予算委員会 第10号 2008-03-18

質問要旨
1.なぜ、道路建設に目的税が充てられ続けているのか?
2.道路特定財源を一般財源化そた場合のメリット、デメリットについて
3.道路特定財源の本来の目的(全国平等の経済インフラ構築)を達成するために今後、道路予算の決定方式を見直す必要性について
4.調査委託費について

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
今日は道路特定財源の集中審議ということで、私も質問に立たせていただきまして、ありがとうございます。
この道路の問題、様々ございますけれども、非常に大きく言ってしまえば、無駄を削っていわゆる本当に必要な道路をいかに造っていくのかということに知恵を絞らなければならない、そういう問題だろうというふうに思うわけであります。
この道路建設事業そのものを率直に見ますと、これは長期にわたる投資であり、そして長期にわたって国民の資産になっていく、そういうものが道路建設事業であろうと、こういうふうに思うわけであります。本来は、そういう意味では公共事業というよりも公益事業と言ってもいいぐらいの、そういう事業になるんではないかと私は思います。
そうした場合、通常はこの道路建設については、そうした国民の長期にわたる資産になるということからしても、建設国債で造るというのが普通の考え方なのかなというふうに思うわけであります。
しかしながら、この道路特定財源が創設された当時というのは、当然のことながら大変に財政は超健全とも言える均衡主義というのが取られておりました。また、予算はそういう意味では税金ですべて賄って、そして国債を発行するなどということは言わば罪悪視をされていた時代でございました。しかも、当時はこの国内の基盤整備というものは道路のみならず、昭和20年代そして30年代と、ほかにも様々社会資本の整備をしなければならない、そういう需要が山積をしていたわけでございます。そのため、この当時、道路建設費を費やすのに特定の財源を必要として、そして特別会計方式でそれが取られたと、こういうことだろうと思うわけであります。
〔委員長退席、理事伊達忠一君着席〕
ただ、冒頭申し上げましたとおり、本来こうした道路の公益性また経済性ということを考えたときには、建設国債を発行して全国平等の経済インフラというものを提供して、そしてそこで雇用を生み、所得を増やして、予想される税の増収をもってその財政負担にこたえていくというのが普通の考え方ではないかなというふうに思うわけでありますが、様々なこの時代的な制約条件というのもございまして、この道路特定財源というものが生まれて、そして現在もその道路に対しまして目的税、特定財源としてそこに費やされているわけであります。
まず総理にお聞きしたいと思いますが、なぜ道路建設にはこの目的税がそれ以降充てられ続けているのかということについてお聞きしたいと思います。

○内閣総理大臣(福田康夫君) 昭和29年にこの道路特定財源というのはこれは創設をされました。日本の経済の復興という、国土の復興、そういうことを目指したわけでございますけれども、その時々の社会経済情勢、ニーズを踏まえて計画的な道路整備に必要な財源の確保を図ることが必要でございますので、おおむね5年ごとに国会の議決を経て継続をしてきたものであります。特に、道路は自動車ユーザーが道路利用から得る受益とガソリン税の形でお願いする負担との関係が、これが他の行政分野に比べて明確であるということから、特定財源について納税者の理解をお願いを申し上げてまいったものでございます。平成20年度以降においても厳しい財政事情というものがございまして、地域や国民生活に欠かせない対策を着実に進めるためには、環境面への影響にも配慮しながら、引き続き道路特定財源の現行税率の維持を国民の皆様にお願いしているところでございます。
なお、暫定税率を廃止して減収いたしますので、その分について建設国債を充てることについては、これは国と地方のプライマリーバランス、これが大幅に悪化することになりますから、2011年度の国、地方のプライマリーバランス黒字化目標の達成が困難になるわけでありますので、避けなければいけない方策だと思っております。

○西田実仁君 この道路建設に目的税が充てられ続けている理由としては、やはり受益者負担ということがよく言われるわけなんです。しかし、この受益者負担というのは非常に分かりやすいようで実は非常に複雑、だれが受益者なのかという問題もございます。
また、例えばよく宮崎県の東国原知事が言われるように、地方であればあるほど車を保有していて税金も負担をしてきたと。そういう意味では負担をしてきた。しかし、道路がいよいよ来ると思ったらこれがなくなってしまうかもしれないという意味では、本当に受益者負担ということが言えるのかどうか。また、必ずしも特定財源だけで道路ができているわけでもないということもございます。
そうしたことからしますと、次にお聞きしたいことは、これをいわゆる一般財源化した場合のメリット、デメリットということになるんでしょうか。それをお聞きしたいと思います。
メリットとしては、恐らく今し方いろいろ議論がございましたとおり、特定財源という特定なポケットから出すよりもより資金の流れというものも透明になってくるんではないかと、また、そういう意味では無駄遣いということもよりなくなるんではないかという期待が恐らく多いと思います。受益者負担というのが利かない以上、一般財源化して、もはや受益者負担というある意味で美名がなくなったときには、仮に国債発行して、事は仮の話ですけれども、財政負担がこれだけ生じるという意味では、コストも見えやすくなってくるという意味では、一般財源化というものはお金の流れをより透明にしていくというメリットはあろうかと思うんです。
しかし一方で、ではこの反面、これだけコストが掛かってこれだけの道路ができるというBバイC等を始めとした議論は進むとは思いますけれども、一方で、しかし、この道路特定財源が元々できた目的の一つには、全国平等の経済インフラを造っていくという大変国の重要な役割があるんだろうというふうに思うわけであります。単なる経済性だけで測るわけにはいかない。一般財源化したときに果たしてそういうことがきちっと担保されるのかどうかというまだ証明はなされておりませんし、また、どういう優先順位で一般財源化して造っていくのかということも決してまだ明らかにもなっていない。
こうした一般財源化した場合に、この道路特定財源が元々目的としておりましたであろうこの全国平等な経済インフラの建設、提供ということが国の役割として損なわれることになるんではないかと私は思いますけれども、総理の御見解をお聞きしたいと思います。

○内閣総理大臣(福田康夫君) 我が国の道路の整備状況を見ますと、それは現在も相当程度整備されたということも言えるんですけれども、しかし、よく見てみますと、各地区で道路が切断、断続的にというようなところ、これはもう本当に数多くあるのは委員御案内のとおりでございます。また、そういうような道路の状況というのは、その地域の発展とか、それから地域の利便性、地域の方々の利便性とか、そういうことを考えた場合に、やはり必要なものは必要なんだというようにも言えるわけであります。また、将来の地域の発展ということも、これも大事でございますから、そういう視点も、これも忘れてはいけないと思っております。
そういうような諸課題の解消に向けて責任を持って計画的に道路を造っていくということになりますと、暫定税率の維持をするということによりまして安定的な財源を確保していくと、これは本当に必要なことだというふうに思います。
しかしながら、道路整備との関係をこれを切り離して、そして完全に一般財源化というようなことになりますと、これはこれまでの受益者負担という、そういう観点から納税者でございます自動車のユーザー、ユーザーに暫定税率の負担について今までそういう説明をして御理解を得てきた、そういうことができなくなる、こういう問題がありますので、この辺はどういうように説明をしていくかといったような問題も、課題を抱えているものだと思っております。

○西田実仁君 直近の国幹会議におきまして冬柴大臣が同会議の委員から国土の均衡ある発展ということについて、これは今はもう死語になっているのか、それともまだ生きているのかと問われて、議事録によりますと、それは生きておりますと、こういうふうに答弁されておられるわけであります。
今私が申し上げましたこの道路特定財源のそもそもの目的の一つは、国の役割として、やはり地方でも都市部でも格差がある、これを是正していく、そして全国ある意味で平等のインフラとして道路を造っていく、そして、そこに所得を生み雇用を生んでいくということがやはりこれは大事な役割だというふうに思います。
〔理事伊達忠一君退席、委員長着席〕
今大臣がおっしゃっておられます国土の均衡ある発展はまだ生きておると、こういう御発言の真意をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(冬柴鐵三君) 何か懐かしいような、死語のような響きはありますけれども、私はその精神は今も生きていると思いますよ。日本の幾ら辺地であっても、あるいは孤島、離島がたくさん、6874もあるんですが、これらは我々の国土を12倍も、領海ですね、12倍も広げているわけで、そこに住む人たちにもやはり発展というものについての受益がなければいけないと思うんです。その中にあって道路整備というのは非常に大きな役割を果たしていると思うんですね。
四面環海の我が国におきましては、外国からのダイナミズムというものを取り入れなければ、我々の人口減少社会を迎える日本においてなかなか成長力を維持するとかいうことはできかねます。したがいまして、我々は空港とか、その玄関である港湾というのを整備するとともに、これが生産地とかあるいはあまねく日本の全国にネットワークを張って、そういうものが、外国からの出入りが日本全国あまねく行き渡るようにするためには、道路のネットワークというのは必要でございます。私は、そういう観点でそういうことを申し上げたわけです。
しかも、もう随分古い話だと言われますけれども、国土開発幹線自動車道建設法というのは62年に改正されて、その中で、これからこういう道路を造っていきましょうということで法律をちゃんと決めているんですね。それが、この名前、道路の名前から起終点まで定められたその中には、もちろん山陰自動車道もあれば東九州自動車道もあれば日本海沿岸東北自動車道もあるわけですが、今それらがどうなっているか。できてないんですね。できてないんですよ、ぶつぶつなんですよ。私は、この10年間にこれはやはり、全部4車線でなくても2車線でもいいじゃないか、とにかく通るようにしなきゃ、私は20年前にしたこの約束、これ、そういうものが期待をしてられますよ、全部ね。私は、これは必要だと私は思っています。そういう趣旨で申し上げたわけでございます。

○西田実仁君 この都市部と地方との格差というものがあることはもう厳然でございまして、これを是正を考えていくなら、道路計画そのものもやはりそういうことを中心に考えていかなきゃいけない面も私は大変強くなってきているというふうに日本全体を見た場合には思います。
そういう意味で、この道路計画の決定方式も、これまでいろいろと経緯はあったということは承知しておりますけれども、ここでやはりそのメンバーとかあるいは国幹会議の開き方、期間の短縮も含めてですね、そうした観点から見直しをしていくということが必要ではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでございましょう。

○国務大臣(冬柴鐵三君) 道路はいろいろな数字が言われるんですけれども、先ほど14000キロと言いましたが、そのうち道路公団を民営化するときに9342という、9342キロをこれからも有料道路として道路公団が4車線でばっと造っていくのかという反省からこの民営化という問題がありました。
そうすると、そこでBバイCを取り入れて検討し、例えば新東名とか新名神は6車線で造るというようなことまでありましたけれども、それは4車線でもいいんではないかとか、いろんな見直しをしまして、当時まだ未整備だった1999というものを道路公団では20兆円掛けて造ることになっていましたよ。これをいろいろやりまして10兆5千億まで圧縮したというのは一つの成果だったと思います。ただし、道路を造っても有料道路で造るというわけにいかないというところもあります。それは新直轄ということで3兆円で造るというふうにもいたしました。
ところが、今いろいろの人から言うのは、それ以外に、それ以外に広域な高規格道路というものもあるんじゃないか。そういうものは、それもなるほど6950キロあるんですけれども、そういうものを造るときの手続がもう少し透明性にした方がいいんじゃないか、私はそういうふうに思います、そのように。
それについては私はいろんなところで発言もしてきていますけれども、やはり、社会資本整備審議会というものがありまして、そこには少なくとも諮って、ただ何もかもといったら大変でございますけれども、二つの県をまたぐとか、そういうものについてはそういうふうにすべきではないかというふうに私は思っています。
それからもう一つは、その中に、その先に、その先にまだ候補路線というものがありましてね、長大橋とか長トンネルというようなものも考えられていることは事実でございます。私は、もしこれを格上げするとか整備、整備するというふうなことになれば、これは一つ一つ、一本一本国会に諮って、例えば立法で議論していただかなければ格上げができないというような、そういう国民に見える、国民の意見を聴ける、そういうものを必要とするんではないかというふうに考え、そのように改正したいというふうに思っているところでございます。

○西田実仁君 是非そういう形で透明化を図って、本当に必要な道路ということを合意して形成していくということが大事だというふうに思っております。
そういう意味でも、残りの時間は、最初に申し上げましたが、無駄を削っていくということで、もう本当に変えなきゃいけない面がたくさんあるというふうにいろいろ御指摘されておるわけでありますが、その中で、この道路特会から流れているお金で、財団法人、公益法人がございます。今、与党といたしましても、プロジェクトチームをつくって、もう一つ一つ財団法人を洗い出してしっかり改革をしていく、正すべきは本当に正していくということをやっているわけでございますけれども。
まず、事務方にお聞きしますけれども、過去5年間なら5年間で道路特会から支出されて発注されている業務、調査委託業務、これが天下りの多い財団法人に随分流れてきて、毎年毎年ほぼコンスタントにお金が流れている、もうほぼ予算に組み込まれているかのような形で毎年コンスタントに流れているというところが数多くあるんではないかというふうに思って、疑念を抱いております。
例えば過去5年間にわたりまして継続して調査業務ということが委託されている、そういう財団法人のその委託方式、また契約金額、あるいはその具体的な成果及びそれを利活用した具体例がどうなっているのかということを簡潔にお示しいただきたいと思います。

○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
道路関係業務の改革につきましては、関係業務の執行のあり方本部において外部有識者の意見を聴きながら取りまとめをしていく予定です。
例えば、先日の与党でもヒアリングを受けました道路経済研究所の場合、平成14年度から平成18年度における調査委託に関する契約はすべて随意契約でございました。一件当たりの契約金額は2千万ということでございますので、こういうものを含めて、先ほど申し上げましたが、改革本部での改革をしていきたい、こう考えてございます。

○西田実仁君 100%随意契約であると、民間との競争もない、しかも毎年ほぼコンスタントに1億のお金が間違いなく流れてきていると、こういう問題があるわけでございまして、こういったところを本当に正していかなければなりませんし、またこうした、今道路経済研究所のお話をなさいましたけれども、もっと競争をさせてコストを下げるなり、あるいは毎年そうしたことが予算に組み込まれているというようなことがあってはならないと、こういうふうに思うわけであります。
こうした問題につきまして、冬柴大臣としても本部長として改革プランを立てておられると思いますけれども、この調査委託、特に道路特会から流れている財団法人に対する改善策及び決意をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(冬柴鐵三君) 私は、道路特会を維持させてください、暫定税率を何とか維持させてください、お願いしているんですが、もういろいろと指摘されたような、道路特会からの特に公共団体に対する資金の流れの中に目をしかめるような、庶民の目線からでは到底是認できないようなものが指摘されました。私も本当に恥ずかしい思いもしました。
そういう中から、これは私が先頭に立って、政治家として、とにかくこれは改革しなければ国民にお願いできない、そんな思いまでしたわけでございまして、いろいろ先ほどおっしゃったように、公益法人関係につきましては、一体、1口500万以上の調査委託費とか、そういうものを出した、そういうものは何社あるんだと調べたところ、50あると。じゃ、それを私は半分削るということを申しました。
それから、委託につきましても、随分、調査本当に必要なのかどうか、そういうことが、まあそれはみんな必要なんでしょうけれども、説明すれば。私としては、それも国民の目線に立ったときに、必要ないものはもうやめると、そこへは発注しないということも明言してきたところでございまして、このように、改革については私も本当に政治家として頑張ってまいりたい。私の方には、副大臣2人、政務官が3人、合計6人の政治家が政治家の立場で名誉に懸けても改革をしたい、このような思いでございます。

○西田実仁君 この特別会計からの調査業務委託というのは、かなり、もっと精査をして、本当に必要なのかということをやらなきゃいけないと思っております。
我が公明党としては、この税金の無駄をなくすPTというのをつくっておりましてね。決して特別会計だけじゃないんですよ。一般会計、例えば厚生労働省から一般会計で100%流れているお金で、19年度の会計検査院報告にも指摘されておりますけれども、労働組合の労使関係調査委託というのがありまして、もう50年以上にわたって続いている事業、これはいったんなくなりましたけれども、役所のOBの方に1人300万から400万渡し切りでお金が渡っていて、労使関係の調査委託費として渡っている。しかし、その使い道、領収書も一切取っていないと。でも、全部使ったということだけは分かっていると。そのじゃ調査した結果がどうなっているのかという報告も受けていないと。
こういうことが、特別会計だけではなくて、一般会計からもこの調査委託ということに関してはかなりずさんな管理になっているわけでありまして、是非、最後、財務大臣にお聞きしたいんですけれども、この一般会計も含めて、調査委託、委託業務、委託費としては全部で7千億円以上あるわけでございますので、これがきちっと使われているかどうかということを、もうちょっと関心を持って、各省任せにしないで、厳しくこのお金の流れ、無駄をなくしていくということをやってもらいたいと、こう思いますが、いかがでございましょうか。

○国務大臣(額賀福志郎君) これはもう西田委員のおっしゃるとおりでございまして、財務省も、それは各年度の一般会計、特別会計に当たっては、こういう委託調査費だけではなくて、それぞれきちっと査定をしているわけでございますけれども、おっしゃるように、最近の指摘されている問題等々もありますので、これは厳重にしていかなければならない。特に、随意契約等については監視の目を光らせていかなければならない。これはきちっと今後も対応していきたいというふうに思っております。

○西田実仁君 強い関心を持って、是非とも無駄遣いをなくしていきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。