国土交通委員会 2号 2008-03-27

質問要旨
1.利根川の堤防について
2.埼玉県松伏町の町道7号線の渋滞・交通事故・道路の陥没・騒音被害等の問題について

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
まず、今日は二つほどお聞きしたいと思っておりまして、一つは利根川水系の堤防強化事業について、そしてもう一つは生活道路につきまして、2点お聞きしたいと思っております。
一昨日でございましたけれども、政府の中央防災会議におきまして専門会議が開かれました。そこで、利根川が決壊した場合にどのような影響を与えるのかという、国内では初めての堤防決壊による被害想定というのが行われたわけであります。
そこでは、カスリーン台風並みの大雨が降った場合に堤防が決壊し1都5県に対しまして大変な大きな影響を与える。最悪6300人の水死というような衝撃的な被害想定というものが出されました。200年に1回とされるような大変な雨、320ミリを超えるような雨ということを想定して、6ヶ所の地点で、私地元は埼玉でございますけれども、埼玉の大利根町なども含めて6ヶ所か所決壊した場合にどういうような影響があるのかということが推定をされたわけでございます。このうち、埼玉県の大利根町で仮に堤防が決壊した場合に、首都圏での死者数というのは最大4,500人になると、こういう数値が出されました。
私は平成16年に初当選をさせていただきましたが、その翌年の17年3月に行われました予算委員会におきまして、当時北側大臣でございましたけれども、北側大臣に対しまして、この大利根町また栗橋町といった埼玉の地点で、利根川中流域になりますが、ここが決壊した場合、大変な被害が起きるということで、大臣からは、そうした利根川中流域というのは本当に急所のところである、またしっかりと重点的に整備しなければならない、また緊急的な対策としてしっかりやろうと、こういう御答弁をいただいたわけでございます。
そして、そのときに作られましたパンフレットが手元にございますけれども、カスリーン台風の悲劇を繰り返さないようにと、こういうことで作られた平成16年のパンフレット、ここを見ますと、首都圏氾濫区域堤防強化事業と、こういうふうにタイトルが付いてございまして、そのはんらんした場合の被害額は33兆円、これは埼玉のみならず東京また首都圏、1都5県にまたがる大変大きな被害が起きると、そういうパンフレットになっておりました。
そのパンフレットの中の一部分でございますけれども、首都圏氾濫区域堤防強化事業ということで、ここの重要度があり、平成16年度からおおむね10年をめどにこの堤防強化事業を行っていくという記載に加えて、特に破堤した場合の被害が大きくなる東北自動車道から下流の区間については5年間をめどに緊急的に整備を実施すると、こういう、特に利根川中流域で緊急度が高いところについては平成16年から5年をめどにして堤防強化事業を行うと、こういう記載が平成16年版のパンフレットにはあったわけでございます。
ところが、最近私も知ったことなんですけれども、このパンフレットには平成19年版というのがあるらしくて、この平成19年版を見ますと、今申し上げました特に東北自動車道から茨城県の五霞町に至る利根川中流域、緊急的に整備を要すると平成16年版のパンフレットで出されていた地域についての記載がすっぽり抜けておりまして、結論的に残ったものは、平成16年度からおおむね10年間をめどに整備を行うという記載のみが残ったわけでございます。
まず最初にお聞きしたいと思いますが、この平成16年版また19年版とで異なっておる記載、特にめどを5年間、10年間という、5年間と決めていた緊急的に整備すべきところを外して全体を10年間というふうに変化があった、変わった理由は何なのか、河川局長にお聞きしたいと思います。

○政府参考人(甲村謙友君) お答え申し上げます。
御指摘の利根川の首都圏氾濫区域堤防強化対策事業でございますけれども、はんらんすると首都圏まで利根川の水がはんらんしてくる、利根川中流部の右岸50キロにつきまして堤防拡幅によって治水安全度の向上を目指すものでございます。16年度から事業を開始しておりまして、そのうち特に対策が急がれる埼玉県羽生市の東北自動車道から茨城県五霞町までの間、約24キロを緊急箇所に位置付けまして早急に整備すべきと考えていたところでございます。
事業に入りまして、地域の方々の十分な御理解を得るために120回に及ぶ全地区における説明会の実施やまた農地転用手続に不測の時間を要したことから、20年3月現在、完成しています箇所は延長で1.4キロでございますけれども、説明をしました結果、現在全地区においておおむね事業の御理解をいただいたところでございますので、地域の皆様の御理解と御協力を得ながら、現在全地区で用地調査、用地買収、工事を進めているところでございます。

○西田実仁君 要するに、当初5年間でやろうと思っていたという、緊急的に整備すべきところについて住民の意向を確認をして丁寧にやっていただいているということの説明でありましたが、これがこの5年間という緊急的に整備すべきところというのは何か変わったということなんですか。5年間ではできないということになったんでしょうか。

○政府参考人(甲村謙友君) お答えいたします。
当初、事業を始める16年度の当初は5年間でやりたいという意気込みを持っておったわけでございますけれども、地元の皆様の御理解を得るための説明あるいは移る際の農地転用に時間が掛かりましたので、現段階では当初申しました5年間では難しいと考えておりますけれども、いずれにいたしましても緊急を要する箇所でございますので、皆様方の了解をおおむね得られておりますので、今後更に集中投資、ピッチを上げてやっていきたいと考えております。

○西田実仁君 まさにこの地域は当初から緊急的に整備を要するところという、その被害想定が大きくなるということ自体は変わっていないということですよね。変わっていないわけですから、これはスタートが農振の転用ということの手続も1年に1回しかないとか様々手続上の問題も、スタートを切るのが遅くなったというのは理解できますけれども、しかし、緊急に整備を要するという客観条件は何も変わっていないわけでありますので、これはもう本当にスピードを上げて進めていただかないと、万が一の場合に、優先すべきと言っているにもかかわらずカスリーン台風並みの大雨が降った場合に、スタートが遅れたから間に合わなかったと、決壊してしまったと、それで災害の死者がこんなにも出るというようなことがあってはならないと思うんですね。
そういう意味では、そのスタートは遅れたかもしれませんけれども、しかし、中央防災会議が想定しているように、被害が大変起きる可能性のある危険な箇所であるので、緊急的に整備する具体策を是非ともこれ考えなきゃいけないと、そしてそれを強力に進めなければならないと、こう思いますが、もう一度御答弁ください。

○政府参考人(甲村謙友君) お答え申し上げます。
当該箇所でございますが、昭和22年のカスリーン台風で実際利根川の堤防が破堤しておりますし、先生おっしゃるように、一昨日の中央防災会議の大規模水害対策に関する専門委員会の想定におきましても、その箇所が切れると首都圏まで、東京まで水が来るという非常に大事な箇所でございます。
緊急箇所24キロにつきまして、厳密な事業管理、事業マネジメントを行いまして、地元の皆様の御理解と御協力を得まして、集中投資を行ってできるだけ早期に完成させるべく頑張ってまいりたいと考えております。

○西田実仁君 是非集中投資して早く完成してほしいと。
いつまでに完了するという意気込みなのかということを御答弁いただきたいことと、あわせて、集中投資をするんですけれども、万が一の場合に、今すぐできることが何かあるんじゃないかと。そういうことも含めて是非御答弁をもう一度いただきたいと思います。

○政府参考人(甲村謙友君) お答え申し上げます。
先ほどの埼玉県羽生市から茨城県五霞町までの緊急箇所、約24キロでございますけれども、平成16年度の事業を開始しております。今、既に4年たっております。残りあと5,6年で完成させたい、それ以内で完成させるべく頑張ってまいりたいというふうに思いますし、また実際、洪水が出た際には、水防団の活動、それには、大臣の所信でも申し上げましたけれども、万一の場合にテックフォース、緊急災害援助隊等をもちまして被害拡大を防ぎたいというふうに考えております。

○西田実仁君 この堤防強化、川表と川裏とありますけれども、集中投資して堤防強化をしていくには4年から6年というお話がございましたが、あわせて、この川表の方をやはり緊急的にも、万が一のことを考えて大規模な堤防強化とはまた別にやるべきことがあるんじゃないかと、こう思います。もう一度、最後、お聞きします。

○政府参考人(甲村謙友君) お答えいたします。
この堤防強化対策は、堤防の川側の補強と、それから堤防の農地側、市街地側の補強、両方やる予定でございます。市街地側の補強をやる際には用地買収が必要でございますけれども、先生おっしゃるように、緊急に必要な箇所につきましては、用地買収の必要のない川表側、川側の補強を優先してやってまいりたいとも考えております。

○西田実仁君 是非、万が一のことを考えて優先整備ということが既に政府の中央防災会議で言われているわけですので、是非実行してもらいたいと思います。
もう一つ、最後でございますけれども、町道、生活道路についての御質問でございます。
先ほど道路の問題がございましたけれども、様々、道路予算がばさばさ切っているとさっき大臣が言っていましたけれども、余り切られ過ぎてしまって、幹線道路が、ネットワークが未完であるということによって小さな町の町道、生活道路に大変大きなしわ寄せも来ているということを最近、私は地元の松伏町という町がございまして、そこの町道を見たときに大変実感いたしました。
その町道は大変に傷みが激しくなっておりまして、そもそも町道ですから生活道路でございます。その地域はゆめみ野という名前も付いているぐらい非常に名前もいい、生活環境のいいところでございますが、そこに住んでいる住民の方々は毎日が震度3あるいは震度4と驚くほど、大型車がとにかく振動が激しい。大型トラックが確かに行き交っておりましたし、道路はもう陥没しかけてひびが入っているところが何か所もあると。修繕は部分的オーバーレイで対応せざるを得ないと。
町道ですから本来は生活道路で、こうしたことは起きにくいわけでありますけれども、なぜこうなっているのか。それは、近くを通る東埼玉道路という道路がございますが、この側道がまだ部分開通でございまして、そのネットワークが未完なために、国道4号線に出るために、まだ未完ですから、その町道を通って、本来は国道4号線に出るためには東埼玉道路が完成していれば町道を通らなくてもいいんですけれども、通り抜ける道として町道を生活道路を大型車が通過しているわけでございます。
事実、この交通量は平成16年当時の7倍、大型車の混入率は全国平均よりも高い28%もあると。そのうち東埼玉道路からの通過車両、通過するだけの車両が日に4000台もある、車両通過のうち大型車両はその5割を占めると。その結果、事故は大変に多くなっておりまして、松伏町平均の事故の18倍もあると。人身事故の発生件数も年28件も起きていると。
さらに、この傷んだ町道の修繕に多額の費用が掛かっておりまして、大型道路が通るものですから、道路延長当たりの管理費を比較しますと、この町道7号線ですけれども、管理費はほかの町道の45倍も掛かっているということでございました。もう町には予算がないものですから、今や黄色い、減速のお願いという、減速走行という看板を立てるのみしかできないと、こういう状態に今なっているわけでございます。
こうしたことは、決してこの町だけではなくて、他にも当然起きていることだろうというふうに思っております。具体的にこの町道について、激しく傷んだ町道の修繕方針についてどう考えているのか、また、国としてどういう支援をするのかということでまずお聞きしたいと思います。

○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
委員御指摘のように、平成17年、東埼玉道路がこの町道の付近で部分開通しましたので、大型車の交通量が約30倍増えたという状況でございまして、その結果、御指摘のように舗装の損傷が激しくて、騒音、振動あるいは交通事故という諸問題が発生しているというふうに認識しております。
町道の管理者でございます松伏町は、平成19年12月、昨年の12月に舗装修繕を行うための準備に入られておりまして、そのための損傷状況の調査、あるいは修繕のための設計を行うために、地方道路整備臨時交付金、こういうものを今年度申請されて、実際、8,000万の事業で行われてございます。
今後、この詳細設計が行われますと、来年度に向けて実際の舗装修繕の工事に入られる予定と聞いております。平成20年度におきましても町から引き続き臨時交付金の御要望がありましたら、国土交通省としても積極的に御支援をしてまいりたいと考えてございます。

○西田実仁君 是非、この新しくできる交付金によって、やはりこうした、町に何か責任があるんであれば別ですけれども、幹線道路が未完であるということでそのしわ寄せが小さな町に来て、生活道路が大変な状況になっているということを御理解いただき、国としてもできる限りの支援をすべきであるというふうに思いますが、根本的には、でも東埼玉道路というこの未完のネットワークをどう今後つくっていくのかということが問われておりますし、予算のない中で、しかし側道だけでも例えば規格を縮小するなりしてでも完成させていくと、完了させていくということがこうした小さな町の生活道路にしわ寄せを行かせないということにつながってくるんだろうというふうに思っております。
最後に大臣に、こうした東埼玉道路につきまして、整備促進ということについてお聞きしたいと思います。

○国務大臣(冬柴鐵三君) いや、もう何回も陳情を受けておりますので私の頭の中に入っておりますが、本当に大型車両がそういう小さいところへ入っていって道を壊す、生活を乱す、こういうことで、非常にこの東埼玉道路、国道4号、これを早く整備をしてほしいということの陳情を再々にわたって受けているところでございますが、現在はまだ調査中ということでございますので、この必要性は私もよく認識しておりますので、是非調査をし、そしてまた、県におかれまして都市計画決定をし、環境アセスをして、その上で我々ということでございます。我々も積極的に取り組ませていただく。困っておられることよく分かっておりますので、よろしくお願いします。

○西田実仁君 終わります。