郵政特・第13号 2005-08-03

【質疑事項】
1.民営化委員会の位置づけについて
2.いい民営化3つのビジョンについて
3.資金の流れ民間資金の需要開拓について
4.日本21世紀ビジョン「豊な公・小さな官」について<>○西田まこと君 公明党の西田実仁でございます。どうかよろしくお願いいたします。
私はまず始めに、今日は4点ほど大きくお聞きしたいと思っておりますが、1番目は民営化委員会の位置付けにつきまして竹中大臣を中心にお伺いしたいと思っております。その趣旨は、だれが最終的にこの民営化の責任を取っていくのかということに尽きるんだろうというふうに思います。
実は私、今回2回目の質問をさせていただくわけでございますけれども、前回私の方で竹中大臣に御質問させていただいたときに、特にこの民営化後の郵貯あるいは簡保のこの新事業展開、貸付け等の拡大等につきまして質問をさせていただきました。その際、竹中大臣から民営化委員会の位置付けについてこのような御答弁をいただきました。「行政の判断が有識者の中立的、専門的意見を踏まえたものになるようにこの民営化委員会というのが設置されるわけでございます。」と、こういうふうに御答弁いただきました。これが民営化委員会の位置付けだと思います。
さらに、質問させていただいたときには、この民営化委員会が意見を述べるに当たりましては、立法府の意見を聴取するということは制度的には義務付けられておりませんけれども、民営化委員会が意見を集約するに当たりまして、各委員は判断するに当たって勘案すべき様々な事情を勘案する。当然その中には、国民の代表から成る立法府における御意見を始め国民各層の様々な意見を踏まえてと、このような御答弁をなさったわけでございます。
私は、率直にこの御答弁をお聞きしまして思ったことは、民営化後の運営を、専門的、中立的な意見を踏まえたというものを行政の判断にゆだねる、もっと言えば官にゆだねていくという考え方にならないのかどうか、今回の郵政民営化のそもそものねらいが官から民へというキャッチフレーズに表れているとすれば、民営化委員会の踏まえた民営化の姿ということについて、すべて官にゆだねることになってしまうんではないかと、これでは官から民へという目的も達成できないんではないか、このような心配もするわけでございますけれども、まず、この民営化委員会の位置付け、また立法府のそこへのかかわりということにつきまして、概括的にお話を賜りたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君) 郵政の民営化、大変大きな改革でございますので、それぞれがそれぞれの責任を果たしながらしっかりとこれを実現していくということが必要でございます。経営者は当然経営者としての責任を果たしていただかなければならないわけでありますけれども、制度設計、そして必要な場合はそれを微修正していくというようなその責任は、やはりその制度の枠組みをつくるということでございますから、これは広い意味での政府の中にあくまでもあるわけでございます。
そうした中で、郵政民営化委員会というのは、これは今、私の過日の答弁お読みいただきましたけれども、行政の判断が有識者の中立的、専門的意見を踏まえたものになるよう設立されるもので、もうそのとおりでございます。
具体的に何をやるかといいますと、主務大臣が新たな業務等々を認可する際に意見を述べること、これ重要な役割でございます。さらには、3年ごとにこの郵政民営化の進捗状況について総合的な見直しを行いまして、その結果に基づき本部長に意見を述べると、大変重要な役割が付与されております。
これは、正に郵政民営化法上、国は、この法に定める民営化の基本理念にのっとって、郵政民営化に関する施策を確実かつ円滑に実施する責務を有する、国はそういう責務を有する、国の責務というのがこの法律の中に明記をされております。
この委員会は、国の機関として設けられます。また、民営化を推進するためのこの推進本部の下で、その下で活動するということになります。そうした観点から、この郵政民営化が基本理念、方向に即して活動を行うという、その枠組みがきっちりとはめられているわけでございます。
それともう1つ重要な点は、3年ごとに意見、見直しに当たっての意見を述べるわけでございますけれども、その内容を国会に報告するという仕組みをきちんとつくっております。これも前回の西田委員に対する御答弁の中で申し上げましたけれども、国民の代表から成る立法府における御議論を始め国民各層の様々な意見を専門家の立場から言っていただくことになるということ、そして専門的な知見を生かして意見を述べるというような仕組みでございます。
今申し上げましたように、広い意味で国として責任を負っている、それを推進本部、そして民営化委員会、それぞれがしっかりとした役割を果たしていく、そして国会の報告もする、その過程で国会の御意見もしっかりと聞かせていただくと、そのような仕組みにしております。

○西田まこと君 最近、この政府税制調査会から出されました今後の税制に関する論点整理がございまして、これまあ大変話題になったわけでございますが、最終的にはもちろんこの税というものは政治が決めていくということになろうかと思いますけれども、整理にすぎないにもかかわらず、今度サラリーマン増税だみたいな、キャッチフレーズ的にですね、非常にそれが独り歩きしていると、こういうふうに、そういう嫌いがあると思います。この政府税調につきましては、必ずしも私は全面的にそう思っているわけじゃございませんけれども、一般の国民の間では、この政府税調の役割が結果的に財務省の言いなりになっているんではないかというふうに見る方も、批判的に見る方もいらっしゃると。
これは、今回の郵政民営化に関しまして、民営化委員会がそのように国民にもしとらえられてしまっては、これはやはり信頼が欠けてしまうということを大変に懸念しております。まあ、この政府に関する委員会あるいは諮問会議等いろいろございますけれども、それに対する信頼度ということだと思いますが、この民営化、大変に重要に、これだけ立法府におきまして議論をされている、こういうことを踏まえますと、この民営化委員会は大変に重要な役割を果たしている、そして、そこに立法府がやっぱりより多くかかわっていくということが私は責任として大事だと思います。
ところで、そこの郵政民営化法案、先ほど国会に報告しなければならないという郵政民営化法案の第11条第2項を御紹介いただきました。ここにおきましては、「郵政民営化委員会が第19条第1項第1号又は第161条第5項の規定による意見を述べたときは、その内容を国会に報告しなければならない。」というふうに記されているわけでありますが、この第19条第1項というのは大変に幅広うございまして、具体的に、3年ごとに経営状況の見直しをして報告をすると、総合的に検証すると、あるいは進捗状況を総合的に検証して報告すると、こういうことになっているわけでございますけれども、具体的に、では国会に何を、どういう項目を報告するのか、またその項目をだれが一体決定するのかということについて、現時点でもしお分かりのことがあれば教えていただきたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君) 今委員は第19条を御紹介いただきました。第2節に、その郵政民営化委員会を設置して、所掌事務は何であるかということを幅広く述べているわけでございますが、そこで何をやるかということに関しては、これ第1項に次のように書いてございます。「3年ごとに、承継会社の経営状況及び国際金融市場の動向その他内外の社会経済情勢の変化を勘案しつつ、郵政民営化の進捗状況について総合的な見直しを行い、その結果に基づき、本部長に意見を述べること。」というふうにさせていただいております。
我々の思いは、これ是非総合的にやっていただきたいということでございます。幅広く見ていただきたいということでございます。幅広くというふうに書くと、今度はじゃ具体的に何か見えにくいなと、分かりにくいというような御批判もあろうかもしれませんが、今ここに書いてございますように、経営の状況もあるし、マーケット、世界の金融の市場、常識もありますし、それと、その他の経済状況もありますから、そういうことを見越して、そういうことを踏まえて進捗状況について是非見ていただきたいというふうに思っております。
それに関連して、大変重要なことがもう1点ございまして、それは、政府、与党合意の中で、3年ごとの見直しの中に、これは特に具体的に記述する形で、この見直しの対象には必ず設置基準に基づく郵便局の設置状況を入れる。これは、要するに、郵便局が本当に設置されるのか、多くの方が御心配だから、それを必ず入れる。また、基金の活用等による金融・保険サービスの提供状況も含める。やはり金融サービスがちゃんとなされているのか、これについても大変御関心がございますから、それでその状況を含めるということを特に政府、与党合意の中で特記しておりますので、こうしたことについては必ず含めると。
かつ、その時々に合わせて、今申し上げたような総合的な立場で幅広く是非意見を述べていただきたい。そして、それを遅滞なく国会に御報告をいただきたいというふうに思っております。

○西田まこと君 この国会報告が義務付けられている、今おっしゃったとおりでございまして、第19条第1項第1号又は第161条第5項の規定ということになるわけでございますが、同じこの第19条第1項第2号におきましてはいわゆる通知の受理、あるいは意見の陳述事項も併せて第2項に記されているわけでございますけれども、こうした民営化委員会に付与されました権限につきまして、今申し上げた、通知の受理して、必要があれば意見を述べるというのが通知の受理という意味だというふうに理解しております。また、意見の陳述は、必ず意見を述べなければならない事項であるということだと思いますが。
こうした通知の受理や意見の陳述ということについて、民営化委員会にはその意見を述べる権限というものが付与されているわけでございますけれども、この民営化委員会に付与されている権限を行使した場合のチェックにつきましては、これは国会はどのようにかかわってくるんでしょう、立法府はどういうふうにかかわっていくんでしょうか。

○国務大臣(竹中平蔵君) お尋ねは、民営化委員会の権限についてのチェックということであろうかと思います。
この民営化委員会、経営の自由度を拡大してもらいたい、しかし民間とのイコールフッティングに注意しなければいけない、その両面のバランスを取りながら進められますよう、また、行政の判断が有識者の中立的、専門的意見を踏まえたものになるように設置をされるわけでございます。
大変重要な役割を果たすだけに、そこのプロセスをできるだけ透明化して、委員御心配のように、そのチェックのやはり仕組みが必要だろうというふうに我々も考えております。
この郵政民営化委員会が、3年ごとの見直しに当たっての意見又はもう1つ、承継計画を主務大臣が認可するに当たってもこれ意見を述べるわけでございますけれども、これは国会に報告をして、そこの中身について国会に御報告する形で明らかにするということも1つのチェック機能であろうかというふうに思います。
また、民営化委、さらにその民営化委員会に関しましては、民営化委員会は、この法律に、規定により意見を述べたときは、遅滞なく、その内容を公表しなければならないというふうに定めておりまして、民営化委員会の活動がオープンになるように、そのような定めもこの同条の第2項で定めているところでございます。

○西田まこと君 さらに、この郵政民営化法案の第25条におきましては、民営化委員会は、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の代表者に対して、資料の提出あるいは意見の表明、説明、その他必要な協力を求めることができると、こういうできる規定がされているわけでございますが、これは既に一応もう民営化された形になっている、移行期間といえどもですね、なっている郵便貯金銀行あるいは郵便保険会社は、こうした必要な協力を求められたときに、断るということができるんでありましょうか。断った場合の罰則はありますでしょうか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 郵政民営化法の御指摘のように25条におきまして、民営化委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときには、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明、その他必要な協力を求めることができるというふうに規定をしております。これは、当然のことながら、いろんなことをある程度調査して意見を言わなきゃいけないわけですから、その意味で資料の提出等々協力は不可欠なわけでございます。
この協力について、罰則で担保するという措置はとっていないんでございますけれども、公社を承継する各会社は、郵政民営化に関する施策が確実かつ円滑に実施されるよう必要な取組を行う責務を有しているところでございます。これは、民営化法の第3条にその責務を有するというふうに規定されている。そうしたことから、この貯金銀行、保険会社の代表者は、協力を拒む合理的な理由がない限り郵政民営化委員会の必要な協力を行うというふうに考えられます。
さらに、もう少し踏み込んで申し上げますと、仮にその合理的な理由がないにもかかわらず郵便貯金銀行の代表者がこの必要な協力を拒否する場合には、これは郵政民営化法の規定に違反することになるわけでございます。
銀行法の第27条、保険会社については保険業法の132条で、銀行、保険会社が法令等に違反したときには、内閣総理大臣は当該銀行や保険会社に対して業務の停止等の処分をすることができる旨を規定している。で、民営化委員会は郵政民営化推進本部に状況を報告し、処分の発動等必要な措置をとることを要請することになる。
これは、要するに銀行と保険会社でありますから、ちゃんと、民営化法でちゃんと法律を守れというふうに書いているのに、協力しなかった、法律を守らなかった場合は、これは明らかにコンプライアンスに違反したことになります。そうした観点から、銀行法、保険業法に基づいて、政府はしかるべき対応を取ることができるというふうに考えております。

○西田まこと君 この民営化委員会、今はちょっと細かい話もお聞きしましたけれども、大変に重要な役割で、しかもその中には有識者が重要な役割ということになるわけですが、この有識者というのはほかにも登場するわけでありまして、同じく1回目の質問で麻生総務大臣にお答えいただきました中に、この社会・地域貢献基金、ここの計画策定におきます有識者の役割、これは、大臣はこう述べられました。「識見のある有識者というものをえらく尊重していることになっておりますが、それを人選するに当たっては当然その地元に詳しい特定郵便局を含めて郵便局の方々がいろいろ有識者の人選をされて」云々と、こういうふうにおっしゃっておられたわけであります。
〔委員長退席、理事市川一朗君着席〕
この郵便局株式会社法案第6条第2項におきましては、この地域貢献事業の実施計画に関する有識者の意見尊重ということで定めております「地域貢献業務に関し優れた識見を有する者」ということの意味として、中身として、大臣はやはり当然その地域の地元に詳しい特定郵便局長あるいは郵便局の方々ということを明示されておられると、例えばということですけれども、というふうに理解しておりました。
先ほど政府税調の話をあえて挙げさしていただきましたけれども、国民の厳しい視線というものを踏まえた上で、この意見が尊重される、大変重要な役割を果たす、地域・社会貢献基金の計画策定で大変重要な役割を果たす有識者に、もちろんその特定郵便局長とか郵便局だけの方で構成されるとは私ももちろん思っていないわけでありますけれども、この地域・社会貢献基金が大変重要であるということにかんがみれば、広い、幅広い国民の方々がそこにやはり信頼をしていくということが大事だろうと思っているわけでございまして、決して郵政関係者の意見だけがすごく強くなってしまうということが、もちろんそんなこと意図していないと思いますけれども、念のために確認で大臣にお聞きします。

○国務大臣(麻生太郎君) あの7月19日の委員会で先生の方から先ほど読まれた、読まれたとおりのことを答弁をいたしておるんですが、「地元に詳しい特定郵便局を含め」という、書きました、申し上げましたのは、これはやっぱり、ちょっと正直済みません、選挙区がどこだか知りませんけれども、私どものような選挙区でいきますと、大体特定郵便局というのはその地元じゃもうめちゃ知名士、大体3代目とかなんとかの人が一杯おられまして、そういった方々のところに皆相談に行くぐらい、方が大勢いらっしゃいますものですから、特定郵便局長を入れるということになりますと、また話はえらく込み入ることになるんだと思いますし、変な、先ほど疑われるようなことはよろしくないという御指摘もありましたので、そのようなことを、特定郵便局長を入れるとかなんとかいうことを言っていること、意味しているわけではありません。
ただ、当然のこととして、これはその公社がどういうことをしているかというのに、もう退職された方々含めまして、そういった方々が1番詳しいということもまた事実でもあろうと思いますので、最優先をされるというわけではありませんけれども、そういった特定郵便局とか郵便局に詳しい方々という方の御意見というのは、もう田舎に行けば行くほど自動的に、有識者というのはそういった方々、避けて通れないぐらいの方々が多いと、私どもはそう理解をいたしておりますので、そういった方々の意見は当然のこととして尊重させていただくことになろうと存じます。

○西田まこと君 私もそれはもう全く同感でございます。ちなみに、私、埼玉でございまして。
要するに、この信頼性を確保するという意味合いであえて申し上げさせていただいたわけでございますが、この民営化委員会の議事録等につきましては衆議院の特別委員会でも我が党の石井衆議院議員からも質問させていただいておりますが、この地域・社会貢献基金に意見を具申する、有識者の方々の意見交換という多分仕組みになっていると思いますが、この意見交換の中身を、透明性をいかに担保するかということはやはり重要なのかなという気もします。
昨年の十月六日、竹中大臣の中で、制度設計の策定プロセス、手続が透明であることという、透明性の原則というのを3つの原則のうちの1つに、今回の郵政民営化制度設計に当たっておっしゃっているわけでありまして、この地域・社会貢献基金の計画策定に当たって地域の有識者の方々から意見をお聞きしてそれを尊重すべきという、あえて尊重と書いてあるわけで、大変に重い御意見をいただくわけでございまして、それを地域住民の方々にも幅広く知っていただく、あるいは納得していただくということのためにも透明性を担保する必要があるんじゃないか。いろんなやり方があると思いますけれども、竹中大臣はその点についてどういうお考えをお持ちでしょうか。

○国務大臣(竹中平蔵君) 私どもが掲げました法案作成に当たっての3つの指針の中の透明性というのを御紹介してくださいまして大変ありがとうございます。これは大変もちろん我々にとって重要なことだというふうに思っております。
御指摘のように、有識者の意見を聞くという、それを尊重するということを法律上義務付けているわけでありますので、法律上尊重を義務付けていると、これは大変重い規定であるというふうに私も思っております。
地域貢献業務計画というのを作るわけですけれども、その業務計画の案の作成段階においては、これは様々な有識者、いろんな方が考えられると思いますけれども、地域の実情は様々でありますので、どういう形で意見聴取をするかと、その具体的な方法については、地域貢献業務とそして各地域におけるその必要性を最も熟知をしております郵便局会社の判断にまずはゆだねるのが適切であろうというふうに思います。
その上で、更に申し上げれば、郵便局の提供するサービスに対するその地域のニーズとか、その有識者がどのぐらいお忙しいか、時間を取っていただけるか、様々でありましょう、地域の事情もあると思いますので、意見聴取の方法についてもいろいろな場合を考えなきゃいけないんだと思います。
まず、透明性の確保のために議事録を公開するというようなことも1つの方法だというふうに思いますが、一方で、自由な意見交換、本音の意見交換をしていただくためにはどういうやり方が良いのか、これはケース・バイ・ケースという面もあろうかと思うんですね。そういうことも含めて、郵便局単位のきめの細かい地域のニーズが判断できるような形で地域の有識者等から意見聴取がやっぱり適切に行われて、本当の意味で本音がちゃんと吸い上げられる、そしてできるだけそれを透明に公開していくと、そういうことが必要だろうというふうに思っております。
そのために、総務大臣が地域貢献業務計画を認可する際に所要の書類を提出させまして、地域の有識者等からの意見聴取の方法等についても、これは本当にちゃんと適切に行われているかということも審査をした上で適切性を担保するというような仕組みを考えているところでございます。

○西田まこと君 次に、2つ目の論点で生田総裁にお聞きしたいと思います。生田総裁がかねがねおっしゃっているいい民営化ということについてお聞きしたいと思います。
総裁は、この委員会でも何度か、もし民営化するのであればいい民営化でなければならないと、こう言われております。そして、いい民営化とは一体何かというと、総裁のお言葉をおかりすれば、公社が掲げる3つの経営ビジョンがより良く達成できること、こういうふうに言われておられます。
この3つの経営ビジョンは、私も読ませていただきましたけれども、私なりに要約すれば、3つの向上ということではないかというふうに理解をいたしました。すなわち、利便性の向上であり、採算性の向上であり、さらに、働く方々の意欲の向上、この3つの経営ビジョンということを達成、より良く達成できる民営化であれば、それがいい民営化であると、こういうふうにおっしゃっているんではないかと承知しております。
この御発言をお聞きして、3つ、目的が経営ビジョンとしてございますけれども、この3つのビジョンは決してそれぞれが独立して存在しているものではないんだろうというふうに思っているわけでありまして、これはホームページにも総裁のメッセージで載っておられますけれども、真っ向サービスに象徴されるやはりこの利便性の向上というものなくして、2番目の採算性の向上とかあるいは働く方々の意欲の向上もないというつながりになってくるのかなというふうに理解しているんですけれども、私の理解は間違っていますでしょうか。総裁、お聞きします。

○参考人(生田正治君) 今先生がもうほとんど私の思いを代弁していただいたんで、加えることないわけでありますけれども、昨年の春以来、民営化の話が出るたびに、私は、例えば公社法の改正か民営化かと、民営化するのであればより良い民営化と。
それは、公社が掲げている3つの経営ビジョン、真っ向サービスで全国の国民、お客様の利便性の向上、それから赤字構造の郵便も何とか黒字にして、まとめて経営基盤を強化すると、それから3番目に、働く職員に将来展望と働きがいをと、これでやっているわけでありますが、御指摘のように、中長期的視点に立ってうまく経営すれば、この3つのビジョンは完全に連動、連鎖するものであります。
他方、率直に言いまして、短期的視野でうっかり経営いたしますと、マイナスに、お互いに2律、3律背反してマイナスになるということでございまして、私ども公社としては、これを何とか中長期的視点でいい連鎖になるように、いい連動になるように、今、鋭意努力中ということでございます。
仮の話で非常に極端なことを申し上げれば、コストのことを100%忘れてお客様の利便性だけを図れば、これは経営の基盤にひょっとするとひびが入ってくるわけで、その結果として従業員に対しても十分報いることができないと、こういうマイナスの連鎖も、短期的な視野で経営を間違えるとあり得るわけでありまして、また短期的な視野で事業の利益、そういったものだけ、資本の論理だけを追求いたしますと、お客様の利便性が損なわれるし、従業員もきちんと遇せないと、こうなるわけでございます。
そこで、私どもが考えてやっておりますのは、社会貢献とか福祉、これはもう当然別格として、非常に皆が誇りを持って今一生懸命やらしていただいているわけでありますが、それは別格といたしまして、その他については、中長期的な視野で、適切なコスト意識を持ちながら、真っ向サービスでもうとにかくお客様のニーズを先取りしながら喜んでいただくように最善を尽くすと、これをもう第1にしております。先生御指摘のとおりです。そしてその結果、お客様の御信頼を何とか得まして、それで御愛顧いただくと。そうすると、お仕事をちょうだいするわけですから、事業も成長し、健全化する。これは正に連動してくるわけでございまして、そうした経営計画、経営者が何考えているのかといった経営計画というものあるいは戦略というものを職員に十分説明いたしまして理解してもらうと。これによりまして、職員たちも将来こういうふうになっていくんだということが読めるわけで、働きがいが出ると、こういう望ましいプラスの連動、連鎖を何とかしたいと、こう思っているわけであります。
最後に一言付け加えますと、公社、1期4年、アクションプランのフェーズ1、フェーズ2、18年の3月までありますが、通じてかなりいい連動ができると思います。少なくとも、フェーズ1、いい連動しました。フェーズ2のこれからの2年もいい連動はすると思います。これを中長期的に実現していくためには、繰り返し申し述べているように、制度上大きな制約があると。したがいまして、閉塞感が出てくるので、私どもの気持ちとしてはできるだけ早くプラスの連動、ウイン・ウイン・ウインといった中長期的ないい連動が可能な経営ができるように、是非ひとつ制度改革を御検討いただきたいと、こう思っております。

○西田まこと君 この真っ向サービスということに象徴される利便性の向上がやはりなければ、なかなかその採算はもちろん良くならないし、当然、働く方の意欲の向上というものももたらされないだろうと、こういうお話だと思います。
この利便性を向上させるということは、すなわちお客様にとってこれまでにないサービスをいかに提供していくのかということになるわけでありまして、それには経営の自由度がやはり必要であると、こう総裁は強調されておられるわけであります。すなわち、民間企業と互角に競争できる、この制度的自由の確保というものが不可欠になってくることからすれば、これはやはり抜本的な公社法を改正するかあるいは民営化しかないと、こういう結論に帰結してくるということもまたよく理解されるわけであります。
ここで具体的にお聞きしたいと思いますけれども、民間の金融機関が新しい金融商品並びにサービスを提供する場合と、郵政公社が新しい金融商品を扱う場合にいかほどの違いがあるのか、そのアイデアがあってから実際に発売できるまで、またそれがどのぐらいの時間の違いというものがあるのか、これにつきまして金融庁並びに総務省でしょうか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(伊藤達也君) まず、民間の金融機関、民間の銀行の場合について御説明をさせていただきたいと思いますが、民間の銀行につきましては、業務の健全かつ適切な運営を確保する等の観点から、銀行法第十条において業務範囲及びその資産の運用の範囲について定められているほか、様々な監督上の規制が設けられているところであります。
このような銀行法令の枠組みの中で、民間銀行がどのような新しい金融サービスの提供を行うか、またその資産というものをどのように運用していくか、このことについては、基本的には各銀行の経営判断にゆだねられていると認識をいたしております。

○政府参考人(鈴木康雄君) 日本郵政公社が行いますサービスにつきましては、日本郵政公社法第19条等によりまして個々に定められておりますので、当該業務についての具体的な商品あるいはサービスにつきましては、その業務を規律する郵便貯金法、その他個々の法律の範囲内で提供が可能になっております。すなわち、新たな商品、サービスの提供については法改正が必要になるということでございます。
また、今、金融担当伊藤大臣の方からお話ございました運用について申し上げますと、運用につきましても、郵便貯金、簡易保険につきましては、運用対象がすべて公社法の中で、公社法41条及び45条で規定されておりますので、新たな運用対象を入れる場合、失礼、それぞれの資金の運用対象とする場合には法律改正が必要となります。もちろん、法律の範囲内で政省令あるいは公社の業務方法書によって定められているものもございますので、そういった場合には、政省令の改正あるいは業務方法書の変更の認可その他で行うこともできます。基本的な部分は法改正によるということでございます。
以上でございます。

○西田まこと君 具体的に、この間、東京中央郵便局を拝見させていただきましたけれども、そのときにも、この10月から窓口で投信が発売されるということで、今ちょうど工事中というところを見させていただきました。
この郵便局で窓販される民間の投資信託、これにつきましては、実際に検討を公社内で始められてから、この10月、いよいよ販売、発売ということになるわけでありますけれども、大体どのぐらいの時間を要したんでしょうか。

○政府参考人(鈴木康雄君) お答え申し上げます。
公社内でということになるんですが、後ほど、1昨年の4月から公社が発足いたしましたが、その以前から検討いたしておりましたが、内々の検討を経まして、証券市場活性化関係閣僚等による会合というのが1昨年の5月ございました。その中で、郵便局ネットワークを活用した民間投資信託の窓口販売について、その年度中に検討すべきものということを決められたわけでございます。また、それを受けまして、6月に、着実に実施、検討するということで、言わば法律化の準備をしろということが政府として決定されました。
その翌年の常会ではございませんで、16年の11月に開かれました161臨時国会に改正法案を提出いたしまして、12月に成立をさせていただき、この6月に特例法が施行されているということでございまして、今、公社の方ではこの10月をめどに発売の準備をしていると聞いております。
以上でございます。

○西田まこと君 そうすると、2年半ぐらいということに計算すればなろうかと思います。
先日、地方公聴会に岩手の方に私も行かせていただきまして、ひとつ総裁に現場で働く方の声をお届けしてみたいと思います。なぜならば、先ほどの3つの経営ビジョンのうちの3番目というか、順番はないんでしょうけれども、重要な点として、働く意欲の向上ということがございましたので、現場の総務主任の方が民営化になると働く意欲がなくなるというふうに言っていまして、そのことを是非、せっかくの機会で、国税を使って地方に行かせていただいたその生の声をお伝えしておいた方がいいと思いますので。
これは、多分この方は、総務主任の方は、窓口会社の社員になるんじゃないかと自分のことを思っていらっしゃいます。今度、委託料をもらってやることになると。そうなると、多分、人の仕事をやるということで、責任感がどの程度、私も含めてですが、持っていけるのか大変に不安であると。こういうふうに考えていくと、気持ちが、今までは地域の皆さんのためにというふうに思っていたけれども、もう自分のためというふうになってしまうような感じもしますと、こういう率直な、現場の総務主任の方がおっしゃっておりまして、これは大変貴重な、働く現場の方々に、一生懸命やっていらっしゃる方が今のこの議論の中でそういう不安というか懸念をされているということは、やはり率直に総裁にお伝えし、また、感想と言ってはなんですが、お聞きできればと思います。

○参考人(生田正治君) お話、ありがとうございます。地方のみならず、中央も含めまして、全職員、今こういう状況ですから、しっかりした私ども説明責任果たせませんので、不安を持っているんだろうと思って、私は胸を痛めております。
職員が自分たちの将来、配置、労働条件など、どうなるんだろうなという不安を持つのは当然でございまして、早く説明できるような状態になりたいと思うんです。特定郵便局の総務主任もその1人だと思うんでありますけれども、その1人の今のお話に限って言いますと、考えようによってはいい兆しなのかも分からないと、私は実はその話を聞いて直観いたしました。
それは一般論として言いますと、各職員とも今のところは、やっている仕事ありますよね。職域とか業務内容というのは、スタートのときはおおよそで言えばほとんど変わらないわけなんで、この事情を話せれば、もし民営化が決まれば、話せばまず第1の不安は解けるんじゃないのかなということと、意識の問題として、今は26万人分のうちの1人なんですよ。非常に小さくなるんですね。それがもし民営化になるとして分社化になるとすると、ずっと小さな単位のうちの1人になるから、もう少し分かりやすくなるんですね。
それから、業務は、今独立採算制ではやってはいますけれども、3事業の業務区分というものも今もちろんあるんですよ。だけれども、それは何となく頭の中で、今のところは混合するというか、混ざり合っているんだけれども、これがもし分社化になるとすれば、それはきちっと区分ができてきて、自分は例えば26万分の1ではなくて10万分の1で、もう少し存在がはっきりするし、どの仕事をするのかというのがはっきりしてくるんじゃないのかなと。もちろん2、3人局とか4、5人局、複数でやる、複数の仕事をやるところありますけれども、そこもはっきりしたルールが適用されて、やはり業務区分がはっきりするんだろうなと。
〔理事市川一朗君退席、委員長着席〕
これによりまして、結局、職員1人1人の意識というものは、そういったことが全部、説明が行き渡り出したら帰属性がはっきりしてくる。帰属性がはっきりしてくる。それから、専門性がしたがって増えるということになりまして、そして今、正に本人が言っているように、自分の帰属する組織のためにやらなきゃならないからお客様の方を余り向けないということは、やっぱり自分の帰属先に物すごく今心配して、責任を持とうとしているわけですね。その責任感というものが逆にエネルギーになって、その帰属した会社を良くするためにはそれこそ真っ向サービスで、お客様のため、地域のために全力を尽くすべきなんだということは必ず分かってくるんだろうと思うんで、今のその不安というものは多分、もし民営化になるとすれば、近い将来、将来展望に向けてのエネルギーになるんだろうなと思います。
いずれにしましても、職員の不安を解消さすのは私の責任なので、何とか最善を尽くしていきたいと思っています。

○西田まこと君 ありがとうございました。
時間も限られておりまして、3つ目のテーマに移らせていただきたいと思います。私、前回もお聞きしたテーマでございますが、お金の流れについてということでお聞きしたいと思います。
これは、私もずっとこの特別委員会の委員をさせていただいて、1番端に座ってずっと座り続けているわけでありますけれども、いろんな議論が重ねられてまいりました、お金の流れということについてですね。その中で、どうしても非常に気になっている表現がございまして、是非これは、賛成派の方も、また反対派の方にもある意味、まあ参考人の方も含めまして共通している文言でございまして、それをちょっとお話をさせていただきたいと思います。
これは私が質問させていただいたときも、竹中大臣から、まあ別に言葉じりをとらえるわけじゃないんですが、官から民へお金を流すと、こういうふうな表現をされたこともありました。また、民営化に反対される方も、お金を民間に流すのは無理だと、こういうような表現を取られる方もいらっしゃいまして、私はこの官から民へお金を流すとか流さないとかという表現に非常に気に掛かるわけでございます。
言葉じりをとらえているようで恐縮です。ほかの表現の仕方ももちろんされているので、これだけをとらえて云々というのは申し訳ない限りですけれども、私はやはり、官から民へお金を流すという発想の根っこにあるところが、そもそも今回の郵政民営化の精神というか基本と異なるんではないかというふうに思っている。そこで別にそんな拍手をいただくことでもないんですけれども。
これは、要するに新しいこの金融機関に国民の資金を集めて、それを何かこう、あたかも民間に流していくというのは、ある意味では間接金融の発想であり、私は官の思想だというふうに思えるわけでございます。この郵政を民営化したからといって、これはもう大臣も何度もおっしゃっていますけれども、何か自動的に、黙っていて官から民へお金がこう何か流れていくということにはならないわけであります。
実際に、私は実際の事実だけを申し上げたいと思いますが、これは元利保証が当然今までありますので、97年以降のこの金融不安の中で資金は官に流れていったと言われたわけであります。しかし、金融不安が取りあえず去って、ペイオフも解禁に無事なりました。今、利用者が、ある意味では投資家として有利な運用先を自分で選択していくと、こういう時代に入っていることはもう間違いないわけです。もちろん、その一方で、金融弱者への配慮、あるいは金融排除のテーマもいろいろ出されました。これはもちろん考えなきゃいけませんけれども、一方で国民が自らのお金を投資していくという時代に入ってきたということも、これまた事実でありまして、これは、そういう意味では有利な投資先であれば、それが国債であろうと、あるいは投資信託であろうと株式であろうと、官民を問わず流れていくと。
ですから、水がやはり低きに流れてお金は高きに流れるという、収益性がある方に流れていくという、これはごく自然なことだというふうに私も理解しているわけでございまして、そういう意味では、これから重要なのは、やはり国民が投資家というのは、ちょっとかぎ括弧付きの投資家というふうにあえて言わせていただきますけれども、投資家としての意思が自由に、意思決定が自由にできる、投資の方向先を自らが決定できると、そういう仕組みに変えていく必要があると、そういう制度的な拘束を外していくことが必要になってくると。そこにこそやはり今回の郵政民営化の本質があるだろうというふうに私自身は理解しておりますし、民に流すという発想は、一言で言えば何か官尊民卑みたいな、何か、いうようなイメージにも取られてしまいまして、ちょっと私はそこの言葉が、言葉じりではないんですが、あえて確認のために大臣に、今私が申し上げたことについての理解について、お言葉があればお聞かせいただきます。

○国務大臣(竹中平蔵君) いや、これは西田委員、正に私、確かに気が付くと官から民にお金を流すというふうに私自身言ったと思いますし、別の言い方をしたこともあるかもしれませんが、そういう説明の仕方をしてきたことが多かったと思います。そして、今改めて問われれば、そういう言い方は、やっぱり必ずしも意を尽くしていないと、場合によっては非常に誤解も招くと、その今の委員の御指摘は大変重く受け止めなければいけないなというふうに思いました。
要するに、私ども、お金の流れというのをマクロ的にとらえて、そのお金の流れが変わることによって経済が活性化していくと、そういう、実際「改革と展望」等々ではそういうチャートもかかなければいけないわけですので、ついついそういう発想になるわけでありますけれども、政策の議論を進めるに当たっては、常にそういうことだけが前面に出てはやっぱりこれは誤るなというふうに思います。大変重要な御指摘をいただいたというふうに思います。
むしろ申し上げたいのは、何といいますか、自由な、私たちは、やっぱりしっかりと皆さん、国民の皆さん、お金をできるだけ稼いでそれを将来いろんな形で使いたいと、いい形で使いたいと、そういった自由な消費と投資の言わば選択主体といいますか、自由な選択主体を大切にすると、そういう環境をつくっていくと、もうやっぱり正確に言えばそういうことなんだと思います。結果的に、より自由な選択主体がたくさん増えて、より1人1人の自由度も増えていく、それが改革に求められていることであろうというふうに思います。是非、そういうことがもっとしっかりと分かるような説明に私自身も心掛けたいと思います。
これは、大変大きなお金を集めている今の郵政が、その制度的な縛りがあって一定の投資行動しか取れないと。しかし、それをより、今申し上げた自由な投資選択の主体になっていっていただく。そのためにはイコールフッティングも必要だし、民営化が必要だろうと。これはやっぱり1つ大きな問題だと思います。それによって事後的に、結果的にお金の流れが少しずつ少しずつ変わっていくと、これが大事なんだということを申し上げなければいけないと思います。
また、今回、郵便局は、郵便局会社は、窓口では幅広いいろんな商品を売っていただく。で、それが大変な集客力を持っていますから、そこに来る、郵便局に来る国民の皆さんが、この国民の皆さん御自身が投資家、広い意味での、委員がおっしゃる広い意味での投資家でいらっしゃいますから、それに合わせた今回、今までは定額貯金が中心だったと、しかし今回、投信もしっかりとしたウエートを持っていくだろうと。さらに、民営化されてその商品の幅を増やしていただいて自由な選択主体として活躍していただく、郵便局の窓口がそのような非常に有効な場を提供する、そのようなイメージを持っておりまして、それを是非実現していきたいと思っております。
委員の御指摘はしっかりと受け止めたいと思います。

○西田まこと君 つまり、この民に流すということよりも、むしろやはり私は、この郵政が民営化されて、いろんな制度的な束縛から解き放たれた郵便貯金銀行なり郵便保険会社が民間の資金需要を開拓する努力をやっぱりしていかなければ、これは黙っていてお金が流れるということは絶対あり得ないわけでありまして、そこはやはり民営化すればすべてがそこに、民に何か流れるとかそういうことではなくて、あくまでもやはりその資金需要を開拓していくということがなければ私はいけないと思っていますし、当然のことながら、新しい経営者の方はその努力をされるんだろうというふうに思います。
時間もちょっとなくなってまいりました。最後、いろいろ飛ばしまして、この日本21世紀ビジョンについてあえて触れさせていただきたいと思います。
竹中大臣は、郵政が民営化された後の社会のイメージということで、先般御質問を受けて、「豊かな公・小さな官」という、そういうキャッチフレーズを、あるいは社会のイメージを言われました。私も議員になる前は雑誌の編集者をしておりましたので、この「豊かな公・小さな官」というキャッチフレーズは、もうすぐタイトルにも飛び付きたくなるようなものだというふうに思います。思いますけれども、余りにも良過ぎてちょっと中身がよく分からないというのが正直言ってあるわけでございますが。
私はここで、先ほど大塚議員も御指摘されておりましたけれども、ちょっと違う角度というか、担い手が官と民で、こう言われている、それはそれとして、公共事業ということと公益事業ということについてちょっと触れさせていただきたいと思います。
公共事業というのは、決して建設、土木ということを言っている意味ではなくて、官が、まあ官業でサービスを、公的サービスを提供していくと。公益事業というのは、電力とかガスとかに表れているように、担い手は民間企業だけども、必ずしも利益最優先であってはならないという分野でもあります。そして、公的なサービスを提供していくと、こういうことでございますが。
この豊かな公、まあ小さな官は大体何となく分かるわけですけれども、豊かな公というのは、この日本21世紀ビジョンの中でも、要するに公的サービスを担う人が増えていくという、多様性がいろいろあるということを簡単に言えば言っているわけですね。
この「豊かな公・小さな官」が郵政民営化とどう結び付くのかということが大きなテーマとしてお聞きしたいことですが、時間も限られていますのであえて申し上げますと、私は、この豊かな公、豊かなというもしフレーズを使うんであれば、民間に担ってもらって、今まで公的なところが、主体がやっていたものが、民間が担うことによってより良くサービスが、より、官業がやっているよりももっとサービスが良くなると、単に担い手が増えるということではなくて。民が担うんですけれども、官がやっていたときよりはもっとサービスが良くなるというところが、私は、この21世紀ビジョンの「豊かな公・小さな官」というところにはまだ余り深く触れられていないし、そして郵政民営化ということとこの豊かな公ということを考えるときには、やはりその視点が大事であろうと。民営化されてやはり、簡単に言えば、ありていに言えば、サービスがより良くなると、担い手が変わることによってより良くなるということが是非とも重要ではないか。そして、それこそが豊かな公の本当の意味ではないかというふうに思うわけでありますけれども、最後に大臣のコメントをお聞きしたいと思います。

○国務大臣(竹中平蔵君) 今、その豊かな公の中身について、今、西田委員が、単に量だけではなくて質まで含めた、正に本当に良いサービスだという御指摘ございましたが、21世紀ビジョンに集まられた専門家の皆様方でも正にそのような議論がなされたというふうに私は聞いております。
現実に、JR等々、NTT等々、やはりそういった意味では官から、その意味では豊かな公、民だけれども豊かな公を担う主体になってきて、そのサービスの向上というのは非常に広く国民からも私は評価をされているのだと思います。
郵政というのは正に、これまでの民営化以上に、国民からその意味での潜在的な期待が私はあると思っておりますので、「豊かな公・小さな官」の象徴として、そのいいものを是非実現していただけるように私どもも期待をしております。

○西田まこと君 ありがとうございました。