213-参-予算委員会-009号 2024年03月13日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
   〔委員長退席、理事中西祐介君着席〕
 先週火曜日の当予算委員会におきまして、次期戦闘機の第三国への輸出について総理から答弁がございました。次期戦闘機はそもそもなぜ必要なのか、国産ではなくなぜ国際共同開発生産が必要なのか、そして、我が国を守る戦闘機の性能を確保するためになぜ第三国に輸出できる仕組みが必要なのか、この三つの必要性についての説明がございました。このうち三つ目の、次期戦闘機を第三国に輸出できないと共同開発の交渉上なぜ日本は不利な立場となるのか、我が国防衛にとってどのような不都合が生じてくるのかについて、もう少し掘り下げてお聞きしたいと思います。
 イギリス、イタリアは次期戦闘機にどのような性能を求めているのか、日本とはどう違うのか、第三国に輸出できる仕組みの有無が三か国の間での交渉にどう影響していくのかについて、可能な範囲で結構でございますので、総理にお答えいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) イギリス、イタリアが次期戦闘機に求める具体的な性能については、相手国との関係もありますからお答えは控えますが、ただ、各国の要求性能、これはその安全保障環境に応じ差異がある、これは事実であります。
 例えば、我が国周辺には、欧州を含む他の地域と比べて大規模な軍事力を有する国家等が集中しており、戦闘機についても、周辺国が新世代機の開発や配備、これを進めています。こうした我が国特有の安全保障環境から、我が国として、次期戦闘機に対して攻撃をできる限り洋上そして遠方で阻止することができる優れた空対空能力を重視しているように、要求性能、それぞれの状況によって異なるということであります。
 他方で、このような各国で異なる要求性能は、機体のサイズやコストの制約により、その全てを実現する、これは難しい、これが現実であります。
 こうした中で、我が国から第三国への直接移転を行う仕組みが存在しなければ、我が国はイギリス、イタリアが重視している輸出等による価格低減努力を行うことができず、そのような我が国のためにイギリス、イタリアが要求性能を譲ることは想定されない、結果として、我が国は交渉上不利な立場に置かれ、自らの要求性能の実現が困難になる、このように考えている次第であります。

○西田実仁君 我が国防衛のための次期戦闘機の共同開発であるにもかかわらず、我が国から第三国への直接移転、すなわち輸出を行う仕組みが存在しないことで必要な性能を確保できないとすれば、それは本末転倒と言わざるを得ません。
 しかし、国際共同開発した防衛装備完成品の第三国移転、輸出を一般的に認めれば、なし崩し的にあらゆる装備品が輸出できるようになり、日本に対する国際社会からの平和国家としての信頼が崩れてしまうのではないか、知らないうちに気付いたら戦いの中にということになりはしないか等々、国民の中にあるこうした疑問や懸念を払拭すべく、政府は丁寧に説明をしていかなければなりません。
 そこで、パネルを御覧いただきたいと思いますが、一昨日、NHKにより発表されました最新の世論調査であります。(資料提示)
 これによりますと、他国と共同開発する次期戦闘機などの防衛装備品を第三国に輸出することを認めるかどうかについて、輸出する国などを限定して認めるべきが五四%、認めるべきではないが三二%でありました。実は、先月の二月中旬になりますけれども、同じNHKの調査では、質問の仕方は若干異なりますけれども、輸出を認めることに賛成か反対かを聞いたところ、賛成は三一%、反対は五一%でしたので、この一か月の間に賛成と反対がちょうど真逆になっていることになります。
 この一か月の間、先週の当委員会でも、与野党を問わず、この共同開発防衛装備品の第三国輸出についての国会で議論が展開をされました。国民の皆様が抱く不安とかあるいは懸念に対して総理自らがその払拭に努められましたことが、こうした世論の変化を生んでいるのではないかと思います。
 ただ、次期戦闘機の第三国への輸出について、もろ手を挙げて賛成しているのは僅か四%しかおらず、輸出先などの限定を条件としての賛成であることは十分な留意が必要であります。
 NHKの調査の前日に公表されました共同通信社の調査でも、全ての国への輸出を認めるべきだという回答は僅か三・四%と、同様の傾向でありました。仮に輸出を認めるとしても、その条件や手続については、これまで以上に慎重かつ厳格に対応していく必要があります。
 そこで、総理にお聞きをしたいと思います。
 戦闘機の第三国への輸出は、これまでの日本の取ってきた安全保障政策の重大な変更であります。一昨年末の安保三文書、すなわち国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の三つの文書の閣議決定において、次期戦闘機の国際共同開発・生産を決めたときには日本からの第三国への輸出は前提としていなかったことは、さきの予算委員会において政府がこれを初めて公式に認めておられます。
 一昨年末の閣議決定の前提を変えるのであれば、なぜ方針を変更するに至ったのか、なぜ次期戦闘機を第三国に輸出する必要があるのかについて、昨日の自民党、公明党の党首会談において総理から示されたように、新たな閣議決定を行うべきではないでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 前回の委員会で委員にお答えしたとおり、二〇二二年末に国家安全保障戦略等の三文書を閣議決定したときから、次期戦闘機の第三国移転の必要性の認識は変化したところです。この点に鑑み、今般の運用指針の見直しに関しては、改めて閣議決定として政府方針を決定したいと考えています。
 さらに、その閣議決定において、将来実際に次期戦闘機を我が国から第三国に移転する際にも個別の案件ごとに閣議決定を行うことを盛り込み、移転を決定する前の与党への協議、これが確保されるようにしたいと考えます。

○西田実仁君 今総理の御発言を確認をさせていただきますけれども、次期戦闘機という最先端の防衛装備品を第三国へ輸出できる仕組みをつくるのであれば、実際に輸出する際の審議プロセスはより厳格に行われなければなりません。
 自衛隊法上の武器を初めて海外に移転する場合、現行制度では、国家安全保障会議、NSCの幹事会、そして、総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣から成るいわゆる四大臣会合において審議することとなっております。昨年十二月に米国に移転が可能となりましたペトリオットミサイルはその一例であります。しかし、次期戦闘機を第三国に輸出する際には、この四大臣会合に加えて、個別の移転案件ごとに閣議決定を行うことでより厳格な決定プロセスを経るべきとあります。
 ただいまの総理の御答弁は、二〇二二年末の閣議決定時から、第三国直接移転、すなわち輸出の必要性の認識が変化した点に鑑み、今回改めて閣議決定して政府方針を決定する、さらには、実際にGCAP、グローバル戦闘航空プログラムに基づき開発、生産された次期戦闘機を輸出する際は個別の案件ごとに閣議決定することをその閣議決定に盛り込む、こうした二重の閣議決定を行うという趣旨だと理解いたしますが、それでよろしいか、総理に改めて確認を求めます。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御認識のとおり、今般の運用指針の見直しに当たり閣議決定を行うとともに、将来実際に我が国から第三国への移転を行う際にも閣議決定を行う、このように、移転に当たり、言わば二重の閣議決定という、より厳格なプロセスを経ることを考えております。

○西田実仁君 次期戦闘機につきまして、第三国に輸出する際には必ず個別案件ごとに閣議決定することになれば、与党による正式な事前審査の対象となり、国民にも広く知らされることになります。国会における質疑等も含め、国民の理解を得るため、政府としての説明責任もより求められてくることは間違いありません。
 次期戦闘機の第三国輸出ができる仕組みをつくった場合、いつ頃、どんな国に輸出されるのか、その具体的なイメージをお答えいただくことは、その輸出が十年以上も先に見込まれるため現段階では困難だとは思いますが、防衛大臣に、今後のGCAPに基づく次期戦闘機の設計、生産等のスケジュールについて可能な限りお答えいただきたいと思います。(発言する者あり)

○理事(中西祐介君) 御静粛にお願いします。

○国務大臣(木原稔君) スケジュールについてのお問合せでございますが、次期戦闘機につきましては、現在、三か国で設計作業をしているところでございます。今後、戦闘機の試作や試験を経て、二〇三五年までに開発を完了させる予定です。
 開発スケジュールの詳細については三か国で検討しているところですが、設計作業を通じて仕様、性能が確定するまでには今後五年程度を要する見込みであります。
 他方で、次期戦闘機の性能は、ある一時点で全てが確定するものではなく、設計の進展の中で徐々に確定していく性質のものであり、時間の経過とともに我が国の意向を反映させる余地は徐々に減少していくことが想定をされます。このため、早い段階で我が国としてプログラムへの貢献を示せる制度を構築することが必要であると、そのように防衛省は考えております。
   〔理事中西祐介君退席、委員長着席〕

○西田実仁君 先ほど引用いたしましたNHKの世論調査でも明らかなように、世論の過半は次期戦闘機の第三国輸出について限定して認めることを求めております。
 そこで、仮に次期戦闘機を第三国に輸出する際にはどのような限定を設けるのか、これに関してお伺いをしたいと思います。
 新たな閣議決定により今回の国際共同開発に係る第三国への輸出に関する方針を定めるとすれば、その下で、九大臣会合、いわゆる先ほどの四大臣会合に加えて総務、財務、国交、経産、国家公安委員長により運用指針を見直すことになります。
 具体的には、一昨年末に見直しを行いました、ア、国際共同開発・生産のパートナー国に対する防衛装備品の海外移転、イ、パートナー国以外の国に対する部品や役務の提供、これに加えまして、ウ、パートナー国以外の国に対する完成品の提供を追加することとなるでしょう。
 その際、一般論としては、我が国防衛力の整備上の必要性から参画し、第三国直接移転、すなわち輸出が必要とされる場合に限定しますが、各論としては、国際共同開発に係る第三国への直接移転、すなわち輸出を認め得るのはGCAPに基づく開発、生産された次期戦闘機に限定すべきではないでしょうか。総理にお伺いいたします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 国際共同開発・生産において我が国からの第三国移転を認めるケースについては、これ、前回の委員会において西田委員からの質問に対する答弁で述べた必要性を踏まえ、我が国の防衛力整備上の必要性から参画する案件であって、我が国からの完成品の第三国移転が必要とされる国際共同開発・生産に限定する考えであります。
 その上で、個別のプロジェクトごとに運用指針に明記していくこととし、今回の見直しに当たってはGCAPに限定することとしたいと思います。

○西田実仁君 次期戦闘機が仮に第三国に輸出される場合に、どのような国に輸出されることが想定されるのかについてお聞きしたいと思います。
 輸出先については、国連憲章の定める目的等に適合する方法で使用されること、その目的外使用はしないこと、さらに、その国から第三国等への輸出の際には事前同意を行うといった国際約束を締結している国、すなわち防衛装備品・技術移転協定を日本と結んでいる国に限定すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のとおり、他国への侵略など、国際、国連憲章に反するような行為に使用されることがないよう、移転先については、国連憲章の目的と原則に適合した使用や、第三国移転の際の我が国の事前同意を相手国政府に義務付ける防衛装備品・技術移転協定の締結国に限定することとしたいと考えています。

○西田実仁君 日本と防衛装備品・技術移転協定を締結している国はどこでしょうか。具体的な国名を挙げていただきたいと思います。また、同協定は締約国にどのような国際法上の義務を課しているのでしょうか。この防衛装備品・技術移転協定と言われても、初めて聞く国民の皆様も多いと思いますので、防衛大臣に分かりやすくお答えをいただきたいと思います。

○国務大臣(木原稔君) まず、締結国ですけれども、我が国はこれまでに米国、英国、オーストラリア、インド、フィリピン、フランス、ドイツ、マレーシア、イタリア、インドネシア、ベトナム、タイ、スウェーデン、シンガポール、UAEの十五か国との間で防衛装備品・技術移転協定を締結してきています。
 当該協定では、我が国から移転した防衛装備の適正な使用及び管理を相手国に国際法上の義務として課すものであり、その中で目的外使用及び第三国移転について規定をしております。
 具体的には、目的外使用については、防衛装備を国連憲章の目的及び原則等に適合する方法で効果的に使用するものとし、他の目的のため転用してはならないことや、第三国移転については、防衛装備を相手国政府の事前同意を得ずに移転してはならないこと、これを相手国政府に義務付けているものでございます。

○西田実仁君 この同協定を結んでいる国に輸出した後に、当該国において例えば政変が起きたと。で、この輸出された戦闘機が当初の目的とは異なる、例えば隣国同士の紛争に使用されたり、それによって地域の安定が損なわれ、そういうような場合、ここには日本はどのように対応していくのでしょうか。
 まさにここは適正管理と、こう言われているところでありますけれども、その適正管理ということが本当に可能なのかどうか、これ防衛大臣に問いたいと思います。

○国務大臣(木原稔君) 先ほど申し上げましたように、移転した防衛装備につきましては、原則として目的外使用及び第三国移転について我が国の事前同意を相手国政府に義務付けております。さらに、最終需要者による防衛装備の使用状況や適正管理の確実性等を考慮した上で移転を認めることとなるため、移転先国が我が国の事前同意なく目的外使用を行うような事態は想定しておりません。
 その上で、万一、万が一、国連憲章の目的及び原則等に適合しない方法で使用される場合、例えば移転した防衛装備が他国へ侵略等に使用される場合については、我が国として相手国への是正の要求を行った上で、移転した防衛装備の維持整備のための部品等の移転の差止めを含めて個々の事例に応じて厳正に対処すること、そういったことが想定をされます。

○西田実仁君 防衛装備移転三原則では、自衛隊法上の武器について、移転先において武力紛争の一環として現に戦闘が行われているか否かを考慮するとしております。
 次期戦闘機の第三国への直接移転については、現に戦闘が行われている国に対する輸出は当然に禁止すべきではないかと考えますけれども、総理、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 次期戦闘機の移転に際しては、武力紛争の一環として現に戦闘が行われている国に対しては移転は行いません。

○西田実仁君 以上、国際共同開発による防衛装備品の第三国輸出というのは、まず次期戦闘機に限定すること、そして輸出先は装備移転協定の締結国に限定すること、さらに戦闘中の国には輸出しないこと、この三つの限定を厳格に守る必要があります。今申し上げましたこの三つの限定というのは、先週八日の日に、自民党、公明党の政調会長間の協議においても確認をされているということも付言させていただきたいと思います。
 最後の質問になりますけれども、報道等でこの次期戦闘機輸出という見出しが躍っているわけであります。その見出しだけを見て、中身をなかなか時間がなくて見れない国民の中には、この次期戦闘機輸出ということになればウクライナとか中東などに日本から戦闘機が直ちに輸出されるんではないかと、こういう不安を持っておられる方もおられます。また、次期戦闘機の第三国への輸出を認めれば、なし崩し的にどんどん広がってしまうんではないか、そういうおそれを持つ国民の皆様もおられます。
 共同開発の交渉の前の段階と、そして先ほどお話ありました個別の移転案件の当てはめの段階という二重の閣議決定と、そして今総理との間で確認をさせていただきました運用指針の見直しにおけます三つの限定と、これを堅持することによってこうした国民の皆様の不安、心配というものに応えられると、こういうふうに総理はお考えでしょうか。詳しく御説明お願いします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先ほど来答弁させていただいておりますように、三つの限定、すなわち、一つは、今回、第三国直接移転を認めるのはGCAPに限定するということ、二つ目として、移転、移転先国を防衛装備品・技術移転協定の締結国に限定するということ、三点目として、現に戦闘が行われている国には移転しないということ、この三つの限定とこの二重の閣議決定というより厳格な決定プロセスを経ることで、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を堅持することをより明確な形で示すことができると考えております。
 その上で、国民の皆様の一層の御理解を得ることは重要であり、国会における質疑も含め、丁寧に説明をしてまいりたいと考えております。

○西田実仁君 今後、今総理から答弁をいただきました、また防衛大臣からも御答弁をいただきました内容を踏まえて、閣議決定の中身でありますとか、あるいはこの運用指針の見直しにつきまして今後議論をしていくことに、詰めていくことになると思いますが、最後に総理に率直に御意見をお伺いしたいと思いますけれども。
 これまでのこの議論の経過を振り返ってみますと、やはり国民の皆様の理解を得ていく国会での開かれた議論ということがいかに大事かということを痛感をするわけでございます。こういう重大な安全保障政策の大きな変更を伴うというときには、やはり与党の一部の議員だけでの議論は荷が重過ぎるのではないかというふうに思います。しっかりこれは国民の皆様にも理解いただくために開かれた議論をしていく、そういうことがこれからの安保政策を考える上でも大変重要ではないかと私は思います。
 今回の件を改めて検証して、今後、こうした安全保障政策の議論についての在り方を検証していくべきではないかと思いますが、最後に総理にお聞きして、終わりたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、国の安全保障に関わる課題、国民の命や暮らし、これを守る、政治にとって最も重要な課題に対する議論、これを国民の皆さんの理解をしっかり得ながら進めていくこと、これは大変重要なことであると私も認識をいたします。
 その中にあって、今回は防衛装備品に関する議論でありましたが、今、この戦後最も厳しい、そしてこの不透明な安全保障環境の中で我が国の国民の命や暮らしを守っていくために、この防衛装備品がより高度化し、そして高額化する中にあって、日本が必要とする防衛装備品を確保するためには、各国とその技術や資金を共有する、協力する、こういった形で装備品を開発していく、こういったことが強く求められています。特に戦闘機については国際的な今や常識になっている、これがこの防衛装備品における共同開発のありようであると思います。
 何よりも、国民の命そして暮らしを守るという政治に課せられた重要な課題、この責任をしっかり果たしていくために現実に対応していかなければならない、その必要性について今委員とも議論をさせていただいてきたわけでありますが、これからも、こうした安全保障に関わる議論については、国会の議論等も通じて、より多くの国民の皆さんにこの議論を聞いていただき、この重要性について理解をいただき、納得をしていただきながら議論を進めていくことの重要性を改めて強く感じているところであります。
 今後とも、こうした姿勢を大事にしながら、この複雑な安全保障環境の中で我が国の国民の命や暮らしを守るための議論を丁寧に政府としても続けていきたいと考えております。

○西田実仁君 終わります。