財政金融委員会・2号 2007-02-22


2007年2月22日

【質疑事項】
議題 金融と証券に係る集中審議
「預金者保護法」施行から一年、評価等について
1.中小・地域金融機関について
2.被害補償に関して
3.金融機関と地元捜査当局による協力体制について
4.情報セキュリティに関して
5.生保カードについて
6.クレジットカードのキャッシングによる被害について

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本日の会議に付した案件
○財政及び金融等に関する調査(金融、証券市場をめぐる諸問題に関する件)
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○委員長(家西悟君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。

○西田まこと君 公明党の西田でございます。
全くテーマは変わりまして、今月の二月の十日に、一年前でございますけれども、預金者保護法が施行されまして、ちょうど一年がたつわけでございます。昨年末ぐらいから起きてきた例えば菓子メーカーの問題あるいは湯沸器のメーカーの問題とか、この安全ということに対する当然の義務を怠った場合には顧客から遠ざけられてしまうということが起きてきておると思うんですね。
これは、安全ということでいえば、お金ということの安全ということについても全く同様であろうというふうに私は思っているわけでございます。特に、金融機関というのは一番大事なそのお金を預かっているところでございます。昨日、金利が引き上げられたといってもまだまだ利息は少ない、にもかかわらず金融機関に預けていくというのは、やっぱりその安全ということが大変重視されている、このように思うわけでございます。
そこで、まず大臣に、預金者保護法施行から一年というのを経過いたしまして、全体として今このお金の安全、預貯金の安全ということについてどのように評価をされているのかということをまずお聞きしたいと思います。その視点としましては、一つはやはり金融機関による被害補償の進捗、また情報セキュリティーに対する対策、あわせて、当然自己責任ということも大事になってきますので、預金者への様々な啓蒙、こうした三つの点を併せまして、全体として法施行から一年たった今のこの時点に立って、どのようにお金の安全が図られているのかということについて評価されるか、御認識をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(山本有二君) この預金者、預貯金者保護法、議員立法であると聞いております。また、本法の起草者のお一人である西田委員がかなりの御尽力されたと聞いております。
この法律につきまして、相当数の偽造・盗難キャッシュカードによる犯罪被害者の方々が金融機関から被害の補償を受けているものと認識しておりまして、この法律というのは預金者、預貯金者保護に大きく貢献しているというように評価をいたしております。
被害者への補償に加えまして、顧客への制度の周知等につきましても、各金融機関及び金融関係団体の理解、協力もございまして、全体として順調に行われているものとまた考えるところでございます。
今後の課題といたしましては、犯罪手口の多様化等を踏まえた情報セキュリティー対策の一層の向上が必要と考えておりますが、こうした点も含めまして、金融庁といたしましては、引き続き各金融機関におきまして預貯金者保護法の適切な運用が行われるよう指導監督してまいりたいと考えております。

○西田まこと君 全体としては確かにこの預貯金者保護法ができることによって随分お金の安全ということが守られてきていると、私もそう思っておるわけでございますが、ただ、課題がないかといえば、またそういうことでもないだろうというふうに思います。
特に、この偽造キャッシュカード又は盗難キャッシュカードによる被害の状況がどうなっているのかということを様々当局としてもおまとめいただいております。その盗難キャッシュカードの方は思ったほどまだ余り被害が減っていないという状況がございます。偽造キャッシュカードの方は随分被害は減ってきているものの、いわゆる大手主要行から中小の地域金融機関へとその被害が広がってきている、移ってきていると、こういうことも言えるんではないかと思うんですね。
そこで、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針というものが改正をされておりまして、この預貯金者保護法の精神にのっとり、この総合的な監督指針、どう改正され、またそれが実施されているのか、これにつきまして御答弁いただきたいと思います。

○政府参考人(佐藤隆文君) ただいま御紹介いただきました監督指針の改正でございますが、まず簡単に経緯を御紹介させていただきますと、金融庁におきましては、ATMをめぐる犯罪が多発してきたといったことを踏まえまして、昨年の三月に警察庁そして各金融機関団体を交えまして情報セキュリティに関する検討会というのを設置したところでございます。ここでは、例えば犯罪手口などの情報を網羅的に収集するとともに、各種セキュリティー対策の有効性を検証するといった作業をやってまいりまして、この作業の成果というものを反映させるということで、本年一月に監督指針の改正を行ったところでございます。
主な改正点でございますけれども、ATMシステム及びインターネットバンキングのセキュリティー対策に関する監督上の着眼点といたしまして、一つには、内部管理態勢でございますが、リスク分析、セキュリティー対策の策定、実施、対策の効果の評価、見直しから成るいわゆるPDCAサイクルがきちんと機能しているかどうかといった点、また二つ目には、セキュリティーの確保について体制の構築の段階、運用の段階、そして被害が発生した段階、それぞれの段階においてリスクを把握した上で、自らの顧客あるいは業務の特性に応じた対策を講じているかどうかといった点、それから第三点目といたしまして、顧客対応でございますが、不正取引に係る損失の補償に関して、預貯金者保護法の趣旨を踏まえ、利用者保護を徹底する観点から、真摯な顧客対応を行う態勢が整備されているか、こういった点を明記しているところでございます。

〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕

中小・地域金融機関におきましては、業界団体が中心となってこうした監督指針の改正の周知徹底を図っていただいているというふうに思っております。

○西田まこと君 今お話しいただきましたとおり、この監督指針が改正されまして、顧客対応と今三番目に言われたところでございますけれども、利用者保護を徹底する観点から、真摯な顧客対応を行う態勢が整備されているかどうかということが盛り込まれているという御答弁でございました。
この利用者保護を徹底する観点というのは、すなわち預金者保護法の立法者意思が十分に尊重され実施されているかどうかということになろうかと思いますが、その点、御確認ですが、いかがでございましょうか。

○政府参考人(佐藤隆文君) 趣旨が徹底されるということが重要であると思います。

○西田まこと君 そういうことになるはずなんですけれども、様々なこの被害補償をめぐって問題が起きてきておりまして、特にこの中小の地域金融機関を相手取ったその被害補償について、裁判所に提出された準備書面等を私もいろいろと読ませていただいておりますけれども、その中には、例えばこんな、ある金融機関でございますけれども、この預金者保護法についてこういう認識が述べられている。この預金者保護法は、預金者保護を過大視する余り、預金者と金融機関との損失の公平な分担の視点を欠いている、近い将来これはもう不正請求、すなわちいわゆる成り済ましのことを言っていると思いますけれども、これが多発していって、この法案は、法律は改正されることを余儀なくされる欠陥立法なんだと、こういうふうに指摘している金融機関があるわけですね。
これは、今の御指摘いただいたような顧客対応をめぐる監督指針ということからすると、預貯金者保護法の立法者意思というものは、全く反するものではないかと私は率直に思うわけですけれども、いかがでございましょうか。

○政府参考人(佐藤隆文君) 預金者等がそれぞれの個人の立場で自ら防犯に努めると、被害に遭うことにならないように努めるということも非常に重要な点だろうとは思います。
ただ、他方で、金融機関の側は安全な預金を提供するということをその業務の中核の一つとしておるわけでございますので、その一環として、業務運営のその一部として預金の安全を守るということは重要な責務であると思います。
また、その財務力の面、あるいはその態勢整備の面、こういった面におきましては、金融機関の側において努めるべき課題も一杯あるわけで、金融機関として果たすべき責務というのは非常に大きいわけでございますので、今御紹介いただきましたようなケース、詳細を承知いたしておりませんけれども、もしそういった御発言が金融機関としての基本的な責務を十分に認識していないということであれば問題であろうかと思います。

○西田まこと君 私も全く同感でございまして、これが正式に準備書面として出されているということで唖然としたわけでございますけれども、この被害、様々、過去被害ということにつきましては、附則がこの本法には付いておりまして、その第二条におきまして、本来、法理論上は、法律が施行されてから適用をされるというのが当然でございますけれども、しかしながら、当然、そういうことにもかかわらず、あえて附則で、その施行前の被害についても最大限の配慮がなされて補償されなければならないということを規定しているわけであります。
それはすなわち、法施行前の被害について救済をしていかなきゃいけないということを立法者の意思として明確にしてきたわけでございまして、この点につきましても、法施行前に起きた事件であるから、先ほどの同様の金融機関がこう言っているわけでありますけれども、この最大限の配慮は裁判規範性を有するものではないと、それはそのとおりだと思いますけれども、最大限の配慮という意味は。
しかしながら、立法者の意思は、過去被害におきましても、施行前の被害においても救済していくべきであると。こういうことである以上は、必ずしも預金者保護法施行前の事案であるから全くその配慮は必要ないんだというのは当たらないと私自身は思うわけで、一般論でございますけれども、この附則に込められました最大限の配慮という立法の意思ということを、これもしっかりと監督する際に考慮すべきではないか、またそのように指導すべきではないかと、このように思いますけれども、いかがでございましょう。

〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕

○政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘いただきましたように、この本法の附則第二条でございますが、「法律の趣旨に照らし、最大限の配慮が行われるものとする。」と、こういう文言が入っておるわけでございます。これを踏まえまして、私どもといたしましても、各金融機関団体に対して、この趣旨を踏まえた適切な対応を取るよう繰り返し要請をしてきているところでございます。
法律上は一定の基準を定めて、直接法律の効果が及ぶ基準というのを定めているわけでございますけれども、その対象外の部分について、これを一切門前払いするというようなことではなくて、とにかくまずはその被害の実態をよく被害者の方から伺った上で、その同条に値するものであるのかどうか、その辺を十分に吟味した上で対応していくということが重要であろうかと思います。

○西田まこと君 金融機関の方からすると、こうした預金者保護法、一年しか施行してたってもおりませんので、これからより浸透して、まだ知らない人も随分多いかと思いますけれども、これが浸透していけば被害補償がなされると同時に、いわゆる成り済ましも増えてくるんではないかということを大変に懸念をされているわけでございまして、ここで、今日は警察庁の方にもお越しいただいておりますが、この一年間でいわゆる成り済ましの犯罪というものがどういう案件があったのか、御紹介いただけますでしょうか。

○政府参考人(縄田修君) 私どもといたしましては、預金者保護法の補償制度を悪用した詐欺事件、これはすべて警察庁の方に報告がなされているわけではございませんが、報告があったもので見れば、昨年十月に埼玉県で幾つかの銀行を対象にいたしまして、五名ですが、検挙被疑者五名になりますけれども、五名の者が順次共謀をいたしまして二百数十万の現金を詐取したという事件につきまして検挙した事例がございます。

○西田まこと君 実際に成り済ましということは、そもそも立法の過程でも随分と議論がなされました。そのことを防ぐためにどうするのかということもあえて条文の中にも入れて、捜査当局への申出、あるいは金融機関から問われた場合には十分な説明をしなければならないということも規定しているわけでございまして、そうしたこともあってか、まだ今のところは成り済ましはほんの数件ということの今御報告がございました。
この過去被害、また施行後の被害の補償に関する様々なトラブルということについて、一番多いのは実は、捜査当局への届出というのを前提とした補償という組立てになっているものですから、警察に届ける場合に、それが盗難届なのか紛失届なのかということによってその後の金融機関との交渉の妨げになるというケースが実は多く私のところにも届いてきております。
そこで、もう一度この法律を確認させていただきますと、この法律の中には、盗難、第五条の三号でございますけれども、この「当該金融機関に対し、捜査機関に対して当該盗取に係る届出を提出していることを申し出たこと」ということが前提となっているわけでございます。ここで言う「当該盗取に係る届出」というのは、必ずしもこの解釈としては盗難届のことを言っているのではないんだろうというふうに私は理解をしております。
実際にすりとかに遭った場合には、本人は盗難に遭ったのか紛失をしたのかということの峻別ができないわけでございますので、そういう意味でも、これは余りかたくなに、捜査当局のところで盗難届ではなくて紛失届にしたからそれを今回のこの法律の適用を受けられないと、適用除外にすべてなるんだと、こういうことに運用としてあってはいけないんではないかと、このように法を素直に解釈すれば理解いたしますけれども、金融当局としてはいかがでございましょうか。

○政府参考人(佐藤隆文君) 御紹介いただきましたようなケースというのは、やはりまず何よりも、その実態が盗難に該当するのか、偽造に該当するのか、あるいは紛失であるのかといった点について、実態をよく確認するということが一番重要であろうかと思います。そういう意味では、個別のその事例について私どもが直接どうこう申し上げるのは困難でございますけれども、一般論として、そういう事実確認をきちんとやる、そういうことを重視した運用というものが重要ではないかなというふうに一般的には存じます。

○西田まこと君 金融機関の方からは、この被害補償に当たりまして、その可否を判断するときには捜査当局との協力というのが大変に大事であるというふうに言われているわけでございまして、特に、なるべく迅速に金融機関が対応しようと、補償に関して対応しようとしても、捜査当局からまたその協力がなかなか得られない場合があると。例えば、防犯ビデオがいったん押収されてしまって、実際に被害補償の可否を判断する際に重要な情報が得られずその対応が遅れてしまうと、こんなような声も金融機関から上がってきているわけでございます。
捜査当局といたしましては、様々な情報の交換とか連絡等を通じてこれは是非とも迅速にその補償に当たるということで一致協力していただきたいと、またその情報の共有を更に図っていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○政府参考人(縄田修君) しっかり協力せよということでございますが、捜査の遂行中といいますか捜査中につきましては、いろいろな証拠品あるいは関係者の供述等につきましては公にできないということにはなってはございますが、ただ、その銀行、金融機関との関係で申しますと、捜査に支障のない範囲でいろいろな情報交換、これを行っていくことが必要でありますし、先ほどのビデオのテープ等々もございましたけれども、これを保管するといいますか、押収はいたしましてもこれを保管する措置も必要によっては、場合によっては可能でもあろうかと思います。できる限り努力をさせて連携を密にしながら、実態の把握といいますか、被害届を出した者の状況につきましては把握をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。

○西田まこと君 あと残りは、この附帯決議に、これは与野党一致して出されたものでございますけれども、附帯決議の中に幾つか今後の課題として挙げられていることがございます。
この現状を確認していきたいと思いますけれども、一つには、やっぱりこの盗難通帳に関する扱いでございまして、その盗難通帳による被害をいかに防止していくのか、またその盗難通帳による被害を受ける預貯金者に対する保護の在り方についても検討していかなければならないと、このように附帯決議には第一番目に書かれているわけでございます。
この盗難通帳への扱い、元々この偽造キャッシュカードとか盗難キャッシュカードの以前から盗難通帳の被害の方が圧倒的に多かったわけでございまして、その後も被害額としては大変に大きな額になっているわけでございます。また、機械式取引の方がかなり犯罪を防ぐために上限を引き下げたりしていくこともあって、窓口取引も含めた非ATMの取引というものが今後増えてくる、そこに犯罪者がねらいを定めてくるということも十分に考えられるわけでございます。
前回もちょっと大臣にお聞きしました盗難通帳に関する保護ということについては、一昨年に福岡地裁で判決も出まして、金融機関に対する本人確認の不徹底ということから支払、補償を命ずるという判決もあったわけでございます。
今後、この盗難通帳に関しまして、やはりお金の安全ということを考えていくと、これはやはり十分に検討しなければならないんじゃないかと私自身は思っておりますが、大臣から御答弁をお願いできればと思いますが。

○政府参考人(佐藤隆文君) 盗難通帳に関する被害の現状についてまずちょっと御紹介させていただきますが、件数といたしましては、平成十五年四—六月の三か月で二百四十四件というのがございまして、これがピークでございましたが、それ以降減少傾向にございまして、平成十八年の各四半期におきましては平均して四十件台というところで推移しているということでございます。
これの要因といたしましては、ほとんどの金融機関で副印鑑制度というのを廃止したということもありましょうし、また窓口での本人確認手続が厳格化してきたといったことも考えられようかと思います。
このうち、その補償状況でございますけれども、既に金融機関の対応方針を決定したものを取ってみますと、盗難通帳でおおむね二割が補償されていると。個別には様々な事情があり、様々な原因があるということだろうと思いますけれども、そういった状況でございまして、まずはこの盗難通帳による被害が生じないような対応をしっかりやっていくということが重要であろうかというふうに思っております。

○西田まこと君 これについてはしっかりとした本人確認がなされていないケースも随分散見されておりまして、例えばマンション名が間違っているのにそのまま払い出してしまったというようなケースも実際にありますので、ここはしっかりとその徹底をしていただきたいと、また本人確認が十分でない場合には補償についてもしっかり取り組んでもらいたいというふうに申し上げたいと思います。
附帯決議の二番目には、インターネットバンキングに係る犯罪ということが述べられております。手短にお聞きしますが、ネットバンキングに係る犯罪について、その実態の把握を今金融庁としてはどこまでなさっておられるのか、またその防止策、預貯金者等の保護の在り方についてどう検討を進めているのかということについてお聞きしたいと思います。

○政府参考人(佐藤隆文君) まず、インターネットバンキングに関します被害状況でございますけれども、平成十七年四月以降、各四半期ごとにとらえてみますと、四半期で二件ないし十七件ということで、なくなってはおらないわけでございますけれども、件数としてはその程度の件数で推移をし、まあ横ばいといったような状況になっているということでございます。これの補償状況でございますけれども、おおむね五割程度が補償されているというふうに聞いております。
インターネットバンキングにつきましては、金融機関の側もこのシステムの堅牢性の増強ということで技術的な対応等を講じるといったようなことはそれぞれ努力をしているというふうに承知をいたしておりますけれども、なお課題があるとすれば、そういったものについても取組を続けていくということが重要であろうかと思います。

○西田まこと君 今言われた数字は多分全銀協の方が調べた数字を言っているのであって、ほかの業態についてはまだ調べてないと、今月中にまとめるというふうにたしか確認をしていたんですけれども、最後そこだけ確認して、終わりたいと思います。

○政府参考人(佐藤隆文君) 今月中をめどにまとめていきたいというふうに思います。

○西田まこと君 終わります。

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