財政金融委員会・第6号


2004年11月16日

【質疑事項】
議題 「関税暫定措置法の1部を改正する法律案」の件
1、 自由貿易協定(FTA)における紛争処理について
2、 日本の農業政策とFTAについて
3、 メキシコとの経済連携協定交渉について
4、 アジア経済連携協定交渉について
5、 自由貿易進展と農家支援について
6、 セーフガードにおける「緊急措置」について<>○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
先ほど若林委員からも御指摘がありました点から、まず御質問をさせていただきたいと思います。
昨日、竹中大臣の方から、このFTAに関しまして、今後経済財政諮問会議におきまして基本戦略を練っていくと、こういう報道がございまして、その結論を来年夏の骨太の方針2005、2005に盛り込んでいくと、こういった趣旨の御発言がございました。
経済財政諮問会議のメンバーのお一人として谷垣大臣にお聞きしたいと思いますけれども、先ほど来御説明ありましたとおり、今までも、決して行政の縦割りと いった交渉ではなく、関係閣僚が連携を取り、会議を開いてきたと、こういうお話があったわけでございますけれども、そうしますと、今までの関係閣僚会議、 また今度経済財政諮問会議で基本戦略を出し、閣議決定たる2005に盛り込んでいくと、この両者の関係ですね、どっちが上なのかとか下だとか、その辺の基 本的なまず御認識を大臣にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 経済財政諮問会議の役割は、マクロ経済政策全体の観点か ら、個々の政策を具体的に決めるというよりも、マクロ政策全体の観点からどのような方向をたどるべきかというのが、私、担当閣僚そのものではございません けれども、基本的な関心であろうと思います。
そういう観点からしまして、竹中大臣の御関心、恐らくこれから議論になっていくであろうことは、日 本の経済を拡大し、足取りを更に堅実なものにしていくために、そういう国際経済の中でそういう足取りをたどっていくためにはFTAというものが重要であ り、その基本的な方向性を定めなければならないという辺りの御議論がこれから進むんだろうと思います。
それで、これはある意味では、今日の議論 にもありましたように、ここに出させていただいたような役所にとりましては言わばある意味での共通の理解というのはでき上がっているだろうと思います。そ れを更にどう具体的に展開していくかということは、また恐らく、経済財政諮問会議の中でも今後どの辺を、まあ言葉は悪いかもしれませんが、ターゲットにし てやっていこうかというような議論はあると思いますが、具体的には、やはりこれは交渉事でありますから、各実際に農業や貿易を担当しているところ、あるい は関税を担当しているところ、外務省も含めて、具体的にやはり向こうの当たりを確かめてやっていかないとできないと、大きく言うとこういう関係ではないか というふうに思っております。ぱな感想でございますけれども、そのように思っております。

○西田実仁君 そうしますと、どこの国との交渉 からやっていくかという、いわゆる戦略的にですね、あるいは日本の農産品、センシティブ品目、どれを取りどれを守るかという、こうした基本戦略が経済財政 諮問会議において最終的に決定されるということでもないということでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) いや、私もまだこの点竹中大臣 とよく議論をしておりませんので、竹中大臣の御発言の趣旨に私の考えが沿っているかどうか分かりませんけれども、基本的な方向はやはり議論して出そうとい うお考えじゃないかと思います。私も、あの会議の性格からして、基本的な方向を議論し、出していくということはふさわしいところではないかと思っておりま す。

○西田実仁君 その経済財政諮問会議の役割というのは大変に大きな意義があると私も認識はしておりますけれども、事このFTAに関し ましては、農業とも絡みまして、大変に総合的な判断というのが必要になってまいりますので、必要なときに農業関連の人を呼んでそこでやるというような報道 もありましたけれども、やはり重層的にきちっと慎重にまた議論も積み重ねなければならないというふうな思いで御質問をさせていただきました。
続 きまして、日本・メキシコ経済連携協定につきましてでございますけれども、昨年10月にいったんその交渉が決裂をいたしました。その決裂した原因、そして これが今後対アジア経済連携協定を進めていくに当たりましてどのような教訓を日本に残してきたのかという点につきまして、外務省でしょうか、御質問いたし ます。

○政府参考人(北島信一君) 昨年10月のメキシコのフォックス大統領訪日の際でございますけれども、当時、閣僚級の折衝を含めまして精力的に交渉を重ね、議論が深まったわけですけれども、双方の納得のいく合意には至らなかったという経緯がございます。
当時の背景として、メキシコ側に日本の市場に対する大きな期待があり、日本側に大きな譲歩を求めていた一方で、日本側としても、メキシコ以降のEPA交渉 を控えて、農産品等の分野を含め慎重に対応したいということがあったと思います。その後、柔軟に対応すべきとの両国首脳の意向を踏まえまして、政府間協議 を重ね、両国間の相互理解が深まった結果、日本、メキシコ双方が納得のいく合意に向けて交渉が着実に進展したということだと思います。
こうした メキシコとの経験を通じまして、経済連携協定交渉においては、互いに相手国の事情を理解した上で、質の高い、かつ双方の利益となる包括的な合意を作ってい く努力、これが重要であるという点を再認識したわけでございます。こうした経験を今後の東アジア諸国との交渉においても生かしていきたいというふうに考え ております。

○西田実仁君 このメキシコとのFTA交渉におきましては、既に、この日本の農産物の平均関税は12%ぐらいと認識しており ますけれども、関税が既に低くてもう競争にさらされている品目につきましては、これはもうどんどん関税撤廃に応じていく、それ以外の米等を始めとしたセン シティブな産品につきましては守っていく、こういう基本的な戦略というんでしょうか、交渉の態度というんでしょうか、これ自体はアジアとの交渉でも引き続 き取っていくと、このように認識してよろしいんでしょうか。

○政府参考人(北島信一君) そのように考えております。

○ 西田実仁君 これはちょっと大きな話で恐縮でございますけれども、せっかくですので大臣にお聞きしたいと思いますけれども、よく言われるのは、日本は農産 物に関しまして輸入自由化ということになかなか取り組めないと、であるがゆえに、メキシコとの経済連携協定におきましても、あるいはアジアとの経済連携協 定においても、アメリカや中国の後塵を拝しているのではないかと、こういった指摘をする人もいるわけでございますけれども、これにつきまして、まず、非常 に大きな話で恐縮ですけれども、大臣の御見解、承れればと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 農業政策について必ずしも責任ある立場か ら御答弁できるわけではございませんけれども、農業はやはりその風土性とか地域性というものがございますから、国によって性格の違うというところがあるん だろうと思います。その上で、先ほどから御答弁申し上げているように、農業にはいろんな機能がございます。環境を維持するという、保持するという機能もあ るでしょうし、いろんな機能がございますが、そういう農業の多面性、それを取り除いてしまったときに、やはりどういう問題が起こってくるかということもよ く注意しなければならないと思いますし、それからこれも伝統的な議論でございますけれども食料安全保障、いざというときにある程度の基礎的な食料は自給で きないと問題が生ずるんでないかという意識も、問題点もあろうかと思います。
それから、やはり今おっしゃった中で、農業の体力が弱ければこうい うFTAだなんだといってもなかなか対応できないということがあるわけでございますけれども、やはりそのために対応できるように農業自体も構造改革を進め て足腰の強いものにしていこうというような努力をあっちこっちで行ってきたわけでありますから、そういった方向は私どもは尊重しながらやらなければいけな いという面がやっぱりあると思います。
その上で、そういったことを前提としながら、やはり各地でこのFTAというようなものが進んでまいります と、そのネットワークの中から日本がこぼれ落ちているときにどうなるのかということを考えますと、やっぱりそれは日本全体にとって大きな不利益であるとい うことになると思いますので、今FTAというものは大事なものだと。特に、先ほどから御議論がありましたように、アジアとの関係で今後日本にとっては死活 なものであるだろうというこの共通の理解というのはほぼできてきたんじゃないかというふうに私は思います。
そういう全体の中で、先ほど申したような農業の持っている性格を位置付けながらやっていくと。なかなか難しいことでございますけれども、みんなで協議を詰めていく必要があるんじゃないかと思っております。

○ 西田実仁君 そこで、アジアとの経済連携協定の交渉につきまして、もっとスピードアップをというような中で、農水省さんの方でみどりのアジアEPA推進戦 略と称したものが今回発表されまして、6項目にわたりましてポイント等も挙げられているわけでございますけれども、言っていることはみんないいことばっか り言っているわけですけれども。
基本的にまず農水省の関係各位の方にお聞きしたいんですけれども、これはアジア各国とのEPA交渉に積極的に臨 む省としての方針としてこのみどりのアジアEPA推進戦略というふうに言われているわけですけれども、これ、従来からの方針とどこがどう違うのか。つま り、先ほどメキシコとの連携協定で御指摘をさせていただきましたけれども、既に関税が低い産品に関しましては徹底して関税撤廃、しかしセンシティブな品目 につきましては一切応じられないと、あるいは非常に限定的にしかできないと、こういう立て分け方という従来からの方針から何か転換をしたものなのか、そう ではないのかということについてお聞きしたいと思います。

○政府参考人(内藤邦男君) 答弁申し上げます。
このたび公表いたし ましたみどりのアジアEPA推進戦略でございますが、これは先般の内閣改造に際しまして内閣の基本方針としてアジア各国との経済連携交渉の締結に積極的に 取り組むということが掲げられたことも踏まえまして、島村大臣の指示の下、アジア各国とのEPA交渉に積極的に取り組む農林水産省の方針として取りまとめ たものでございます。
これにつきましては、この基本方針では、EPA・FTA交渉に当たりまして、国民の食の安全、安心の確保、それから農林水 産業の多面的機能への配慮、我が国の食料安全保障の確保、それから農林水産業における構造改革の努力に悪影響を与えないように十分留意するということを基 本にして今まで基本的方針を定めてきたわけでございます。これは主としまして物の貿易に関する交渉で留意すべき諸点というものを今までの基本方針では掲げ てきたわけでございます。
これに対しまして、今回定めました推進戦略におきましては、特にアジア諸国とのEPA交渉に取り組む目的といたしまし て、アジアにおける食料安全保障、それから食の安全、安心の確保、それから農林漁業、食品産業の共存共栄の実現、それから農山漁村の発展といった事項を取 りまとめまして、その実現のための交渉に積極的に取り組むということを決めているものでございます。そういう意味で六つのポイントを明らかにしたというこ とでございます。
農林水産省といたしまして、今後、このみどりのアジアEPA推進戦略に沿いまして、交渉の推進に一層努力してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。

○ 西田実仁君 この中で、日本から農産物の輸出に力を入れるということも指摘されておりまして、日本の農業にとって新たな市場を開拓していくんだという、そ ういう意気込みも記されているわけでありますけれども、具体的に日本から農産物輸出、対アジア向けということで今どんな取組をされておられるのか、またこ れ今後どうされていくのか、今検討されている項目、幾つか挙げていただければと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 三位一体で所得税から個人住民税へ税源移譲していこうと、そして個人住民税は、10%といいますか、まだ決まったわけではありませんけれども、フラット化する方向で考えていこうというふうに大体議論が進んでいるわけだと思います。
それで、私がお答えするのが適切かどうか分かりませんが、総務省にお答えいただいた方がいいんでしょうけれども、そのことはやはり、税源移譲で財政力の格 差のあるものをできるだけ平準化していくためには地方住民税のフラット化が必要だという考え方も背後にあるんだろうと思います。
しかし、そうな りますと、所得税は減税するけれども個人住民税を増税するという部分が出てくるわけでございますから、当該税制改正に伴う個々の方の納税者の税負担という のはできるだけ大きくならないように抑制する必要があると私どもは思っておりまして、税源移譲に当たって個人住民税のいわゆるフラット化が行われる、税率 のフラット化が行われるということになれば、これによってその税率が引き上げられる低所得部分、ここについてはきちっとした適切な対応が考えられなければ いけないと思っております。
まだ中身が固まっておりませんので、この程度しかお答えはできませんが、基本的な考え方はそういうことだろうと思っております。

○政府参考人(内藤邦男君) お答え申し上げます。
この推進戦略の中におきましても、農林水産物、食品の輸出促進ということをうたっているわけでございますけれども、アジア諸国では、まず、元々嗜好が非常 に似ているということがございます。それから、経済発展による所得水準の向上によりまして、我が国の高品質な農林水産物、食品の輸出可能性が高まってきて おります。このため、このEPAを通じまして相手国に関税撤廃、削減を積極的に求めていくということ、そういったことを通じまして、我が国の農林水産物 の、それから食品の輸出を後押ししたいというふうに考えております。
また、アジアの各国におきましては一般的に知的財産権の保護が十分でないと いう問題がございます。植物の育成者権の保護につきましても、国際条約でございますUPOVへの加盟あるいはその国内法制度の整備というものを求めまし て、我が国で育成された品種が不当に相手国で栽培されたり、それが輸入されることのないようにしていきたいと思っております。
本年度から、私ども輸出促進室というものも設けてございます。予算措置についても大幅に拡充いたしまして、その後押しをしていきたいというふうに考えております。
以上でございます。

○西田実仁君 もう時間がございません。最後の質問でございますけれども、これはセーフガードの、特に一般セーフガードではなくていわゆる緊急措置、牛肉と豚肉のみに適用される緊急措置について御質問を財務省、財務大臣にお聞きしたいと思います。
これはもう御存じのとおり、昨年8月に冷蔵の輸入牛肉に対しまして緊急措置が発動されました。それは平成13年に発生したBSE、これに起因して自動的 に、数量が前年の輸入実績の117%を超えてきたと、こういうことでセーフガードが発動されたわけでございまして、先ほどのあの議論といえば、そういう意 味では今度は数字がはっきりしていて、これはいわゆる総合的に判断ではなくて自動的に、数量に自動的にセーフガードかっと掛かってしまうと。
こ ういうことに対しまして、かなり特殊な要因でもあり、もうちょっとならして、あるいは特殊な年を外して、過去3年なり2年なり、ならした上で、それを上 回った数量、その数量を上回ったときにセーフガードを掛けていくという、緊急措置を掛けるということが必要ではないかというような御指摘もかつてこの国会 でも議論されていることはよく認識しておりますけれども、改めて、この輸入牛肉の緊急措置につきまして、こうした特殊要因を取り除いた、ならした上での セーフガード発動の基準見直しということを検討した方がいいんではないかと、このように思うわけでございますけれども、大臣の御所見を、最後、お伺いでき ればと思います。

○副大臣(上田勇君) お答えいたします。
今委員御指摘にあったように、今のその状況というのが通常でない状況下にあるということはもう御指摘のとおりで、17年度においてそういうふうな御懸念があるということは十分理解するところでございます。
ただ、これから輸入再開とか輸入量がどういうふうに進んでいくのかというふうなことについてもまだほとんど決まってない状況でございますので、17年度、 どういうふうに改正をしていくかというのは、今、関税・外国為替等審議会にも諮問して議論をしていただいているところでございますし、そうした議論も踏ま えた上で、またいろいろと情勢の変化等も踏まえた上で判断していかなければいけないことでありますので、現時点では確たることというのは申し上げられない 点は御理解いただきたいというふうに思います。
ただ、この緊急措置というのは、ウルグアイ・ラウンド交渉の中でいろんなパッケージ、関係各国、 たくさんの関係各国とも交渉した、そしてその上でのパッケージとして合意されたものでありますので、特にこの牛肉の緊急措置については、合意をされました 関税の水準50%というものから我が国が自主的に引き下げるものの代償措置として導入したものでありますので、またこの発動の基準となる数量についても、 これは議論の過程、いろんなものがありまして、そうした様々な協議の結果合意をされた数値でありますので、これ変更するということになれば、これはWTO での農業交渉の中でも議論をしなければならないことだろうというふうに思っております。
と考えている一人でございます。

○西田実仁君 だと思いますけれども、WTOの条約による規定ではないはず、サイドレターだと思いますので、特に主要国であるアメリカとの交渉等によってまた前向きに検討いただけるようお願いして、最後、質問を終わりたいと思います。

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