189-参-財政金融委員会-008号 2015年04月23日


2015年4月23日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
まず日銀の黒田総裁に御認識をお聞きしたいと思いますが、異次元緩和から二年が経過をいたしました。景気の立ち直り、ビジネスマインドの改善と。先ほど来から話がある数字の物価そのものを除けば所期の目的は達成しつつあるのではないかと、このように思うわけでありますが、どのような御認識をお持ちでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 確かに、企業あるいは家計両部門共に所得から支出への前向きな循環メカニズムが作用しておりまして、景気は全体として緩やかな回復基調を続けておると。しかも、これが今後とも持続するという見込みでございます。そういった意味では、確かに量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮しているわけですけれども、物価そのものにつきましては、原油価格の大幅な下落もありまして、消費税率引上げの直接的な影響を除いたベースで見ますと、ゼロ%程度で推移しているということであります。
ただ、物価の基調は確かに着実に改善しておりまして、需給ギャップはおおむね過去平均のゼロ%程度に改善しておりますし、予想物価上昇率もやや長い目で見れば全体として上昇しているというふうに見られますので、量的・質的金融緩和を持続していくことによって二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということで、現在の政策を着実に実施していこうと、いく必要があるというふうに思っております。

○西田実仁君 所期の目的を所期の効果というふうに言い換えられまして、また物価の基調は著しく改善している。これはアメリカでの御講演でもそのようなお話があったというふうに思っておりますが。
今お話がありましたGDPギャップでありますが、日銀統計では、昨年の第四・四半期、マイナス〇・一%で、名目ベースですと〇・五兆円と、内閣府のはかなり大きくて十一・五兆円ぐらいありますが、これは原油の急落によって交易条件が改善をしていると。昨年九月から今年二月までの交易利得は年率で十兆円ほどございます。法人企業統計の経常利益も史上最高を更新、あるいは春闘での賃上げ効果で雇用者報酬も拡大と、こうしたことは消費を押し上げるであろうと思われるわけです。
需給ギャップの解消は時間の問題ではないかというようにも思われておりまして、今年度中のデフレの脱却ということも見越せるのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。

○参考人(黒田東彦君) デフレの定義というのは様々でございますけれども、日本銀行といたしましては、物価安定の目標、これは消費者物価の前年比上昇率二%ということでありますので、その早期実現のために引き続き量的・質的金融緩和を推進していく考えでございます。
ただ、その下で、御指摘のような需給ギャップの動向あるいは物価上昇期待の動向、その他は十分注視してまいりたいというふうに思っております。

○西田実仁君 先ほど来からお話がございます原油価格の下落というのは予想外であるということは、確かにそうであろうと思います。
一方で、今日もお話がありましたが、この原油価格が現状程度の水準から先行き緩やかに上昇していくという前提、これは具体的な数字として、先物価格等を見てこの二年で七十ドルぐらい、回復することを前提とされているものと思われますが、こうした七十ドルまで上昇することを前提にして期限を切った物価目標というのは、ある種の賭けに近くなってくるのではないかという懸念を持ちます。
もちろん、今日お述べになったところには、原油価格の動向によってその達成する時期が多少前後する可能性があるということを率直に言われているわけでございますけれども、そういう意味でそもそも何のための金融政策かということに立ち戻る必要もありまして、確かに物価二%ということをかなりはっきりと言われたということもありますので、そこはなかなか微妙な言い回しになるのは理解できなくもないんですけれども、しかし、物価二%の目標というのをある意味でこういう留意をしなきゃいけないということを置きながら今日もお述べになったわけでありますので、それをやや、事実上、中長期の目標という形に置いても景気の勢いがそがれるということにはならないのではないかというふうに私は思っているわけでございまして、そうした今日お述べになったこの留意点ということも含めて、意図していることをちょっと総裁からお聞かせいただきたいと思います。

○参考人(黒田東彦君) 二%の消費者物価上昇率という物価安定の目標をできるだけ早期に実現するということは、一昨年一月の政府と日本銀行の共同声明でうたわれているところでありまして、二%の物価安定目標を早期に実現するということに変わりはありません。ちなみに、この二%の物価安定目標というのは、現時点では欧米を含めて先進国の中央銀行はほとんど同様の目標を立てておりまして、それに向けて金融政策を運営するということをいたしております。
委員御指摘のとおり、二%に達する時期に若干前後する可能性はあるということは私どもも認めているわけでございますけれども、やはり二%の物価安定目標を安定的に達成し、それが経済の持続的な成長の一つの基礎になるということは変わっていないと思いますので、御指摘の点も含めて、十分労働市場とかその他の市場の動向は見ていく必要があるというふうに思いますけれども、やはりこの二%の物価安定目標をできるだけ早期に達成するというのは、これは中央銀行としての最も重要な目標であろうというふうに思っております。

○西田実仁君 物価二%の目標達成が重要であるというのは、それはそれで、別にそれを変えるべきだというふうに申し上げているわけではありません。余りそのこと自体に、何か物価が上昇する、七十に上がることを前提にして、一種の賭けのようにして、そのために何が何でもそうするんだみたいなもしお考えであればという懸念を持って御質問させていただきました。
先ほど需給ギャップの話を申し上げましたが、この需給ギャップが解消するということは、実体経済にも相当いろんな大きな影響を与えて、景色が一変するというふうに思います。
ちなみに、過去十年間のGDPギャップと設備投資、あるいは企業の付加価値額、経常利益、そして消費者物価との相関係数を計算をいたしますと、設備投資においては〇・八二ございます。付加価値額は〇・七八、経常利益は〇・七七、消費者物価は六か月先行でありますが〇・七八と。つまり、こうした設備投資とか企業の付加価値額とか利益とか消費者物価とは相関係数が〇・八ほど大体ありまして、大変に高い相関関係があるという意味では、需給ギャップの解消ということが今年度には何とか達成することによって、景気そのものの景色が一変するんではないかというふうに思うわけであります。
金融政策、特に金融緩和政策については当然デフレ局面では重要だというふうに思います。しかし、デフレを脱却してからは、やはりこれは金融政策は当然転換をされて、投資を促進していく成長戦略の第三の矢の方に大きく成長全体のバトンタッチをしていくということが必要ではないかと私は思いますけれども、総裁の御認識はいかがでしょうか。

○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、日本経済が持続的な成長を達成していくためには、企業による積極的な投資を促す等、民間の経済主体の前向きな動きを引き出していくということが絶対的に重要でありまして、何といってもこの経済の成長力を強化する、そうした面で御指摘のいわゆる投資促進のための成長戦略、第三の矢ということが重要であるということはそのとおりでございます。
二〇一五年版の産業競争力の強化に関する実行計画というものでは、日本再興戦略のうちの重点施策について、各施策の実施時期とかあるいは担当大臣も明示するということで、相当迅速かつ確実に実行していく方針が示されておりまして、是非この着実な取組を行ってほしいというふうに強く期待しているところであります。
また、他方で、企業による積極的な投資などを促すためには、やはりデフレマインドを払拭するということも大事でございますので、日本銀行としては、この二%の物価安定目標を着実に達成していくということもやはり引き続き重要だろうと。ただ、御指摘のように、こういうふうに需給ギャップが縮んできた下では、まさにその供給力を増やす、成長力を増やすということが極めて重要になっているということはそのとおりであります。

○西田実仁君 先日終わりましたG20中央銀行総裁会議におきましても話題になりましたAIIBについてお聞きしたいと思います。
今日は、副大臣にもお越しいただきましてありがとうございます。このAIIBにつきましては、二〇一三年の二月に行われましたG20財務大臣・中央銀行総裁会議におきまして、次のような合意がございましたことが背景にあるんではないかというふうに思われます、もちろん中国のいろんな思惑がありますが。
この合意では、インフラを含む長期投資ファイナンス強化の重要性が確認をされ、現地通貨建てで債券市場や資本市場、機関投資家の健全な育成強化が必要である、新たなスタディーグループを設置して、世銀、OECD、IMF、FSB、国連、UNCTADなどの協力、手法やインセンティブに関する分析、調査を実施して、厚みのある安定した地域資本市場が重要な役割を持つと、こういう合意がなされました。その年の十月に習近平国家主席がAIIBを表明されたわけであります。そして、昨年の二月のG20中央銀行総裁会議におきましては、二〇一八年までにG20全体のGDPを少なくとも追加的に二兆ドル引き上げるという目標を設定をされました。そのためにも、グローバル・インフラ・イニシアチブを承認して、一連のリーディングプラクティスに合意というふうになされたわけでございます。
そこで、世界経済に与える影響ということをお聞きしたいと思いますけれども、もちろんこのAIIBの設立そのものはG20が何か決めたわけじゃないんですけれども、今申し上げた背景のことでお伺いしたいんです。G20におきましては、今申し上げた二〇一八年までに二兆ドルの追加的な需要拡大策を実施するとしております。一方、AIIBにおきましては、この十年間でアジアに生じるであろう八兆ドルにわたるインフラ投資需要に対応していくということも報じられております。
こうなりますと、明らかに世界経済全体としては需要過多になってしまうんではないかというふうに思ってございます。需要が過多になりますと、世界経済に非常に過熱感が出まして、その後の激しい景気後退の原因にもなってしまいかねません。経済合理性を超えたインフラ投資というものは、投資国の経済負担を拡大し、資金回収が困難になって世界不況の再来というふうにもなりかねないという、そうした世界経済のマクロの調整ということもよく考えなきゃならないというように思うわけでございますけれども、この点、どのように認識をされていますでしょうか。総裁、お願いします。

○参考人(黒田東彦君) まず、G20の関係について私からお答えいたしまして、AIIBの関係は財務省の方からお答えいただきたいと思います。
御指摘のように、G20がここ数年二つのことをやってきておりまして、一つは、御指摘のように、二〇一八年までにG20の全体のGDPのレベルを二%引き上げる、まあ二兆ドルというか、引き上げるという。これは、ただ、構造改革、構造政策によって供給力を引き上げるということでありまして、需要をいっぱい付けようということではなくて、むしろ各国に構造改革を要請し、各国がそれをコミットしてG20の経済規模のレベルを二%引き上げようと、そういうことによって強固で持続可能かつ均衡ある成長を遂げようと、こういう話であります。
もう一つのイニシアチブは、それとも関連するわけですけれども、先進国も、途上国、特に途上国ですが、インフラ投資が必要であると。それは当面の需要も付けるけれども長期的な供給力にもなってくると。したがって、インフラの投資を進めようと、そのための部会等もつくって、インフラ投資を進めるための具体的な勧告等をやろうと、こういうふうになって、その話、両方ともG20をベースにして進んでおります。
それとこのAIIBがどのように関係しているかというのは、私どももよく分からないわけですが、中国がこのAIIBについて提案をされ、幾つかの国が参加を表明しているというのが現状でありますが、このAIIBがどのような具体的な政策をするのかということ等はまだ私どもは存じておりません。

○政府参考人(武内良樹君) 先ほど、ADBの試算八兆円のお話、頂戴しました。八兆ドル、失礼いたしました。これは、二〇一〇年から二〇二〇年までのインフラの投資需要の総額ということでございます。御指摘のとおり、その八兆ドルがそのまま乗れば、世界のマクロ経済にどのような影響を与えるかということはよく考えなきゃならないと思っております。
アジアのインフラ投資、これは大事なことでございますから、できるだけ適切に資金を確保した上で、他方では経済が過熱しないように考えながらGDPの引上げに一生懸命努めてまいることが肝要だと思ってございます。

○西田実仁君 最後にお答えいただければと思いますが、黒田総裁、ADBの総裁のときに副総裁が金さんでして、AIIBの初代総裁というふうに一般的には報じられ、それは分かりません、しかし、それはともかくとして、ADB黒田総裁当時の副総裁の仕事ぶりなり、どのような御感想をお持ちなのか、お聞きしたいと思います。

○参考人(黒田東彦君) 確かに、今、AIIBの初代総裁として目されている金さんは、私がADB総裁在任中、副総裁を務めていただきまして、大変よくサポートしていただいたというふうに思っております。
それから、この方は英文学の大変な素養のある方でありまして、しばしばシェークスピアのいろんなせりふを引用されたりする大変インターナショナルな方でもございます。ただ、これは私の個人的な関係、感想でありまして、AIIBの総裁としてどうとかこうとか、そういう話とは全く関係ございません。

○西田実仁君 終わります。

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