211-参-予算委員会-003号 2023年03月02日

○委員長(末松信介君) 令和五年度一般会計予算、令和五年度特別会計予算、令和五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、昨日に引き続き質疑を行います。西田実仁君。

○西田実仁君 おはようございます。公明党の西田実仁でございます。
 まず、追加の物価高騰対策について総理にお聞きしたいと思います。
 物価高による負担感は増す一方でありまして、いつまで上がり続けるのか、その先行きも不透明です。物価を最も押し上げている食料品につきましては、その価格が、円建ての輸入食品価格との連動から四月がピークという説もありますし、また一方、ウクライナ情勢の影響による、いわゆる戦争インフレと言われる影響で七月まで続くのではないかという見方もございます。
 総理は、我が党衆議院議員の質問に答えまして、必要な対応ということであればちゅうちょなく取り組むと追加の物価対策について答弁をされました。
 そこで、まず、物価のピークがこれから来る今こそちゅうちょなく追加の物価対策に取り組むべきではないか、お聞きしたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の物価高対策については、政府においてはこれまで物価高の主因たるエネルギーあるいは食料品に的を絞って対策を行ってきました。特に、総合経済対策に盛り込んだ電気・都市ガス料金の負担軽減策によって、燃料油価格の対策と併せて、来年度前半にかけて、標準的な世帯においては総額四万五千円、エネルギー価格高騰の負担を軽減することとしており、こうした対策の効果は今後現れてくるものであると考えています。
 そして、今後についてでありますが、先週、物価・賃金・生活総合対策本部を開催し、このエネルギーについて、電気の規制料金の改定申請に対して、四月という日程ありきではなく、厳格かつ丁寧な査定により審査を行うなど、電気料金の抑制に向けて取り組むこと、また、食料品については、飼料価格の本年四―六月期以降も見据えた激変緩和対策、四月以降の輸入小麦の政府売渡価格の激変緩和対策を講じていくこと、こうした指示を行ったところです。
 こうした取組をしっかりと実行していくことと併せて、委員御指摘のように、今後の動きについては、ロシアによるウクライナ侵略の情勢等不透明な条件が多々ありますので、こうした状況をしっかり見据えながら、必要な対策についてはちゅうちょなく機動的に対応していきたいと考えております。

○西田実仁君 今お話しのとおり、総理は経産大臣に対して三月中に電気料金抑制に向けた対策を取りまとめるよう指示するなどおっしゃっておられましたけれども、プロパンガスについての御意見は全国で多数寄せられています。
 直接的な軽減措置がないこのプロパンガス、LPガスについては対策の効果がいつ頃消費者の皆さんに実感できるようになるのでしょうか、お聞きします。

○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のLPガス、プロパンガスでありますけれども、小規模零細事業者が多いことから、事務負担を考慮しまして今回の電気、ガスの負担軽減策に入れていないところでありますけれども、御指摘の人件費、配送費の抑制につながる事業の効率化、あるいはタンクを大型化するなど、効率よく行っていくということを、補助金を取っておりますのでこれで対応したいと思いますが、今ちょうど公募を行っておりまして、できるだけ早く対応したいということで、四月上旬には交付決定を行っていくということで、この効率化が行き届けば百円から二百円程度の価格抑制効果が見込まれるところでございます。

○西田実仁君 このプロパンガスについては、いわゆる地方創生臨時交付金を活用いたしましてその上昇幅を抑制している自治体もございますが、予算の枯渇を理由に事業化できない県が全国で十県既にございます。地域の実情に応じた物価高騰対策のための臨時の交付金、この上積みをすべきではないでしょうか。総理にお聞きします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) LPガスについては、事業化、効率化に向けた支援を迅速かつ着実に行っていきたいと考えておりますが、加えて、六千億円の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金についても、LPガス料金支援への活用を働きかけ、約半数の都道府県で対応されていると聞いております。
 委員の方から、この予算、枯渇しつつあるのではないか、こういった指摘がありました。今、実態、国としてもこの把握する中で、未執行の一千百億円ほどがあります。これについては、まずは自治体の早期執行を後押ししていきたいと思っています。そして、その上で、今後も物価高騰の状況等を注視しつつ、適切に機動的に対応していきたいと考えています。

○西田実仁君 消費者は引き続き物価高騰に大変苦しんでおりまして、春以降に値上げが予定されております製品も多数ございます。
 小麦の国際価格についてですが、ウクライナ侵略直後の急激に変動していた状況からは落ち着きを示しておりますが、輸入小麦の価格を抑制し、消費者の負担に配慮することは強くお願いをしたいというふうに思います。
 他方で、政府が進める国産小麦の生産振興や輸入小麦から米粉への代替促進への影響も考えていかなければなりません。また、製粉関係や食品事業者の価格予見可能性にも配慮してルールを適切に維持していただく点も忘れてはいけないと思っております。
 そこで、農水大臣にお聞きいたしますけれども、政府におかれましては、三月上旬の輸入小麦の売渡価格の決定に向けて、これら各方面の状況を踏まえ、バランスの取れた決定をお願いしたいと思いますが、売渡価格の決定に向けたお考えをお聞かせください。

○国務大臣(野村哲郎君) 西田委員にお答えを申し上げますが、令和五年四月、小麦の改定というのは四月と十月になっておりますが、四月の輸入小麦の政府売渡価格につきましては、先般、物価・賃金・生活総合対策本部におきまして総理の方から御指示がございました。激変緩和措置を講ずるようという御指示がございましたので、今後行われます入札の結果を注視しつつ、そして委員から御指摘のありました国産小麦の振興や米粉への代替促進の方針、それから価格の予見可能性等を勘案しながら、ウクライナ侵略に伴う国際的な小麦価格の急騰の影響が緩和されるよう、総合的に判断して決定してまいります。

○西田実仁君 是非緩和の方向でお願いしたいと思います。
 この物価が高騰する中、特に養育費をもらっていない六割の一人親家庭では物価高の方が新型コロナより家計への影響が大きい、こういう声がシングルマザーサポート団体全国協議会によって取りまとめられておられます。
 こうした厳しい状況の中、一人親を始めとする困難を抱える方に寄り添った利用しやすい法テラスを目指して、法務省、日弁連、そして法テラスの三者による同制度の改善策が検討されてきました。
 パネルを御覧ください。(資料提示)
 この困っている方が法テラスに相談し、弁護士、司法書士に法テラスが立替えをして事件を処理する、その立て替えた費用の返済、この返済につきまして、例えば優先事項として一人親に対する債務免除の拡大など、支援の拡充が議論されているとお聞きしております。その具体策を法務大臣にお聞きします。

○国務大臣(齋藤健君) 今般の一人親支援の拡充策は、法テラスの民事法律扶助における、先生御指摘の、立替金の償還の在り方等に関する現行の運用が一人親世帯にとって子を養育する上で負担となっている、こういう御指摘がございましたので、それを踏まえまして、その運用を改善して一定の養育費を確保すること等を通じ、一人親世帯における子の養育に十分な環境を整えようということで、子の一層の利益を図ろうとするものであります。
 御指摘の具体策でありますけれども、一人親が養育費の請求のため民事法律扶助を利用した場合におきまして、まず、利用者が月々の養育費を得た場合の弁護士報酬、これにつきましては一定額まで法テラスが立て替えることと、それから、利用者が未払等養育費を得た場合に一括で法テラスへの償還に充てる一時即時償還、これを不要とすると、そして、義務教育対象年齢までの子を扶養する一人親につきましては、償還免除の要件の一つであります資力回復困難要件、これをもう一律に満たすんだというものにすること、こういったことを内容としています。
 法務省としては、この拡充策の早期の実現に向けて、制度の詳細な設計や所要の手続、こういったことの作業を速やかに進めてまいりたいと考えております。

○西田実仁君 この取りまとめを実施するには、今大臣おっしゃったように、例えば最高裁や評価委員会、こうした意見の聴取などの一定の手続が必要です。また、例えば、一人親だった方が再婚した場合はどうなるのか、あるいは親と同居していたらどういう扱いになるのかなど、制度の詳細を詰めた上で予算の積算をしなければならないことも理解はできます。
 しかし、物価高による多大なる影響を受けている一人親世帯への支援の拡充であり、こうした制度の詳細を詰めていくことを前提に、まあ普通にいけば令和六年度からということなんでしょうけれども、そうは言わずに、できるだけ早急に法テラスにおける民事法律扶助の拡充をすべきではないかと考えますが、総理はいかがお考えでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) ただいま法務大臣から答弁がありましたように、今般の法テラスの民事法律扶助における一人親支援の拡充策、非常に重要な取組であると認識をしています。
 政府としては、詳細な制度設計など必要な作業を進め、法テラスができる限り早期に支援を拡充できるよう、しっかり後押しをしてまいりたいと考えています。

○西田実仁君 ありがとうございます。
 次に、下請中小企業の価格転嫁についてお聞きします。
 下請の中小企業は、昨年来、ウクライナ情勢等の影響による原材料やエネルギー価格の高騰に直面し、賃上げの原資を稼ぐどころか、コスト高騰した分の価格転嫁もできず、物価高騰のしわ寄せを受けています。我が党からの要請もあり、政府は昨年末から今年にかけて今までになかった思い切った取組に踏み出しておられます。
 公正取引委員会は、昨年末に初めて、価格交渉なく取引価格を据え置いた十三社の社名を実名で公表いたしました。経済産業省、中小企業庁におかれましても、約百五十社についての価格交渉や価格転嫁について、下請中小企業からの評価、点数を公表しておられます。
 いずれも大々的に報道されました。その報道を見た下請中小企業からは、自分たちが言えないことを言ってくれたと歓迎する声がある一方で、本当に取引先が変わってくれるのかと心配する声も寄せられています。
 そこで、まずお聞きしたいのは、政府はこれらの社名の公表により、発注者、大企業の取引適正化に向けてどのような効果があったと認識しておられるか。そして、更なる取引適正化の効果を発揮するためにどう対応していくのか。公正取引委員会、また経済産業大臣にお聞きしたいと思います。

○政府特別補佐人(古谷一之君) 先生から御指摘がございましたように、公正取引委員会では、昨年、転嫁の状況について、優越的地位の濫用に当たるかどうかといった観点から、緊急調査を二十二業種十一万社を対象にやらせていただきまして、昨年末、これ独禁法違反を認定したわけではないんですけれども、問題があると思われる業種四千三十社に注意を行いまして、それから、多数の受注者との間で協議をすることなく価格を据え置いたということで十三社を公表させていただきました。
 こうした私どもの取組を受けまして、一月には、経団連など経済三団体が、受注者側として、あっ、発注者側として受注者側のコスト上昇分について積極的に価格協議に応じることですとか、価格転嫁に円滑に反映することなどを傘下の企業に要請をされたという動きがございました。また、事業名の公表などの対象となった企業の方から私どもに対しても、価格交渉の場を設けることにしたとか、そういった報告ですとか、取引慣行の改善に向けた相談が幾つか寄せられているような状況になっております。
 そういう意味で一定の効果があったというふうに考えておりますけれども、公正取引委員会としましては、このような経済界や発注者側の動きも踏まえながら、三月、価格交渉月間ということでもございますので、昨日、更なる取組方針を取りまとめて、令和五年のアクションプランということで公表をさせていただきました。
 具体的には、受注者からの要請の有無にかかわらず、発注者から積極的に価格転嫁に向けた協議の場を設けていただくことが重要であることを関係事業者団体に文書で要請を行うなど、改めて周知徹底をすることとしております。
 さらに、昨年の緊急調査を上回る規模での新たな調査を開始をしたいと思っておりまして、この新たな調査におきましては、昨年末に注意喚起文書の送付や公表の対象となった企業の取組状況のフォローアップをいたしますとともに、労務費の占める割合が高い業種に重点的に調査票を送付するなど、労務費、人件費の円滑な転嫁という観点も重視をして調査をしたいというふうに思っております。
 さらに、こうした取組と併せまして、もとより独占禁止法あるいは下請法に違反する事案については公正取引委員会として厳正に対処をさせていただきたいというふうに考えております。

○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のように、経済産業省におきましても、二月七日に、多くの取引先を持つ約百五十社の発注側企業の価格交渉の状況、価格転嫁の状況、このリストを公表、初めて公表させていただきました。
 この公表を機に、発注者、大企業側からは、例えば、次は更に高い評価を得られるよう原則価格交渉に応じる旨を下請中小企業に周知をするといった声、そしてまた、交渉を持ちかけてもらう相談窓口を決めると、こういった相談、報告が十件以上寄せられております。全体としては、取引方針の更なる改善に前向きに取り組む企業は多くいるものというふうに承知を、認識をしております。
 ただ、既に前向きに取り組んでいる企業がもっとやろうという雰囲気が強くて、芳しくない企業はそれほどでもないという感じもいたしますので、いまだ状況の芳しくない企業への指導、助言も含め、今お話ございました公正取引委員会とも連携して、下請中小企業が価格交渉、転嫁の状況が進捗したと言える状況をしっかりとつくっていきたいというふうに思います。

○西田実仁君 経産大臣に重ねてお聞きしますが、こうした取組は継続して実施してこそ、その効果も現れてくると思います。三月の価格交渉促進月間のフォローアップ調査でも、いわゆる下請中小企業からの評価、点数、こうしたことをまた改めて続けていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(西村康稔君) 御指摘のように、価格転嫁に向けてようやく動き始めた感じが出てきておりますので、ここで手を止めることなく、粘り強く継続して実施していきたいと。これによって、交渉をやる、そして転嫁ができるというサイクルを定着させていきたいというふうに考えております。
 このため、御指摘のように、この三月、今、三月、価格交渉促進月間でありますので、この後にこれまでの倍の三十万社の中小企業のフォローアップ調査を行いたいというふうに考えております。それを基に、発注側企業の交渉の状況、転嫁の状況、これをしっかりと調査、整理をして、また公表したいというふうに考えております。
 あわせて、先ほど申し上げた、これまで累計で約七十社実施をしてきておりますいわゆる芳しくない親事業者の指導、助言でありますけれども、これも併せて活用しながら、しっかりと価格転嫁できる環境をつくっていきたいというふうに考えております。

○西田実仁君 こうした価格交渉、価格転嫁の見える化というのは、大企業でも取引の適正化の取組が始まったことを多くの中小企業に知らしめることになります。また、今後の価格交渉の交渉材料としても是非活用いただきたいというように思っております。発注者企業側には政府の目が光っていることを知らせ、全国津々浦々の中小企業にも価格交渉、価格転嫁に手応えが感じられるか、三月から始まった価格交渉促進月間の効果をしっかりと見届けたいと思います。
 総理にお聞きしたいと思いますが、政府を挙げて取り組む下請中小企業の価格転嫁における今までになかった思い切った取組に対する思いをお聞きしたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 物価高が進む中にあって、成長と分配のこの好循環の鍵を握る中小企業が賃上げ原資を確保できるよう価格転嫁の環境を整備していくこと、これが非常に重要であると考えています。そして、これまで、毎年九月と三月を価格交渉促進月間として、交渉と転嫁のサイクルの確立に向けて取り組んできました。
 この中で、今も公正取引委員会や経産大臣からも答弁がありましたように、前例のない取組として、昨年末、公正取引委員会においては、多数の取引先に対して協議をすることなく取引価格を据え置く行為が確認された企業十三社の社名を公表し、二月には、中小企業庁において、発注側企業約百五十社の価格交渉と価格転嫁の状況について公表したところです。
 中小企業における賃金、失礼、賃上げの実現に向け、この三月、まさに今、三月のこの価格交渉促進月間、これは重要な正念場であると考えています。引き続き、中小企業庁や公正取引委員会を中心に政府全体で価格転嫁の促進に向けて全力で取り組んでまいります。

○西田実仁君 中小企業の賃上げへ向けて正念場のこの三月というお話がございました。
 そこで、私、十三年前、野党の時代に質問しましたが、今日、この物価上昇の中で改めて御質問したいと思います。
 それは、法的には下請関係にはありませんが、片や全国規模の大企業、片や町の中小零細企業であり、価格交渉や転嫁が言い出せず、賃上げどころではない問題です。それは自動車整備工場と損害保険会社との取引です。
 多くの自動車整備工場は、自動車保険に入っている顧客から事故に遭った車の修理を頼まれたら、バンパーなどの部品を仕入れ、職人が手間暇掛けて修理して車をお返しし、その後にお客さんに代わって保険会社への修理代金を請求しています。大手損保会社が共同出資している株式会社自研センターが、修理に必要な作業時間、例えばバンパーを取り替えて修理する時間の基準を決めており、それに労務費の単価を掛け合わせる形で、多くの損保会社はこの基準に近い額で修理代金、保険金額を定めています。
 昨年来の物価高を受けて、全国の自動車整備工場から、物価高でも価格転嫁できないとの悲鳴が寄せられています。例えば、オイル代も電気代も労務費も上がっているのに、損保会社から認められる修理代金、保険金はどの保険会社も似たような水準にそろって据え置かれたままで、実際に掛かった修理代金を得られない、保険会社は、せめて材料費や電気代の値上がり分は修理代を引き上げてほしい、労務費も引き上げてほしいとの悲鳴が聞こえてきます。さらには、保険会社が修理代金の基準を決めているから、どんなに物価が上がっても価格転嫁してもらえないという声も聞こえてまいります。
 損害保険会社にとって自動車整備工場は、保険を売ってもらったり、顧客の自動車を修理してくれる大切なパートナーのはずです。修理時間の基準は、一民間会社、つまり自研センターですが作成していること、それを使うかどうかは、また労務費単価を幾らにするかは、形式上、損害保険会社と自動車整備工場が契約で決めた形になっていることは理解しています。また、損保と自動車整備工場は、修理の委託という下請関係にはないことも承知しております。
 しかし、現実には、片や全国規模の大企業であり、片や中小零細企業であり、修理時間はもっと必要である、作業員の労務単価が安過ぎるとかの交渉、転嫁を言い出せない取引構造になっているのも事実です。
 他の業界におきましては、業界を所管する省庁が作る取引適正化ガイドラインに従って自主行動計画を作成して取引の適正化に取り組んでいます。たとえ下請関係になくても、同じ金融庁が監督をしております銀行業界においては、全国銀行協会が手形の電子化のための自主行動計画を作成し、中小企業の資金繰り支援にも役立つ取組を業界を挙げて実行しております。
 そこで、金融担当大臣にお聞きしますが、損害保険会社を所管する金融庁には、自動車整備工場からの悲鳴、特に損保会社が修理時間をずっと据え置いている、あるいは労務費の単価引上げの交渉にも応じてもらえないとの声は届いているのでしょうか。

○国務大臣(鈴木俊一君) 自動車整備事業者から損害保険会社が修理代金の引上げに応じてくれないといった声があること、これは承知をしております。

○西田実仁君 承知しているということで、届いていることでありますので、昨年来、労務費やエネルギー、原材料価格が高騰しているのですから、損保と自動車整備工場との契約関係においても、コスト上昇を取引価格へ反映するために価格交渉をするよう損保業界に促すべきではないでしょうか。

○国務大臣(鈴木俊一君) 西田先生御指摘のとおりに、工賃単価等の修理代金の計算方法、これは損害保険会社と自動車整備事業者との間の契約に基づき設定されるものではありますが、足下で物価が高騰し、また労務費もかなり上昇していることを踏まえますと、損保会社と自動車整備事業者の双方が納得できる適正な内容であるべきであると、そのように考えます。昨年来のこうした物価上昇でありますとか労務賃の上昇、こうした環境の大きな変化については、四月以降の新年度の工賃単価等の見直しにおいて考慮されるものと認識をしております。
 金融庁として、その見直しの状況をしっかりと把握したいと思います。そして、必要に応じて取引の適正化を促していきたいと考えています。

○西田実仁君 把握していただいた上で、金融庁には、この損害保険会社、損保業界の包括的な監督権限があります。保険契約者の保護に限るとか、あるいは下請取引には関係ない等の狭い権限ではありません。保険会社が、取引先に物価高騰の影響がしわ寄せしていないか、価格交渉を促すための自主行動計画を作るべきではないか、この実態を把握した上で、必要とあれば促していただけますでしょうか。

○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほども金融庁の認識をお話しさせていただきましたが、足下で物価が高騰して、労務費もかなり上昇しているということを踏まえますと、修理代金の計算方法は、損保会社と自動車整備事業者の双方が納得する、納得できる適正な内容であるべきであると、そういうふうに考えているところでございます。
 先ほどの繰り返しになりますが、今まさに四月以降の新年度の工賃単価等の見直しに向けて損保会社と自動車整備事業者の話合いが行われていると承知をしております。金融庁としては、まずその見直しの状況をしっかり把握したいと考えます。
 そして、先生から、損保会社に自主行動計画を作るようにと、それを促すべきであると、そういう御意見をいただいたところでございます。
 自主行動計画については、中小企業庁において、サプライチェーン全体の取引適正化と付加価値向上に向けた計画の策定を経済界に要請しているものと、そういうものと承知をしておりますが、そうしたことも踏まえまして、適切な対応を考えていきたいと思います。

○西田実仁君 総理にお聞きします。
 大手損保会社はいずれも、いわゆるパートナーシップ構築宣言、これを発しておられます。総理は常々、民間に任せず、あるいは構造的な賃上げに政策を総動員するとおっしゃっておられます。政府の立場からも、今お聞きいただいたこの損保会社に取引の適正化をするよう促すお考えはありますでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 大手損害保険会社においては、委員御指摘のとおり、取引先との共存共栄に向けた取組を進めているものと承知をしており、金融庁を始め関係省庁においてその取組状況の把握に努め、そして取引の適正化を促してまいりたいと思います。
 その上で、賃上げは新しい資本主義の最重要課題であり、物価上昇を超える賃上げ、さらには、その先の構造的賃上げに取り組んでいただくべく、中小企業における生産性の向上に向けた支援策など、政策を総動員して環境整備に政府として取り組んでいきたいと考えます。

○西田実仁君 次に、賃上げ促進税制の繰越控除についてお聞きしたいと思います。
 賃上げ税制の適用要件は満たしているものの、その年が赤字であったり、あるいは黒字が不十分でありますと、税のメリット、つまり法人税の全額控除、これを十分に享受できません。
 しかし、そうした業績が苦しい中でも賃上げを実施する中小企業をもっと増やしていくために、税額控除の未利用枠を繰り越せる制度を創設してはどうかと考えますが、鈴木財務大臣にお聞きします。

○国務大臣(鈴木俊一君) 西田先生には、公明党の税制調査会長としていろいろ御指導いただいておりますことに感謝申し上げたいと思います。
 御提案は、賃上げを行おうとする企業に対して、赤字法人や黒字が十分に大きくない法人であっても支援ができないかという観点からのものだと拝察をいたします。
 仮に賃上げ税制に繰越制度を設けたといたしましても、翌年度の法人税額によっては必ずしも企業側にメリットが生じないこともあることなど、賃上げ促進効果の観点も含めて検討をする必要があると考えております。
 その上で、岸田内閣におきましては、例えば、税制措置のメリットを受けられない赤字の企業に対しましては、賃上げを行う中小企業への補助金の補助率の引上げなど予算面での取組を行うなど、成長と分配の好循環の鍵となる賃上げに向けて政策を総動員して取り組んでまいりました。また、賃上げ税制につきましても、令和四年度において、与党での御議論も踏まえて抜本的に拡充し、税額控除率を大幅に引き上げたところでございます。
 先生の本日のこの御提言も含めまして、今後の税制の在り方につきましては、こういった改正の効果や与党税制調査会の御議論も踏まえながら検討していく必要があるものと考えております。

○西田実仁君 今大臣御指摘のとおり、論点が幾つかあります。
 パネルを御覧いただきたいと思いますが、その赤字、あるいは黒字が不十分、十分ではない場合に、その税額控除のメリット、税メリットを十分に受けられないというのは、その翌年と、一年間しか繰り越せないということであれば実際そうです。しかし、これを複数年持ち越せるようにした場合の図を示させていただきました。
 あるX期においては赤字で、せっかく一千賃上げして、三〇%の三百、税メリットを受けられるはずですけれども、翌年が赤字ですとそれが受けられないと。しかし、翌々年が黒字になったら受けられますし、また、その翌々年に更に賃上げをしたら更にその未利用枠をその更に翌年に使えるというふうに、毎年賃上げしていけば税メリットが生じて、一定期間黒字になるタイミングまで持ち越せれば本税制が継続的に賃上げするインセンティブとしても機能し得るでしょう。また、適用企業数も増えると思われます。
 また、現行税制ではこうした税額控除の繰越しというのは設備投資にしか認めていないのも承知しておりますが、しかし、賃上げも将来に向けた人的投資であります。企業がリスクを取りながら行うという意味では、設備投資も賃上げも同様です。設備投資同様、配慮が必要と考えられます。
 総理にお聞きしたいと思いますが、税額控除の繰越制度は、今も中小企業投資促進税制あるいは沖縄特区、復興特区税制で既に措置されております。令和四年度税制改正において大幅に拡充された中小企業向け賃上げ促進税制については、依然としてコロナ禍の影響から脱せず、赤字や、黒字が不十分であっても賃上げに踏み切る中小企業が税制の恩恵を受けられません。
 総理の中小企業における賃上げへの思い切ったメッセージとして、税額控除の未利用枠を複数年繰り越せる制度を検討してはいかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 中小企業の賃上げに向けては、先ほど来答弁させていただいておりますように、生産性向上支援や、公正取引委員会、中小企業庁の体制強化を生かした価格転嫁に向けた指導、助言の充実を進めているところですが、加えて、委員御指摘のようなこの赤字法人等においても賃上げを実現するためのこの方策、先ほど財務大臣の答弁の中にありましたように、幾つか課題とされるものはあります。
 この課題について整理をした上で、どのような政策的な工夫があり得るのか、委員においても、委員におかれましても与党税調で議論されることとは思いますが、政府としても与党と連携しつつ検討してまいりたいと考えております。

○西田実仁君 ありがとうございます。
 次に、働き控えを解消する給付についてお聞きします。
 総理が目指す経済好循環への鍵は、賃上げ等で世帯収入を増やすことです。正規雇用者のベースアップとともに、パートやアルバイトなど非正規で働く人の所得増で世帯所得増を目指すべきです。
 パートタイム労働者の時給はおよそ十年間で二割上昇しています。しかし、年収はほぼ横ばいです。時給が増えても就業調整により働く時間を短くしているからです。なぜ就業調整するかといえば、働けば働くほど世帯年収が減少する働き損が発生するからです。
 野村総研の調査によれば、就業調整をしている有配偶パート女性の八割近くが、百六万あるいは百三十万円といった所得を超えても働き損にならないのなら今より年収が多くなるように働きたいとしています。手取りが増えるなら働きたいと思う人が働き、それに伴い収入増が実現される仕組みが必要ではないでしょうか。
 その具体策として、配偶者のあるなしにかかわらず、一定範囲の年収、例えば大企業にお勤めの場合、所得百六万から百十九万までは十五万円を給付、百二十万円から百三十四万円は十万円給付といったように、所得水準に応じた階段型とすることで世帯の在り方に中立的な給付制度にすることもできます。
 野村総研の試算によれば、計四千三百億円の時限的な給付によりGDPは八・七兆円増え、税収は給付総額をはるかに上回る約七千九百億円増えるとの試算もあります。給付よりも大きな税収増ということです。
 総理は、衆議院での議論の中で単身世帯への不公平感の課題を指摘されておられますが、配偶者の有無にかかわらず給付の対象とすることで、単身世帯等への配慮を行った上で、働き控えの解消とそれに伴う収入増を実現する仕組みとして検討するお考えはあるでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 民間企業における諸手当は労使の話合いを経て自主的に設定されるものでありますが、本来は、これ働き方の違いによらずに中立的である、これが望ましいものであると認識をしています。
 その賃上げ税制についても、既に配偶者手当なども含めた賃金の引上げに対し税制優遇を措置しており、御指摘の上限の撤廃などについても一定……(発言する者あり)失礼、こうした様々な配慮が行われておりますが、ごめんなさい。いや、失礼、ごめんなさい。(発言する者あり)はい、失礼。
 まず、冒頭、賃上げが重要だということを申し上げた上で、この賃上げが上がっても制度的な壁により就労時間の調整が行われる、これ結果として世帯所得が増えなくなる。こうしたこととともに、人手不足の中にあっても労働力が増えないこととなります。このために、一月の私の施政方針においてこうした制度を見直すということを申し上げた次第であります。
 この百三十万円の壁の問題については、これを意識せずに働くことが可能であるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大を進めているところでありますが、それでもなお被扶養者については、扶養から外れて被保険者に転換するところで社会保険料が生ずるため、就労調整が行われるという指摘があります。被扶養者でない単身者の方々との公平性に留意する、委員の方からもこれは御指摘ありましたが、この留意はしつつ、政府としてどのような対応が適切なのか、幅広くこれ対応策、検討してまいります。

○西田実仁君 ありがとうございます。
 もう一つ、働き控えを解消する方策として考えるべきなのが企業の家族手当の話です。
 民間企業における配偶者手当については、政府の期待どおり確かに縮小しています。しかし、配偶者手当の改廃あるいは縮小は一部の労働者に不利益となることから、なかなかその歩みは遅いです。配偶者手当のある企業の中で配偶者の収入に上限がある企業の割合、その多くは百三万、百三十万円ですけれども、この上限がある企業の割合はむしろ実は増えています。
 そこで、財務大臣に、あっ、総理にお聞きしたいと思いますが、従業員Aが例えば月、家族手当二万円とした場合に、Aの配偶者が所得制限を超えると現行では二万円が支給されないという制度、これを改め、所得制限、上限を撤廃することで年間二十四万円増えるわけですけれども、それは給与の増額とみなし、仮にこの会社が所得拡大促進税制の適用要件、これは給与総額が前年比一・五%以上増えなければ適用になりませんけれども、仮にその一・五%まで増えなくても、こうした配偶者手当の上限を撤廃した企業には賃上げ促進税制を適用する、そういう見直しを検討してはいかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 賃上げ税制については、既に配偶者手当なども含めた賃金の引上げに対し税制優遇措置をしており、御指摘の上限撤廃などについても一定程度これはカバーされていると考えておりますが、これを配偶者手当の上限撤廃といった行為だけで税制優遇の対象とすることについては、効果も含めてよく精査する必要もあると認識をしております。
 いずれにせよ、政府としても、配偶者手当について、見直しに当たっての留意点や見直しをした企業の事例等についてリーフレットを活用しながら広く周知を図り、企業の実情を踏まえた円滑な話合いが労使でなされるよう働きかけてまいりたいと思います。

○西田実仁君 防衛力の強化とその財源についてお聞きしたいと思います。
 年末の安保関連三文書では、二〇二七年度までの五年間で一定水準の防衛力を整備する目標を掲げ、その間に必要な予算として約四十三兆円積み上げました。これまでは五年間で二十七兆円ですから、大幅な増額です。
 しかし、この費用を賄う防衛増税への理解は必ずしも広がっておりません。そもそもそんなに防衛費を増額して一体何に使われるのか、ウクライナ戦争に見られるように、相対的に安価なドローンで高価な戦車を打ちのめしている、高いものばかり買物ばかりしなくてもよいのではないかといった声も上げられています。
 次期防衛力整備計画では、私の理解ですけれども、能力増強のための新たな事業と、本来これまで行ってくるべきであった施設整備や弾薬、装備品等の維持整備費などの事業の二つに大別できるのではないかと考えます。後者について具体的に実態を把握するため、先日、地元埼玉県入間市にある入間航空自衛隊基地を拝見させていただきました。小野打基地司令を始め関係者の皆様に御礼を申し上げたいと思います。
 パネルを見ていただいて一目瞭然ですが、車両整備工場は昭和十六年に建設されて、これまでに改修工事も行われておりますが、お聞きすれば、さすがに老朽化は著しく、月に一、二度雨漏りをするということです。また、その下の八十人の飛行隊員が使う格納庫でありますけれども、昭和四十三年に建設をされました。その飛行隊員の更衣室を私が見ている写真ですけれども、やはり雨漏りが激しいために、この視察のときもブルーシートがその更衣室に掛けられている状態。また、格納庫の上の方にあるトイレですけれども、これももう壊れて一つしか使えないという状態。さらには、右下の昭和四十六年建設の隊員の皆さんが使う大浴場、これも相当劣化が進んでいる様子も拝見しました。
 防衛大臣にお聞きしたいと思います。
 現五か年計画から増える約十六兆円分の使い道について、国民の皆様に分かりやすく御説明をお願いしたいと思います。反撃能力を備えるために必要なスタンドオフミサイルなど高価な装備品ばかりではなく、ウクライナ戦争でよく目にした安価なドローンの活用など、自衛隊の装備品調達等の最適化がどう進めていかれるのか、また、自衛隊施設の耐震化、老朽化対策にはどう取り組んでいくのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(浜田靖一君) ありがとうございます。
 防衛力の抜本的強化の検討に際しては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるか、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行い、必要となる防衛力の内容を積み上げ、防衛費の規模を導き出しました。
 今後、スタンドオフミサイル防衛能力や無人アセット防衛能力といった将来の中核分野に加え、現有装備品の最大限の活用に向け、弾薬等の整備や防衛装備品の可動数向上、主要な防衛施設の強靱化等を重視し、防衛力の抜本的強化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 特に、自衛隊の施設の強靱化については、全国各地の駐屯地、基地、駐屯地の全体の整備計画を策定し、施設の老朽化、老朽状況や駐屯地、基地の運用等を踏まえ、集中的かつ効率的に整備を進め、おおむね十年後に全ての施設に対して適切に耐震性能及び防護性能を付与していく考えでおります。
 防衛力の抜本的強化に当たっては、防衛省自らが大胆な資源の最適配分に取り組むことが不可欠であると考えており、スクラップ・アンド・ビルドを徹底して装備等の最適化を実施するとともに、人口減少や少子高齢化に踏まえ、無人化、省人化、最適化を徹底していく考えであります。
 特に、無人アセットは、有人装備と比べて比較的安価であり、今般のロシアによるウクライナ侵略等において効果的に使用されたとの指摘も踏まえ、既存の装備体系、人員配置を見直しも考慮しながら、可及的速やかに必要な取組を進めてまいりたいと考えておるところであります。

○西田実仁君 こうした費用を賄う税制措置の実施時期は、二四年以降の適切な時期とされて、いまだ未定であります。我が党は、国会審議などを通じて丁寧に説明をしながら、実施時期を含めて国民の理解が得られるよう検討する必要があると考えております。
 総理にお聞きしたいと思いますが、この防衛増税の実施時期を決める際には、子供予算増額の財源確保の時期や金融正常化の時期などとそのタイミングをずらす調整が必要ではないでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今般の防衛力強化に係る税制措置の実施時期については、行財政改革を含めた財源調達の見通し、あるいは景気や賃金の動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえて、閣議決定した枠組みの下で税制措置の実施時期等を柔軟に判断してまいりたい、これが政府の考え方であります。

○西田実仁君 次に、不登校の問題についてお聞きしたいと思います。
 一月二十七日、参議院本会議での我が党の山口代表の代表質問を受けて、埼玉県内にある県立高校からこんなメールを頂戴しました。公明党の国会での質問は、学校に子供たちの味方である大人を増やせと聞こえました、本校なども是非視察をいただき、さらに、子供たち、家族、学校に寄り添える教育を政治でも目指していただきたいと願っています。
 早速、メールの差出人である埼玉県立吹上秋桜高校の神宮先生と連絡を取り、同校にてスクールソーシャルワーカーを務めておられる堀口先生からもお話を伺いました。同校は、新たなチャレンジをとことん支援する学校を標榜し、不登校やいじめ、発達障害、一人親家庭などの困難を併せ持つ生徒が多く学んでいる県立高校であります。
 同校でスクールソーシャルワーカーとして働く堀口先生は、週三回の非正規労働という契約にありながらも、行政など関係機関との協議に精力的に取り組んでおられます。支援の合い言葉は家族ワンパック。不登校になる背景には、精神疾患のある母親や一人親家庭、兄の不登校など様々であります。本人の問題だけではないとして、たらい回しにしないワンストップの支援で、本人、保護者、家族を孤立化させない重層的な支援体制、すなわち子供たちの味方になる大人たちがいる支援に注力しておられます。図を御覧いただくと、そういう図が出ております。
 だが、こうした労作業も、報酬が年間百万円ほどの非正規労働では、せっかく大学で精神保健福祉士の資格を取ってやる気があっても、なかなかスクールソーシャルワーカーとして働こうという人は出てきません。
 我が党は、各都道府県、政令市に一校以上、分教室を含めて不登校特例校を設置し、将来的には三百校程度の設置を目指しています。また、支援を要する児童生徒全員が必要な支援を受けられるよう、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの配置拡充なども推進しています。
 文科大臣にお聞きします。
 文科省では、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの実態についてどう把握されているか。
 また、今後、不登校特例校を設置する際には、地域の行政や医療機関、NPOや就労支援などの支援機関をコーディネートする存在として、スクールソーシャルワーカーを常勤として位置付けるべきではないでしょうか。

○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
 不登校特例校におきましては、様々な課題を抱える児童生徒一人一人の実態に応じた支援を行うための教育相談体制の整備を図ることが大変重要と考えております。
 このために、令和五年度予算案におきまして、スクールソーシャルワーカーの配置について、自治体の判断により不登校特例校への配置時間を拡充することが可能になりますように、重点配置校の数を充実することなど、学校の支援体制の整備に必要な予算を計上いたしました。
 あわせまして、スクールソーシャルワーカーが常勤の職として求められます職責や担うべき職務の在り方などに関します調査研究を実施をしているところでございます。
 引き続きまして、スクールソーシャルワーカーの配置、充実、努めてまいります。

○西田実仁君 次のパネルを御覧ください。
 全国の不登校児童生徒の変化を見ると、中学校三年生から高校一年になりますと約八〇%も減少しています。これは何も、高校になったら不登校の生徒が激減しているからではありません。中学校まで不登校だった生徒が高校へ進学していない、あるいは、中学校を卒業し高校へ進学したけれども、途中で退学をしたり、あるいは通信制の高校へ進学したりなどが原因と見られます。
 ここには、義務教育までは詳細に不登校生徒の人数を把握しているものの、高校へ進学すると途端にその実態がつかめなくなっている現実があります。学校とつながらなくなり、地域社会でもつながらない、すなわち子供たちと味方をする大人が周りからいなくなる。同校では、こうした事態を避けるため、二年前から、新入生全員の生徒理解教育シートを中学校の先生から作成いただき、中学校との引継ぎ支援を行っています。
 中学校を卒業する不登校生徒を地域で支援先へつなげるために、こうした生徒理解教育シートなどの情報共有をとりわけ特例校では実施すべきではないでしょうか。文科大臣にお聞きします。

○国務大臣(永岡桂子君) 不登校児童生徒が進学先におきましても引き続き支援が受けられますように、不登校特例校において、進学先に対しまして個人情報の取扱いに留意をしつつ適切に不登校児童生徒の情報を引き継ぐことは大変重要であると考えております。
 そのため、文部科学省におきましては、不登校特例校を含めました各学校や教育委員会などに対しまして、通知等におきまして、児童生徒理解・支援シートを活用いたしまして、中学校、高等学校間等の引継ぎを行うことが有効である旨を周知しているところでございます。
 引き続きまして、情報の引継ぎの重要性も踏まえ、不登校特例校においてこのようなシートが積極的に活用されますように働きかけてまいる所存でございます。

○西田実仁君 最後に、出産・子育て応援交付金の安定財源の確保についてお聞きしたいと思います。
 政府は、次元の異なる少子化対策を検討しておりますが、その中で、全ての子育て家庭に寄り添った支援が全国各地で着実に行われることも重要です。
 我が党の提案により、昨年の経済対策で創設することとなった子育て応援交付金については、経済対策の中でも安定的財源確保をうたわれ、また、年末の与党税制大綱におきましても検討事項とされております。
 この安定財源確保について政府として今後どう取り組んでいくのか、総理にお聞きします。

○委員長(末松信介君) 申合せの時間が参っておりますので、答弁簡潔でお願いいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の事業の、事業を継続的に実施するために必要な財源の確保については、与党税制改正大綱も踏まえて、政府として、子ども・子育て政策全体の財源を考える中でしっかりと検討してまいります。

○西田実仁君 終わります。ありがとうございました。

○委員長(末松信介君) 以上で西田実仁君の質疑は終了いたしました。(拍手)