189-参-財政金融委員会-005号 2015年03月26日


2015年3月26日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
まず、私の方からは、平成二十七年度の与党税制大綱には、我が党が主張いたしまして、その考え方として、格差の固定化につながらないよう、機会の平等や世代間、世代内の公平の実現、簡素な制度の構築といった考え方の下、不断の見直しを行わなければならないと、このように格差の固定化につながらないようにという考え方を税制改正の際に取り入れていくんだということが明記されてございます。
そこで、今、平成二十五年度税制改正から今回の二七改正に至るまでの間、すなわち今の自公連立政権の下で、いわゆる格差の是正ということに資するものにどのような改正があるのかを具体的にお聞きをしたいと思います。また、政府といたしまして、格差是正という観点から今後どのような考え方で税制改正に取り組んでいかれるのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) 社会保障とか税制を通じまして格差の固定化を防いでいくということは、これは極めて重要なことだと思っております。
最近の税制改正でも、税制におけるいわゆる再分配機能を回復する必要があるという御意見はよく聞かれるところでもありますので、まず、平成二十五年度の税制改正で所得税の最高税率を四〇%から四五%に引き上げております。また、給与所得控除の見直しということで、控除が頭打ちとなる給与収入額を段階的に引き下げまして、千五百万円だったものを千二百、千というように引き下げております。また、相続税の見直しということで、基礎控除の引下げということで五千万プラス千万掛ける相続人数という従来のものを、三千万プラス六百万掛ける相続人数というように引き下げております。また、最高税率というものも、従来は五〇%だったものを五五%にいたしておりまして、また、平成二十六年度の税制改正でも、金融所得課税の見直しということで、上場株式等々に係ります配当、譲渡益に対する軽減税率を廃止いたしております。一〇%だったものを通常の二〇%ということにいたしております。
また、今御審議をいただいております二十七年度税制改正においても、直接格差是正を志向しているものではありませんけれども、富裕層に対する適正な課税を確保する観点からも、また、いわゆる税逃れを防ぐ意味からも、国外転出時におきます譲渡所得の課税の特例の創設、今御質問がありましたが、こうした創設などを盛り込んでおります。
いずれにいたしましても、税制において、この再分配機能というものにつきましては、これは二十七年度の与党税制改正の大綱の中におきましても、今後とも格差の固定化につながらないように、また不断の見直しを行わなければならないと指摘されているところでありまして、今後とも、日本の中におきます経済社会の構造変化というものを踏まえながら、引き続き常によく検討していかねばならないことだと思っております。

○西田実仁君 ありがとうございました。
続きましては、納税猶予制度についてお聞きしたいと思います。
この四月一日から、換価の猶予につきましては、従来の税務署長の職権によります執行から納税者の申請によるものに変わるわけでございます。その目的といたしまして、これは二十六年度改正でございますけれども、納税者の負担軽減とともに、早期かつ的確な納税の履行を確保する観点というのが挙げられているわけであります。
しかし、これまでの税務署長の職権によるものでさえ滞納者本人が知らないということもありますし、当局から説明も余りないとか、税理士の先生からも余り、中にはもしかしたら知らない人もいるかもしれないということで、要は余り知られていないというものでございます。
今回、そうしたいわゆる税務署長の温情というかそういうものではなくて、納税者自らが申請して、きちんとその代わり滞納しているものが払われていくという制度に変えるわけでありますので、その周知徹底を現行以上にやはりしないといけないんじゃないかというふうに私は思っておりまして、特に中小企業等、情報格差のある対象者に利用いただけるように周知をどのようにしていくのか、これについて財務省に聞きたいと思います。

○政府参考人(佐川宣寿君) お答え申し上げます。
納税の猶予などの猶予制度につきまして、これまでもホームページでの広報、あるいは納付相談の際のリーフレットの交付などの広報、周知には取り組んできたところではございます。
ただ、今回、今委員おっしゃいましたように、職権による換価の猶予に加えまして、新たに納税者の申請による換価の猶予が創設されたわけでございます。その趣旨を踏まえまして、これまでのホームページ等の広報に加えまして、さらに、全国にあります税理士会、あるいは各税務署単位に設置されております各地域の青色申告会あるいは法人会といったような各団体に依頼をいたしまして広報を行うこととしたいと思っております。
こうしたことによりまして、各地域の多くの中小事業者の方に十分に周知されるように努めてまいりたいというふうに考えております。

○西田実仁君 早速具体的にこれまでとは異なる対応をしていただいているようでございまして、是非とも、中小企業の方にも知っていただけるような、また利用いただけるような換価の猶予制度ということにしていければというふうに思います。
続きまして、この二七改正の中で特に所得拡大促進税制、今回も新たに拡充等がされているわけでありますけれども、そもそもこれは二十五年度税制改正で取り入れられました。その中身は、従業員の賃金を増やした企業は、その支給増加額の一割、法人税額から控除できるという制度でございます。
この平成二十五年度の適用状況について伺いたいと思います。利用件数、適用額はいかほどなのか。また、当初財務省として見込んだいわゆる減収額、六百三十億だったかと思いますけれども、それに達したのかどうなのか、どう分析されているのか。特に中小企業の利用割合は低いんではないかというふうに私は思っておりますが、それはどう分析され、どのように改善をしようとしているのか、財務省にお聞きしたいと思います。

○政府参考人(佐藤慎一君) お答え申し上げます。
まず、所得拡大促進税制の利用状況でございます。二十五年度分の租税特別措置の適用実態調査に基づく数字でございますが、適用件数は一万八百七十四件、適用額が約四百二十億という数字でございます。
それで、今先生からお話がございましたが、当初、減収見込みを六百三十億円というふうにしておりましたものですから、数字が足りていないということでございます。この見積りに当たりましても、やはりこれ、制度を導入するものですから、かなり思い切った試算をせざるを得ないわけですが、一応、給与の支払見込額を基に上場企業のサンプル調査から推計したデータを取りまして、それで人件費割合を算出したという、その人件費割合の求め方がちょっと想定よりも低かったかなというふうに思っているところでございます。
それで、中小企業の利用状況でございます。同じ適用実態調査によりますと、二十五年度の適用件数は、資本金が例えば一千万円以下の中小企業ということであれば、その件数は全体の約五五%ということでございます。一万件強の適用の中の約六千件ぐらいというような数字でございます。
この割合自体は他の租特と比較して特段に低いという感じではございませんけれども、中小企業にとりまして、やはり一般に労働分配率が高くて賃金アップに取り組みにくい面があるということで、制度そのものがハードルが高いということもあるのではないだろうかというふうに我々見たわけでございます。その点を含めまして、二十六年度、二十七年度と、制度の適用要件の緩和ということで制度改正をし、また、現在、法律でお願いをしているところでございます。
具体的には、現行制度におきましては、給与支給額、二十四年度をベースに、そこからの増加割合について二十七年、二十八年、二十九年という年度ごとにプラス三%、プラス五%、プラス五%と、こういう流れになっておりますけれども、中小企業には、今回の改正では二十七、二十八、二十九、いずれもプラス三%ということで平準化するという形にして、ハードルを乗り越えやすくするというような工夫もしているところでございます。

○西田実仁君 今おっしゃっていただいたように、中小企業にとりましては、要件の緩和をしてより利用しやすくしているということでございます。
是非、せっかくつくった制度でありますので、特に中小企業にも、適用割合は五五ということでありますが、全体の法人の中での中小企業の割合からすると、相対的にはその利用度は低いと言わざるを得ないわけでありますので、この適用要件の緩和とともに、それこそ先ほどの広報ではありませんが、周知をより徹底いただきたいというように思います。
最後に、税収の見積りにつきましてお聞きしたいと思います。
今日は内閣府の方に来ていただいておりますが、二月の十二日に経済財政諮問会議に中長期の経済財政に関する試算を出されておられます。この中で二つのケース、経済再生ケースとベースラインという二つのケースが見積もられているわけでありますが、マクロ経済のことではなくて特に、そのマクロ経済が前提でありますが、税収の予想についてお聞きしたいと思います。
二〇二〇年の財政再建に向けて非常に大事な試算であろうというふうに思われますけれども、この二〇一五年度については政府予算案ということになると思います。二〇一六年度から二〇二〇年度までの間、二〇一七年度に、四月、消費税が引き上げられるということを前提にされていますので、その分は除きますと、この間、税収弾性値はどのぐらいで見積もっているということになるんでしょうか。お聞きしたいと思います。

○政府参考人(井野靖久君) お答えいたします。
内閣府の中長期の試算におきましては、マクロ計量モデルで名目GDPや税収の値が計算されております。この試算結果から事後的に税収の弾性値を計算いたしますと、消費税率の引上げによる増収分を除いて計算いたしますと、二〇一六年度から二〇二〇年度にかけまして平均一・〇程度となっております。

○西田実仁君 今、事後的に税収弾性値は一・〇というふうになるというお話でございました。
この名目GDPに対する税収の弾性値というのは、過去三十年間、例えば一九八四年から二〇一三年度まで、マイナスになると弾性値できませんから、マイナスを除くと二・八であります。過去二十年間では三・九、過去十年間では四・八と。
経済再生ケースという今回の内閣府の試算で、経済再生ケースと言われるものの全要素生産性が前提にございますけれども、その全要素生産性上昇率の前提は、この資料によると一九八三年二月から一九九三年十月までということですが、この全要素生産性の上昇率を前提に経済再生ケースというのは試算されているんですけれども、この期間の税収弾性値は幾らかというと一・五二なんですね。ということで、他の前提であるTFPの、全要素生産性の同じ時期には税収弾性値が一・五二なのに、今、事後的に計算をされますと一・〇というのは余りに低過ぎるのではないかと思われるわけであります。
そして、この税収弾性値の試算というのは、まあマイナスの場合は除くわけですけれども、実態を正確に反映しないおそれがありますので、景気循環の期ごとにマイナスも含めて更に調べてみますと、名目GDPと税収の関係になりますけれども、バブル崩壊以降の失われた二十年余りというのは、それ以前と全く違うんですよ。ここに大きな断層があるということを見ないと今後の財政再建というのも私は誤ってしまうんではないかというふうに思うわけでございます。一言で言うと、バブル崩壊以前は税収増がGDP増を上回っているんですけれども、バブル崩壊以降はそれが逆になっているという関係であります。
具体的に申し上げますと、専門家の方ですから具体的に申し上げますが、バブル崩壊以前の第七景気循環から第十一循環までと、バブル崩壊以後の第十二循環から第十五循環までは全く違うわけでございます。第一次石油ショック後の狂乱物価が収まり、経済が安定した一九七七年度以降の第九循環から第十一循環までの税収弾性値は、第九循環が一・八九、第十循環は一・三二、第十一循環は一・二九、これを平均しますと一・五となって、図らずも先ほどの経済再生ケースの全要素生産性の前提である税収弾性値、これは実績値でありますけれども、一・五二とほぼ同じ水準になるわけでございます。
こういったことを前提に、内閣府にもう一度お聞きしますけれども、税収弾性値について、デフレ脱却をして、今しようとして、もはやデフレではないという状況だということは総理も言われているわけです、まだ脱却とは言えませんけれども。そういう中で、日本経済が正常化する姿を余り反映されていない試算ではないか、そういう意味ではかなり保守的過ぎるのではないかというふうに感想を持ちますけれども、いかがでございましょうか。

○政府参考人(井野靖久君) お答えいたします。
税収弾性値がおおむね一・〇ということは、税収とGDPがほぼ同じ伸び率で伸びるということでありますので、税収、GDPの比率がほぼ一定で安定的に推移するということを意味しているものでございます。これは、短期的にはともかく、中長期の見通しにおきましては一つの自然な姿ではないかなというふうに考えているところでございます。
御指摘のように、バブル崩壊以前と以後でかなり違うのではないかという御指摘もございますけれども、もちろん経済の状況いろいろ変化してございますが、一つ重要なのは、近年では名目成長率が非常に低くなっているという点に一点留意が必要かと思います。税収弾性値は名目成長率分の税収の伸び率ということでございますので、この分母の名目成長率が非常に低い値、ゼロに非常に近づいていきますと、非常に大きくこの税収弾性値の値は上下に振れることになります。このため、長期のならした姿を見る場合には、その点にも留意をして平均的な姿を見る必要があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
それで、この中長期試算の経済再生ケースにおきましては、日本経済が低成長の時代から脱却をして高い潜在成長率の経路に乗って安定的に拡大する姿、こういう姿を描いているわけでございますけれども、税収弾性値といいますのは、景気が悪い状況から徐々に回復してくる局面におきましては高い値を取る傾向があると思われますけれども、本試算のように経済が中長期的に巡航速度で拡大する際には税収は名目GDPとほぼ同じペースで伸びると、すなわち弾性値が一程度となるという姿は一つの自然な妥当性のある姿というふうに考えているところでございます。

○西田実仁君 長期で見て、先ほど私幾つも数字を言ったわけでありますので、余り反論になっていないと思いますが。
大事なことは、私がここで申し上げたいのは、何が正しいということではなくて、政府は政府としてそういう試算をされるのは結構でありますが、やはりこれは、議会は議会で、こういう前提でこういうふうに考えたらこういう財政再建の姿があるというような機能を議会の方が持って、国会で論戦をするということが非常に生産的ではないかと、このように私は思っているものですから、あえて今のことに対して問題提起をしました。
時間が来ましたので、終わりたいと思います。

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