財政金融委員会・第7号

【質疑事項】
議題:関税定率法等改正法案・国際開発協会加盟措置法案の件
1.法改正に伴い不服申し立てについて
2.輸出通関手続きの迅速化について
3.偽札、偽コイン判別機の輸出規制について
4.IDA関連について<>○西田まこと君 私の方からは、幾つか確認とともに、今回の関税定率法等の改正法案につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、今回の改正案の中には、この知的財産権侵害物品等の水際取締り強化ということで、輸入者の利益に配慮しながらの見本検査ということがうたわれ ております。また、これまでなかった重加算税を設けていくという、賦課するという、こういう規定も設けられているわけでございまして、こうしたこの輸入者 の利益に配慮しつつ見本検査をするとか、あるいは重加算税を賦課していくと、こういうことになりますと、当然、不服申立てというか、なぜ重加算税掛けてく るんだと、あるいはその見本検査をなぜするのかという、こういう不服が当然出てくることが想定されるわけでございますけれども、具体的にそうした不服申立 てが増えてくるだろうということを前提に、どういう訴訟対応というか、訴えに対する対応を税関で取っていく準備をなさっておられるのかということをまずお 聞きしたいと思います。

○政府参考人(木村幸俊君) お答え申し上げます。
今回提出いたしております法律案におきましては、今 の委員からお話がありましたように、知的財産権侵害物品等の水際取締りを強化するための権利者による見本検査とか、不正競争防止法違反物品の輸入禁制品へ の追加、さらには、育成者権侵害物品についての税関から農林水産大臣に意見照会を内容とする改正を予定するとともに、また、重加算税等導入についてもお願 いしているところでございます。
このような水際取締りの結果、さらには重加算税導入等によりまして、委員のおっしゃいますように、不服申立て件数が増加する、その可能性はもちろん否定できないわけでございますが、具体的にはどのぐらい増えるかということはなかなか難しい問題でございます。
いずれにいたしましても、財務省、税関といたしましては、今後とも、知的財産権侵害物品水際取締り及び不服申立てへの対応を適切に行ってまいりたいと考えております。

○ 西田まこと君 具体的にこの不服申立てを税関にする場合ですけれども、この訴訟、申立てをしてくる人に対する税関の職員の方々のいわゆる不服申立てに対応 する専任者というんですかね、あるいは兼任者、それは全国の税関でいろいろあると思いますが、現状はどうなっておられて、また、今回の改正案が通って以 降、どういうふうに拡充をされようと、あるいは配慮していこうということにしているのか。

○政府参考人(木村幸俊君) お答え申し上げます。
まず、現在の税関におきます訟務担当者の体制でございますが、全国9税関で全体として21名配置してございます。うち、専担者といたしましては税関訟務官が4名でございます。
これが、今後の問題でございますが、正に今後の不服申立て等の動向を十分見極めた上で、適切な体制につきまして検討してまいりたいと考えております。

○ 西田まこと君 次に、この特定輸出者に対する輸出通関手続の迅速化ということも今回は込められているわけでございますけれども、いわゆるこの特定輸出者で あるかどうかということの認定には当然のことながら一定の要件が掛けられているわけでございますが、これ、具体的にこの要件に合っているかどうかはだれが 判断をしていくのかということについてまずお聞きしたいと思います。

○政府参考人(木村幸俊君) お答え申し上げます。
コンプライアンスの優れた者というのは、通関手続、それから貨物管理等の輸出に関する業務を適正に遂行できる能力を有しており、確実に法令等の遵守が見込まれる者でございます。
具体的にかかわって申し上げますと、1つは、過去一定期間関税に関する法律その他の法令等の規定に違反していない、それから、通関手続、貨物管理と輸出に 関する業務を適正に遂行するために必要な能力を有していると認められる、それから、輸出者が不正な輸出を防止するため、輸出に関する業務を適正に遂行する ための規則を定め、実行すると、そういうことを必要としているところでございます。
税関といたしまして、承認申請が税関へ出されるわけでござい ますが、承認申請を行った輸出者がその業務を適正に遂行するために必要な能力を有すること等を確認するために、輸出者の過去の法令違反等を含めた通関実 績、これは税関の方にデータがございますので、そういった通関実績や法令遵守体制の確認を行うとともに、訪問調査を行う、これは税関で行うわけでございま すが、それから事業所の所在確認、それから貨物管理の状況等を把握することによりまして審査を行うこととしております。また、事後的な監査も税関として行 うことを考えております。

○西田まこと君 ということは、1回特定輸出者に認定をされると、その見直しはもうないということなんでしょう か。あるいは、モニタリング監視につきましては、今、事後的にも税関で行うということですけれども、具体的にどういうモニタリングをされていくのかという ことについてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(木村幸俊君) お答え申し上げます。
今回のこのコンプライアンス制度でございますけれども、この制度につきましては、これを作るに当たりまして関税定率等審議会の関税分科会等におきます審議等々踏まえまして、さらにはいろんなパブリックコメントについても行っているわけでございます。
そういった場を通じまして、いろんな関係者の方々の御意見等も伺い、今回の制度を御審議をお願いいたしているわけでございますが、いずれ、今回の施行につ きましては来年の3月1日を予定しております。それまでの間、更に関係者等の意見等も十分伺いながら、非常に使い勝手の良い制度というものを考えていきた いと思っております。
なお、これにつきましては有効期間、1回認定されますと、特段それが取り消されない限り、それがそのまま続くということを考えております。

○ 西田まこと君 これから詳細いろいろと設計されていくんだろうと思いますんで、いただいている資料でも、仮に必要な場合の通関時検査の維持とか、あるいは 必要に応じた改善措置とか、こうしたことがこのコンプライアンスに優れた者のイメージの中にも書かれております。これが、どういう場合が必要なのか、必要 な場合なのかとか、あるいはその必要に応じたというのはどういう場合なのかとかいうことはこれから詳細制度設計されていかれるんだというふうに思います。
続きまして、時間も限られておりますので、前回もちょっとお聞きしましたけれども、やはり日本の経済社会において大変心配しておりますのは、偽札とか、あるいは偽コイン、偽硬貨の問題であろうというふうに私自身は非常に思っております。
まず1つ、前回お聞きしましたけれども、熊本沖で回収されたこの偽5百円玉、5百円玉が横浜税関から陸揚げされ、エックス線を通ってしまったという件でご ざいますが、こうした不正輸入品ですね、偽硬貨とかあるいは偽札に対応して大型のコンテナ向けのエックス線というものも導入をされ、非常に厳しく取り締 まっていると、こういうお話でございますけれども、これは、例えばコンテナ向けの大型エックス線が導入された税関においては、その職員の方というのは、ど うなんでしょうか、やはりある意味で総務省さんからのいろんな指導というか、ことで、やはり機械化の一環だということで人員が逆に削られると。大型のエッ クス線が導入されたことによって逆に削られるというのは、すなわち兼任が増えたりとか現場の職員の方がかえって非常に仕事量が増えてうまく検査が、機械は 優れているんだけれども手が回らない、あるいは大変に仕事量が増えて、一生懸命やろうと思ってもなかなか厳密な検査ができない、こんなようなことが起きて やしないかということを懸念しておりますけれども、いかがでございましょうか。

○政府参考人(木村幸俊君) 職員の配置の問題でございますが、職員の配置につきましては、この大型エックス線検査装置の問題に限らず、私どもとして必要な業務量を適切に見積もりまして、それに応じた配置をしているわけでございます。
と申しますのは、非常にやっぱり税関の職員の定員というものは、近年少しずつ増加させていただいておりますけれども、やはり全体として私どもの仕事を考え ますとやっぱり限られたものであると言わざるを得ないと思いますので、そういった仕事の効率化等を図るとともに、職員の適正配置については十分心してやっ ているところでございます。

○西田まこと君 ちょっと唐突かもしれません。今後、海外から偽札、あるいは当然偽硬貨ということが海外で造 られて日本に陸揚げされてくるということが起きても不思議ではない、今国際的な犯罪組織というものがグローバル化しているということがあると思います。そ の際に気になるのは、ちょっと唐突かもしれませんが、例えば偽札の鑑別機、判別機というか鑑別機というか、あるいは偽コイン、これを、銀行を始めいろんな 御商売やっているところで判別するために機械を入れているわけですけれども、これ自体を海外に持っていって、それがちゃんと通過するようにして偽札を造っ たりあるいは偽硬貨を造ったりというような犯罪組織もあるやに聞いておりますが、こうした偽札鑑別機あるいは偽硬貨鑑別機自体を輸出を、まあ規制するとい うのはちょっととっぴな考え方かもしれませんけれども、そういうことが実際可能なのかどうか、経済産業省ですか、お願いいたします。

○政府参考人(中嶋誠君) お答え申し上げます。
いわゆる偽札、偽コインを判別する機械の輸出という観点からは、現在のところ特段の輸出規制は行っておりません。もちろん、偽札、偽コインそのものの輸入につきましては関税定率法に基づいて輸入禁制品ということで輸入が禁止されております。
そこで、偽札、偽コインを判別する代表的な機械の1つでありますいわゆるATM、自動預け払い機の輸出について調べてみたんでございますが、これは日本自 動販売機工業会、これ2003年度の自主統計がございます。通貨ごとの内訳がございませんけれども、全体で2952台が輸出されております。現在、その具 体的内容について精査をしておりますけれども、当然ながら、基本的にこれらは外国通貨用のものでございます。現時点においては日本円用の機械は1台も確認 できておりません。それから、主要なメーカーにヒアリングをしておりますが、今の時点では特段不審な取引は確認されておりません。
しかしながら、今委員の御指摘ございましたような問題意識を私どもも持ちまして、関係省庁とも密接に連絡を取りながら、こういった機械の輸出の実態の把握などに今後十分努めてまいりたいと思っております。

○ 西田まこと君 最後に、このIDA加盟措置法案につきまして大臣にお伺いしたいと思いますけれども、先ごろ来日しましたライス長官から、日米両国の途上国 に対する援助が世界の40%に日米両国はなっていると、こういうことからして日米が戦略的な開発援助を実施したらどうだと、こういうような御提案があった わけでありまして、まずこれについて率直に大臣の御感想というか、今後いろいろ詰めていくんだと思いますけれども、お聞きしたいと思いますし、あわせて、 今、日米で世界の開発金融の40%を占めているというぐらいに大変に重要な位置を占めている割には日本に国際的な開発金融機関というものがないという、世 銀グループは、IDAにしても世銀グループはワシントンにあるわけですけれども、アジ銀にしてもフィリピンにあるわけでございまして、これだけ主導的な役 割をしている日本にこうした国際開発金融機関の拠点をもっと誘致していくというような積極的な視点も日本としてあってもいいんじゃないかというようなこと を思っておりまして、この2つの点、最後お聞きして、終わりたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) まず、ライス長官がこの間、上智 大学でしたか、講演をされて、その中で、戦略的開発協調というようなことで、開発援助に関して日米間で更なる協調が、前進を図ることができないかという新 しい提案をされました。私も、その概要を見てみますと、大きな観点から言っておられまして、具体的な内容については必ずしもつまびらかでございませんの で、両国の当局といいますか、そういうところでまず議論が行われて詰めていかなきゃならないんだろうと思っております。
アメリカと日本、こうい う開発援助の在り方に関しまして、私もG7なんかで随分一緒に議論をするんですが、非常に共通の考えを持っているところ、あるいは考えをちょっと異にして いるところと、いろいろございますので、いずれにせよ議論は行って、どこかで国際機関の在り方なんかでも一致しなきゃならないところはあるわけですが、我 が国のODA予算、我が国の考え方ということでいけば、効率化を図って、引き続きそのODA大綱にのっとって戦略化、重点化を進めていくということが一番 基本なのじゃないかと私は思っております。ですから、アメリカとの協調を進めるに当たりましても、ODA大綱に基づいて、日本の言うべきことは言って議論 を進めていくということじゃないかと思っているわけであります。
それから、国際機関を日本に誘致せよということでございますが、現在確かに、例 えばアジア開銀はマニラにあると、こういうようなことでございます。日本に引っ張ってこいと、こういうことなのかもしれませんが、新しい国際金融機関の設 立といったような動きが今特に新たにあるわけではございませんので、現時点で国際金融機関の誘致という点はちょっと考えにくいところがあるわけでございま す。
国際金融機関の関連機関としては、各機関、東京事務所というのがございまして、そのほかに近年アジア銀行の、アジア開発銀行の研究所、 ADBIといっておりますが、これが90年代の末ごろでしたか、開かれましたのと、それから世界銀行の東京開発ラーニングセンターというのが、これは昨年 の6月から動いておりますが、こういった機関はアジア太平洋地域を対象とした研究調査活動や政策対話の場として大きな役割を果たしていると思います。
それから、アジアとの経済・金融関係は拡大しておりますので、そういう中でアジア開発銀行の果たすべき役割はますます大きなものになってきているわけです が、我が国としては、黒田新総裁、今年就任されたわけですが、歴代総裁、今まではずっと日本の方がやっていただきました。ADBIは96年にできたわけで ございます。それで、そういうアジア開銀歴代総裁はずっと日本が出している。それで、ADBの東京事務所やADBIの活動支援、それから2007年総会を 日本で開いてほしいと誘致をしているというようなことを取り組んでおりまして、今後ともアジア開発銀行の役割の強化という点では日本は積極的に主導的な役 割を果たしていかなければいけないと思っております。