196-参-憲法審査会-001号 2018年02月21日


2018年2月21日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 日本国憲法において、参議院は、予算の議決等ごく一部を除いて衆議院と同様の権能を有しております。法律上の権限もまた同様に、衆議院の優越を定めているのは臨時会、特別会の会期及び国会の会期の延長の決定ぐらいのものであり、ほとんど同様とされております。
 さらに、衆議院が解散して衆議院不存在の場合でも、国会の機能を代行させるために参議院の緊急集会、憲法五十四条を定めております。これは、上下両院の二院制を取る諸外国の中でも極めて珍しい制度と言われます。その誕生には、日本国憲法の制定過程において、日本政府側の発意と強い要請があったことは記憶されるべきであります。
 当初、内閣の閣令で対応すべきとされましたが、やはり全国民の代表である国会の関与が不可欠ということから却下。参議院の緊急集会は、国会を召集できない場合に、本来ならば議会の議決を要する緊急の案件が生じたときに行政府限りでの措置を認める方法を取らず、立法府を尊重しながら対処しようという制度として確立しました。
 参議院の緊急集会は、後に失効の可能性があるとはいえ、参議院単独で国会の権能を行使することができることを意味します。それが可能なのは、参議院も衆議院と同様に、憲法四十三条第一項で定める全国民の代表だからであります。全国民の代表という点において衆参両院が共に同質のものとして単一の国会を構成しているからこそ衆議院の不存在の場合でも国会の権能を行使できるのであります。衆議院と同様、参議院の選挙制度においても投票価値の平等が求められるゆえんであります。
 もちろん、参議院には、最高裁もいうように、憲法上、三年ごとの議員の半数を改選することとされていることなど、議員定数の配分に当たり考慮を要する固有の要素があることは踏まえなければなりません。しかし、それはあくまでも民意が適切に反映されるよう投票価値の平等の要請に十分に配慮してからのことであります。
 参議院が全国民の代表であることにいささかでも疑念を持たれるのであれば、衆議院との関係において大幅な権限の見直しが迫られてまいります。そして、我が党は、参議院の影響力を弱める改革には賛同し難いと、二〇〇四年、党としてまとめていることも付言させていただきたいと思います。
 過去、参議院の緊急集会は二回開催されました。昭和二十七年八月三十一日と、昭和二十八年三月十八日から二十日までの二回であります。いずれも吉田茂内閣のときであり、国会が混乱する中、とりわけ衆議院の与党内の対立が激しくなる中、抜き打ち解散、ばかやろう解散などと称される衆院の解散の後に参議院の緊急集会が召集されております。
 驚くべきことに、例えば予算については、憲法六十条第一項において、「予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。」と衆議院の先議権が定められているものの、昭和二十八年三月に召集された緊急集会では、昭和二十八年度一般会計暫定予算、特別会計暫定予算、政府関係機関暫定予算が予算委員会において審議され、多数をもって可決、成立しております。この参議院の議決後に、召集された衆議院が同意をして暫定予算が執行されております。
 また、先例はいまだないものの、防衛出動の承認についても、自衛隊法第七十六条第一項で国会の承認を得てと定めており、この国会の承認には、衆議院が解散されているときは日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認とされております。さらに、災害対策基本法においても、新型インフルエンザ等対策特別措置法においても、参議院の緊急集会の議決のみで内閣が制定した緊急措置の政令を執行させることができるようになっております。
 こうした重みを持つ参議院の緊急集会を定める憲法五十四条については、これまで余り脚光が当たることがなく、先行研究も限られていると言われます。しかし、内外の安全保障環境が厳しさを増す中、衆議院解散・総選挙のように、あってはならない大規模自然災害や軍事衝突などの万が一の緊急事態に国会がいかに対応するかについて考えるとき、参議院の緊急集会の開催の要件やその手続、権能や効果などについて更に議論を深めていく必要があるのではないかと思います。
 以上でございます。

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