予算委員会・第12号 2006-03-15


2006年3月15日

【質疑事項】
1.児童養護施設を退所した未成年者の身元保証制度について
2.AED(自動対外式除細動器)の普及について
3.外国語による医療提供について

○西田まこと君 公明党の西田実仁でございます。
今日は、今国会でも話題になっております格差の問題に関しまして、まず、小泉内閣としては格差の固定化は避けるべきであると、こういうことを言っている中で、社会的弱者への配慮として総理がこの参議院でも次のような答弁をされております。どうしても自分だけでやっていけない人に対して国としてどのような支援の手を差し伸べられるかが重要だと。正にそのとおりであると私も思うわけであります。
この視点から、本日は、児童養護施設を退所した未成年者の身元保証人制度につきまして、厚生労働省に質問させていただきたいと思います。
先日、私、地元は埼玉でございますが、埼玉に在住している児童養護施設を退所したある青年と話をいたしました。この人は、児童養護施設を退所した後、会社経営をしておられます。やっとの思いで高校に進学して、そして困難をいろいろありましたけれども乗り越えて会社を起こした、こういう方であります。ただ、同じようにこの養護施設で育った仲間の中には、親も見付からず、また就職する際、またアパートを探す際にも身元を保証してくれる人がいないと、こういう状況の中で、まともな仕事にも就けず、結果、やみの世界に入り込んでいく、そういう仲間が少なからずいるという、大変に悲しいお話もいただきました。
施設にいる間は当然施設が保証してくれます。しかし、中学あるいは高校を卒業した後、就職する際、この身元保証してくれる人がいないために、結局どうなるかといえば、その就職先の会社が身元保証をしてくれる、あるいは、社宅、社員寮とかがあって、そこに住まわしてくれる、こういう会社に就職をしなければならない。そういう意味では選択肢が大変に狭まれているということが一つございます。
また、必ずしもすべてがそうではありませんけれども、そうして就職した際には、ある意味で、保証人にもなってもらって社宅もある会社でありますので、足下を見られて過酷な労働を強いられる、そういうケースもあるやに聞いているわけであります。
これに対しましては、厚生労働省といたしましては何もしてないわけではございません。一つは、生活福祉資金の貸付けの際の特例、あるいは当面の生活費の援助としての就職支援費の給付等、一定の支援はなされておりますし、また、平成十六年度、十七年度におきましてはモデル事業も実施されております。
このモデル事業の実績状況につきまして、まずお聞きしたいと思います。

○副大臣(中野清君) 今、西田委員の御質問にお答えいたしますが、今の団体がやっておりますモデル事業については、この十六、十七年については実績がありませんので、よろしくお願いいたします。

○西田まこと君 実績がないということであります。モデル事業をつくっておるけれども実績がないと。また、まあこれはもう御答弁いただかなくて結構ですが、都道府県においてもいろんな条例が昭和三十年代前後にこの身元保証に関してありますけれども、これも、厚生労働省、事前にお聞きしたところでは、全国でどのような実態になっているのかという実態は把握されていないと、こういうことであります。
私は、今日、厚生労働省に是非お聞きしたいと思っておりますのは、これは厚生労働省内での社会保障審議会でも議論をされました。こうした児童養護施設を卒園した人に対して公的な保証、機関としての保証をしていくことによって、未成年者の間、やる気のある人がいろんな選択肢を持つことができるんではないか、このように思っているわけでありますが、こうした新たな制度につきまして厚生労働省としてのお考えをお聞きしたいと思います。

○副大臣(中野清君) 今委員の御質問でございますが、児童養護施設に入所をしている子供が施設を退所する際に自立のための支援を行うことは重要なことであるということは認識をいたしております。このために、退所後、保護者等から支援が見込めない場合には約二十万円相当の就職に際する必要な住居費等の給付をしております。また、施設退所後の子供の相談、指導及び就業支援を行う自立援助ホームの設置の促進などの支援を実施しているところでございます。
施設を退所した子供が就職する際の身元保証人につきましては、施設関係者等が実情に応じて助力に努めているということは聞いておりますけれども、今委員が御指摘のとおり、まずは施設に入所をしている子供の身元保証に関する実態や、また自治体における独自の取組などの把握に努めてまいりたいと思いますが、それとともに、いわゆる国の身元保証制度創設につきましても、国がこれからどのような支援ができるか、そういう立場に立ちまして研究をしてまいりたいと考えておりますので、どうかこれからも御支援を賜りたいと思います。

○西田まこと君 施設長が個人的に身元保証をして就職をし、あるいはアパートに入居しているというケースはもちろんございます。しかし、やはりこの個人的な対応ではなくて制度的な対応をしていくということが大事ではないかと思うわけであります。
今、様々な特例あるいはいろんな制度というものはございます。しかしながら、それは多くの場合、そうやって保証した人が、万が一その被保証人、すなわち施設を卒園した人が経済的な損失、損害を与えた場合に、その補てん、その損害補償分を補てんするという、そういう雇用主に対する補償にしかすぎないわけであります。そうではなくて、少なくとも未成年のうちは、その未成年者の本人に対して公的な制度として保証していく、こういうことによって、自分だけの努力では何とかならない、そういう人への支援の手を差し伸べるという、この小泉内閣における社会的弱者への配慮ということにつながるんではないかと思いますが、もう一度、副大臣の御答弁をいただきたいと思います。

○副大臣(中野清君) 今委員の熱い思いについてはよく認識しておりますし、なかなか今ここで必ずやりますということまで言うのはまだ、決まっておりませんけれども、やはり委員のおっしゃったことについては、これは当然な私たちの国の義務だと思いますから、そういう意味で前向きに研究してまいりたいということで今回については御理解願いたいと思いますが、しかしこの問題については、是非、委員を始めとした議員の皆さんの御支援をお願いをしたいと思います。

○西田まこと君 これは既に先進的に市として取り組もうとしているところもございまして、そうしたところのことも含めて、是非前向きな御研究をお願いしたいと思います。
次に、AED、すなわち自動体外式除細動器につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
もう、今は議員会館にもこれが設置をされました。このAEDの普及については、もう効用等については申し上げません、皆さんもうよく御存じのとおりだと思います。
まず、厚生労働省にお聞きします。
AEDの公共施設における設置状況、また公共交通機関におけます設置状況について現状をお教え願いたいと思います。

○政府参考人(松谷有希雄君) 御指摘のAED、自動体外式除細動器でございますが、これは、心臓の心室細動によって血液の流れが止まるものに対しまして、電気ショックを施すことによって心臓の動きを復活して正常に取り戻すための携帯用の治療機器でございます。生命にかかわる重大な不整脈が生じた際に、AEDによる救命処置を直ちに行うことが救命率の向上に大きく貢献するというものでございます。
救命の現場に居合わせた一般市民がAEDを適切に使用するということにつきましては、厚生労働省においても推進しているところでございまして、平成十八年二月末までに、鉄道、空港十八施設など全国で約五百二十四施設に設置されていると聞いております。

○西田まこと君 公共交通機関、例えば鉄道事業者のAEDの設置状況についてはいかがでございましょうか。

○政府参考人(松谷有希雄君) 平成十八年二月末、救急医療財団で調べたものでございますけれども、鉄道、空港が分かれておりませんで十八施設という統計になっておるところでございます。

○西田まこと君 地元でいろいろとお聞きしてみますと、この交通事業者では、なかなか大手事業者といえどもいま一つ積極的に取り組めない状況、あるいは取り組まない状況があるやに聞いております。
そこで、今日は法務大臣にもお見えいただいておりますのでお聞きしたいと思いますが、このAEDを設置するに当たりまして、これはもう非医療従事者にも開放したという経緯があります。制度的な担保というか、仮にその非医療従事者がAEDを使って緊急措置をとった場合に、万が一の場合というのも当然あるわけでございます。その場合に、こうした刑事あるいは民事におけます積極的な免責というものがなければ、なかなかこれを使おうという状況にならない。強いて言えば、そうした例えば鉄道事業者においてもこれを積極的に導入していこうということにもならない、こういうことではないかと思います。この刑事、民事におきますAEDを使った場合の免責、積極的な免責ということにつきましてお聞きしたいと思います。

○国務大臣(杉浦正健君) 先生御指摘の場合についての法律上の明確な措置はなされていないと承知しておりますが、AEDを使用した場合に犯罪に問われる可能性というのはゼロじゃございませんが、そういう場合は個別の事案に応じて、収集された証拠に基づいて判断されるべきことであることは一般的に申し上げるまでもございません。
しかし、人の生き死ににかかわる事態でございますから、緊急行為と申しますか、そういうことですから、処罰されることはまあまずないんじゃないでしょうか。

○西田まこと君 大変に積極的な免責が、当然個別のケースでございますけれども、今大臣から御答弁いただきまして、誠にありがとうございました。
このAEDの普及啓発事業、厚生労働省に今度はお聞きしたいと思いますが、この普及啓発事業予算が昨年度も、また今年度も増えて出ております。この普及啓発事業の今の進捗状況について政府参考人にお聞きしたいと思います。

○政府参考人(松谷有希雄君) 公共機関等への普及でございますけれども、救急医療体制は、医師を始めとした医療従事者、あるいは搬送を担う救急隊員、それからその場に、救急の現場に居合わせた一般市民を含めた多くの方々の参画によって、協力し合って傷病者の救命処置をつなげていくということが大切だというふうに考えております。
このため、普及を行うということで、厚生労働省としては、医師の資格を有しない一般市民が心停止の状態にある者に対してAEDを使用して救命処置を講ずることは医師法違反でないことを解釈通知の形できちんと示すとともに、AEDの使用方法の講習会の開催、あるいは関係機関への啓発等を進めているところでございます。
例えば、ちょっとお待ちくださいませ、平成十六年、ちょうど通知を出した後でございますけれども、公共機関の代表の方々、JRの各社の方々、あるいは私鉄の関係者の方々、そういった方々を対象に、二十五社四十三名を対象に説明会、講習会を行ったり、その後、一般市民を対象にする講習会を救急医療財団その他を通じて、あるいは日本赤十字社を通じて行っているところでございます。

○西田まこと君 厚生労働副大臣にお聞きします。
国を挙げての設置、普及に対する決意をここで再度お聞きしたいと思います。

○副大臣(赤松正雄君) 西田委員を始めとして、公明党にはAEDの普及に大変熱心な議員が大勢いられるということはよく承知しておりますんで、私が答えるよりも大臣が答えていただいた方がより満足されると思いますけれども、大臣としっかり打合せをいたしまして、御承知の、今医政局長からもお話がありましたように、しっかりと、この長い経緯がございますけれども、今後AEDの普及に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたい、そのように思います。

○西田まこと君 最後に、中国語による医療提供につきましてお聞きしたいと思います。
中国からの帰還者から訴えをいただいておりまして、帰還者の多くは病院に行っても言葉が思うように通じないと、また病状とか痛み、不安を医師に明確に伝えられない、薬の飲み間違いも少なくないと。多大な精神不安から帰国者の罹患率が同世代の日本人よりも高いと、こういうような指摘もございます。こうした中国語で受診できる医療環境を整えるための情報提供、これにつきまして整備していく必要があるんではないか、こう思っております。
この国会では医療法の一部改正も盛り込まれておりまして、そこの中においてこうした情報提供をすべきでないか。ひいては、中国語だけではなく、外国語全般にわたって、外国語で医療を提供できるような、そういう情報提供のサービスを伴うべきではないかと思いますが、厚生労働省、いかがでございましょうか。

○副大臣(赤松正雄君) 西田委員から外国語に対する対応、こういった点で情報提供をしっかりしろ、こういうお話でございます。
私どもも極めて重要なことであると考えておりまして、今般の医療制度改革におきまして、すべての医療機関に対して医療機能に関する一定の情報を都道府県に報告することを義務付けて、都道府県がそれをインターネットなど、地域住民に広く提供する、そういった制度を創設していきたい、こんなふうに考えております。
対応可能な言語に関する情報につきましては、外国人の患者が医療機関を選択する上で非常に重要な情報でありまして、現在でも医療に関して広告可能な事項の一つとしているところでありますけれども、都道府県、例えば東京とか茨城、こういったところではホームページにおいて医療機関が対応可能な言語に関する情報を既に提供している、こういう例もございます。
新たな情報提供の制度の対象となります情報の範囲につきましては、患者による医療機関等の選択を支援する観点から今後具体的に定めることにしておりまして、御指摘の、医療機関において対応可能な言語、中国語だけではなくていろいろあろうと思いますけれども、情報を対象とするということにつきましても積極的に前向きに検討していきたい、そんなふうに思っております。

○西田まこと君 ありがとうございました。

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