204-参-憲法審査会-001号 2021年04月28日


2021年9月18日

○西田実仁君 久方ぶりにこの憲法審査会が開催されました。林会長、与野党の代表幹事を始め各会派の御尽力に感謝申し上げたいと思います。
 まず、憲法に対する考え方について述べさせていただきます。
 二院制についてです。
 日本国憲法の特徴の一つは、衆参の国会の位置付けだと考えます。参議院は、予算の議決などごく一部を除いて衆議院と同様の権能を有しております。憲法上の権能に加えて、法律上においても、臨時会、特別会の会期及び国会の会期の延長の決定を除いて、参議院には衆議院と同様の権能を与えております。
 さらに、二院制を取る国においても珍しい、参議院の緊急集会が設定されております。衆議院が解散して不存在の場合でも、国会の権能を代行させるために、憲法五十四条において参議院の緊急集会を定めております。もちろん、参議院の緊急集会には後に失効の可能性があるとはいえ、参議院単独でも国会の権能を行使することができる意味は大きいと思います。
 それが可能なのは、参議院が衆議院と同様に全国民の代表だからであります。それゆえ、参議院の選挙制度においても、憲法が求める投票価値の平等を追求することは当然のことであります。昨年の最高裁の合憲判決も、投票価値の平等を追求する参議院の更なる改革姿勢を前提としたものであることは、今後、選挙制度を議論する場でも強調してまいりたいと思います。
 ここで、現在衆議院において議論されております国民投票法改正案についての我が党の考え方も確認しておきたいと思います。
 現在国会に提出されております投票環境向上のための国民投票法改正案は、与野党の間でも大きな異論はないものと認識しており、早期の成立を図るべきと考えます。
 その上で、政党等による国民投票運動期間中のテレビ、ラジオやインターネットを含む有料広告規制については、表現の自由と国民の知る権利をできる限り尊重すべきである一方、国民投票運動の公正公平の確保という観点も踏まえて議論をしていくべきであると考えます。
 コロナ禍と憲法について考察をしたいと思います。
 今はコロナ克服のために思い切った財政支出が必要なことは言うまでもありませんが、将来世代のために財政規律にどのような責任を果たしていくべきかについても、いずれ真剣に議論されなければならないとも考えます。
 憲法九十一条には、「内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一回、国の財政状況について報告しなければならない。」と定めております。財政状況の報告が、国会のみならず、国民に対しても報告することが求められているのは、国民主権への配慮であると解されております。国民への財政状況の報告は、単なる報告にとどまらず、その趣旨は、主権者たる国民に財政の状況に対する認識を深めてもらうことにあるはずであります。
 その意味から、私は、国会に、できれば参議院に、行政府から独立した将来推計をする財政機関を置くべきであると考えております。今から八年前に、ここにおられる林会長を中心者に、超党派で、国会に独立将来推計機関の設置をとの共同提言を取りまとめました。ただ、憲法九十一条には、国民に財政状況を報告する主体として内閣を置いている中、なぜ国会に独立した財政機関を置くことが可能なのか。この論点については、独立財政機関の任務が予算、法律の審議、議決のために有益な情報を得ることにあると見るならば、憲法四十一条の立法権、八十三条の財政処理権、あるいは予算議決権に含まれ、ひいては国権の最高機関性を根拠にして国会の所管とすることも可能との学説がございます。
 諸外国においては、既に二十六か国において独立財政機関を設置しております。財政規律を図る手段として、行政府から独立して財政の将来に関する調査分析を行い、財政の持続可能性や財政リスクの評価を行う必要性が認識されているからでありましょう。
 これまで私は、行政監視の視点からこうした独立財政機関の必要性を認識してきてまいりましたが、最近の専門家の研究では、九十一条など憲法規定を根拠に独立財政機関の必要性を説く学説が見られるようになっております。すなわち、佐藤幸治「日本国憲法論」第二版、昨年九月でありましては、諸外国において独立財政機関をつくって財政規律を図ることに真剣に対処しようとする動きをしてきた上で、国民への財政状況報告が主権者たる国民の状況認識を深める意味を持つためには、日本でも早急にこうした試みに取り組む必要があろうと勧めております。
 経済同友会におきましても、憲法六十条の国会における予算議決権を根拠に、国民に対する説明責任を果たすべきとして、行政府とは異なる角度からの予算の内訳や経済前提の検証を行う予算の審議機能を強化する重要性を指摘しております。
 そして、その機能を担うべきは参議院と提起しております。すなわち、参議院は、内閣に対する信任を決議する責務を負わないという意味で議院内閣制と一線を画しており、また、六年の任期が保障されるなどから、独立財政機関は参議院に設置することが望ましいとしております。PHPの統合機構改革研究会においても同様に、参議院に設置すべきとしております。
 あくまで私見ではありますが、参議院に期待される役割の一つとして、憲法にその根拠を見出すことができる独立財政機関を参議院に設置し、財政の持続可能性、また財政リスクの評価する機能を挙げておきたいと思います。
 今後の議論の深化を求めていきたいと思います。
 以上です。

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