190-参-財政金融委員会-003号 2016年03月10日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 今日は自動車保険についてお伺いをしたいと思います。資料もお配りをさせていただきましたが、これは自動車保険の参考純率というのを決めて、それを各損保会社にも提供するという、機構が行っている改定説明資料であります。
 この機構が、今回、ノンフリートという、一人で九台以下のノンフリート、その反対はフリートといって十台以上ということですけれども、言わば個人相手に等級を改定をする、その時期は、平成二十三年にこれは金融庁長官に届出をしまして、翌月、その十月には結果が通知されて受領されたということで、昨年の四月から本格的にこの料率改定が適用されております。
 その改定の内容ですけれども、お配りした資料の六ページを御覧いただきますと、今般の制度改定の内容というのが書いてございます。そのことを簡単に申し上げますと、この水色の枠の中にあることが第一です。等級係数が、事故のあった人とない人というのに細分化いたしまして、事故のない人はリスクがそれだけ小さい、事故のあった人はリスクが大きいということで保険料を変えていくという、そういう仕組みであります。
 今までももちろん、事故がありますと等級が下がりまして保険料が上がるということはあったわけでありますけれども、ここの特徴は、事故のある人と事故のない人というテーブルを全く別に分けまして、事故のない人は事故のない人で助け合いましょうと、事故のあった人は事故のあった人で助け合いましょうという別テーブルで保険料を算定するという、算出するという、そういう違いがありますよということであります。
 その場合に、七ページの下の方にありますように、仮に三等級ダウンの事故があったら三年間大変保険料が上がってしまうと、こういう簡単に言うと仕組みに変えたということでございます。
 この結果、何が起きているかということなんですけれども、保険を使って修理をするということがありますけれども、何かぶつけてしまって、対物で、保険を使って修理をする場合に、この料率改定によって、修理代金が十五万とか二十万円ぐらいのものであれば、保険を使うと、かえって事故ありコースの方に移行してしまうものですから保険料がぐんと上がってしまうということで、保険代理店から言われているのは、それは保険は使わない方がいいですよと、自腹でやった方がいいですよということを、十五万から二十万ぐらいの間の事故は、そういうふうに勧められるということで、保険は使わないという人が次第に増えている。
 素朴に、保険というのは何か起きたときにみんなでそれを助け合ってその保険を使って修理をするという、予期せぬことが起きたときの万が一の備えとして契約をしているわけでありますけれども、実際今起きていることは、契約しているんだけど、修理費が少ないものについては、十五万とか二十万のものについてはかえって保険を使うと損しちゃうから使わない方がいいという、保険に入っているのに保険が使えない、あるいは使わないことを勧められると、こういう現象が大変頻発をしてございまして、保険は入っているのに万が一のときに使えない保険というのはどういう保険なんだろうねという素朴な声が契約者から出てきております。
 この料率を決める際の法律というのが料団法という、簡単に省略して申し上げますと、ございます。その料団法の第一条には何が書いてあるかというと、目的規定が法律ですので定められておりまして、これは、参考純率等を算出するのは、一つは損害保険業の健全な発達と、もう一つは保険契約者の利益を保護すると。この損保業の健全な発達と契約者の保護と、この二つが目的規定になされているわけでありますが、保険に入っているのに保険が使えないというのは、普通考えますと、その契約者の利益を保護しているというふうにはなかなか言い難いんではないか、このように思うわけで、こういう現状を金融庁としてどう見ておられるのか、まずお聞きしたいと思います。

○政府参考人(遠藤俊英君) 西田委員が御指摘のように、個人向けの自動車保険につきましては、平成二十三年の損害保険料率算出機構による参考純率の見直しを受けまして、各社とも平成二十四年十月以降に、事故による保険金支払後三年間の保険料率を割増しする改定、いわゆる事故あり等級と事故なし等級ということの細分化でございますけれども、こういった新しい制度を入れているところでございます。
 これは、御指摘がありましたように、同じ等級であっても、前年の契約で事故のなかった契約者よりも前年の契約で事故のあった契約者の方が、ランクダウンして同じ等級になった、その事故のあった契約者の方の損害率が高いと。その損害率が高いにもかかわらず、前年事故がなかった方と事故のあった方について同じ保険料率を適用していたというそのリスク実態を踏まえたものでありまして、全体として、この細分化によって、保険料率全体の引上げ幅、これを抑制する狙いもあったというふうに承知しております。
 ただ、西田先生おっしゃるように、事故あり等級が導入された結果、損害が比較的少額の事故の場合には、次年度以降の保険料割増し額が保険金を上回るために、契約者が車両保険でありますとか対物賠償保険等に係る保険金請求を放棄するケースというのが増えているという傾向にあることは承知しております。

○西田実仁君 ちょっと今の御答弁で更に質問しますけれども、今、この目的は、こういうことをしないと全体の保険料が引き上がってしまう、それを抑制するということを背景として、目的としておっしゃられましたね。
 そうしますと、この説明書にはないんですが、例えばこれはノンフリートのみですね。じゃ、フリート、つまり法人向けの保険料は、今回というか、この平成二十三年に多分いじっていないんだと思うんですけれども、じゃ、フリートのところも一緒に上げたらどうなったのかとか、あるいは従前どおり全体を引き上げる、事故ありコースと事故なしコースと分けるんではなくて、そこのリスクを細分化するんではなくて、全体を従前どおり上げたらどういうぐらい上がるのかとか、こういう比較考量をされたのであれば、その資料を是非見せていただきたいと思います。

○政府参考人(遠藤俊英君) 参考純率についてのまさに計算、あるいはそれについての検討に関しましては、先ほど先生おっしゃったように、料団法の規定に基づきまして損害保険料率算出機構が計算を行っているところでございます。まさに我々は、その計算の結果を受けて、それについて承認するという形で彼らの検討というものを検証をしているところでございます。
 今回、この平成二十三年度の改正は、先生おっしゃるように、全体としてこれまでどおりに一等級から二十等級の保険料率をリスク実態に照らし合わせて保険料率を引き上げていくと。これまでも、結局、実態に合わずに保険料率を引き上げてきた、そういった歴史がございました。その中で、実態をよく見ると、同じ等級であったとしても、前年に事故を起こしたがためにランクダウンした人と、前年には事故を起こさずにそのままいた人と、あるいは前年に事故を起こさずに更に上がった人、あるいはそこに据え置かれた人との間に、保険料の支払とそれからそのリスク実態とに乖離があると。これもよりきめ細かに見て、やはりその事故率の高い方々にはそれに見合った、それにできるだけ見合った保険料というものを支払っていただいた方が保険契約者間の公平が保たれるのではないかという議論の末にこの平成二十三年の改正に至ったものだということで金融庁の方にお話がありまして、それについて認めたものだというふうに承知しております。

○西田実仁君 この料団法の目的で、さっき申し上げましたように、契約者の利益を保護するということであれば、比較考量をされてそういう検討をすべきなんじゃないんですか。

○政府参考人(遠藤俊英君) 先生おっしゃるように、制度設計においてはまさに比較考量だと思います。全体のリスク実態というものを反映した形で保険料率を全体として上げていくのが適正なのか、それとも、そのリスク実態というのをより細かに見て、その細かに見たリスク実態に合わせた形で保険料率に差を付けるのが適正なのかという形の比較考量をした末に、この平成二十三年度における実施決定においては、事故あり等級、事故なし等級という細分化をしようという形で決定がなされたということだと思います。

○西田実仁君 その資料は、あれば見せてほしいんですけど。

○政府参考人(遠藤俊英君) 資料というのは特に私手元にはないのでございますけれども、これは、当時、平成二十三年当時に損害保険料率算出機構と金融庁との間で様々な議論を行って、その結果認めたということでございますので、具体的にペーパーとして残っている資料があるかどうかということに関しては、ちょっと現在、私確認できません。

○西田実仁君 そうすると、この法律の第一条で言うところの契約者の利益の保護ということを、保護したということをどうやったら我々は後から検証できるんですか。

○政府参考人(遠藤俊英君) 契約者の保護というのは、どのように考えるのが契約者の保護かということだと思います。
 自動車保険というその制度をつくるに当たって、できるだけ先生おっしゃるように小さな事故においても保険でカバーできるというような使い勝手のいい保険をつくる、しかし、その代わりに全体として保険料が上がってしまうという保険を、それを認めるのか、それとも、やはりその人のトラックレコードを見て保険料率に差を付けた、安全運転に心掛けている方々というのはそれなりに保険料が抑えられた、そういった自動車保険の適用を受けることができるというのが、これがやっぱりその利用者にとって利益があるのかという議論の中で今回こういった新しい制度が認められたということだと思います。

○西田実仁君 そもそも、保険に入っているのに保険が使えないという今の実態をどう捉えるのかということなんですね。保険というのはやっぱり公益性が、公共性があります。
 今局長がおっしゃったように、事故ありコースと事故なしコースにおいてそれぞれ別テーブル設けるということは、それを突き詰めていくとどんなことが起きてくるかというと、事故ありの人はリスク実態が高いんですよ、リスクが高い。ですから、当然保険料が高くなるんですよ。事故ありの人は事故ありの人同士で支え合うという世界をつくると、どんどん保険料は上がっていく、事故なしコースの人は事故なしコースで助け合うというと、事故がないのでどんどん保険料は下がっていくということになっていくと、その帰結として何が起きるかというと、損保会社そのものも、この目的規定の第一条に言うような損保保険業の健全な発達というのをかえって妨げるんじゃないですか。
 全体を今までのようにみんなで公平に負担するというのが本来の保険であって、事故があった人は事故があった人の世界で支え合う、事故がなかった人は事故がなかった人で支え合うみたいなことを保険の中に概念で入れてしまうと、これは事、損保だけに限らず、今後保険ということの、いろんな保険があります、法的なものもあれば、もちろんこれは任意の私的なものでありますけれども、そういう保険という考え方の中にこういうことを入れてしまうと、かえって保険業そのものの健全な発達ということを妨げ、この料団法一条の目的規定にそぐわないことになってしまうんではないでしょうか。

○政府参考人(遠藤俊英君) 西田委員おっしゃっているのは、七等級以下、七等級から二十等級に関して、この事故あり等級と事故なし等級というふうに細分化したがゆえに、事故あり等級の人たちはそれだけで保険プールをつくり、事故なし等級に関してはそれだけで保険プールをつくるというふうに先生もし御主張されているということであれば、私どもの理解はそうではなくて、これはもう全体として保険プールにある。
 今までは一等級から二十等級までの等級しかなかったわけでございますけれども、七等級から二十等級にかけて、更にそれを二系列の等級に分けるということでございますので、これはあくまで制度設計の仕方、保険料率をどのような形で区別していくかということをより細かく分けたということでございますので、そういった人たちがそれぞれ違った保険料率によって保険料を出し、保険プールをつくり、事故があった場合には保険金を支払うという保険の基本的な仕組みに関しては、こういった新しい区分をつくったからといって変わるものではないというふうに理解しております。

○西田実仁君 この料団法の中に保険の三原則というのが書いてございますけど、その一つに不当に差別的であってはならないと、このように書かれているわけでありまして、不当に差別的ではないとはどういう意味なのかということを調べますと、この参考純率においては、料率の危険の区分や水準が実態的な危険の格差に基づき適切に設定されていなければならないと、こういうふうに解釈をされております。
 今回のこうした料率改定、事故を起こした人と事故を起こしていない人というふうに別テーブルに分けるということ自体が、この保険料率の三原則の一つにある不当に差別的であってはならないと、これは差別と言うか区別と言うかという問題はあるかもしれませんけれども、少なくとも区別はしていますよね、事故ありコースと事故なしコースというふうにして。そういうリスクの細分化の仕方自体に、私は短期的には損保会社の収支を改善させることに大変効果絶大だというふうには思いますけれども、中長期的に見て本当にそうなんだろうかと。
 保険に対しての信頼、簡単に言うと保険に入っても保険が使えないわけですから、というか使わない方が有利になるという仕組みにしてしまったがゆえに、それが度が行き過ぎてしまうと、じゃ、保険に入るのは任意だしやめようと、こういうことになったら、保険に入らない車が公道上、非常に増えてしまうということにもなりかねないわけでありますし、そもそも過失争いの激化ということも招きかねない。
 そういう保険に入らない車が増えたり、あるいはもう自腹でやらなきゃいけないようになれば、保険を使わないんだったら直すのやめようというふうにして、不良車が公道をたくさん走ると。突き詰めていくと、そういう悪い方向に行くんではないかということを大変懸念をしてございまして、公益性の高い金融商品を販売する保険会社の社会的責任ということも問われる事態になってしまわないかと、こういうことを大変に懸念をしてこういう質問をさせていただいてございます。
 この資料を見ていただくと、幾つか疑念が正直あります。しかし、これはまあ金融庁は認めたということですので、いろんなそういう疑念も晴らしていただけると思いますが。
 まず、このグラフ、四ページ目に一、二、三とあって、事故あり係数、事故なし係数のそれぞれリスク実態と。リスク実態というのは支払う保険料割る純保険料ということでありますけれども、普通はこの一等級から二十等級へ等級が上がるに従って事故が少なくなる、リスクが少なくなるというふうになるはずでありますけれども、この棒グラフを見ていただいても分かるように、例えば十七等級は〇・五五のリスク実態なんですけれども、本来十八とか十九とか二十は等級は上がっていますのでリスクが少なくなってしかるべきなのに、逆にリスクが増えていると。こういうのは、なぜこうなるのかというようにたどっていくと、サンプル数が非常に少ないんじゃないかと。
 最後のページ、ページ数、ノンブル振っていませんが、参考の十ページ目になりますが、表二に、前年契約の事故種類別台数割合は、三等級ダウン事故は五・二%と。こういう少ないサンプルの中でリスク実態というものを調べて、そして今回こういう制度設計をしたという、サンプル数の少なさに問題があるんではないかなと、こういうふうに質問をしたら、いや、そうじゃないんですよと、この等級が上がるに従って、親だけじゃなくて子供も乗るんですと、子供も乗るとリスク実態が増えていくこともあるとなるので、十七よりも二十の方が高いとか、十七よりも十八の方が高くてもおかしくないんですと、こういう御説明を昨日金融庁の方がされておりました。本当にそうなのかなというちょっと疑問があります。
 しかも、その数値が、このグラフには十九年度から二十一年度合算の損害率較差というふうになっているんですけれども、参考のところにあるサンプル数は二十一年度のデータということで、データが合わないんですよ。ですから、私、この制度設計したときに、金融庁これちゃんと本当に、まあ申し訳ないんですけれども前政権のときですけれども、平成二十三年ですけれども、これちゃんとこういうことを見ているんでしょうか。

○政府参考人(遠藤俊英君) 西田委員御指摘の四ページの説明資料でございますけれども、損害保険料率算出機構がリスク実態というものを把握するために、これは国内で自動車保険を取り扱う全ての保険会社、しかも、二十一年度単年度だけではなくて、平成十九年度から二十一年度までの三年分の自動車保険の実績データを集計して、それを分析したものでございます。この自動車保険実績データ、約一億六千万件のデータでございますので、統計学的に見てもこれ客観性があるし、精度の高い十分な量のものではないかなというふうに思っております。
 それで、事故あり係数でございますけれども、西田委員御指摘のように、一番最後のページに、三等級ダウン事故五・二%、それから据置事故一・三%、足して六・五%でございますが、この六・五%の分布がどうなっているかというのがこの四ページの真ん中の棒グラフ及び折れ線グラフでございます。
 これは、全体が一億六千万件の三年間にわたるデータでございますので、事故があって、事故あり係数のここの分析の対象になるのは約一千万件でございます。この一千万件という数字は、事故あり契約全体として分析するのにも一千万件というデータは十分な量になっているのではないかなというふうに考えております。
 委員御指摘のように、事故あり契約者というのは、前年に事故があって、今年何らかの等級、まあ据置きかもしれませんし、三等級ダウンした、つまり二十等級で一番安全運転されていた方がたまたま事故を起こして三等級ダウンして十七等級に落ちたというような実態をここに反映しているわけでございます。
 したがって、このグラフを見てみますと、十七等級のリスク実態が〇・五五、それから二十等級の据置きのリスク実態が〇・五七ということでございますので、ここのリスク実態がやっぱり一番低くなっているということでございます。これは、元々二十等級にあった方がここに落ちてきた、あるいは据え置かれたという形でリスク実態というものがこういう形になっているのかなというふうに考えられます。
 何にしても、このリスク実態は、こういった、等級は二十等級でもうこれは頭打ちになっておりますので、そこで一番安全運転されていた方というのが全部たまっちゃって、サンプル的にも多いんです。それが事故あり係数、事故あり契約者だけを拾って作った分析に反映したということでございますので、十七等級、十八等級、十九等級、二十等級のこの凸凹に関しては、損害保険料率算出機構に関しても、こういう実態をそのまま反映したような等級係数を作るのではなくて、スムージングできちっと実態を合理的に反映したような等級係数を作ろうというふうに考えたというふうに我々議論して彼らの考え方というのを理解したところでございます。

○西田実仁君 いや、それはおかしいんじゃないですか。六ページのところに、全ての等級について直近のリスク実態を基に見直しを行い、等級間の不公平を改善しますと、こう説明していながら、今の御説明はそうではないということを言っているように聞こえます。
 ちょっと時間がありませんので飛ばしますけれども、大臣に今の議論をちょっと聞いていただいて、この料率改定は、機構が参考純率というのを出して、それに基づいて各社が自由に決めるということになっていますけれども、事実上これが料率改定の基本になっているわけですね。今回の料率改定によってどういう影響が社会的、経済的に起きているのかということは、やはり監督官庁としっかり把握をして、そして何か問題なり影響があれば、それをきちんと改善をしていくということは当然必要になってくるのではないかというように思います。
 特に、保険に入っていながらその保険を使えないという一般のユーザーがどんどん出てきたときに、じゃ、もう保険に入るのをやめようというようなことになってしまうと、これは果たしてそれで本当にいいのかという素朴な疑問も正直ありまして、保険、この料団法という法律の第一条にあるように、損保業界の健全な発達も必要です。しかし一方で、契約者の方の権利の保護ということもきちんとなされなければ保険自体の発展というのはあり得ないと思いますので、この点、そういう影響の実態把握と、それから、何か問題があればそれに対して対応するのかしないのか、こういうことについて大臣にコメントを求めたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) 御存じのように、先生、これはいわゆる任意保険というんですけれども、自動車の保険で自賠責保険とともにこれは極めて重要な役割を担っておりますので、これは加入率の増加というのを含めまして今後とも取り組んでいかねばならぬ問題なんだと思っておりますが。
 加入率の増加に当たっては、その保険の使いやすさとかいろいろあるんだと思いますが、他方で、これ、使いやすいがゆえに保険収支がどんどんどんどん悪化していくというのではとてももちませんので、そういった意味で、可能な限り保険料率というものをある程度実現することも重要なんだというのは当然なんだと思いますが、私どもとしても、今後、基本的にリスク実態とか会社の収支の動向とか、また加入率の維持等々というのを注視していかないかぬものだと思っておりますが、今までのところ、今までのところですよ、平成二十三年度以降でいきますと、車両保険で見ますと、二十三年度は四二%、二十四年度は四二%、二十五年度は四三%と、大体ほとんど変わらずずっとほぼ横ばい。それから、対物対人のときにつきましても、これは、二十三年度七三、二十四年度七三・三、二十五年度七三・四と、大体いわゆる無保険者が増加するという傾向にはなっておらないように見えますけれども、いずれにしても、こういったものは引き続き注意深く見守ってまいりたいと考えております。

○西田実仁君 本格的に導入されたのが昨年の四月からでありますので、今後影響が出てくると思いますし、実際に保険請求取下げ率というのをある損保会社からの資料を見ると、三割近くは保険を使わないという人が増えてきている。それが高じてくると、じゃ、保険に入ってもしようがないじゃないかということになってはいけないなという心配を申し上げました。
 今日は、経産省の方にも来ていただきまして、最後御質問しますが、全損車両におけるリサイクル預託金のユーザー還元についてお聞きしたいと思います。
 自動車事故に遭って損害保険で修理金額を賄えない場合は全損扱いになり、修理はせずに損保会社が引き取るということであります。その場合のリサイクル預託金は当然そのユーザーに戻すべきであると、中古として扱う場合は。これを経産省では通知も出していると聞いておりますけれども、昨年ですかね。
 こうした扱いについて、ユーザー還元がきちんと徹底されているのかどうか、改善されているのかどうかということについて確認をさせていただきたいと思います。

○政府参考人(若井英二君) ただいま先生御指摘の全損車両を保険会社が保険契約に基づいて代位取得した場合の預託金の返戻と、こういう問題についてでございますけれども、原則としてまず申し上げますと、全損車両を使用済自動車として処理をする場合、それから中古車として引き取る場合、この双方があり得るわけでございますが、使用済自動車として処理されるものについては預託金は保険契約者に返戻をされることなく、使用済自動車の処理に係る費用に充てられることになります。
 他方、保険会社がこれを中古車として引き取りまして再度流通をさせる場合、この場合におきましては預託金相当額が当該中古車を引き渡した保険契約者に返戻をされる、こういう原則になっていると、このように考えてございますし、こういった原則が維持をされていないということになりますと、リサイクル制度の円滑な運用の前提になります適切な費用負担、これが妨げられるおそれがあると、このように認識をしてございます。
 したがいまして、先生からお話がございましたように、経済産業省それから環境省といたしまして、昨年、平成二十七年五月に一般社団法人日本損害保険協会に対しまして、中古車として代位取得する場合には、保険会社は預託金相当額を保険契約者に返戻することで、車両本体の所有権だけではなく、預託金相当額に係る資産についても保険契約者から保険会社に移転したことを明確にし、保険契約者の法的及び契約上の安定性を確保することが望ましい、こういう見解をお示しをして、その徹底をお願いをしておるところでございます。
 もちろん、個別の保険契約、そして個別の保険会社、そしてその委託先の運用もある話でございますので、当然これを末端まで行き渡らせるということが必要でございますから、引き続きその周知徹底に努めてまいりたい、このように考えてございます。

○西田実仁君 終わります。