ぎようとしているときに所信をしてその質問をするという、国民の代表である国会議員の質問を二か月余りたってから初めて受けるということに対して苦言を申し上げたところでございます。やはり大臣がどのような御意見を持っておられて、そしてどのような法務行政を執行していくのか、そういうことについて御意見をお聞きをし質問をしたいというふうに思っているわけでございますし、また、それに対してお答えになったことをどのように行政に生かされているかということをこの委員会で確認をしていきたいと思っているわけでございます。
所信表明のときには、大臣に初めてお会いするわけでございますので、週刊誌等で取りざたされておりました大臣の秘書官の二重給与の問題も質問させていただきました。過去に公金を五百八十二万円も詐欺で取得した、詐取したという前科のある方を秘書に採用し、その翌日には秘書官に採用し、法務大臣室という大変国家の中枢の場所にやすやすと入れてしまったということが国民の信頼を失うのではないかということ、そして、その秘書官の給料は国民の税金から約百五十万円も支払われましたが、前科があるということが指摘をされてから一か月間もそのまま秘書官をされておられたと、大臣が首にしなかったということについても質問をさせていただきました。その質問に対する答弁が全く納得のいかない誠意のないものでありましたので、私は、本日は真面目に答弁をしていただきたいということをお願いを申し上げます。
衆議院の法務委員会の稲田朋美委員もおっしゃっておられました。野党時代のあの生き生きとした大臣は一体どこに行ってしまったのですか、もう別人とおっしゃっておられましたけれども、是非大臣、野党時代の大臣の生き生きとした感覚を取り戻していただいて真面目に向き合っていただきたいし、この委員会は国民が見ております、インターネット等で中継しております、その国民に向かって心を打つような、私は法務行政をこうしていく、そういう答弁をお願いしたいと思います。
我が党の丸山委員からは、前回、そしてその前も尖閣諸島の問題について質問をさせていただきました。それについても、ぬかにくぎというか、きちっとした答弁が得られませんでした。この尖閣諸島の問題は、松本前参与が、あのときの釈放は仙谷元官房長官、そして菅前総理の政治家が行ったものだという大変重い発言があったことを受けての質問でございましたが、単にそのような事実はないと承知しておりますという答弁だけで、承知している理由も分からないし、それについてどう思われているかも分かりませんでした。本日は、大臣には真面目に向き合って答弁をしていただきたいということをお願いを申し上げておきます。
さて、それでは、本法案の被災地における問題でございますけれども、まず保護司の問題でございますが、被災地域を管轄する保護観察所、盛岡、仙台、福島でございますけれども、被災地の保護観察所においては被災等により多数の保護司が活動困難な状態に陥っております。同じような問題ですけれども、民生委員の方なんかも津波でたしか約四十五人お亡くなりになったと聞いておりますが、保護司についても同じような状況がございます。つまり、行政を平時であれば支えている、そのような民間の活動が機能しない状態になっているのでございます。
そういう中で、政府は、被災地においてこの保護観察処遇の体制をどのように構築をしていくおつもりなのか。この法案が施行されたならば、被災地のダメージを構築し、さらには今他の委員からも指摘があったとおり、平時であっても非常に厳しい保護司さんたちの処遇の問題の解決に向かってどのように構築していくのか、非常に重大な問題だと思います。被災地における保護司の活動の確保について、御答弁を大臣からお願いいたします。

○国務大臣(平岡秀夫君) お答え申し上げます。
今、森委員の方から、被災地域における保護司さんたちの大変厳しい状況ということでお話がありました。我々も、被災地においては十人の保護司の方々が亡くなられたほか、多数の保護司の方々の家屋が損壊するというような事態も発生しておりまして、多くの保護司の方々の活動が困難な状況になってきているというふうに承知しているところでございます。
そのために、現在の対応という点について言えば、活動困難となった保護司さんたちが担当していた保護観察等の事件というものを保護観察官が直接担当するというような対応を取らさせていただいておりまして、その体制を確保する必要があることから、現在、被災地域を管轄する盛岡、仙台、そして福島の各保護観察所に全国から七人の保護観察官の職員を派遣しているところでございます。
さらに、保護司を始めとする民間協力者に対する活動再開に向けた支援の必要性なども考慮いたしまして、被災地域四か所に保護観察官が常駐して保護観察処遇等を行うための保護観察緊急拠点の設置を予定しているところでございます。
そして、今後のお話ということになりますけれども、被災地域における業務負担というものが非常に大きくなっておりますので、来年度予算要求におきましては、活動困難な保護司の方々の数、あるいは被災地における保護観察事件等の件数、それから保護司を始めとする民間協力者に対する活動再開に向けた支援の必要性などを考慮いたしまして、保護観察官二十五名の増員を、これは五年間の時限措置ではありますけれども、要求をさせていただいているということでございます。
我々としては、この要求が実現できるように最大限の努力を行ってまいりたいというふうに思っておりますので、委員の皆さん方の御理解と御支援を賜れれば幸いに存ずる次第でございます。

○森まさこ君 ちょっとお伺いしたいんですけれども、現在の被災三県の保護観察官の数を教えてください。

○国務大臣(平岡秀夫君) 合計七十一名でございます。

○森まさこ君 三県で七十一名のところに七人増やして一体どれだけの負担が軽減できるんですか。今一人当たりの保護観察官、一体何人の保護観察対象者を受け持っているんですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今私の手元で持っているものでいきますと、被災三県のうち、太平洋側沿岸部に所在し津波により家屋が流失するなどの特に被害が大きかった地域における保護観察等事件係属件数は約九百五十件でございます。

○森まさこ君 九百五十件を七十何人で見ているんですね。全国の平均でいうと、保護観察官一人当たり四十人以上の対象者を見ているわけです。大変な負担で、保護観察官の絶対数が不足をしていると言われています。そこに、被災地にたった七人派遣をしても焼け石に水だと思います。
例えば、福島県の場合には、警戒区域内の、これはもう入れないわけですからね、保護司さんはお亡くなりになったり避難しているわけです。警戒区域内の保護観察対象者も避難しているわけです。その方たちが今どのように保護観察を受けているか、説明してください。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘になられたように、保護司の方々、活動が困難となっておられる方々として大勢の方々がおられますけれども、我々が把握しているところによりますと、福島保護観察所管内では、活動等困難となっている保護司の方々は二百六十五名ほどおられるわけでございます。
そういう状況の中で、先ほど申し上げましたように、保護司の方々については全部が全部動けなくなっているというわけではございませんけれども、直接保護観察官が担当をするという仕組みの中で今活動を行わさせていただいているということでございます。そのために必要なものとして、全国から七人の保護観察官を応援をするために派遣をしているということでございます。

○森まさこ君 今大臣がおっしゃったように、ほかの保護司さんが見ているわけですよね。
ところで、保護観察というのはやはり継続的な取組の中でその者の社会復帰を支援していくわけでございますので、緊急時だからやむを得ないとはいえ、担当が替わったり、それから通う場所が変わったりして、今までと同様の効果が得られるかどうか、非常に難しい状態にあると思います。
そのような中で、更にこの本法を施行して刑務所にいた方を早く社会内処遇をするということで、その保護司さんたちの負担、それから本当に社会内処遇の効果が得られるのかという点で非常に疑問があるんですけれども、大臣はどのようにお考えですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 確かに、委員が御指摘のように、今こういう状況の中で新しい制度を導入するということについての戸惑いといいますか、準備不足という点もあり得るのではないかというふうに思いますけれども、我々としては、今回のこの一部執行猶予制度の導入については三年以内での施行ということを考えているわけでございまして、その期間内にはそうした被災地域のことも十分に配慮した体制というものをしっかりとつくっていくという覚悟で臨んでいきたいというふうに思っております。

○森まさこ君 大臣、今三年以内の施行とおっしゃいましたね。成立してから三年以内の施行であって、そしてその被災地の状況には十分配慮した時期に施行するというふうに受け取ってよろしいですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 施行時期そのものは、今回の法案で三年以内ということでございますからその枠内でありますけれども、被災地の状況というものは施行の期日においてもしっかりと配慮してまいりたいと思いますし、その体制整備についても、被災地の状況というものをしっかりと踏まえた体制整備をその期間の中でやってまいりたいというふうに思っております。

○森まさこ君 それでは、次の質問に移りますけれども、何度もこの委員会で質問をさせていただきまして、前の大臣のときから質問をさせていただいておりますけれども、福島地検のいわき支部が震災直後に退避した問題でございます。
今回、この法案は、刑務所出所者、これを刑を一部執行猶予して、今まで三年間であったものを二年間の懲役にして、あとは社会内に出すと、社会内に処遇するということで、その法の立法趣旨というのは何なんですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほども質問の中でお答えしておりましたけれども、初入者あるいは薬物犯罪の関係について言えば、刑務所の中で処遇した後、やっぱり社会内における処遇というものが再犯防止あるいは改善更生につながっていくという視点から、一部執行猶予という形で、執行猶予期間の中においていろいろな処遇プログラムというふうなものを必要に応じて用意することによって社会復帰を果たしていくということを目指したものだと、主な目的としたものだというふうに理解をしております。

○森まさこ君 今大臣は、この法の立法趣旨は再犯防止とおっしゃいました。再犯というのは犯罪を犯した者がもう一度犯罪を犯すことでございますけれども、私はもうその言葉を聞いて本当に憤りを覚えるわけです。
つまり、被災地で震災直後に福島地検が勝手に被疑者を多数釈放して再犯が行われたんですよ。そのことについて、何回も質問していますけれども、きちっと反省もしないで、きちっと総括もしないで、処分もしない、今後どうするかも答えないで、再犯者を自分で出しておきながら法務省は再犯防止のための新法を出しますとぬけぬけと言うことに対して、私たち、日々被災地の治安悪化におびえながら、このようなことを国家機関にされた被災地の人間としては憤りを覚えるんです。
本日、皆様のお手元に資料をお配りしております。資料の二枚目ですけれども、これは震災直後に福島地検いわき支部が、いわき市は避難地域でもないのに市民を置き去りにして国家機関である検察庁が先に逃げて、その前提として被疑者を釈放したというその件数でございます。
いわき支部で十二名釈放されておりますが、これはいつ釈放したんですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 釈放をした期日は、三月十四日月曜日に被疑者の釈放を開始したというふうに承知をしております。

○森まさこ君 なぜ釈放したんですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 釈放をした理由という点について言えば──失礼しました、先ほどの釈放の件でありますけれども、いわき支部については十五日からということでございます。私が申し上げたのは福島地検の本庁において釈放したのが十四日ということで、訂正させていただきたいというふうに思います。
そして、被疑者釈放についてでありますけれども、被疑者の身体の安全の確保等に配慮しながら、個々の事案の内容や捜査の進捗状況等を鑑みて身柄拘束を継続する必要性がないと各検察官が判断した者について釈放をしたということでございます。

○森まさこ君 ほとんど全部釈放したんでしょう。今の理由は何ですか、紙を読んだだけで、形式的なことを言って。前もそうですけれども、だから大臣の答弁は誠意がないというんですよ。
この中で、いろんなこれ罪名が書いてありますね。建造物侵入は本庁ですけれども、いわき支部、強制わいせつが一人ですよ。この方、本当に今おっしゃったような事情を見て処分未了のまま釈放する理由があったんですか。女性を手錠をはめて性行為に及んだという、そういう方ですね。それから、傷害二名、重い罪じゃないですか。窃盗が四件ある。道路交通違反が一件、覚せい剤取締法違反は四件ですね。
このうち再犯を犯した者がいますね。どの罪名の方ですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほど委員が全員釈放したのではないかというお話がありましたけれども、いわき支部につきましては被疑者十六名のうち十二名について釈放したと。そして、二名については被疑者として釈放しましたけれども、別件の起訴後勾留を継続をしたということでございます。
先ほど、再犯に及んだ者は誰なのかということのお話が、どの部分なのかというお話がございました。いわき支部においては、覚せい剤取締法違反の者が一人ということでございます。

○森まさこ君 その覚せい剤取締法違反の方はどのような再犯を犯したんですか。その再犯の罪名です。

○国務大臣(平岡秀夫君) 釈放後に覚せい剤を自己使用、所持したというふうに承知しております。

○森まさこ君 今日出されている法案も薬物犯罪犯した方についてその再犯を防止するためにという御立派なことを言われておりますけれども、検察庁そのものがこのような治安を悪化するようなことを震災後に、私、先ほどほとんど全員じゃないですかと言いましたけど、十六名のうち十二名を十五日に釈放して、そのまま自分たちも庁舎を閉めて郡山まで逃げたんですよ。
郡山までいわき市から車で通常であれば約一時間ですけれども、そのときにいわき市の中はもうガソリンもない、マイカーがあっても、自分たちは避難したくても避難できない状態で、水もなく、食料もなく、治安が悪化してたくさん泥棒がいたんですよ。
私、昨日かな、いわき市のら・ら・ミュウという物産館が津波でめちゃくちゃに壊れたんですけれども、やっとリニューアルオープンしたのでその式に行ってきましたが、その当時、震災直後、私、ら・ら・ミュウに行ってみましたら、震災で壊れているから中に出入り自由なんですよ、金庫でも何でも。そこにたくさん泥棒がいて、私はすぐ警察に通報したけれども、もう警察も手いっぱいでどうしようもない。そんな状態の中で検察がいなくなっちゃったんですよ。送検できないんですよ、警察は残っていたんですから。何で国家機関が避難地域に指定していないところから逃げる。その逃げるために、邪魔だから被疑者を釈放したんじゃないですか。
この問題について何回も質問していますけれども、大臣の前回の答弁は、何でこれを避難をした、地検が避難をしたかというのは、余震が多くて断水だったからなんと言っていますけれども、余震が多くて断水なのは住民も同じなんです。住民はそのときに避難させてもらっていないんですね。これに対して私は大臣のきちんとした答弁をいただきたい。どういう理由で庁舎を移したのか、そして、そのことについて今どのように評価をして、どういう関係者の処分をして、今後どのようにするという指示を出したのか、しっかりと御答弁をいただきたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 福島地検のいわき支部が一時的に閉庁した経緯については、これもたしか御答弁申し上げたような記憶はありますけれども、検察庁法第二条によりまして検察庁は裁判所と対応してその事務を行うこととされているのでありますけれども、福島地裁から一時的に地裁のいわき支部の執務場所を変更したいという申出を受けまして、それを受けた後の協議した結果として、地裁いわき支部の執務場所の変更に合わせて地検いわき支部の執務場所を一時的に変更したというふうに承知をしております。
そういう状況ではありますけれども、今委員が言われたように、執務場所を一時変更するに当たっては、関係機関との連絡調整、これは上級庁あるいは警察等との関係でありますけれども、必ずしも十分な緊密な連携が取れていなかった懸念もあるわけでございまして、その点については私の方からも、震災後の混乱に乗ずるような犯罪については厳正に対処をするとともに、今回の経験を生かして非常時の危機管理に万全を期していただくよう、検察長官会同等においても訓示を出させていただいたということでございます。

○森まさこ君 検察庁法二条を今お示しになりましたけれども、裁判所に対応してその執務を行うと書いてある、こんなことは理由になりませんよ。裁判所に対応してやるからといって、裁判所が逃げたらくっついていくんですか。検察の仕事は何なんですか、捜査を行うことじゃないんですか。そのときもういわき支部で捜査を行えないじゃないですか。検察庁法二条に本当にこれが該当する事例だとお思いですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 検察庁法二条には、それぞれの検察庁というのは各地方裁判所等に対応して置くという仕組みにはなっておるわけでございますけれども、今委員は捜査の関係のことも言われました。
捜査の関係については、特に釈放の問題でこれまでもるる御指摘があったわけでございますけれども、捜査の進め方、あるいはどこまで捜査ができるのか、いつごろまでに何ができるのか、そのような判断も当時はさせていただいてこのような対応をさせていただいたというふうに思っております。
いずれにいたしましても、結果として地域住民の皆さんに不安を与えてしまったということでございます。そこの点については遺憾に思い、残念に思っているところでございます。

○森まさこ君 時間ですので、また午後に譲ります。

○委員長(西田実仁君) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時五分休憩
─────・─────
午後二時一分開会

○委員長(西田実仁君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。

○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。午前に引き続き、質問をさせていただきます。
民主党の委員の方が遅れていらっしゃいましたので、私の質問、二分ほど遅れてスタートさせていただきますけれども、午前中の大臣の答弁を聞いて私のところにたくさん反響がありました。何を言っているか分からないと、真面目さが感じられないということでした。
残念ながら、被災地で避難区域に政府が指定をしていないのに国家機関が住民を置き去りにして逃げた、その前提として多くの被疑者を処分保留のまま釈放したということについて、大臣がこれは真正面から、それはもう間違ったことをしたんだと、厳正に処分すると、責任者の誰これをこういう処分をしますと、そして今後は具体的にそういうことが繰り返されないようにこういう対策を立てますとはっきり言っていただければ、私たち被災地の者も、また同じことをされるんじゃないか、被災地は見捨てられるんじゃないか、そういう不安を抱かずに済むんです。
今でも警戒区域内で治安が悪化している状況の中で、このことは苦言を申し上げておきます。大臣にリーダーシップがないと思います。くしくも、今手元に来ました世論調査では、内閣の支持率が低下して、支持をしないが支持をするを初めて上回ったと。その理由は、総理は人柄が良さそうだが、リーダーシップがないということでございます。平岡大臣は、人柄は存じ上げませんが、リーダーシップがないということを申し上げておきたいと思います。
最後の質問に入りたいと思います。
オウム事件で、一連の事件の死刑判決が確定をしました。このことに対して大臣が、一般論だが慎重に判断していかなければいけない問題だと、死刑の執行について述べておられます。それはどういう意味なんでしょうか、お答えください。

○国務大臣(平岡秀夫君) 一般論として死刑の執行の問題についてこれまでも答弁をしてきておりますけれども、死刑の判決は、極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対し裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡すものでありますので、法務大臣としては、裁判所の判断を尊重しつつ、法の定めるところに従って慎重かつ厳正に対処すべきものと考えております。そういう趣旨を申し上げたつもりでございます。

○森まさこ君 オウム事件のときにおっしゃったことで、オウム事件、大変反社会的な重大な事件でありました。高橋シズヱさんがずっとこの国会にも通われ、そして裁判も何百回も傍聴されたと伺っております。
大臣の所信表明には、犯罪被害者に対する施策がありませんでした。私はそのことも指摘をさせていただきましたが、本日、委員の皆様のお手元にお配りをした読売新聞の「論点」に、全国犯罪被害者の会前代表幹事の岡村勲弁護士が書いておられる記事をお配りいたしました。これは岡村さんが法務委員の皆様へという手紙とともに私のところに送られてきましたから、きっとこの部屋にいる法務委員の皆様のお手元にも、そのお手紙とともにこの新聞記事は届いているものと思います。
ここに書いてありますけれども、「死刑に反対する人たちがいることも事実である。」とした上で、「しかし、死刑囚が被害者を殺害したときの残虐非道さは絞首刑の比ではない。」とも書いてあります。そしてさらに、「無期懲役以下の刑罰の執行は検察官が指揮しておこなうが、命を奪う死刑は法相の命令でおこなう。そして死刑執行命令は、判決確定から原則として六か月以内でなければならない。これは法相の義務であって、自分の思想信条に左右されることは許されない。」というふうに書かれてあります。
民主党政権になって、死刑執行されていない数がまた増えております。千葉景子法務大臣はずっと死刑を執行されておりませんでしたけれども、選挙に落選をされて民間の大臣となった後、二名だけ執行してすぐお辞めになったので、なぜ執行したのか質問する機会もなくお辞めになってしまわれました。死刑執行と同時に死刑場を公開したので、死刑場を公開したいから執行したのではないかと私は質問をしたかったんですけれども、思想信条に左右されることがあってはならないと私も思います。
大臣はこの点についてどうお考えになりますか。

○国務大臣(平岡秀夫君) これまでの歴代の法務大臣の方々の中には、思想信条で死刑の執行について執行しないという判断を示されておられた方もおられたというふうに記憶はしておりますけれども、私自身は自分の思想信条で左右されることはあってはならないというふうには思っております。
ただ、これもこの委員会でも申し上げてまいりましたけれども、一方で死刑制度の在り方について国際的な動向の中でも議論が行われているという状況があるわけでございまして、その状況についても我々としてはしっかりと受け止めて、これに対してどう対応していくのかということについても議論をしていかなければいけないと、このように思っております。
そういう意味でいきますと、千葉元法務大臣が死刑の在り方についての勉強会というものを設けられて、国民的な議論の契機にしていきたいということで始められたわけでございますけれども、私もその千葉大臣の考え方を踏まえて、死刑制度についての議論はしっかりと行っていく、一方でしっかりと行っていくということも大事であると。ただ、そのことによって、個々の死刑の執行について、それが、勉強会が結論を出さなければ、あるいは勉強会が終わらなければ結論が出せないというものではなくて、個々の執行については死刑が極めて重大な刑罰であるということを踏まえて個々に慎重に考えていかなければならないというふうに考えているところでございます。

○森まさこ君 大臣、今の答弁はちょっとずるいんですね。勉強会のことをるる述べておられましたけれども、勉強会は勉強会でやっていただいてもちろん構わないと思うんです。ですから、答弁にそのことを述べる必要ないと思うんです。そして最後に、勉強会とは個々の執行関係ないとおっしゃる。勉強会はしっかりやっていただいて、個々の執行はやるんですから、関係のない答弁をしていただかないでいただきたいと思います。
内閣府が実施した直近の意識調査では、国民は死刑を容認するという者が八六%を占めております。そして、大臣が所信にもお書きになっていない犯罪被害者の方々は、本当に長い裁判を経て、そして死刑判決が出て確定しているにもかかわらずなかなか執行されないという、そういう苦しみの中にいるんです。
この岡村さんの最後の言葉に、「職責と義務を果たさない法相」と書いてありますけれども、この言葉を私からも申し上げて、時間になりましたので質問を終わらせていただきます。(発言する者あり)

○委員長(西田実仁君) 不規則発言は控えてください。

○松下新平君 自由民主党の松下新平です。
私は、これまで農林水産委員会、経済産業委員会、そして総務委員会に所属してまいりまして、今回新たに法務委員会に参りました。法務委員会では初めての質問となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
法務委員会といいますと、法曹関係の委員の方、専門用語のやり取り、またそれぞれの委員の方の持ち味で格式の高い質疑がなされるというのを実感をいたしました。私も数回委員会に参りまして実感すると同時に、やはり法務大臣の発言、答弁が、今日も指摘されていました、被災地の皆さんに対する誠意が足りない、また尖閣中国漁船問題に対する法務大臣の見解と申しますか、度々、委員からの質問に対してオウム返しのように答弁なさっている姿を見て、私は本来の平岡大臣の姿ではない、このことを同時に思った次第であります。
法務大臣は指揮権の発動が与えられ、また、お話がありましたように、死刑執行権も与えられている。そういった意味では、閣僚の中でも大所高所からの判断が求められます。また、一目置かれる存在でなければならないのではないかなというふうにも考えております。そういった意味で、平岡大臣、臨時国会、これからまた通常国会、移りますけれども、是非、本来の平岡大臣の持ち味の答弁を期待したいと思います。
西岡前議長もあえて異例の定例会見を開かれていらっしゃいました。民主党の御出身です。もちろん、三権の長としての立場をわきまえて判断されたと思いますが、何で議長自らああいう発言を定期的にされたか、黙認することが歴史の審判に堪えられない、そういう政治判断があったと私は解釈をしております。是非、西岡前議長が病に侵されながらも体を張って訴えてこられたこと、このことも法務大臣として是非今後の答弁につなげていただきたいというふうに冒頭お願いしたいと思います。
それでは、本日の議題であります二法案について随時質問いたします。
私からは、昨日、合計十項目にわたって質問通告をいたしましたけれども、午前中、刑事責任の評価が現行制度と比べて変わるおそれについて、これにつきましては重複しておりますので割愛したいと思います。また、若干重複している部分もございますが、違う角度からの質問もありますので、随時質問をしてまいりたいと思います。
それでは、まず、過去最悪を記録している再犯者率に対する法務大臣の所感をお伺いいたします。
我が国の再犯者率は平成九年から一貫して上昇し続けており、犯罪者全体の三割の再犯者によって約六割の犯罪が行われている状況にあります。そして、今月十一日に公表された平成二十三年版犯罪白書によりますと、昨年の再犯者率四二・七%、それと再非行少年率三一・五%は過去最悪を記録しています。また、刑務所に入るのが二回目以上となる再入者は入所者全体の五六・二%を占め、再入者のうち約二割が五度目以上の入所者となるなど深刻な累犯受刑者の実態が明らかとなっています。
法務省は、昨年二月に再犯防止対策推進会議を設け、同年八月に中間まとめを出されるなど対応に取り組んでいるようではありますが、法務大臣としては、この再犯者率が過去最悪を更新している現状について、どのように受け止めていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今、松下委員の方から、いろいろな数字も挙げていただいて、再犯の状況あるいは再犯者の状況について御発言がありました。まさにそうした数字を見てまいりますと、再犯をめぐる情勢というのは大変憂慮すべき状況に依然としてあるというふうに認識をしております。
そういう意味でも、今回の法案については、この再犯を防止していくという、そういう視点をしっかりと踏まえた法案として提出させていただいていると思っておりますので、是非真摯な御議論をお願い申し上げたいというふうに思います。

○松下新平君 次に、一部執行猶予制度創設の意義についてお伺いいたします。
国民が安全、安心して暮らせる社会づくりのためにも再犯防止策を積極的に推進する必要が改めて浮き彫りになっていますが、今回の法案は再犯対策として、刑務所ではなく、社会内で犯罪者の更生を図る社会内処遇に重点を置いた点で処遇の在り方を改めるものと言えます。しかし、一部執行猶予制度により、これまで全部実刑であった者の刑が一部執行猶予となり、従来の期間よりも早く釈放される可能性があるという点で被害者や国民感情としては不安を抱く可能性もあります。
そのような国民の不安を払拭するためにも、一部執行猶予制度は、犯罪者の再犯防止、改善更生にどのような有効な制度であり、またその実効性をどのように確保するのか、法務大臣から分かりやすく御説明を願います。

○国務大臣(平岡秀夫君) お答え申し上げます。
まず最初に、有効性の観点でございますけれども、現行刑法では刑の言渡しの選択肢というのは、御案内のように、全部実刑か全部執行猶予のいずれかしか存在しないという状況にありますけれども、犯罪をした者の再犯防止、改善更生を図るためには、施設内処遇後に十分な期間にわたって社会内処遇を実施することが有用な場合があるというふうに考えられます。
そういう立場に立って、裁判所においては、宣告した刑期の一部を実刑とするとともに、その残りの刑期の執行を猶予することにより、施設内処遇に引き続いて必要かつ相当な期間、刑の執行猶予取消しという心理的な強制というものを付すことによって、社会内における再犯防止、改善更生を促すことを可能とすることが有効であるというふうに考えております。
もう一点、実効性の確保という点でありますけれども、先ほど申し上げましたように、刑の執行猶予取消しによる心理的強制自体、実効性を確保するために有用であると思いますし、さらにいわゆる初入者については、初めて刑務所に入る人については、必要に応じて保護観察を付すことができるということになっておりますし、さらに薬物使用等のいわゆる累犯者については必ず保護観察を付すということとしておるところでございます。そして、保護観察付きの一部執行猶予を言い渡された場合には、先ほど言いました初入者については、保護観察の下で個々の問題性に応じた処遇を実施していくことにより対応する、さらには薬物使用等の罪の累犯者については、規制薬物等の乱用に係る犯罪的傾向を改善するための専門的処遇プログラムを受けさせるとともに、薬物依存の改善に資する医療や援助を行う機関等と連携することによりまして再犯防止、改善更生の実効性を確保することができるというふうに考えておるところでございます。

○松下新平君 続きまして、本法案の基となる法制審答申は、刑事施設の過剰収容問題を契機とした平成十八年の諮問を受け審議、作成されたものでございます。午前中でもこのことは指摘されました。これに対して民主党内からは、刑務所の事情による法改正では大義がないと異論が出たとの報道もありました。
実際、刑事施設の収容人員、収容率は、諮問当時に比べ下がり続けているようです。法務省としては、刑事施設の過剰収容対策という観点から今回の法案をどのように位置付けているのか、お伺いいたします。

○政府参考人(稲田伸夫君) お答え申し上げます。
まず、収容率といいますか、収容状況から御説明申し上げますと、最も過剰収容と言われた時期でございます平成十七年当時、刑が既に確定している既決の収容率は全国で一一六%でございました。それが昨年の段階で、これはいずれも年末の収容人員の収容率でございますが、九〇%ということでございまして、相当程度収容の状況は変わってきているのは事実でございまして、過剰収容と言われる状態はかつてに比べれば幾分緩和されているというふうには考えられます。ただ、現実問題としては、九〇%という収容率はやはりかなり高い状態でございまして、状態としては厳しいものというふうには思っております。
そこで、先ほどのお話のございました今回の法整備との関係でございますが、平成十八年に法制審議会に諮問した際に、諮問といたしましては、被収容人員の適正化を図るとともに、犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進するという観点から、刑事施設に収容しないで行う処遇の在り方等についてということで諮問をしております。
このように、契機といたしましては収容状況というのがあったわけでございますけれども、その解消自体を目的とするものではなくて、先ほど申し上げましたように、犯罪者の再犯防止及び社会復帰を促進すると、そのことをまず主眼に置いて、社会内処遇の在り方をも含めた対策を検討するということで行ったものでございます。また、そのようなことを実施していくことが、長期的視点に立ちますと、再犯の抑止によりまして適正収容の実現につながるものというふうに考えていたところでございます。

○松下新平君 次に、一部執行猶予制度適用の判断要件、裁判所が適切に制度を運用するための判断材料についてお伺いいたします。
まず、制度の判断要素として、初入者の一部猶予制度を適用する判断の要件は、法律上、三年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けた場合に、犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、再び犯罪を防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められるときと定められ、薬物使用者の一部猶予制度の要件は、初入者の一部猶予制度の対象以外のものであっても、三年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受けた場合においては、犯情の軽重及び犯人の境遇その他の情状を考慮して、刑事施設における処遇に引き続き社会内においても規制薬物等に対する依存の改善に資する処遇を実施することが再び犯罪をすることを防ぐために必要であり、かつ、相当であると認められるときと定められています。しかし、これらはかなり抽象的な要件であり、実際の判断の大部分は個々の裁判官の裁量に委ねられることになります。
しかも、一部執行猶予は、宣告刑、猶予刑の刑期、猶予期間、さらに保護観察の有無まで含めれば、四つの量刑判断を行わなければならず、特に猶予刑や猶予期間の判断に当たっては個別予防的な事情の考慮が重要となります。
このような複雑な構造と判断を要する制度について、果たして今の刑事裁判に出てくる材料のみで裁判官が適切に運用できるだろうか、判決時点で裁判官がその先まで見越した保護観察や執行猶予を判断するためには判決前調査のようなものがあった方が望ましいという意見もございますが、大臣の見解を伺います。

○国務大臣(平岡秀夫君) まず、裁判官が適切に判断、運用できるのかという点についてでございますけれども、刑の、量刑に当たりましては二つの観点、すなわち被告人に対し刑事責任に見合った刑を科すという観点、もう一つが被告人の再犯防止、改善更生を図るという観点、これらが重要な判断要素となってくるわけでございます。刑の一部執行猶予の言渡しにおいても、これら二つの観点が重要な判断要素となって刑の量定が行われることに変わりはございません。
他方、この一部執行猶予の判決がなされるものについて申し上げますれば、判決として三年以下の懲役、禁錮という上限が設けられておりまして、刑の執行後に社会内処遇を行うことの当否、あるいは社会内処遇のための期間というのはどの程度のものが相当かについて予測的判断が困難であるとは言えないというふうに思っております。
さらに、手続的に申し上げれば、一部執行猶予の言渡しがなされるべきか否かが問題となる事案の審理では、検察官そして弁護人が、事案の内容に応じて、被告人の生活状況、監督者の有無やその見通しなど、関連する情状事実を主張、立証することになると考えられます。そういう下で、裁判所は必要な事実関係を基に刑の一部執行猶予をすべきか否かを判断することができるというふうに考えております。
このようなことから、裁判所が刑の一部執行猶予を言い渡すべきか否かの判断をすることは十分に可能であり、適切に運用することができると考えているところでございます。
判決前調査制度につきましては、一般にこの制度というのは、調査官という立場の人たちが刑の量定に関する情状を調査して裁判官に報告をする制度であるというふうに考えられておりますけれども、このような制度を導入しなくても裁判所において刑の量定をすることは十分可能と考えられます。それに加えて、我が国の刑事司法手続においては、このような制度を導入しているアメリカのように有罪、無罪の認定と刑の量定とを区別された手続で行っていないということとか、あるいは現行実務におきましては、情状の立証というのは自由な証明で足りるとされているものの、その証拠を法廷で取り調べ、当事者にどのような内容のものが調べられているかを明らかにすべきであるという程度のことは必要とされているほか、一方、当事者が不同意した書証について、自由な証明であるという理由のみでこれを採用し取り調べることは必ずしも実務上行われていないといったようなことなどを踏まえますと、現行の刑事訴訟法、刑事手続等との関係で調整を要する問題点が少なからずあるというふうに考えております。
そういう視点からは、判決前調査制度の導入については慎重な検討が必要であるというふうに考えているところでございます。

○松下新平君 様々な意見も寄せられていますので、そこら辺も踏まえて運用に当たっていただきたいと思います。
続きまして、裁判所の適切な判断に資するため、あらかじめ施設内や社会内でどのような改善指導や処遇プログラムが適用されているのか。また、一部猶予制度を使ってどのような社会内処遇が見込まれるかといった情報が矯正や更生保護の側から提供される必要があると考えますが、どのような検討がなされているのでしょうか。法制審の部会では、事務当局から、一部猶予制度が実施されることになれば、処遇内容の策定あるいは実施に当たって必要な体制準備が整った段階で裁判所に説明し、協議させていただきたい旨の発言がなされていますが、検討はどのようになっているでしょうか。

○政府参考人(青沼隆之君) お答えいたします。
刑の言渡しを行う裁判所の適切な判断に資するためには、矯正施設内あるいは社会内の処遇の実情に関する情報を提供して十分な理解を得ることが肝要であるというふうに認識しております。
保護観察所におきましては、平素から裁判所と定期的に協議会などを開催するなどして、新しく開発した処遇プログラムの内容などを含めまして、更生保護制度に関する情報を実際に提供いたしております。今回の一部猶予制度の導入に当たりましても、矯正施設も交えて裁判所と協議の機会を持つことによって、あらかじめ裁判所に対し必要な情報を提供するよう全国の保護観察所に指示することを考えております。

○松下新平君 次に、社会貢献活動の導入の意義と法的性格についてお伺いいたします。
今回、新しく導入が検討されています社会貢献活動は、保護観察対象者を社会に貢献させる活動に従事させ、自らが社会に役立つ活動を行ったとの達成感を得させたり地域住民等から感謝されることなどを通じ自己有用感を得させるなどして改善更生の意欲を向上させること等を趣旨とし、現在も同様の趣旨で保護観察所の中で任意に行われています社会参加活動を新たに更生保護法の特別遵守事項として規律するようなものだと承知しております。
しかし、法制審の部会では、この社会参加活動については対象者の改善更生にどの程度の効果があるのかについて具体的な検証が行われていないとの報告がなされていました。また、諸外国における類似の制度である社会奉仕活動も、当該活動を義務付けたものの再犯率は有意的な差異が認められなかったという研究結果も報告されていました。これは部会で報告されていました。
そこで、社会貢献活動を更生保護法の特別遵守事項として定める以上、違反すれば制裁措置を伴うので、事前に再犯防止の有効性に関する実証研究が行われた上で法案提出がなされるべきと考えますが、法務省はこの実証研究を行ったのでしょうか、御説明をお願いいたします。

○政府参考人(青沼隆之君) お答えいたします。
我が国では、本年度から社会貢献活動の先行実施を開始したばかりでございまして、再犯防止の有効性については今後検証していくということになりますけれども、諸外国の類似の制度に関する検証結果に鑑みますと、社会貢献活動による再犯防止効果はあるというふうに考えております。
諸外国の例として、イギリスと韓国における検証結果について若干御説明申し上げますと、英国では、無償の貢献活動、アンペイドワークというものを裁判所が命令することができるということになっておりますが、いわゆる指導監督のみを科した群と指導監督とプラスしてアンペイドワークの双方を科した群とを比較いたしますと、両方を科した群の方が再犯率が低くなっているというふうな結果になっております。また、韓国におきましても、同様、社会奉仕命令を履行した者の再犯率は保護観察対象者全体の再犯率よりも低いという結果が出ております。
ちなみに、現在我が国で行われております社会参加活動の実証のデータということになりますけれども、これは主に少年について実施している関係で、再犯率ということについてはなかなか難しゅうございます。そういう中で、一つの根拠となっておりますのは、保護観察をやりますと、成績が良好の場合には優良ということで保護観察を終了するということがあるんでございますが、その終了の率が保護観察処分全体の率よりも社会参加活動を行った少年に対する率の方が高いという結果が出ております。

○松下新平君 諸外国の例を参考にするのはいいと思うんですけれども、我が国もそれぞれの歴史、事情も違いますので、そこら辺の研究もしっかり行っていただきたいと思います。
次に、社会貢献活動の具体的な活動内容についてお伺いいたします。
まず、社会貢献活動は地域社会の利益の増進に寄与する社会的活動、これを行うものとされていますが、これは具体的にどのような活動を想定しているのでしょうか。また、社会貢献活動を保護観察の特別遵守事項の一環として義務付ける場合、対象者の改善更生のために特に必要な場合に付されるので、対象者の罪種と活動の内容の結び付きが必要になってくると思われますが、この点はどのような検討がなされているのでしょうか、お伺いいたします。

○政府参考人(青沼隆之君) お答え申し上げます。
具体的な活動の内容につきましては、午前中の審議の中でも御説明申し上げましたとおり、活動が行われる各地域の実情に応じて様々なものがあると考えられますけれども、例えば公共の場所での清掃活動、落書き消し、あるいは福祉施設における介護の補助活動、公園の緑化活動等が考えられております。
また、社会貢献活動を行わせることが適当な対象者といたしましては、善良な社会の一員としての意識の涵養が必要な者として、例えば暴走族に加入して道路交通法違反を行った者、それから不良集団での万引きですとか自販機荒らしなどを行った者などが考えられております。また、規範意識の向上が必要な者としては、道交法違反や大麻所持を繰り返した者等が想定されております。
今後、特定の罪種を含め、どういった対象者にどのような活動を行わせるのが適当かについて、本年度から開始した先行実施の中で検証を重ねまして、罪種とのマッチングについても検討してまいりたいと思っております。

○松下新平君 続きまして、社会貢献活動に福祉施設での介護活動を加えることの当否についてお伺いいたします。
現在、任意で行われています社会参加活動では高齢者等に対する介護奉仕活動が最も多く行われており、これは全体の三〇・九%だそうですけれども、社会貢献活動でも当該活動が多く行われることになると推測されますが、一方で、福祉関係者からは、介護は専門的な知識と技術が求められており、そのような仕事に保護観察の条件として活動を担わせるのは、介護職の自信と誇りをそぎ、国民にも誤解を与えかねない、このようなことが言われておりまして、福祉施設における介護活動を活動内容に加えることに反対する意見もあります。現場の福祉職員の方々は、必ずしも十分でない就労条件の中で、要介護者の尊厳を守り、自立を支援するために誇りを持って働いていらっしゃるわけで、社会貢献活動イコール介護活動というレッテルが世間に根付いてしまうことになれば彼らの職業意識を傷つけることにもなりかねません。
そこで、このような意見について法務大臣はどのような見解をお持ちか、伺います。また、もし社会貢献活動に介護活動を加える場合には、福祉施設の利用者の安全、福祉職員の職場環境や職業意識、福祉施設の地域社会における立場等についてどのような配慮をしていくおつもりなのか、併せてお伺いいたします。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘になりましたように、社会貢献活動の中で介護活動といったような点についての御指摘がある点は我々も承知しているところでございます。
ただ、我々としては、社会貢献活動というのは特別遵守事項として義務付けていくものであるということを考えますと、介護のような専門的知識、技術を習得しなければ従事できないといったような分野のものについては活動分野として適当ではないというふうに思っています。
そういう考え方に立ちますと、介護に従事している職員の方々が行っているような介護活動の本質的な部分というものをこの保護観察対象者に行わせるということを考えているわけではなくて、介護活動の補助的な活動、例えば車椅子介助の補助といったようなことは現在でも一般にボランティアによる活動支援が行われているということだというふうに承知しておりまして、そういった分野においての活動というものを社会貢献活動として考えているということでございます。
是非、この社会貢献活動の実施に当たりましては、福祉施設関係者の皆さんにもその意義を十分に説明し、御理解をしていただけるように我々としても努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
さらに、福祉施設利用者の安全等の確保についてでございますけれども、こうした社会貢献活動を福祉施設等において実施するに当たりましては、保護司の皆さんの協力も得ながら保護観察官が監督するということによって体制を整備し、事故の発生を未然に防止することが重要であるというふうに思っておりますし、万が一という事態もあり得ないわけではないと思いますけれども、そういうことに対しても対応できるように、福祉施設利用者等に損害を与えるようなことについての保険、何らかの保険に加入させるなどの方策も取ってまいりたいというふうに考えております。

○松下新平君 配慮をよろしくお願いいたします。
次に、社会貢献活動場所の確保についてお伺いいたします。
社会貢献活動が対象者の改善更生、再犯防止に役立つものとして機能していくためには幅広い種類の活動場所を確保する必要がありますが、現在の活動場所の確保状況はどのようになっているのでしょうか。さらに、これまで刑務所外で犯罪者を処遇する経験がほとんどない我が国では、活動場所を広げていくのは困難も多いと思われますが、受入れ機関やその利用者、地域住民に不安を与えない仕組みづくりについてはどのように考えているのか、お伺いいたします。

○政府参考人(青沼隆之君) お答えいたします。
まず、活動場所の確保についてでございますけれども、平成二十三年、本年の十月末現在において二百三十二か所の活動場所を確保している状況にございます。
次に、受入れ機関ですとか地域住民に不安を与えない仕組みづくりについて申し上げますと、御指摘のように、この活動をスムーズに実施するためには受入れ機関や地域住民に不安を与えないようにすることが極めて重要だと考えております。
そこで、まず一点目として、先ほど大臣の方からも御答弁ありましたとおり、事故の発生を未然に防止するということがまず第一でございますので、そのために監督に当たる保護観察官あるいは保護司さんを始めとする人たちに対して体系的、効果的な安全研修をすることを考えております。また、万が一の事態に備えて保険等の加入も考えているところでございます。
それから、活動先に対して社会貢献活動の趣旨や意義などについて丁寧な説明をするとともに、定期的な協議の機会をすることも考えておりまして、これらを通じて地域の関係者や住民の不安を解消して、その理解と協力を得られるよう努めてまいりたいと考えております。

○松下新平君 次に、社会貢献活動の監督体制についてお伺いいたします。
諸外国の社会奉仕命令制度では、刑罰としてではなく保護観察の条件として課せられる場合でも、社会奉仕が社会内においてスムーズに履行されるためには対象者の住所及び行動の把握が不可欠であるため、その活動の監督が最も困難かつ負担の重い作業と言われています。特に韓国では、保護観察所が活動の企画だけではなく全ての監督も行っているので、保護観察官に重い負担が掛かっているようです。また、アメリカ、イギリス、フランスなどは行動把握の一手段として電子監視も積極的に活用されています。
これに対し、保護観察官の絶対数が少なく、また電子監視の活用も困難な状況の日本ではどのような監督体制を構築していくつもりなのか、このことについてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(青沼隆之君) お答えいたします。
社会貢献活動は特別遵守事項によりまして義務付けるということで行わせるということになりますので、対象者が適切に活動に従事しているかどうかの監督、確認、その他活動の全般の管理につきましては保護観察官が行うことになります。そのほか、活動の場所ごとに指名された社会貢献活動担当の保護司さんの協力を得ながら行っていくということを想定しております。

○松下新平君 午前中の質疑でもありましたけれども、保護司に協力、監督を要請するということですけれども、ただでさえ通常の保護観察業務の大部分を背負っている保護司の皆さんですから、これ以上負担を掛けられるかどうか、このことも慎重に検討していただきたいと思います。
最後に、一部猶予制度、社会貢献活動の実施に当たり、保護観察の人員体制を強化する必要性についてお伺いいたします。
一部執行猶予制度の導入に伴い、保護観察に付されている対象者の増加が予想され、また社会貢献活動の実施においては、監督、サポートのための人員確保が求められています。
これに伴い、保護観察官や保護司の役割も一層重要になるため、これらの増員、適任者確保に一層の尽力を注ぐ必要があると考えますが、来年度予算に向けてどのような措置を講ずるつもりなのか、また予算獲得に向けた大臣の意気込みについても併せてお伺いいたします。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘のように、今回のこの刑の一部の執行猶予制度が導入された場合には、薬物事犯者を中心に保護観察対象者が増加することが見込まれております。そのほか、社会貢献活動の実施あるいは関係機関との連携ということで活動先の確保にも取り組んでいくということでございますので、保護観察官については仕事が大変増えてしまうという、そういう状況も我々としては覚悟しなければいけない、このように今思っております。
そういう中で、今回の法案については、先ほど来から申し上げておりますように、一部執行猶予制度については三年以内の施行、そして、社会貢献活動の導入については二年以内の施行ということでございます。成立後、その施行までの間に、関係機関や団体等とより一層緊密な連携を確保しながら、薬物依存のある保護観察対象者の増加や社会貢献活動の実施に伴う保護観察官の業務負担の状況も踏まえ、保護観察の実施体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。
ちなみに、保護観察官の増員の状況でございますけれども、平成二十三年度、今年度におきましては、現行法の枠内で社会貢献活動を実施するということで、先行実施、試行しているところがありますけれども、そういうことにも対応するということで、保護観察官六十三人の増員をしております。ただ、合理化減というのが二十九人ほどありますものですから、それを差し引きますと、純増としては三十四人の増ということでございます。
さらに、平成二十四年度概算要求においても、薬物依存のある刑務所出所者等に対する再犯防止対策の強化ということで、保護観察官六十二人の増員を要求しているところでございますけれども、御案内のように大変厳しい財政事情あるいは定員事情にございますので、なかなか私たちの力では十分に確保できないという点もあろうかと思います。
是非、委員会の先生方におかれても、御理解と御支援を賜るようにお願い申し上げたいと思います。私としても、全力を尽くして増員確保に努めてまいりたいと、このように思っております。

○松下新平君 先ほど森委員からも被災地の状況のお話もありましたけれども、そういった被災地への配慮もお願いしたいと思います。
本日は、二法案につきまして、参議院先議ということで質疑をさせていただきました。特に法務委員会所管の法律につきましては、立法趣旨、これを委員会で明らかにすることが重要だということの御指導も受けて、あえて今日はそういった観点から質問をして答弁をいただきました。まだまだ研究、そして配慮に対しては定まっていない部分もございます。これから実施に向けてしっかりとした執行体制をつくっていただきたいと思います。
予定しておりました質問が全て終了しましたので、若干早いんですけれども、以上で私の質問を終わります。
ありがとうございました。

○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
ただいま松下先生から立法趣旨をしっかりということでございましたので、まず、私もその点からお伺いをさせていただきたいと思います。
既にこの審議の中で出てきている話でございますが、これは法制審議会にかけられていたわけですよね。しかも、その部会もあった。平成十八年の七月に諮問第七十七号ということで、先ほど局長からも御紹介があったわけでございますが、被収容人員の適正化を図るとともにというのがまず第一の観点だと、その後、第二の観点で、再犯防止、社会復帰を促進するという観点からという、二つの観点が一応並んでいるわけだけれども、まず被収容人員の適正化というのが第一義的に出ているということでございます。それを受けてこの法制審議会の部会を設置されたようでございまして、その部会の名称が、被収容人員適正化方策に関する部会という、そういう名称になっているというふうに思います。
確かに、前、この法務委員会に所属させていただいたときに、よく法務委員会として視察といった場合、刑務所とか行きますと、本当に過剰収容といいますか、畳の数よりも多いぐらいの人が一部屋に入っている、そして足は押し入れの中に突っ込んで寝ているみたいな、そういうような状況もあったというふうに認識をしておるんですが、確かに多くの被収容者がいるなというふうに、これはゆゆしき大事だというふうに思っておりますが。
しかし、一方で見てみたら、要するに国の財政として考えたら、犯罪者がいっぱい刑事罰を受けて、そこで飯を食わせるのかという話になるわけですよ。その費用を税金で賄うのという、そういう財政当局の要請があろうかと思うんですよ。しかも、施設をいっぱい造ればいいのという話ではなくて、最後は刑務所もPFIで、あれは美祢でしたっけ、造ったとか、だんだんだんだんそういう部分にお金を掛けないようにしていこうという国全体の流れがあるように私には感じられるんですね。
今回この、おととい趣旨説明を受けましたけれども、全くそれが欠落しているわけですよ、この適正化というの。どこにも入っていないわけですね。あくまでも、喫緊の課題なんだけれども、再犯者の占める割合が多くなったと、再犯防止のための取組が政府全体の喫緊の課題となっておるということ。しかも、三年半も議論して、この第三次補正で復旧復興が一番大事という今国会にあえてこの法律案を出そう、しかも、大事だというふうにおもんぱかったんでしょう、参議院先議でじっくり審議してくださいねという形で提案をされたわけでございますけれども、この辺の適正化の問題は、先ほども九〇%という意見ございましたけれども、あえてこの趣旨説明から落としているという理由は何なんでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘になった点、今回の法整備については、法制審議会に対する諮問でも述べられているように、刑務所の過剰収容問題を契機として検討が始められたという事態にあったと思います。先ほど事務局の方からも答弁しましたように、諮問をした当時の平成十七年で既決の収容率が一一六%であったという事態というのは、まさに憂慮されるべき事態であったというふうに思います。
ただ、我々としては、過剰収容の解消自体を目的とするものではなくて、社会内処遇の在り方を含めた再犯抑止対策を中心的な課題として検討されてきたというふうに理解をしておりますけれども、もう少し申し上げれば、こういう再犯抑止対策を講じていくことによって、長期的な視点に立てば適正収容の実現につながるものだというふうに思っております。
さはさりながら、これも先ほど事務局の答弁にもありましたけれども、現在、かなり過剰収容の状態が改善、緩和されているという評価もあるところでありますけれども、受刑施設によりましては、収容施設によりましては収容率が一〇〇%を超える施設も依然として少なくありません。平成二十一年十二月末の時点で見ますと、収容率が一〇〇%を上回る刑事施設は、本所七十七庁中の十三庁、支所百十一庁中の二庁あるということでございます。特に、私も聞きましたところによりますれば、女子刑務所などは一〇〇%を超えるような状況が依然として続いているというような話も承っているところでございます。
そういう意味で、決して過剰収容問題がなくなったわけではございませんけれども、今回の法案の考え方というのは、社会内処遇の在り方を含めた再犯防止対策を中心的な課題として検討してきた経緯を踏まえて提出させていただいたというふうに理解しておるところでございます。

○魚住裕一郎君 やはり、諮問にしっかりと答えて、それに対応するような立法をやるべきではないのかなと。その問題は今大臣おっしゃったようにあるわけですから、だからそれはそれでやらないと、何か受刑者の更生のためですよみたいなことを言われたって、やっぱり問題の核心を外しているのではないのかなというふうに思います。
恐らく、この諮問並びに部会の名称からすると、例えばこの部会の、どういう人が入っていたのか、まず施設収容のそういう専門家といいますか、そういう人が当然入っているだろうと思うんですよ。あるいは、審議した内容も、ニーズがどうだとか、一日の食費はこうで、何人で、年間これだけの費用掛かりますみたいな、そういうようなことも議論されたんだろうなと。最初からこの社会内処遇ばっかりやっていたわけじゃないと思うんですよ。
二十六回この部会でやったというけれども、そのうち、じゃ、何回ぐらいがそうだったのかといいますか、この過剰収容問題をやったのか。そもそも、本当に最初からこの社会内処遇のことばっかりやってきたのか。ちょっとそれ十分な議論をできたのかという観点でお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員の御指摘について言いますと、過剰収容問題に直接対応する議論というのが、ちょっと私の今手元の方にはございませんので、大変申し訳ないんですけれども、少し整理させていただいた上で後ちょっと答弁させていただきたいというふうに思います。

○魚住裕一郎君 私は、なぜそれを聞いているかというと、先ほど来から先行質問の中で、いろんな社会の、保護観察官でありますとか保護司さんの体制とか、やっぱり必要なところにお金を掛けなきゃいけないと思うんですよ。だけど、これ、過剰収容者というと、すぐもう財政上の問題かなというふうに思っちゃうわけでありまして、もしそうであれば、そちらで掛けたお金をこちらの保護観察とかそちらの方に回すというのが当たり前といいますか、そんなふうに思うわけですね。だから、もしそれが貧弱なまま行ったら、国が財政厳しいからみんな民間に押し付けるよというそういう構図になるわけであって、それじゃいかぬでしょうということで、この立法趣旨、大事だということで聞かせていただいているわけでございまして、是非そんな観点からも再考をしていただきたいなというふうに思うところでございます。
さて次に、再犯ということが本当に大きな課題になっていることは間違いございません。先ほども、先行質問の中で指摘があったわけでございますが、二十二年まで一貫してこの再犯率が上がってきている、しかも十九年の犯罪白書では三割の再犯者が六割の犯罪を惹起しているという指摘があったところでございます。また、個別犯罪類型を見てみますと、薬物犯罪、特に覚せい剤違反の受刑者が全体の二割を占めている、しかも同一罪で再入所者の率は七割に上るという状況になっているわけですね。また一方で、高齢の受刑者あるいは知的ハンディを抱える受刑者の占める割合も増えてきておりまして、刑務所が福祉施設化しているという、こういうような指摘もあるわけでございます。
さらに、最新の犯罪白書で、先ほどもございましたけれども、少年院を出た人の犯罪状況を初めて先般の犯罪白書では追跡調査しているわけでございますが、四割が二十代前半で罰金刑以上の犯罪を起こしているというような、少年あるいは若年者の再犯問題という、これも浮かび上がってきているわけですね。非常に深刻な状況にあるということは私どもも認識をするわけでございます。
それに対応して、例えば政府は二〇〇八年に犯罪に強い社会の実現のための行動計画二〇〇八というものを策定するなどして一生懸命取り組んできたというふうに承知しているわけでございますが、しかし、それにしても更に再犯者率が上昇し続けているという現状を見ると、本当に有効に機能しているのかというふうに疑念を持つところでございますが、法務大臣としてこれまでの再犯防止施策、どう評価しているのか、また再犯を減らすためにどこに課題があるのか、所見をお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 再犯の防止というのは、先ほど来から委員が御指摘になっているように、政府全体における喫緊の課題であるというふうに認識をしておりまして、法務省としてもその与えられた所掌の範囲で取り組んできているわけでございますけれども、例えば検察の分野では、迅速適正な捜査の実施をする、あるいは充実した公判請求によって厳正な科刑を実現していくということで頑張っておるところでございます。
さらに、矯正あるいは更生保護の分野におきましては、薬物依存者に対する専門的処遇プログラムの実施など対象者の問題性に応じた改善指導や矯正教育等を強化してきている、あるいは、高齢、障害等により特に自立が困難な人たちに対しましては地域生活定着支援センターとの協働、お互いに働きかけるということでございますけれども、協働による円滑な社会復帰支援の実施ということをしております。
さらに、やはり職業を持っている方については再犯率が低いというような実績もありますものですから、その就労支援という意味で、刑務所出所者等総合的就労支援対策といったような施策やあるいは更生保護就労支援モデル事業といったようなものを始めさせていただいておりまして、就労支援対策の充実強化などに取り組んできているところでございます。
これからの取組という意味におきましては、今私が申し上げたような就労対策、帰住先の確保といったようなことをできる限り関係の皆さん方とも、地方自治体あるいは民間法人等を含めてしっかりと取り組んでいく必要があるというふうに思っておりますし、さらに、今回提出させていただいている法案についても再犯防止につながっていくという観点から整理させていただきまして、与えられた準備期間の中でしっかりと対応していくということを考えているところでございます。
それから、先ほど委員から御指摘のあった過剰収容対策についての法制審議会の議論の状況ということなんですけれども、私が手元に持っております過去二十六回の議事内容というものがございまして、それでチェックをいたしましたところでは、取り立ててこの回において、第何回において過剰収容の問題について重点的に取り上げたというのはちょっとないようでございまして、もしかすると、それぞれの項目検討の中で委員の皆さん方から御指摘があったのではないかというふうに推測をしておるところでございます。

○魚住裕一郎君 じゃ、今のその部会の話ですけれども、頭から法務大臣の諮問には答えていないということですね、その部会は。そういうことを答弁されたわけですよ。無視したということですよ。どうですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 法制審議会の運営、進行については基本的には法制審議会の方でやっておられるので、どういうふうにその議事立てをされるのかということについては、我々が直接どうこうするということではございません。
今、その議事立てのものを見ますと、特にその分野に限って集中的にやるというような形は取っていないようでございまして、それぞれの回の中でそういう問題も取り上げられたんではないかというふうに推測しております。
詳しいことは、今ちょっと私の手元にございませんので、また、委員の御指摘を踏まえた検討がどういうふうに行われていたのかということについては、調べた上で御報告させていただきたいというふうに思います。

○魚住裕一郎君 再犯全般についての御答弁は、先ほど、言葉としてはそうなんだろうなというふうには思っております。
今回の法案、初入者また薬物の自己使用事犯者で三年以下という場合に限定をされているんだけれども、先ほど申し上げましたように、高齢者あるいは知的障害者による犯罪、あるいは少年犯罪の再犯防止、どういう効果があるのかなと。
例えば、刑務所において、六十五歳以上の高齢者が一一%、あるいは知的障害の疑いがあるとされる知能指数七〇未満の受刑者も全体の三四%を占めている。また、服役二回以上の知的障害者を対象にした調査では、六割が前回の服役から一年未満で再犯に至っているというような報道もございました。やっぱりちょっと対象が狭過ぎるんではないのか。
また、出所後、今帰住先という話もございましたけれども、本当に、無銭飲食してまた詐欺で捕まるといった場合、もう軽微かもしれないけど対象外になるわけですよね。そうすると、再犯防止施策としての本制度の価値が半減するといいますか、そういうふうに思われるが、法務大臣の御見解はいかがでございましょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今回の法案につきましては、委員御指摘のように、初犯者とかあるいは薬物使用等の罪を犯した人については累犯者も対象にしているということでございます。逆に言えば、高齢者でも知的障害者でも少年でも、そういう範疇に入るのであれば当然対象にはなるということでございます。
しかしながら、そうした範囲を超えて、これらの者に、高齢者とか知的障害者とか少年ということで、該当するという事実のみで刑の一部執行猶予の言渡しを更に拡大して可能とするということについては、我々の考え方としては、刑事責任に見合った刑を科すという観点から相当とは言えないというふうな視点もあるだろうと思いますし、さらに、高齢者等についてのみ特別扱いする必要性がどの程度あるのかといったような点についても問題なしとしないというふうにも思っておるところでございまして、今回はそういう法案にはしていないということでございます。

○魚住裕一郎君 次に、薬物法の関係でお聞きしたいと思いますけれども、本当に覚せい剤を中心にして薬物犯罪、非常に検挙人員が多いし、また再犯の可能性が非常に、当然ながら身体的、精神的依存性というものがあるから薬物犯罪になるわけでございますけれども、いろんな個別事案に即してきちっと処遇していかなければ、そういう体制を取らなければ再犯になってしまうだろうということは我々も承知するところでございます。
それで、薬物に関してはこの一部執行猶予制度、必要的な保護観察ということになるわけでございますけれども、今まで施設内処遇で社会内処遇じゃないような人間も保護観察に、当然俎上に上がってくるという形になるわけですよね。しかも、保護観察では最長五年という形になるわけでございますので、相当、保護観察期間中における処遇プログラムというのが非常に重要になってくるんではないだろうかなというふうに思うわけであります。覚せい剤であれば覚せい剤事犯者処遇プログラム、こういうのがあるわけでございますが、他の薬物は対象になっていないわけですよね。それとまた、今の覚せい剤にしても大体六か月で、最長でも六か月、そして全五回という、そういうプログラムになっているようです。それで足りるのかというような問題点があろうかと思っております。
より長期に保護観察し、そして覚せい剤事犯以外も対象としたプログラムが必要になってくるんではないだろうかと。法務省が現在検討していることがありましたらお聞きしたいと思います。

○政府参考人(青沼隆之君) お答え申し上げます。
更生保護法の改正によりまして、薬物依存を改善するための処遇の特則を設けることを踏まえまして、現在、覚せい剤のみならず、大麻、麻薬、シンナー等の規制薬物等全般に対応可能なプログラムを開発する予定でございます。また、保護観察付きの一部猶予者は保護観察期間が長期にわたることとなるため、これに応じた専門的な処遇プログラムを開発するとともに、実施後のフォローアップにも配慮する必要があると考えております。
さらに、刑の一部執行猶予制度は、施設内処遇と社会内処遇との連携による改善更生を図るとされておりますので、矯正施設におけるいわゆる断薬指導プログラムとのより一層の連携を図る必要があるというふうに考えております。
以上のことを踏まえまして、現在法務省では、精神科医等の薬物依存の専門家、それからダルク等の指導者を交えまして、薬物依存を抱えた保護観察対象者についての処遇の在り方、医療・保健・福祉機関や民間団体との協力の在り方などを検討、研究するための薬物処遇研究会を開催しておりまして、今申し上げました規制薬物全般に対応するような専門的処遇プログラムの開発等について検討、協議を続けているところでありまして、来年度以降、新たなプログラムの試行、検証等を行った上で実施し、施行までの間に更なる検討をしたいというふうに考えております。

○魚住裕一郎君 薬物は常習者が本当に多いわけでございますけれども、常習といっても程度問題があって、もう重度の薬物依存者になってくると、そもそも自分は薬物に依存していないという、そういう人もいるかもしれないし、また、そもそも更生をするといいますか、自分は更生意欲がないといいますか、そういう人の処遇をどうするのかという問題も出てくるわけでございます。法制審議会の部会の中の議論でも、薬物使用の反復傾向が強いなど常習性があり、前科において保護観察の監督に服さなかったなどの事情がある者については、刑の一部執行猶予の適用が否定される重要な要素になるというような意見も出されたというふうに承知をしております。
しかし、そういう者こそ逆に、再犯を防ぐために、刑務所に入れるだけじゃなくて社会内処遇をして施設内と社会内との有機的な連携を図る必要があるというふうに考えられるのではないかと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) まさに委員のおっしゃられるように、施設内処遇と社会内処遇というものがしっかりと連携をしていくということは極めて重要であるというふうに思っております。刑事施設の中で、先ほど言いました断薬というか、薬を断った、断薬した環境において十分な指導を行うとともに、引き続いて薬物の誘惑のあり得る社会内においても相応な期間にわたって適切な社会内処遇を行うということで施設内の処遇の効果というものを維持、強化していくということが有用であるということで、そういう視点に立って連携に努めていきたいというふうに考えております。
現在、法務省においては、刑事施設において実施しております薬物依存回復プログラムというものと保護観察所において実施しております専門的処遇プログラムに係る情報を相互に引き継ぐこととしておりまして、今後はこの情報連携を踏まえて、刑事施設におけるプログラムの一層の充実強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
先ほど事務当局の方から薬物処遇研究会の話もございましたけれども、こうした取組の中では、精神科医の専門家とかあるいはダルクといったような、こうした問題に取り組んでいる方々といったような方々とも一緒になって取り組んでいくという連携も必要だというふうに考えているところでございます。

○魚住裕一郎君 常習者に今回の法案の制度が適用なかった場合、社会内処遇ということよりも施設内処遇だけになってしまうわけでございますけれども、今も大臣お述べになりましたけど、その施設内処遇の中で薬物依存離脱指導というのが、今現在でも受けているわけですが、十分じゃないという、そういう指摘もありますし、またそもそも更生意欲がない人というのは、やる気がない人といいますか、それどう働きかけるかというのが非常に重要になってくるわけでございますが、この薬物依存離脱指導、その体制を更に充実強化させる、また更生意欲が低い者に対する指導をどう充実させるかという点について法務省はどのように考えているか、お伺いをしたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 刑事施設における薬物依存離脱指導につきましては、麻薬、覚せい剤、その他の薬物に対する依存がある受刑者に対し、薬物依存の認識及び薬物使用に係る自分の問題点を理解させた上で、今後薬物に手を出さずに生活していく決意を固めさせ、再使用に至らないための具体的な方法を考えさせることを目的として実施しているところでございます。
しかしながら、先ほど私が答弁申し上げたように、こうしたことで実施をしても、今度は社会に出たときには薬物の誘惑が極めて高い可能性もあるわけでございまして、それを断ち切っていくためには、私もダルクの活動等も見させていただきましたけれども、そうしたみんなで一緒に取り組んでいくという、そういう連携というものが必要になってくるというふうに今思っておりまして、是非そういうところに対する支援というものもこれから考えていきたいというふうに思っております。

○魚住裕一郎君 是非、今の最後のところでダルクの話が出てきましたけれども、いや本当にボランティアで一生懸命やっている。私も豊橋のダルク行かせてもらいましたけど、町中にありますけど、こんな貧弱なと言ったら怒られてしまいますけれども、本当に費用がないんだなと。その部屋の中にベンチがあって座らせてもらっても、本当にシートから中身が出ているような、そういうソファーといいますか椅子であったり、やっぱり、はけ口という形で肉体を鍛えるそういう機械があったけれども、そのほかもう何もないという、そういうようなところだったんですね。人が全てだとは思うけど、本当に関係者が自費を投じてといいますか、そんな印象を受けました。そこに寄りかかるような体制ではいけないというふうに思っておりまして、是非、大臣の今の決意を現実の上でやっていただきたいなと。
その前提として、先ほど来からも出ておりますけれども、保護観察の体制、やっぱり絶対数が少ないというようなこともあって、また過重、過剰な負担になっていると。平成十九年で更生保護法が審議されました。そのときも、我がこの参議院だと思いますけれども、附帯決議で、保護観察官の専門性の一層の強化及び大幅増員に努めること、こういうふうに附帯決議を行いました。
法務省の方でも努力していただいていると思っておりますが、近年のその数を見ると、若干上がっているものの、今年度で九百五十四名ですか、そして一人当たりの担当が約四十四件、地域によっては一人八十件から九十件保護観察対象者を受け持っていると。これではとても大幅増員が図られてきたとは言い難いだろうというふうに思っております。
法務省として、この法案の着実な実施のために必要な保護観察官の数、何名ぐらいと見込んでいるのか、また三年ということがありましたね、三年内にその増員計画、どういうふうに考えているのか、お伺いをしたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) ある意味では大変難しい御指摘をいただいたような気がいたします。
先ほど答弁の中で、平成二十四年度の概算要求においては、薬物依存のある刑務所出所者等に対する再犯防止対策の強化のために六十二人の増員を要求しているというふうに申し上げました。大変厳しい財政事情、定員事情の中でこれがどこまで実現できるのかということについては我々としても楽観は許さないというふうに思っております。
実は、これまでもいろいろな中の体制を、例えば課別に仕事をしていたのを保護観察官としての業務ができるように専門官制にするというような、そういう仕組みを工夫しながら保護観察官を増やしてきたというのがこの一つの、先ほど、二十三年度九百五十四人となっているということの一つの表れでもございます。
そういう我々の組織の中でのいろんな工夫というものをしながら、それでもやはり我々としてはまだまだ十分でないというふうに思っていますので、定員要求ということはしっかりとやっていきたいと。ただ、大変厳しい定員事情でございますので、是非先生方におかれても御支援を賜りたいというふうに思うところでございます。

○魚住裕一郎君 いや、だから、要するに何名が必要なんだと、この法案を実施するために。それがあって、この三年間で定員をこうやって増やしていきますよという、そういうようなもくろみといいますか、目論見書はないの。もう一回。

○国務大臣(平岡秀夫君) 来年度の予算要求については六十二人の増員を要求ということで、私も省内の中でこれぐらいは頑張っていこうということでの意思統一はしたのでありますけれども、じゃ、向こう二年後、三年後にどれだけのことができるのかということについて言いますれば、大変申し訳ないのでございますけれども、今ここで皆さん方に御披露できるほどの状況には至っていないということでございます。

○魚住裕一郎君 じゃ、その三年間、一体何やるわけ、準備といった場合。そういうのがあって、これで万全な社会内処遇できるなというもくろみがないとやっぱりいかぬのじゃないのかなというふうに思っております。それ以上言っても、多分答え、ないんだろうなと。
結局、何言いたいかというと、何か行き当たりばったりじゃないのと、もう少しきっちりやってよと言いたいのでございます。
去年の七月に茨城県の保護司さんのお宅が放火されましたね。放火されたんですよ。精神的に不安定な保護観察対象者だったというふうに言われておりますけれども、そういう場合、保護観察官が直接担当するというような、それ以降検討がされているようでございますけれども、やっぱり篤志家といいますか保護司さんに寄りかかるんではなくして、保護観察官が直接担当する、そういう案件も増やしていくべきだろうなというふうに思っております。
今のこの保護司宅放火事件みたいな場合は保護観察官がじかにやるべきだということでございますが、ただ、保護司さんにお任せするのと保護観察官が直接担当する、そういうその基準といいますか、どういうふうにお考えなのか。保護司さんも安心してやっぱり職務に専念できるという観点も必要かと思っておりますけれども、法務大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほど来から議論させていただいております今回の法案改正についても、処遇困難な方々というのが増加してくるという見通しの中で、保護観察官が直接担当したり、あるいは保護司も担当はするけれども、保護観察官が頻繁に接触して指導監督を行うといったようなことが増えてくるんではないかというふうに思っております。
そういう意味で、例えば、どういうケースの場合には保護観察官が原則として直接処遇を行うということになるのかという点について言えば、一応の基準というものでお示しいたしますれば、長期刑の仮釈放者のうち生活状態又は精神状態が著しく不安定である者とか、あるいは凶悪重大な事件を起こした少年院仮退院者のうち人格、環境等に特に複雑な問題を有する者であるとか、あるいは暴力的性向を有する仮釈放者又は保護観察付執行猶予者のうち生活状況又は精神状態が著しく不安定である者であるとか、保護観察の実施過程において保護司に対する粗暴な言動が認められた者、こういったような人についてはやはり保護観察官が直接処遇をするということが必要であるというふうに考えているところでございます。

○魚住裕一郎君 すると、やっぱり保護観察は保護観察官とともに保護司さんの協力で成り立っているわけでございますけれども、保護司さんの適任者の確保策というのが従来からも議論をされてきました。
地域に様々な分野の方が入った内申委員会というのを設けて保護司の候補者を発掘するという、そういうこともあったと思いますし、またその後も、保護司候補者検討協議会、全国四百五十か所設置したとも伺っているわけでございます。そういう努力のせいなのか、近年も、平成十六年四万九千三百八十九人、そういうふうに増えたというところでございますが、その後また減少傾向になって、四万九千を割って四万八千六百六十四人という状況にあるようでございますが、この保護司候補者検討協議会、現在の運用状況、また実績あるいは効果について御説明をいただきたい。

○政府参考人(青沼隆之君) 保護司候補者検討協議会の状況について御説明申し上げます。
今、委員から御指摘のありましたとおり、全国四百五十か所に設置しておりまして、保護司活動に対する地域の理解を深めてもらうほか適任者の推薦をいただくということで、幅広い分野の人材からの保護司適任者確保を図っているという状況でございます。
具体的な成果について申し上げますと、四百五十か所を設置したことで、充足率と呼んでおりますが、保護司の定員に対するその地区の満たしている数、充足率でございますが、約一%向上したというふうなことになっております。

○魚住裕一郎君 最近また保護司さんが辞めるというか、定着率が落ちている。就任後五年未満で保護司を辞める方が増えてきていると。平成十五年では九・九%だったけれども、二十一年度では一六・二%に上昇している。だから、定着が物すごく大きな課題だなと。
それはもうベテランの保護司さんがやってくれれば、何といいますか、更生にも良くなっていくかもしれませんが、定着できないというのではちょっとまた新たに適任者を見付けなきゃいけないという、そういう形になるわけでございますが、これ、定着という課題、あるいは保護司適任者確保へ向けた更なる知恵を絞っていかなきゃならないと思いますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員御指摘のように、保護司の皆さん方の定着の状況といいますか、新しく就いていただく方を確保するということについて大変厳しい今状況になっております。
その原因というものを我々なりに少し考えてみますれば、高齢であるとかあるいは障害であるとか、そういう状況にある保護観察対象者の方々の抱えている問題というのが複雑多様化してきている、あるいは、地域社会や家族間の人間関係が希薄化してきておって、そのことによりまして教育力とか犯罪抑止力が低下してきている、さらには、急激な社会経済情勢の変化に伴って職のない方々の増加といったような、社会復帰のための生活基盤の脆弱化というようなものがあるというふうに思っております。
そういう状況の中で、保護司さんの皆さんの負担軽減に努めるということは必要であるというふうに今思っておりまして、具体的には、先ほどもちょっと話が出ておりましたけれども、保護司候補者検討協議会を設けているほか、保護司会が更生保護活動を推進するための拠点となる更生保護サポートセンターを設置するということを支援しておりましたり、あるいは保護司活動に必要な知識及び技能の習得のための研修の体系的、効果的な実施を行うというようなこと、あるいは保護司の方々が個人的に持っておられる情報というものを保護司会組織として共有するための地域処遇会議といったようなものを導入するといったようなことを実施しているところでございます。
また、本年三月には、保護司の皆さん、そして学識経験者の皆さん等を委員とする保護司制度の基盤整備に関する検討会というものを設置させていただきまして、一年掛けて保護司活動を充実させるための基盤整備の在り方について幅広く検討をしていただいているということでございます。
このようにいろいろ努力はさせていただいておるわけでございますけれども、いずれにしても地域社会の皆さんの御協力も必要でございますので、我々はそうした協力も得ながら積極的に保護司の皆さんの活動を支援してまいりたいというふうに思っているところでございます。

○魚住裕一郎君 もちろん、過大な負担にならないように負担緩和ということが大事だと思いますし、それがまた定着にもつながっていくというふうに思っておりますが。
ところで、日本は本当に、物には金出すけれども人には金出さないという、そういう傾向がありますけれども、例えば保護司さんのこの実費弁償金、これは平成十九年に増額が図られていまして、一人当たりの金額が十二万一千円ですか、ただ、その後年々減額されているようなんですよね。今大臣の御答弁のあったこのサポートセンター、午前中の質問の中でも、何か年間十万円みたいなそういう質問で、えっ、そんな実態だったのかと委員席で聞いていてもあきれ返るわけでございますが。
そんなところに、額は減らすし、その程度の、サポートセンターもそんな実態なのかということで、本当に保護司さんにしっかりやっていただけるようになるんだろうか。国としてもっと、保護観察とか更生というのは人がやるんですよ、物じゃないんですよ、人にお金を付けて一生懸命やっていただくというのが一番大事かと思うんですけれども、例えばこの実費弁償費、増額を図るべきだと思いますけれども、大臣の御答弁いただきます。

○国務大臣(平岡秀夫君) 午前中の中村委員の御指摘の中にも、サポートセンターに対する支援の在り方についてもいろいろな御指摘がございました。
我々としては、是非、保護司活動をしっかりと支えていくためにも予算の獲得ということについては頑張ってまいりたいというふうに思いますけれども、ここ最近、保護司の実費弁償金の推移を見てみますと、減額になっているという状況ではありますけれども、これは、その減額されている背景には事件数が全体として減少してきているというものもあるようでございまして、そういうものも踏まえた結果としてこんな数字になっているわけでありますけれども、我々としては、是非、先ほど来から御議論いただいているように、保護司をめぐる環境というのは大変厳しい状況にあり、それを支えていくためにはしっかりとした経費的な裏付けも必要であるという視点に立って頑張ってまいりたいというふうに思います。

○魚住裕一郎君 春と秋の、何といいますか、叙勲あるいは褒章のときに、保護司さんというのは本当に頑張っていただいているなという形で名前が挙がってきているわけですよ。だけど、やっぱり、この裏付けがあって安心してやってもらえるという体制をつくらなきゃいけないなと私は思うわけであります。
時間がちょっと手前でございますけれども、まとまりがありますので、次回に続けたいと思います。終わります。

○桜内文城君 みんなの党、桜内文城です。
皆さんが既に質問をされておりますけれども、まず今回の刑法改正の趣旨、それからこの薬物使用等に関しましては新法がこのように提出されてきておるわけですけれども、その趣旨について確認いたします。法律の一般的な趣旨につきましてはこれまでも既に御答弁いただいておりますので、むしろここでお聞きしたいのは、このタイミング、今国会のこのタイミングでお出しになってくる、その趣旨をお尋ねしたいと考えております。
といいますのは、元々、法制審議会ですか、議論が始まった当時というのは、刑務所の過剰収容の問題がなかなか深刻だったと聞きます。今現在、その辺が大分改善されてきたとも聞くんですけれども、どういった御趣旨で今回このように出されるのか。特に、聞くところでは、国対関係の話なんですけれども、大変与党の方は急いでおると聞くんですけれども、私自身、他の委員会ですけれども、復興関連の法案とかずっとたなざらしにされて、特に二重債務の法案とかは大変な改悪の修正までされたり、もっとやることいっぱいあるんだと思うんですけれども、なぜこのタイミングでこういった法案が出てくるのか、そこの趣旨を御答弁ください。

○国務大臣(平岡秀夫君) この国会でやらなければならないことたくさんあるということは、私もそのとおりだというふうに思います。ただ、今回のこの我々が提出させていただいている刑の一部執行猶予制あるいは保護観察の特別遵守事項に社会貢献活動を加える法整備についても、大変我々としては、今憂うべき状況というものがあるという下で早急に対応させていただきたいというふうに考えているところでございます。
経緯的に申し上げれば、先ほど来からお話がありますように、平成十八年の七月に法制審議会に諮問させていただきまして、昨年の二月に答申をいただいたということでございます。その間の事情について言いますれば、犯罪者のうちに再犯者が占める割合が高まってきているという状況の中で、犯罪者の再犯防止のための取組は喫緊の課題であると、このように思っております。特に、薬物関係においても大変憂うべき状態が続いておるということでございます。
今回成立させていただいても、きっちりとした体制をつくっていくためには三年あるいは二年といったような時間も必要であるという、そういう状況も踏まえて今回我々としてはこの臨時国会に法案を提出させていただいたわけでございまして、是非御理解を賜って、成立に向けて御支援、御理解を賜りたいというふうに思います。

○桜内文城君 何か急ぐという意味でいえば話が逆だと私は思います。というのは、この法案の附則の一条で、公布の日から起算して三年を超えない範囲内で施行するという規定があります。
今回の法案、いいところばかりかというと、そうでない部分がやはりあります。例えば、先ほども問題視されていました保護観察の在り方ですね。こういったものは、大変な体制整備ですとか予算ですとか、そういったものも絡んできますので、だからこそこうやって三年を超えない範囲という形になっているんだとは思いますけれども、しかし、そういうのはそもそも法案出す前に、どういった保護観察の在り方が適当なのか、特に再犯の防止という際に、累犯も含めて今回みたいに一部執行猶予という形で、法案の立て付け上は何回累犯重ねても対象になり得るわけですよ。
そういった法案をわざわざお出しになるんだけれども、これをこの国会で、もうちょっとしっかり政府内で、法制審議会で議論を続けてもよかったんじゃないかなと思うんですけれども、このタイミングというのを是非またもう一つ教えてください。

○国務大臣(平岡秀夫君) 法制審議会のお話もございましたけれども、先ほど申し上げたように、法制審議会では昨年の二月に、この刑の一部の執行猶予制度の導入と保護観察の特別遵守事項の類型に社会貢献活動を加えるという法整備については、先ほどの有田委員の発言をお借りすれば、全員一致で進むべしという答申を出していただいたわけでございまして、我々としては、是非そうした法制審議会の議論の結果というものも踏まえて、できる限り早急に対応させていただきたいという思いで今回も提出させていただいたということでございます。

○桜内文城君 入口の部分で余りこだわりたくないんですが、要は、過剰収容という直接的な立法の原因といいますか立法事実と申しますか、そういった状況が解消されているわけですよ。かつ、保護観察の在り方、今後どうやっていくのかというのがきちんと議論されたとは思えません。
もちろん、ボランティア活動等、範囲を広げていただくというのは結構なことだと思いますけれども、そこの部分で一致を見たからといって、この今回の改正の一つの大きな目的というのは、私は、刑法二十七条の二の新しい規定で「再び犯罪をすることを防ぐため」という文言がありますけれども、再犯を防止するということにあろうかと思うんですけれども、そのためには現在の保護観察の在り方というのもきちんと見直していかなくてはいけない。そういった議論をしても全然時間的な余裕があるはずなんですが、それは先ほど申しましたように、過剰収容の問題が既に解消したという現状の中で、今国会で、民主党政権に対して私大変な怒りを持っておるんですけれども、必要な法案を通さないでこういうのをぽんと出してくると、そこが分からないんで尋ねているわけです。お答えください。

○国務大臣(平岡秀夫君) 我々としては、再犯者対策というものは、今年の七月の犯罪対策閣僚会議でも報告されておりますように、安心、安全な社会づくりのための政府全体における喫緊の課題となっているという認識でございまして、是非その点については御理解を賜りたいというふうに思います。
薬物関係についても、今日の審議の中でもるるお話がありましたように、やはり施設内処遇というものだけじゃなくて、社会内処遇ということも一緒になって併せて取り組んでいかなければ、本当の意味での再犯防止、更生にはつながっていかないということがやはり分かってきているわけでございまして、是非そういう点についても御理解をいただいて、今回の法案についての御審議をお願い申し上げたいというふうに思います。

○桜内文城君 その再犯防止という点に話を移しますけれども、先ほど言いましたように、今回の改正案の二十七条の二に、再犯防止といいますか再び犯罪を防ぐためという文言があります。この目的というのは大変よろしいかと。誰もこんなの異論を挟むようなところじゃないんですけれども、じゃ、この目的を達成するために、今回の麻薬関連の新法を含め、手段としてそれが本当に適切なのか、再犯防止を本当に達成することができるのかということが問われるんだと思います。
その話はまた後ほどしますけれども、この二十七条の二の条文の解釈についてお尋ねいたします。
元々、通常の裁判官というのは、判決を出すに当たって、証拠に基づいて事実を認定して、それに法を解釈して適用していくというのが仕事なわけです。ところが、今回その裁判官の職責がやや広がった印象があります。
こういった再犯防止という観点を踏まえて刑の執行の一部猶予を行っていく。これは言わば刑事政策的な観点というものも含まれてくることになるわけですけれども、裁判官のこれまでの専門性の在り方あるいは職業訓練という点から見て十分に対応可能だというふうにお考えになったから出してこられたと思うんですけれども、その辺について説明をお願いいたします。

○国務大臣(平岡秀夫君) 裁判官について言いますれば、これまでも刑の量定を行うということについては、全部執行なのか、全面執行猶予になるのかというようなことで判断もされてきておられるわけでありますけれども、今回の刑の一部執行猶予の導入に当たりましては、その言渡しについていえば、刑事責任の観点から相当と認められるかどうか、かつ、その者の再犯防止、改善更生を図るという特別予防の観点から必要かつ相当と認められるということが要件となっておりまして、裁判所としてはその言渡しの当否について判断をしていただけるというふうに思っています。
と申しますのも、例えば、今回の一部執行猶予の判決を言い渡すことができる刑期については上限が設けられているわけであります。三年以下の懲役、禁錮という上限を設けていることによって、遠い将来のことというよりは、刑の執行後に社会内処遇を行うことの当否、あるいは社会内処遇のための期間はどの程度のものか、相当かについての予測的な判断が困難であるとは言えないという、そういう範囲で刑期の上限が設けられているというふうに思いますし、それから個々の事案について考えれば、それぞれの事案の審理の中で、検察官それから弁護人が事案の内容に応じて、被告人の生活状況、監督者の有無やその見通しなど、関連する情状事実を主張、立証するということになるわけでありまして、その中で裁判所が必要な事実関係を基に刑の一部執行猶予をすべきか否かを判断することは可能であるというふうに考えております。そういうような判断に立って今回の法案の提案をさせていただいているということでございます。

○桜内文城君 そのような考え方もあるんでしょうが、立法論として言えば、法の解釈というよりも立法論として言えば、他国の例としまして、例えばドイツですとかは、法務省の方に教えていただいたところでは、裁判時にこのように一部執行猶予ということを判断するんではなくて、むしろ拘禁刑を一部執行して、その段階で、裁判所が保護観察のために残刑の執行を延期することができるか否かというのはその時点で判断するという制度を取っておるわけですけれども、我が国もこれに倣うという選択肢もあったと思うんですけれども、あえて今回のような裁判時に裁判官が判断するというふうな制度としたその意味は、趣旨はどういうものなんでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員が御指摘になったドイツのような仕組みについても、法制審議会の中でも議論されたというふうに承知をしておるところでございます。
ただ、ドイツの法制と我が国の法制とでは若干基本的なところが違っているというふうにも思っています。ドイツの仕組みというのは、実質的には言い渡された刑の事後的な変更ということになろうかというふうに思いますけれども、ドイツでは、裁判所自体が刑の言渡しのみならず、刑の執行にも関与する司法制度を取っているということでそれが可能となっているのではないだろうかと思います。他方、我が国では、そもそも裁判所が刑の執行に直接関与をし、事後的に判決を変更する制度というのは取られていないというところに基本的な違いがございます。
さらに、これは法制審議会の議論でも出ていたわけでありますけれども、ドイツのような仕組みについては、問題点として、実質的には刑の事後的な変更に当たるのではないかというような意見とか、あるいは刑の事後的変更を認めていない我が国にはなじまないんではないかというような意見とか、そういう意見がありまして、多くの委員の方々の支持が得られなかったというような経緯もあったわけでございます。

○桜内文城君 もちろん、ドイツと制度が違うので一概には言えないとは思いますけれども、刑の執行という意味でいえば、茶化すつもりはありませんけれども、死刑の執行とか行政権が執行を担当すればそれで事が収まるという話でもないので、そこも含めて本来検討すべきだったのではないかなというふうに指摘しておきます。
この二十七条の二の、先ほども若干触れていらっしゃいましたけれども、再び犯罪をすることを防ぐために必要かつ相当と、この必要性と相当性の要件について、新たな立法ですので、その具体的な内容というのは裁判官が十分考慮していかなくちゃいけないと思うんですけれども、立法者といいますか、閣法ですので、提案者といいますか法務省としてはどういった具体的内容を想定してこの必要かつ相当という二つの要件を入れていらっしゃるのか、説明をお願いします。

○国務大臣(平岡秀夫君) これらの点については法制審議会の議論の中でもいろんな意見、議論というものがなされておったというふうに承知しておりますけれども、例えればどんなことが言えるのかという点で具体的な話として申し上げれば、必要性の要件の判断に関しては、例えば被告人の再犯防止、改善更生を図るという観点からは、仮に実刑としても、その刑責から短い刑期の実刑となってしまって、仮釈放制度を積極的に運用したとしても短期間の社会内処遇を付すことしかできないというような事情を考慮をし、十分な再犯防止、改善更生を図ることができないと判断されるため、刑の一部の執行猶予とする必要性があるとされる例が考えられるわけでございます。
また、相当性の要件についての例としては、これは相当性がないという場合と相当性があるという場合で例が考えられるわけであります。
まず、相当性がないとされる例としては、例えば、被告人に対しその刑事責任に見合った刑を科すという観点から、前科前歴を有しないものの、模倣性の高い詐欺行為を組織的に行った、例えば振り込め詐欺というようなものを集団的に行っているというようなケースですけれども、そういう犯情の軽重に関する事情が考慮されて、刑の一部であっても執行猶予とする相当性がないとされるような例。
あるいは、これも相当性がない例でありますけれども、被告人の再犯防止、改善更生を図るという観点から、被告人がその所属する反社会的組織から脱退する意思がないということとか、あるいは法律を遵守して生活する気持ちが全くないことを明言していたりするというような、犯した罪に対する反省の情を示さないなど更生意欲が認められないという事情が考慮されて刑の一部執行猶予を言い渡す相当性がないとされる例があろうかというふうに思います。
逆に、相当性があるというような例として見れば、被告人の再犯防止、改善更生を図るという観点から、被告人には定職があるほか、社会内での監督を誓約する同居家族が存在することなど、犯人の境遇に関する事情が考慮されて刑の一部の執行猶予を言い渡す相当性があるとされる例などが考えられるというふうに思います。

○桜内文城君 次の質問に行きます。
今回、薬物使用等の罪に関する特例法といいますか、新たな立法があるわけですけれども、これ私、ちゃんと議論されたのかなと疑問を持っておりまして、というのは、この法律そのまま読みますと、何回犯罪を犯しても、累犯を重ねても、この一部執行猶予の対象となり得るという立て付けになっているんですね。
薬物使用は再犯率が高いと聞きます。例えば覚せい剤では七割もあると。その再犯を防ぐためには、例えばもっと刑を厳しくするですとか、あるいは、先ほどもちょっと言いましたように、保護観察を付すとすれば、それをきちんと、きちんとというのは、今現在の保護観察というのが月に一、二回相談するというぐらいのことだそうなんですけれども、そんなので覚せい剤なりそういった薬物使用の再犯というものが防げるとも思えません。
そういった中で、今回、この関連する特別法が累犯、本当、論理的には無限回重ねても刑の一部執行猶予の対象となってしまうわけなんですけれども、これは一体どういう理由でこういう立て付けにされたのか。これも立法趣旨というか、その辺の説明をお願いします。

○国務大臣(平岡秀夫君) 委員の質問の趣旨が累犯なら何回でもと、こういうふうにあるわけですけれども、確かに累犯でも薬物事犯者についてはこの一部執行猶予の対象になるということではございますけれども、ただ、要件としては、三年以下の懲役又は禁錮の言渡しであるとか、あるいは犯情の軽重その他の事情を考慮して、一部執行猶予の言渡しが必要であり、かつ相当であると認められることといったようなことは、この薬物使用者の累犯についてもかぶさってまいりますので、何回でも全部大丈夫だということではなくて、やはりその範囲内での議論だというふうに我々としては理解しておりますけれども、ただ、そうはいっても、累犯でもいいとしている理由は何なのかということで申し上げますれば、やはり薬物使用の問題について言えば、特に規制薬物等への依存を改善する必要性が高いというふうに考えておりまして、施設内の処遇だけではなくて、社会内での処遇ということで専門的処遇プログラムの受講を特別遵守事項として定めることを義務付けるということと併せて、累犯者に対してもこうした一部執行猶予を認めるという仕組みになっております。
薬物事犯については、これからもいろんな協力関係をどうしていくのか、プログラムをどうしていくのか、そういうことについての検討あるいは協力をしていかなければなりませんものですから、薬物処遇研究会というものを設けて、そういうしっかりとした対応ができるように今検討を進めているということでございます。

○桜内文城君 検討を進めてもらうのは大変結構なんですが、だからこそ、冒頭、なぜ今のタイミングなのかと。十分な検討がまだ終わっていないわけですよね。そういった時点でこういった法律を出してこられる、そこがよく分からないというふうに申し上げています。
特に薬物使用の場合、覚せい剤を原因として大変凶悪な犯罪も行われたりする場合があります。社会内処遇というのは一見いいようにも聞こえますけれども、もちろん、聞くところでは、刑務所の中でも、こういった薬物の関係の刑務所にいる人はそういったプログラムを実際受けておるというふうにも聞きます。その際、社会内処遇をしていただくのは結構なんですけれども、そういった社会内処遇をきちんと、再犯を重ねない、累犯を重ねていかない、そのようなこれを防ぐことのできる保護観察の今仕組みになっているのかということについて、今、単に月に一、二回面接をする、相談にあずかる、この程度だそうなんですけれども、こんなので本当に薬物犯罪の累犯を防いでいけるとお思いなんでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 委員から冒頭から御指摘していただいている、今この法律が必要なのかという点について言えば、この法律がなければ我々として自信を持って体制整備が進めていけない、関係する方々、これは財政当局も含めてでありますけれども、いろいろおられるわけでございまして、こういう法律ができて、二年内にはこういうのが出発するんだと、三年後にはこういうのが出発するんだということを踏まえて鋭意折衝していかなければならないという、そういう状況を踏まえて我々としては提案をさせていただいているというふうに思います。
委員御指摘のように、現在の保護観察制度なりあるいは専門的処遇プログラムなり、あるいはそれを支える財政的な側面あるいは人材的な側面、こういったものが十分でないということは我々もしっかりと認識をしているつもりでございまして、与えられた準備期間の間にしっかりと整えさせていただきたい。そのためにも、今回、この法案の成立を是非皆様方に御支援、御支持をいただきたいというふうに思っております。

○桜内文城君 再犯防止の目的はよしとして、それを達成する手段として今回のこの法案というものが適切なのかというのを一貫して尋ねております。
他国の例で見ますと、大変薬物事犯については刑罰が厳しい国もあると聞いております。あるいは、こういった刑の一部執行猶予を行って、かつ保護観察のようなことを義務付けるような、そういった国もあると伺っておりますけれども、そもそも、どうなんでしょうか、日本のこの薬物事犯に関する刑罰の軽重という意味でいえば、これは国際的に見ていかがなものなんでしょうか。自己使用の場合は人に迷惑掛けているわけじゃないというんですけれども、でもなかなか、一般に社会人生活をやっていまして覚せい剤手に入れようなんて、よっぽど暴力団の人とか、あとどこかで知り合わないとそんなのできないわけですよ。また、それが暴力団の資金源になっていく、そういった自己使用といえども大変社会に対する害悪をもたらすからこそ薬物事犯というものが非常に厳しく対処していかなくちゃいけないとされるわけだと思うんですけれども、他国と比較して日本の薬物使用に関する罪というのはどれだけ重いのか軽いのか、それから、重い軽いと再犯率との関係とか、もしお分かりでしたらば教えてください。

○国務大臣(平岡秀夫君) 少し古い情報かもしれません。平成七年の犯罪白書で各国の法規制の状況というものが手元にございますので、ちょっと御紹介を申し上げたいというふうに思います。
アメリカでは、単純所持は一年以下の拘禁、千ドル以上の罰金又は併科ということのようであります。イギリスでは、所持については拘禁七年、罰金、そしてその併科というのが、これはクラスA薬物ということで、一番低いのはクラスC薬物で、拘禁が二年、罰金又はその併科というようになっているようでございます。ドイツでは、所持が五年以下の自由刑又は罰金というようになっております。フランスでは、所持が十年以下の拘禁刑及び五千万フランの罰金、自己使用については二月以上一年以下の拘禁若しくは五百フラン以上一万五千フラン以下の罰金又はその併科というふうになっているようでございます。

○桜内文城君 事実として教えていただくのは結構なんですけれども、要は今回の法案の目的というのが、何度も言いますように再犯を防ぐこと、特に薬物使用に関しては大変再犯率が高いので、これをなるべく下げていく、その目的はいいんですよ。他国の例をなぜ聞いたかというと、他国ではもっと厳しい、日本よりも厳しい刑罰が科されて、それが抑止力となって再犯が少ないのか多いのか。今事実としていろいろと教えていただきましたけれども、クラスA薬物といっても何のことか全然分からないわけですよ。
日本の場合、大麻とか覚せい剤等でまた違うとは聞きますけれども、それと比較してどうなのかということを、本来、法制審もこういった法案を検討される際に、そもそもの薬物事犯の刑の重さ、あるいは再犯をどう防いでいくのか、薬物事犯そのものの刑罰なり要件の見直しとか、そういうのはちゃんと行われたんでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 私も法制審の議論、全部が把握できているわけではありませんけれども、今ちょっと情報としていただいたのは、明確に行ったという記録は今のところ手持ちにはないということなので、また確認をさせていただいて、御報告させていただきたいというふうに思います。

○桜内文城君 恐らく平成七年の犯罪白書に各国の例が出ているだけですので、それ以降十分検討されていないんじゃないかと思うんですが、むしろこういった薬物事犯の再犯防止というのを議論するんであれば、薬物事犯そのものの刑罰等をきちんと議論して、そういった合わせ技でもって再犯を防いでいくというのが立法者として必要な態度じゃないかと思います。もし十分検討していないんであれば、今後政府内でも、そういった薬物事犯そのものを減らしていくために刑をどのぐらい厳しくしていくのか、こういった刑の執行だけをいじるんじゃなくして刑そのものについても再検討していくべきじゃないかなということを伝えておきます。
そして、最後に、時間が大分なくなってきたのでお尋ねいたしますけれども、保護観察、保護司さんとか、本当にボランティアで大変な御苦労をされているとは思うんですけれども、やはり先ほどから何度も言っていますように、月に一、二回しか会わないと。他国の例、これまた法務省の方に教えていただいたんですが、例えば再犯防止のためにGPSを足にくくり付けておくとか、取れないようにして、そういうやり方をする場合があるそうなんですけれども、アメリカ、フランス、韓国等でそういったやり方をしているそうです、例えば性犯罪者ですとか、累犯が予測されるというか。
そういったものもやはり保護観察において、保護観察の在り方そのものも検討していくべきだと思うんですけれども、単に今回の法案は、薬物事犯というのは再犯が多い、多いから一部執行猶予にして、保護観察を付けて再犯防止に当てるというんですが、本当に今回のような制度で再犯防止に当てられるのか。そのためには、保護観察の在り方自体、今言ったような他国の例も参考にしてGPS装置を着用させるとか、そういった工夫が必要だと思うんですけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 保護観察そのものの在り方、これもこの委員会でいろいろと御議論をいただきました。先ほどの議論の中では、保護観察官一人当たり大体五十件程度を抱え、そして保護観察官を支えていただいている保護司の皆さんについて言えば通常一件程度を支えているというようなことでございます。
そして、保護観察の在り方についても法制審でも議論をされているわけでありますけれども、例えば今委員が御指摘になったGPS装置の着用の問題についても、議論はされましたけれども、やはり日本の法制度の状況等を鑑みたときに意見の一致を見なかった、慎重な意見が多かったということでございまして、それ自体は取り得なかったわけでありますけれども、我々としては、保護観察の在り方については、先ほど来からるる御説明申し上げておりますように、いろいろな関係する方々との連携、協議というものを深めていく、いろいろな処遇プログラムを専門家の方々を含めて作っていく、そして保護観察官については、そういう専門的な知識を持った人たちを採用し、更にそういう知見を深めていくための努力をしていく、そういうことで対応していきたいということで今考えているところでございます。

○桜内文城君 これで終わりにしますけれども、何でこのタイミングかというのが、今大臣もおっしゃったように、言わばこれ、本当は保護観察官なりを増やす、あるいは保護司を増やす、あるいはGPSのような装置も購入する、こういった、僕は予算関連法案かなと最初思ったぐらいでして、予算関連法案でもないんであれば今急ぐ必要があるのかという最初の問いに返ってしまうわけですよ。
そういった意味で、今回の法案、中身がよっぽど悪いとまで言いませんけれども、もっと検討すべきだったんじゃないかということを指摘して、私の質問を終わります。

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
法案に入る前に、一点お聞きいたします。
この間、公務中とされるアメリカの軍属の裁判権の問題を質問してまいりました。この問題が大きく事になったのは今年一月の沖縄市の事件でありまして、十九歳の男性が軍属の運転する自動車の事故によって命を失った、これを公務中でということで日本が不起訴にしたと。これを遺族などが不服を那覇の検審に申し立てたわけですね。那覇の検審は、これ初めて米軍関係者の事件で起訴相当という議決を行いました。検察は再捜査をしておりますけれども、この結論を出す捜査の期限があしたに迫っております。
今日の夕刊のマスコミ報道の一部では、那覇地検は一転起訴をするという報道もされておりますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(稲田伸夫君) 御案内のとおり、当該事件につきましては現在検察当局におきまして捜査中のものであり、個別具体的事件の捜査処理にかかわるものでございますので、当局といたしましてはお答えすることを差し控えさせていただきたいと思います。

○井上哲士君 法務省としては特に報告を現時点で受けておられないんでしょうか。

○政府参考人(稲田伸夫君) いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、現時点では捜査中の個別具体的な事件にかかわるものでございますので、ここでの御答弁は御容赦いただきたいと存じます。

○井上哲士君 この米軍属の裁判権の問題は、法務大臣も、国民の納得のできるような解決にアメリカと協議中だという答弁もありました。私は、やっぱり国民が納得できるような結論をきちっと那覇の地検が出されるということを強く期待をしておきます。
その上で法案に入りますが、今回の法案は、受刑者の再犯防止や社会復帰の促進の観点から社会内処遇を拡充をするものとなっております。長期に拘禁刑が及ぶことの弊害、社会復帰の妨げになるというお話は今日の午前中の議論でもありました。再犯防止や社会復帰の促進の上での社会内処遇の有用性というのは非常に明確だと思います。
同時に、これは国際人権基準の方向に向けた流れでもあるわけですね。一九九〇年の国連総会で採択をされた社会内処遇措置のための国連最低基準規則というのがあります。府中市にある国連アジア極東犯罪防止研修所で起草されたため、東京ルールというふうに国際的に呼ばれているものですね。このルールの中で、社会内処遇措置の利用を奨励すると同時に、対象者の人権尊重を基礎に置いた公正な適用が保障されることを目指しております。
具体的に、例えば、加盟各国は、他の選択肢を用意して拘禁処分を減少させ、かつ、人権の遵守、社会正義の要求及び犯罪者の社会復帰上の必要を考慮して刑事司法政策を合法的なものにするために、自国の法制度において社会内処遇措置を発展させるものとすると、こういうふうにしております。
今回の措置はこの東京ルールを踏まえたものだと、こういうふうに聞いてよろしいでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 東京ルールズについては、今委員が御指摘になられたということでございます。我々の判断としては、今回の更生保護法の改正については、東京ルールズに定める非拘禁措置の利用を促進するための基本原則を満たすものであるというふうに考えております。
具体的に申し上げますれば、東京ルールズの定める基本目的の五項目のうち、今回の更生保護法の改正に関連するものとしては、一つは、これは第二項目になっているかと思いますけれども、犯罪者の処遇において地域社会の関与を促進すること及び犯罪者の社会に対する責任感を涵養することを意図していることという項目、それから二つ目の項目としては、これは東京ルールズの一般原則の第五項目めになろうかというふうに思いますけれども、加盟国は、人権の尊重、社会正義の要求及び犯罪者の更生ニーズに配慮しながら、刑事司法政策の合理化を図ることを目的として、それぞれの法制度の下で非拘禁措置の開発に努めなければならないことというこの二項目が該当するというふうに思っております。
今回の更生保護法の改正のうち、善良な社会の一員としての意識の涵養及び規範意識の向上に資する地域社会の利益の増進に寄与する社会的活動を内容とする社会貢献活動の導入というのは、この東京ルールズの最初に申し上げた項目に沿うものであるというふうに思います。
また、薬物依存の改善に着目し、刑事司法機関のみで対応するのではなく、医療や保健・福祉機関等と密接に連携し、これらと一体的な保護観察処遇を行うことで犯罪事犯者保護観察の充実強化を図ることは、東京ルールズの先ほどの二番目に私が申し上げた項目に沿うものであるというふうに考えております。
以上、これらの今説明申し上げたことによりまして、東京ルールズに基本的に沿うものであるというふうに考えているところでございます。

○井上哲士君 法制審の中ではこれを具体的に挙げた議論は行われてはいないんですが、基本的に踏まえたものだという答弁でありました。
この東京ルールは、刑事司法運営のあらゆる段階において適用されるものなんですね。ですから、公判前の被疑者、被告人にも適用されるルールであります。国連人権高等弁務官事務所発行のマニュアルが解説をしておりますけれども、未決勾留に代えて社会内処遇を利用することは特に奨励される、無罪の推定を受ける被疑者の権利に鑑み、未決勾留は例外的措置とされるべきだからであると、こういうふうに述べております。
今回、法制審ではこの問題は議論をされておりませんけれども、この未決勾留に代えて社会内処遇を利用すると、この東京ルールでも求められる課題については今後どのように具体化をされるんでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今回のこの法制度の改正に当たりまして、法制審議会で一部執行猶予制度の議論を行っていただいたわけでありますけれども、保釈の在り方についても議論は行われたというふうに承知しております。しかしながら、結論については意見の一致を見るに至らなかったということで、その点についての法改正というのは今回は入っていないわけでございまして、我々としては、現在行われている我が国の逮捕・勾留制度というものについての手当てというのは今回の法改正の中では取り上げていないということで御理解いただきたいというふうに思います。

○井上哲士君 やはり国際的な人権基準の流れでありますから、是非この問題を更に具体化、実現をしていただきたいと思います。
具体的に、一部執行猶予制度についてお聞きしますけれども、現行刑法は過去の行為に対する責任として刑罰を定めるという行為責任主義に基づいておりますが、今回の制度は行為者の将来の危険性に着目した制度になっていて刑法の行為責任主義から逸脱するんじゃないかと、こういう指摘がありますけれども、これについていかがでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) その御指摘については、我々としては、今回の刑の一部執行猶予制度においても、あくまでも行った犯罪行為の責任に見合った刑を科すという観点から相当と認められる範囲で刑の一部執行猶予を言い渡すか否かの判断をするものであって、刑罰の行為責任主義に反するものではないというふうに考えております。
法律の中でも明記してありますように、この刑の一部執行猶予の言渡しに当たっては、その言渡しをすることが刑事責任の観点から相当と認められ、かつ、その者の再犯防止、改善更生を図るという特別予防の観点から必要かつ相当と認められることが要件とされておりまして、刑事責任に見合った刑を科すという観点もしっかりと明記させていただいているということでございます。

○井上哲士君 次に、先ほど紹介した東京ルールの規定の中で、やはりマニュアルは、社会内処遇措置の利用によって刑事処罰の対象とされる人の人数が全体として増加したり、その措置の厳しさが増すべきでないという趣旨だというふうに述べられております。
これまで全部執行猶予だったものが、いわゆる短期自由刑のショック効果を狙った一部実刑の判決が下されて厳罰化になるんじゃないかという懸念の声もあるわけですね。実際、法制審の部会の議論を見ておりますと、ショック効果による改善更生を図った上で、その効果を維持すべく引き続き社会内処遇による改善更生を図ることがより有用かつ必要と認められる場合があるんではないかと、こういう短期間の自由刑を求める意見がかなり出ているという議事録もあるわけでありますが、こういう懸念についてはいかがでしょうか。

○政府参考人(稲田伸夫君) ただいまの点につきましては、午前中の審議の際にも中村委員からの御質問の中でも大臣の方から御答弁があったところでありますので、若干重複いたしますが私の方から御説明をさせていただきます。
刑の一部の執行猶予制度は、これまでも申し上げておりますように、犯罪者の再犯防止、改善更生に役立つ刑の選択肢を増やすという制度改正でございます。これまでと同様に、刑事責任に見合った量刑を行うことを当然の前提とした上で新たな刑の選択肢を設けて、個々の事案の内容、被告人の心情などに応じて、刑事責任及び再犯防止、改善更生の観点双方を一層充足する量刑判断を可能とする制度でございまして、厳罰化を意図するものでも寛刑化を意図するものでもございません。また、刑の全部執行猶予の要件につきましても、本改正により変更されることはなく、これまで全部実刑又は刑の全部執行猶予の判決が言い渡される事案について、改正後も全部実刑又は刑の全部執行猶予の判決を言い渡すことができることに変わりはございません。
さらに、現在の裁判実務では覚せい剤取締法や窃盗など法定刑に幅がある犯罪については刑期数か月の刑が言い渡される事例は極めて少ないところ、全部執行猶予相当のものを一部執行猶予とするためには実刑部分をかなり短期にする必要がございますが、このような裁判実務に照らすと、実刑部分をそのように短期にする運用がなされるとは考えにくいところでございます。
そもそも一部執行猶予は、施設内処遇を実施すべき者に対し、刑のうち一定期間を執行して施設内処遇を行った上、残り期間につき執行猶予し、相応の期間、執行猶予の取消しによる心理的強制の下で社会内で更生を促す社会内処遇を実施することによりまして再犯防止、改善更生を図ることを趣旨としているものでございます。
裁判所はこの制度の趣旨を踏まえ、刑事責任の軽重等から見て一部でも実刑を言い渡すことが相当の要件を満たしているかという点、施設内処遇による矯正の効果が上がるかという点や、いわゆる悪風感染や釈放後の正業復帰を困難ならしめるといった短期自由刑の弊害など、種々の要素を考慮して適切な刑を選択するというふうに考えているところでございまして、先ほどから御指摘のようなショック効果を狙ってごく短期の実刑期間を定めた一部執行猶予を言い渡すといった運用がなされるとは考えにくいと思います。

○井上哲士君 裁判実務上からも考えにくいというお話でありましたけれども、最高裁、そういう今ありましたような立法趣旨との関係でどのようにお考えでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 委員御指摘の点につきましては、この法案が成立いたしまして施行された際には、事件を担当する裁判所は個々具体的な事案におきまして、まずその立法の趣旨にのっとりまして、さらには立法当局のお考え、今もお考えの御説明がございましたけれども、それからさらに国会における御審議、そういったいろんな情報を裁判所の方で把握いたしまして適切な量刑判断に努めるということになると思っております。
最高裁の事務当局といたしましても、そういうことができるように立法の趣旨の周知を図る、さらには施行までの準備期間がございますので、そのほか法務当局からいろいろ情報提供もあるかとも思っております。そういったものもいただいて、裁判官に伝えて、遺漏のないような運用ができるようにしてまいりたいと思っております。

○井上哲士君 次に、一部執行猶予の期間が刑期の三分の二を超す場合、仮釈放は事実上できなくなるわけですね。一方、仮釈放には、将来の釈放可能性を残すことによって受刑者の善行保持を促すという機能があるわけで、それができなくなりますとこの受刑者のインセンティブが働かなくなるんじゃないかという懸念の声も出されております。
短期自由刑によるショック効果はない、狙うことはないんだというお話もありましたが、そういうことがないようなことを担保するという点でも、そしてこの仮釈放の可能性を残してインセンティブを保つという上でも、例えば施設内処遇を刑期の三分の一以上とするような方法もあると思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

○政府参考人(稲田伸夫君) 御指摘のような考え方で刑期の最低限を定めるというやり方もあろうかと思いますが、他方で、従来からこういう執行猶予の在り方等につきましては裁判所の裁量に委ねられてきたところが大きいわけでございますし、裁判所の量刑判断等を通じた量刑選択の問題とするのがやはり基本的には妥当なんだろうと思います。
ただ、実刑部分を刑期全体に比べて極端に短期のものとするということになりますと、それはやはり施設内処遇を実施した上で社会内処遇を行うという先ほどの申しました法の趣旨等から見て望ましくないということにはなろうかと思いまして、裁判所がそのような選択をされることはなかろうと思いますし、これまでの裁判所の量刑判断を見ますと、そもそも、法定刑として相当短期の懲役が定められている特別法等は別にいたしまして、例えば窃盗罪や覚せい剤の自己使用などの罪につきまして極めて短期の実刑が言い渡されることは非常に少ないと思われますので、このような量刑の傾向からいたしましても、先ほども申し上げましたようなことから、量刑判断として非常に短い刑期が加えられるということはないんではないかというふうに考えているところでございます。

○井上哲士君 法制審の二十二回の部会会議のときには当局から、例えば一か月を切るような刑を実刑部分としたりするというようなことは相当ではないというふうな発言もあったようですが、こういうことでよろしいんでしょうか。

○政府参考人(稲田伸夫君) 若干技術的なことになりますが、現行法におきまして、懲役の宣告、要するに本刑自体としての懲役も一月未満にすることが刑法上は可能ということになっているとか、いろいろそういうこともございまして、いろいろそういう整合性の問題がありまして、実刑部分の下限というのをなかなかつくりにくいということもあるわけでございます。そこのところから、法制審の中でもいろいろ議論はございましたけれども、答申の中では最低限というようなことは触れられなかったというふうに理解しております。

○井上哲士君 次に、判決時に一部猶予を含んだ量刑を決めるということがその後の本人の受刑を含めた改善更生の度合いを判決時に判断していくということで、これまでになかった困難な判断になると思います。
これも先ほどの、この間の議論の中で、今の刑事裁判に出てくる材料でそういう判断が適切にできるのかとか、判決前調査制度の必要性という質問がありました。これ詳しい答弁がありましたので、同じ点を最高裁にお尋ねしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) お答えをいたします。
この法案が成立して施行された際には、個々の事件におきまして、当事者からこの一部執行猶予制度というのを意識した主張、立証も行われるかとも思っております。そういうのがない場合もあるかもしれませんが、いずれにいたしましても、事件を担当する裁判所が個々の具体的な事件におきまして必要な証拠調べを行いまして、当事者の意見を論告、弁論という形でお聞きをすると、その上で当該被告人に対して刑の一部執行猶予というのがふさわしいかどうか、これを適切に判断するものと思っております。
以上でございます。

○井上哲士君 弁護士会などもいろんな今後研究、検討もされるんでしょうけれども、やはりきちっとした判断ができるように関係機関の努力をお願いしたいと思います。
次に、薬物犯罪の問題です。
朝からの議論で、薬物犯罪に対しての言わば刑罰の重さをどうするのかというようなこともありました。
これ、染田さんという方の論文を私読んだんですけれども、覚せい剤取締法違反に関して犯歴数と量刑について研究をされているんですね。それと再犯期間について研究されているんですけど、一年以内に同じ罪で再犯をした人を見ますと、二犯目から三犯目の者は二四・六%。ところが、六犯から十犯目の者は三八%になっているんですね。ですから、犯歴を増やすと罰も重くなるわけですけれども、そうなればなるほど、むしろ再犯の期間が短くなっているというのがこの方の調査なんですね。
つまり、覚せい剤取締法違反の実態が乱用者による自己使用等ということを踏まえますと、もし拘禁刑が本当に効果的であれば、何度も何度も拘禁刑を受けて、しかもこの期間が長くなれば直っていくはずなんですが、逆になっていると。つまり、拘禁刑に覚せい剤乱用を防止する効果は乏しいと、受刑ないし刑罰によってはなかなか減少しないということをこの研究は言われておりまして、私もこれは大変重要なことだと思うんです。ですから、本法案で社会的処遇の拡充ということが言われたんだと思うんですね。
一方、WHOは、薬物依存症は病気というふうに定義をしておりまして、あへんとか大麻とか覚せい剤などの依存症は薬物関連精神障害というふうに分類をしております。ドラッグコートなどの諸外国の例の議論もあったわけですけれども、この法案自身も今までよりも治療に重点を置いているわけですが、さらにこの被害者のない薬物犯罪についてはもう刑罰の対象から外して治療に委ねるべきだと、こういう議論もありますけれども、これについての見解、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今、WHOの見解等も御披露いただきましたけれども、我が国においては覚せい剤の使用行為というものが、覚せい剤取締法において覚せい剤の乱用を防止するためにこれらの行為に関して必要な取締りを行う目的から犯罪として規制の対象となっているということを含めて、規制薬物等の使用、所持行為というのは特別法上の犯罪行為として刑罰の対象とされているということでございます。
実は、いろいろな国の中では、例えばドラッグコートでは、刑事司法手続の過程の中で処遇の実施を図ろうとする制度なわけでありますけれども、例えば、そもそもその手続に従っていくと起訴そのものがされなくなってしまうとかいうようなことで、我が国の法制度に比べてみるとなかなかちょっとなじみがないような形で取り扱われておりまして、そのこと自体が、例えば刑罰の対象から外して治療に委ねられているというふうに考えるべきなのか、あくまでも司法手続の中でそういった取扱いがされているのかというような評価の問題もあろうかというふうに思いますが、やはりこうした薬物の使用については、社会的な影響、あるいは薬物の使用というものがその後社会に与える影響というようなものを考えていきますれば、我が国においては犯罪行為として刑罰の対象となり、その枠組みの中で対応していくということが必要なことではないかというふうに考えております。

○井上哲士君 現行制度の枠ではそういうことだと思うんですけど、これは私はやはり今後の課題として検討すべきことだと思っております。
この薬物犯の場合でも、初入者の場合は刑法の適用になって、一部執行猶予が付いても必要的に保護観察は付かないわけですね。しかし、薬物依存の場合は、むしろこの初期の段階で処遇が非常に重要であって、むしろ初期の段階から治療を強く促すために、薬物犯の一部執行猶予については初入者の場合も必要的に保護観察を付けるようにした方がよかったんじゃないかと私は思うんですが、この点いかがでしょうか。

○政府参考人(稲田伸夫君) 御指摘のような見解はあろうかと思いますが、刑法の改正の方の基本的な考え方は、初入者で刑の一部の執行を猶予することが適当と認められる者の中には、家族でありますとか仕事などの環境が整っているというような者も想定されるところでございまして、こういう場合においては刑務所での施設内処遇の後に一定期間、刑の執行を猶予された状態に置くこと自体によって改善更生を期待できる者もいるのだろうかというふうに思っておりまして、そういうことから考えると、一般に刑法全体としては必要的に保護観察を付するまでしなくてもそこは裁判所の方の御判断にお任せすればいいのではないかという判断をしたところでありまして、その点につきましては薬物使用等の罪の初入者でも同じではないだろうかということから、初入者に対する刑の一部の執行猶予制度におきましては一律に保護観察を付するということではなくて、裁判所において対象者ごとにこの要否について御判断をいただければというふうに考えているところでございます。
いずれにしましても、裁判所におかれて、初入者である薬物犯罪者に対して、その事案の内容でありますとか、薬物に対する依存性の程度等を勘案され保護観察に付することが可能でございますので、本制度の趣旨を踏まえて適切な量刑判断がなされるようにしていただきたいというふうに考えておるところでございます。

○井上哲士君 薬物の乱用とか、依存者の場合は自分が依存者で治療が必要だという自己認識がほとんどないわけですから、こういういろんな刑事司法にのってきたときというのはむしろいろいろ援助をするチャンスだと思うんですね。ですから、保護観察ということにならない場合であっても、いろんなやはり機関との連携でそういう人たちをそういう方向に促していくという方法は更にお考えいただきたいと思います。
この一部執行猶予となった者をダルク等へ入所を委託するとしております。ダルクは薬物依存から解放されるために共同生活を行いながら回復を目指す依存症のリハビリ施設です。お互いに仲間として病気を分かち合いながら成長していくと。その過程の中で入所者が薬物を再利用することがあるんですね。しかし、それは病気を治す過程の出来事だというふうに認めて、更に回復を目指すということになっています。
ところが、法務省の委託を受けて一部猶予者を受け入れたときに、薬物を再使用したことを報告をするということを義務付けられますと、結局、そういうお互いに病気の治療の過程と認め合って回復を目指すという性格から離れて、通報して、そして結果としては一部猶予が取り消されてしまうということになってしまうと、やっぱりダルクが持ってきた趣旨と合わないという御意見も聞くんですね。
こういう民間団体とか、そして医療機関との連携を進めるに当たって、病気を治す過程という実態に即したもっと柔軟な対応も要るんじゃないかと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

○政府参考人(青沼隆之君) 一部猶予制度の導入に関しまして、特に薬物については、やはり治療的な観点、あるいは医療的な観点、福祉的な観点、支援といったものが非常に重要だというふうに考えておりまして、これまでもダルク等の民間のリハビリ施設について保護観察の対象者をその指導について引き受けていただいたということもありまして、その過程で大変効果が上がっているというふうな報告も受けております。それを踏まえて、今後ともダルクとは必要な連携を強めていきたいというふうに考えておりまして、ダルクの考え方等についても十分尊重したいと考えております。
一方で、今、ダルクに宿泊場所や食事の提供等の事業そのものを委託する、ダルクに対象者を宿泊させるというふうな事業を行おうとしておりまして、現実にダルクについてそういう事業を行っております。それについては一定のお金を委託費という形で法務省からダルクの方にお支払すると、そういう事業でございます。そういう事業に関しましては法務省令が定まっておりまして、犯罪又は犯罪のおそれがあるというふうなことを知ったときは保護観察所の方に通報、通告しなければいけないというふうなことになっておりまして、それについては現在のところ運用を変えるということは考えておりません。
しかしながら、薬物の再使用に関する考え方については委員御指摘のとおりいろいろ考え方もありますし、各ダルクによっても考え方が違うというふうなことも聞いておりますので、今後の協議の過程においてその連携方策について検討してまいりたいと思っております。

○井上哲士君 各ダルク、いろんな御意見もあるというのは私も承知しておりますけど、これはダルクだけじゃないんですね。薬物依存の治療の現場でも、そのプログラム参加中の患者が薬物を再利用した場合も、これはもう回復の過程だという考えで引き続きプログラムを続けるということは医療現場でもやられているんですよ。
ですから、何かそれで、まさに回復の経過ですから、むしろ社会内処遇で、そういうことを起こした人ほど一層この薬物の誘惑の多い社会の中で薬物を絶つための援助が必要になってくると思うんですね。ところが、この経過の中でちょっと、ちょっとというか失敗をしてしまうということで刑務所に戻してしまうと。そうしますと、この人はもう満期出所になるんですね。だから、もう社会内処遇を受けずにいきなり出ていくということになるんです。
そもそも、なぜ一部執行猶予にするかといえば、規制薬物等に対する依存の改善に資する処遇を実施することが再び犯罪をすることを防ぐために必要だと、かつ相当だと。必要なんですね。そういう社会内処遇を受けることが必要な人が社会内処遇の中で失敗をしたら、もう必要なくなるのかと。戻って満期出所したら、いきなり社会に出てまた再犯を犯す可能性はむしろ高くなると思うんですね。これは大きな私は矛盾だと思うんですけれども、矛盾だと思われませんか。

○政府参考人(青沼隆之君) その点につきましては、更生保護当局としても運用の在り方等についていろいろ検討はしております。
例えば一例でございますけれども、一部猶予制度の下でも仮釈放制度というのはその運用を継続して、その運用の在り方を変えるつもりはございませんで、例えば一部猶予対象になった者についても仮釈での運用ということがございます。
仮釈放をされますと、その過程は保護観察になりますので、その保護観察の過程で十分な指導をするということで、また収監されるということがないような形で改善更生を図るということで、引き続いて一部猶予制度を運用することで継続して改善更生を図るといったような手段を通じて、再び収容することがなく薬物依存を継続して改善するような方策も考えられるというふうなことを考えております。

○井上哲士君 社会内処遇の有用性というものを認めてといいましょうか、重視してこういう制度にするわけですから、一貫したそういう処遇が必要だと思います。是非、更にある意味柔軟に対応し、そして民間団体や医療機関とも連携できるようにしていただきたいと思います。
更に更生保護の体制強化についてお聞きしたいんですが、あと僅かになりましたので一問だけ聞いておきますが、この一部執行猶予制度の導入によって保護観察の対象者が年間どれぐらい増えると予想、ある程度幅があると思いますけれども、当局としては予想をされているんでしょうか。

○政府参考人(青沼隆之君) 一部猶予の執行猶予制度は、裁判所によって所定の要件を満たして相当と認める場合に判決を言い渡すものでありますから、現段階において実際に年間何件程度、事件についてその刑の一部の執行猶予の言渡しがあるかの見込みをお示しするのは困難だと考えております。
その上であえて申し上げれば、まず、初めて入所するいわゆる初入者の場合ですと、三年以下の懲役又は禁錮に処せられた者は、平成二十二年の統計ですけれども、九千八十九名でございます。また、覚せい剤使用等の罪を犯した二度目以上のいわゆる累犯者の入所者は、同じく三年以下の懲役、禁錮で三千八百五十五名でございますので、合計すると約一万三千名が一応の対象となり得ると、こういうことになります。この中で一部猶予がどの程度言い渡されるかというのは予測は非常に困難ですが、仮に半分程度であれば六千数百名程度、三分の一程度であれば四千数百名といった、いわゆる数千名程度のオーダーになるというふうに思います。
さらに、御指摘の保護観察の対象がどれぐらいになるのかという点については、いわゆる初入者に対する一部猶予の言渡しの場合には裁判官の裁量によるということですから、これまた現段階でその見込みをお示しすることもまた困難であります。
その上であえて申し上げますと、現状でも実は受刑者のうち半数程度は仮釈放になっておりまして、その者については保護観察に付されております。ですから、先ほど申し上げました四千数百から六千数百というオーダーを、その仮釈によって現在でも保護観察に付いている者を差し引きますと、二千数百から三千数百というのが保護観察対象の可能性があるという数字になろうと思います。

○井上哲士君 時間ではありますが、大体三千前後というような数がやっと出てまいりましたが、これは一年間に増える数であって、一部執行猶予五年ということになりますと大変長いですから、どんどんたまると増えていくということになるわけですから、それも踏まえた体制の整備や、そして専門性向上の問題を是非強く強力に推進をしていただきたいと思います。次回、その問題は質問したいと思います。
どうもありがとうございました。

○委員長(西田実仁君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後四時五十一分散会

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