国土交通員会 2006-02-03


2006年2月3日

【質疑事項】
1.耐震偽装物件にかかわる住宅ローンについて
2.特定行政庁にかかわる確認検査業務の点検結果について
3.特定行政庁における構造関係の審査補助員の技術水準と人事ローテーションについて
4.設計建築士の情報公開について
5.指定確認検査機関制度について
6.特定行政庁にかかわる不適切業務の改善措置について

○西田まこと君 公明党の西田実仁でございます。こちらの委員会の方に入って、大臣への質問は初めてでございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
まず初めに、午前中もちょっと議論がございましたけれども、この被害者救済ということにつきまして一点お聞き、確認をしたいと思います。とりわけ住宅ローンにまつわることでございます。
先般公表されましたけれども、新生銀行におきましては、この耐震偽装物件にかかわる住宅ローンについて、最大3年ローン返済を猶予し、また金利も免除するというような特例措置が公表をされたわけでございます。
まず、今回のこの耐震偽装物件にかかわる住宅ローン、こうした先駆的な取組事例につきまして、国土交通省としてどのようなお考えかをお聞かせ願いたいと思います。

○政府参考人(山本繁太郎君) 今回の偽装問題に関連いたしましては、何といいましても地震に対する構造耐力が著しく不足している分譲マンションの居住者の安全と居住の安定を確保することが一番の課題でございます。こういった大部分の危険マンションは最近できたばかりでございます。ということは、住宅ローンも元本がほとんど減っておりません。居住者が多くの住宅ローンの残債をそのまま抱えているというのが実態でございます。
それから、マンション自体は担保価値がないということに加えて危険で住めないといったような事実に照らしますと、この既往のローンを供与している金融機関において負担軽減の協力をいただくことがどうしても必要だと私どもは考えているわけでございます。このため、全国銀行協会等の金融機関において、既に午前中金融庁からも御説明がありましたように申合せが行われているところではありますけれども、先ほど申し上げましたような観点から国土交通省から金融機関団体に要請をしているところでございます。
今御指摘のありました新生銀行の取組、一昨日発表されましたけれども、これは既往の住宅ローン利用者の負担軽減に大きく役立つものでございますので、金融機関がこれから対応を申し合わせられるに当たりまして、是非こういう取組を参考にして適切な対応がなされることを期待しているところでございます。

○西田まこと君 次に、先般国交省からも公表されましたけれども、この特定行政庁に係る確認検査業務の点検結果につきまして二、三お聞きしたいと思います。
この一斉点検につきましては、この偽装物件を看過した特定行政庁がどのような確認検査業務体制にあるのかということを調べられたわけでございますが、これ中身をよく見てみますと幾つかのことが、まず御指摘させていただきたいと思います。
この調査結果によりますと、例えばこの構造計算書の一部に係る図書省略の要件を満たしていないにもかかわらず省略しているケース、あるいは構造計算書においてエラーメッセージが記載されるページが欠落しているにもかかわらず建築確認を行っているケース等々、私は専門家では全くありませんけれども、幾つもずさんな検査業務というのが克明になっておりまして、私たち公明党といたしましては、昨年11月下旬の段階でこの耐震偽装につきまして申入れをさせていただきました。その際にも、実態の解明に基づいて告発や行政処分等をきちっと行うようにという申入れをさせていただいたわけでございますけれども、今回こうしたずさんな検査業務が明らかになったそれぞれのケース、不適切な検査業務につきまして、特定行政庁、またもう1つは指定確認検査機関にも同じような調査をしているわけですけれども、それぞれにつきましてどのような処分、どういう基準を持っておられるのか、またそれを具体的にどういうスケジュールで進めていかれるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。

○政府参考人(山本繁太郎君) 今回の偽装案件ですけれども、姉歯元建築士が関与しました調査対象の207物件の中で97件に偽装があったわけでございます。その中には特定行政庁が偽装を見過ごして確認を下ろしてしまったものもございます。それについては、特定行政庁についても民間確認検査機関についても、12月と1月にかけて総点検を実施いたしました。
今偽装が明らかになっておりますのは姉歯元建築士が関与したものだけでございますけれども、これは平成10年から今日までずっといろいろ仕事をしてきているんですが、実はこの偽装の態様ですね、どういう形で偽装しているか、先ほどちょっと例を挙げられましたけれども、この偽装の仕方が平成10年から昨年平成17年に至るまで非常に多様でございます、変遷しております。非常に大ざっぱに言いますと、当初は非常に慎重に、分からないように巧妙に偽装していると。だんだん最近になるほど、例えば平成15、16、17と非常に大胆になって、入口で設定している外力の力と、それから後半の書類を計算するための外力の力を、後半の方を大きく低減させて、最後にオーケーと出たものを、入口とオーケーが出たものを合わせてやっているというようなものもございます。
したがいまして、ただいまの御質問につきましては、この偽装の態様をきちんと整理をしまして、類型化します。類型化して、それぞれ各民間確認検査機関においてどういうふうな見過ごしをしているかと。その見過ごしの過失の重さの程度を測って、その上でまず偽装を見過ごした民間機関の確認検査員、資格者である確認検査員について処分を行おうと思います。その上で、この確認検査員をもって仕事をしておりました指定確認検査機関の処分をきちんとやっていこうと思っております。今、その前段階の類型化、それから各資格者がどういうこと、どういう部分をやったかというその整理をやっているところでございます。
なお、特定行政庁につきましては、自治事務でございますので、国から処分とかそういうことはございません。ですけれども、同じように過失の態様についてはいろいろございますので、それに応じて建築主事が属する公共団体に対して注意を喚起するための文書等を交付したいというふうに考えて今準備しているところでございます。

○西田まこと君 この一斉点検の結果を見ますと、ほかにも大変に疑問に思うようなこともございまして、例えば建築基準法では、第6条において建築確認については、建築基準関係規定に適合するということについて確認をすることが規定されているわけでございますが、今回この一斉点検調査を見ますと、審査手順について特段このマニュアルがない。つまり、どう審査していくのかということが特段決められていないという、そういうマニュアルがないという特定行政庁も少なくないわけでございますが、こうしたこの建築基準に係る審査手順について、どうなんでしょうか、今後この一定の統一的なルールというか、そういうものを設けていくお考えなのかどうか、これ確認したいと思います。

○政府参考人(山本繁太郎君) これは特定行政庁、それから民間検査機関通じてでございますけれども、この仕事に携わる職員の技術向上という観点から、日本建築行政会議を組織して、会議を通じて相互に情報交換を行う、知識の向上に努めるということをやってきたわけでございますけれども、国土交通省としても、この日本建築行政会議と協力をいたしまして、まず一般的な確認検査の方法といいますか、要領についてはマニュアルを整備しまして、講習会とか勉強会を通じて技術の向上に努めてきたんですが、今回問題になっております構造計算書の審査の、細かい具体的な審査のマニュアルというのは、この会議でも準備しておりませんで、各機関に任せていたわけでございますけれども、今回の点検結果、御指摘いただいたようなことが散見されたわけです。
そのことを踏まえまして、社会資本整備審議会の検討では、建築物の安全性確保のために早急に講じるべき施策として、国は建築構造技術者の団体の協力を得て、構造計算書が適切に作成され、偽装の防止に資することを目的とした構造計算書の内容に係る審査のガイドライン、そういったものをきちんと作成をして業務の適正化に資するべきではないかといったような観点から御検討いただいているところでございます。

○西田まこと君 これは今回の偽装事件にかかわって、私、地元埼玉でございますけれども、埼玉の様々な地方議員の方々から現場での特定行政庁における実態というお話をよくお聞きするわけで、その中には誤解もあるのかもしれませんので確認をさせていただきたいと思いますが、この一斉点検結果で、構造関係の審査業務に係る体制とその方法ということについても点検されておられます。
建築主事における構造審査担当者の平均は、特定行政庁においてですけれども、0.3人と。そして、建築主事以外で確認検査業務に従事する、いわゆる補助員と言われる方々ですけれども、これが平均2.9人ということで、3人弱なわけでございます。
この地方議員の方々から上がってくる声というのは、実際にこの特定行政庁において補助員と言われる方々が様々なこの人事ローテーションの中で3年とか5年とか、どんどんこう異動していく中で、本当に建築のことが実はよく分かっていない人が就いているのではないか、特に構造に関して詳しい知識、見識を持たない人が担当しているのではないかという、そういう疑念というものを現場で持っている方が多いわけでございますが、今回の一斉点検調査を踏まえまして、こうした特定行政庁における構造関係の審査の補助員の方々の技術水準というんでしょうか、そういう見抜く力というか、確認する力というものがどの程度なのか。それと特定行政庁におきます人事ローテーションとのかかわりにつきまして、国交省からお聞きしたいと思います。

○政府参考人(山本繁太郎君) いずれも、補助員も、先ほど引用していただきました特定行政庁における補助員の平均で見ますと、2.9人というのはそのとおりでございますけれども、この補助員も一級建築士の資格を持った者が建築主事を助けて仕事をしていくわけでございます。
普通の公共団体の中での一級建築士の仕事というのは、確かにローテーションで変わるわけですけれども、主として、建築行政関係か、あるいは住宅か、あるいは当該公共団体の中の営繕の仕事かというところで、いずれも建築物の建築あるいはその管理に関係の深いところで仕事をしております。
ですから、御指摘の点につきましては、補助員が、少なくとも建築行政を担当するということで、資格を持った上司、建築主事の下で仕事をしている限り、的確な指導をいただきながら、最終的に建築確認を下ろすのはあくまでも資格を持った建築主事でございますので、その管理の下に一級建築士としての補助員が仕事をするということで確認事務を前に進めていくというのが実際には建前だったわけですけれども。
今回、総点検をやってみて、公共団体の中には、例えば直接仕事をした人とヒアリング調査もやっているんですけれども、例えば図書省略の制度を知らなかったというふうに答えた者もおりますし、あるいは今回一番の問題としては、そもそも大臣のプログラムを使って構造計算をやったものについて偽装して持ってくるというようなことをはなからもう想定していなかったというふうに答えている職員もいますので、その辺り非常に実務的、実践的な問題意識といいますか、先ほど御指摘いただいたマニュアル、ガイドラインの整備も含めて、実務を的確にやる、その中で後継者も育成していくという2つの観点から大事なポイントだと思いますので、きちんと検討したいと思います。

○西田まこと君 今回のこの事件につきましては、今後安全、安心ということの確保と、一方で政府全体として今目指している日本の改革の方向としての小さくて効率的な政府ということを、これをいかに両立をしていくのかということが今後大変に大きな、この問題だけではございませんけれども、かかわってくると私は思っております。
その意味で、よく言われることでありますけれども、自己責任というようなことが言われる場合には、少なくとも責任を取れるだけの情報というものがしっかりと公開をされている、自分で責任を取る、消費者が責任を取れる範囲というのはもちろん限定されるところはあると思いますけれども、少なくとも自己責任ということが言われる以上、それなりの情報公開がなければならない。
今この建築士、私も家を建てたことがありますので、正直言ってこういう事件のもちろん前ですので、建築士がだれだとかその建築士がそういうことをやるとかいうことは全く思っていないわけで、100%信じておりますし、どなたが建築士だったか、自分で選んだ記憶も全くないわけでありますけれども。でも、こういう事件が起きて以降、やっぱり安全、安心を確保するには消費者がある一定の範囲で自己責任において建築士を選んでいくということも出てくるのかなという気もしております。そこには構造士の地位向上ということも含まれてくると思いますけれども。
その際に、例えば建築士を選ぶ場合に、その建築士が設計の履歴の中でどういう設計をやってきたのかとか、あるいはどういう研修、技術研修を受けてきたのかとか、そうしたことも1つ選ぶ場合の材料にもなり得ると思っておりまして、ここで大臣にお聞きしたいと思いますけれども、消費者が設計を依頼するに当たりまして、能力のある建築士を識別するというときにどのような方法が今後考えられるのか、これについて大臣にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(北側一雄君) 今、社会資本整備審議会で、今委員のおっしゃったことについてもまさしく御論議をいただいているところでございます。
現行、どうなっているかといいますと、現行は、設計事務所にこれまでのその設計事務所の業務の実績だとかその設計事務所にいる設計建築士の実務の経験等をきちんとその設計事務所に備え置いて、建築主から閲覧を求められたら閲覧させると、こういう制度になっているんですね。
これだけではなくて、さらに、例えば地方公共団体、市町村に行ったら、その建築士事務所の業務実績なんかが分かるような、そういう閲覧できる制度をつくったらどうかというふうな御意見なんかも今ちょうだいしているところでございますし、また、今建築士に対して行政処分を行った場合にはその氏名は公表されていないんですね。この氏名についても公表できるように仕組みを変えていくべきではないかだとか、そうした御意見もちょうだいをしているところでございまして、緊急に対応が必要なものについては今国会で見直しをしてまいりたいと思っておりますし、さらに社会資本整備審議会で、さらに抜本的な建築士法そのものの見直しについても御議論をいただいているところでございまして、こちらの方につきましては夏ごろまでに取りまとめをいただいて、制度の見直しをさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

○西田まこと君 この安全、安心を最大限確保していくということと、小さくて効率的な政府を目指していくというこの関係の中で、今後この指定確認検査機関をどういう方に、この制度自体をどういう方向に持っていくのか、ここは大変に大きな課題だというふうに思っておりまして、もちろんその安全、安心を確保するにはコストも掛かるわけでありますから、ただ、その安全に掛かるコストはもうどこまでもやはり取ってもいいんだという御意見もおありでしょうし、ただ、それにはやはり一定の限界があるんではないかという意見も当然あると思います。
そういう意味で、この安全、安心の確保ということと、小さくて効率的な政府ということを両方踏まえた上で、大臣としてはこの指定確認検査機関制度、どういう方向で見直していくべきかという、ちょっと大きなお話でございますけれども、御質問させていただきたいと思います。

○国務大臣(北側一雄君) 平成10年に建築基準法を改正して、民間の指定確認検査機関制度というものをつくらせていただいたわけでございますが、その方向自体は私は間違っていないと思うんです。
今、建築確認事務というのは年間約75万件建築確認事務がございます。さらに、中間検査があり、完了検査があるということでございまして、こうした検査事務について、すべて公の地方公共団体、特定行政庁で建築主事が行っていくというのは現実的には困難だというふうに思われます。この平成10年の法改正そのものがそうした建築確認検査事務等について、より充実をしていこうという観点から見直しがなされたものでございまして、そのこと自体は私は間違っていない。現に、完了検査だけ取り上げましても、平成10年時、平成10年のころは38%しか完了検査ができていなかったのが、平成16年には73%まで増えてきておりますし、また本来、行政は違反建築物の摘発等そうしたところにしっかり力を入れてもらう必要があるんですけれども、この違反建築物件数についても、平成10年に比べますともう半減しているわけでございまして、この方向性自体は決して間違っていないというふうに考えているところでございます。
しかしながら、今回、民間検査機関においても、偽装された物件、偽装された設計について見過ごしてしまったということが大量に発生をしてしまったわけでございまして、これはもう極めて遺憾なことでございます。そこはしっかり見直しをしていく必要がある。指定検査機関制度の信頼性を高めていくためにもしっかりと見直しをしていく必要があると考えているところでございまして、そこのところにつきましては今社会資本整備審議会で御議論をいただいております。こういう建物の基本となる構造計算についてはダブルチェックをしていこうだとか、さらには、特定行政庁である地方公共団体から指定検査機関に対する監督ができるような権限を与えていこうだとか、また罰則を強化しようだとか、そうした様々な御議論を今社会資本整備審議会で御議論をいただいているところでございまして、しっかりと信頼性回復のために制度の見直し、改善をしてまいりたいと考えております。

○西田まこと君 ありがとうございました。
残り1分だけですので、ちょっと1つだけ国交省に確認したいと思いますけれども、先ほど特定行政庁に係る確認検査業務の点検結果の中でいろんな不適切な業務が指摘されているにもかかわらず、その後とった措置ということが全くなされていないというところがございます。その後とった措置が、例えば補助員を増やすとか、構造関係の担当者を付けるとかですね、それぞれ指摘されて措置をとっている行政庁が多いわけですけれども、ほとんどそうなんですけれども、数少ないんですが何もしていないという、措置をとっていないというところがこの公表されている中にございますが、これについてどのように促しているんでしょうか。それを最後お聞きして終わりたいと思います。

○政府参考人(山本繁太郎君) 個別の指導は、もちろん立入検査をしたときにしているわけですけれども、ただいま国土交通大臣が御説明いたしました平成10年の改革の趣旨に照らしますと、要するに建築確認事務という法律の適合性を見るという非常に裁量性の低い、専門的ではあるけれども技術的に、非常に能力がある者であれば建築主事じゃなくてもできるということで、まあ民間にお願いしたんですけれども、その趣旨は、地方公共団体の建築行政担当職員が本来の行政でなければできない仕事にきちんと取り組んでいただこうということで改革をしたものなんです。
ですけれども、現実には公共団体の地方行革の流れの中で、もう民間に出したんだから行政職員は減らしてもいいじゃないかと考えて、例えば平成13年から今年まで毎年減らしている公共団体もあるんです。で、そこには、今回のことがありましてなおさら私どもも問題意識を持ちましたので、今月の1日付けで私の名前で各都道府県に対しまして、平成10年改革の趣旨は是非徹底をしてほしいと、これを徹底すれば、例えば東横インのような取締行政ももっと目が配れるし、本来10年改革で企図したことを是非受け止めて、前に建築行政を進めるようにしてほしいということを各知事さんにお願いしたところでございます。特定行政庁においてもそういうことを受け止めて改革をすることが大事ですので、意を体して前に進んでいただきたいというお願いをしたところでございます

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