177-参-文教科学委員会-008号 2011-05-17

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
大臣は、学校校庭における放射能の暫定基準といたしまして年間二十ミリシーベルト、毎時三・八マイクロシーベルトを提示されております。この年間二十ミリシーベルトにつきましては、先週、日本医師会も科学的根拠が不明確であるとして、より慎重であるべきとの見解を出しておられます。私も同様にこの二十ミリシーベルトは撤回し、子供の命と健康を守る基準に改めるべきだと考えております。
〔委員長退席、理事橋本聖子君着席〕
だが、大臣におかれましては、これまでの国会答弁において、年間二十ミリシーベルトを子供たちが受けることを容認しているわけではないと繰り返し強調し、毎月放射線量を下げる努力をしていくと決意をなさっておられます。
そして、先週の五月十一日には、「実地調査を踏まえた学校等の校庭・園庭における空間線量低減策について」と題する事務連絡を出して、いわゆるピット方式と上下置換方式は児童生徒等の受ける線量を減らしていく観点から有効であるとしておられます。
私は、昨日、福島県郡山市を訪れました。このピット方式、あるいは上下置換方式のいずれでもない、いわゆる郡山スタイルを見てまいりました。これは、ロードスイーパーで校庭の表土を二、三センチメートル除去する、約半日ほど掛かるわけでありますが、そういうことによって放射線量はそれ以前の十分の一近くにもなっておりました。私も実際に測っておりましたけれども、以前は毎時三・九マイクロシーベルトだった表土が、昨日測った際には〇・四マイクロシーベルトほどでございました。一旦表土を削っておりますので、そのままでは子供たちは校庭で活動することができませんから、新たに放射性物質に汚染されていない土を入れなければなりません。現在はまだ立入禁止というふうになって、体育館にて活動をされておられました。
郡山市は、文部科学省によるこのピット方式あるいは置換方式という事務連絡がなされる以前に、このロードスイーパーや、あるいはグレーダーも含めた様々な機械を使って独自に表土を削る実証実験を繰り返し、今日に至っております。
大臣は、この郡山スタイルについてはどのように思われますでしょうか。

○国務大臣(高木義明君) 西田委員にお答えをいたします。
西田委員は、今お話がありましたように、郡山市にも出向かれて様々な調査をしておられました。心から敬意を表したいと思っております。
私どもも、この郡山市の市長さん始め、もちろん福島市長さん、関係の自治体の町長さんと直接、私のところにも出向いていただいて、いろいろな御意見も伺ったところでございます。
改めて、今の状況について、私どもも、何とかできるだけ児童生徒が放射線に浴びることがないようにという気持ちは今でも変わっておりませんで、年間二十ミリシーベルトまで放射線を浴びていいということでは決してございません。
改めて申し上げますけれども、いまだ福島第一原子力発電所については事態が収束をしておりません。そういう中で、国際放射線防護委員会、いわゆるICRPの勧告をまず我々は踏まえました。そして、その勧告の中に記載されておりますが、緊急時被曝状況における参考レベル、これは年間百ミリから二十ミリシーベルトのうちの最もこれは厳しい値でもある二十ミリシーベルトというものを出発点として考えて、事故後の復興期における参考レベルである年間一から二十ミリシーベルトを暫定的な目安として、今後できる限りこれを減らしていくことが適切であると、こういう考え方を取っております。
今、実際に私どもが試算をしておりますと、児童生徒の生活パターンに即して計算しますと、事故発生から一年間の積算線量は多くても十ミリシーベルト程度の結果が得られております。これはあくまでも試算でございます。
なお、私たちはこの福島県の置かれた状況についても考慮しなきゃなりませんし、子供の心理的なストレスにつながらないようなことも配慮しなければなりません。これを踏まえながら、原子力委員会の助言を踏まえて原子力災害対策本部として取りまとめたものがいわゆる暫定的な考え方でございます。
なお、この暫定的考え方はあくまでも暫定でありまして、夏季休業終了、夏休みの終了までに文部科学省としては児童生徒の受ける線量が継続的に低く抑えられるかどうかということを確認するために、これは原子力安全委員会の求めにもありますけれども、一つとしては、継続的なモニタリングをしなさい、そしてその結果については少なくとも二週間に一回以上の頻度で報告をしなさい、そして同時に、内部被曝等のこともありますので、ダストサンプリング、そして土壌の調査も実施をすることにしております。二つ目には、日々……

○西田実仁君 大臣、私の質問、ちょっと早く、もう時間がないので。

○国務大臣(高木義明君) はい。
日々積算の線量を計算していく上に必要な、教職員にお願いをして、いわゆる携帯の線量計も携帯をしていただいて状況を確認する、こういうことを含めて、私たちとしては安全確認をしていきたいと思っておりますし、この上でなお安心を確保するためのいろいろな御知恵については我々も承知をしておりますし、既に御指摘のとおり十一日にもそのような試験もしております。

○西田実仁君 私、質問したのはそういうことじゃないんですよ。もう直接、郡山はその事務連絡が出る前に自分たちで表土を削るという作業をしているんです。この郡山スタイルについては大臣はどのように思いますかということ、端的にお答えください。

○国務大臣(高木義明君) 郡山については、一旦取った土砂をまた元のグラウンドに今積んでおります。これは三・八マイクロシーベルト以上の値が出ておりますが、そこは今の状況としては立入禁止になっておると思っております。したがって、私たちはこの土砂をどうにかしなきゃなりません。そのために福島大学の協力をいただいて、いわゆるグラウンドを掘って集中的にそこに埋める方法とそれから上下を変換するその方法がある意味では十分の一程度に抑えられるというデータも出ておりますので、この点については既に福島県には報告をしております。

○西田実仁君 郡山のやり方については評価するんですかしないんですか、それだけお答えください。

○国務大臣(高木義明君) やっぱりするときには土の処理をどうしていくのか、あるいはまたそういう作業をする人の健康状態をどうするのかということも十分踏まえてしなきゃならぬということを私は思っておりますが、まあしかし現実は現実でありますから、一日も早くそういう高い線量を抑えるということについては何らかの方法をしなきゃならぬ、検討をしていきたいと思っております。

○西田実仁君 それは評価していないということを言っているんでしょうか。評価していないんでしょうか。
〔理事橋本聖子君退席、委員長着席〕
郡山は、事務連絡が出る前に、一日も早く子供たちの線量を減らすために自分たちで努力をして、そして表土を削ることによって、今は少なくとも、私も測りましたけれども、もう以前の十分の一にはなっているんです。確かに、その残土をどのようにするのかということは、むしろそれこそ文部科学省が一生懸命考えて、あるいは政府一体となって考えて、どうするかというルール作りを大臣が先頭を切ってやるべきじゃないんですか。

○国務大臣(高木義明君) 今、私どもとしましては、残土の処理について政府の中で検討をしております。同時に、そこのグラウンドの中で処理をする方法について具体的に今二つの方法を私たちは提示をしております。

○西田実仁君 そのピット方式はともかくとして、上下置換方式というのはそのまま残るわけですよ。もう大臣も御存じのとおり、校庭には暗渠、排水のための暗渠というものがあるわけでありまして、それは十年に一回はまたもう一度掘り返さなきゃいけないと。結局、その後顧の憂いが残ってしまい、心配はそのままグラウンドに、その汚染された放射性物質が残るということには変わりないわけでありまして、その福島大学がやったと言われるところも見ましたけれども、その文書を見ましたけれども、幼稚園の園庭で八十センチの四方で実験をしたということですよね。これ、校庭って一万平米ぐらいあるわけでしょう。八十センチの箱庭みたいなところで実証実験して、一体幾ら掛かるんですか、そんなことやったら。もう大体、ざっと計算しても一校当たり四億円ぐらい掛かりますよ、今言っている上下置換方式なんて。そもそもお金も掛かるし、しかもそれが、暗渠等があるからまた土を掘り返さなきゃいけないとかすると、安全であり続けるということは非常に難しいわけであります。
ですから、今、郡山方式というのは、まさに表土を削ることによって、その土をどうするのかということ、今最大の問題になっているんですよ。私も行きました。マイクロシーベルト、もうそこは五以上ですよ。ブルーシートやって、コーティングして、二メートルぐらい離れれば少しは線量が減るということで縄を張って、子供たちが一日も早く外で活動できるようにしようじゃないかということで、国が何もやらないものだから、指針を示さないものだから、自分たちでやったわけですよ。
そうしたら、その土をどのようにするのかというようなことを大臣がリードして、それを早く解決しなきゃいけない。いつまでに、じゃ、この残土を処理するというルールをどのようにして決めるんでしょうか。大臣がそれを指導して、いつまでにやるんでしょうか、お答えください。

○国務大臣(高木義明君) 残土の処理についての課題は残っておりまして、これについては関係省庁と今検討をしております。
校庭については、私どもとしましては、一つの目安として毎時三・八マイクロシーベルトを下がらない、そういう線量がずっと高めに継続しているところについては、これは校庭の制限等もお願いしておりますが、こういったところについては、安心のための方策について我々は、もし、上下方式等も具体的には考えられますから、この点については国としても、それは設置者の責任で行われたことにしても、我々としてはある意味の最大の支援をしていかなきゃならぬと思っております。

○西田実仁君 環境政務官に来ていただいております。
この今回の件におけます放射性物質が含まれている残土については、どのように、いつまでに処理するという、今、文部科学大臣、いつまでとはお答えいただいていないんですけれども、環境省としてはどう考えているんでしょうか。

○大臣政務官(樋高剛君) お答えさせていただきたいと思います。
西田先生におかれましては、今回の大きく震災を含めた様々な対策に大変御熱心にお取り組みをいただいておりますこと、敬意と感謝を申し上げさせていただきたいと思います。
先週の水曜日、十一日でございますけれども、文部科学省から福島県の関係部署に対しまして、「実地調査を踏まえた学校等の校庭・園庭における空間線量低減策について」の通知を発出をしたことについて環境省も承知をしているところでございます。
私ども環境省といたしましては、児童生徒などの受ける線量を減らしていくという観点から、現時点で直ちに講ずることが可能な対策として、先ほど来話になっております、まとめて地下に集中的に置く方法、いわゆる、先生おっしゃいました、ピット法とおっしゃいましたけれども、あともう一つ、上下置換法、いわゆる天地返しという方法のようでありますけれども、この二つの方法は大変有効な技術であるというふうに認識をしているところでございます。
環境省は、今まで重金属などの有害物質の土壌汚染に関する知見あるいは対策技術などノウハウを有しているわけでありまして、この問題の対応にも役立てるべく文部科学省など関係省庁としっかり連携をしてまいりたいと。いずれにいたしましても、安心、安全が実現できるように最大限の努力を払っていきたいと思っています。

○西田実仁君 全く答えていないんですけどね。要するに、事務連絡が出したピット方式と上下置換方式というのは、出るのが遅いものだから郡山市は独自にやっているわけですよ、既に。
そして、先ほど来、大臣、もう自分の方が子供たちの安全と健康が大事ということを考えているとおっしゃっていましたけれども、国が考える前に独自に市が、よく設置者が独自に判断するという話をされますけれども、その設置者である市が少なくとも早く線量を減らすためにいろいろ試行錯誤をして実際に実証実験をしてみたわけですよ。それが十分の一になったんですよ。だけど、確かに残土は残る。
そのやり方が一番手っ取り早いというのは、文科省が出した、日本原子力研究開発機構で言っているじゃないですか。一番、もっとも簡便に、また速やかに除去する方法は表層土を剥離することであると言っているんですよ。誰が見たってそうですよ。
ただ、問題は、確かに剥離した後の土をどのように処理するのかということが問題になるから、じゃ上下置換方式で校庭にまた埋めちゃえというのが文科省が出してきた事務連絡。それは私はやるべきではないと思います。
少なくともピット方式で、本当に放射性物質が外に出ないようにするという、かなり慎重にやらなきゃならないと思いますけれども、いずれにしても、後から出してきた二つの方式の前に郡山はそうやって努力をしているわけですよ、放射線量を減らすための努力を。大臣がよく言う放射線量を減らすための努力をしてきているんですよ。結果として、出した土をどうするのかというようなことは、二つの方式ということにこだわることなく、文科省あるいは環境省が、いつまでにこれをここに処理したから安心してくださいということを言わなきゃいけないんじゃないでしょうか。独自にやっているわけですから、国の前に、実際に減っているわけですから。いつまでにルール作りするんですか。

○国務大臣(高木義明君) 今、環境省からもお話がありましたように、私どもとしては、いわゆるその処理についてまだ検討の結果が出ておりません。これも早く我々としては対応しなきゃならないことだと思っております。同時に、その間にどうするかということになりますので、その間として、先ほどありましたように、グラウンド、運動場の土の上下入替え方式など、これが現実的ではなかろうかと思っております。

○西田実仁君 そうじゃないんですよ。じゃ、もう一回上下置換方式やれと言うんですか、既に郡山市はやっているんですよ。今大臣のお話によると、では、上下置換方式でもう一度やり直せということを言っているんですか。

○国務大臣(高木義明君) この件については、私どもとしては、土の持って行き場をやはりきちっとしなきゃなりません。これがまだ、そうどこでも持っていくわけにいきませんので、これまた郡山市でもそういうことになっておるわけですから、この点については今慎重に検討しております。速やかに結論を出すことは言うまでもございません。
ただ、その間ですから、郡山については、これを更なる線量低下のためには今の山積みにしておるところをどうしていった方がいいのか、このことについても私たちは必要な検討を行って助言をしてまいりたいと思っております。

○西田実仁君 そんな助言とかではなくて、この土をどこに処理するのかということを環境省とか関係部署に諮ってもう速やかに決めるしかないんですよ、文部科学省がそれはリードをして。そういう、今もう実際に動いてそこにあるわけですから、それさえ除去されれば子供たちが校庭で遊ぶことができるんです。
これ、環境省、汚染者負担の原則という点でいきますと、当然これは東電が管理しやすいところに運搬して保管、管理すべきなんじゃないですか。

○政府参考人(関荘一郎君) 私どもの、これまでの有害物質の土壌汚染につきましては汚染者が負担すると、一部農地につきましては公費も入れると、こういうふうな方式でございますけれども、放射性物質による汚染につきましては現在の法制度の対象外となっておりますので、法的にどなたが責任があるかということは明確ではございません。

○西田実仁君 だから、そうやっていて、郡山市が独自に子供たちのためにやったことをずっとほっとくんですか。だから、早くやった方がいいじゃないですか、そのルール作りを。早く決めてくれと言っているんですよ。
文部科学大臣が子供たちの命を本当に考えているんだったら、いつまでにこのルールを作るという決意をここで言ってください。

○国務大臣(高木義明君) できるだけ早く結論が出るように、私としても最大限の努力をいたします。しかし、その間、私どもとしては、先ほど御意見ありましたように、そのような方法を取るなどして線量を下げる努力もしなきゃならないと思っております。今御指摘のとおり、私たちとしてはこれは一日も早く解決しなきゃならない問題だと認識をしております。

○西田実仁君 最後に申し上げますけど、郡山はもう既にやっているので、その土をどうするかを早く決めてくださいということ。じゃ、これから、その間どうするのかというふうに、今二つの、ピット方式と上下置換方式と言われておりますが、この上下置換方式は、特にその有効性、あるいはその土がそのまま残る、校庭には暗渠排水路がある、そういう様々なことを本当に考えた結論なのか、大変に私は疑わしいと思っております。よくそこは、後から、やっぱりこれは汚染された土がずっと残ることになったということにならないように、文科省としてはきちんと、その二つがこれが全てなんだというような決め付け方をしないでやっていただきたいという意見を申し上げて、終わりたいと思います。