財政金融委員会・第9号 2006-12-12

議題 貸金業の規制等に関する法律案

1.多重債務対策本部について
2.ヤミ金対策協議会について
3.生活福祉資金について
4.グラミン銀行について
5.広告規制について
6.取り立て規制について
7.総量規制
8.その他

本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
今の山口議員に続きまして質問をさせていただきたいと思います。
まず始めに、先週の質疑の中でも大臣にお聞きしまして、大臣に御答弁いただければと思いますが、先週私がこの多重債務対策本部についてお聞きしたときに、先週ですけれども、今週官房長官としっかり協議させていただきたいと、こんなようなお話を御答弁なさっておられました。
そこで、可能な限りで結構でございますけれども、この多重債務対策本部につきまして、いつごろ設置するとか、大体どんなようなことを検討するのかとか、あるいは体制とか、お答えいただける範囲で結構でございますので、御答弁いただければと思います。
○国務大臣(山本有二君) 現在御審議いただいております改正法案の審議状況も踏まえつつ、年内に設置できるように、内閣官房及び関係省庁となお協議を尽くしてまいりたいと思います。
また、多重債務者対策本部におきましては、改正法の円滑な施行のほか、カウンセリング体制の充実、セーフティーネットの整備、金融経済教育の強化、やみ金融の取締り強化など、多重債務問題の解決に向けた諸課題について議論してまいりたいと思っております。
○西田実仁君 その際に、参考人やまた公述人の方からも様々御指摘いただきましたけれども、現場の声をできる限りやはり反映をしていただいて対策を打ち立てていくことが適切な対策になるんではないか、こういう御指摘がありました。もっともでございます。
そういう意味では、今、カウンセリングあるいはセーフティーネット、やみ金対策等と、金融教育等々のお話がございましたけれども、その際には、どういう形かはともかくとして、そうしたことに現場で取り組んでおられる多くの方々がしっかりと意見を言える場、またその意見が反映される、そういう仕組みを是非ともつくっていただきたいというふうに思いますが、この点、いかがでございましょうか。
○国務大臣(山本有二君) 多重債務者対策本部におきましては、国会における御審議での様々な御意見も踏まえまして、さらに、実際に多重債務問題の解決に貢献している現場の方々の御意見にも十分耳を傾けつつ議論を進めてまいる所存でございます。
○西田実仁君 過去五年ほどを見まして、内閣に、政府につくられた対策本部というのは非常に増えていますね。五年前の平成十四年を例えば見ますと、法律に基づくものは一つ、閣議決定に基づくものが二十だったものが、この十八年の直近まで行きますと、法律に基づくものが九、また閣議決定に基づくものは二十三ございまして、それだけいろんな対策というものが今政府一丸となって省庁横断的に取り組んでいる、こういうことの証左であろうというふうに思います。
しかしながら、対策本部をつくって、その成果がきちっと見える形にやはりしていかなきゃいけない。とりわけ今回の多重債務対策本部につきましては、現状問題があるからもちろんつくる対策本部でございましょうから、その成果についても、まずその成果を上げるまでの工程表もそれなりに示さなきゃいけない。また、その成果の結果についてもでき得るものは数値で示す必要もあるでしょうし、そうでないものもあろうとは思いますけれども、いずれにしても、その成果がきちっと見える形にしていく目標を立てた上で工程表も組んでいかなきゃいけない、このように考えておりますが、この点、いかがでございましょうか。
○国務大臣(山本有二君) 多重債務者対策本部におきましては、改正法の円滑な施行のほか、カウンセリング体制の充実やセーフティーネットの整備、金融経済教育の強化、やみ金融の取締り強化、こういったものに取り組んでまいりたいと思っておりますが、具体的にこのスケジュールをどういう形で決めていくのか、またその議論を進めていくのかも含めまして、法案成立後に対策本部を早急に立ち上げた上でその俎上に上らせていただきたい、上らすつもりでございます。
迅速に実施してまいりたいと思いますが、形骸化や、またトップダウンを余りにすることによる弊害や、さらに成果の検証というものを忘れることなく頑張っていきたいと思っております。
○西田実仁君 先日の地方公聴会、埼玉県でございました。その埼玉県におきましても、やみ金対策協議会の多くの方にお越しいただいて公述をお願いしたわけでございます。
その際に、やはりこの多重債務対策につきましては、中央はもちろんでございますけれども、都道府県との連携ということも大変に重要であると、こういう御指摘もありましたし、お話をお聞きしていてつくづくそうだなというふうに私自身も思ったわけでございます。
そういう点では、各都道府県でどういった機関なりがその受皿というか推進をしていくのかというのはこれからいろいろと議論をしていくんだろうとは思いますけれども、先ほどの現場の声をいかに反映させるかというところの中にはこの都道府県との連携ということも是非とも必要ではないかということも先日実感したものですから、この点についても一応御認識をお聞きしておきたいと思います。
○政府参考人(三國谷勝範君) 御指摘のとおり、多重債務問題に関しましては地方自治体の果たす役割というのは大変重要であると考えております。私ども、今後、対策本部等におきまして、都道府県などにおける取組、これが有効に機能するよう実情把握あるいは実態把握等しながら、有効な方策を立てるべく一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。
○西田実仁君 是非ともよろしくお願いしたいと思います。
次に、多重債務に陥って様々な被害に遭われている方を支援している方からも先日お伺いしたわけですが、今多重債務の方もそうですし、そこからいかに抜け出すかということも含めて、いずれにしても生活をいかに再建していくのかというところが大変重要であるという御指摘が多くの方からなされていました。
そこで、様々多重債務対策本部でこれから検討していかれるんだと思いますけれども、いずれにしてもこの生活再建ということをどう図っていくのか、またそれをどう支援していくのかという視点は欠かせないと思います。
その際に、今すぐできることということと、それから中期的にいろいろ考えていかなきゃいけないことと、それぞれあろうかと思うんですね。今すぐできるというか、今すぐ検討すべきことという意味では、今ある制度をいかに活用していくのか、あるいは活用していけないのかということも含めて検討をしなきゃいけないと思っております。
今日、また再び菅原政務官に、お忙しいところお呼び立てをしまして申し訳ございませんが、是非この生活福祉資金について若干、前回とは重ならないように御質問をさせていただきたいと思っております。
実際に、この生活福祉資金全体の枠組みで申しますと、都道府県の社会福祉協議会がいろんな決定をしていくわけですけれども、実務というか、実際に相談に行くのはやっぱり市町村でございまして、市町村の社協の役割というものは大変大きいわけでございます。その際に、実際に相談に乗ったり、あるいは支給をするかどうかを意見を添えたり、そうした機能が市町村にあるわけですけれども、それに携わる方々、またそれに携わる費用、いわゆる貸付事務費ということになるんだと思いますけれども、こうしたことについて十分なのかどうかという指摘が前からなされていました。
すなわち、市町村におきまして貸付けの相談業務に大変追われて、なかなか本来業務にも時間が取れないという声もあったりする。また、この制度自体が償還金を原資として貸し付けるという仕組みになっている以上、厚労省からも適正な債権の管理に努められるよう指導願いたいという、こういうようなお触れも出ております。そういうこともあって、償還業務自体を、すなわち債権回収と言ったらちょっと表現が適切かどうか分かりませんが、中身としてはそういうことですが、それを民生委員に託しているわけですけれども、そこに過度な負担も掛かっているんではないか、こういうような指摘もなされています。
なぜそうなっていくのかというところを見ていきますと、貸付事務費自体は貸付金利子の、例えば三%で貸し付けている場合、そのうちの二%はこの貸付事務費に充てることができるというできる規定になっているわけですね。それだけでは足りなくて、補助金も国庫負担で八億、自治体も含めれば十六億という額が出ております。これが各市町村に割り当てられたらどのぐらいの貸付事務費が年間で割り当てられるのかということは、単純な計算を私自身がしてみますと、恐らく八万とか十万とかその程度だというふうに思うんです。この貸付金利子三%のうち二%分というものを計算し、全部が三%で有利子で貸しているわけじゃありませんけれども、ざっと計算しますと、加えて今十六億の補助金による貸付事務費への負担ということも足し合わせますと、恐らく年間で八万から十万ぐらいだろうなと。厚労省の皆さんにお聞きしましたけれども、なかなか今すぐに出てこないということで、私の方で単純に計算をさせていただきました。
これで十分かどうかという問題は別途あろうかと思いますが、今私が申し上げたように、実際に貸付業務に当たっている方々が十分に相談に乗ったり、ある意味で多重債務をいかにしてそこから脱していくのか、生活再建をしていくのかというところに一番近いところにいらっしゃる方々の業務が大変に、十分にはなかなかできない状況にあるんではないかというふうにも推測をしておるところでございます。
この貸付事務費につきまして、現状でどのような御認識をお持ちなのか、お答えいただければと思います。
○大臣政務官(菅原一秀君) 西田先生の取り組まれておりますこの多重債務問題に関しまして、お話ございました生活福祉資金、これを扱っているのが各都道府県の社会福祉協議会、そこにおいてこの事務費、御指摘ありましたように、貸付金の三%のうち二%分を充てているわけでございまして、この点、お話ございましたように、その多重債務又はその資金を必要とする方々の最も身近なところにあるこの協議会、この事務費がなかなか豊潤ではない、足りていないんではないかという御指摘でございます。
実際に厚生労働省の制度として生活福祉資金制度を創設をし、長い歴史を持つわけでございますけれども、都道府県から実際にその事務費が足りないという、そういう報告は実のところ届いておりませんで、もしそのようなことがあるとすれば、しっかりその不足に対して適切な対応を図ってまいりたいと、このように考えております。
○西田実仁君 この貸付金利子三%のうち二%は今申し上げたように貸付事務費に回すことができるというような規定になっているわけですね。残り一%はいわゆる欠損補てん積立金に充てると、こういうような規定になっていますよね。
実際に、でも欠損補てん積立金自体が不足しているということがよく指摘されております。なぜならば、この積立金から貸付けに回すということになっている。なぜ回さなければいけないかというと、償還免除額が増えているということがあるわけですね、いろんな後で付け加えたことがございましたので。
そこで、この二%分はできるという規定になっているけれども、できるですから、しなきゃいけないということではありませんので、足りない欠損補てん積立金に回っているんじゃないかと、お金に色は付いていませんけれども、そんなようなことも考えられる。
今、都道府県からそういう声なかったというお話ございました。しかし、私が聞いたのは市町村のところです。市町村がそのまま上に上げればいいのかもしれませんが、そういうような構造的な、仕組みとしてできる規定ということが逆にそこの貸付事務費のところを削ってしまっているんではないかという懸念がございまして、一案としては貸付事務費を独立化させるということも必要ではないかと、こんなようなことも思ったりするわけでございますけれども、ちょっとこの辺につきましてお聞きしたいと思います。
○大臣政務官(菅原一秀君) 御指摘の二%分、そして一%分が実は貸倒引当金の部分に充当させていただいているということでございますが、この二%分、一%分については、各々分けて会計をしているところでございます。そして、お話ございました事務費の補助金につきましては、御案内のとおり、国、都道府県が二分の一ずつ補助をしているわけでございまして、この実際の補助額については都道府県が独自で判断をして、そしてまた国においては都道府県の申請額に対して補助をしているという、こういう構図になっているわけでございます。
この事務費に不足が生じているという点、都道府県から報告は受けてないというふうに申し上げさせていただいたところでございますが、実際にはこの都道府県の言わば予算措置が困難な状況があって、この社会福祉協議会の事務費に不足が生じる場合においては、厚生労働省としてもイニシアチブを持ってこうした都道府県に対して予算措置を施すように働き掛けをしていきたいと、こう思っております。
○西田実仁君 ありがとうございます。
その生活福祉資金の中での緊急小口資金については前回もお聞きしました。これについては創設していない府県が全国で十府県ほどございます。しかし、ないからといって全く何もやっていないわけではなくて、それぞれの自治体独自に行っているところもございますので、ないことが悪いということを言うわけじゃございません。しかしながら、この多重債務ということをいかに解決していくかというときに、今ある制度の中で検討すべきこととしては、この生活福祉資金、なかんずく緊急小口資金というのは有用ではないかというふうに私自身は思っております。
その際に、この緊急小口資金の位置付けでございますけれども、私の理解では、この緊急小口資金、もちろん文言としては多重債務を解決するためにということは書いていないことは理解しておりますけれども、導入のときのいろんな経緯は、やはり消費者金融に頼らずに当面の生活費を確保するということも意味合いとして入っているんではないかというふうに理解しておりました。そういう意味で緊急小口資金というのを前回に引き続いてまたお聞きしているわけですけれども、この緊急小口資金をどのように位置付けておられるのか、多重債務とのかかわりの中でお答えいただければと思います。
○大臣政務官(菅原一秀君) 先般もお話ございました、そしてただいま重ねて御質問を賜りましたこの緊急小口資金につきましては、平成十五年の一月に創設をされた制度でございまして、低所得者世帯が例えば医療費や介護費の支払あるいは給与を紛失してしまった、なくしてしまったというような緊急的かつ一時的な資金が必要な場合に、小口の生活資金、上限五万円をもって貸付けを行っている制度でございまして、西田先生御指摘のとおり、現在も実質的には多重債務のセーフティーネットあるいは多重債務から生活再建をしていく上での大変大きな制度であると確信をいたしております。
具体的に多重債務のためという文言はこの制度概要の中には書いておりませんけれども、今申し上げましたように、医療費の不足あるいは給与の盗難、あるいは年金、保険、公的給付の支給開始までの間の生活の援助、あるいは火事、火災等で被災を受けた場合、こういったところの対象をもって生活困難と見られる方に対して施す、そういう制度でございます。
○西田実仁君 ありがとうございます。改めて位置付けをしていただきました。今後、この多重債務を解決していくときに、今あるもので検討すべきとすれば、こうしたことは大変大きい点ではないかと私は思っているものですから、是非御検討のほどをお願いをしたいと思います。
次に、今あるものというよりも中期的に検討すべきこととして、山本大臣に是非とも御意見を賜りたいという点がございます。これは午前中もしばし大臣の口から御答弁がございました。
もし政務官、お時間があれだったら結構でございます。
大臣の方からもお話がございましたけれども、先日、一昨日だったでしょうか、ノーベル平和賞を取られたユヌス氏のグラミン銀行につきまして様々な御指摘がございました。このユヌス氏自体は、やはり銀行業なりあるいは金融業の常識をある意味で覆すイノベーターであるというふうに私自身は思っているわけでございまして、貧しい人々や担保のない人々に融資をしていくという、普通であればなかなかこういうことはできないというところを、あえてその仕組みをいろんな形でつくり上げた。
安倍政権におきましてはイノベーションというのを掲げているわけでございまして、正にそういう意味では、この多重債務問題、もちろん政府だけでなくて、先ほど来から申し上げているとおり、様々な現場の方の声も聞きながらイノベートしていかなきゃいけない問題、乗り越えていかなきゃいけない問題だというふうには思っておりますけれども、格差の固定化を避けていくためにということでいえば、金融の機会をいかに提供していくのかということは大変大事であると、これは言うまでもないことであります。倒産した企業家とかあるいは低所得者に対しまして、適切な条件で資金を融通していけば再挑戦もできる。
そういう意味で、このグラミン銀行の取組、また今申し上げた金融の機会の提供ということについて、大臣の御所見を賜りたいと思います。
○国務大臣(山本有二君) ムハマド・ユヌスの偉業というのは、やはり貧困層にはこうした金融システムが導入できないという先入観が先進国諸国全部覆われておった中で、アメリカ留学からバングラデシュに帰られて、大学の教鞭を執る傍ら、貧困層に自らのポケットマネーを貸すことによって、実は貧困層でも金融システムがうまくワークするんだということを実証した点においては、私は正にノーベル賞に値するというように思っております。
特に私が注目すべきは、貸倒れ率が一・二%、貧困層で借りた者が正確に返していっている実績について驚嘆するわけでございます。そのノウハウにつきましては、いわゆる少額無担保、連帯責任の中で五人のグループを構成することによって、連帯保証ではなくて、もし破綻をした場合、だれかが返さなかった場合には、他のグループ構成員の融資も打ち切られるというような意味での連帯責任が課せられていることとともに、順調に完済を繰り返しますと融資枠が拡大して融資額が増加されるというような点、そして銀行員が定期的に、その事業等、返済についてのアドバイスを家計管理から事業指導までやっていっているという、そういうようなノウハウがあるのではないかというように思っております。
こうした他国の例を取りましても、また国内的にも非常にいい実績のある機関が各市町村にございますので、そういった点も総合判断して、今後新しいスキームができ上がればと期待するところでございます。
○西田実仁君 これバングラデシュですけれども、御存じのとおり、必ずしも発展途上国のみならず先進国でも広まっている一つの方式ですね。これ、でも日本ではまだ、まあ形は変わっているのかもしれませんが、取りあえずアメリカとかカナダとかイギリスとかではこの方式、グラミン銀行方式は広まっているけれども、日本ではまだないわけですね。これは、大臣はなぜそうだというふうに思われるでしょう。
○国務大臣(山本有二君) 始まっていないと位置付けるか始まっていると位置付けるかは非常に難しい点ではありますが、先ほどの緊急小口貸付け、こういったことも、考えてみれば千五百件の新規実績があると言われております。そうした点からすれば、こういった既存の拡充と併せてこうしたグラミン銀行的な注目を浴びるような試みを促すこと、そういったことによって私は十分日本における貧困層も立ち直りができるだろうというように思っております。
また、日本でこうした展開が少ないか多いかということに関しましては、むしろ私は、バングラデシュよりもなお基本的な教育、知識の高い人たちが多い日本というように考えておりますので、むしろ日本の方が位置付けは、また社会への根付きという意味では、よりマイクロクレジットの成長力を期待をしているところでございます。
○西田実仁君 先日の埼玉での公聴会でも夜明けの会の方々が言われておりましたけれども、壊れた金銭感覚を元に戻していくには一定の時間がやっぱり掛かると。仲間とのいろんな触れ合いの中でそうした金銭感覚も徐々に取り戻して生活再建も図られていく、そこのお手伝いをまた会の皆様が非常に熱心に取り組んでおられるという御様子をお聞きしました。
やはり、返済をしていくのは、金利はもちろん重要なファクターだと思いますが、金利だけではなくて、いかに返そうとするかという意欲という面も大変に重要なファクターなんだなということを改めて学んだわけでございまして、今後様々なセーフティーネットを考えていく際に、こうした、まあ心の問題といったらちょっと適切じゃないかもしれませんが、その金利のみならず、生活再建ということで考えますと、カウンセリングとか、こうした民間でいろいろな御支援をずっとされておられる方の、先ほど連帯責任という言葉もこのグラミン銀行の中で御指摘いただきましたけれども、それにある意味で一脈通ずるものがこういう会にもあるんだろうなというふうなことを感じたわけでございまして、かつて日本にあった生活改善運動というのがございましたけれども、現代において様々な共同体が壊れていっているとか、非常にきずなが弱まっているとかいう問題はありますけれども、新たにそういう形でのその意欲をお互いに触発していけるような場、あるいはそういう機能、あるいはそういう会というんでしょうか、そういうものが重要ではないか、この多重債務の問題を解決していくためには重要ではないかというふうに私自身は思っておりますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(山本有二君) そのとおりでございまして、まずその意欲を喚起するようなシステムというのはなかなか公ではつくりづろうございます。
その点、私も先日鳥取県に参りまして、鳥取知事さんがやっておいでるDVにおける被害者の会のシェルターを見さしていただきました。そこは、逆に公しかできない、つまり個人の情報管理について民間に任せることが非常に困難なものですから、およそ県や市町村が主体となって頑張っていただいているわけでございますが、その方々もほとんどが貧困層でございます。そういったことに対しましては、一人一人の生活ぶり、過去の人生、そして今の悩み、将来への希望、そういったことを全部傍らでお聞きしていただく大変有能なカウンセラーが存在するかどうかというところが自立の道の最も最初の時点で必要だということが私も認識さしていただきました。
ほとんどの方々がボランティアでございまして、地域のそうした大変能力のある、教養の高い、しかも愛にあふれた人たちをどう養成していくかということが社会が問われていることでもありますけれども、そういった人々のなさっておられることに対して我々がもう一回目を見開いて、さらに我々もそこに学びながら考えていくということが何より必要だろうというように思っております。
○西田実仁君 今、大変に重要なお話いただきました。また、私どもも公聴会でお聴きしたことは正にそのことでございまして、今後総合的にいろいろ対策を練っていく際に、是非ともそういう方々の御意見もまた反映していっていただきたいと思います。
残った時間ですが、広告規制につきましてちょっと最後二つほど確認をしておきたいと思います。
このやみ金融の問題ですけれども、顧客を勧誘する有力な手段としては、やはり新聞、雑誌等の広告であることは間違いないと思います。民間のシンクタンクの調査によれば、貸金業者の広告について全体の七割がいわゆる消費者金融、普通の会社とやみ金融の広告との区別が付かないと。多くの人がどっちがどっちだか分からないと、やみなのか表なのか分からないと。実際に前の御質疑でもあったかもしれませんが、スポーツ紙とかを見ると、登録番号の表示は確認できても住所がないような広告もあったりすると。
これは、神奈川県のヤミ金対策連絡会議におきましては、貸金業者の広告掲載に関する調査というのが実施されて、今年三月発表されておられました。そこでは、新聞社、出版社にアンケートを取ると、広告掲載基準を実際にちゃんと作成している、文書としてあるというのは三割ぐらいしかなかったわけですね。七割は広告掲載基準そのものがきちっと規定をされていない、こういう今現状でございます。
今回の改正法案の中には様々な広告規制の強化ということがうたわれております。これは、自主規制規則、新たな協会ですね、新協会による自主規制規則ということによる広告規制ということだと理解しておりますけれども、新しい協会はすぐにできるわけじゃございません。しかし、一方でそういう被害に遭われる方も増えていると。こう考えますと、事実上の広告規制の強化ということをいつまでにしっかりやっていくのか、新しい協会ができるまでそれまでは待っているという状態なのか、ここについて金融庁にまずお聞きしたいと思います。
○政府参考人(三國谷勝範君) 現在、既に広告につきましては、業界におきまして自主的な規制の動きもあるところでございますが、今回の法案に基づきます自主規制ルール、これは貸金業協会が定めることとなっております。新貸金業協会の設立の認可に際しまして、その規定が法令に適合しているかといったことを審査することとなっておりますが、この規定は公布後一年以内に施行されることとなっております。したがいまして、広告に関します自主規制ルールもそれまでに策定されることになるものでございます。
○西田実仁君 先ほど来からテレビのことは、随分コマーシャル言われていました。最後に、総務省の方にお聞きしたいと思いますが、今回法案審議も最終局面に今来ているわけですけれども、今回は三年、おおむね三年までの間にいわゆるこのグレーゾーン金利というものが廃止されるということが盛り込まれている法案でございます。
このテレビコマーシャルについてもそういう方向性が見えているときに、どういうふうにしていったらいいのかという視点でお聞きしたいと思いますが、もちろん民放連の放送基準によって決められていることは承知しております。しかし一方で、新聞社によっては、新聞の広告等についてグレーゾーン金利の支払は任意であることを広告に記載することを義務付けているところもありますね。
テレビについても、テレビコマーシャルについても、そうした任意性ということをきちっとうたう必要もあるんじゃないかと、広告打つ場合には、というふうに思うわけでございますけれども、最後に総務省さんのお考え、感想でも結構ですけれども、お聞かせいただいて、終わりたいと思います。
○政府参考人(中田睦君) お答え申し上げます。
放送事業におきましては、自律を尊重する放送法の趣旨にのっとりまして、これまでもおおむね番組の適正が図られたというふうに認識をしております。今、具体的には放送事業者が番組基準を作りまして、それに従って番組を編集していくということでございます。
今先生御指摘のように、社団法人日本民間放送連盟の放送基準にも該当するような基準が百三十七条と百三十八条と二つございまして、それぞれの中で、消費者金融のCMは安易な借入れを助長する表現であってはならない等々、特に青少年への影響を十分に考慮しなければならない等々の規定がございまして、それに沿いまして消費者金融のCMの取扱いに配慮しているというふうに考えております。
今御指摘のございましたそのグレーゾーンの金利の説明等も含めまして、放送事業者におきましては引き続き適正に対応していくようにしていくべきものというふうに認識しております。
○西田実仁君 終わります。

午後一時二十分開会
○委員長(家西悟君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。

○委員長(家西悟君) 休憩前に引き続き、貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
本日は六人の皆様方、大変にお忙しいところを大変貴重なお話を承りまして、誠にありがとうございました。私の方からも順次お聞きしたいと思います。
今、広田議員からもお話ございましたが、まず初めに、多重債務者対策本部というのが今回政府の中につくられるということで、その具体的な内容がまだ余り見えてこないところの問題はあると思いますけれども、いずれにしても、全国の都道府県でそれぞれ、今日お見えになっていらっしゃるヤミ金対策協議会の皆様方などを中心としたこうした各都道府県での設置というのはやっぱり欠かせないだろうと私自身も思っているわけでございます。
そこで、まず井口公述人にお聞きしたいと思いますが、埼玉県ではこのヤミ金対策協議会が大変に活発に活動されているということで、また夜明けの会でも大変な御尽力をいただいているわけでございますけれども、全国見渡しますと、こうしたヤミ金対策協議会、県とか場所によっては余り活発に活動されていないところも正直言ってあるやに聞いておりまして、こうしたヤミ金対策協議会の機能をより活性化していくためにはどんなような今御苦労をされているのかということがお聞きしたいのが一つと、あわせて、今回法改正、今審議をしておりますけれども、この法律改正が成立した暁には会としての活動で新しく付け加えるものとかを、お考えの来年の方針とかということがもしございましたら、御紹介いただければと思います。
○公述人(井口鈴子君) そうですね、今、県の方でヤミ金対策協議会ができているのが幾つあるかと言われると、ちょっとぱっと浮かんでこないんですけれども、一番活発にやられているのは、御存じのように、長野県だろうと思うんです。あと熊本とかそういうところもあります。あと静岡とか、そういうところで多重債務者対策協議会、県もあれ入っているのかな、ちょっと余り全体的なことがよく分からないんですけれども。
今、被害者連絡協議会って全国組織で、こういう夜明けの会みたいなのが七十九団体あります。今日、事務局長も随行員に、本多さんですけれども、来てもらっていますので、これから全国へ呼び掛けて、そういう形で、せっかく多重債務対策本部を国の方でつくっていただくということで、また県の方にもつくるということで、やはりそのものが実効性あるものにしていかなきゃいけないと思いますので、これから呼び掛けていきます。
もう一つは何でしたっけ。
○西田実仁君 法改正をもし受けて、新しく活動として付け加えるようなことがもしお考えのことがあれば。
○公述人(井口鈴子君) 法改正をされる中で、被害者の会の位置付けというのが今のところないように思うんですね。冒頭に申しましたように、カウンセリング的な存在は十分担えるのかな、結局事後的なことなんですけれどもね。
それから、こちらの方も組織が、組織固めというんですか、今七十九団体があったとしても、本当にすぐぱっとできるのかというと、これからというところもありますので、実際にやれと言われればそれはもうやらざるを得ないということで、ちょっと真摯にいろいろ受け止めてやっていく所存です。
○西田実仁君 続いて、県の金子公述人にお聞きしたいと思いますが、先ほどのお話では、内容ではなかったんですが、生活福祉資金につきましてお聞きしたいと思います。
この詳しい仕組み等は省きまして、いずれにしても、この多重債務者の問題を解決していくために、こうした生活福祉的な施策というものもどうしても欠かせないと私も強く思っております。今後、この多重債務の解決をしていく対策本部においても、金融に加えてこうした福祉の面での施策がいろいろと検討されていくことになろうと思いますけれども、その中でこの生活福祉資金はそれぞれの都道府県の社会福祉協議会を中心に行われていますね。埼玉県におきましてももちろん活発に行われているわけでありますけれども。
そこで、この生活福祉資金で県の方でいろいろと御苦労もされているということもお聞きをしておりまして、今この資金の持っている課題ですね、そもそものこの資金の性格からあるいは目的からして、その目的がなかなか達成できない面も、あるいは実際に現場で御苦労されていることもおありかと思いますので、その辺をちょっとお話しいただければと思います。
○公述人(金子豊光君) ただいま御質問の生活福祉資金につきましては、県の社会福祉協議会、そして市町村の社会福祉協議会という組織を窓口にして生活の困窮者等々に対して必要な資金を貸し付ける制度でございまして、本県では福祉部の社会福祉課という組織が担当をしております。平成十七年度の貸付けの実績が二百三十五件で約四億円というふうに伺っております。
この制度の課題といいますか、現在直面している課題といたしましては、若干、様々な経済情勢等々から計画どおりの償還が進まないというのが一点あるようでございます。それと、その制度について若干周知が不足している面があるということで、一層この活用を図るためにはPR等に努めていく必要があると、この二点について認識をしているというふうに伺っております。
○西田実仁君 この生活福祉資金は、償還金を元にして貸付け原資というのがつくられているわけですね。そうしますと、今の償還がうまく進まないということになりますと、貸し付けることに対しましてもやや消極的になっていくというようなことにはなりませんか。
○公述人(金子豊光君) 決してそのようには伺っておりません。
○西田実仁君 そうしますと、PRをきちっとしていけば、周知徹底していけばもっと活用されると、それ以外には特に必要はないということになるんでしょうか。
○公述人(金子豊光君) 実際の運用、制度の運用につきましては、大変申し訳ありませんが、直接担当しておりませんで細かな部分は分からない面が多々あるわけですけれども、一つはPRが必要ではあるということと、償還が進まないということについても資金の性質上、若干やむを得ない面もあるのかなというようなことがございまして、この辺については担当セクションの方で検討をされているというふうに思っております。
○西田実仁君 大変な御苦労もいろいろとおありになろうと思いますけれども、私自身はこの貸付原資そのものをやっぱりもうちょっと増やしていかないと、特に緊急小口資金といったような、そもそも多重債務問題を解決するために創設された小口の資金ということもありますので、モラルハザードということはもちろんよく考えなきゃいけませんけれども、一つの社会福祉政策として必要ではないかという私の意見をちょっと最後述べさせていただきたいと思います。
続きまして、内田公述人にお聞きしたいと思いますけれども、今回の法改正によって中小の貸金業者が壊滅の危機になってしまうというお話でございました。そういう意味では、既に次の登録はもうしないとか、あるいは大手に吸収なりあるいは合併等をされるというような、そうした兆しはもう既に出てきているのでありましょうか。もしお話しできる範囲でございましたらお願いします。
○公述人(内田勇蔵君) 現実にもう出ております。
三役の中にももう既に、前回、株式会社は財産的基礎五百万、個人が三百万という時点で、もう二年ちょっと前になりますが、その時点で要するに資本金を千八百万にしたわけですね。それも非常に、兄弟から金借りたりなんかしてやってきました。そうして、三年もたたないうちに二千万ということになったら、もうどうにもならないのが一つですね。
じゃ、その原因は何であるかという、まあ、その方も私と同じもう(八)で、規制法が五十八年に改正されてから、もう(八)ですから二十四年たっているわけですね。そういう方が非常に過払い請求が多いわけですね。で、その方も立て続けに三件出まして、それで今、年は六十六歳なんですが、つい最近、心筋梗塞で倒れまして大宮の日赤病院に入院して、そして一応手術しまして現在は普通に仕事ができる段階だと。だけれども、これではもうとてもやっていけないということで、三月、総会まで待って退会をしますという話とか、もう既にみんな七とか八、先ほど私言いました七、八というものはほとんどそれがターゲットになって、今言われるMアンドAですか、我々中小零細については、債権を売却するといってもほとんど、当時、都市銀行で瑕疵担保とかっていろいろありましたけれども、結局、長いことやっていますと過払い請求とか何かいろいろありますね。だから、そういうものを値踏みされてほとんどもうゼロに等しいということですね。
だから、私は、そういう方は継続するも地獄、じゃ売れないから仕事をして回収していくのも地獄だと。もう年じゅう亡霊に襲われているみたいな環境で、非常に我々の業者の中で七、八の人、健康を害してやめていく人もたくさんいます。与野の人なんかはもうこの二月で退会したんですが、自宅三階建て、区画整理の中で建てまして、そしてそれを全部売却して、私も親しい人ですから連絡取っても連絡を取れない状態でいます。
そのような状況を、私は団体長として何とかこの中小零細が生き残れるような方法はないのかということは、先ほどの話で利限法の範囲内でそれは営業できるでしょう。しかしながら、財産的基礎二千万、やがて五千万だということになると、これは何のためにやるのかなと。新規参入を抑えるためだったら新規に加入する人だけにやればいいし、既存の業者についてはそれがなければ何とか営業が継続できるんです。だから、そのようなことを特に今訴えておきたいところなんです。確かに退会者は非常に、七、八の古い人ほど増えております。これは事実です。
以上です。
○西田実仁君 終わります。