197-参-予算委員会-001号 2018年11月05日


2019年3月20日

○西田実仁君 今年は大変大きな自然災害が相次ぎました。犠牲になられた方々に心からの哀悼の意を表するとともに、今もなお不自由な生活を余儀なくされている方々にお見舞いを申し上げます。
 今回のこの補正予算がそうした被災された方々にどのように届けられるのか、復興復旧にどう役立ち、また何が課題があるのか、こうしたことにつきましてはこの後の同僚の若松議員から質問させていただきます。
 私からは、特にエアコンの設置について質問させていただきます。
 この夏、災害とまで言われました異常な暑さの緊急対策として、来年の夏までに全国の公立小中学校の普通教室にエアコンを設置するために地方負担を思い切って軽減する措置がとられていることは高く評価をしたいと思います。
 これまで、各地方議会におきまして、公明党の議員が先頭に立ってエアコンの設置を推進してまいりましたけれども、限られた予算であります、なかなか思うように設置できないこともございました。しかし、今回は全国の小中学校の全ての普通教室にエアコンを設置できる予算を確保いただいておりまして、地元からも多くのお問合せをいただいております。そんな中、何とか資金をやりくりして既に小中学校の普通教室にエアコンを設置した自治体からは、次は是非体育館に設置をしたいと、こういう声も届けられております。
 今回の特例交付金は、公立小中学校の普通教室のみが対象ではなく、特別教室や体育館、そして幼稚園や特別支援学校なども補助対象から外れているわけではありませんけれども、やはり小中学校の普通教室が優先されることになろうかと思います。ちなみに、災害時には避難所となります体育館、これへのエアコン設置は全国平均で一・四%と伺っております。やはり災害時には調理ができる調理室等の特別教室へのエアコン設置もまた大きな課題であります。
 そこで、まず文科大臣にお聞きしたいと思います。
 先行して小中学校の普通教室に既にエアコンを設置した自治体が体育館あるいは調理室などの特別教室にエアコン設置を要望している場合、仮に今回の特例交付金では手当てをされなかったとしても、通常の交付金の採択にあっては何らかの配慮をすべきではないかと考えます。今後の学校施設環境改善交付金の採択方針についてお伺いいたします。

○国務大臣(柴山昌彦君) お尋ねの件でございますけれども、今般の補正予算につきましては、児童生徒の日々の学習に際して、熱中症を予防し、安全を確保するという観点から、空調設置に取り組む場合、まずは児童生徒が最も長時間を過ごす普通教室への設置が最優先というようにしております。その上で、今お尋ねの特別教室への空調設置につきましては、今般の補正予算の執行状況も勘案しつつ、各自治体からの要望も踏まえながら、今後状況を見極めて考えていきたいと考えております。
 なお、今般の補正予算において、通常の学校施設環境改善交付金とは区分して臨時特例的な措置として新たな交付金を創設をしておりますので、こうしたことも踏まえつつ、今後検討を是非させていただきたいと考えております。

○西田実仁君 今後、そうした特別教室のみならず体育館についても是非手当てをお願いしたいと思います。
 この文科省所管の、しかし、交付金もやはり限られておりますので、自治体の持ち出しを抑えて小中学校や自治体の体育館にもエアコンを設置できる仕組みの活用も考えていくべきであると思います。
 余りまだ知られていないようですけれども、総務省が所管をいたします緊急防災・減災事業債、略して緊防債というふうに言うようでありますけれども、これもその一つではないかと思います。この緊防債を使って自治体が小中学校の体育館にエアコンを設置することは可能でしょうか。その際、自治体の実質的な負担は幾らか、実際にまたこの緊防債を活用して小中学校の体育館に空調を設置した市町村数は幾らあるのか、総務大臣にお伺いします。

○国務大臣(石田真敏君) お答えさせていただきます。
 緊急防災・減災事業債は、緊急に即効性のある防災・減災のための地方単独事業を対象といたしております。避難所の指定を受けている小中学校の体育館において、避難者の生活環境の改善のため空調設備を整備することは本事業債で活用いただけることになっております。
 普通交付税の交付団体における実質的な負担は元利償還金の三〇%となっておりまして、二十九年度におきまして本事業債を活用して小中学校の体育館に空調設備を整備した市町村数は五団体でございます。
 以上でございます。

○西田実仁君 今大臣から御説明ございましたように、自治体の実質的な負担は三割ということであります。今回の文科省の特例交付金においては二六・七%であろうかと思いますので、そんなに遜色がないわけでございますので、自治体のそういう意味では持ち出しをできるだけ抑えて、いち早く小中学校等の体育館にエアコンを設置したいという場合であれば、これも十分に活用できるんではないかと思います。
 しかし、今大臣からお話ありましたように、このスキームを活用して小中学校の体育館にエアコンを設置した市町村数は僅かまだ五しかないというお話でございました。この緊防債の事業はたしか平成二十九年度から平成三十二年度までの事業に限られたものであり、今年度の予算としては一応五千億円を計上しているというふうに承知してございます。そういう意味ではまだまだ活用の余地は大きいんではないかというふうに思いますので、その周知と、また使い勝手をもっと良くしていくなどの工夫が必要ではないかと思いますが、総務大臣、いかがでございましょうか。

○国務大臣(石田真敏君) 御指摘いただきましたように、緊急防災・減災事業債については、東日本大震災に係る復興・創生期間である平成三十二年度まで継続することといたしておりまして、三十年度では地方債計画において五千億円計上をいたしております。
 議員御指摘のように、今後、自治体が積極的に取り組んでいただけるように、様々な機会を通じて周知を図ってまいりたいと思っております。
 以上でございます。

○西田実仁君 総理は、第四次安倍内閣の発足に当たりまして、最重要項目として防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を三年間で集中的に実施すると述べられました。政府としては、重要インフラの緊急点検を実施し、十一月末をめどにまとめる結果を踏まえて、災害時にしっかりとライフラインが維持されるよう対策に取り組んでいくことは非常に大事であると私も思います。
 そこで、総理にまずお聞きしたいと思いますが、このインフラの総点検の結果を踏まえ、緊急対策に取り組むに当たっては、関係機関がしっかりと実施できるよう財源を確保することが必要でありますし、またさらに他地域へのしわ寄せが起こらないように通常予算とは異なる別枠予算で対応することが重要と考えますけれども、御認識を伺います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ただいま委員が御指摘になったように、政府としては、現在進めているインフラの総点検の結果などを踏まえて、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を年内に取りまとめ、三年間で集中的に実施していくこととしております。こうした対策の実施に当たり、予算面では、消費税対応に係る二〇一九年度及び二〇二〇年度に講じる臨時特別の措置を活用してまいりたいと考えております。

○西田実仁君 今総理が活用すると言われました消費税対応に係る二〇一九、二〇二〇年度に講じる臨時特別の措置というのは、骨太方針二〇一八において、歳出改革の取組を継続するとの方針とは別枠の特別枠として設定をされていると承知しております。すなわち、今御指摘いただいた三年間の集中実施は、通常予算とは異なる別枠予算で対応するという意味ではないかというふうに理解をさせていただきたいと思います。
 この防災・減災のために実施すべき対策につきましては、用地確保あるいは家屋の集落の移転等々、三年で必ずしも実施できるものばかりではないのは当然であります。(資料提示)パネルを見ていただきますとお分かりのように、諸外国におきましては、この社会資本整備において、アメリカでもイギリスでも、ドイツ、カナダ、イタリア、それぞれ向こう五年とかあるいは向こう十五年等々の期限の中で、その投資額総額を明示した上で社会資本を整備してございます。
 したがって、我が国におきましても、例えば十五年程度の中長期的な目標と、この目標に係る事業内容及び事業総額を明らかにして、そこにこの三年間を位置付けていくべきではないかと、こう考えますけれども、総理の御認識はいかがでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のありましたように、これは、政府として今進めております、現在進めておりますインフラの総点検の結果というものを踏まえまして、防災・減災、国土強靱化等々、いわゆる緊急対応というものを年内に取りまとめて、三年間という形で集中的に実施していくということにいたしております。
 今後、中長期的にどのような計画的な防災・減災対策というのを進めていくかにつきましては、そうした点検の結果を踏まえまして、私どもとしては、三年間で集中的に講じる対策の内容というものを踏まえながらこれから検討してまいらねばならぬと思っておりますので、大事なところだと思っております。

○西田実仁君 総理は、所信表明でもこれからの三年間のお話をされました。私は、これからの三年間、日本の景気には四つの壁があるのではないかというふうに思っております。パネルに書かせていただきましたが、これからの三年の間に、一つは消費税の一〇%引上げ、そして通商摩擦、さらには金融の出口戦略に五輪需要の反動減と、この四つの壁を、これからの三年間、日本の景気の前に立ちはだかっているものをどう乗り越えていくかという課題があると思います。
 これら四つのそれぞれの壁は、日本のGDPを〇・五%程度押し下げる、そういう可能性がありまして、手をこまねいておりますと、現在三%近くにある日本の経済も、潜在成長率である一・一%を下回って再び低成長に戻りかねないと、こういう懸念を持っております。今、防災・減災・国土強靱化対策について、先進諸外国がそうであるように、経済成長を支えるという、そういう視点からも対応していく必要があると思っております。
 この㈬の東京五輪の需要反動減というのは、逆にその特需は、日銀とかシンクタンクとか、あるいは東京都が試算しておりますように、約三十兆円程度あるというふうに見込まれております。そのピークは今年でありまして、日銀の試算によれば、建設関連投資は、本年は三兆二千億、そして明年は二兆円強、二〇二〇年には一兆円を切り、二〇二一年には約二千億円程度になると、こう見込まれているわけであります。五輪後のこの四番目の需要反動減への対応のためにも、我が党が唱える防災・減災ニューディールという視点から、計画的な社会資本整備が必要であるということは指摘しておきたいと思います。
 その上で、総理にお聞きしたいのは、この東京五輪需要の反動減対策についても、今総理が度々おっしゃっておられる消費税の増税対策と同様、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応すると、このように考えてよいのか、お伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催前後で需要の変動が生じることが懸念されるとの問題意識は共有しております。今後、過去の開催国における事例も参考にしつつ、経済の動向をよく注視し、政策運営に万全を期してまいりたいと思います。
 いずれにせよ、重要なことは、こうした需要の変動を乗り越えて、我が国経済が安定的で力強い成長を持続するための基盤を構築することだと思います。インバウンドを継続的に拡大をさせ、成長あふれるアジアの中間層を取り込むとともに、ソサエティー五・〇の社会実装を含む波及効果の大きい投資プロジェクトを計画的に実施していく考えでございます。

○西田実仁君 四つの壁の一つである消費税引上げへの対策を聞きたいと思います。
 私どもは、全世代型の社会保障のためには消費税の御負担をお願いすることはやむを得ない、避けられないと考えております。しかし、消費税は所得の厳しい世帯ほど負担が重い逆進性があり、かつ買物をするたびに痛税感がある、そういう欠点を補っていくためには、せめて飲むものや食べ物には軽減税率、消費税を重くしてほしくないと、こういう声に応えて軽減税率を導入を訴えてまいりました。
 グラフを見ていただきたいと思います。
 このグラフは、前回の消費税八%への引上げ前の十年間のエンゲル係数、すなわち消費支出に占める食料品の支出の割合ですけれども、この青い棒グラフが八%に上がる前の十年間の変化幅です。そして、赤い棒グラフは、消費税が八%に上がってからの数年間でのエンゲル係数の割合の変化幅であります。
 これを見て明らかなように、消費税が八%に上がる前はほとんど変化していない、エンゲル係数は変わっていない。しかし、消費税が上がった後には、エンゲル係数は特に所得の少ない世帯ほど急上昇しているということであります。
 これは、私どもが考えるには、八%への消費税引上げの際に食料品への軽減税率を導入しなかった結果、消費税が上がっても食費は削りにくい、そのために元々エンゲル係数が高い所得層のエンゲル係数が更に上昇して逆進性が加速したと、こういうふうに見えると思います。
 そこで、今回は飲食料品に軽減税率を導入することによって、じゃ、どのぐらい負担が軽減したのかを次のパネルでお示しをしたいと思います。
 来年十月、飲食料品に軽減税率を導入することで、この負担の軽減率というものを所得の少ない方から多い方に順番で並べました。一目瞭然でございまして、やはり所得の少ない方ほど、世帯ほど負担軽減率は大きいと、これ、家計調査で、飲食料品を軽減した場合にどう負担が減るのかということを私自身が試算したものでございます。
 そこで、総理には、消費税率を一〇%へと引き上げる際に飲食料品に軽減税率を導入した理由を改めてお聞きしたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 軽減税率制度は、ほぼ全ての人が毎日購入している飲食料品等の税率を八%に据え置くことによって、買物の都度痛税感の緩和を実感できることとともに、今大変分かりやすい図表で示していただいたと、こう思いますが、低所得者ほど収入に占める消費税負担の割合が高いという、いわゆる消費税の逆進性を緩和できるという利点があり、低所得者に配慮する観点から実施することといたしました。
 今後とも、来年十月に予定されている軽減税率制度の円滑な実施に向け、着実に準備を進めてまいりたいと思います。

○西田実仁君 軽減税率におけるイートイン、テークアウトの取扱いについて確認したいと思います。
 イートインか持ち帰りかを店頭で確認をする、そうすると、一々確認していると大変に手間、レジ前に列ができてしまうと、こういう、あるいは混乱を招くことにならないのか。
 国税庁のQアンドAによってイラスト化してみました。
 コンビニやスーパーでは、その店頭にイートインコーナーを利用する場合はお申し出くださいと、こういうふうに張り紙をしていればレジ前で口頭による確認ということは必要はなく、客からの申出がない限りこの飲食料品は全て軽減税率扱いと、こういうふうに整理しておられると思いますけれども、改めて確認したいと思います。
 また、あわせて、日本と同様、外食を線引きして外しておりますドイツやイギリスにおいては、そうしたことで混乱が生じて、軽減税率はもうやめようじゃないかと、こういう動きになっているのかどうか、これをお聞きしたいと思います。

○副大臣(鈴木馨祐君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のいわゆる飲食設備がある小売店でございますけれども、その場における意思確認については、御指摘のように、営業形態に応じまして、店頭にイートインコーナーを利用する場合はお申し出ください等の張り紙をした場合には全ての顧客に質問する必要はなく、顧客からの申出がなければ軽減税率で販売することとして問題がないということとしております。
 そして、併せて御質問ございました欧州諸国の事例でございますけれども、イギリスあるいはドイツ等におきまして、適用税率の線引きの問題が取り上げられる、そういったこともありましたけれども、現時点、現在においては、それを乗り越えて既に制度として定着をして円滑に運用していると承知しております。

○西田実仁君 次に、軽減税率対策補助金の拡充強化についてお聞きしたいと思います。
 今、レジとかシステム改修にこれが充てられております。これを拡充強化して、例えば軽減税率の対象商品を扱っていない小売店に対してもキャッシュレス化など多様な決済方式に対応できる端末機器の導入支援をすべきではないか、経産大臣にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(世耕弘成君) まさにもう今措置をされている軽減税率対策補助金というのは、これは軽減税率を導入するに当たってのレジの改修等を補助するものでありますから、複数税率に対応したレジを導入をしていくことが前提になろうかと思います。
 これから来年度予算に向けて議論が行われていく、いわゆる消費税が一〇%に上がることによるこの平準化対策の補助金というのは、これはまさに複数税率のレジとは全くこれ別のものでありますので、当然、軽減税率が対象でないお店も導入できるような形にしていく必要があるだろうというふうに思っています。

○西田実仁君 このキャッシュレス化の文脈でお伺いしますけれども、こういうモバイル決済の普及していくには、今既にアリペイ対応済みの事業者に対しても、それが国産決済対応にするための支援とか、あるいはキャッシュレスという点では医療機関もその対象に加えていくような形で、いわゆるデジタルファーストを推進していく交付金に改めて衣替えしていく必要もあるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(世耕弘成君) このキャッシュレス対応というのは随分ちょっと誤解がありまして、例えばそのキャッシュレスをやるためには何か特別なレジを入れなければいけないんじゃないかというような話があるんですが、これもう今、スマホで十分、お店の側もスマホでできるんですね。スマホでQRコードが出たり認識できればそれで対応できますし、あるいはクレジットカードであっても、スマホのコネクターのところにこのカードリーダー差せばそのままカードを読めて、そしてそのスマホの画面に指でサインをすればクレジットカード決済終わるという形ですから、非常に簡単にできるようになっています。
 あるいは、手数料が高い。これはクレジットカードは実際高いので、これから業界とよくお話をしていかなければいけないと思っていますが、一方で、今いろんな、そのQRコードによる支払なんかは、もう銀行口座と直結をしているともう手数料は一%以下というケースも出てきているわけであります。こういった多様な選択肢をいろいろとお示しをして支援をしていくということがこれからキャッシュレス導入で非常に重要だと思います。
 そしてまた、使える先を増やすというのも重要だと思います。医療機関は残念ながら消費税とは関係はないということになるんですけれども、今、医療機関でも、大学病院などを中心にクレジットカードを使えるところ増えてきていますから、そういった使えるシーンというのも増やしていくということは非常に重要だと考えております。

○西田実仁君 四つの壁のうちの通商摩擦、特に米中の通商摩擦が世界経済にどう影響していくのか、IMFからの試算が出ておりまして、日本のGDPへのマイナス効果、現状にとどまれば〇・一%ぐらいなんですけれども、自動車関税等に及びますと〇・三%、そして投資減退に更に及ぶと〇・四%、金融市場もそれによって混乱すれば〇・七%の下押し効果があるということであります。
 こうした激化する通商摩擦の中、米中それぞれ貿易の仕向け先を既に組み替えております。中国は豪州やアジアに輸出をシフトしたり、輸入はカナダから急増しております。また、米国も輸出入共にアジアと欧州にシフトをしつつあります。日本もまた、今後この貿易構造の組替えを急ぐ必要があるのではないかという問題意識でございます。
 日本の輸入額を見ると、米国、中国からの輸入合計と日本を除くTPP10、また対EUの輸入合計はほぼ四兆ドルと一致してございますし、今後、TPPに加盟したい国も出てきているようであります。
 こうした激化する米中通商摩擦に対応していくために、日本も対米貿易黒字の削減と同時に、貿易の仕向け先やサプライチェーン、あるいは海外投資ネットワークなど、貿易構造の組替えを急いでいくべきではないかと考えます。日欧EPAの早期発効やTPP11の拡大への取組、あるいはインド太平洋戦略の推進、RCEPなどにより、この米中通商摩擦による日本経済への影響を極力回避していく方策について総理にお聞きしたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 米中の貿易摩擦は、世界中に張り巡らされたサプライチェーンの網の目の中で、当事国以外にも予期しない悪影響をもたらす可能性があることは議員御指摘のとおりであろうと思います。
 具体的に、どの国、地域との間で貿易、投資を行い、どのようなサプライチェーンを形成するかはあくまで企業の経営判断であります。アジア太平洋地域を始め、グローバルにビジネスが展開される時代にあっては、政府としては、日本企業による最適なサプライチェーンが構築できるようにしていく、構築に資するように、TPPの年内発効が確定しましたが、その更なる拡大、例えば英国なんかも大変興味を示しているわけでございまして、このTPPが拡大をしていく可能性は十分にあるんだろうなと、こう思っております。
 また、欧州とのEPA、さらにはRCEPなど、引き続き自由で公正な経済圏を世界に広げていくために、日本は主導的な役割を果たしていく考えであります。

○西田実仁君 四つの壁のうちのこの金融の出口戦略についてお聞きしたいと思います。
 総理は、九月十四日の日本記者クラブの会見で、金融緩和の出口の道筋について、私の任期のうちにやり遂げたいと、こう表明をされました。既にアメリカはFRBが資産の削減を開始しており、欧州も中央銀行の資産買入れ額を減らし始めております。主要各国は出口政策を始めており、世界の通貨供給量は鈍化しています。世界的な金融の量的緩和から十年、出口政策で世界景気の減速が始まることは覚悟しなければならないのかもしれません。
 通商政策には為替政策が絡むことは否定し切れず、それは金融政策へと連なっていきます。金融の出口政策の早期策定が必要なことは言うまでもありませんが、景気や市場への影響に配慮して、無理のない計画策定が課題であります。
 米国では、二〇一七年十月にFRBが資産の圧縮を始めた直後の十二月に、二〇一七年税制改革法にトランプ大統領が署名をしております。金融の出口政策に伴う金融面でのデフレ効果に対して、大規模な減税と大型のインフラ投資による財政出動で景気を下支えしようという、そういう政策だと理解しております。その結果、米国経済は景気拡大が今、百十三か月目を迎えております。
 総理が、金融緩和の出口の道筋について、私の任期のうちにやり遂げたいと表明されました。もちろん、その時期と手法は黒田日銀総裁に委ねられるべきでありますけれども、一足先に出口政策を開始した米国の先例は参考になるのではないかと思っております。金融の出口政策の早期策定と万全な準備についてお伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 九月十四日の会見における私の発言は、政権交代以降、デフレ脱却に挑み続けた結果、デフレではないという状況をつくり出すことはできました。その中で、再びデフレに後戻りしないと、後戻りしないという状況をつくり出すために、安倍政権において、この三年でデフレ脱却の道筋をしっかりと付けるという趣旨で、このさきの発言は申し上げたものであります。
 出口戦略を含め、金融政策の具体的な手法については日本銀行に委ねられるべきだと考えておりまして、同時にまた、私は黒田総裁の手腕を信頼をしているところでございます。

○西田実仁君 地方創生についてお聞きしたいと思います。
 地方への新しい人の流れをつくるとして二〇二〇年までの目標を掲げましたけれども、実際には、東京圏への転入はとどまるどころか、かえって増えているのが現実でございます。
 その原因として、大都市から地方への移住希望者は多くはない、あるいは地方には仕事がそもそもないという定説が指摘されますが、果たして本当にそうでしょうか。グーグルやヤフーなどを使用した仕事に関わる検索データ、いわゆる雇用ビッグデータを活用して、こうした定説を覆す分析が中央公論の十一月号に掲載をされております。著者の野村総研梅屋氏によれば、仕事の検索を行う人の平均検索回数を使って人数を推計すると、東京、神奈川、大阪など、大都市からの地方圏への潜在的な移住希望者は百十万人もいると言われております。定説に反して、大都市から地方への移住希望者は相当程度存在しているという結論です。
 一方、地方に仕事がないのかといえば、人手不足の割合は、北海道、四国、九州でも七割を超えている。日本商工会議所の調査でも、募集しても応募がなかったという比率が最も多い。地方には仕事がないのではなく、仕事はあってもその数の割に応募者が少ないと言われております。
 すなわち、地方への新しい人の流れをつくるには、仕事探しに関する情報伝達のミスマッチを解消しなければなりません。地方へ移住して仕事をしたいという人に適切なタイミングで適切な情報を提供できるようにしていく必要があります。ただ、それが既存の仕組みだけではなかなか実現していないというのが実情ではないでしょうか。
 イラストにしておりますけれども、既存の仕組みではなかなか到達しないけれども、新しいネット活用でその壁を乗り越えているというケース。こうした困難を乗り越え、域内の潜在労働力及び域外の移住希望者と県内事業者とのマッチングを促進させる雇用・移住プラットフォームを新設した愛媛県では、ハローワーク経由の就業件数に負けない実績を残していると聞きます。その仕組みと直近の成果について、総務大臣にお聞きします。

○国務大臣(石田真敏君) 委員御指摘をいただきました愛媛県での平成二十九年度の実証事業、これは総務省の予算を活用していただいて開始されたものと承知をいたしております。この事業は、官民が別々に保有する地域の求人情報や移住支援情報などをプラットフォームに一元化して提供して効率的かつ効果的な雇用マッチングや移住を促進するものでございまして、成果といたしましては、昨年十月の事業開始から本年十月末までに県内及び県外の求職者二千五百二十六件のマッチングを実現をいたしておりまして、一定の成果を出しているところでございます。
 先日、私、吉野川の源流の川上村あるいは下北山村をお伺いいたしましたけれども、そこでも活躍されていた地域おこし隊の皆さんの中には、生活の環境を変えたかったと、そういうようなことでありまして、委員御指摘の全国で都会から地方への希望者、私も潜在的には随分おられるんではないかなと思っておりまして、こういうシステムをこれから総務省としても横展開を図ってまいりたいと思っております。

○西田実仁君 この事例は非常に示唆に富むと思います。
 確かに、ハローワークにおきましても全国の求人情報をインターネットで検索することもできますし、UIJターンも希望する人のための地方就職支援コーナーも設置されております。しかし、ハローワークのインターネットサービスは求人検索までの機能でありまして、応募はハローワークに出向いての登録が必要となります。
 東京品川に置かれている地方就職支援コーナーも、土日祝日はお休み、営業時間は平日の八時半から十七時十五分までと、平日働いている移住希望者や現在働いていないシニアや主婦の方から見れば、何をそこまでして働き場所を探さなくてもとちゅうちょしてしまいかねません。仕事を見付けられない困っている方々の背中を押す仕組みであるハローワークにはその役割は依然としてありますが、そこまでは困っていないけれども働いてもよいというシニアや女性、あるいは地方圏に移住してもよいという潜在的な移住希望者の背中を押すには、ハローワークだけでは不十分ではないかと考えます。
 では、シニアや女性などの潜在的な労働力や地方への移住希望者の背中を押すには何が必要か。第一に、事前登録や窓口への訪問など煩わしい手続が省略されており、第二に、簡単かついっときに求人情報が得られ、そして第三に、ネットにアクセスしてその場ですぐ応募、募集先とコンタクトが取れることではないかと考えます。愛媛の事例はまさにその典型だと思います。
 こういう話を事前にしましたところ、いや、実は厚労省もいろいろと考えておるところがあるんで是非大臣に答弁させてくれというお話でしたので、厚労大臣、お願いします。

○国務大臣(根本匠君) 大変、質問をしていただいてありがとうございます。
 先生おっしゃるように、私もマッチング支援、非常に大事だと思います。そして、確かに今、新卒応援ハローワーク等の専門の窓口でUIJターンの希望など若者のニーズを的確に把握して、先生おっしゃられたように、ハローワークインターネットサービスによる情報提供、あるいは自治体と連携して地方の生活環境の情報などきめ細かく提供する取組を行っています。これを更にブラッシュアップしていきたいと思いますし、今後、ハローワークが民間ビジネス事業者などと求人情報を共有する取組などについて関係省庁と連携して施策を具体化して、若者を始め希望する方と地方企業のマッチング、さらに、先生の御提案もありますので、進めてまいりたいと思います。

○西田実仁君 お聞きしたところによると、ハローワークでも、インターネットによる求人検索機能に加えて、登録のためにわざわざ出向かなくてもネットで登録できる新たな仕組みも検討しているやに聞いております。
 いずれにいたしましても、シニアや女性といった潜在労働力や移住希望者の方が何を望んでいて、それをどのように実現すべきかといった視点からあるべきサービスの在り方を考えていかなければなりません。その際に鍵を握るのは、いかにして潜在的な働きたいというニーズを顕在化させるかであります。それには、これらの方々に、事前の準備なしで知りたい情報をなるべく簡便かつ大量に提供してその気になってもらうとともに、早い段階で応募といったアクションを起こしていただくことが肝腎であると思います。
 そのためには、やはりハローワークの既存の仕組みに加えて、民間事業者との連携が必要ではないでしょうか。それには、例えば雇用のビッグデータを持つ民間事業者との円卓会議のようなものを設けて、地方への人の流れをつくっていくことを検討すべきではないでしょうか。総理にお聞きしたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 美しく伝統ある地方を守り抜いていく上においては、しっかりと人の流れをつくっていくことなんだろうと思っております。
 こうした観点から、安倍内閣ではこれまで、全国に人材拠点を設置をし、都市部の人材と地域中堅・中小企業とのマッチングを進めてきました。既に四千人を超える人材がこの枠組みで地域の中堅・中小企業で活躍しています。また、地域おこし協力隊を大幅に拡充をしてきました。現在、政権交代前の十倍以上、五千人の若者たちが協力隊として地方の新しい活力となっています。
 さらに、UIJターンを支援するNPO法人では、この数字、私も見て少し驚いたんですが、現在、十年前と比べまして相談件数が十五倍以上に増えています。そして、そのうち半分以上が三十歳代以下の若者となっています。十年前は、これはほとんどシニアの皆さんに占められていて、大体、定年になったら地方で暮らそうという気持ちの方々が大変多かったんですが、今はこの半分を三十歳代以下の人たちが占めている。そういう人たちのニーズにもしっかりと応えていく必要もあるんだろうなということと同時に、まさに地方創生に向けて大きな希望の芽が力強く出てきたなと、こういうふうに思っております。
 こういう若い人たちを中心として、意識の前向きな変化をしっかりと捉え、政府としても、UIJターンにより地方で起業、そして就職する若者たちを支援していきます。その新しい制度を来年度からスタートさせる予定であります。その際、委員御指摘の事例も参考に、民間事業者が運営している求人サイトなども上手に活用しつつ、移住希望者と地域内の求人のマッチングをする仕組みづくりができるよう、地方自治体、そして民間企業としっかりと連携して取り組んでいく考えでございます。
 このような取組を進めることによって、地方にこそチャンスがあると若者たちが考え、飛び込んでいくことができる、今そう考え始めつつあるわけでありますから、このチャンスを生かして、自らの未来を託すことができる地方をつくり上げ、地方への流れを力強く太いものにしていきたいと、このように考えております。

○西田実仁君 そうした若い方々も含めて、移住を希望している方や、あるいは女性やシニアなどの潜在的な労働力の皆さんが求職、求人のマッチングがより進むように様々な工夫を凝らしていただきたいことを御要望して、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。

○委員長(金子原二郎君) 以上で西田実仁君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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