財政金融委員会・第16号 2005-06-28


2005年6月28日

【質疑事項】
一般質問
1.政策委員の間にある異なる2つの意見の背景について
2.東証による自主規制に対しての所見如何
3.人民元切り上げによる日本経済への影響、及びその対策について<>○西田まこと君 公明党の西田実仁でございます。
当初、谷垣財務大臣に人民元の話をお聞きしようと思いましたが、先ほど平野委員からもございましたので、日銀の武藤副総裁に最初お聞きしたいと思います。
最近の公表されました議事録等を見さしていただきましても、金融政策決定会合におきまして、この委員の間で残高30兆から35兆という残高維持につきましては意見の相違が出てきていることが明らかになっているわけでございますけれども、例えばアメリカの場合、FEDにおきまして仮に意見の相違がいろいろ出てきた場合、伝統的にと言っていいんでしょうけれども、例外はもちろんあることは承知しておりますけれども、基本的には、議長の意見に対しまして、副議長がそれを、基本的に議長の意見を踏襲していくという一致が見られるわけでございますけれども、日本のこの日銀の金融政策決定会合におきましては、総裁と副総裁、副総裁にせっかく来ていただきましたので、この総裁と副総裁、特に副総裁の1票を投じるときに、そうした明示的なあるいは暗黙的な、あるいは伝統的というか慣行というか、そういった総裁に従っていくというようなことがあるのかないのか。そういう基本方針ないしは暗黙のルールがあるのかどうかということについて、まずお聞きしたいと思います。

○参考人(武藤敏郎君) 日本銀行の政策委員会の審議におきましては、副総裁も含めまして9人の委員がそれぞれ独立して与えられた職務を果たすということになっております。この点は、日本銀行法におきましてそのように法律上明確にされているところでございます。もちろん、その上で、そうして決定されました政策委員会の方針に従いまして、日本銀行の業務を運営するに当たりましては、副総裁は総裁を補佐するということが法律上の役割として決められているわけでございます。実際、今お尋ねの私個人のその金融政策決定会合におきます行動の考え方ということでございますけれども、独立した一委員ということで、私の考えに基づいて与えられた職務を果たしていると、そういうことでございます。

○西田まこと君 これから正念場になっていきますが、本当の意味での成長ということは、すなわち脱デフレということになってくるんだろうと思いますけれども、その際に大変に必要なこととして私自身が認識しておりますのは、日銀の総裁、副総裁の意思疎通というものを、まあ日常的にもやっておられると思いますけれども、より意思疎通を図って、外部からいたずらな理論闘争をしているというふうに変な誤解を受けないようにすることが大事だというふうに私自身は非常に強く思っております。
当然のことながら、この日銀内部におきまして真摯な議論というものを積み重ねて、異なる意見を持っていかれることは当然でありますし、また今おっしゃったように、お1人お1人がそれぞれ独立した1票を持っているわけですので、それは真摯な議論を十分にしていただくことが大事だと思っておりますけれども、いわゆる開かれた日銀というものが自分の主張を声高に叫ぶだけということであってはいけないというふうに思っておりますし、真摯な議論が変な形でこの市場の攪乱要因になってもいけないと、このようにも思っているわけでございまして、いろんな意見があることは、内部でいろんな意見の相違があることは踏まえた上で、いたずらな市場の攪乱要因になるような発言というものがあってはならないんではないかと、このように、これから特に大事な時期を迎えてまいりますので、感じているわけでございますけれども、これにつきましては、副総裁いかがでございましょうか。

○参考人(武藤敏郎君) 最近におきます政策決定会合の場におきまして、現在の量的緩和、30兆円から35兆円程度を維持するということにつきまして、その目標額を引き下げてはどうかという意見が2名の政策委員から出されまして、それをめぐって議論が行われました。そういうことは、これ5月の決定会合でございましたが、既に議事概要という形でも明らかにされております。
御指摘のとおり、いたずらにといいますか、無用の混乱を起こすようなそういう議論は適切でないということは私も重々承知しておりますし、また委員の皆様方もすべて十分分かっていることでありますけれども、やはり透明性ある議論をして、それが日本銀行の中でどういうふうに、どういう考え方によって運営されているのかということがある程度議事概要という形でマーケットの方々に分かっていただくということも実は重要なことでございまして、その辺りの兼ね合いは難しいというところでございますが、9人の委員が、現時点におきましてターゲットを下げる下げないという若干の議論はありますけれども、量的緩和政策を堅持していくと、それが現状において一番大事なことだということについては意見の一致を見ているというふうに私は考えております。

○西田まこと君 この量的緩和策につきましては一致を見ているというお話でございますけれども、あえてそこに超を付けさせていただきますと、この超量的緩和というものについては意見が分かれていると、こういうことだろうと思います。
一つは、いわゆる金融秩序の維持あるいは信用秩序の維持という面からの超量的緩和の役割はもう終わったのではないかという意見が1つございます。もう一方では、超量的緩和は信用秩序の維持だけが目的じゃないんだと、このデフレの脱却ということもこれは意味としてあるんだと、こういうことで意見が分かれているというふうに私は理解しているわけでございますけれども、私が名付けるところによれば、見直し論と、もう一方で絶対維持論というこの2つの考え方の背景にございます経済、あるいは金融市場、あるいは資本市場に対する見方、どういうところがこう乖離しているというふうに理解すればいいのか、副総裁のお答えできる範囲でお答えいただければと思います。

○参考人(武藤敏郎君) 量的緩和政策を基本的にデフレ脱却に向けて堅持していくべきであるということについては意見の一致を見ておるということを申し上げましたけれども、一方、金融市場の状況を見ますと、これは御承知のことかと思いますけれども、最近の金融システム不安の後退を背景といたしまして、金融機関の流動性需要が減少していると、すなわち資金余剰感というのも市場にはあるということでございます。こういうことで、短期の資金供給オペにおきます札割れという現象が発生しておるわけでございます。
この資金需要が弱い場合に、調節運営上の対応によりまして当座預金残高目標を維持するということでやるわけでございますけれども、そのやり方いかんによっては市場機能に悪影響を及ぼす可能性というものも否定できないという面があるわけでございます。
先般の決定は、こうした金融市場の状況というものを踏まえまして、30兆から35兆円程度という当座預金残高目標を維持した上で、金融機関の資金需要が極めて弱いと判断される場合には当座預金残高が一時的に目標値を下回ることがあり得るということとしたわけでございます。
そういうことで、いわゆるなお書きの修正という形で30兆を下回る可能性というものを認めたわけでございますけれども、これは量的緩和政策の方向転換ではないかというような見方が一部にありますけれども、そういうことでは決してございません。量的緩和政策をむしろより円滑に運営していくためにはどうしたらいいかと、そういう若干の弾力性を持った方がよりスムーズな量的緩和政策を継続できるという、そういう観点からの議論でございます。
30兆から35兆円という当預目標残高を維持した上で、今申し上げましたような弾力性を与えるということは、その市場機能というものを維持しながら資金供給を続けていく上で非常に大事なことであるというふうに思っているわけであります。それが今の政策委員会の多数の意見であるというふうに考えております。

○西田まこと君 この超量的緩和政策によって派生的にゼロ金利政策が生じて、また一種の過剰流動性が端的に現れている例として、このFB、政府短期証券につきまして、その事実をまず御指摘させていただきたいと思いますが、このFBにつきましては、今月、6月に入りまして、平均利回り、最高利回りともにずうっとゼロ%を続けておりまして、FBの0%落札が恒常化しているということでございまして、また応札額も毎回2200兆円とか、あるいは2800兆円ぐらいの、この2200から2800兆円というもう天文学的な数字がこのFBに対して応札総額として上げられているわけでございます。
こうしたこの超金融緩和の政策そのものが、一部の識者の間では、金融機関の防波堤から政府の財政破綻の防波堤に変わったんではないかと、こんなようなことを言う識者もいるわけでございますけれども、景気が少しずつ回復してきているという途上において、本来であれば成長の分配というものが一般預金者にも与えられてしかるべきであると。それはすなわち、利子所得という形で一般預金者には景気回復の分配ということが、配当ということが本来なされてしかるべきだと思うわけでありますけれども、それを今逸失している状態にあると。
こういう状況、FBがかなり異常な天文学的な数字であり、ずっと0%金利が、0%で要するに落札するということが常態化しているこの現状、そしてこれはFBですので、財務省さんに、副大臣にお聞きしたいと思いますけれども、まずFBの発行者である財務省に、こうした現状につきましてどう見ておられて、そしてこれをどういうふうに改善されようとしていくのか。また、日銀さんにも、武藤副総裁にも同じ御質問をその後させていただきたいと思います。

○副大臣(上田勇君) 今、西田委員から御質問がありましたとおり、6月の1日に行われた入札以降、5回連続で平均落札利回り、それから最高落札利回りがともに0%というような状況が続いているのはもう御指摘のとおりでございます。
国債等の入札に当たっては、これはもう市場参加者それぞれのいろんな相場観だとかに基づいて様々な要素を取り入れて判断をし、応札しているものだというふうに思いますので、市場の中ではその要因についていろんな解説等が行われておりますが、我々は発行当局の立場でございますので、そうした要因についてこうだというようなことは、確たるものを申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

○参考人(武藤敏郎君) 日本銀行のこの量的緩和政策、同時に、消費者物価指数の前年比が安定的に0%以上になるまでこの緩和政策を継続するといういわゆる約束を行っているところでございます。そういうことでございますので、短期金利はおおむね0%近傍で推移しておりまして、その結果、預金金利も極めて低位にあると。先ほど逸失利益というお話ございましたけれども、恐らくこうした預金金利の極めて低い水準というものが家計部門の利子所得というものの減少をもたらしているのではないかということであろうと思います。その点につきましては日本銀行としても十分に認識をしているわけでございます。
ただ、この問題の評価に当たりましては、家計の利子所得の減少という確かに御指摘の面と、もう一方で、企業の借入金利の低下に基づく投資行動に与える好ましい影響ということを含めて、経済活動全般に与えるその効果を総合的に判断するということが必要になるかと思います。
日本銀行としましては、やはりこの日本経済にとって何が最も重要かといいますと、物価安定の下で持続的な成長を実現しているということでございます。消費者物価の前年比、御承知のとおりまだ小幅ではありますけれども、マイナスを続けている現状におきましては、この約束に沿って金融緩和を続けて、金融面から日本経済をしっかりサポートしていくことが必要と、そのために全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

○西田まこと君 先ほど、財務省さんに、副大臣にもう一度お聞きしますが、このFBの入札のやり方を7月からたしか変えられると思いますけれども、どのように変えられ、またそれはどのような効果を考えての変更なのかについて御説明いただければと思います

○副大臣(上田勇君) 今御質問にありましたとおり、本年の7月から国債等の入札におきます応札上限を導入するということ、また15年変動利付債の入札方式の変更を行うということなどの入札ルールの見直しを行うことといたしておりまして、5月の第5回の国債市場特別参加者会合後、対外公表を行ったところでございます。
こうした入札ルールの見直しというのは、国債市場特別参加者を始め、市場参加者からの要望を踏まえて実施したものでございまして、市場のニーズをきめ細かく反映した国債等の入札を可能とするというものでありまして、市場参加者からもおおむね好評を受けているというふうに認識しております。

○西田まこと君 最後に谷垣大臣に、先ほどの人民元について、先ほども御質問が詳しくありましたので、私一つだけお聞きしたいと思いますけれども、この人民元、端的に言って切り下げるという議論は基本的にはないわけでありまして、切上げ、柔軟化といったときに、だれも切り下げるということは考えていないわけですけれども、仮にこの人民元が切り上がった場合にどのぐらいの幅かとか、あるいは各業界やいろんな立場によってその及ぼす影響というものが異なるというのは、もう大臣もおっしゃるとおりであろうと思います。
その上で、例えばアメリカでは、繊維産業を中心に、かなり繊維産業の利益をバックにした意見が非常に強く出てきておりますけれども、一方で中国の高成長がもたらすリスクということも非常に指摘されているところでありまして、例えば、資源価格の上昇の問題とか、あるいは低価格輸出攻勢、デフレの輸出というようなことも言われることもございますし、当然人民元が低位に固定されていることでドル高が人為的になされていると、こういうような御指摘もアメリカからは聞こえてくるわけでありまして、日本経済にとってもプラス面もあるし、もちろんマイナス面もあるわけでありまして、アメリカが指摘する繊維産業というのは日本は当てはまらないと思いますけれども、それ以外については、実は日銀が今後の景気についても懸念している原油高の問題にしても、デフレからいかに脱却、デフレ脱却が遅れるんじゃないかという懸念とか、あるいは為替の円高懸念、こうしたことも実は日本経済にもそのまま当てはまるテーマであろうというふうに思っております。
その上でお聞きしたいのは、この人民元が仮に切り上がっていく場合に、そのデメリットの方、メリットの方はどんどん伸ばせばいいわけですけれども、仮にデメリットがあるとした場合に、その準備、その対策の準備というものを怠りなくするべきであるというふうに私自身は思っておりまして、当然為替はもう財務省の所管責任事項でございますけれども、今申し上げたとおり、原油の問題とか産業界に与える影響とか、これは必ずしも財務省だけの守備範囲ではないわけでありまして、こうした人民元が切り上げられた場合に、その悪影響をどれだけ軽減できるかというための検討なり政策の在り方について、財務省を中心としながら、ほかの省庁あるいは日本銀行との対策なり協議の場というものについてどのように今なっているのか、あるいは今後つくられて、既にあると思いますけれども、どのように対策を練られていくのかということについてお聞きして、終わりたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今、西田委員からお話がありましたように、どういう人民元改革が進んでいくかによってインパクトも違ってまいりますから、まだ率直に申し上げてよく分からないというのが実情でございますが、そのタイミング、程度、いろんな問題があると思います。私どもはやはりよくその辺りを注意して観察して、その影響が日本にとって悪いものでないように、悪いことがある場合には乗り越えなきゃならぬと、おっしゃるとおりだろうと思います。
それで、政府の中で連絡会議とか検討会議というのを特に設けているわけではありません。ただ、例えば日本経済にどういう影響を与えて、どういう産業からどういう反応があるかというようなことは経済産業省が主として所管しておられることでございますので、実は、今朝も閣議の後、この為替の議論をしてきたということで中川さんとも若干意見交換をしたんですが、閣僚レベルというだけではなくて、いろんなところでそういう緊密を図っていくように現にしておりますし、またこれからも特にその辺りはよくやっていかなければいけないことだろうと思います。
よく、今委員の御指摘を受けて、我々もやりたいと思っております。

○西田まこと君 ありがとうございました。

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