180-参-法務委員会-011号 2012年08月28日


2012年8月28日

○委員長(西田実仁君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、溝手顕正君が委員を辞任され、その補欠として若林健太君が選任されました。
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○委員長(西田実仁君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省民事局長原優君、法務省刑事局長稲田伸夫君、法務省矯正局長三浦守君、法務省保護局長青沼隆之君及び厚生労働大臣官房審議官西藤公司君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(西田実仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(西田実仁君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。滝法務大臣。

○国務大臣(滝実君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を増加するとともに、裁判所の事務を合理化し、効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を減少しようとするものでありまして、以下その要点を申し上げます。
第一点は、裁判官につき、判事の員数を三十人増加しようとするものであります。これは、民事訴訟事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を三十人増加しようとするものであります。
第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十人減少しようとするものであります。これは、民事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理を図るため、裁判所書記官を八十人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を合理化し、効率化することに伴い、技能労務職員等を百十人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十人減少しようとするものであります。
以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。

○委員長(西田実仁君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。

○小川敏夫君 最高裁の方にお尋ねしますけれども、今回の法律によって裁判所が充実するということは大変いいことだと、好ましいことだと思っておりますが、裁判所も国民に対して開かれた存在でなくてはならないと思うわけでございます。
裁判に関しては、いわゆる訴訟手続法にのっとった不服申立てというものがこれは当然あるわけですが、そうではないところで、いわゆる苦情の申立てとか意見の申出とかそういったものが実際上、国民からあると思うんですね。そうした中でも、まあ中には単なる不平不満で取り上げる価値がないものも多いかもしれませんが、しかしそうした申出の中には、やはり裁判所としても取り上げるべき、考慮すべき点を指摘しているというようなものもあり得ると思うんですね。こうしたことの国民の意見を取り上げて、言わば開かれた裁判所としてこれから取り組んでいくためにどのような体制を取っていて、また将来これをどのようにしていくのか、そこら辺のところの状況を御説明いただきたいのでございますが。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 今委員が御指摘のとおり、裁判所に対しましても様々な苦情、御意見をいただくことがあるわけでございます。その苦情等の中で一番多いものはやはり事件の関係の苦情でございまして、そういった事件の関係の方々からの苦情というものは、通常の場合、その事件を担当しております部署に直接いらっしゃったり、あるいは電話でいろんな苦情を述べられるという状況でございます。
こういった苦情の内容は様々でございますが、これに対しましては、担当書記官等の部署の職員がその内容に応じまして必要な御説明をしたり苦情を伺ったりしておるところでございます。
これが事件の内容、判断に対する御不満であれば、これは不服申立ての手続をお教えするということでございますが、それ以外の担当職員の対応等に関する御不満ということでありますと、これを伺いまして、場合によりましてはその直属の上司が更に対応するといった対応をしておるところでございます。
また、電話等で苦情を述べられる場合は、代表電話に掛かってまいりますので、これは交換の者からお話を伺って、その関係部署に電話を取り次ぐと。これが必ずしも明らかでないという場合には、基本的には裁判所の事務局の総務課におきましてこれを受け止めるということで対応するということでございます。
裁判所への苦情は、これは様々でございますが、個々の事件処理に関するものでございますと、裁判所として全体どうするかというのは必ずしも、裁判の独立との関係もございまして難しい面ございますけれども、それ以外のいろんな苦情、職員の応対でございますとか、あるいは事務処理のミスということもあるわけでございまして、こういったものにつきましては、必要に応じまして事実関係の確認を行った上で、裁判所側の対応に問題があれば、これは御説明、謝罪をするといったような対応もしております。また、その結果につきましても、これは職員等に周知をいたしまして、再発防止のために取り組んでおるところでございます。
これ以外で、裁判所運営一般ということでございますと、これは司法行政に関するものも含めますと、今、裁判所には地方裁判所委員会、家庭裁判所委員会というものを設けまして、有識者の方々を含めた御意見を伺うという運営もしておるところでございます。
こういうことでございまして、今後とも、国民の皆様の御批判を真摯に受け止めて、国民が利用しやすい裁判所を実現するということを目指して更なる運用改善に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○小川敏夫君 次に、法務省に、ちょっとこの時間を利用して破産法のことについてお尋ねしたいんですが。
破産法では、破産管財人に言わば事務処理を迅速に進めるためもあって非常に大きな権限と裁量の範囲があるわけでありますが、しかし、管財人に行き過ぎがあったり間違いがあれば、これは裁判所が監督すると、こういう構造になっておるわけですが、ただ、実際上、例えば破産管財人をそもそも選任したのは裁判官自身でありますし、破産管財人が業務を、職務を行う上においては裁判官と相談して行うことも多いわけでございますし、特に地方の裁判所ですと、言わばほかの件も含めて裁判官と破産管財人の弁護士は頻繁に顔を合わせていて、言わば人間関係がかなりできているというようなこともあって、裁判所がどうも管財人に身びいきになってしまうということもあり得るんではないかと。
端的に言いますと、そうしたときに、裁判所が破産管財人の監督を言わば適正に行っていない場合、どうも破産法を見ると、裁判官が監督を適正に行わないことに対して利害関係人が何らかの不服申立てをする手続がないので、どうしたらいいのか。
今の法律の場合ですと、裁判官が自ら行わない限り、利害関係人は仮に破産管財人におかしなことがあっても諦めざるを得ないような構成になっているように思うので、そこら辺のところの状況と対応をちょっと法務省民事局長の方から御説明いただきたいと思っております。

○政府参考人(原優君) お答えいたします。
今委員から御紹介いただきましたように、破産法におきましては、破産管財人は裁判所が監督するものとされております。この破産管財人に対する監督権限の行使として、裁判所は、破産法が定める一定の行為を破産管財人が行うことについて許可、不許可の判断をするとされているほか、利害関係人の申立てにより又は職権で破産管財人を解任することができることとされております。
したがいまして、債権者等の利害関係人は、破産管財人が不適切な処分等を行っていることを発見した場合には、裁判所に対して監督権限の発動を促すことができますし、破産管財人の解任の申立てをすることができると、こういう立て付けになっております。
しかしながら、この破産管財人に対する裁判所の監督は裁判所の専権に委ねられておりますので、裁判所の監督権限の行使、不行使に対しまして利害関係人が不服を申し立てることはできないということになっております。これは、破産手続の迅速な進行や手続の安定を考慮したからであるとされているわけでございます。
したがいまして、今委員御指摘のような規定を設けることにつきましては慎重な検討をする必要があるものと考えております。

○小川敏夫君 終わります。

○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。
まず、東日本大震災に伴う裁判所の人的体制整備のことについてお伺いをしたいと思います。
本法案で裁判官の人数は増やすということでございますが、東日本大震災に対する人的な整備を今後どのようにしていくかということについて伺いたいと思います。
裁判所は、阪神・淡路大震災の際には、調停事件が非常に増加するという予測をしまして、それに対応するため、平成七年四月、神戸地方裁判所と簡易裁判所にまたがって裁判官四名、書記官八名等で構成される震災事件処理対策センターを設置しました。他方、東日本大震災は、被害が広範囲に及ぶなど、阪神・淡路大震災とは異なった状況があったためとされていますが、裁判所は弁護士会や法テラスと情報交換をして、どのような紛争が増加するのかを予測し、紛争が提起された際には裁判所としても適時適切に対応できるよう、必要な事件処理体制の整備を検討するというように、昨年、当法務委員会において、二十三年の四月十四日ですけれども、答弁をなさっていたところです。
その昨年の答弁から一年以上が経過をいたしましたが、その後、その状況をどのように把握していらっしゃるのか、現在の被災地域の裁判所における事件の受理件数や受理する事件の種類、傾向はどのようになっているか、教えてください。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えいたします。
被災地域におきますまず事件の受理状況でございますが、これは、平成二十二年と震災のございました平成二十三年度の年間の件数の比較で申し上げますと、地裁の民事訴訟事件は、これは平成二十三年度は前年度から約二八%の減少でございます。あと、簡裁の民訴事件、訴訟事件は四七%の減少、簡裁の民事調停の事件でございますが、これは約五〇%の減少ということで、主要な事件につきましては大きく減少しておるのが実情でございます。
ただ、この中で家事審判事件につきましては全般的にやや増えておりまして、その中では、特に相続放棄の審判が二、三割程度増加、さらに相続放棄等の期間伸長の審判事件は、これは三、四倍に増加したところでございます。この特に増加した事件につきましては、いろんな書記官等の応援を適切に行いまして、もう既にこの事件は全て判断が終わっておるという状況でございます。
今委員御指摘のように、私ども、阪神・淡路大震災の例も踏まえまして、いろんな民事事件、特に被災地での震災に関連する紛争が増加するのではないかということで、様々な事件動向の予測などを行い、あるいは応援体制ができるような準備をしておったわけでございます。
具体的にも、既にこの管内の各裁判所に対しましては、書記官、事務官を相当数増配置をするということを行いました。さらに、仙台等の大きな裁判所につきましては、家庭裁判所、地方裁判所、簡易裁判所が別々の窓口になっては御不便をお掛けするということで、統一的な窓口を設けるということをしましたり、支部におきましても、一か所おいでになれば全ての裁判所の御相談に応じることができるという体制を取ったところでございます。
そういったことで、現時点では我々予測したほどには事件がまだ増えてはいないところでございますが、今後、復興が進むに従いましてまた事件増ということも当然予測されるわけでございますので、これらに対しましては、私どもとしては、いつ、どういう状況、事件動向を十分把握した上で、その事件が増加するというような状況がありましたら迅速に対応できるような体制は常に整えておるところでございまして、今後ともこういう体制を継続してまいりたいというふうに考えております。

○森まさこ君 今、予測したほどは事件数が増えていないとおっしゃいました。それはなぜであるというふうにお考えでしょうか。被災地の法テラスでは法律相談が急増し、震災前の十倍を上回る地域もあると報道されております。法テラスや弁護士会との情報交換をするというふうに昨年御答弁いただきましたが、それはどのような情報交換をし、現在の、今御答弁なさった予測よりも裁判の数は増えていないことの原因はどこにあるというふうに分析されていますか。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) この事件が増加しない要因というのは、これはちょっと、必ずしも的確なことは申し上げられないわけでございますが、法テラスとあるいは弁護士会の相談の中身というようなことも、十分意見交換をしております。
こういったものについては、様々な、震災当初は、塀が壊れたとかいろんな直接的な震災による被害に関する苦情であるとか、あるいはまた相続関係の御相談であるとか、そういったものが多いというようなお話でございました。ただ、これが裁判所のまた受付相談におきましても、震災直後の時期におきましては相当数の相談を裁判所に御相談に来られたという実情がございまして、その中には、家庭裁判所の事件等ではそのまま事件の申立てに至ったというものもあるわけでございますが、それ以外の分野では必ずしもそういう申立てが裁判への申立てというところまでは至っていないというところでございます。
これは、私ども、そういう背景事情というところまで必ずしも十分承知する立場にはないわけでございますが、やはりまだ住民の皆様方が、いろんな紛争を抱えておられながらも、裁判という形で申立てをされるまでにはいろんな条件が整っておられないのではないかということも考えておる次第でございます。そういう意味では、今後とも、法テラスあるいは弁護士会との相談業務等のいろんな意見交換も継続しながら、事件動向の予測等をやってまいりたいというふうに考えております。

○森まさこ君 質問に答えていただけませんでした。私は、昨年御答弁をいただいたときに、法テラス、弁護士会と情報交換をするとおっしゃったので、その情報交換の中身について伺ったんですけれども、先ほどと同じような答弁で、結局、裁判所の、件数が増えていないというその事実だけを受け止めていると、その原因については分からないということです。
ただ、今指摘しましたように、法律相談の数は十倍以上に跳ね上がっているわけです。大震災が起きて、法律的なトラブルや悩み事がないわけがないんですよ。なぜ裁判にいかないかといったら、裁判をするまでいけないその事情があるわけです。
福島県について申し上げますと、地震、津波に加えて原発事故があって避難をしているので、近くの弁護士とも離れてしまい、司法書士や弁護士さんなどのそういう相談窓口までたどり着けない、又は生活にそこまでの余裕がないという事情もあります。それから、原発の損害賠償請求に関してはADRが設置されておりますし、それから東電の相談窓口もありますので、そこに行って処理をしているという現状がございますが、そこの処理が必ずしも満足のいくものではなく、非常に支払も遅いし、解決に至っておりません。ADRについても大きな不満の声が寄せられております。
ですから、そのような事情を弁護士会とか法テラスの方々と情報交換していれば、そのぐらいは分かるはずです。そうしましたら、その上に立ちましたら、今後、裁判所に提起される裁判の件数、審判の件数、これが増えてくるであろうという予測は容易に付けられると思います。今既に、もうADRで駄目だから裁判にしよう、東電の窓口ではもう駄目だから裁判にしよう、そのような動きが出てきているわけでございます。また、先般、土地の買取りについて政府から示された案も非常に不十分でありますので裁判にしよう、そういう動きがあるわけでございます。
それに対して、今御答弁があったように、状況を見て人員配置をいたしますといっても、裁判官の増員はすぐにはすることができないわけですから、どうやってその体制を整えていくんでしょうか。やっと大震災のこの後の混乱の果てに裁判所にたどり着いた皆様をまた更にお待たせすることになるのではないか、私はそのような危惧を抱いております。
今後の時点で、事件の件数が増加をしたり各種専門的な訴訟が提起されるという場合にどうやって対応していくというお考えなのか、現在のお考えをお聞かせください。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 私ども、今申し上げた、事件が現時点で増加をしていないと、要因については様々な要因もあるということを申し上げましたけれども、これは今後ともこの傾向が続くというふうに考えているわけじゃございませんで、やはりいずれこういった問題は紛争として顕在化すると。
特に、今委員御指摘の、原子力発電所のADRで今様々な損害賠償事件の対応がされておりますけれども、ここで必ずしも対応できないものが今後裁判所に来るであろうということは十分予測をいたしまして、これに対しましては、年度途中といったいろんな時期もございますけれども、まずは裁判所の中で、いろんな事件のいろんな繁閑があるところからまず優先的に人員を捻出して人の手当てをするであるとか、あるいは事件の処理体制を、例えばいろんな意味で効率的な処理体制を検討するといったことは現時点でも検討を始めておるところでございますし、今後ともそういったことを行ってまいりたいというふうに考えております。

○森まさこ君 先ほどおっしゃられませんでしたけど、今質問しましたら、現時点で検討を始めているということです。
具体的にその検討の内容を教えていただきたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) まず、人の体制につきましては、やはりこれはどこに起きるかということもございまして、一つは原発の関係では、必ずしも福島だけではございませんで、全国で起きるわけですが、その中でも特に大きい東京地方裁判所に起きることが相当程度予想されるわけでございまして、この東京地裁に対する事件増の対応につきましては、今回増員をお願いしております三十名ということを優先的に配置をするとか、そういったことも考えております。
また、事件処理体制につきましても、事件の処理の具体的なノウハウであるとか、そういった審理のやり方といったことについては、部門間で情報交換などをしながら効率的に行うという体制を今検討しておるところでございます。

○森まさこ君 優先的に配置をするということですので、是非よろしくお願いいたしたいと思います。
裁判官の資質、能力の向上についても問われ直されるようなこの大震災でございました。私が数度この委員会で指摘をさせていただきましたように、震災直後に、避難命令が出ていない地域から、福島県の相馬といわきでございますが、国家公務員である裁判官、検察官が我先に逃げてしまったという事件がございました。逮捕状の発行等に支障が生じたわけでございます。そういった裁判官の資質、能力の向上も特に検討をしていただきたいということをお願いをして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
裁判官ゼロ地域のことについて御質問したいと思います。
弁護士ゼロワン地域というのがございます。報道によれば、全国各地に二百三裁判所の支部が、管内がございます。このうち、弁護士がゼロか又は一人しかいないという地域を弁護士ゼロワン地域というふうに申しますが、これが昨年十二月に解消されたと。一時的に解消されたんですが、一人しかいない地域というのがまた一つ出たそうではございますが、ゼロの地域はなくなったということで、弁護士会として取り組んできた弁護士ゼロワン地域の解消というのは一定程度の成果が得られたところでございますが、他方で、裁判官については、最高裁判所の資料によれば、平成二十四年二月一日現在に、裁判官が常駐していない支部については四十六か所も存在するということです。日弁連はこれに関連して、弁護士過疎のみならず、広く司法過疎を解消するためには、裁判官及び検察官の増員、常駐など、国民の裁判を受ける権利の実質的な保障という、国の責務に基づく司法基盤の整備が強く求められるという会長談話を発表したところです。
弁護士のゼロワン地域が解消される中、いまだに裁判官が常駐していない非常駐支部が存在するということについて、最高裁のお考えと今後の方針をお聞かせください。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 裁判官の配置につきましては、これ、本庁、支部を含めまして、事件数あるいは事件の内容から出てまいります業務量というものを基本に決めておるところでございます。その結果、裁判官一人配置するだけの事件数がないといった裁判所におきましては、近隣庁から配置される裁判官が当該庁の実情に応じまして一週間のうち何日か出向いて事件を処理するという体制を取っておるところでございます。
こういった庁が、今委員御指摘のとおり、全国四十六支部あるわけでございますが、この点は今後の事件動向によるわけでございますが、現時点の事件動向、特に支部におきましては過払い事件等を中心といたしまして民事事件も増加傾向が収まり、やや減少ぎみという状況にございまして、今回増員いただく裁判官につきましても、やはり大都市を中心とした繁忙庁への手当てということが重要な課題であろうかと思っておりまして、こういった点で、今、非常駐になっている庁で直ちに常駐化するという見通しを申し上げる状況にはないということは御理解いただければと思っております。

○森まさこ君 是非、前向きにお取り組みをいただきたいと思います。
最後の質問に移らせていただきたいと思います。
法務大臣に御質問をしたいと思います。
七月三十一日の法務委員会で質問をさせていただきました法務局の統廃合のことについて、その質問の中で御答弁をいただいたことについて再度、更に質問をしたいと思います。
福島県の須賀川と二本松、これについて法務局を統廃合するというお話でございますが、被災地はどこも今回の統廃合の対象には入っておりません。大変地震の被害、土地、家屋の被害が多い中で法務局を統廃合されるのは困るという声が地域から出ております。しかし、須賀川地方についてはもう十月に統廃合することが決まったという御答弁でございました。二本松については検討中という御答弁でした。そして、須賀川の方には、須賀川市に機械を入れるのだと、緩和措置で、そういう御答弁が七月三十一日に大臣からあったところです。それに対して私が、郡山と白河に統廃合をされるこの須賀川と石川郡の中で、須賀川はまだ都会なんですよ、そちらに機械を入れても、一番この統廃合で打撃を被るのは石川郡です。そして、その地方の地震の被害というのは本当に甚大なものがございます。
そして、前回も指摘しましたように、縦割り行政の中で法務大臣のお耳に入っていなかったかもしれませんが、前回指摘をしましたその石川郡の方には、復興交付金などの地震の被害を解消するような予算が国から全く、一滴も行っておりません。そのような中で、病院も壊れ、市庁舎も壊れ、法務局までなくなるということになっては、じゃ、企業を誘致してまた立て直していこうというようなことが全く不可能になってしまうんです。
機械を入れるのが須賀川ではなくて、私は、石川郡の玉川村とか古殿町とかそういった町村ではないですかという質問をしました。これに対して御答弁いただく時間がなかったので、今日、御答弁をいただきたいと思います。お願いします。

○国務大臣(滝実君) 今委員の方から石川郡のことについての言及がございました。元々、石川郡の中では取扱件数が大変少ないと、こういうようなことがございまして、そこでこの石川郡だけ特に特別な配慮をする、こういうようなことは今の段階では考えられないと、こういうことが結論なんでございます。
元々、出張所の問題あるいはこれまでの運用の実態、こういうことを考えますと、基本的には手数料収入がどの程度あるかということも出張所を設置する場合の基本的な観点と、こういうことで来たものですから、今回も改めて石川郡内に出張所をどうするかと、こういうようなことではなかなか原則に返って難しいと、これが結論であることを改めて申し上げなければならない、こういうふうに思っております。

○森まさこ君 それでは困るんですね。
震災の前に確かに件数は少なかったかもしれませんけれども、震災で受けた傷は同じです。大都市の方だけ交付金が国から来て、はい、直してください、法務局も統合して大きくなりました。そこは立ち直れるかもしれないけれども、震災で打撃を被った田舎の方の町と村は死んでくださいということなんでしょうか。
私は前回申し上げたんです。震災の翌年に、今年の十月に統合すると言うんですよ。なぜ震災の翌年に統合するんですか、せめて二、三年待ってくださいと言ったんです。石川郡は、小さな村と町が五つまとまって今まで一生懸命に頑張ってきました。それを二つと三つに分けて、はい、こっちは白河の方に、はい、こっちは郡山の方に行ってくださいねと。そうすると、五つでまとまって一つの大きな企業の工場を誘致するということも難しくなってくるんですよ。そういうグループになって、国から何とか交付金、補助金をいただいてこの石川郡で震災から立ち直ろうとするときに、それと逆行するようなことをやってくる。せめて二、三年凍結していただきたいんですよ。
震災の前に決まったことでしょうけれども、震災があったので、事情変更の原則が適用されると思います。ほかの大震災の地域でどこもこの統廃合受けていないじゃないですか。どうして福島県のこの二つの地域がターゲットにされるんでしょうか。二、三年延期をしていただきたい。私は法務大臣に、もうすぐ任期が終わるかもしれませんけれども、一つだけいいことしてくださいと前回お願いしました。どうですか。御決断ください。延期をしてください。

○国務大臣(滝実君) 被災地の中でどうして福島県だけと、こういうようなことでございました。
基本的には、前回も申し上げたかと思いますけれども、要するに福島県内の統廃合が非常に遅れているということがたまたま今回のこの災害に遭遇したということでございます。したがって、法務省としては、今までその統廃合の話を進めてきたのをこれまで停止をしてきたわけでございますけれども、やはり予定どおり、現在改めて各管内の市町村とも相談をしながら、とにかくこの須賀川出張所については白河と郡山に分割をして統廃合するということを加味しながら、とにかく何とか統廃合に踏み切っていきたいと、これが現況でございます。
そういう意味では、大変これからいろんな取扱件数が増えるということも予想される中でどうかということでございますけれども、やはりそこは今までの件数からいっても分割をしながら統廃合を是非お願いをしたいと、こういうことで関係の市町村にはそれなりに御理解をいただいて今日までやってまいりました。
そこで、今お話がございましたように、十月九日ということでございますけれども、何とか市町村の御了解を得てそういう段取りを考えていくと、これが今までの実態でありますし、方針には、そういういろんな配慮をしてきたと、こういうことでございます。

○森まさこ君 終わります。

○松下新平君 引き続き、自由民主党の松下新平です。滝大臣には初めての質問となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私もこの法務委員会に参りまして一年たちましたけれども、この審議の過程でも、やはり法務大臣の職責というのは大変重いものがあるというふうに考えております。この大変重い決断である死刑の執行命令、そして大変大きな権限である指揮権の発動、そういった重責が法務大臣には課されるわけでありますので、ほかの大臣よりも一段高いところからの人格、識見が求められているというふうに思います。是非、滝大臣ならではの、今、森理事からもありましたけれども、是非、滝大臣ならではの被災地に配慮した英断もお願いしたいというふうに思います。
私は、今日初めてということもありまして、今日の議題の前に死刑制度について滝大臣の所見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
大臣の所見の前に、現在の死刑確定者数につきまして、確定後の収容期間の内訳、そして刑訴法第四百七十五条第二項ただし書に該当する者について、まず刑事局長からお示しいただきたいと思います。

○政府参考人(稲田伸夫君) お答え申し上げます。
昨日現在で当局において把握しております死刑確定者数は百三十一名でございます。このうち、判決確定から昨日までの収容期間別の内訳を申し上げますと、半年未満の者が一名、半年以上一年未満の者が十四名、一年以上五年未満の者が四十七名、五年以上十年未満の者が三十八名、十年以上二十年未満の者が十七名、二十年以上三十年未満の者が十名、三十年以上が四名というふうになっております。
また、お尋ねの刑事訴訟法第四百七十五条第二項ただし書に該当する者の数につきましては、先ほど申し上げましたように、確定者数が百三十一名であり、半年を経過していない者が一名でございますから、判決確定後六か月を経過している者は百三十名となりますが、現在及び過去に再審請求を行ったことのある者や恩赦の出願があった者などが相当数含まれておりまして、正確な人数をお答えすることは困難であるものの、いずれにいたしましても相当数の者がこれに該当すると承知しているところでございます。

○松下新平君 死刑の確定者数が百三十一名、死刑判決確定後六か月を経過している者が百三十名ということでした。これにはただし書があるという御説明がありまして、それを引き算しますと、私の計算では約六十名ぐらいの方がこの命令の対象になることになります。その中には、収容期間が三十年を超える者もいるということでありました。
現政権下では、千葉大臣の下で二人、小川大臣の下で三人、滝大臣の下で二人、執行命令をされました。柳田大臣、仙谷大臣、江田大臣、平岡大臣の下ではいずれも執行されませんでした。昨年は十九年ぶりに執行ゼロということになりました。
そこで、まず滝大臣に御所見を伺いたいんですけれども、この度の死刑執行についての御所見をお願いしたいと思います。

○国務大臣(滝実君) 当委員会におきましても、最初の委員会の際にも多少申し上げたかと存じますけれども、法務大臣が最終的に執行命令を出すというのはそれはやはり慎重を期すと、こういうことでもございます。したがって、法務大臣が要するに任意に執行を放棄するとかそういうようなことは法制上はあり得ない。やはり、裁判所が苦労に苦労を重ねて死刑の判断をしたと、こういう経緯はやはり法務省として尊重をしなければいけない、そんな前提条件で今回も死刑執行に踏み切らせていただいた、こういうことでございます。

○松下新平君 これは滝大臣ならではの決断であり、今の所見だったというふうに評価したいと思います。
その中で、未成年者の死刑確定の執行について、これは更に苦悩のあるところでございます。もちろん、未成年者、いろんな環境の中で更生の可能性も否定できない、その中で大臣としてこの命令を下す判断も求められていると思うんですけれども、その点についての御見解をお願いします。

○国務大臣(滝実君) 具体的な年齢の下で意見を申し上げるのはどうかとも思いますけれども、未成年者についての死刑の判断も裁判所としては恐らくいろんな状況を判断しながら死刑の選択をされたんだろう、こういうふうに認識をいたしているわけでございます。したがって、未成年者に対する裁判所が死刑判決を下した、その考え方というものはやはり尊重をしなければいけない。
ただ、それについて死刑命令を、執行命令を出すかどうかというのはやはりケース・バイ・ケース、具体的な場面で法務大臣としては判断をしなければいけない問題だろうというふうに考えております。

○松下新平君 先ほどの御所見の中で任意に執行を放棄することはあり得ないという表現をされましたけれども、それでは先ほど申し上げたように、執行をしなかった歴代法務大臣が四名いらっしゃるわけですけれども、私も刑訴法第四百七十五条第二項の規定に明らかに反すると思うんですけれども、滝大臣の見解をお願いしたいと思います。

○国務大臣(滝実君) 従来から、この条文については法務大臣が守るべき言わば命令というよりも訓示規定だと、言わばそういうような専門用語で言われてきたのがこれまでの実態でございます。私は、それはそのとおりだと思います。いろんなことを大臣としては判断をしなければいけない立場でございますから、そういう訓示規定だというようなことも勘案しながら決断をしなければいけない、ただし裁判所の判断を無視するような余地は基本的にはあり得ないと。こういう矛盾した条文でもあるかもしれませんけれども、精神としては、やはり慎重を期すための大臣の判断を求められているわけでございますから、そういう矛盾した中でも、やはり裁判所の判断を尊重するという立場だけは、これは維持しなければいけない問題だろうというふうに理解をいたしているわけでございます。

○松下新平君 大臣がおっしゃったように矛盾するんですね。そこで、大臣によって左右されるようなことがおかしいわけですよね。これは被害者側の人権上も大変問題だと思います。
そこで、この四百七十五条第一項、これを削除する、時の大臣の判断によって左右されない、これはほかの刑と同じように当然執行されるという議論もあるんですけれども、これについての大臣の御見解をお願いいたします。

○国務大臣(滝実君) この条文の削除いかんという問題については、これはやはりそれぞれ長い議論の歴史があろうかと思います。しかし、訓示規定といえども、やはり裁判所の判断は、これは厳然として尊重すべきものだという基本原則に立つならば、この条文をあえて排除するようなことはどうだろうかと。やはり、それはそれとして、基本的な原則としての問題はあるという前提でこの条文についても尊重をしながら判断をする、要するに両方から判断をしていかなければいけないのが大臣としての責務だというふうに考えているわけでございます。

○松下新平君 これについては、また今後の委員会、是非開いていただいて、掘り下げていきたいと思います。
残りの時間で裁判所職員定員法改正についてお伺いいたします。
裁判官に幅広い視野や専門的知見を持たせ、ひいては裁判官の質の確保、向上へとつなげていくために、現在どのような工夫、取組が行われているのか、任官後の研修体制の具体的内容について最高裁にお伺いいたします。

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
裁判所に持ち込まれます事件は近時ますます複雑化、専門化してきており、このような状況に適切に対応するため、裁判官には、事件の背景等を理解するための幅広い視野や専門分野への知見が求められることは委員御指摘のとおりでございます。
そこで、裁判官の研修を担当する司法研修所におきましては、裁判官の自己研さんを支援し、裁判官に幅広い視野や専門的知見を身に付けてもらうため、医療や行政、知的財産権等の専門的な知見を要する分野をテーマとする研究会のほか、生命科学、金融経済など、裁判に関連する自然科学、社会科学などの周辺諸科学をテーマとした研究会を実施しているところでございます。
また、少し長い目で見ましたプログラムといたしましては、裁判所の外部におきまして若手の裁判官に多様で豊かな経験を積ませるということを目的といたしまして、民間企業等への派遣、弁護士職務経験、海外留学、行政官庁への出向などを行っており、これらの外部での経験を通じて、裁判官が幅広い視野や当該経験に応じた専門的な知見を獲得することが期待されるところであります。
さらに、裁判所といたしましては、比較的大規模な庁におきまして、医療事件、行政事件、知的財産権事件等を専門的又は集中的に扱う部を設置して、これら専門的事件の審理についてのノウハウを蓄積して、より質の高い判断を確保するとともに、所属する裁判官に事件処理を通じて専門性を身に付けてもらうようにしておるところでございます。
今後とも、このような取組を行って、幅広い視野を持つとともに専門的な事件に対応できる裁判官の確保に努めてまいりたいと考えております。

○松下新平君 最後に、裁判員裁判を円滑に運営できますように、最高裁は裁判官の能力向上等に向けてどのような取組を行っていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) お答えをいたします。
委員御指摘のとおり、裁判員の皆さんには裁判官から、必要に応じてでございますが、分かりやすく説明をして理解をしていただく必要があると思っております。
したがいまして、その範囲は非常に広いわけでございまして、幾つかの例を挙げさせていただきたいと思いますが、例えば最高裁では、平成二十二年から裁判官に巡視させる刑務所を変えました。それまでは交通刑務所でございますとか医療刑務所でありますとかそういうところに行かせておったんでございますが、裁判員裁判では重い刑を言い渡される被告人の方が多くなるということが予想されましたので、長期刑の受刑者を収容している刑務所、こちらの方に行き先を変更いたしました。そこで実際に裁判官に見てもらって、必要に応じて評議のときなどに裁判員に説明をしていただこうと、こういうものでございます。そのほか、受刑者の処遇を中心とした矯正関係の資料やデータなども裁判官に提供するようにしております。
それから、DNA鑑定が問題になる事件とか、それから責任能力が問題になる事件、これも非常に難しい専門的知識を必要とする場合もございます。そこで、司法研修所や各地裁におきまして専門家を招いてお話を伺う、さらには質疑応答をさせていただく、そういったことで裁判官の知識の補充に努めております。
それから、刑事裁判では、殺意とか正当防衛とか、先ほど申しました責任能力、あるいは共謀といったような難しい概念が出てまいります。そこで、司法研修所におきまして、裁判員の皆さんに分かりやすくこういった概念を説明するにはどうしたらよいのか、これを裁判官や学者に委嘱して研究を行いまして、その成果を全国の裁判官に提供しておるところでございます。それから、最近でもこの手法を用いまして、裁判官、学者に委嘱しまして、裁判員裁判における量刑評議の在り方について研究をしてもらいまして、その成果を各裁判官に提供したところでございます。
最高裁といたしましては、今後とも、委員が御指摘になったような点をよく考えまして、円滑に裁判員裁判を運営できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

○松下新平君 終わります。

○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
今回の裁判所職員定員法の改正案でございますが、まず、下級裁の民事事件の適正迅速な処理を図るため、判事の三十名増員ということでございます。これによって下級裁の定員が二千八百五十七になるということになるわけでございますが、今回、この三十名の増員の根拠、趣旨、これはどういうことなのか。去年は四十五名でしたよね。大体五十名とか四十名とかそんな具合でずっとこの十年間ぐらい推移してきたと思っておりますが、三十名というのはこれはどういうことなんでしょうか。十五名減らした理由について御説明願います。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 裁判所は、これまで過去十年間に、平成十四年以降、約六百人の増員をお願いしたわけでございます。これらにつきましては、繁忙庁を中心に配置をして、なお課題は残った部分もございますが、長期未済事件が減少するといった効果が出たところでございます。
今回、三十名ということにいたしました理由ということでございますが、これは一つは、こういった効果が出てきておる反面で、事件動向、この平成十四年以降、特に過払い金事件を中心として急増をしたわけでございますが、この事件の急増状況が若干最近落ち着きを見せておるというところもございまして、今回の増員につきましては、三十名の判事の増員を認めていただきますと、当初予定しております裁判官一人当たりの事件数の減少が可能となりまして、また、単独事件の審理の充実促進、あるいは合議事件の審理の増加ということも図れるんではないかということで三十名という数字にさせていただいたわけでございます。

○魚住裕一郎君 今答弁の中に入っていたと思いますが、具体的にこの三十名の増員によってどのような効果又は成果があるというふうに認識をしているのかという、今答弁されてしまいましたけれども、ことでございます。
それで、次に、今お話がありましたけれども、六百名を超える人員をずっと司法制度改革に伴って増やしてきたということはそのとおりであるわけでございますが、これ法曹全体を考えると、例えば弁護士の数、これ一万三千二百名ぐらい同じ時期増えているわけですよね、検察官も同様に増えてきたというふうに思いますが。ただ、弁護士の増え方と裁判官あるいは検事の増え方とはやっぱり大きな差があるということでございますし、また、裁判官を増やしてきたというふうに言っても、例えば裁判官一人当たりの人口を各諸外国と対比をいたしますと、例えば日本は裁判官一人当たり人口が四万四千人、イギリスで一万四千人、ドイツでは四千人というところで、大きく、例えばドイツと日本を比較すれば一人当たりの人口は十倍の開きがあるわけでございます。
この弁護士人口の伸び率と裁判官の伸び率の差、それから各国の裁判官人口との差を考慮したときに、それほど見合っていないんではないかというふうに考えるところでございますが、最高裁としてはどのような評価、認識をしているのか、お示しをしていただきたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) まず、委員御指摘のとおり、弁護士人口の増加の比率と裁判官の増員の比率というのは必ずしも一致はしていないわけでございますが、弁護士の人口の比率という関係でまいりますと、まず裁判所の裁判官の体制につきましては、基本的には事件動向あるいは処理状況等から、裁判所に提起されました事件を適正迅速に処理をするというときにどれだけの人員が必要かという観点で検討をしておるところでございます。
そういった点で、弁護士の増加が近年著しいという状況にはございますけれども、それに伴いまして事件動向というものが必ずしもそれに応じて増えていない場合には、必ずしもその同じ比率で増やすということにはならないということになるわけでございます。
また、諸外国との比較も今御指摘のとおりでございますが、これ諸外国の裁判官数を見る場合には、やはりこれは国民が紛争解決のときに取る方法であるとか、国民の訴訟観であるとか、手続の構造、国民性といった社会経済的諸条件の違い、あるいは制度の違い等も考慮をする必要がございまして、なかなか人口の比較だけで裁判官を増やすという数字が直ちには出てまいらないというふうに考えておるところでございます。
そういった点で、私ども先ほど申し上げましたように、司法制度改革審議会の際に一定の審理の目標というものを立てまして、それに到達するにはどれだけの人数が必要かということで増員を重ねてまいったところでございまして、今後ともこういった事件数の状況等を基本といたしました人的体制の充実ということを考えてまいりたいというふうに考えております。

○魚住裕一郎君 先ほど裁判官一人当たりの手持ち件数という言葉が出てきましたし、また繁忙庁、忙しい裁判所という意味でございますが、そういう表現もありました。
司法制度改革やりました。そして、迅速化それから専門性、そういうことを考えると、裁判官一人当たりの手持ち件数が非常に大きなポイントになるんだろうというふうに思っているわけでございますが、大都市の繁忙庁における裁判官一人当たりのこの手持ち件数、これ、どういう推移になっていますか、この十年前と。いや、減った部分もあるかもしれないけど、基本的には増えているんじゃないですか。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) お答えいたします。
十年前ということになりますと、当時の事件数からは、若干その後増員をしていった結果、事件動向もございまして手持ち件数は減ったわけでございます。一番繁忙な庁と言われております東京地裁の民事通常部で見てまいりますと、その後増加に転じております。平成十九年には一人当たり約二百十件という数字になりまして、平成二十二年には一人当たり約二百八十件という数字に至ったわけでございます。ただ、平成二十三年になりますと、増員等の効果もございまして、一人当たり約二十二件に減少したと、そういう実情でございます。

○魚住裕一郎君 いや、それは、二十三年は二百二十件ですね。その前に、平成十三年は百八十件じゃないですか。そこからずっと伸びて、二十一年が二百七十、二十二年が二百八十、二十三年が二百二十ということで、やっぱり全体としては増えてきているというふうに考えるべきじゃないのかなと思いますが、いかがですか。経済の動向の方が大きいんじゃないの。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 委員御指摘のとおり、平成十三年は約百八十件でありましたものが、その後十七年までは百七十件程度で推移いたしまして、その後増加傾向ということでございます。平成二十三年は減ってはおりますが、当時と比較するとやはり多いという状況は変わっていないものと考えております。

○魚住裕一郎君 弁護士の先生から、そういう資料とか見たら、やっぱり忙し過ぎて未済が本当に増えてしまっていると。
裁判官によっては連日夜中の二時、三時まで仕事をして、土曜、日曜もまた仕事をするというような状況になっているということでございますが、本当に余裕を持って審理できる環境ではなく、ひいては誤判を引き起こすんではないのかという危惧も言われているところでございますが、この三十人増員というのは具体的にどのような地域で部署に配属されるのか、お示しをしていただきたいと思いますし、また、それによってどの程度この手持ち件数が減少するというふうに見込んでいるのか、お考えを伺いたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 今回増員をお願いしております判事三十名の具体的な配置先につきましては、増員の趣旨あるいは事件動向等を踏まえまして今後個別に検討してまいりますけれども、委員御指摘のとおり、事件が増加している先ほどの東京地裁でありますとか、そういう繁忙庁を中心に増配置することになろうかというふうに考えております。
その増配置の結果、もちろん人数が増えまして事件の手持ち件数が減るということでございますが、そのほかに少し、委員御指摘のような、裁判官に、審理にゆとりができるということで、その内容面におきましても、例えば、従来は必ずしも、繁忙であるがために合議事件での処理もできなかったというものについても、そういった事件処理をしていくというような効果が出るのではないかというふうに考えております。

○魚住裕一郎君 今回この民事訴訟事件のために判事を増やすということでございますけれども、民事事件というのは、やっぱり当事者からしてみると、勝ったか負けたか、それから裁判官の方はその理由付けを一生懸命考えるのが大変な作業だと思いますけれども、当事者からしてみると、十分な証拠調べをしてもらって、自分たちの言い分も聞いてもらったかということなんですね。言い分を、通るかどうかというのはまた別の話で、聞いてもらったかというのが非常に大事なんですよ。
つまり、勝った方はそれでいいんだけれども、負けた方はこれ納得しなければ、裁判に対する信頼という観点からすれば、納得しないまま、もうそれだけで控訴しようという形になるわけですよね。そうなってくると、やはり充実した審理というのが大事であって、証人尋問あるいは本人尋問、鑑定、こういうことが十分にやってもらったかという話なんですね。
例えば、証人尋問でいえば、平成十三年は実施率一四・五%、二十三年は六・四%に下がっていますよ。あるいは当事者尋問、これは証人尋問よりも当事者尋問、本人尋問やろうというのが多いわけですから、平成十三年では実施率が二一・七%、二十三年は九・九%、がくっと減っているじゃありませんか。それほど裁判官に余裕がなくなっているということですよ、現場では。あるいは民事事件でいえば、三か月に一遍ぐらいしか法廷が入らないとか、支部によってはですね、そんな状況になっているということでございまして、やっぱり迅速化あるいは審理促進ということと、適正化、充実、あるいは納得性といいますか、場合によっては本末転倒の状況になってきているんではないのかなというふうに思うわけでありますが、やっぱり両方の、迅速化と充実ということをバランスを取った運用が大事かと思っておりますが、最高裁の御見解をお伺いをしたいと思っております。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 裁判の迅速化は、これはただ速ければいいというものではございませんで、やはり充実した適正な審理を経て審理が迅速化されることが重要であるということは委員御指摘のとおりだというふうに考えております。
こういった点では、今委員御指摘のような、証人尋問の実施率であるとか本人尋問の実施率などが平成十三年に比べてかなり数字的に低下しております。これは様々な要因がございますが、一つは、この間、事件の中で過払い金事件が急増いたしまして、これらの事件は証人とか本人尋問の実施がされないのが通常であるといった事件も相当増えたということも影響をしておりますが、このほかに、やはり平成十年の新民事訴訟法施行に伴いまして、充実した争点整理が行われて証人尋問の行われる事例が絞られてきたという結果もあろうかというふうに考えております。
ただ、いずれにいたしましても、今委員御指摘のような、審理の手続、内容について当事者に十分御納得をいただくということは、私どもとしても十分重要なこととして肝に銘じて今後とも審理をやってまいりたいというふうに考えているところでございます。

○魚住裕一郎君 司法制度改革以来、約十年で六百名増員してきたということでございますけど、やはり裁判の充実という観点からも、あるいは弁護士人口の伸び、あるいは外国の裁判官人口との比較においても、まだまだこれから充実を、増員も必要になってくるのではないかというふうに思うわけでございますが、ただ、裁判官は事件が増えたからといって急に増やせるものではないわけでございまして、あらかじめ中長期的な計画を持って今後の増員に備えていくことが不可欠かなというふうに思っておりますが、今後の、本年度以降の中長期的な裁判官の増員計画につきまして、その人数あるいは目標年数など具体的に数値を含めてどのような検討がなされているか、最高裁にお伺いをしたいと思います。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 裁判官の必要人員につきましては、これは先ほど言いました、基本的には事件動向、事務の量ということの予測ということになるわけでございます。こういった業務量に影響するものは、事件数のほかに、あと、弁護士の執務体制を含めた訴訟実務の変化であるとか、いろんな事件処理の運営の在り方ということも影響してまいります。
こういったいろんな事情を踏まえて多角的な検討をしておるわけでございますが、特に事件数は、やはり今後十年、二十年という予測となりますと、非常に、現時点でも相当変動がございまして、確たる予測をすることが難しいという事情がございまして、今、今後の裁判官の中長期的な必要数を確たる計画という形でお示しするのは困難でございますが、一つの試算として私ども考えておりますのは、司法制度改革審議会におきまして裁判官の必要数を四百五十プラスアルファということをお示ししたわけでございますが、この考え方を現在の事件数に当てはめますと、更にあと約四百名程度の増員が必要になるのではないかというようなことを考えております。
これを具体的にどう増員を図るかということにつきましては、その時々の事件動向やあるいは給源の状況とか、そういったものを考えまして各年度検討していくということでございますが、いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、裁判官は急に増やすということはできないものでございますので、計画性を持って着実に人的体制の充実を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

○魚住裕一郎君 ただ、先ほど、手持ち事件数のお話させていただきましたけれども、やっぱり平成十三年当時から見れば高止まっているという感じがするんですね。だから、二百二十件でもそれでもいいやというのであれば、余り現場の改善にはならないなというふうに思うわけでございまして、その辺も見やって是非具体的にお考えいただきたいと思います。
これ、大臣、司法制度改革からこのような形になってきたわけでありますが、二十一世紀の我が国の社会、この司法の役割の重要性が飛躍的に増大するという観点でやってきたわけでございますが、大臣におかれましても、この裁判官の増員計画の必要性という観点につきましてどのように御認識されるかお伺いして、私の質問は終わります。

○国務大臣(滝実君) 今まで、最高裁の方から将来の見通しも含めての増員計画なかなか立てにくいと、こういうような御意見もお聞かせいただきました。しかし、最高裁は最高裁としていろんな角度からこれまで司法制度改革に当たって増員については特にいろんな工夫をされてきたと思います。
私どもは、政府全体としてそういう最高裁の考え方につきましては尊重する立場をこれまでも堅持してまいりましたけれども、これからも最高裁のいろんな工夫を特に考慮して対処してまいりたいと思います。

○魚住裕一郎君 終わります。

○森ゆうこ君 国民の生活が第一の森ゆうこでございます。
まず、法案についてでございますが、裁判官の増員ということでございますが、裁判員制度導入に伴う裁判官の負担増加について、その実態の把握をしていらっしゃいますでしょうか。そして、問題があれば何か対策を講じていらっしゃるのでしょうか、簡潔にお答えいただきたいと思います。最高裁。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 裁判員裁判が導入されますと、刑事裁判につきましては、従来の審理とはかなり裁判官にとりましても大きな変化があるわけでございます。
こういった中で、とりわけ裁判員の方に分かりやすい審理をし、その上で評議においても十分議論していただいて納得いくような評議をして結論を出していただくという上では、裁判官は事務の量のほかに質の面でも相当様々な配慮、きめ細かい配慮なり力量というものが必要になっているわけでございまして、そういった点で私ども相当、裁判員裁判が導入されますと、やはり従来に比べますと裁判官の事務量は増加するものであるというふうなことを考えたわけでございます。
そういうことで、これまで裁判官、裁判員裁判の関係では判事、判事補合わせて約百五十名の増員を認めていただいたところでございまして、現時点での状況を見ますと、少なくとも人的体制の面では、事件動向もある程度落ち着いておるということもございまして、人的体制の面では順調にいっているのではないかというふうに考えているところでございます。

○森ゆうこ君 この質問を私がしたのは、先般、裁判員裁判にかかわっていた判事さんが判決の当日の朝、判決文は書いていたんだけれども、その朝、自殺をされたという大変痛ましいことがあったわけでございます。
様々なストレス、新しい制度導入に伴っていろんな問題があるかと思いますが、私は、裁判官も人の子、どんな職業であれそれぞれの職場において、現代においては非常にメンタルストレスに対する対応というものを、どんな職場であれその責任者は考えなければならないということで、そういう意味で問題があるのであれば、早めに対応していただくことがもちろん裁判官それぞれの方にとってもいいわけですし、結果として公正な正しい司法判断がなされるということにつながっていくと思いますので、是非、問題等がないのかよく調べていただいて対策を講じられるようにお願いを申し上げたいと思います。
次に、裁判所事務官につきましては、裁判官そのものの増員が図られる一方、事務官等々、事務方の、事務局の体制については削減が様々な点で図られているところでございますが、一点、確認をさせていただきたいと思います。
裁判所事務官人件費の予算計上につきましては、検察審査会法の改正に伴って、それまでは検察審査会の事務局の人件費については別建てで予算計上をしておりましたけれども、この検察審査会法の改正に伴って、他の裁判所事務官の人件費と区別をせず一緒に計上する、一緒に取り扱うようになりました。その理由は何でしょうか。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 検察審査会事務官につきましては、裁判所事務官の中からこれを命じるということになっておりますところ、検察審査会の事務は年間を通じて繁閑がございます。その中で、そういう繁忙にも適切に対応しつつ、他方で閑散な時期につきましては裁判所事務を行わせてこれを有効に活用するといったことを機動的に行うと。こういった観点から、平成十九年の検察審査会法の改正の際に、従来は法律に検察審査会の事務官の員数が定められておりましたのを最高裁判所が定めることとされたわけでございます。これを予算の面からも反映させる趣旨で、平成二十一年の予算から組織、検察審査会を組織、裁判所に統合いたしまして、検察審査会の人件費を裁判所の人件費に計上するということになったものと承知しております。

○森ゆうこ君 私、様々検察審査会のことについて調べてきたわけでございますが、前回の大きな改正は、強制起訴、起訴議決、大幅に権限を強化するものでありました。その改正というのは、より検察審査会の本当の意味での独立性が確保されなければならないということも重要な視点であると思いますけれども、そういうときに、今までは検察審査会の人件費というふうにすぐ出てきたものが、今の御説明のように、他の裁判所の人件費、事務官の人件費と区別しなくなったために、一体どの部分が検察審査会の事務局の人件費なのかということが質問しても分からないという状況で、他方、検察審査会は独立しているので裁判所は何も状況は分かりませんということで、様々な質問にお答えにならないという事実がございます。やっていることが真逆ではないかなということで、今日はその点をまず指摘をしておきたいというふうに思います。
続きまして、前回の質問の続きをさせていただきたいと思います。
皆様のお手元に資料をお配りさせていただきました。これは七月三十一日、当委員会の議事録でございますけれども、六月二十七日に提出されましたいわゆる最高検のこの検察による捏造の捜査報告書に関する調査の報告書でございますけれども、この件に関して私が質問しましたところ、いわゆる齋藤報告書、齋藤当時元副部長、東京地検特捜部副部長の捜査報告書にはアンダーラインが引かれている箇所がたくさんあると。普通、捜査報告書にアンダーラインは引かないというふうに聞いておりますが、これアンダーラインを引いている箇所について、このアンダーラインは重要だからこれを見なさいというふうなことだったわけでございますが、このアンダーラインは、起訴できなかったにもかかわらず、被告が共謀、この事件に関与したということを殊更強調する内容ではなかったかというふうに質問しましたところ、稲田刑事局長は、ここに、アンダーラインを私の方で逆にこの議事録に引かせていただきましたが、「アンダーラインを引いた部分が必ずしも石川供述の信用性を肯定する部分のみならず、減殺する部分についてもアンダーラインが引かれているという意味で、価値中立的なアンダーラインの引き方である」と、このように御答弁をされました。
私は、この質問の後、もう一度齋藤報告書を調べてみましたけれども、どう読んでも、何度読み返しても、このアンダーラインの部分に価値中立的になるような減殺するという部分が見付からなかったんですけれども、お聞きをいたします。減殺する部分とは具体的に、当該この齋藤報告書の、捜査報告書のアンダーラインのうちどの部分を指されるんでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○政府参考人(稲田伸夫君) お答え申し上げます。
今御指摘のアンダーラインは、石川氏の供述に係る部分でございますが、特に収支報告書の不記載等に関する報告にかかわる部分でございまして、この部分につきましては、起訴相当議決、これは第一次の際の起訴相当議決でございますが、これは共謀に関する直接証拠と位置付けられる重要な証拠であるというふうにされたところではございますが、他方で、検察はそのやり取りにつきまして具体性に欠けるというふうに評価していたわけでございまして、そのやり取りの、その具体性に欠けると評価されるやり取りの部分などが検察審査会に分かりやすいように引いたものというふうに考えております。

○森ゆうこ君 前回の答弁で、ここに議事録をお出ししております、信用性を肯定する部分のみならず、それとは正反対の部分についてもアンダーラインが引かれているという意味で価値中立的だと。前回の局長の答弁について私は御質問しているんですよ。だから、この減殺する部分て具体的にどこなんですか、教えてください。ありませんよ。

○政府参考人(稲田伸夫君) 今も申し上げましたように、検察当局は……

○森ゆうこ君 あなたのこの間の答弁について聞いているんですよ。

○政府参考人(稲田伸夫君) 小沢氏の犯意を直ちに基礎付けるものとその報告状況の供述が認定できないというふうに判断をしたわけでございます。まさにそういう意味で、この部分、この供述がそういう意味で重要であるということから嫌疑不十分にしたというわけでございまして、その報告状況等に関する供述が分かりやすいようにということでアンダーラインを引いたものと承知しております。

○森ゆうこ君 この間の答弁、あなたがなさった答弁について、その部分について言った、この減殺する部分についてもアンダーラインが引かれているとお答えになったから、一体そこはどこなんですかと聞いているのに、何で答えないんですか。

○政府参考人(稲田伸夫君) したがいまして、今も申し上げましたように、その報告を行っている部分の供述が具体性に欠けているという意味で、その部分の供述にアンダーラインを引いているということを私は申し上げたつもりでございます。

○森ゆうこ君 どこが減殺する部分なのか、具体的にどこですかと聞いているのに、何で答えないんですか。あなたが答弁したんですよ、これ。
だから、アンダーラインしている部分は全て石川供述の信用性を肯定する、つまり被告にとっては不利な、自分たちは起訴できなかったけれども、こんなに関与しているんだから起訴してくださいというふうなところにしかアンダーラインを引いていないんですよ。減殺する部分なんてないから今答えられないんでしょう、自分でこの間は言っちゃったけど。
そして、この報告書、最高検の報告書にもそう書いてありますけれども、そんな部分ないじゃないですか。ないのに、何でそう書いてあるんですか。虚偽の捜査報告書のその調査の結果の報告書がこれまたうそ、でたらめ、虚偽なんですか。

○政府参考人(稲田伸夫君) その信用性を減殺するかどうかというのは、まさにその当該供述がどの程度具体的になされているかということは非常に重要な要素だと思います。そういう部分で具体性に欠けるというふうに検察が評価した部分を指摘しているという意味で、信用性を減殺する事情にかかわる部分についてアンダーラインを引いたものだというふうに考えております。

○森ゆうこ君 具体的にお答えにならないので、聞いていきましょうか。
この齋藤報告書の表紙のところには、別添一ないし別添四、これが主要な証拠等について検討した結果というふうに書いてありますが、別添四のところでありますけれども、しかし、上記小沢供述は、以下のとおり、著しく不自然であり、小沢が本件四億円の出所について明らかにしようとしないことは、小沢に本件不記載、虚偽記入に係る動機があったことを示している。ここにアンダーライン引いてありますけれども、それが今局長が言った部分なんですか。

○政府参考人(稲田伸夫君) ただいまお読み上げになられたものは、当該事件において作成された捜査報告書の中身を引用しておられるという御趣旨なのかと思いますが、これは刑事訴訟法四十七条にいう訴訟に関する書類でございまして、訴訟関係書類の公判開廷前における非公開の原則が四十七条において定められておりまして、その点からいたしまして、その中身につきまして私の方からお答えするのは差し控えたいと存じます。
ただ、先ほども申し上げましたように、信用性を減殺する事情として申し上げている点は、まさにその供述の具体性を欠けているということを申し上げているわけでありまして、そういう部分を指しているというふうに御理解をいただきたいと思います。

○森ゆうこ君 まあ驚くような答弁なんですけれども、何度繰り返しても一緒でしょうから。
つまり、この間、局長が御答弁されたような部分はなかったということなんですよね。最高検の報告書自体がでたらめであるということなんだろうと思いますけれども、この報告書を作るに当たって石川議員に事情をお尋ねになりましたか。

○政府参考人(稲田伸夫君) ただいまの御質問は、不起訴にいたしました事件における捜査の内容及び捜査機関の活動にかかわることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

○森ゆうこ君 石川議員は、聴取はされなかったというふうにお答えになっていらっしゃいます。
この最高検の報告書におきましては、田代元検事が書き加えた実際に存在しない場面などが、田代元検事と石川議員の間に勾留中に同様の会話があったため混同した、共通の認識があったことから身ぶりや手ぶりで理解し合っているため相反性がない、だから、その捜査報告書は反訳書と似ても似つかないものであるけれども、全体として、勾留中の話などもあって身ぶり手ぶりでお互いに分かり合っているから、この捜査報告書は全体としては相反しないのである、だからほとんどおとがめなしであるという、そして起訴もされなかったというような報告書にここはなっていたかと思います。
この点につきまして石川議員はこのように、八月二十三日に、この田代検事あるいは佐久間元部長等々不起訴処分に対して、検察審査会に対して審査申立書が提出をされました。その審査申立書を提出された健全な法治国家のために声をあげる市民の会のホームページには、石川議員からこの最高検の報告書についてどう思うか、質問状を送ってその回答結果がホームページに公開をされております。
今、最高検が、結局記憶の混同という、裁判所からは偽証ではないかとさえ追及されたその記憶の混同について、検察並びに最高検がそれを認めた理由として、今言ったような石川議員とお互いに勾留中にそういう会話があって共通の認識があったというのが理由だったわけですが、この点について聞かれた石川議員は、そういうことはなかったというふうにお答えになっています。
田代検事から調書への逡巡する態度を示していたのは、署名を求められていた供述調書の内容からして当然だと思います。供述を翻した場合の影響に懸念を示していたのは、田代検事から、供述を翻すと検察は小沢さんを起訴するというような脅しを掛けられていたので、影響を懸念するのは当然だと思います。供述調書の内容の一部について田代検事に感謝する発言を行ったことは事実ですが、それと最高検報告書に書いてあるように、いろいろ考えても、今まで供述して調書にしたことは事実ですから、否定しません。これまでの供述を維持するということで、供述調書を作ってもらって結構ですなどとは言っていません。実際の取調べの状況は、全然違います。田代報告書では、私が小沢氏の話と違う内容の調書に署名することをちゅうちょしていたところ、田代検事の条理を尽くした説得の結果、報告、了承を認める調書に署名したというような話になっていますが、実際には、田代検事が、勾留中の供述を翻すと絶対権力者の小沢氏の影響であるように思われて小沢氏が起訴されると言ったり、再逮捕をちらつかしたり、議員辞職する旨の調書を法廷に出すなどと言われて脅してきたりしたので、結局、調書の訂正の要求を断念して、調書に署名したものですというようなことでありますとか、勾留中にここに書かれているようなことを供述したことは一切ないというふうに、御質問のようなやり取りは、勾留中の田代検事の取調べでは全くありませんでしたというふうに回答書に書かれています。
つまり、最高検のこの報告書について、当事者が全くこれは違うというふうに言っているわけですけれども、なぜ、この問題の調査をするに当たり、石川議員に事情聴取しなかったんでしょうか。

○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほどもお答え申し上げましたように、不起訴にいたしました事件における捜査機関の活動について、具体的にどなたから事情を聴いたあるいは聴いていないということを明確に申し上げるのは差し控えさせていただきたいと存じます。
ただ、検察におきましては、この事件の捜査に当たりまして、部内の人間はもとより、必要な場合においては、そのほかの方についても御協力が得られる範囲で御協力を得ながら捜査、調査を進めていったものというふうに承知をいたしております。

○森ゆうこ君 問題のこの一方の当事者、要するに石川さんの取調べを行ったと。その捜査について報告書が提出された。しかし、それが事実とは全く別の虚偽のものであったということが裁判所から厳しく指弾されて、このようなことがあってはならない、しかも密室の検察審査会にそのようなでたらめの、うその捏造の捜査報告書を提出して審査員の判断を誤らせるようなことがあってはならないと厳しく指弾され、そして調査したんじゃないんですか。
なぜその当事者について、きちんと事情を聴かないんですか。その当事者の話を聴かずして、お互いに勾留中にそういう話があって分かり合っていたから、内容的には、見た目は全く似ても似つかない捜査報告書で虚偽だと言われているんだけれども、勾留中の取調べ等でそういうものが、内容があったので、全体的にはそごはないんだという報告書にまとめているじゃないですか。何でそんなでたらめな報告書をまとめるんですか。
滝大臣、おかしいですよ、これ。もう二重三重で検察の信頼を失墜させるような事態じゃないですか。小川前法務大臣が指揮権まで発動して検察の信頼を回復しようと、そうしなければならないと思った事案なんですよ。今の私と刑事局長のやり取り聞いて、おかしいと思いませんか。こんなことを放置していていいんですか。

○委員長(西田実仁君) 質疑時間が来ておりますが。

○森ゆうこ君 分かりました。
もう一度しっかりとお考えいただく、この再調査を求めまして、私の質問を終わります。

○桜内文城君 みんなの党の桜内文城です。
裁判所職員定員法の改正案についてお尋ねいたします。
あらかじめいろいろと、判事あるいは判事補あるいはその他の裁判所職員の定員の過去の変動ですとか、数字をいただいております。今回、判事を三十人増加、そして裁判所書記官八十人増員で、その他の技能労務職員等を百十人減員というふうにあります。
その趣旨全般についてお聞きしたいところなんですけれども、まず。今回、今回といいますか、この十年ほど、法曹人口の増大というものもありまして、そういった意味では、判事補の採用ももっと増やしていくべきだと私考えるわけですけれども、判事補、残念ながら定員大分余っておるようなんですけれども、その辺の全体的な判事補の採用を今後どうしていくつもりなのか、そして今回のこの改正案で判事の員数を三十人増加と、この辺の関係をどう理解すればいいのか、まずお尋ねいたします。

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
まずは判事補の採用の関係で私の方からお答えを申し上げます。
最近の判事補の採用数を少し申し上げますと、平成二十年に司法修習を終えた者からの採用者数というのは、合計で九十九名でございます。以下、同様に申し上げますと、平成二十一年の修習終了者からは百六名、平成二十二年につきましては百二名、平成二十三年につきましても同じく百二名となっております。
判事補の採用、それから判事の採用、任官でございますけれども、これらを考えるに当たりましては、まず各種事件の動向、事件の質の変化、望ましい審理形態の在り方のほか、将来の事件動向も勘案いたしまして、これら要素を総合的に考慮して、全体としてどの程度の人数の裁判官が必要かを考えるというふうにしております。確かに修習生は増加しておるんでございますけれども、修習生の増加から直ちに裁判官の任官者数を増加するということにはならないところでございます。
ただ、私どもといたしましては、裁判官としてふさわしい人につきましては、できる限り任官してもらいたいと考えておるんでございますが、司法修習生の方におきましても、弁護士として活躍する分野の広がりなどもありまして、裁判官としてふさわしい人であっても、裁判官への任官を希望する者が大きく増加しているという状況には必ずしもないという事情もございます。
また、裁判官にふさわしい資質、能力を備えているという水準の問題もありまして、このようなふさわしい資質、能力を備えているということも考慮いたしますと、結果として現在の採用数で推移しているところでございます。
今後とも、司法における需要を勘案して、裁判官にふさわしい人を採用し、裁判の運営に必要な体制を確保していきたいというふうに考えております。

○桜内文城君 判事補の採用、一番最初の入口ではあると思うんですけれども、やはりそこは、資質ともおっしゃいますけれども、そんなに大差が、同じ試験を通ってこられて、また修習所でこれまた同じ試験を通ってこられた中で、よほど差があるとも思われない中、むしろ裁判官としてしっかりした仕事をやっていくということであれば、まさにその採用後に研修なり専門性を高めていく、こういった努力を最高裁としてもすべきじゃないかと私は思うんですけれども、今のところ、過去の答弁ですとか拝見しておりますと、基本的には判事補の任官後の研修としてはオン・ザ・ジョブ・トレーニングということが中心になっているともおっしゃって、答弁で、過去の、なされているわけですけれども、もうちょっと工夫の余地あると思うんですけれども、その辺、人事局長としてどうお考えになりますか。

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
裁判官というのは重い職責を担っておるわけですけれども、基本的には自分で研さんを積んで実力を身に付けていくというのがまず基本だろうと思います。その上で、任官後はそれぞれの裁判所で、合議体の中で左陪席裁判官として事件処理を通じていろいろなことを学んでいく、これが基本になっております。
それと併せて、私どもの方では裁判官の研修を担っておる司法研修所というのがございます。そこで、司法研修所におきましては、専門的な事件、医療や行政や知的財産権事件、このような事件についてのノウハウを学んでもらうということで、様々な研究会も開催しております。これらにおきましては、医師、大学教授、弁護士等の各分野の専門家を講師とする各種の講演、あるいは共同研究等を実施しているところでございます。
OJTとこのような司法研修所での研修、研究を両輪として、裁判官の育成に努めていきたいと考えております。

○桜内文城君 その研修が十分でないと思われる場合が幾つか、専門分野とされる例えば労働事件であるとか、やはり社会の動向に照らしてみて、もちろん判例というものもあるわけですけれども、新しい法解釈というものをしていかなくちゃいけないという場面もあるかと思います。
むしろ、この立法府で法律を、例えば労働基準法ですとか解雇規制の関係ですとか、立法府で議論をしていたときの立法者の意思を超えて、もちろん裁判所ですので御判断されて結構なんですけれども、しかし、それがどうも社会の動向から遊離していく場面も見受けられるところだと思います。特に労働事件の場合ですね。それから、私、この委員会でも以前からずっと問題提起させていただいていますのは家事審判であります。
やっぱり家族の在り方というものが多様化し、そして法の解釈、適用をそのまましゃくし定規にやってもなかなか解決の付かない分野であるにもかかわらず、裁判官の独立論もちろんあるわけですけれども、そういったもっと研修というか、最高裁としてもしっかりと指導をしていただかなくちゃいけないなと思う場面が多々あるわけなんですが、そういった労働事件ですとか家事審判等について、今回の判事の増員といったものが、例えば家庭裁判所の判事、判事補の割り振り、定員の割り振り等にどう影響するのか。その数字の面と、それから今申しましたような家事審判事件あるいは労働事件といった専門性をどう高めていくのかという、この二点についてお尋ねいたします。

○最高裁判所長官代理者(戸倉三郎君) 家庭裁判所に対する裁判官の配置という点についてお答えいたしますが、今回増員をお願いをしております理由といたしましては、裁判官につきましては、民事事件の適正迅速な処理ということでございまして、直接的には家庭裁判所の事件処理ということを挙げていないわけでございます。
一方で、これは民事訴訟事件につきましては、やや落ち着きを見せたとはいいながら、これまでの事件の急増への対応が急務であるということから、こういう優先的な配置ということの理由とさせていただいたわけでございますが、他方で、家庭裁判所の家事事件につきましては、書記官の増員におきまして対応するという形で今回の増員要求を、増員をお願いをしているわけでございます。
家庭裁判所の事件は、主に御本人が裁判所に事件の申立てをされるケースが多うございまして、後見事件でありますとかそういったものについては、窓口でいろいろ書式、書き方であるとか、あるいは添付書類であるとかいうことを適切に教示をするということがその後の事件の円滑な処理に非常に有益であるということもございまして、今回はそういう書記官の増員ということで対応したわけでございます。
ただ、これ、今後、後見監督事件も増加してまいりまして、そこには裁判官の的確な指示というものも必要になってくるわけでございますので、今後の対応につきましては、裁判官の増員も含めた更なる人的対応の在り方ということを考えてまいりたいというふうに考えております。

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 労働事件と家事事件の研修の関係でお尋ねでありましたので、お答え申し上げます。
労働の実態をきちんとつかんで、その上で裁判をしていくというのは、これが大事なことだろうと思います。それから、家事事件におきましても、少子高齢化の状況を反映いたしまして難しい家事事件が裁判所の方に持ち込まれております。そうしたことを踏まえまして、司法研修所の方でも、労働事件それから家事事件につきましては研究会を設けて、その時宜にかなった問題を取り上げて研究を行ってきているところでございます。
今後とも更に充実に努めてまいりたいと考えております。

○桜内文城君 労働事件も、もちろん研究会等、なるべく参加していただいて、最近の、やはり労働需給といいますか、労働市場の在り方自体、この十年、二十年、大変大きく変わってきているわけですよね。なかなか若い人が就職できないということも言われておりますし、また、非正規労働者が増加しているですとか、そういった時代の変化ですね。それから、やはりもうちょっとマクロ的にも、解雇規制というものをどう解釈していくのか、それによって日本のまさに経済の動向が大きく左右される。
そういう中で、私自身、これは感想ですけれども、少なくとも労働事件についていえば、過去の高度成長期時代の古き良き時代の解釈がそのまま踏襲されていて、なかなか時代の趨勢に対応していないんじゃないかなという印象を抱いているということは指摘しておきます。
改めて、家庭裁判所の裁判官の研修等についてもう一度最後にお聞きいたしますけれども、この委員会でも以前から、裁判官の独立をどう考えるのかというところで、家事事件手続法ができたりですとか、あるいは民法も、親権停止制度導入ですとか、あるいは、その際に子の利益というものが条文上も明記されたりですとか、そういった立法上の大変大きな変化といいますか、というものがある中で、どうも、これは以前と同じ話ですけれども、そういった立法権を我々が立法府で行使して新たな立法をしたにもかかわらず、家庭裁判所の裁判官が、裁判官の独立ということを盾に取ってその解釈、適用について在り方を変えない。それによって、私、以前も指摘しましたけれども、通常の民事事件であれば、結局は損害賠償であるとかお金で片が付く話なんですけれども、この家事審判事件になりますと、親権ですとか、一緒に暮らせるとか、もう子供に会えないとか、お金に代えられない価値が紛争の内容になっておりまして、そういったものについて、やはり法の解釈、適用という裁判官の専門性の最たるところが、法の解釈、適用によって解決できないからこそ非訟事件になっているわけなんですけれども。
そういった点で、より幅広い人格的な素養であるとかがないと、納得の得られる審判、家事審判というのは得られないと私ずっと考えておるんですけれども、そういった研修というものがどうやってできるのか、あるいは行っていかれるつもりなのか、最後にお聞きして、これで質問を終わります。

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) 大変難しい研修になるんだろうと思うんですけれども、法的な知識、法的な判断力に加えて、やはり複雑困難化したこの社会の中でいろんな難しい事件が裁判所に持ち込まれるわけですので、そうした知識的な面だけではなく、いろんなコミュニケーション能力であったり、感受性であったり、柔軟に思考できるというふうなものがもっともっと求められていくと思います。
したがいまして、法律の知識をきちっと持ってもらうことと併せて、今言いました、その幅広い視野といいますか、豊かな感受性というんでしょうか、そういうふうなものを身に付けるような、いわゆる一般教養的な研修につきましても、さらにどんなものができるか検討してまいりたいと思います。

○桜内文城君 終わります。ありがとうございました。

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
裁判所職員定員法の一部改正案は賛成であります。一層の人的、物的な体制の充実を求めたいと思います。
今日は、アスペルガー症候群を有する四十二歳の男性が実の姉を刺殺した殺人事件の判決に関連して質問をいたします。
大阪地裁において七月の三十日に、検察官の求刑十六年を超える懲役二十年の判決が言い渡されました。この判決に関して、刑法原則に反する、差別を助長する、発達障害者への支援を社会全体の問題としてとらえていないなど、多くの団体から批判の声が上がっております。私が見ただけでも、日本自閉症協会、日本発達障害ネットワーク、全日本手をつなぐ育成会、日本発達障害福祉連盟、全国児童発達支援協議会など障害者関係団体、日弁連や京都、大阪の弁護士会などの声明が出されております。
最高裁としては、こういうことをどのように承知をされているんでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) お答えをいたします。
今委員御指摘のように、この大阪地裁の判決に対しまして、複数と申しますか、それ以上、全体を私ども把握できているかどうかちょっと自信はないのでございますが、障害者団体の皆さんから声明文が発表され、あるいは弁護士会から、声明文なのかどうかちょっと確認はできませんけれども、文書が出されていることは承知をしております。

○井上哲士君 これらの声明が批判している一つは刑法上の問題であります。精神障害ゆえに再犯可能性があることを理由に重い刑罰を科すことは責任主義の大原則に反するということ、それから、社会防衛のために許される限り長期間刑務所に収容すべきだという考え方は保安処分を刑罰に導入することにほかならないと、こういう批判であります。もう一つは、発達障害の特性や発達障害者支援法成立後の支援体制の現状についての知識や理解が余りにも不足しているんじゃないかという点であります。今日はこの点をただしたいと思うんです。
まず、判決は、被告人が十分に反省の態度を示すことができないのはアスペルガー症候群の影響があると認める一方で、十分な反省のないまま被告人が社会に復帰すれば同様の犯行に及ぶことが心配されるとしました。これに対し、例えば日本発達障害ネットワークの声明は、相手の感情や空気を読み取ることが苦手で、自ら深く反省する気持ちがあってもそれを表現することがうまくできないことがある等の発達障害の障害特性に対する適切な検討がなされていないと批判をしているわけであります。
先ほども裁判官、判事の幅広い視野とか知識ということが問題になったわけでありますが、最高裁ではこの最新の知見に基づく発達障害の障害特性や、それらに対する対応についてはどのような研修をされてきたんでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(植村稔君) 精神障害やそれを持った方々の刑事責任能力、これは非常に難しい問題でございます。そこで、司法研修所におきます刑事担当裁判官の研究会、それから各地裁で行っている研究会で取り上げております。
まず、司法研修所の研究会でございますが、カリキュラムの中で責任能力を取り上げております。本年六月に実施いたしました研究会におきましては、責任能力についての判断、これいろいろ検討したようでございますが、その中で具体的な事件としてアスペルガー症候群を取り上げて、講師である精神科医の先生からアスペルガー症候群の特性等についてのお話も伺った上で裁判官と質疑応答を行ったというふうに聞いておるところであります。
それから、各地方裁判所でございますが、これは鑑定に関する研究会ということで、精神鑑定だけではなくてDNA鑑定なども対象になるのでございますが、その中で精神障害それから発達障害を取り上げることもあるようでございまして、二十一年度にはこれは一つの地裁しかなかったわけでございますが、二十二年度には三地裁、二十三年度には五地裁が発達障害ないし発達障害と他の精神障害併せて取り上げております。精神科の先生に講師をお願いいたしまして、例えば発達障害の基本的なメカニズムでございますとか行動特性等についてのお話を伺って、その後、裁判官との間で質疑応答を行っていると承知をいたしております。

○井上哲士君 地裁で始まったのは平成二十一年だということだと思いますが、足しましても九地裁でありまして、私は極めてこれは不十分だと思います。
さらに、各声明は、この発達障害者の社会の受皿の現状に対する認識が、これまた余りにも適切でないと批判をしております。
判決では、社会秩序の維持のために許される限り長期間刑務所に収容すると、こういうふうにしているんですね。その理由として、社会内に被告人のアスペルガー症候群に対応できる受皿が何ら用意されていないし、その見込みもないと断定しているわけであります。十六年たってもそれが整備されないと断定をしたわけですね。これ、本当かと。
二〇〇四年には発達障害者支援法が成立をいたしました。二〇〇九年には、これは法務省、厚労省が一体になりまして、矯正施設の退所者のうち発達障害を持つ者や高齢者など、特別の調整が必要な者の円滑な社会復帰と再犯防止の観点から地域生活定着支援が始まっております。
まず、保護局長からその概要について述べていただきたいと思います。

○政府参考人(青沼隆之君) 高齢や障害のある刑務所出所者等につきましては、社会復帰に著しい困難があり、これも一因となって刑務所に再入所する者の割合が高いという状況でございます。これらの者の円滑な社会復帰に向けた取組を推進することは再犯防止の観点からも極めて重要であるというふうに認識しております。
そこで法務省は、高齢や障害により特に自立が困難な刑務所出所者等について、平成二十一年度以降、厚生労働省の事業として各都道府県が設置している地域生活定着支援センターと連携し、釈放後に必要な福祉サービスにつなげるために特別な手続である特別調整という取組を行っているという現状でございます。

○井上哲士君 その特別調整に基づいて矯正施設から退所をされた発達障害者にどういうふうな支援が行われているのか、またそれが、どういう体制が充実整備されてきているのか、保護局それから厚生労働省、それぞれ御答弁いただきたいと思います。

○政府参考人(青沼隆之君) 保護観察所でございますけれども、まず矯正施設から特別調整の候補者の連絡を受けます。その候補者に、まず高齢あるいは身体障害、知的障害若しくは精神障害があるかどうか、あるいは二点目としては釈放後の住居が定まっていないかどうか、三点目は福祉サービス等を受ける必要があるかなど、自立が困難であると認めたときには、その候補者から同意書を徴取いたしまして、特別調整の対象者として選定しております。そして、保護観察所はその所在地の都道府県に設置されている地域生活定着支援センターの長に対して協力を求めます。そして、必要な福祉サービスにつなげるための調整を開始すると、こういうことをやっております。
ちなみに実績でございますけれども、平成二十三年度においては、特別調整対象者二百七十四名について福祉施設等への入所等の必要な福祉的支援を確保したという現状でございます。

○政府参考人(西藤公司君) お答えいたします。
先ほどとダブるところもございますが、高齢又は障害により支援を必要とする矯正施設退所者が退所後に直ちに福祉サービスにつながるよう障害者手帳の発給や社会福祉施設への入所等の調整を行う地域生活定着支援センターでございますが、この設置を平成二十一年度から進めてまいりまして、平成二十三年度には全ての都道府県で設置が完了いたしました。その結果、より効果的、広域的な全国調整を行う体制が整ったところでございます。
具体的には、アスペルガー症候群の方を含め障害を有する方々につきましては、保護観察所から特別調整の依頼があればセンターから直ちに矯正施設に出向き、本人のニーズ等を把握した上で、保護観察所などと連携しながら障害者手帳の取得支援やグループホームなどの社会福祉施設への入所あっせんなどの福祉サービスの利用支援を行いまして、退所後の帰住先の確保に努めております。
この事業につきましては、今年度更に国庫補助額を増額いたしまして、地域生活支援センターの職員の増員並びに相談支援等の継続的なフォローアップ機能の強化をいたしたところでございます。

○井上哲士君 関係者の努力でこの支援が拡充をしていっていることが大変明瞭になったと思います。
じゃ、一方、刑務所の中ではこの発達障害を持つ受刑者が反省を深められるような特別な改善指導というのは行われているんでしょうか。

○政府参考人(三浦守君) お答えいたします。
受刑者の処遇につきましては、その者の資質等に応じ、改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図るということを旨として行うものとされております。
発達障害を有する受刑者に関しまして、例えば三つのPFI刑務所におきましては精神障害等の障害を有する者を収容する専門の特化ユニットを設けておりまして、障害と向き合いつつコミュニケーション能力の向上等を目的とするプログラムを実施しておりまして、発達障害を有する受刑者につきましてもその対象となっているところでございます。
また、その他の一部の刑務所におきましても、発達障害に限らず対人関係に困難があるとされる受刑者に対しまして、社会生活技能訓練等を実施して、家庭、職場等で円滑な人間関係を維持するために必要な処遇を行っているところでございます。
さらに、施設内で不適応状態になるといった問題がある場合には、心理の専門家であります調査専門官等が面接を実施したり、処遇カウンセラーがカウンセリングを実施したりしているところでございます。
以上でございます。

○井上哲士君 今言われたプログラムというのは、大体一回どのぐらいの期間やられるんでしょうか。

○政府参考人(三浦守君) 先ほど申し上げましたPFIの特化ユニットにおきましては、そういった障害を持っている者を収容いたしまして、それぞれの障害に応じたプログラムを持っているものでございまして、一概にどこでどのくらいの期間というふうに申し上げるのは、一まとめに言うのは困難でございますが、それぞれの状況に応じてプログラムを作って対応しているというところでございます。

○井上哲士君 昨日お伺いしたところでは、三か月とかいうのが一般的だというお話を聞きました。つまり、二十年間そこにおらせても、何ら反省が深まるようなことは矯正施設の中では用意されていないんです。一方、ちゃんと社会の受皿は整備されているわけですね。
法務大臣にお聞きしますけれども、一般論でお聞きします。社会に、アスペルガー症候群に対応できる、そういう矯正施設から出た人に対応できる受皿が何ら用意されていないし、これからの見込みもないと、こういう認識は私は現状と食い違っていると思いますけれども、法務大臣はいかがお考えでしょうか。

○国務大臣(滝実君) 基本的に、刑事施設その他におきましては、最近の傾向として、できるだけ厚労省の社会福祉に結び付ける、そういう努力を出所の直前からやっているということも御紹介をさせていただいております。そんなことをやはり委員が評価をされているんだろうというふうに思っております。

○井上哲士君 いや、受皿が何ら用意されていないと、こういう認識ですか。

○国務大臣(滝実君) 受皿は、用意されるような努力をしているということであります。

○井上哲士君 厚労省はいかがですか。

○政府参考人(西藤公司君) 先ほど申し上げました地域生活定着支援センターも、各都道府県に設置し、充実させてきております。また、発達障害者支援法が平成十七年に施行されまして、それに基づきます発達障害者支援センターにおきましても、各都道府県、政令指定都市に設置されまして、アスペルガー症候群を含めた発達障害のある方への専門的な発達支援や就労支援などの取組も行っております。また、受皿という観点では、特に矯正施設退所者については、グループホームなどでの受入れの推進が進むよう特別加算という取組も行っているところでございます。
私どもといたしましては、こうした地域生活定着支援センターが各機関あるいは地域での連携をしながら矯正施設退所者の地域定着が更に促進するよう取り組み、充実していく必要があるというふうに考えております。

○井上哲士君 受皿が何ら用意されていないし見込みもないという判決の認識は私はやっぱり間違っているということが今明らかになったと思います。控訴審で事実に即した適切な判決がされることを信じております。
法務省や厚労省には発達障害者への支援の充実を更に進めることを求めたいし、最高裁にはその特性や、そして今の支援の状況についての周知徹底をしっかり図ってもらいたいと求めまして、質問を終わります。

○委員長(西田実仁君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕

○委員長(西田実仁君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(西田実仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時五分散会

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