財政金融委員会・13号 2007-05-31

【質疑事項】
議題 株式会社日本政策投資銀行法案
1.今後のビジネスモデルについて
2.新会社の経営責任者の選任について
3.66条・67条の「検討」について
4.出資先企業の扱いについて
5.承継される財産の価額について

本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○株式会社日本政策投資銀行法案(内閣提出、衆議院送付)

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○委員長(家西悟君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、前田武志君、末松信介君、大塚耕平君及び秋元司君が委員を辞任され、その補欠として池口修次君、金田勝年君、直嶋正行君及び泉信也君が選任されました。

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○委員長(家西悟君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
株式会社日本政策投資銀行法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務大臣官房総括審議官勝栄二郎君外三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。

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○委員長(家西悟君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
株式会社日本政策投資銀行法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本政策投資銀行総裁小村武君外二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。

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○委員長(家西悟君) 株式会社日本政策投資銀行法案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。

○西田まこと君 公明党の西田実仁でございます。
これまでは十分にいろいろと議論がございました。新会社が今後どういうビジネスをしていくのかというビジネスモデルにつきましては後ほどお聞かせいただくとして、これまでなかった論点からまずお聞きしたいと思います。
それは、新会社の経営責任者の人材ということについてでございます。制度設計におきましては、この新会社の経営責任者につきまして、財務大臣の認可を受けなければならないと、こうなっております。様々、ビジネスモデルはどうするかとか、あるいは制度としてどうするのか、あるいは仕組みをどう変えていくのかという、そういった議論は当然大事になってくると思いますけれども、その制度を変えて、あるいは新しい箱というか会社をつくっていくにしても、それを担う人たちがどういう人なのかという、あるいはその担う人たちの気持ちがどういうふうに向かっていくのかということが改革を成功させるかどうかということを大変大きく左右するんだろうというふうに思うわけであります。
そこで、この新会社の経営責任者ということについてお聞きしたいと思います。
制度設計では、この新政策金融機関と同様に、必要と認められる識見及び能力を有する者のうちから適材適所で選任されると。また、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分に配慮すると、こういうふうになっているわけでございます。
特に、この新会社の経営トップということにつきまして、政投銀が平成十一年に旧開銀と北東公庫が一緒になりましたときにもこうした議論が若干ございました。このときには、当時、宮澤大蔵大臣でありました。この宮澤当時大臣は、やはり同じように、総裁あるいはその役員の方々につきまして適材適所で広く人材を求めるんだと、こういうような御答弁がありましたし、指定席のような天下りということは、これはもう世の中通らないようになるのではないかと思っておりますという御答弁が、平成十一年、当院参議院の財政・金融委員会でもございました。
しかしながら、よく言われることではございますけれども、旧開銀につきましても、そのトップはずっと旧大蔵省出身の方でございました。しかも、それだけではなくて、すべてこの二十年間だけ見ても大蔵省の事務次官を経験された方が就かれているということは、もう事実としてはございました。もちろん、適材適所ということでそういうふうになったんだろうというふうには思いますけれども、しかしここで言うような特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されているのではないかという懸念を持たれることもまた事実だろうというふうに思います。
私が、ここでその天下りが許されないとか、そういうことだけを言いたいわけではなくて、新会社のこの経営責任、トップとして当然、そういう固定的に天下り的なものではいけないのは当然ですけれども、だからといって、じゃ、外から民間の人を持ってくればいいのかと。というのも、そんなまた短絡的なものでもないんじゃないかというふうにも思うわけでございまして、特に、その制度を変え会社を変えていく中で大事なことは、先ほど申し上げました、そこで働く方々の意欲、モラールということであろうというふうにも思います。
そういう意味では、いわゆる内部の職員の方から、プロパーの職員の方がトップに就いていくということも大変重要になってくるんではないかというふうに私は思っております。
そこで、ほかの政策金融機関を調べてみました。そうしますと、沖縄振興開発金融公庫さんだけがこの二〇〇五年五月から、初めて公庫職員の出身のプロパーの方がトップに就いておられると。ほかのいわゆる政策金融機関というところでは全くなく、初めて沖縄振興開発金融公庫でこうした人事が行われたということでございました。
今回、この新しい会社の経営責任者はどう人材を充てていくのかということは、いろいろと検討なさっていくんだと思いますけれども、是非、その天下りはいけない、じゃ、外から民間を持っていくよと、そういうだけではなくて、というよりもむしろ、内部でいろんな蓄積をお持ちの方が、優秀な方が一杯いらっしゃるというお話が、またDNAの話とかいろいろ総裁がなさっておられました。そうした内部の職員の方がトップにもなるということ、可能性があるということでも随分大きな意味を持ってくる。
正直、私も二十数年前に就職活動するときによく先輩に言われたことは、政策金融機関は非常に優秀な人が集まっているけれども絶対トップにはなれないという、別にトップになれないから行かなかったというか、行っても多分受からなかったと思いますけれども。というわけじゃありませんけれども、もうその時点で一つの制約になっているというようなことは、実態としてはもう若い人はみんな知っている、世間でもみんな知っているということでございますし。
ちょっと話が飛びましたけれども、この新会社の経営責任者の人選ということにつきまして、特に内部職員の、プロパーの職員の方々を登用していくということも大いに検討していただきたいということにつきまして、大臣からお願いします。

○国務大臣(尾身幸次君) この移行期間中の新会社は株式会社となるわけでございますが、この株式会社の経営責任者は会社法に基づきまして株主総会及び取締役会において選任されるものでございまして、新会社の経営責任者につきましても会社法等の手続に沿って適材適所で選任されるものと承知しております。
日本政策金融公庫というのが株式会社でございますが、これは全株式を政府保有が義務付けられている特殊な事情があることから、政策金融機関の経営責任者の在り方に関する行革推進法第五条第三号の規定も踏まえまして、公庫法において、経営責任者については特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分配慮するという規定が定款に記載されているところでございます。
このたびの完全民営化する株式会社の政策投資銀行につきましては、おおむね五年から七年後には全株式を処分をするということになっているわけでございまして、この経営責任者は民間株主も含めた株主総会や取締役会において選任されるものでございまして、政府がその選任を拘束することは適当でないことから定款にそういう規定は設けていないところであります。しかしながら、この経営責任者の選任につきましては株主総会によることとなっておりまして、その選任に係る国の議決権行使に当たっては、行革推進本部において決定された政策金融改革に係る制度設計における、経営責任者については、新政策金融機関と同様に、必要と認められる識見及び能力を有する者のうちから適材適所で選任されるものとし、特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう十分配慮するという方針がありまして、その方針に沿っていくことになると考えております。

○西田まこと君 特にこの移行期におきましては、完全民営化されてからは当然もう民間会社ですからそれはもうそうなんでしょうけど、移行期、特にこれからの三年ぐらいの間というのは新しいビジネスモデルを確立していく大変重要な時期になるんじゃないかというふうに思うわけですね。そのときにその経営トップの方をどういうふうに選任していくのか、また、今申し上げた、そこで働いている方々が本当に意識も変えて新しい挑戦をしていく、そういう気持ちになるのは、単に法律が変わったからというだけでは、人間ですから、機械じゃありませんので、ならないんだろうというふうに思うわけです。そういう意味で、その士気を高めていくような様々な人材登用ということが必要ではないかということを私は指摘をさせていただきました。
そこで、ちょっと今お話にもありました日本政策金融公庫はもう既に審議が終わったわけでありますけれども、随分やはりこの新しい形、機構になっていくに当たって、特に国際協力銀行さんのところから随分人材も流出したというようなことも漏れ伝わってくるわけでございますけれども、今日は国際協力銀行の方来られていると思いますけれども、いかがでございましょうか。

○参考人(森本学君) 国際協力銀行の最近の非管理職の総合職員、いわゆる若手の退職者数は年間二十名前後でございまして、増加傾向にございます。これは最近、民間企業、特に金融業界におきまして人材の流動化が進んでおります中で、当行におきましても職員が本人の関心や専門性等に応じた転職をする者が出てきているということだと考えております。

○西田まこと君 そういう元々入行をされたときの志と組織の在り方が変わってくることに伴って、あるいはもっと別の場所で働きたいというような若い方も随分いらっしゃるんだろうというふうに思いますけれども、政投銀さんの方ではこうしたような現象は起きているんでしょうか。あるいは起きていないかもしれませんけれども、今私が申し上げた問題意識で、新しい形に変わっていくときにどうそこで働いている職員の方のやる気を引き上げていくのか、そうした手だてとしてどんなことを考えておられるのか、あるいは実行されているのか、この辺についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。

○参考人(小村武君) 私どもの銀行に入ってくる者たちは、単に給料が高いとか、そういうことだけでなくて、やはり公益性のある仕事、あるいは大きなプロジェクトファイナンスとか、そういう仕事をやりたいということで門をたたいてくれております。民営化を決まった後も、相変わらず希望者がたくさん来られております。
〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕
それから、途中で退職する人間でございますが、今お話のあった国際協力銀行とはやや違いまして、年間そんなにたくさんの人間が辞めていくわけではございません。他の金融業界に移る者は年間三名ないし四名ぐらいは退職者は最近では出ておりますが、ただその反面、私どもの銀行で働きたいというまた中途入行者、これも大変希望者が殺到しております。
そういう意味におきまして、やはり私どもの銀行は企業文化として若者に魅力のある存在であると思いますし、この職場をやはりきちっと維持していく、こうした若者が働きがいがある、そういう職場にしていくというのが私ども経営者としての責務であると思っております。

○西田まこと君 そこで、そうした志を持った若い方々、職員の方々が、特に今公益性という話をされました、民営化するということと公益性の担い手になるということとが、これが大変に難しいチャレンジだろうというふうに思います。午前中からずっと議論がございました。
率直に申し上げまして、この法文に書いてある長期の事業資金に係る投融資機能の根幹を維持ということですね。政投銀の根幹とは何かというふうに私なりに整理しますと、もちろんいろんな優秀な人材に伴うノウハウとかも当然ございますが、一般的にはやはり大きなプロジェクトに対する民間銀行融資のリスク保証ということが意味合いとしては大きいんじゃないかというふうに正直言って思います。民間を代表するのが旧興銀であったわけでありますし、また民間金融機関はシンジケートローンとかを組んで協力するという関係にあったんだろうと。資金は財投から調達をすると。一つのやっぱり国、国家がかかわっていく国家事業であるという、その象徴がいわゆる開銀融資、旧開銀の融資であったと。それ自体、それが正に公共性あるいは公益性ということだろうというふうに思うんですね。
その意味でいきますと、では民間の銀行になったらどうなるのかという、この民営化するということと公益性の担い手であるということ、基本的にすんなりと来るわけではないわけでありますので、この議論が午前中からございました。ただ、根幹は維持するという、法律に定めてあると。
ここでやはり問題は、私はもちろん民営化されて民間銀行としての生きる道というのはあると思います。しかし、一方でそうした長期資金の供給としての根幹の機能があると。これが、私の理解では多分ごっちゃになっているというか、決して多分区分計上するとか別勘定だということではなくて、その一つの会社の中に、新会社の中に両方が並列していくということなんだろうと思うんです。
そうしますと、政策関与型の融資が危機対応としてこの新会社を活用していく、あるいは完全民営化されても活用していくというのが一方にあって、しかし一方では民間、純粋たる民間企業として収益を上げていかなきゃいけないと。これがごっちゃになって果たしてどうなんだろうなと、別勘定とかなら分かるんですけど。そこをちょっとお聞かせいただきたいと思うんです。

○参考人(小村武君) 私どもがマーケットにおいて信頼を得ているのは、確かに国家という信用を背景にしているところもございますが、ただ、それだけではカウベル効果とかそういうものは生まれてまいりません。やはり、その主体が透明性なりあるいは公益性、信頼性があるからこそ、金融市場において信頼性がある存在になっていると思います。こういうこれまでの財産をまず生かしながら、新しいビジネスにも挑戦をしていくということであります。
ただ、今までやっていた公益性の強いもの、こういうものについてそれじゃ今までのような長期で低利でやっていけるかというと、これは、民間金融機関がやれないことを我々が民営化をしてそれでもやれとおっしゃると、やはり収益性が低くなり、ROEが低くなり、株を買ってくれる方もおられません。しかし、我々が持っているそのノウハウあるいはデータベースを活用して、例えば原子力サイクルの事業に取り組めとかそういう御要請があるということでありましたら、制度的設計をしていただいて、ビジネスに合うような形にしていただきたい。それと同時に、新しい分野においてクロスボーダーの取引やら投資業務やら、そういうものを合わせて、私どもが全体として収益性のある立派な民間金融機関に生まれ変わっていくと、こういう過程を歩むというふうに想定をしております。

○西田まこと君 ということは、分けないで一緒にしてやっていくということですよね。
そうしますと、これ大臣にじゃお聞きしますけれども、先ほど御答弁ありましたけれども、平成二十年度予算以降だと思いますけれども、各省庁で、じゃ政投銀の新しい会社を一つの移行期も含めて活用していこうということを各省庁で考えたとしますよね。
〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕
そうすると、平成二十年度の予算からもうそうした予算措置なりをとっていく、政投銀がそうした公益性、公共性を担うような政策、いわゆる政策金融として活用できるように別途予算措置をとるというお話だったと思いますので、そうすると、もう平成二十年度から各省庁の要望に応じて様々な、もちろん検討されると思いますけれども、そういうことも考えられるということでしょうか。

○国務大臣(尾身幸次君) 基本的にはおっしゃるとおりでございまして、移行期間中におきましても、あるいは完全民営化された後におきましても政策的誘導が必要である、例えば、低金利の融資が政策的に必要であるという判断を政府としてしたときは、関係の省庁が立法措置あるいは予算措置を含めまして対応することによりまして、この政策投資銀行を活用するということができるものと考えております。
ただ、政策投資銀行そのものとして、固有の性格としてそういう政策的な、例えば低金利の融資をするということにはなっていないと、こういうことでございます。

○西田まこと君 そうすると、仮にそうなった場合には、先ほど私申し上げた分けないということである以上、一つの箱の中にその政策的な金融をする融資と、それから純粋の民間としての融資なり出資をする機能と両方一緒になっていますよね。政策的な金融をするところには別途予算措置なり法律で手当てをする、しかし政投銀としてはやらないという御説明でした。
一緒になっているとすると、これはもう一つ附則の六十七条にも、例えば対等な競争条件を確保するという、いわゆるイコールフッティングの話ですね。これが分けられているなら、まだ別勘定になっているなら分かるんですけれども、一緒になっていて、一方で純粋な民間の企業はそういうこともないわけですから、この対等な競争条件を確保するということと、今考えられている政投銀を活用して政策的な金融を行うということ、この折り合いはどういうふうに付けていくんでしょうか。

○政府参考人(勝栄二郎君) 六十六条及び六十七条におきまして、国の政策上真に必要な場合には他の民間金融機関とのイコールフッティングに配慮しながら新機関を活用するということになっておりまして、それはその政策投資銀行は民間銀行と全く同じ立場に立ってそういう要請にこたえるということでございます。
したがいまして、一民間金融機関と同じでございますので、その意味で別の勘定ということは想定されてないと思っています。

○西田まこと君 そうすると、じゃ今後政策的な金融を行うときには、普通の民間企業も政投銀も全く同じ立場で入札じゃないけど参画をして仕事を取れるかもしれないと、こういうことでしょうか。

○政府参考人(勝栄二郎君) おっしゃるとおりでございます。
ただ、危機対応につきましては、移行期間中は政策金融公庫法におきまして既に政策投資銀行は指定金融機関としてみなされていますので、そこはもう最初からそういう位置付けでございます。完全民営化後は指定が取れますので全く同じ立場、普通の民間金融機関と全く同じ立場だと考えています。

○西田まこと君 分かりました。
次に、出資先企業の扱いということについてお聞きしたいと思います。今、政投銀さんが出資をされている会社はいっぱいあると思いますけれども、特に出資比率が二割以上の会社について今後どうしていくのかということをお聞きしたいと思います。
全部で八十社弱あろうかと思いますが、銀行としての銀行法上のルールでは五%ルールがあるわけでありまして、グループで所有するにしても、上限一五%ということになりますと残り五%以上の持ち分をどう処理していくのか、減資をするのかあるいは国がその分承継をするのか、この辺についてはどんなお考えでしょうか。

○委員長(家西悟君) どちらがお答えでしょうか。どちらです、譲り合っておられますけど。勝総括審議官。

○政府参考人(勝栄二郎君) 移行期間中の新会社ですけれども、これは銀行法上の銀行ではございません。したがいまして、銀行法の五%ルールは適用されないということになります。また、完全民営化後ですけれども、その完全民営化後の具体的な業態につきましては今政府として確たることを申し上げられませんけれども、一つ考えられますのは、収益力を増強する観点から引き続き出資業務を行うことは重要であるということは考えられます。
したがいまして、例えばその五%ルールが適用されない出資業務を行う事業体も含めた持ち株会社方式によるグループ形態、そういうことも一つの選択肢だと考えております。

○西田まこと君 そのグループ形態におきましても、銀行法上は五%ですけれどもグループ形態は一五%ですよね。そうなると、それ以外のところの処理をどうするのかという観点はどうでしょうか、完全民営化後ですけど。

○政府参考人(勝栄二郎君) 一五%ルールは、金融機関形態の場合には一五%ルールが当てはまります。一つは、例えば貸金業みたいな形態を取りますと一五%ルールは適用されないと思っています。

○西田まこと君 この出資をしている会社の健全性ということがどの程度確保されているのかということでございます。
出資比率が二割を超えているような出資先でかなり赤字、赤字というか資産が毀損しているというところも、これは政策的な意味合いがあるからそれ自体がいい悪いということではないと思いますけれども、しかし、この組織替えのときに出資金の毀損が仮に起きたということが判明した場合に、これをどのように会計を処理されるのかということがお聞きしたいと思います。

○政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。
現在の政策投資銀行の貸付金等の債権また出資は、自己査定を行った上でリスクに応じまして必要な貸倒引当金を適切に計上していると思っています。また、それにつきまして監査法人による監査や金融庁の検査も受けております。したがいまして、その意味で既に適正な評価がなされているものと考えております。
それともう一つ、承継につきまして申し上げますと、これは評価委員会によって評価されることになっておりまして、原則として時価による評価だと承知しております。

○西田まこと君 その評価委員会ですけれども、この評価委員の構成というのはどういうふうなことを想定されているんでしょうか。

○政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。
評価委員会の構成につきましては、現時点ではまだ未定でございます。しかし、今までの例が幾つかございますので、そういうのを踏まえまして今後検討していきたいと思っております。

○西田まこと君 原則として時価評価ということですけれども、もう一方で時価によることが適当でないケースもあるとここに書いてありますが、これは具体的に何を想定しているんでしょうか。

○政府参考人(勝栄二郎君) お答えいたします。
新会社が承継します資産、負債の再評価に当たりましては、民間企業での時価評価方法又は内閣官房行政改革推進事務局の答申、これは平成十四年ですけれども、特殊法人等の独行法人化に伴う承継資産及び負債の時価評価の方法につきまして、そういうものを参考にしながら新会社が準拠する会計原則等に照らしまして公の資産、債務に応じた適切な評価方法を判断していくと考えております。
具体的には、例えば政策投資銀行の資産のほとんどを占めています先ほど大久保先生からありました貸付債権につきましては、これは金融商品会計基準に準拠しまして適正な引当金を計上するということと、有価証券につきましてはそれぞれの有価証券の保有目的に従いまして評価するということだと思っております。

○西田まこと君 先ほど今後のビジネスモデルのところで、法の第一条の目的規定でございますけれども、出資と融資を一体的に行うという部分の話をさせていただきました。ちょっとそこに戻らせていただきますけれども。
直近での出資、融資のそれぞれの総資産に占める比率、出資対融資の比率が今どういうふうになっているのか。また、イメージとしてある程度どういう方向に持っていこうとしているのか、この出資対融資の比率ですね。もしそういう想定というか、イメージとしてお持ちであれば、お答えいただきたいと思います。

○参考人(多賀啓二君) お答えいたします。
私どもの十八年三月末の決算書ベースということでございますが、全体約十三兆の私どもの出融資残高に対しまして、出資金は約三千四百億ということでございます。
今後というお話でございましたけれども、先ほど来お話をしてございますように、従来の出融資一体のビジネスということを前提にしておりますので、従来の出融資も一方で続けながら、軸足としては出資、こういうところにも重きを置いていくと、こういう方向に行くんだろうと、こういうふうに考えております。

○西田まこと君 そうすると、今出資はもうほんのごくわずかですよね。今三千億とおっしゃいましたっけ、三千四百ですね。全体が十三兆ですか。しかし、軸足は出資に置いていこうというお話ですと、完全民営化という段階ではこれは大体半分ぐらいずつになるというイメージなんでしょうか。

○参考人(小村武君) 現在、私どもはまだ政策金融機関であります。毎年の予算におきまして出資はこの程度ということで予算制約上がございます。そういう意味において、今自由に出資ができるという環境ではございません。民営化されましたときには、これは私どもの金融判断におきまして、最大の効率を上げるために伸ばしていかなきゃいけない。恐らくそういう意味においては、現在の状況とは様変わりになってくるんではないかと思います。
ただ、規模的にはどういう規模ということは今は申し上げられませんが、将来は収益の半分ぐらいはやはり出資業務において確保していきたい、こういうふうに考えております。

○西田まこと君 確かに、政策コストとかを見ても、金利が一%上がったときに政策コストが二千億くらいでしょうか、アップするというような試算もあるようです。当然、これから民間からも借入れをする。金利の上昇基調にもあるという局面ですので、そうした調達金利が当然上がってくる。そこで、融資だけではどうしても収益性が上げるのは難しくなってくるので、当然出資に、今お話ございましたが、その収益の中で半分ぐらいは将来的には出資の部分でリターンをということ、それはある意味で、民営化してしっかり飯を食っていくということになると、そういうビジネスモデル、選択肢しかないんだろうなと逆に思うわけでございます。
そこで、ちょっと細かい話ですけれども、この移行期に入りますと、これまでなかった短期の貸付けもできるようになりますね。これは、見合いである調達の方は譲渡性預金が入るというふうになりまして、その運用としてのこれは短期のつなぎ融資も念頭に置いているのかなという気もするわけでございますけれども、この短期の調達また運用ということにつきまして、どんなお考えでこういうふうな仕組みに入れておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

○参考人(小村武君) 御指摘のように、現在は基本的には五年以上の設備性資金ということで枠が掛かっております。原則でありますが、短期の資金繰り資金とか、そういうものは原則行っておりません。
ただ、新たに民営化される場合にはそうした制約がなくなります。そういう意味におきまして、短期の借入れ、これはマーケットにおいては比較的低い金利で今、日本のマーケットですと取り得ます。そういうものを活用しながら短期の金融ということに参入することも可能であります。ただ、私どもは、先ほど来申し上げております、職員が千三百五十七名、この中でリテールを粛々とやっていくにはこれは大変コストが掛かります。そういう意味で、短期の中でも例えば先ほどのDIPファイナンスだとか早く勝負の付くようなものについてはそういった手法によって大いに活用が可能になってくると、こう考えております。

○西田まこと君 そういうようなことも考えておられるんでしょうけれども、この当初の制度設計ではたしか、もしその預金業務を開始するのであれば預金保険機構に加入するというふうな制度設計になっていたんじゃないかと思うんですけれども、今回、この譲渡性預金のみ、まあ等と書いてございますけれども、ということであればこの預金保険機構には加入しないと、加入しなくてもいいということだと思うんですけれども、この当初の制度設計から変わった理由というか、ございますでしょうか。

○参考人(小村武君) 私どもの銀行は、現在、預金も決済機能も為替機能もございません。これを普通銀行になろうとすれば、膨大なシステム投資及び行員をたくさん抱えてその預金業務等々をこなしていかなければならない。そういうものを今の金融界で民間銀行と張り合ってやってもコスト倒れになるだろうということで、したがって、ホールセールの大口の預金あるいは特定のものに限って道を開いてもらいました。
ただ、何がフィットするかというのは、これは移行期間中やってみないと分かりません。幸い、政府の御理解がありまして、金融債にしてもあるいは大口預金の受入れにしても、いろんな方途、これを我々に与えてくれました。我々はこの財源調達というものは最大の課題でありますので、この移行期間中にどういうものが私どもの資金調達として一番フィットするかということを模索をしていきたい。ただ、債券の発行だけですとこれは特定のもう証券会社の言いなりになるとか、そういう危険性があります。ですから、私は、いろんな方途を持って資金調達をする、そういう手段をやはり持ち合わせておかないといけないと考えております。

○西田まこと君 もうこれで終わりますけれども、最初に冒頭私の方で質問させていただきましたこの人材の登用ということについては、やっぱり制度をいろいろと変えることももちろん大事なインフラですけれども、そこの中で働く人がやっぱりやる気を持たないと何をどう変えても何も良くならないというのが実態ですし、逆の問題も今いろいろと問題として、ほかの省庁ですけれども、起きているわけでございまして、ですから、そういう意味で、人材登用ということ、また、本当にその中で働く方々が希望を持って、しかも、ちゃんと生活もできるというか飯が食えるビジネスモデルをつくっていくということが何よりも大事であるということを強調させていただき、またそういう人材登用を是非ともお願いしたいということを強調して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。