180-参-本会議-005号 2012年04月03日


2012年4月3日

○西田実仁君 私は、公明党を代表して、ただいま議題になりました平成二十二年度決算について、総理大臣並びに関係大臣に質問をいたします。
民主党政権による実質的に初の決算である平成二十二年度決算には、成長を犠牲にして分配を優先した現政権の財政運営の失敗が如実に示されています。
平成二十二年は、世界経済がリーマン・ショックから回復し、正常な回復軌道に回帰した年でありました。にもかかわらず、日本経済のパフォーマンスの悪さが目立ちます。
その背景に、リーマン・ショック後に誕生した現政権が、世界経済危機の最中にもかかわらず、無謀にも予算を抜本的に組み替え、成長から分配に財政運営を大転換したことがあります。
現政権は、成長に資する二つの投資予算を大きく削減してしまいました。すなわち、経済活動の基盤であるインフラ投資、そして人的資本に対する投資の削減であります。公共事業費は過去二十年で最低となり、一般歳出に占めるその比率は一九九三年度の二九%から一〇%へと大幅減、人的資本に対する投資である文教及び科学振興費も九一年度の一四%から一一%へと低下しています。
経済成長は、日本全体の付加価値額が増えることです。その六割は法人企業から生み出されます。にもかかわらず、現政権では法人企業への財政支援を大きくそぎ落としました。一般会計の公共事業費、経済協力費、中小企業対策費、エネルギー対策費の合計でそれを見ると、平成二十二年度決算では八兆円余りと、リーマン・ショック前の十九年度決算から一割強、二十一年度決算から四割弱削減をしております。
その結果、法人企業の付加価値額はリーマン・ショック前の水準に至っていません。米国の法人企業の利益がリーマン・ショック前のピークを上回り、税収の回復で財政赤字が昨年四月以降縮小に転じているのとは対照的であります。
仮に、法人企業の付加価値額がリーマン・ショック前の水準を回復し、法人税収が、二十二年度決算の九兆円ではなく、十九年度決算の十四・七兆円に回復していれば、新規の国債発行額も基礎的財政収支の赤字もそれだけ改善をします。
成長を犠牲にして分配を優先しても、個人消費の拡大効果や教育投資、農業の活性化など、パイを拡大する効果は一向に見えません。それが平時の理屈にすぎないからです。反対に、現政権の発足後から今日まで、公共投資と企業設備投資のゼロ成長が続き、産業空洞化は進行、経済停滞からの脱却が困難な事態に陥っています。一刻も早くこうした誤った経済財政運営を改めるべきと考えますが、総理の認識を問います。
一部の報道によれば、平成二十三年度の第一次から第四次までの補正予算の執行が著しく遅れているとされています。被災地の復旧・復興のためにと我々野党も予算の早期成立に協力してまいりましたが、これでは何のためか分からなくなります。震災関連予算の早期執行に向けた体制づくりについて、総理にお聞きをします。
過去二千年のデータによれば、東日本太平洋側のマグニチュード八以上の地震四例中四例とも十年以内の首都圏直下型地震と連動しており、また、四例中三例は東海・東南海・南海地震と連動しております。早急な防災・減災対策を取らないと、日本国家の存続そのものが危機にさらされかねません。
そこで、公明党では、二月三日に発表した総合経済対策に関する緊急提言の中で、震災関連予算の早期執行とともに、防災・減災ニューディールの必要性を訴えました。地域の意見や要望等を十分に踏まえた上で、社会インフラ等の老朽化対策を含む災害に強い町づくりのための工程表を作成し、計画的かつ大胆な集中投資を行うべきと提言しております。
現政権では、コンクリートから人へという誤った方針の下、求められている防災・減災対策にも遅れが生じているのではないかとの懸念が拭い切れません。
具体的にお聞きをします。
荒川では、二百年に一度の洪水に対する治水施設等の整備率がいまだ五〇%程度です。一方、地形等の条件が異なるとはいえ、米国のミシシッピ川では五百年に一度の洪水に対する整備率が九四%、イギリス・テムズ川では千年に一度の洪水に対して一〇〇%の整備率。日本の安全度や治水施設等の整備率の低さが目立ちます。にもかかわらず、現政権によるいわゆるダム検証等により、法律に裏付けられた河川整備計画はいまだに作成されていません。
同計画はいつまでに作成するのでしょうか。今後十年の間に荒川の治水施設等の整備率は何%まで引き上げられるのでしょうか。また、河川管理施設の耐震性は大胆に前倒しをして強化すべきと考えますが、国土交通大臣の所見を伺います。
会計検査院の指摘によれば、国庫補助による基礎調査の結果が長期間活用されず、土砂災害警戒区域等の指定を行っていないケースが間々見受けられます。この際、政府においては、検査院が指摘するような滞った防災・減災対策がないかどうか、総点検を指示すべきと考えます。総理の所見を伺います。
コンクリートの寿命は早くて五十年と言われます。日本では今後、この五十歳を迎える社会資本が激増します。閣議決定された平成二十四年度までに、橋梁や下水道等の長寿命化策定作業は終わるのでしょうか。また、その後の事業の実施に向けた予算の確保について、総理の決意をお聞きします。
会計検査院では過去三年、四十七都道府県と十八政令指定都市を調査し、いずれの自治体でも空出張や業者への預けといった不正な経理による裏金づくりが見付かっています。この度の決算検査報告でも、一部の大学など研究機関において、補助金に関する不正経理が発覚しています。
検査院から繰り返し指摘されてもなおなくならないこうした不正経理を防止するため、公明党が提案し、自民党とともに国会に提出し、今も継続審議となっている不正経理防止法などの法整備が不可欠です。
平成二十二年二月の本院決算委員会では、我が党の議員の質問に対して、当時の菅財務大臣が、是非立法を検討していくべきだ、民主党としても協力を申し上げてまいりたいと答弁。野田総理、総理が財務大臣を務めておられた平成二十二年十月の本院決算委員会でも、この不正経理防止法について、関係機関とともによく検討させていただきたいと言われています。随分と長い間検討されているようですが、検討の結果はどのようになっているのでしょうか。
こうした不正経理の背景には、国からの委託費の問題があることはこれまでも指摘してまいりました。
委託契約に係る不正経理は、れっきとした法律違反にもかかわらず、当事者にはその自覚はほとんどありません。会計法違反には罰則もなければ懲戒対象にもなっていないからです。国民の皆さんから徴税する際には厳しい罰則規定が設けられながら、その公金を扱うルール、すなわち会計法が余りにずさんです。
そこで公明党は、会計法について抜本改革すべきと提案してまいりました。平成二十一年十一月三十日の本会議場にて、私は当時の鳩山総理に会計法令に関する抜本改革の必要性を訴えました。その際、総理は、御指摘の点も含めて、今後とも制度面なども含めまして十分に検討してまいりたいと答弁されています。
指摘したのは、財務省の予算執行の適正化を図るための監査、報告徴求の形骸化や会計法上の罰則規定の欠落など、五つの問題点ですが、それぞれ十分にどのように検討されたのか、それをお聞きして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣野田佳彦君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(野田佳彦君) 公明党を代表しての西田実仁議員の御質問にお答えをいたします。
まず最初に、成長と分配についての考え方についてお尋ねがございました。
成長を通じて経済全体のパイを拡大することは、被災地が確かな復興の道を歩み、将来に繁栄を引き継いでいくとともに、社会保障を支えていく上でも重要であると認識をしております。
このため、平成二十二年六月に策定した新成長戦略においては、グリーンイノベーションやライフイノベーションの推進により内需を創造するとともに、アジアを中心とする世界の活力の取り込みなどにより外需をつくり出し、成長の実現を図っていくこととしております。
今後、新成長戦略の成果目標の実現に向け、その実行を加速するとともに、新産業の芽を育てていくことなどに重点を置きつつ、日本再生戦略を年央までに策定し、官民が一体となって着実に実行をしてまいります。
このように、成長を通じてパイを拡大することと同時に、成長の果実を広く国民が享受できるよう分配の視点も重要であると考えております。具体的には、社会保障と税の一体改革を通じた社会保障の充実は分配に資するものであり、また、所得税や資産課税の見直しを通じた分配機能の強化を図ってまいります。あわせて、労働市場への参画が重要であると考えており、求職者支援制度など、第二セーフティーネットの整備を進めてまいります。
続いて、震災関係予算の早期執行に向けた体制づくりについての御質問をいただきました。
一次、二次補正の合計予算額約五・一兆円に対し、一月末現在における執行額は約三・九兆円、執行率は約七六%。さらに、三次補正まで含めた合計予算額約十四・三兆円に対し、一月末現在における執行額は約七・八兆円、執行率約五五%となっております。各府省とも、復旧・復興事業の速やかな執行に鋭意取り組んでいるところであり、補正予算の執行額は日々増加をしております。
これまで、省庁合同支援チームの被災自治体への派遣による復興計画の早期策定、災害復旧の査定前着工の周知徹底、復興交付金における事業の交付前着工など、早期着手に向けた工夫も行っているところであります。
今後とも、復興庁に新たに設置した支所等を活用し、現場の状況をきめ細やかに把握し、事業計画と工程表に基づく進捗管理を行うなど、各府省に対し、確実な事業遂行を促してまいります。また、他の地方自治体の職員の更なる応援派遣などにより、復興事業の迅速な実施の支援も行ってまいりたいと考えております。
続いて、土砂災害警戒区域等の未指定、防災・減災対策の総点検についての御質問をいただきました。
東日本大震災、そして、その後も相次いだ台風被害、大雪災害等の教訓をしっかりと生かし、今までの想定を大きく上回る規模の災害についても防災対策の充実を図ることが喫緊の課題であります。
御指摘の土砂災害警戒区域等の指定が行われていない場合の理由といたしましては、地域住民が土砂災害警戒区域等の指定に対して反対していること、市町村の要望に基づき地区単位で一括指定するなどしているため、同一地区内の残りの地点の基礎調査の完了を道府県が待っていること、地域住民への説明等に時間を要していることなどがあるものと承知をしております。
政府としては、区域指定の進捗状況について広く周知するとともに、先行事例の紹介や住民の理解を深めるための取組を支援し、土砂災害警戒区域等の指定が促進されるよう努めてまいる所存であります。
今後とも、政府では、災害に強い国づくりを進めていく上で適切かつ効率的な防災・減災対策が行われているか、しっかりと目配りをし、適切に対処してまいる所存であります。
続いて、社会資本の長寿命化対策についての御質問をいただきました。
高度経済成長期に集中的に整備された社会資本が今後急速に老朽化することから、社会資本の長寿命化対策は重要な課題であると認識をしております。このため、平成二十一年三月に閣議決定した社会資本整備重点計画において、社会資本の長寿命化・老朽化対策に関する指標を掲げ、平成二十四年度の目標達成に向け、長寿命化計画の策定推進等に取り組んでいるところであります。
平成二十三年度末の達成率は、道路の橋梁で約七から八割、下水道施設で約七割、港湾岸壁で約八割程度と見込んでおり、平成二十四年度末にはおおむね目標を達成するよう努力をしてまいります。
長寿命化計画が作成された施設については、計画に基づく適切な点検、補修等を効率的に推進するため、コスト縮減や施設管理者に対する技術支援など、必要な対策を講じてまいります。
次に、不正経理防止法案についてのお尋ねがございました。
公務員等の不正経理の防止の徹底を図り、会計検査院の機能を向上していくことは重要な課題であると認識をしています。御党及び自民党から提出された不正経理防止法案は、前国会から継続審議となり、今国会に引き継がれているところであり、民主党においても検討がなされているものと承知をしております。本法案については、今後、政党間において御議論がなされることを期待をしており、政府としては、これらの議論も踏まえ、より一層の予算執行の適正化と不正経理の防止に向けて積極的に取り組む所存でございます。
次に、予算執行の適正化や会計法令に関する改革の検討内容についてのお尋ねがございました。
予算執行の適正化の問題については、平成二十二年度から各府省に予算監視・効率化チームを設置し、予算執行の効率化計画の策定、実施状況のチェック、効率化の実績及び更なる改善方策の公表や、いわゆる官製談合防止法の趣旨を踏まえた談合に関与した者に対する厳正な対処など、政府としても取組を進めているところであります。
会計法に関する御指摘については、会計法が言わば国の会計機関に対する訓令的法規であること、不正経理を行った会計担当者に対しては、民法上の賠償責任や刑法などの適用があることはもちろん、国家公務員法に基づく懲戒処分の対象となることを踏まえる必要があると考えております。
今後も、予算が国民の税金等により賄われていることを十分踏まえ、運用面、制度面について不断の見直しを重ねてまいりたいと考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせていただきます。(拍手)
〔国務大臣前田武志君登壇、拍手〕

○国務大臣(前田武志君) 西田議員から、荒川水系の河川整備についてお尋ねがありました。
荒川は、東京都心を貫流し、その流域は我が国の中枢機能が集中する社会的、経済的に重要な地域であり、流域の関係者の利害も複雑になっております。このため、流域に位置するダム事業の検証の進捗を見ながら、多くの関係者の理解が得られるような河川整備計画の検討をできる限り速やかに行ってまいる考えであります。
関東平野を流れる荒川は、直轄管理区間のほとんどが築堤区間となっていますが、堤防の高さや幅が一部不足している区間があるものの、中流域にある広大な河川敷を活用した遊水地の効果と併せて、近年発生した洪水に対応するために必要な堤防はおおむね整備されている状況です。
しかしながら、中枢機能が集中している重要な流域を守る必要があることから、より大きな洪水にも耐えられるよう、はんらんした場合に発生する被害が大きい区間を優先しながら、所要の高さや幅を持った堤防の整備や強化対策を更に進めてまいります。
河川堤防等の耐震化については、これまでも対策を進めてきましたが、東日本大震災では東北地方や関東地方において液状化等による著しい被害が発生したことも踏まえ、液状化対策等を強化して耐震性の向上に一層努めてまいります。
以上でございます。(拍手)

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