国交委員会・第21号 2006-06-01


2006年6月1日

【質疑事項】
住生活基本案に関する参考人質疑

○西田まこと君 公明党の西田実仁でございます。本日は4人の参考人の皆様方、本当にお忙しいところ誠にありがとうございます。
順次お聞かせいただきたいと思いますが、まず青山参考人にお聞きしたいと思います。
先ほど小池議員からもお話ございましたが、このセーフティーネットからトランポリンへという、こういう記載がございました。ここで、今住生活基本法におきまして言われているところのいわゆる居住の安定ですね、居住の安定ということと、先生がおっしゃったこの自立を促すという、トランポリン政策という、この関係がやはり大きなテーマになると思います。
居住の安定とは一体何かと、安定とは一体何なのかということをやっぱり我々は考えていかなきゃいけないというふうに考えておりますし、またこれまで取られてきた公営住宅の施策というのもあるわけで、その政策の継続性、またそこには住宅というよりも、正に今回住生活と名を付けたように、生活ということがその建物なり入れ物の中には当然あるわけでございますので、そこの辺も踏まえた上で居住の安定とは何か、また居住の安定ということと自立を促していくということとの関係について、ちょっと御所見を伺いたいと思います。

○参考人(青山やすし君) 公営住宅に限っての話だと思いますけれども、居住の安定という意味では公営住宅政策は非常に大切であります。同時にまた、公営住宅に生活水準あるいは収入階層等が変わっても永遠に住み続けるということはできないわけでして、その場合に一定程度やはり流動性ということもないと全体としての居住の安定が図れないということになるんだと思います。そういった意味では、今後、安定を図りつつ、公営住宅政策の改善を図っていくということが必要だと思います。
もう一つ、町の在り方としてはやはり公営住宅に全く同じ層の方だけが住んでいるというのがいいのか、それともある程度多様な方が住んでいるのがいいのかということを考えますと、そういう意味では、ある程度若い層も入れるということも町の在り方としては必要ですし、また先ほど来お話のありました孤独死を避けるという意味合いからいいましても、やはりある程度ソーシャルミックスといいますか、いろいろな階層の方が住んで、出ていく人もいる、ずっと住んでいる人もいると、そういった公営住宅の在り方を目指していくということが必要だと思います。
ただ、その場合に一挙に改革はできないと思いますので、ある程度の政策目標を定めて、それに向かって居住の安定を図りながら徐々に改革していくということが公営住宅の分野では必要だろうと、そう考えます。

○西田まこと君 今のお話で更にお聞きしますと、今回公営住宅に関する計画というものが基本法から外されているわけでございます。そして、国の計画は、都道府県が計画を立てていって、市町村からも意見を聴きながらという、そういう仕組みになっているわけですが、今言われたまちづくり、町の質的向上ということも先生はおっしゃいました。そうしたことに対する市町村と国の役割分担ですね、これにつきましてもうちょっとお聞かせいただければと思います。

○参考人(青山やすし君) そういう意味では、全国基準を定める一方で、地方の特性、大都市の中心部ですとかあるいは大都市の住宅地ですとか、地方の住宅地ですとか地方の中心市街地ですとか、そういった形で地方の特性、地域特性によって収入分位あるいは収入基準等をある程度地方にその内容についてゆだねていくと、全国的な基準は一定の幅で決めつつ、地方に一定の裁量にゆだねていくということも一つの方法としてはあり得ると、そう考えます。

○西田まこと君 続きまして、内田先生にお聞きしたいと思います。
居住水準につきましてでございますが、よくある議論に、この居住水準、最低居住水準とか誘導居住水準とか、こういうことをお上に決められたくないと。例えば、狭くても職住接近で住みたい人もいるじゃないかと、それぞれの好みとか嗜好がいろいろあるじゃないかと、それを一定に決められることはいかがなものかという議論が聞かれるわけであります。
この居住水準ということにつきまして、またそれが家賃補助施策がいいのか、それとも箱物をやはり造っていくのがいいのかという議論にもつながってくることだと思いますので、先生の御所見をお聞きしたいと思います。

○参考人(内田雄造君) 居住水準、私は居住水準を一定の線で決めておくのはいいと思います。ただ、それが私に適用してほしいかどうかというのは本人の自由に任せればいいと。あなたは居住水準を満たしてないから駄目だというのは言い方が変だというふうに思います。
それから、今、直接的な御質問ではありませんけれども、私もまちづくりをやっていて一番気になるのは、一定の社会階層だけが集中する問題でございまして、これに関しては、これを解消するためにも私はむしろ民間の住宅に住んでいる方を含めて家賃補助の方がよろしんじゃないかというふうに思っております。
以上でございます。

○西田まこと君 先生のレジュメの2枚目でございますけれども、6番目、6ポツのところですが、最後に「住宅施策をマネージする主体として、基礎自治体を重視したい」と、こういうふうにございます。この「基礎自治体を重視したい」と、いろんな意味が多分おありになるんだと思いますが、例えば住宅のセーフティーネットというテーマで基礎自治体を重視するという場合に、財政負担の問題ですが、やはりセーフティーネット、市町村、仮にですね、を重視してやっていくということになると、市町村だけでやろうとすればその財政負担が増えてしまいますので余りやりたくないということにも正直言ってなりかねないわけでございまして、そこの、この基礎自治体を重視したいという意味合いと住宅のセーフティーネットの関係をもうちょっとお聞かせいただけますか。

○参考人(内田雄造君) 私がここで基礎自治体を重視したいと言うのは、一番まちづくりの問題が強うございました。この問題はもう自治体が抜きには、市町村、あるいは区市町村抜きにはできないことだというふうに思います。
それから、おっしゃったように、今県も含めて、公営住宅を造ろうという積極的な自治体は全然ありません。そういう面では、今のシステム自身をもう少し見直していく必要があるんじゃないかというふうに思います。造ったら基礎自治体の負担であるということは私は無理だと思いますし、それから全国で一律の必要があるかどうかと。私のところは住宅政策は頑張ると、むしろ福祉政策はこっちで頑張ると、そういうふうに選択的にやっていっていいんではないかというふうに思っております。
以上でございます。

○西田まこと君 この今回の住生活基本法の柱の一つとして量から質へということがうたわれているわけであります。ただ一方で、やっぱり量も質もという声も当然あります。ただ、量から質への転換ということになりますと、これはやはり政策を決定していく、住宅政策を決定していく政策プロセスそのものもやはり変えていかなければならないんだろうというふうに私自身も思っているわけであります。
そこで、坂庭参考人にお聞かせいただきたい。先ほど時間がなくて御説明できなかったということでございまして、この5番目が多分その政策決定プロセスにかかわることだと思いますので御説明いただければと思います。

○参考人(坂庭国晴君) ありがとうございます。
住生活基本法でありますので、その住生活の主体者、主人公はだれかと、これはもうだれもが同じように考えるように、居住者ないし国民一人一人ですね、居住者である国民であると思うんです。
これは内田先生も御指摘になられましたように、生活者の視点が欠如していないかということを提起をされておりますが、やっぱりそのとおりだと思うんですよね。私は是非、まちづくりでも、それから住宅造りでも、その居住者、住民参加ということが、これは国交省自身も提起といいますか、方針として出していることだと思うんですね。
したがいまして、具体的にはここに触れておりますけれども、特に住生活基本計画の策定に当たって、幾つか法案の中でも示されておりますが、もっと住民参加を具体的に規定し、かつ住民参加の保障を行うべきだというふうに考えるわけです。
そこで、まず住生活基本計画の全国的計画ですが、これは国会の中でも少し議論がされていると思いますが、パブリックコメント、いわゆるパブコメをインターネットなどで聴取するということははっきりしているんですが、社会資本整備審議会の住宅宅地分科会、これも衆議院段階で質問があったと思いますが、この住宅宅地分科会の意見も全国計画の策定には聴くわけですよね。その中に居住者代表はだれも参加をしていないという事実に示されるように、どうも住民参加について極めて不徹底ではないかと。ですから、住宅宅地分科会に住民参加、すなわち居住者代表を入れることと、都道府県計画の中にも住民参加が直接できるような、これは第18条2項に、住生活計画の実施というところにあるんですけれども、18条2項に居住者、住民団体を加えると。
それから、既にもう発足をしておりますが、地域住宅計画に基づく地域住宅協議会があるわけです。これも主体は供給者側ということになっておりまして、いわゆる住民参加が実現していないわけです。先ほどお話ありました基礎的自治体、市町村のこういう計画作りに、すなわち地域住宅協議会にも居住者代表など参加をすべきだと。そのことを通じて真の住民参加というのが実現をしていくのではないかなと思います。
以上です。

○西田まこと君 ありがとうございます。
最後に、松尾先生にお伺いしたいと思います。
今の質問と一つは同じですが、住民参加の問題が一つ。それからもう一つは、先生が御指摘された中で、住生活の安定向上の指標を具体化すべきだというお話がございました。インデックスというお話がありました。
例えば、政府の指定統計である住宅統計調査というのは5年に一遍しか、これは法律によって決まっているわけでございますが、こうしたもの以外にきちっとした指標を出して、それがアウトカム目標との連動の中でどう評価していくかという、多分そういう御指摘なんではないかと思いますが、ここで先生が御指摘されている住生活の安定向上を図る指標として、具体的に、例えばこういう指標が大事だというのをもし御指摘があれば御指摘いただければと思います。

○参考人(松尾弘君) まず、住民参加については、今、坂庭参考人の方からも御意見がございました。これは、住民にも十分そういう機会を保障するということはもちろん大事ですし、住民の側でもこれは非常に重い負担でありますから、どういう形で、どのくらいの期間、どういう頻度で参加していくかということについてのお互いのコミュニケーションということ、あるいは準備期間が非常に必要ではないかというふうに思われます。
これは、法律、制度でできるルールづくりの面だけではなくて、もっとインフォーマルなルールとしてお互いに話し合う、非常にインフォーマルな話合いの中で計画ができていく、実質はやっぱりそういうところでできるというものもあると思いますので、そういうことについてのいろんなモデル例ですとか、法律、制度には乗ってこないようなやり方についての情報交換も含めて時間を掛けてつくっていく必要があると思いますし、私自身はそういう、それだけの時間を掛けてやっていくだけの意味のあることであると思っております。
それから、先ほどの住生活に関する指標ですけれども、これについては私自身にも完成した案があるわけではございませんけれども、ここに出ている住宅の性能、それから耐震化率とかバリアフリーとか省エネ化率、そういう住宅そのものについての指標をきめ細かくつくるということと、もう一つは、今回は居住ということも入っておりますので、生活実態あるいは通勤状況、そういうものも何らかの形で指標化していくことが必要か。あるいは環境についても、景観制度との関連もありますけれども、そういう形で、現在、住民がどういう居住の実態にあるのか。単に住宅の広さとか、あるいは質でどの程度足りているかという指標では、やっぱり住生活の中身は見えてこないと思われるわけです。そういうことについて、決して完全ではなくても、もう少し実質が分かるような指標をつくる必要がある。
これも、だれがつくるかということですけれども、恐らくだれかがアイデアを出して、これどうだという形では簡単にできないと思うわけです。その指標についても、やはりそこから住民参加といいますか、こんなアイデア、あるいはこんな指標が必要だということについても情報収集をする価値がある問題であると思っております。
以上です。

○西田まこと君 ありがとうございました。

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