179-衆-東日本大震災復興特別委会-4号 2011-11-11

○古賀委員長 これより会議を開きます。
第百七十七回国会、参議院提出、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案につきましては、第百七十七回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案
〔本号末尾に掲載〕
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○古賀委員長 この際、本案に対し、近藤洋介君外七名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、社会民主党・市民連合、国民新党・新党日本及びたちあがれ日本の六派共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。近藤洋介君。
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株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
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○近藤(洋)委員 ただいま議題となりました株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。
まず、本修正案の趣旨について申し上げます。
参議院を通過した法案は、いわゆる二重ローンに苦しむ被災した事業者を救済するための機構について定めるものですが、既に各県において二重ローン問題に対処するための産業復興機構の設立も進められていることから、機構は、産業復興機構と相互補完しながら業務を執行していく必要があります。また、機構の運営に伴う国民負担や機構の持続可能性にも配慮する必要があります。
これらの観点から、より実効性のある形で、被災した事業者を救済していくために、本修正案を提出した次第であります。
次に、その主な内容について申し上げます。
第一に、機構の行う業務について、資金の貸し付けをつなぎ融資等に限定するとともに、担保財産の取得等の規定を削除することとしております。
第二に、債権の買い取り価格について、支援決定に係る事業再生計画その他の個々の実情を勘案した適正な時価を上回ってはならないこととするとともに、迅速かつ適正な買い取り価格の算定が可能となるよう、買い取り価格の算定方法に関する指針の作成等について、政府及び機構に対して努力義務を課すこととしております。また、債権の買い取りに当たっては、機構に二次ロスが生じた場合の損害担保契約を関係金融機関等と締結することができることとしております。
第三に、債務の一部免除及び弁済猶予については、することができることとし、対象事業者の保証人等の負担軽減に資する措置については、努力義務としております。
その他、機構の業務に係る不動産取得税の非課税、産業復興機構や産業復興相談センターとの連携、政策金融機関による資金の貸し付けの努力義務等の規定を整備することとしております。
以上が、本修正案の趣旨及び主な内容であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○古賀委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
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○古賀委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として中小企業庁長官鈴木正徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○古賀委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑浩治君。

○畑委員 岩手二区の畑浩治でございます。
被災地で言われていること、悲鳴というのは、まさに、既存の債務がある、あるがために、やる気があっても新規のお金が借りられない、そういう悲鳴が上がっておりました。もちろんこれまで、新規の融資は、無利子融資も含めて、有意義なものをつくっていただいた、そして既存の債務の返済の猶予等も講じられた。しかし、まさに、既存の債務があることがなかなか足かせになっている、そういう事態だったわけでございます。
既存債務の買い取り等による債務の負担の軽減は、まさに求められていたものでございます。そういうことで、これまで、与野党の間でさまざまな建設的な提案がなされ、そして与党におかれても、誠実で、かつまた柔軟な対応がなされた。そして本日、まさに、この法案の修正案について協議ができるような段階になったこと、本当によかったと思っております。そして、これまで協議をされた先生方、提案された先生方、本当にこれまでの御尽力に深く敬意を表する次第でございます。
まずは、合意に至った本修正案の論点と経緯について、改めて提案者にお伺いいたします。

○谷委員 修正案提出者として代表して御答弁をさせていただきます。
まず、経緯でございますけれども、この二重ローン救済のあり方につきましては、六月ぐらいから、主に参議院を中心にいたしまして、民主党、自民党、公明党による協議を行ってきたところでございますが、なかなかうまくいかず、自民党、公明党など野党が中心になりまして、参議院に先に提出させていただいて、七月末に通ったわけであります。
これを、我々の本委員会におきましては、お盆過ぎから協議を始め、相当難航したところではございますけれども、九月末に、参議院通過法案をベースにして修正をするというところまで至りました。それ以降、十月に入って、非公式のあれも含めまして十数回協議を重ね、十月二十日におおむねの合意、そして十一月四日に規模も含む合意に至ったところであります。
何が論点になったかということでございますが、たくさんございますけれども、そもそも新たな機構の業務のあり方、資金の貸し付けはどうするのか、担保土地の扱いをどう業務に位置づけるかということから始まり、買い取り価格の算定方法、あるいは債務免除のあり方、あるいは新たな資金供給、いわゆるニューマネーはどうするのか、そういったことについて論点があったかと思います。
また、運用上につきましても、各県ごとの機構に加えて新たに全国一つの新機構をつくる、そうするとその関係をどう整理するのか、あるいは債権の買い取り、または債権の管理、処分への留意事項、そういったことも大きな論点になったかと思います。
いずれにいたしましても、委員御指摘のように、与党、野党、それぞれ立場がございますけれども、被災地のために、やや時間がかかったことは事実でございますけれども、このようにおおむねまとまったということは、大変私個人としてもうれしい、一つの仕事をなし遂げた、そういう思いでございます。

○畑委員 御答弁、ありがとうございました。
実は、もう一つの産業復興機構というスキームもございまして、岩手県では、十一月十一日、先週の金曜日でございますが、設立されたばかりでございます。
この産業復興機構なり産業復興相談センターと本法案の事業再生機構、これとの連携というのは重要なわけでございまして、本法案では、相互に連携を図りながら協力するよう努める旨という規定がございます。これはこれで重要な規定でありますが、実務的には、被災事業者にとって、対応の窓口がどちらか一義的に明確であって、そして、その対応した窓口が最後まで責任を持って助けて対応してくれる、そういうことが重要なんだろうと思います。
そういう前提でお伺いいたしますけれども、実際の対応について、運用ということになりますが、どのようなすみ分けがこの二つでなされるか、その点を改めてお伺いしたいと思います。

○近藤(洋)委員 畑先生にお答えいたします。
まずもって、畑先生、被災県を代表されて大変な御活躍をされておられるわけでありますけれども、その中で、先生御指摘のとおり、岩手県においては、達増知事初め、地元の金融機関等の連携の中で産業復興機構が既に設立をされておるわけであります。
本法案が通りますれば、新たな機構ができ上がるわけでありますが、そのすみ分けといいましょうか、現場の混乱を来さないことが非常に重要になろうか、このように思います。全くそのとおりであろうかと思います。
したがいまして、新たな機構では、既に各県の産業復興機構が各地域の実情に応じて対象を決めておるわけですから、その整理をまず尊重すること。そして、新たな機構の買い取り業務の対象は、各県の産業復興機構による支援の対象とすることが困難なものとし、具体的には、小規模事業者、農林水産事業者、医療福祉事業者等を重点的な対象とする、そしてその上で、各県の産業復興機構と相互補完する、そして支援の拡充を図る、こういうことでございます。
相談窓口があるわけであります。この相談センターの役割も運用面においては非常に重要になるのかな、このように考えておりますが、こうした議論については附帯決議案としても提出することを考えているところでございます。

○畑委員 ありがとうございました。その点、しっかり、疑義のないようによろしくお願いいたします。
さて、事業の再生という目的を達成するためには、もちろんこれは買い取って終わりではだめなわけでありまして、買い取り後も地域の金融機関がしっかりと被災事業者を支えていく、それによって地域の復興がなされる、つながるというわけでございます。とりわけ、地域の金融機関がニューマネーをしっかり供給して支えていくという観点が重要でありますし、また、場合によっては、この再生の過程でいわゆる二次ロスが生じることもあるだろうと思います。これについては、金融機関がしっかりと適正に負担するということももちろん重要である、そういう枠組みが私は重要であると思っております。
今回の修正案で、そういった観点から追加されました金融機関の損害担保、ロスシェアリングの契約に関する規定、これは高く評価できると思っております。改めて、提案者からその点のお考えをお伺いしたいと思います。

○近藤(洋)委員 畑先生にお答えを申し上げます。
御指摘のとおり、事業の再生のためには地域金融機関の役割は極めて大事であります。この観点から考えますと、債権を譲渡した時点で、金融機関がそこで事業者との縁が切れてしまう、縁切りになってしまってはいけない、こういった事態を防ぐ必要がある。この観点から、いわゆるロスシェアリングの規定を入れました。同時に、被災事業者が再生するための、協力をするインセンティブを金融機関に与えるという意味もあったわけでございます。
具体的には、損害担保契約、すなわち、対象事業者に係る債権のうち機構が買い取りを行ったものについて、買い取りの後、当該債権の適正な時価が買い取り価格を下回った場合においては、その金融機関が一部を負担するという契約ができるという二次ロスのシェアリング規定を盛り込んだわけであります。こうしたことで、それぞれが負担を分かち合い、そして地域の経済再生に資するようにしていきたい、このように考えているわけでございます。

○畑委員 ありがとうございました。
まさに、この規定は被災事業者再生のインセンティブを高めるものであると私も思っております。本当に有意義な規定だと思っております。そして、先ほども申し上げましたが、既存の債務があれば新規の融資が難しいということに、まさにこの法案でしっかりと対応していくということであって、よろしくお願いしたいと思います。
それとともに、機構に対して債権買い取りの相談をするとか、あるいは実際に買い取ってもらったとか、こういうことがもちろん新規の融資の支障にならないように、これはならないような法案になっておって、そういうことでしっかりやっていただきたいと思いますし、そういうことなんですが、これは政府の方にもお願いしておきたいと思いますが、政府において、金融機関をしっかりと、こういうニューマネーが、そして新規の融資がなされるように、不利にならないように監督指導していただきたい、改めてこのこともお願いしておきたいと思います。
さて、ちょっと論点は別になりますが、被災地の復興に当たっては、民間事業者の二重ローンの問題、これは重要でありますが、もう一つ、公的機関の財政負担の問題もございます。つまり、これから復興事業が盛んになるにつれて、地方公共団体が事業をやっていくに当たって、その負担の軽減ということが非常に大きな課題となると思います。
第三次補正予算案においては、これまでにない特例措置ということになりますが、震災復興特別交付税を一兆六千六百三十五億円増額した。補正予算について、被災団体の負担をゼロにするという措置が講じられようとしておりまして、このことを被災団体は非常に評価しているところでございます。
この措置、正確に申し上げますと、平成二十三年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律等の一部を改正する法律案という形で措置されるわけですが、三点ぐらい確認したいんです。
復興事業については、補助事業の補助裏のみならず、国の直轄事業についても直轄事業負担金がございます。これは地方の負担になるわけですが、これについても同様に、負担をゼロにするという措置がこの震災復興特別交付税によってなされるのかどうか。あと、これは二十三年度の補正予算関連法案でございますが、復興事業というのは来年度以降もあるわけです。二十四年度から、集中復興期間の中で、十九兆円程度とこの復旧復興事業は見込まれている。これについて、来年度以降も同様の措置が講じられることになるのかというのが二点目でございます。三点目は、この場合、交付税法についてはどのような対応がなされていくことになるのか。
この三点について、総務大臣からお伺いしたいと思います。

○川端国務大臣 お答えいたします。
畑委員から三点お問いでございました。
震災復興特別交付税、一兆六千六百三十五億円増額いたしますが、直轄事業の負担金一千五億円についても、補助事業の補助裏分一兆一千九百五十六億円と同様に、その全額を措置し、被災団体の負担をゼロとすることといたしたいと思います。
二点目でありますが、今後とも、集中復興期間中の復旧復興事業に係る地方負担分が新たに生じる場合には、震災復興特別交付税の別枠での増額を改めて図り、被災団体に対し、同様の措置を講じてまいりたい。
三点目でありますが、その場合はどうするのかということでありますが、震災復興特別交付税を増額する場合には、その都度、地方交付税の総額の特例等について、地方交付税法を改正することなどの対応を講じることになるものでございます。
以上です。

○畑委員 大変心強い答弁をありがとうございました。
実は、地方で不安がありましたのは、二十三年度の補正でこういう法律が出るんですが、まず、それを二十四年度以降もやってくれるのかということでございました。
実は、この復興事業は、来年度以降の方が、実際動き出してからの方がお金がかかってまいります。そこをしっかり、はしごを外さずに見ていただけるというお答えで、本当にありがたいと思いましたし、もう一つは、やはり補助事業の補助裏とともに、国の直轄事業、これは国がやるものでありますが、実は、ここも地方の直轄負担金、負担があるわけで、ここも面倒を見てもらえないと、国がやってくれると言われても、なかなかついていくことが難しいという不安が公共団体にあったわけでございます。
こういうことをお伺いしまして、実はその点があいまいだったんですが、今、総務大臣のお答えをいただきまして、これは被災地の地方もほっとしたというか、そこは明確になったと思います。私も、その点はこれからもしっかりと説明してまいりたいと思っている次第でございます。ありがとうございました。
さて次に、最後の質問になりますが、復興特区法案の関係でございまして、これはまた別途審議されるわけですが、一つちょっと確認しておきたいところがあって、質問させていただきたいと思います。
復興特区法案で、復興整備計画に基づいて復興整備事業が行われる規定があります。これはまさにまちづくり事業でございまして、移転とかまちづくり、あるいは土地利用の一元化というところがポイントになる部分でございます。
ここの、許認可の特例という部分についてお伺いしたいんですが、この法案では、復興整備協議会というのがありますが、この協議会で「協議をするとともに、」「同意を得なければならない。」という規定ぶりになっております。つまり、まるで協議と同意、この二つが必要、併存しているような読み方ができる条文なわけであります。
もちろん、復興整備協議会に許認可権者が入った協議をして、それが調えば何も改めて同意をとる手続をする必要がないわけで、これは許可があったものとみなして進んでいくというワンストップの手続がなされるべきだと思うし、そうだと思います。
私も、党の方の復興ビジョンチームの土地利用、まちづくりの主査として、ここのポイントは、自治体の負担を課さない、できるだけ簡素な手続で、一元的な手続でやれるようにする、必要最低限の手続は必要ですが、そこは一元的な、ワンストップでやるべきであるという提言をまとめて、お出ししたところであります。恐らく、これは法制上の理由だという話も伺っておりますが、それはそれとして、実際の運用は、まさにそういう形でワンストップでなされるべきだと思いますし、そうだろうと思うんですが、改めてこの点について、復興大臣に確認をしたいと思います。

○平野国務大臣 畑委員には、復興特区制度、法案の作成過程の中においてさまざまな御意見をいただきましたこと、感謝申し上げます。
復興特区法案は、御案内のとおり、手続、規制、それからあと復興交付金、こういったものが入っておりまして、その中において三つの計画をつくるような制度になっていまして、委員の御指摘は、その復興整備計画をつくるときに、協議会で決まったものになぜ同意が要るのかという御質問であったと思います。
土地利用再編を迅速に進めるために設置される復興整備協議会の協議には、許認権者の関係者が参加をすることとなっているところでございまして、これはもう委員の御指摘のとおりでございます。したがいまして、この協議の場で当該許認権者の同意を得て許認可があったものとみなすという運用がなされることを想定しているところでございまして、これにより、許認可の事実上のワンストップ処理がなされる、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。

○畑委員 ただいまの答弁で確認をいたしました。まさにそういうことで、できるだけというか、しっかりと対応をお願いしたいと思います。
残りは質問ではありませんが、確かに今回の復興特区制度は、手続を、できるだけ負担を課さないということ、これは、必要な手続は必要ですけれども、そういう観点が必要だと思います。そういう観点からいいますと、これはお願いというか意見にとどめておきますが、実は、地方自治体に聞きますと、この特区法、復興推進計画、あと復興整備計画、そして復興交付金事業計画と三つの計画がある、この三つをそれぞれつくるのはなかなか大変だという本音の話を聞くところであります。
でありまして、これは運用ということになりますが、これらもできるだけ運用上一体として手続ができるような、やれるような、そういう工夫と運用の簡素化もぜひともぜひともお願いをしたいと思いまして、このこともお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

○古賀委員長 次に、谷公一君。

○谷委員 自由民主党の谷公一でございます。
私は、衆議院、今回の修正案の提出者でございますので、主に政府に対して何点か、質問といいますか確認をさせていただきたいと思います。
先ほども話が出ましたけれども、そもそも今の法案は、参議院段階では与党の賛同を得られなかった、法案をそもそも二重ローン救済のためにつくる必要はない、そういうスタンスでございました。しかし、衆議院段階で、それこそ与党としての度量を示されて、我々野党もその協議に柔軟に対応するという良識、度量と良識、これによってここまで至ったというふうに思います。
したがって、政党間で真摯に、ある意味ではかかり過ぎたかもわかりませんが、そういうことを政府においてはしっかりと尊重していただいて、財務大臣来られていますけれども、規模なんかももう決めましたから、そんなに判断していただかなくてもいいと思います。ただ、そのことをやっていただけるかどうかということを、まず確認したいと思います。
安住財務大臣、この新たな機構の事業規模は五千億、そして、この法案によれば、法律が成立して公布されてから三月以内に設立ということになっています。したがいまして、今月下旬に仮に成立するということであれば、二月の末までに政府は、この立法府の意思を受けて、必ず法人を設立させる、そしてその事業規模は五千億、そして必要な、例えば出資金とか準備経費とか、そういったものは今、三次補正に何も計上されていませんので、必ず設立までに政府が責任を持ってやる、それを確認させていただきたいと思います。五千億と予算措置であります。

○安住国務大臣 今、谷先生からお話ありましたように、成立した暁には、予算措置を含めて適切に検討してまいります。五千億というお金についても、この法案に書いてあるとおり、成立と同時に、予算措置等について政府内で検討していきたいというふうに思っております。

○谷委員 安住大臣らしくない答弁でございました。何か答弁を今読まれていました。
もう一度、しつこいようではございますけれども、確認させていただきます。
この新たな機構の事業規模は五千億でなければ困るんです。対外的に、これだけの、当面五千億という枠を用意していますよと。そして、各省から要求があるないという問題ではないと思います。三党間で合意した事項であります。そして、予算措置も必ずしてもらわなければ困ります。もう一度御答弁をお願いします。

○安住国務大臣 政府保証の五千億については、この法律に書いてあるとおり、しっかりと対応していきますので、御心配なく。こちらとしても、法案に基づいて対応していきたいというふうに私も思っております。
ただ、今、現下では、第三次補正の参議院での審議が間もなく始まるところでございますので、そうした状況もぜひお含みおきをいただきまして、御理解いただければと思っております。

○谷委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
なお、大臣、法案には五千億とは書いてないんです。事業規模はこの法案には何もないんです。ですからこそ、ちょっと確認をさせていただいたということであります。
ありがとうございました。財務大臣は結構でございます。
この法案の論点、先ほども畑委員の質問で何点か出ましたけれども、たくさんございましたけれども、その中で、もともと参議院通過法案は、今提出者お二人が来られていますけれども、新たな機構はいわば新銀行をつくるようなものだ、融資もできるという内容でございましたけれども、与党との交渉の結果、融資はいわばつなぎ資金的なものに限る、最低限にする、それで、基本的には政府系金融機関に新たな資金、いわゆるニューマネーの供給を担っていただこうという仕組みに変更をしております。
枝野大臣、来られておりますけれども、このニューマネーを政府系金融機関がしっかりやっていただくように新たな法文上の手当てもしておりますけれども、それは、大臣として責任を持って、いわば、極端な話、機構が融資が必要あるというふうに認めれば、最大限尊重して、政府系金融機関からの融資をお願いしたいと思いますが、その点についての考え方を御答弁お願いしたいと思います。

○枝野国務大臣 お答え申し上げます。
事業者の再生に不可欠なニューマネーの提供については、本来、従来から、民間金融機関からの十分な資金供給が得られない場合に政策金融機関が補完的な役割を果たすことが期待をされているところでございますが、今回の修正案において、特に六十二条三項でしょうか、政策金融機関は民間金融機関が対象事業者に対して行う資金の貸し付け等では被災事業者の再生に必要な資金を確保できない場合に必要な資金の貸し付けを行うよう努めなければならないとの規定を置いているということは承知をしております。
政府としては、この修正案の趣旨を踏まえて、政策金融機関が適切な役割を果たすことができるよう、しっかりと取り組んでまいります。

○谷委員 枝野大臣、確認でございますが、通常、こういう政府系金融機関の供給の規定は、必要な資金の貸し付けを行うものとするとか、そういう規定かと思うんです。今回の修正案では、「必要な資金の貸付けを行うように努めなければならない。」「努めなければならない。」という、恐らく前例にない、ある意味では政府系金融機関の裁量を非常に拘束する書きぶり、法案の考え方ではないかと思いますけれども、弁護士である大臣でございますので、その点についての確認をお願いいたします。

○枝野国務大臣 まさに、議員修正で修正の条文がつくられているわけでありますので、条文のとおり、「必要な資金の貸付けを行うように努めなければならない。」という趣旨に基づいて、各政策金融機関が役割を果たすよう指導してまいりたいと思います。

○谷委員 枝野大臣にお聞きしたいと思います。
現在、各県ごとに、岩手県は、先ほどの質問にございましたように、先週、十一月十一日に産業復興機構が正式に設立をされました。ほかのところもさまざま、準備ということでございますけれども、例えば岩手県、当面五百億ぐらい、当面といいますか、債権の買い取りに必要な出資総額を五百億円と想定しているということですが、現実に、今どれぐらいのめどがあるんですか。
早い段階から、目標は五百億で、トータルは二千億ということは、政府の方は御説明されておりました。岩手県は、先週、正式に立ち上がりました。目標は五百億だという。五百億といっても、震災からもう八カ月たちました。どのぐらいのめどで債権買い取りのめどが立っているのか。その点、最後に、大臣にちょっと確認させていただきたいと思います。

○枝野国務大臣 これについては、岩手県、地域の金融機関、そして独立行政法人中小企業基盤整備機構において、この間鋭意相談をしてまいりまして、当面ということの当面の期間、具体的な数字で申し上げることはなかなか難しいんですが、五百億円の出資額、そして足元においては約百億円の出資をするということで、お金が足りないことで、必要なというか要件を満たしているものについて、お金がなくて回らないということにならないよう、お金が確保できるというふうに承知をしているところでございます。

○谷委員 ありがとうございました。
いずれにしても、何か具体的に、当面、岩手県では五百億で、うちこれぐらいのめどがある、具体的な話が来ているという御答弁をいただけるのかなと思いましたら、そこまでいっていないということが残念であります。
我々の機構は、我々のといいますか、今度の新たにできる機構は機構として、しかし、実際に先行している各県ごとの機構も、何も設立するのが目的ではないわけですから、これによって事業再生を図っていただくということが目的なわけでございますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
それに関連して、住宅ローンのことについて質問をさせていただきたいと思います。住宅ローンも大変気になります。たくさんの被災者が出ております。
金融庁、きょうは中塚副大臣に来ていただいておりますけれども、私的ガイドラインで相当しっかり取り組むというふうに聞いておりました。設立したのが八月二十二日ですか、もう大分たちます。三カ月近くになる。
さて、住宅ローンで何人救ったんですか。数十人だという話も聞くんですけれども、副大臣、これだけの、万あるいは十万、二十万という被災者がありながら、二十、三十というのは余りに、厳しく言えば、これは施策なのかと思いますけれども、現状についてどうなっているのか、そしてこれからどう対策を講じるのか。
事業については今回の新たな法案で相当進むかと思います。しかし、個人の住宅ローンについてはどうですか、お尋ねします。

○中塚副大臣 お答えをいたします。
本日、ガイドライン運営委員会が最新の数字を発表いたしましたので、あわせて御報告を申し上げたいと思います。
ガイドライン運営委員会によりますと、十一月十一日時点で、相談件数は約千五百件となっているということでありまして、このうちの約九百五十件が個別の相談である。そのうち、さらに申し出に向けて専門家の弁護士を紹介した案件が百九十三件ございまして、申し出に向けて準備を進めているところ、現在、四十三件が申し出に至っているというふうに報告を受けております。
この四十三件という数につきましては、例えば今、その申請をされる方、相談をされる被災者の方の中に、地域の復興計画とかあるいは原子力損害賠償の今後の動向を見きわめたい、そういうふうに考えておられる方、それから、現在金融機関が債務の約定返済を一時停止しているということで、資金繰りに余りお困りでない方等々も含まれている、そう聞いております。
しかしながら、やはりこのガイドラインについては運用の見直しを求める御意見が非常に多うございましたものですから、現在仮設住宅に入っていらっしゃる方は住居費負担がございません、そういう住居費負担のない方であっても、個人債務者の復興を支援するということで、十月二十六日、運営委員会において、このガイドラインの運用の見直しの決定をしたところであります。
今後、より多くの方々にこのガイドラインの活用をいただけるように、広報等、周知をしてまいりたい、そう考えております。

○谷委員 ありがとうございます。
副大臣、いずれにしても四十三件ですよ。四十三件なんていうのは施策じゃないですよ、こんなもの。こんなもの、ほっておいても個別の金融機関で対応できるんじゃないかというような数字です。もう少し本格的に取り組んでいただきたいですね。本当に住宅ローンについて政府はやる気があるのかどうかと疑われますよ、こんな数字。涙が出る数字じゃないですか。
四十三件と言われますけれども、岩手、宮城、福島、三県に限って言うと三十数件でしょう。これだけ八カ月たって、住宅ローンで苦しんでいる人をわずか三十数人しか救えていないということですよ。そういう事実をしっかりと受けとめて、もっと気迫を持って頑張っていただきたいですね。
この中で、住宅を何軒建てたか、データをお持ちですか。債務整理を開始したというのが四十三件と言いました。四十三件のうち、何人が建てられましたか。私が事務当局から聞いている限り、何かデータは調べていないということですよ。

○中塚副大臣 お答えをいたします。
先ほど四十三件と申しました。その中で、十件の方が新しい住宅の建築に乗り出されているというふうに報告を受けております。

○谷委員 わかりました。
逆に言うと、では、新たに住宅を建てようという人を十人しか救っていないということですわ、要は。ほかの方は、いわば債務を免除しただけで住宅を建てていないわけでしょう。もう少し住まいの復興ということに目配りして力を入れて、全国銀行協会などのこういうガイドラインに任せるというだけでは寂しいですよ、政府の施策として。それを強く要望いたしております。
またいろいろな機会にフォローさせていただきますので、ぜひその点については、今まで以上の熱心なというのか、とにかく熱い取り組みをやってほしいですね。私も十六年前、神戸で経験しましたけれども、住まいの復興というのは熱意としつこさがなければできないんですよ。そのことを強く要望いたします。
それでは、平野大臣に一問だけお尋ねをいたします。
修正協議で、先ほども少し議論になりましたが、買い取り価格と債権の管理、参議院通過法案を与党の強い要望もあって修正をいたしました。しかし、やはりこの法律の目的ということ、地域の再生ということを十分踏まえたものに運用はしなければならないと思いますし、特に買い取り価格の設定に当たっては、震災前の実績であるとか、おおよその将来の見通しであるとか、担保の復元見通し、今の価値だけではなくて復元見通し、そういったものも勘案したものとすべきと考えますが、所管大臣としてのお考えをお尋ねしたいと思います。

○平野国務大臣 買い取り価格の設定につきましては、その考え方に三党の中でもきちんとした議論がされたというふうに理解しております。その考え方に沿って、いずれ被災者が、あるいは事業者が復興できるように適正な価格で設定するというふうにしたいと考えております。

○谷委員 それでは、時間が参りましたので終わらせていただきます。
ぜひとも政府におきましては、この法案の趣旨を、特に目的、何のための法律かということを十分踏まえていただいて、議員立法で新たなこういう法人ができる、まあ以前でいうと認可法人ですわ、こういうのは前例がないと思います。ぜひその趣旨をしっかり踏まえていただいて、果敢な取り組みをしていただくことをお願い申し上げまして、質問を終えさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。

○古賀委員長 次に、秋葉賢也君。

○秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。
昨日は、宮城県の県議会議員選挙が七カ月おくれで実施になりました。自民党も議席をそんなに伸ばしたわけではありませんが、民主党も二減ということで、投票率も過去最低という大変厳しい内容だったなというふうに受けとめています。
とても選挙どころじゃないというムードもあったかもしれませんが、やはりちまたで聞かれたのは、とにかくスピードが遅い、対応が遅い、何をやっているんだ、こういう声でございます。
そういう中で、私どもは早い段階で、当初我々は二兆円規模ということを申し上げていたんですが、零細企業も含めて、自営業者も含めて、早く買い取り機構をつくってやらなきゃいけないということを訴え、そして参議院では成案を得ていたわけでございますが、衆議院では、残念ながら全く審議入りさえできなかった。これは、時間的な余裕がなくてできないんじゃなくて、与党側が前向きでなかったと言わざるを得ない、私はそう思っています。
それが、ようやくこの臨時国会に入って三党合意ができたことは大変な前進であり、関係者の皆さんに高く評価を申し上げたいと思うわけでございますが、現場では待ったなしなわけなんですね。
そこで、まず政府側に伺っておきたいのは、従来のいわゆる二千億規模の、優良企業だけを対象にしたような機構で本当に間に合うと思っていたのかどうか。中小零細、自営業者、農家の方も含めて幅広で救済していくということになぜ取り組まなかったのか。その反省と、今回の五千億の規模も含めた運用がいつごろ、年度内の設置ということになっていますが、スムーズにいくのか、伺っておきたいと思います。

○平野国務大臣 産業復興機構につきましては、まずこの機構によって、今回被災された方、事業者、個人事業者も含めて、この復興に向けて推進をしていくということで設立を期したものでございまして、御案内のように、岩手県では十一日に産業復興機構がスタートしております。
しかし、これでは全体の中でまだ必ずしも十分ではないという三党での真摯な議論がなされたというふうに思っておりまして、今その法案が審議されております。支援機構ができましたら、この産業復興機構とあわせまして、連携して、しっかりとした支援ができるような体制、スムーズに、できるだけ迅速に、そして五千億も、先ほど財務大臣から決意表明がございましたので、それを確保するということで、その一日も早い創設に向かって取り組んでいきたいというふうに思っております。

○秋葉委員 いずれにいたしましても、八カ月もたってようやく合意がされて、現場では、もうとっくに破産をしたり、あきらめている会社がたくさんあるんだということを、大臣、心に刻んでおいてくださいよ。八カ月間もおくれたために救済できたところが救済できなかった、このことが非常に大きな事実として残っているんだということなんです。
我々が参議院で成立させたものを衆議院で成立させていれば、どれだけ多くの会社が救われたのかということ。今は内閣府が所管だけれども、復興庁が創設されれば、まさに大臣が所管になるわけですから、この運用のスムーズさということをしっかりと担っていただくことを強く申し入れておきたいと思います。
修正されたわけですけれども、幾つかこの修正のポイントについて修正者側に伺っておきたいと思います。
この二重ローンの対象地域は被災地が専らになろうかと思いますけれども、どういった範囲での対象になるのか、あるいは原発被害への救済もこの対策で見ているのかどうか、その辺をつまびらかにしていただきたいと思いますのと、最後に、あわせて、今回一応リースも対象にしているというふうに伺っていますが、なかなか心配なのは、現場でのリースの見方ですね。これで事実上はじかれるということのないようにしていかなきゃいけないと思うんですけれども、修正者側にこの三点のポイントをちょっと伺っておきたいと思います。

○片山(さ)参議院議員 ありがとうございます。
この法律では、被災地域をどうするかは政令で定めることになっておりまして、参議院の議論においては、いろいろな財政上の特別の支援が行われている被災地域、青森から千葉まで非常に広い地域を考えているというふうにお答えして、参議院を通過いたしましたが、三党協議、修正の過程で、確かにそういう面はあるけれども、全くその財政支援地域と同じである必要もないのではないかという御意見が政府・与党の方からありまして、今後検討していく中で、ただし、東北三県、一県一つずつとか、五県とかいう限定されたものではない、できるだけ助けられるべき人は助けなければいけないというこの法案の趣旨、目的は維持されるということで、今後、立法者意思説が議員立法の解釈の根本でございますから、検討してまいりたいと思っております。
また、原発被害についても、参議院でも、当然対象になり得る、津波がかかっていない原発地域もなり得るということでお答えしておりまして、それはそうであることも修正協議の中では確認しておりますが、東京電力による賠償も今始まっております。ただ、これは、皆様御承知のように、もう一回工場を建てかえられるような賠償は払われておりませんし、それとはまた性質の違うものでございますので、やはり本法の趣旨、目的に照らして、救済されるべきところはきっちり救済に入るということを立法者、修正者、話し合ってやってまいりたいと思います。
次の御質問はリースでございまして、これは、法二条二項五号に明確に、リースは買い取りの対象、金融機関等に含まれると書いてありまして、これは修正前後で変わっておりません。特に、重機リース、農機具リース、車のリース等、大変な被害が起きております。これは当然入るのでございます。
さらに、この機構は、十六条二号で、金融債権、貸付債権の保証ができます。当然、リースもこの保証ができる枠組みに法解釈上入ります。ですから、今まで再三問題が国会でも指摘されておりましたように、信用保証協会があるから、さらに融資を受ける場合に信用保証を受けられる、そのリスクは少なくなるけれども、リースは丸裸ということに関しては、この機構で、十六条がありますので、リースに保証を付すことは可能です。
ただ、それはまさに、これから機構がどのように運用されるかにかかっておりますので、ここもしっかり、きょうの議論も含めて、立法者としても物を申させていただきたいと思っております。
ありがとうございます。

○秋葉委員 ぜひ、この法案が成立した後に、政令の書き込みの中で、余りネガティブリスト的に多くなって、結局使い勝手の悪いものにならないように御配慮していただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
さて、地元で、二重ローンの救済法案、今臨時国会で成立の見通しだということを報告しますと、皆さん明るい表情をされるんですね。周りにいらっしゃる方々はほとんど、八割、九割方は、自営の方じゃなくて個人の住宅ローンだという認識で受けとめているんですよ。
今回のこの救済法案というのは、あくまでも事業資金、事業がベースですね。一方で、個人が抱えている住宅ローンというのは対象にしていないわけです。八月二十二日にマニュアルを新しくして、なるべく自己破産しなくてもいいようにしようじゃないかという取り組みはなされつつあるけれども、相談件数に比べて実績が非常に乏しいわけですね。やはり多くの被災者の皆さんは、事業資金も、旧債権を買い取ってもらってやることは非常に大事だけれども、当面、一番皆さんが困っているのは住宅ローンなんですよ。
私は、この住宅ローンも対象に、もう一段踏み込んだ救済策を検討していくことが大事だと常々思い、また訴えてもまいりました。
金融庁に聞いたら、一番新しい資料が二十三年七月末だというので、約定返済を一時停止している債務者数及び当該債務者向け債権額という資料がございまして、これは、債務者数、被災三県で見た場合でございますけれども、地域の銀行、信用金庫、信用組合、あるいは都市銀行も含めて調査したものでございます。
約定返済を一時停止していただいているもの、全体で一万一千三百八十二件ございまして、実は、半分が住宅ローンなんですね。五千三百二十三件が住宅ローンでございます。金額ベースで見ましても、債権額が全体で二千六百七十六億円で、住宅ローンの債権額が七百三十八億円ということなんですね。
政府が今までやってきた取り組みというのは、いわゆる住宅機構、こちらの方には、五年間元本は返済しなくていいですよ、でも利子分だけは返してくださいねとか、あるいは、銀行協会にも申し入れで、申請があれば支払い猶予の検討をしてもらうということをいろいろ努力はしてもらっているんですが、被災者の皆さんから相談が寄せられるのは、相談に行ったんだけれども、金利はちょっと低くしてもらったけれども、やはり元本の猶予というのは受け入れてもらえなかったとか、そういう相談が非常に多いんです。
国会で質問すると、いや、元本は五年間据え置きで指導しているだとか、何か非常に耳ざわりのいい言葉がどんどん出てくるんですけれども、実態ではそういうふうになっていないというところがまだまだございます。
ですから、大事なポイントは、住宅金融支援機構が貸し出しているローンだけじゃなくて、都市銀行や地元の地方銀行が貸し出しているローンの方がむしろ多いわけだから、こういうものについてもう少し徹底した指導をしていただく。つまり、返済猶予であったり金利の減免の見直しであったり、そういう支払い猶予の相談を真摯に徹底していかなきゃいけないと思っているんだけれども、現状とあわせてどうなっているのか、伺いたいと思います。金融大臣。

○自見国務大臣 秋葉先生にお答えをいたします。
この住宅の話でございますが、三月十一日に、発災の日に、私の名前と日本銀行総裁の名前で、東北六県を中心にして約二千七百の金融機関にお願い書を出させていただきました。
一番大きなところは、もう御存じのように、金曜日でございましたから、金融機関、土曜日、日曜日、できるだけ店をあけてくれと。それから、貯金通帳、判をなくした人もいますから、それはきちっと、申し出によって本人が確認できれば、十万、二十万、三十万の金を当座の金として貸し出しをしていただきたい。それからまた、損保会社、生命保険会社。
それから、先生が今言いましたように、お金を借りているけれどもすぐ返せないというところも当然たくさんあるわけですから、そのままいきますとこれは倒産、破産というようなことになりますから、そこはしっかり考えてくれということをお願いさせていただいたわけでございます。
住宅、個人の住宅に関してでございますが、先生よく御存じのように、被災者生活再建支援金というのが、これは、全壊でまた同じ場所に建てるという場合は、財政出動として三百万、お金が出るようになりました。
また、今先生が御発表したわけでございますけれども、お話があったように、この住宅金融公庫、今は住宅支援機構と申しますか、公的金融機関でございますが、五年間、これは当然、利子を払わなくていいと。これは、利子の分は予算でカバーをいたしております。
しかし、民間金融機関は、これはもう先生御存じのように、基本的に個人から集めさせていただいたお金でございますから、いずれ金利をつけて返さねばならないというのは、これは民間金融機関の原則でございますし、そういった中でも、金融機能強化法、これは六月二十二日に出させていただきました。それから個人版ガイドライン、今さっき谷議員からいろいろな御質問があったようでございますが、そういったものをつくって、できるだけ被災者の気持ちに沿ってやるようにしておりますが、まだこの利用者が少ないというふうに、さっき谷議員からおしかりをいただいたようでございます。
私どもは心痛いたしておりまして、実は先般も、政府広報、これは異常なことでございますけれども、私的ガイドラインのことを知らないという人も多いんでございまして、先週、私自身が実はラジオに出させていただいて、こういうことを利用していただきたいということで政府広報をさせていただいたら利用者が二倍にふえたというような報告もいただいておりますので、東京に本部がございますが、各県にございます、また市町村、あるいは漁協、農協、あるいは金融機関でやっておりますが、しっかり徹底するようにやっていかねばならないというふうに思っております。
先生、被災地の御出身でございますし、私も何度も被災地に行かせていただきました。住宅をなくした方々の大変不安もあるわけでございますから、今はこういう政策を打っておりますけれども、しっかり、そういったことに寄り添うような政策をさらに考えていきたいと。
必要があれば、ぜひ、今度は三党で合意をしていただくということで大変ありがたいことだと思っておりますけれども、こういったことには党派性はない、私はこう思うわけでございますから、先生たちの御意見をいただきながらしっかりやっていきたいというふうに誠心誠意思っております。

○秋葉委員 大臣から長い答弁をいただきましたけれども、本当にいろいろ頑張っていただいているのはわかるんですけれども、事実として、地元に戻ると、住宅金融支援機構で借りている分は、ある程度というか、ほとんど対応していただいているようです、おかげさまで。
私が問題にしているのは、都市銀行や地方銀行から借りている人のことを言っているんですよ、大臣。そういう数字を持っていますか。相談に来て支払い猶予を希望したけれども、何件に応じて何件に断ったかという数字を、地元の宮城県の銀行でいいですから、金融庁で押さえていますか。そういうことをちゃんとわかって言っているのかな。

○自見国務大臣 恐縮でございますけれども、今手元にはその数字はございませんけれども、金融機能強化法という法律を六月二十二日に出させていただきました。これは全党全会派一致で通った法律でございまして、これで地域の金融の仲介機能が非常に高まりますから、例えば、これは民間金融機関でございますから、あくまで民間金融機関の経営者の判断でございますが、場合によっては債権放棄をする幅が広くなるというふうな法律を出させていただいたわけでございます。
そういったことで、今数字はございませんけれども、できるだけ民間金融機関の持っている、本質はなかなか、私も民間金融機関を預かる責任者でございますから、できませんけれども、しかしながら、今さっき言いましたように、公的金融機関あるいは財政出動、これは政府一体となってやっていきたいというふうに思っております。

○秋葉委員 大臣、重要な数字ですから、地元の地方銀行、信用組合、信用金庫が今どういう状況でやっているのか、しっかり精査して、私のところにぜひ報告してください。
私が申し上げたいのは、結局、住宅金融支援機構でやっているようなサービスを、都市銀行や地方銀行でもこれぐらいのことはぜひやってくれということをお願いしているんです。決して、棒引きをしてくれとか、そういうことを言っているんじゃないんですよ。返済を猶予してくれと、今大変なんだから、仕事も失って。政府はどうもそういう取り組みをしているらしいけれども、実際に銀行に足を運んで相談したら受け付けてもらえなかったという相談が多いという事実の話をしているんですよ、私は。
だから、それぞれの地元の銀行に金融庁もヒアリングして、どれぐらいの相談件数があって、どれぐらいの願いがかなって、何度も言うように、棒引きしろと言っているんじゃないんですよ、支払い猶予や元本の据え置き、金利の緩和、低減、こういうことを一段とやってくれという指導を徹底してくれ、そのためには現況がどうなっているんだということを申し上げているわけですから。

○自見国務大臣 秋葉先生から、ごもっともな質問だと私は思っておりまして、私も、宮城県、福島県、それから岩手県の全部の地方銀行及び信用金庫、信用組合の方とお会いをさせていただきました。
今手元には数字は持っていませんけれども、こういう時期ですから、棒引きということは債権放棄だと思いますけれども、そういった意味で、金融機能強化法もつくったわけでございますから、できるだけ現状に沿うようにというふうに指導しておりますけれども、今数字がございませんから、次回のときまでに先生のところにきちっとそういう資料をお渡しさせていただきたいというふうに思っております。(秋葉委員「いつまで」と呼ぶ)できるだけ早く、私、決してうそは申しませんから、これはもう本当に大事なことでございますから、しっかりやります。

○秋葉委員 大臣の言をよしとして、期待をしております。
さて、八月二十二日から、改正してもらった個人債務者の私的整理に関するガイドライン、これの運用状況をここでしっかりとお披瀝していただきたいと思うんですね。
自己破産しなければ放免ならないという意味では、いろいろな要件緩和が図られたことは大変評価しているんだけれども、実際の運用の中で、相談件数、あるいは申込件数でもいいです、何件ぐらいあって、実際このガイドラインに沿って救済された人が八月二十二日以降どういう状況になっているのか、報告してください。

○自見国務大臣 これは、今さっき谷議員さんから副大臣の方にもございましたが、ガイドライン運営委員会によると、十一月十一日時点での相談件数は約千五百件となっておりまして、そのうち九百五十件が個別の相談であるが、そのうち、申し出に向けて専門家の弁護士を紹介した案件が百九十三件でありまして、申し出に向けて準備を進めているところ、現在、四十三件が金融機関に申し出に至っているというふうに報告を受けております。
御存じのように、被災者に専門家の弁護士費用がかからないように、国費により、全額補助により弁護士の費用は国が負担をいたしておりますが、被災地の状況に関する金融機関の認識として、相談した被災者の中には、地域の復興計画や原子力損害賠償の今後の動向を見きわめていること、また、金融機関が債務の約定返済を一時停止していることにより資金繰りに逼迫感がないことなど、保留しているのが多いというふうなことも仄聞いたしておりますが、ガイドラインについては、運用の見直しを求める声があることから、現在、住宅費負担のない仮設住宅等に入居している個人債務者の復興を支援すべく、十月二十六日に、運営委員会において運用の見直しをしてきたところでございます。
これも先生もう御存じと思いますけれども、仮設住宅に入っている方は、今は住宅費の費用が発生しておりませんけれども、いずれ御退去せざるを得ないということになったら当然住宅費の負担が生じるわけでございますから、そこを見越してきちっと対処するように、運用の見直しをやらせていただいたところでございます。

○秋葉委員 大臣は御自身として、こういう運用実績をどのように評価されていますか。もう緩和が図られて三カ月たつわけですね。三カ月の間に千五百件も相談があって、実際に該当者が四十三件しかいないというのでは、これじゃ従来のスキームと何が違うのかわからないじゃない。政府は一体やる気があるんですか。新ガイドラインに基づく見直しについて、大臣として、うまくいっていると思っているんですか。その評価を聞いておきたい。

○中塚副大臣 お答えをいたします。
個人版私的整理ガイドラインの利用実績については、先ほど来御答弁を申し上げているとおりであります。
なお、金融機関と相対で、中小企業金融円滑化法に基づきまして、条件変更等を調査したものがございます。これによりますと、被災地三県でですが、二十三年四月から六月までで申込件数が二千件、実行件数は千四百件となっております。
いずれにいたしましても、個人版私的整理ガイドラインのことについてはこれからも周知徹底を図ってまいりたい、そう考えております。

○秋葉委員 だから、せっかく幅広で、自己破産しなくてもいいように救済のスキームをつくったわけだから、もっと対象者がふえるように運用を徹底していかなきゃ意味がないでしょう、大臣。三カ月たってこういう数字だという報告を受けたら、現場を督励に出向いていかなきゃだめですよ。それをぜひ私は大臣にお願いしておきます。何のための見直し結果なのか、これじゃわかりませんから。
きょうは時間がありませんので、最後に、集団移転事業について伺いたいと思います。
平野大臣と二回、三回にわたってやりとりしてまいりました。地元の人はがっかりしていましたよ。
大臣に申し上げましたね。従来のスキームどおりの枠でいえば、新規に住宅ローンを借りた人は、ローンの金利の免除と引っ越し費用の支援しかないんですね、現状では。あとは、何か考えたいという答弁はあったけれども、震災前の価格で買い取って、プラスアルファしてくれと言っても、時価だ時価だという話でしたね。みんながっかりしていました。
しかも、こういうことを言われましたよ。引っ越し費用を出してもらったって、引っ越しして持っていくものがないんだと。引っ越し代なんかもらったって何の役にも立たない、家財から何からないんだからと。そんなものなんか出してもらったって何の足しにもならぬと。
やはり、少なくても震災の前の値段で買ってもらう、あるいは、私は仙台市と協議しているのは、できれば土地についてはちょっと減歩が出ても等価交換のような形で負担がないようにできないのかということ。それは最終的には仙台市の話になるんだけれども、国が、集団移転事業というこれまでのルールを、宅地対策でもやったように、見直していかなきゃいけないんですよ。今月中には仙台市も正式な最終案が決定するけれども、年を越す前に、こういう形での救済をします、経済的な負担はこれぐらいに抑えたいというメッセージを、最終的には基礎自治体の問題ではあるけれども、国の大きなフレームの中で見直していくということも必要だと思うんですよ。
仙台市の行ったアンケート調査を見ると、震災前の住居スタイルは、五四%、五五%が持ち家の一戸建てなんですよ。そのうち二〇%の人がやはり一戸建てで暮らしたいと答えている。ただ、お金もないし高齢者だしなかなか大変だ、だから、震災住宅のようなものに安価に住めればそれでもいいという人も一六%ぐらいいる。こういう数字になっているわけです。実際、従来の集団移転事業のスキームだったら、二割はまた一戸建てで暮らしたいと答えているんだけれども、お金を負担して再建できる人は一割しかいませんよ、地元では。
だから何が大事かというと、政府も基礎自治体も県もそうなんだけれども、やはり行政として、従来はローンの利子補給と引っ越し代しか出していないけれども、買い取りは時価だけれども、今回はこれだけの規模なんだからプラスアルファでこういう支援を考えているというメッセージをいち早く出すことなんですよ。
何度でも申し上げるけれども、阪神・淡路のときには、仮設住宅に移ってから、将来を悲観して命を絶った人がふえたんですよ。いいですか。大事なのは、一応二年という縛りがあるわけだ、神戸のときみたいに五年に延長になるかどうか別にして、なるべく我々は二年で自立できることを目標にやる。
国も県も十年計画だけれども、唯一五年計画にしているのは仙台市だけなんですよ。五年で全部終わらせるということを仙台市では計画を立てているわけです。だから、この集団移転事業についても、これは二年で終わらせたいということがあるわけだけれども、年内には仙台市も独自の案を出したいという今努力をしているんだけれども、それにしても、復興交付金がどの程度使えるかもわからない。やはりできれば国がもう一段踏み込んだ対応を示してもらった上で、仙台市が後はそのプラスアルファを埋めるというんだったらわかるんだけれども、今の政府の対応というのは余りにもふざけていますよ、従来のスキームでやるんだ、時価だなんて。
こんなことを、大臣にも言いましたね、いいですか、地元で皆さんに大臣が国会で答えていることを正直に報告しますよと。みんな怒っていますよ。そんな、今回の被災の規模は今まで類例のない規模だろう、踏み込んで対応するのが当たり前じゃないかとみんな怒っていますよ。
改めて、きょうは国交大臣と平野大臣にお伺いしたい。
集団移転事業について、従来のスキーム、そして、もちろん国が仙台市の分を出すということは踏み込んでもらったのはわかるんだけれども、具体的な被災者への支援メニューとして、震災前の値段で買い取るというか、時価だったら、そこにパッケージでこういう支援策を打つから経済的な不安は余り心配しないでくださいというような具体策を早く出さなかったらどうするんですか。
野田さんは、何か第四次補正予算だ、TPPの何かもやるなんと言っているけれども、今回の三次補正にもしそういう具体策が入っていないんだったら、四次補正でも来年度予算でもいいから年内に発表できるような具体的な支援策を政府の責任で出していくべきだと思いますよ。
平野大臣と国交大臣、二人に伺いたい。

○平野国務大臣 秋葉委員の本当に何とか被災者の負担を軽くしなくちゃならないという思い、これは、重く、強く受けとめなくちゃならないというふうに考えております。
防災集団移転事業につきましては、これは、国交省、前田大臣を先頭に、今までの制度とは全く違うというか、全くというよりもかなり違う制度になっております。限度額の撤廃、それから対象戸数の見直し、その他さまざまな今回の見直しをやっています。それからあと、融資についての限度額についても、今までよりは高い限度額ということを設定しております。
残ったのは、秋葉委員が今何回も御指摘している買い取り価格の問題であります。
これは、個人の負担をぜひとも軽減したいという気持ちはわかります。しかし、土地を買い取るというのは制度の根幹にかかわる問題でございまして、従前価格で買い取るということについては、そういった制度で買い取るということをやりますと、被災地のこれからのさまざまな、堤防用地はどうするのか、あるいは道路の用地はどうするのか、そういったこととの関連の問題になってまいります。
ですから、一方で、秋葉委員の今言われますように、何としても一戸建てを持ちたい、そういった方々にどうするかということについては、復興計画全体をつくりながら、かつまた、個々の被災者との意見交換の中でできるだけのことは考えていきたい、これだけは申し上げられるというふうに思います。

○前田国務大臣 この面については秋葉議員もう既に御指摘のとおりでありまして、買い取り値段、もとの買い取り値段の方についても、現状の価格ということになると随分と低くなるのではないかという懸念が随分あるわけなんですが、これはあくまでも、被災を受けた土地が復興したときにどういうような評価になるかということをはじいて、それで現在価格に引き戻しますので、実例から申しますと、奥尻町、これは平成五年の北海道南西沖地震なんですが、この場合には買い取り価格が原状の約八割ぐらいになっておりました。
こういったところは、恣意的などうこうということはありませんが、将来の復興成ったときに、当然、住居というものはないでしょうが、いろいろな公共施設等をそこに配置するというようなことになって算定できる価格、それを引き戻すということで、そうべらぼうな価格になるということはないと言えると思います。

○秋葉委員 もう時間がありませんので終わりにしますが、大臣、全体のフレームを緩和したという答弁を私は求めているんじゃないのよ。被災者の負担軽減に具体案をそろそろ発表しなきゃだめだ、被災者の負担軽減をこれからパッケージで今回の震災に合わせて新しくつくりなさいということを申し上げたわけだし、前田大臣におかれましても、前回私が提案したように、例えば震災住宅か一戸建てかという選択のほかに、リース方式のようなものに対する国の補助メニューもつくってくれということをお願いしていたでしょう。私、その答弁を、きょう回答を聞きたいと思って言ったんだけれども、全く違う回答でしたね。
きょうはちょっと時間がオーバーしていますから次の回に譲りますけれども、従来にない支援メニューを、これは何も国が一〇〇%負担してくれと言っているんじゃないんだから、地元の負担分も出るだろうけれども、従来にない選択のメニューというのを考えていかないと、仙台市だけでも二千、三千とあるものを全部吸収できませんよ、二つだけでは。震災住宅と戸建てという二つだけではやはり漏れが出てくるし、もう一つ新しい選択肢をそこに考えていきなさい、それを国交省としても、三次補正の中に、あるいは四次補正、あるいは来年度の予算でもいいから設けていくことが大事なんですよということで、ぜひ、今度また質問しますので、そのときにはきちっと回答できるように、また私の事務所にも御連絡をいただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○古賀委員長 次に、小野寺五典君。

○小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。
きょうも被災地から上京してまいりました。実は、この二重ローンの問題も確かにそうなんですが、被災地は農林漁業が中心です。ですから、TPPの問題、これは大きな津波とも言えるような深刻な状況になっています。
冒頭、きょうはハワイからお帰りになったばかりの枝野大臣がいらっしゃいますので、一言お伺いをしたいのですが、今回枝野大臣がUSTRを含めAPECの各国の代表と協議のことについてお話をされてきたのは、TPPに入るための協議なのか、あるいは、お隣にいらっしゃる鹿野大臣がおっしゃるように、交渉参加を前提としない情報収集のための協議なのか、ここをはっきりしていただかないと、きょうここにいる同僚議員みんなが今もやもやしているんですよ。
あなたがやってきた今回の交渉というのは、これはTPPに入るための交渉なのかどうか、お伺いしたいと思います。

○枝野国務大臣 交渉参加に向けた協議を行うための話をしました。

○小野寺委員 再度お伺いしますが、そうしますと、交渉参加を前提としない情報収集のための協議ではないと理解していいんでしょうか。

○枝野国務大臣 交渉参加に向けた協議を始めるに当たっての話をしてきました。

○小野寺委員 はいか、いいえで教えていただきたいんですが、交渉参加を前提としない情報収集のための協議ではないということで理解していいんでしょうか。

○枝野国務大臣 交渉参加に向けた協議を始めるに当たっての話をしてきたということに尽きます。

○小野寺委員 済みません、鹿野大臣、唐突で恐縮なんですが、今回の協議について、これは鹿野大臣としては、やはり交渉参加に向けた協議と考えていらっしゃるんでしょうか。

○鹿野国務大臣 総理が自主的にあの記者会見で、交渉参加に向けて協議を始めると。こういうふうなことであると思っております。

○小野寺委員 ということは、情報収集ではなくて、これはもう交渉参加にかじを踏み切った協議だというふうに受けとめていいということでしょうか。もう一度お伺いします。

○鹿野国務大臣 私自身は、交渉参加を前提とするものではないもの、このように理解はいたしておるところでございます。そのまま、交渉参加に向けて協議を始める、この言葉そのものではないかと思っております。

○小野寺委員 実はこれで、きょう同僚議員もいますが、多分国内はいろいろ混乱をしております。
そして、この混乱は実は日米関係にも来ておりまして、これは報道によりますと、先ほど外務省にも確認をしたんですが、例えば野田総理大臣がオバマとの会談の中で、オバマはすべての物品及びサービスを自由化交渉のテーブルにのせるというふうに理解をして、これを報道ベースで記者会見を米国政府はしております。ところが、この記者会見に関して、急に外務省は、いや、そんなことはないということで、その火消しをして、これは違うんだ、事実と違うんだというふうに外務省が言う。前代未聞ですよ。アメリカの政府が報道で発表していることに関して、日本の外務省が、こんなことは事実に基づいていないと。そして今度、米国の報道官は、いや、これは私どもが報道したとおりだと。
実は、アメリカ国内でも全然真っ二つで、日本の話とアメリカの話とぐちゃぐちゃになっています。これはもう日米関係が全くぐちゃぐちゃになっているんですよ。
ですから、申しわけないんですが、私どもはここでお願いしたいのは、はっきりしてほしい、もう交渉に入るんだ、そのために今交渉でさまざま、いろいろな国と入りたいから交渉します、いろいろな情報も下さい、そういうふうに言っているのかどうかはっきりしてくれないと、これは国内もぐちゃぐちゃ、日米関係もぐちゃぐちゃ。
枝野大臣に再度お伺いします。今回は交渉参加するための協議ととらえていいんでしょうか。

○枝野国務大臣 交渉参加に向けて関係国との協議に入るということでありまして、それ以上でもそれ以下でもなく、そのまま受けとめていただきたいと思います。

○小野寺委員 ということは、やはりこれは交渉参加をするという政府の表明であって、鹿野大臣がおっしゃるようなニュアンスでは多分ないのかなと、今この場では私ども受けとめさせていただきます。これからも国会で多分このことは追及させていただくんだと思っております。
さて、本論に入ります。
きょうは東日本大震災事業者再生支援機構法案ということなんですが、この機構法案、これは一生懸命自民党、公明党案をまとめていただいて大変感謝をしておりますし、また政府も協力して今法案として出ているんですが、一つ私ども心配なのは、実はこの買い取り評価には、適正な時価、こういう判断が出ております。しかも、もともと参議院での議員提出案では、債権と買い取り価格の差額分を免除しなければならないという規定になっていたんですが、今回の修正案では、一部免除及び一部期間の弁済猶予ができる、そういうできるという表現になっています。
心配なのは、例えば私が一億の借金を持って、そして今回津波の被害に遭って、再建したい、そう思っているんだけれども、金融機関には一億の借金がある。そして、事業計画を立てた上で、この機構が金融機関から、私が借りている一億の借金を買い取る。ただ、買い取るときには適正な価格だから、例えば六千万で買い取るということになったとします。そうすると、私の借金は、一億が、機構は六千万で買ったんだ、金融機関は四千万を免除するか、あるいは何らかの償却をするんだ、そういうふうに理解をするんですが、実は私の一億の借金は、今のこの法案では、そのまま今度は買い取り機構が一億持ってしまう。そうすると、もし私が一億を丸々返すと、この買い取り機構は、六千万で買い取ったものを私から一億取るということになる。
これは本来、恐らくこの債務、ローンの問題でスタートした考え方と違うと思うんですよ。免除しなければならないという規定、これが本来この法の趣旨のもとであって、後で今回、修正案で、できる、こういうことは、これはあくまでもできるということであって、基本的には、私の一億の債権が、機構が一億を六千万で買ったんだったら、やはり返すお金も免除していただいて、六千万にしていただく、これが基本だと思うんですが、ぜひ法案提出者の方にこの趣旨についてお伺いしたいと思います。

○片山(さ)参議院議員 法二十七条の債権の管理、処分については大変な議論がございました。
そもそも、小野寺委員にも本当に汗をおかきいただいて、この法律をつくった目的は、法律で公益的な、地域の復興再生、事業者の再生、そのために債務の負担の軽減ということを書かない限りは、金融機関がそのまま持っていたのでは何も動かないという日本の実情を踏まえてのことでございます。
その目的で特殊会社をつくったわけですから、当然その目的の趣旨に沿って、この二十七条はもともと、安く買い取ったものであれば、それ以上の請求はできるだけしないものだということで入っていきまして、さらにみんなの党の修正がありまして、それを明確に義務化したんですが、衆議院で民主党、与党と合意していくために、いろいろな御心配が政府・与党からあって、法律で書く場合にそこまで義務づけをしてしまうとモラルハザードになるというような御意見があって、とにかく合意を形成しなければ法律が通りませんので、我々としては、この三党合意等にもございますように、法案にあらわれているように、これはあくまでも一号の目的、法一条の目的として、債務の負担を軽減して、事業者に再生に専念してもらう、そのための目的としてのこの二十七条であるので、限りなく、もう当然、安く買い取った部分のそれ以上の請求はなされないものであり、第三者保証人についてもできるだけ軽減がされるものであり、そして、何年かたってみて、だめであれば、そこは当然債務をさらに軽減していくものであるということを前提に了解しているということでございます。

○小野寺委員 今回のこの法の趣旨というのは、私が一億で借りているお金をこの機構は六千万で買いました、そして私から一億取ってこの機構がもうける、そういう趣旨ではないということを今明確にしていただきました。
今後これを運用する、特に復興担当大臣にお伺いしたいんですが、ぜひ、この法の趣旨に基づいてこれをしっかり運用していただくということを明確にしていただきたいんです。

○平野国務大臣 復興庁がもしできますれば、復興庁が担当するということでございますけれども、いずれどういう立場であったとしても、今の趣旨、それをしっかり受けて運用していきたいというふうに思っております。

○小野寺委員 ぜひこの機構が、もうけるための機構ではなくて、今回被災を受けた皆さんに救いの手を差し伸べる、そういう趣旨で、なるべく負担を軽減してあげるというその趣旨に基づいて運用していただきたい、そう思っています。
さて、実はこれ、法律はできるんですが、今後の、今お話しした細かい内容については、支援基準、この基準で細目を設けて、それぞれきちっきちっとつくっていくことになります。そして、今回の対象になるのは、例えば企業、水産加工場、冷蔵庫、こういう企業であれば経産省が担当しますし、あるいは農業者、農地、こういう場合では農林水産省が担当します。また、医療機関、これは厚生労働省が担当することになります。
ぜひ、今後この支援基準をつくる、多分それぞれの役所が中心となって、知恵を合わせてそれぞれの担当分野の支援基準をつくっていくんだと思いますが、今お話しした三大臣にお伺いいたします。
この支援基準については、法の趣旨に基づいてきちっと、なるべく、例えばここにあるような事業の再生ができやすくする、債務免除を極力協力してあげる、支払い猶予、利子の減免、こういうものをしっかりする、こういう趣旨に基づいてやっていただきたいと思いますが、その考え方についてお伺いしたいと思います。

○枝野国務大臣 経済産業大臣は、各種業種を所管するということで所管大臣であると同時に、中小企業政策全般の観点でも主務大臣になっております。
特に中小企業という観点では、まさに被災の状況、復興に向けた状況等をしっかりと踏まえた上で対応していかなければならないと思っておりますし、また、当省が所管でやってきました産業復興機構の準備における経験や、そうした場等において、相談に来た中小企業等を初めとした産業の実態等について把握している部分もございますので、そうした点も含めて、東日本大震災事業者再生支援機構設立準備室における検討に協力をしてまいりたいというふうに思っております。

○鹿野国務大臣 今先生からお話ありますとおりに、この支援基準に関しましては、私どもも、支援基準が適切なものになるよう、すなわち、第一次産業に関しましては、第一次産業に従事していただいている人たちが引き続いて意欲を持って取り組んでいただくことができるように、そういうふうな考え方に立って、関係省庁とも連携をとって努力をしてまいりたいと思っております。

○小宮山国務大臣 被災地の医療福祉事業者の皆さんは、みずからも被災をしながら本当に再生に取り組んでいらっしゃいますので、厚生労働省としては、独立法人の福祉医療機構による融資条件の緩和など、これまでもしていますが、今度の新しい仕組みの中では、関係省庁が一丸になって平野担当大臣のもとで検討することになっていますので、厚生労働省としては、委員がおっしゃった趣旨をしっかり生かして、福祉、医療の関係の事業者が再生をしやすいようにしっかりと対応していきたいと思っています。

○小野寺委員 ぜひ、しっかり対応、特に今回のこの支援基準というところ、これをどれだけしっかりつくれるかということが大変重要ですから、これから魂が入る、その魂によっては救われるものと救われないものが出てくるということであります。
特に経産大臣には、例えばリース物件に関しては、これも実は重要な債務になりますし、これは経産省が担当になりますので、しっかりリースについても対応ができるような対応をとっていただきたいと思います。
また、農水大臣におきましては、今回、例えば、担保というのは農地ということになります。ほとんどが実は担保に入って、農地が、これはしっかり、担保の解除も含めて、あるいは農地集積も含めて、担保だからこれはなかなか農地集積できないとか、そういうことがあると、せっかくの強い農業とか再生ができなくなります。ぜひ、担保にとった農地については、なるべく融通をきかせて、しっかり、農家がこの農地を使って大規模なり効率化できるような、そういう指示をしていただきたい、そう思っております。
また、厚労大臣におきましては、今回、医療機関あるいは福祉施設、これは緊急を要します。ですから、ここは速やかに、ある面では、こんな言い方は失礼ですが、片目をつぶってでもしっかり対応できるような、そういうことをやっていただきたいと思っています。
きょうは、法の趣旨に基づいてつくっていただいた、提案者から今、法の趣旨の話を聞かせていただきましたし、また、各担当大臣につきましては、それぞれ所轄の分野で、ここは手当てをしていただきたい、そのような要望をさせていただいております。
さて、最終的にどれだけのことがしっかり手当てできるかというのは、これは政府保証ということになりますから、ある面では資金がどれだけしっかり市場から調達できるか、言ってみれば、日本の国がどこまで債務保証がしっかりできるかというところで、逆に、この機構がこれだけ大規模にできる、そのスケールが出てまいります。
きょうは財務大臣がいらっしゃいますが、ぜひ、政府として、この保証の枠、これはもう十分しっかりとるんだ、だから皆さん心配しないでどんどん、きょういらっしゃる所管大臣、そしてまた最終的に所管をされる防災担当大臣が自由にやれるような、そういうしっかりとした保証をする意気込みを聞かせていただきたいと思います。

○安住国務大臣 法の十八条三項で、甚大な被害を受けたことを踏まえ、できる限り多くの事業者に再生の機会を与えるよう適切に配慮しなければならない。ですから、この法に基づいて、法案が成立し次第、政府保証については、巷間、与野党で話し合われているようでございますけれども、それに資するだけのことはしっかりやっていきたいというふうに思っております。

○小野寺委員 安住大臣も御地元が被災されております。恐らく多くの事業者の声が直接届いて、私ども、実はこの議論をしているといろいろな人の顔が浮かぶんです。今、本当にあすをどうしようかと思う経営者の方のいろいろな顔が浮かびながら、実はここで質問をさせていただいています。同じ気持ちだと思います。ぜひ、私ども被災地は、今回しっかり立ち直らせていただいて、いつか今回の支援をもう一度納税者として国民の皆さんにお返ししたい、その気持ちでやらせていただきたい、そう思っております。
もう一つだけ、最後に、東京電力の仮払いのことについて質問させていただきたいと思います。
お手元に資料を配らせていただきまして、大変細かい字で恐縮なんですが、実は被災地の、特に宮城県は、畜産関係の風評被害でまだ牛が出荷できない、そういう状況が一部残っております。そして価格も下落をしております。
この価格が下落した分に関して、これは十月二十六日、農林水産委員会で、私、鹿野大臣それから経済産業省の電力・ガス事業部長の糟谷さんにお話をしまして、大臣、この部長とも明確に答弁をしていただきました。今回のこの補償については、二次補償の分については、しっかり十一月中に農家の方が安心できるような額を出すんだということを繰り返し言っていただきました。私ども大変安心をしました。
ところが、先日、十一月十二日の地元の河北新報に出た左側の記事なんですが、これを見ますと、東京電力の福島の支援対策本部の副本部長の方が仙台を訪れて、そこで農協に対して、今回請求された分、この二次の請求分に対しては十一月中は難しいということをお話しされました。
農協の方、農家の方は大変怒りまして、例えば、難しいということで私たちは全然補償も受けないし、今でも出荷できないで所得がない農家がいるのに、では東京電力の方は給料の遅配はあるんですかと。なぜ被害者の私たちだけが、またこの査定のおくれということで十一月中にもお金が出ない、このままいくと年を越せないんじゃないかとみんな大きな心配を持っています。
このような国会答弁に基づいて、再度政府として、東京電力に一日も早い賠償を要求していくことを改めてお伺いしたいと思いますが、所管されています経産大臣にお伺いしたいと思います。

○枝野国務大臣 御指摘の件については、事務作業等でおくれているという報告を受けておりますが、まさに被害を受けた当事者の皆さんからすれば、いつごろ補償が入るのかということは生活設計それから経営の上でも大変重要なことでありますので、一度十一月末ということをおっしゃった以上は、できるだけそれを実行するという責任は、賠償の責任があることに加えて生じていると私も思っております。
例えば、事務的にすべてが完全に精査が終わっていないとしても、何らかの形で概算払いであるとか部分払いとか、いろいろなやり方があるはずでありまして、そういった意味で、それから東京電力としてこうした見通しを政府に伝えるということは、国会等で政府として皆さんにお話しするということですから、そこで話したことがころころ変わられたのでは、私たちも管理者として十分な管理ができません。
そうしたことについての体制も含めて、きょうあすにでも、私が直接できるかどうか、国会の関係がありますが、東京電力の役員を呼んで強く指示いたします。

○小野寺委員 枝野大臣、大変信頼を申し上げておりますので、ぜひ一日も早くしっかりとした方針を出していただいて、そして農家の方を安心させていただいて、何とか年を越す勇気、意欲が出るようにしっかり対応していただきたいと思います。
きょうは、今回の二重ローンに対応します機構の設立についてのことをお話しさせていただきましたが、改めて、今回は議員立法でこのような法案をつくっていただきました。そして、法の趣旨というのは、今回被害を受けた被災者を救うんだ、助けるんだ。そのもとで、今後、各省におきましては基準をつくっていただき、平野大臣におきましては、被災地の議員でもありますので、しっかり被災地の企業が、これだったらやっていける、あるいは二重ローンを持っている、住宅を持っている皆さんが、これだったら助けていただける、そういう気持ちになるような支援策を今後も続けていただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。

○古賀委員長 次に、石田祝稔君。

○石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。
きょうは時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。
三月十一日の東日本大震災の発災以来、もう八カ月が過ぎました。ある意味でいえば、やっとこの二重ローンの問題が衆議院で、この委員会で採決されるところまで来た、こういうことで、私は、関係の皆さんの御努力に心から敬意を表したいと思います。
それと同時に、これは参議院から回ってきた法律でございますが、やはりこれを成立させるためには、どうしても与党、また政府の理解も得なくちゃならない、こういうことで、私もはたから見ておりまして、大変な御苦労をそれぞれの政党の議員さんがなさってきょうまで来た、こういうことだろうと思います。
ですから、私は、中身に沿って、確認ということも含めましてお聞きをいたしたいと思いますが、いま一度、今までの経緯を若干簡単に振り返ってみたいと思いますが、これは、七月の二十九日に、参議院で原案の修正という形で成立をいたしまして、衆議院に送られてまいりました。
ですから、七月の二十九日に参議院を通過している法案でございまして、これももう三カ月半、約百日を過ぎる時間が残念ながらかかってしまった。その後、きょうこれから衆議院での修正案も出されると思いますけれども、合意をして、きょうのこの日にこぎつけた、こういうことでございます。
それで、中身に沿って少々御質問を申し上げたいと思います。
これは原案の提出者にまずお伺いをいたしたいと思いますが、政府はもともと、各県において産業復興機構でやろう、それで十分なんだ、こういうスタンスでありましたけれども、これはいろいろと議論をしていくうちに、やはりどうしてもこれでは不十分だ、こういうことに至ったと思います。
各県において設立を進めている産業復興機構のほかに、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構を設立するということのメリット、これは公益がなければやる必要はないわけですから、今までのものでできないので、やはり被災の状況をかんがみて、公益という観点からこの組織をつくろう、こういうことだろうと思いますが、私が答弁をしてはいけませんので、原案提出者から、そこのところをよろしく御答弁をお願いしたいと思います。

○西田(実)参議院議員 ありがとうございます。
まず、石田議員におかれましては、衆議院での修正協議にも大変御熱心に取り組みをいただきまして、本当にありがとうございます。
今お尋ねの件でございますけれども、やはり何といっても、新たな法律で機構をつくるというのは、法的な根拠をきちんと持った、長期にわたる支援が安定的にとり行われることが最大のメリットではないかというふうに思われるわけであります。
今回のこの法律の目的規定は、「債務の負担を軽減しつつその再生を支援する」ということが明確に書かれているわけでございまして、そうした目的を遂げるために、さまざまな規定につきましても、負担軽減の具体的内容も法律に明記している、そういう新たな法律ということであります。
政府の方の産業復興機構というのは、それをはがしてまいりますと、中小企業再生ファンドという投資事業有限責任組合法、いわゆるファンド法というのが設立根拠法になるわけでございますけれども、当然、ファンド法というものの第一条、目的規定には「投資事業」ということが書かれているわけでございまして、そこは大きく異なるわけであります。
かつ、私どもの、今回の参議院で通過をさせていただいた法案については、政府が債務保証を行うことによっても実効性を確保した枠組みとして整備されておりますし、そういう意味では、対象が広いし、また、支援する規模が大きいということも大きく異なる点ではないかというふうに思われます。
対象につきましては、各県の産業復興機構による支援が困難なものについて、特に、中小規模事業者、農林水産事業者、医療福祉事業者等を重点的に対象とするとの三党の合意もあるところでございまして、従来の産業復興機構と今回の新たな機構とが相互に補完をしつつ、被災事業者の方々への支援の拡充を図られることになり、被災地域における経済活動の維持、そして被災地域の復興に資するものと考えております。
以上でございます。

○石田(祝)委員 私は、機構の目的というのは、まさしく明確にこの一条に、今回のこの法律をつくる目的が書かれていると思います。今答弁がございましたけれども、「債務の負担を軽減しつつその再生を支援することを目的とする」、こういうことで、非常に明確にこれは書かれていると私は思います。ですから、この機構の目的に沿って、この法案が成立をした暁にはそれぞれ御努力をいただきたいと思います。
さて、産業復興機構というものも各県に、岩手県でもスタートした、こういうことでございますけれども、このすみ分けについて、支援機構の債権買い取り業務の対象は、各県の産業復興機構による支援の対象とすることが困難なものとする、こういう旨の附帯決議を今考えておるわけでありますけれども、こういうことが理由となって、要するに、この両機構の間でキャッチボールされたら、これはもうたまらないんですね。間に入って助けてもらいたいという人が、いや、あなたはあっちだこっちだと言われたら、現実にはそういう支援が進みませんので、ここのところは、これは政府からお答えをいただきたいと思いますが、こういうことにならないように、どちらかがしっかり責任を持ってやる、こういうことで、たらい回しにならないようにするためにぜひ御決意をいただきたいんですが、経済産業大臣と防災担当大臣、それぞれからお答えをお願いします。

○枝野国務大臣 御指摘のとおり、買い取りの対象については、「「産業復興機構」による支援の対象とすることが困難なものとし、」「各県の「産業復興機構」と相互補完しつつ、支援の拡充を図る。」と三党合意においてされているということは十分承知をいたしております。
その際に、御指摘のとおり、ボールが真ん中に落ちるようなことがあってはいけませんし、行ったり来たりのキャッチボールもいけないというふうに思っております。
補完をしていただく側でありますので、産業復興機構を所管するサイドとしては、もし、産業復興機構において支援が困難なものと判断をされる場合には、速やかに支援機構の方にその旨をお伝えしていくことが必要だと思っておりますし、またその判断も、もしその場合には早くしなければいけないというふうにも思っております。
したがいまして、今のようなことを両機構がしっかりと連携しつつ被災者の救済に当たれるよう、体制整備等に当たって、支援機構の所管であります平野大臣ともしっかりと連携して体制を整備してまいります。

○平野国務大臣 枝野経済産業大臣から御答弁がありましたように、両者しっかり相まって、地域の復興に大きな仕事ができる、しっかりとした仕事ができるように運用を図っていきたいというふうに考えております。

○石田(祝)委員 これは議員立法で参議院を通って、きょうのこの日を迎えたということを申し上げましたが、我々立法府は法律をまさしくつくる仕事でございまして、現実に、これからは行政府がその立法の趣旨を体して取り組んでいただかなきゃなりませんので、どうぞその点、法律をつくってよかったと言っていただけるように、ぜひこれから遺漏なきようにお願いをいたしたいと思います。
続きまして、債権買い取りにおける買い取り価格の規定、これは参議院通過法案、修正後の通過法案ということになりますけれども、「東日本大震災の発生直前の当該債権の価額に、対象事業者の事業の再生を図る観点から東日本大震災によるその被害の状況等に応じて支援基準で定める割合を乗じて得た額を基本とする。」こういう形で、たしか原案から修正を参議院の段階で一度されていると思いますが、これはどういう趣旨で修正がなされたのか、御答弁をお願いいたします。

○西田(実)参議院議員 御指摘のこの規定につきましては、参議院におきまして、債権買い取り等のスキームの実効性を高めるという観点から、修正により設けられたものでございまして、そのねらいは、やはり、大量かつ迅速な買い取りのためには、適正な時価について何らかの基準を設けて、より明確化すべきではないかという議論が参議院においてございまして、債権買い取りの迅速性ということを図るために、このような買い取り価格の基準を設けるとしたわけでございます。
しかし、第二項におきましては、それに加えて、適正な時価の算定に当たって、経営の見通し等について総合的に勘案できるというふうにもしているところでございます。

○石田(祝)委員 これは、私も当初、少々お聞きをしたときに、たしか、適正な時価を上回らない、こういうことになっておって、これが参議院段階で修正がなされて、今、衆議院に来ている。これについてもこれからいろいろと議論が出てくるだろうと思いますけれども、その趣旨につきましてはわかりました。
それで、それは私もそうかなと、参議院で修正した段階では思ったわけでありますけれども、その後、やはりこの買い取り価格の規定について、いま一度いろいろ議論があったようであります。これも、今回、衆議院での修正ということもお考えになっているようでありますが、この点について、衆議院の修正案の提案者、御答弁をお願いしたいと思います。

○大口委員 石田委員にお答えいたします。
今、西田参議院議員からも話がありましたように、当初、この二十三条におきまして、非常に迅速に買い取り価格を出さなきゃいけないということとともに、二項では、やはり総合的な判断ということであったわけであります。しかし、この買い取り価格は非常に重要な論点でございますので、与野党いろいろとしっかり、衆議院で修正協議をしました。
その中で、今回、二十三条の一項の趣旨というのは、迅速かつ適正に買い取り価格の算定を行うということであるわけでありますけれども、震災による被害の状況等は、対象事業者の事業の性質、規模、所在の地域の復興状況等によってさまざまでありまして、支援基準において一定率の掛け目を事前に定めて算定するということが実務上難しい、こういう意見があったわけでございます。
個別の実情に柔軟に対応するために、もとの自公案といいますか、支援決定にかかわる事業再生計画、それから、被災地域の復興の見通し、再生支援を開始した後における対象事業者の経営状況の見通し、そして担保の対象となっている財産の価値の見通し等を勘案して、総合的に勘案して適正な時価を算定し、買い取り価格については、適正な時価を上回ってはならないということが適当であるという形になったわけでございます。

○石田(祝)委員 これは、修正者の意見も私もわからないわけではないんですけれども、参議院でいろいろと御検討なさったときに、適正な時価、私も最初聞いたとき、適正な時価というのはどういう意味だろうと、正直よくわかりませんでしたが、これはいろいろと勘案をしなきゃいけない。適正な時価という言葉ですべてが適正になるかどうか、これは私もわからないと思いますけれども。
参議院の段階で、やはり迅速な算定、こういうことは当然、被災者の立場になると、ある意味でいえば、ここまでおくれたんですから、八カ月待っていただいているので、一日も早くというのは私はそのとおりだと思いますけれども、それで、買い取り価格の迅速な算定、これが果たして担保されるのか。再度修正をしたことによって迅速性が阻却されるんじゃないかという心配も当然出てくると思いますが、ここのところは、今、衆議院の修正案提出者にお答えいただきましたが、改めて、迅速な算定ということについて心配はないのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

○大口委員 迅速な算定ということが、参議院で修正をした一番の目的である。そういうことからいきますと、やはりそれがしっかり担保されるものでなきゃならない、こういうふうに考えたわけでございます。
そこで、今回の法案の附則の中で、「迅速かつ適正な買取価格の算定が可能となるよう、買取価格の算定方法(簡易な方法による算定を含む。)に関する指針の作成その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。」という形で、法律でこれを規定して、そして迅速な算定というものを担保する、こういうことになったわけでございます。
再生ファンドの場合は、厳格なデューデリを行いまして、詳細な事業計画に基づいて将来のキャッシュフローを算定する、こういう非常に時間のかかるものをやっていたわけですね。今回、岩手県で始めたものについては、過去の実績というものから将来のキャッシュフローを算定して、そしてそれを現在価値化していく、こういう算定方法になっているわけでございますけれども、さらに簡易な方法も含めて、本当に迅速な算定ができるよう、これは強く法律で規定させていただいて担保したところでございます。
〔委員長退席、橋本(清)委員長代理着席〕

○石田(祝)委員 確かに、予定されている修正案の附則第三条のところですか、「買取価格の算定に関する指針の作成等」、「政府及び機構は、」云々「指針の作成その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。」こういう形になっているわけですね。
ですから、これは、いろいろと案がおありなのではないのかというふうに思っておりますけれども、「政府及び機構は、」というふうになっておりますので、この附則、これが通りましたら、今度はぜひ政府の方に実行していただかなきゃなりませんので、こういう点もぜひ迅速に指針をつくっていただかなきゃならない、こういうふうに思いますので、その点もよろしくお願いをいたしたいと思います。
引き続きまして、衆議院の修正者大口議員にお聞きをしたいと思うんですが、大口議員が続きますが、よろしくお願いしたいと思います。
金融機関との損害担保契約を締結する旨の修正ということになっておりますけれども、これによって金融機関が債権買い取りの申し出をちゅうちょすることとなってしまっては本末転倒であります。事業者の再生につながらない。金融機関がちゅうちょしないよう、損害担保契約における負担割合の上限は明確にすべきではないかと考えますけれども、このことにつきましては、どのようにお考えでしょうか。

○大口委員 今回、二十三条の二項に、金融機関から債権を買い取る際、機構と金融機関で損害担保契約、ロスシェアリング契約を結ぶことになったわけでございます。このことによってモラルハザードを防止するということもございますし、また、金融機関が二次ロスについて損失をシェアするということによりまして、事業者の再生に全力を尽くすインセンティブも働くということで、こういう規定をつくったわけでございます。
しかし、今委員がおっしゃったように、では、金融機関がロスシェアリングでどれぐらい負担をしなきゃならないのか、それがはっきりしなければ、金融機関も機構に債権を売るということについては非常にリスクが出てくる、要するに及び腰になってしまう、このことはおっしゃるとおりでございます。そこで、これにつきましても三党でいろいろ協議をいたしました。
その中で、今、岩手県において産業復興機構を設立しているわけでありますが、これは中小機構から、要するに国から八割、それから岩手県の、地域の金融機関と県で二割、八対二、こういう出資比率でやっているわけです。我々の支援機構は、出資のところには、これは地元金融機関から出資させるということはないわけでございますけれども、ロスシェアリング契約におきまして、やはり産業復興機構における割合というものと横並びで考えるべきである、こういうことから、今回、このロスシェアリングの上限につきましては、八が国で、そして二は金融機関と県ということでございますので、上限が二割ということになります。

○石田(祝)委員 さらにお伺いをしたいんですけれども、今、八対二という中で県と金融機関が二だ、こういうお答えで、二割が上限だという話でありました。これは、今御答弁をお聞きしておりますと、県と金融機関が合わせて二割ということですよね。そうすると、ここの県と金融機関との間の問題というのは今後の課題になるんでしょうか。
これは通告には入っておりませんけれども、今の御答弁を聞いておって、そうすると、県と金融機関との間でどうなるのかなと。これは話し合いをこれからしていくのか、それとも事前にある一定また明確にしていくのか、そこのところは何かお考えはありますか。

○大口委員 各県につくられる産業復興機構というのは、それぞれの県でいろいろと決めているわけですね。大体、国が八出すというのはもう明確なんです。あとは、地域金融機関だけで二という場合もあるでしょうし、県も加わって二という場合もあるんです。岩手県の場合は、県も出資に入っているということでございますから、地域金融機関の割合は二よりも少ないということです。
とにかく、各県における復興機構と横並びで上限を決めるということでございます。負担割合を決めるということでございます。

○石田(祝)委員 そうすると、再度確認しますけれども、最大いっても二割、上限は二割、こういうことですね。はい、ありがとうございました。
引き続いて、債務の免除規定、第二十七条の修正というのは支援機構の持続可能性を確保するためのものと考えられますけれども、一方で、債務の負担を軽減しつつ再生を支援する、こういう法律の目的は実現させなければならないと思います。
債務の負担を軽減しつつということと再生を支援する、こういう両方の目的がありますけれども、この二つについてどういうふうに実現をしていくのか。支援機構の持続可能性ということもここで当然大事だと思いますけれども、持続可能性ということと、債務の負担を軽減しつつ再生を支援する、この二つがうまくマッチして進んでいけるか、これはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
〔橋本(清)委員長代理退席、委員長着席〕

○大口委員 参議院の法案におきましては、というか、もともと自公の法案におきましてもそうでございますけれども、この二十七条で、実際の簿価と買い取り価格の差額について免除しなければならない、あるいは、それから深掘りということも努力義務というふうになっていたわけでございます。しかし、これにつきましては、衆議院の修正協議の中で、与党の方からも支援機構の持続可能性ということを強く、そういうお話がございました。
ただ、我々も、これは第一条に、今委員御指摘のように、今回の機構は何のためにあるのかといえば、「債務の負担を軽減しつつその再生を支援することを目的とする」、そういうものであるわけですから、この株式会社は、株式会社であっても、むしろ、債務の負担を軽減しつつ事業者の再生を支援するという目的でございますから、もうける目的じゃないんですね。そういう点では、今、平野担当大臣も答弁していただきましたけれども、これは基本的には、本当にもうけるためでない、債務の負担を軽減するためだ、こういう趣旨でございます。
そういうことでございますので、今回、できる規定ということにした議論の中では、例えば、事業再生が極めてうまくいって非常に事業者がもうかっているような場合に、それについても一律に債務免除をすることはどうなのか、こういうようなお話もあってできる規定にしたわけでございますけれども、むしろ私ども、この債務の免除あるいは弁済の猶予につきまして、これは第一条の目的に沿った形できちっと、事業者の債務の軽減をしっかり図っていきたい、こういうふうに解釈しているところでございます。

○石田(祝)委員 これはどの法律もそうでしょうけれども、やはり第一条に目的とかそういうことが明確に書かれているわけですね。今回、株式会社ということでありますけれども、やはり目的は、債務の負担を軽減しつつ再生を支援する、これがあくまでもこの法律をつくる最大限の目的であります。
ですから、これがなかったら法律をつくる意味がないと私は思いますので、支援機構の持続可能性、当然なくなってしまったら困りますけれども、それ以上に、法律の第一条の目的に沿ってこの法律が執行される、こういうことが私は大事だろうというふうに思いますので、これは今後、行政で、政府で適切に行っていただきたいというふうに思います。
続きまして、政策金融機関に、資金の貸し付けに関する努力義務を課する規定を新たに置くわけですね。これについて、第六十二条第三項というところに置かれるようでありますけれども、この努力義務を課する規定を設けた理由を教えてください。

○大口委員 これにつきましては、もともと、我々のもとの案におきましては、十六条の中で、長期の貸し付けをすることになっていたんです。しかし、それにつきましては、政府系金融機関もあるという与党からのお話もありまして、それではニューマネーを提供するということをしっかり担保していただきたいということで、この機構においての貸し付けはつなぎ融資になったわけでございます。
それと引きかえにということではございませんが、この六十二条の三項で、政府系金融機関は、対象事業者に対して債権者その他の者が資金の貸し付けまたは出資を行うだけでは対象事業者の事業の再生に必要な資金が確保できない場合は、機構の要請を受けて資金の貸し付けに係る審査を行い、対象事業者の事業の再生に必要な資金の貸し付けを行うように努めなければならないということで、政府系金融機関が機構の要請を受けて貸し付けを行うように努めなければならない、こういうふうにしたわけでございます。
本当に、現地におきましても、やはりニューマネーの提供が一番求められるんだ、既往債務の買い取りだけでは地域の経済の復興というのはないんだ、こういう現場の声がございますので、こういう規定を設けさせていただいたわけでございます。

○石田(祝)委員 これは大変大事な規定だと思いますので、この中に「機構の要請を受けて、」こういう文章も入っておりますので、機構の要請があった場合は、この条文どおりにしっかりと取り組みをしていただきたいと思います。
続きまして、被災した事業者に係る債権についてでありますが、信用保証協会が代位弁済をして求償権を得ているケースもあるだろうと思います。こういうケースでも支援機構から救済を受けられるのか。こういうこともあろうかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○大口委員 この点も、ニューマネーの提供という点におきまして非常に大事なことでございます。
とにかく、今、地元の信用金庫とか信用組合は、代位弁済を受けている場合が結構多いんです。そうしますと、信用保証協会がむしろ事業者に対して求償権を持っている、こういうことでございます。ですから、この求償権をしっかり買い取るということが大事になってくるわけでございます。
そしてさらに、信用保証協会が求償権を持っている間は被災事業者の方に再度保証ができない、こうなっているわけですね。要するに、求償先には保証できない。今回、買い取りをすることによって求償先でなくなるわけでございますので、これはしっかり信用保証協会がニューマネーの提供について保証をするということが大事である。こういうことで、今回、附帯決議をお願いしておりまして、その中できっちりと立法府の意思を明確にしてまいりたいということでございます。
求償権について、支援機構は被災した事業者の事業の再生に資するよう各県の信用保証協会が対象事業者の債務の保証に基づき取得した求償権についてもその買い取りに努めること、支援機構はその買い取りに努めること。そして、信用保証協会等は支援機構による買い取りの申し込み等の求めに応じるよう努めるとともにということで、信用保証協会も支援機構による買い取りの申し込み等の求めに応じるよう努めるとともに、当該対象事業者に対する新たな資金の貸し付けについて、これは民間金融機関がみずからの責任で貸し付けを行う際には当該対象事業者への資金の供給が円滑に行われるよう当該対象事業者の資金の借り入れに係る債務の保証を行うよう努めること。こういうことで、附帯決議で立法府の意思を明確にしていただきたいと思っているところでございます。

○石田(祝)委員 これはやはり大事なところだと思うんですよ。要するに、代位弁済をして求償権を一度信用保証協会が持っちゃった、これを今回切り離すためにこの法律をつくったわけですけれども、やはり保証協会からしたら、どこの企業がそうであったかということはわかっているわけですね。ですから、そのときに、一度債権が手元を離れても、いや、あそこはああいうところだったからと、こういうことをされては、これはもう全然意味がなくなってしまいますので、これは私たちも、立法府の意思として、代位弁済をして求償権を持って、それが、債権が離れても、だめだというんじゃなくて、やはり離れたら離れたで真っさらの状態から再生支援を、ぜひこれは応援をしてもらうべきではないか、私はこういうことも思っております。
続きまして、この支援機構の本店をどこに置くか、こういうことであります。これについては、身近なところに置くべきではないか、私はこういうふうに思っておりますけれども、この点につきましては、原案提出者としてどのようにお考えでしょうか。

○西田(実)参議院議員 支援機構の本店につきましては、今後、諸般の事情を考えて正式に決めていくことになると思われますが、御指摘のとおり、被災事業者への支援をより効果的に、また迅速に行っていくためにも、できる限り身近な場所に設置するのが妥当ではないかというふうに考えられます。
なお、支援機構の支店等につきましては、必ずしも県別ということではありませんので、業態別あるいは地域ごとなど自由に、特に身近なところに設置もできますし、既に各地の農協、漁協や商工会議所、商工会からも、こうしたことへの協力の意向も示されているところでございます。

○石田(祝)委員 これはしっかりと御議論をいただいて、できるだけ近くにつくる、こういうことでお願いしたいと思います。
若干時間がなくなってきましたので、答弁は簡潔にひとつお願いしたいんですが、これから実際、支援機構の業務をするとなると、当然お金が要るわけですね。マネーが要るわけです。政府保証による市場借り入れ、これで調達をするようにお考えだというふうに思いますが、これはいろいろな議論があったと思いますけれども、ここでどの程度の規模のお金が要るのか。それに対して、これは私たちが法律をここでつくっても、実際、政府保証の金額をどうするか、予算総則に書き込まなきゃいけない、それは一体幾らを考えているのか。修正者のお考えと、政府、財務大臣、防災担当大臣、それぞれ端的にお答えをお願いします。

○大口委員 この規模、これは非常に大事なところでございます。
当初、我々は、二兆円あるいは一兆円、こういうことも言っていたわけでございますけれども、今、被災三県で、大体五千億円ぐらいの条件変更や一時停止がある、それから、沿岸部の農協、漁協は約五百億円ぐらい、それから、独法の福祉医療機構において沿岸部の福祉医療機関への債権額のうち返済猶予を受けている額が百十億ぐらいということで、五千六百億ぐらいということでございますが、これは被災三県でございますし、リース債権も入っておりませんし、これは七月末の金額ですから、これから膨らむ可能性もあるということでいきますと、今、当面五千億は必要である。五千億政府保証をつけて、そして市場からお金を調達して対応するということでございます。

○安住国務大臣 三党で話をなさっておられるのは当面五千億だということは聞いておりますので、市場調達における政府保証についても、相当額のものは保証したいというふうに思っております。

○平野国務大臣 保証枠等々についても、三党の中できっちりした議論をされたというふうに理解しております。それを踏まえて、その枠が確保できるよう、私の方からも財務大臣にお願いをしたいというふうに思っております。

○石田(祝)委員 これは、私の前の質問者も五千億ということの数字をおっしゃっておりましたので、当面五千億、こういうことでよろしくお願いをいたしたいというふうに……。何か御意見がおありでしょうか。当面ということは、たしか今つけられたと思いますので。
これは、参議院の議論の会議録を私見たんですけれども、債権買い取りになると言うと、ぼんといろいろなものが出てくるよと。これは片山さんですかね、債権を買い取るよと言うと今まで隠れていたのがどんどん出てくるというお話でしたので、私も、いろいろと個人的に借金をしている人の御相談を聞くと、言っているものの大体三倍ある、これが通例なんですね。
ですから、今計算されているところで、まず当面ということで確保していただけるということでございますが、これは、その後の様子も見て追加ということも当然考えられる、こういうふうに私は思っております。
それでは、四次補正について。今回、この二重ローンの法律ができますと、当然この株式会社をつくらなきゃならぬ。そのときの出資の問題も含めて、これはまだ三次補正には入っていないと思いますが、四次補正ということについて予算措置をする、こういうことを考えてよろしいんでしょうか。これは、財務大臣、防災担当大臣にお聞きをします。

○安住国務大臣 まだ参議院で三次補正の審議も始まっていない段階で四次補正のヨの字も出したら大変なことになりますので、当面、三次補正が成立後、法案が、これが通りました後に、速やかに政府としては対応していきたいと思っております。

○平野国務大臣 いずれ、支援機構は、法成立後三カ月以内には設立をいたしまして仕事をするということでございますから、それに支障が出ないように予算措置もされるというふうに理解をしております。

○石田(祝)委員 三次補正、当然、参議院であしたから審議をされるというところで四次のことは言えないということでおっしゃっておりましたけれども、私は別に構いませんので、どんどん言っていただきたいなと思っておりますから、事実上おっしゃった、こういうことだろうというふうに思います。
それで、この問題につきましては、ともかく、私は最後に防災担当大臣にお聞きをいたしたいと思います。きょうは、内閣府の所管ということで、防災担当大臣というお立場で来ていただいておりますけれども、当然、復興担当大臣、こういうことでもあろうかというふうに私は思っております。
それで、この機構について最後に御決意をお伺いしたいのと同時に、何としてもこれは三月の十一日、発災一年の前に事実上スタートができる、動かす、動いている、動き出した、この姿はぜひ被災地の皆様にお示しをしたいと思いますが、最後に防災担当大臣の御決意をお伺いいたしたいと思います。

○平野国務大臣 本法案は、さきの国会におきまして参議院を通過した後、これまで与野党の間で協議が続けられまして、十月二十日に三党の実務者間で修正案について合意に至ったというふうに理解をしております。
三党合意に基づく修正案が成立した際には、政府として速やかに機構設立に向けました準備を進めまして、法案の目的とする事業者の再生支援に最大限に努力してまいりたいと考えております。
以上でございます。

○石田(祝)委員 最後になりますけれども、きょうまで御苦労いただきました各党の担当者の皆さんに心から敬意を表して、質問を終わりたいと思います。

○古賀委員長 次に、佐々木憲昭君。

○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず最初に、この法案の取り扱いの経緯について確認をしたいんですが、参議院では、日本共産党も含む五つの野党会派がさまざまな形で協議をして法案がつくられた。その法案が、参議院で可決されて衆議院に来ました。ところが、衆議院での法案の修正議論は、自民、公明、民主の三党だけで行われるようになったわけであります。協議の内容はこうですよというのは伝わってはきましたけれども、参議院で賛成した日本共産党やみんなの党などを修正協議からなぜ外したのか、まずその理由を明らかにしていただきたいと思います。

○近藤(洋)委員 佐々木委員にお答えをいたします。
参議院通過法案の修正協議を三党で進めてまいったわけですが、その経緯を簡単に申し上げれば、安住当時民主党国会対策委員長を初めとする三党の国対委員長間の確認事項で、次期臨時国会において二重ローン法案の成立を図るという合意がなされたところでございます。その三党合意に基づきまして、三党間で議論を進めてきたのは事実であります。
しかし、その議論の途中の中で、少なくとも、例えば我々民主党においては、連立を組んでおります国民新党さん、とりわけ金融担当大臣を輩出しておるわけでありますが、国民新党さんには適宜情報を共有し、また野党においても、この協議の内容については、参議院通過に賛成をされた各党に対して連絡をし、情報を共有していた、このように理解をしております。

○佐々木(憲)委員 国会は三党だけではありませんのでね。三党で時間をかけて協議して、出た結論を国会にぽんと出して、審議時間を短くぱっと済ませばいい、そういう話じゃないんですから、その点をしっかりと心してやっていただきたいというふうに思っております。こんなことをやっていくと国会は空洞化しますからね、議会というものが。
内容について具体的にお聞きします。
参議院から送られてきた法案が三党協議でどうなったか。まず、二十七条の「債権の管理及び処分等」のところでありますが、参議院から送られてきた法案では、この一項で、「機構は、対象事業者に係る債権のうち買取りを行ったものの管理及び処分に当たっては、当該買取りの価格がその債権額を下回る場合においては、当該対象事業者の経営状況等を考慮し、特別の事情がない限り、その差額に相当する額について、当該対象事業者の債務を免除しなければならない。」こうなっておりました。これはどう修正されたんでしょうか。

○大口委員 今先生がおっしゃった二十七条の一項でございますが、それが今回、「機構は、対象事業者に係る債権のうち買取りを行ったものの管理及び処分に当たっては、当該買取りを行った日から一定期間を経過した後の当該対象事業者の経営状況その他の事情を勘案しつつ、当該対象事業者の債務の一部を免除することができる。」こういう規定になったわけです。

○佐々木(憲)委員 「しなければならない。」というのを、「できる。」こういう規定に変わったということでありますが、三党協議で、これは明らかに後退だと私は思うんですね。債務免除をしてもいいが、しなくても別に問題はない、こういうことになってしまうんじゃありませんか。
次に、二項について言いますと、参議院から来た法案は、機構は、特別の事情がない限り、当該買い取りを行った後の一定期間、弁済を猶予しなければならない。弁済の猶予ですね。これは義務でありますが、修正案ではどうなりましたか。

○大口委員 修正案の二十七条の二項でございますけれども、そこでは、「その弁済を猶予することができる。」こういう規定になっております。

○佐々木(憲)委員 これも義務規定からできる規定で、必ずしも猶予しなくてもいいということになってしまうわけであります。
次に、四項、当該債権に係る保証人に対する保証債務の免除、当該債権に係る物上保証人に対する担保の解除、負担の軽減に資する措置をとらなければならない。これはどういうふうになりましたか。

○大口委員 これは二十七条の三項でございますけれども……(佐々木(憲)委員「四項」と呼ぶ)もとのあれは四項なんですが、今回の修正においては三項になるわけです。三項が削られて、それで四項が三項になるということでございます。
それについて条文を読みますと、「機構は、対象事業者に係る債権のうち買取りを行ったものの管理及び処分に当たっては、当該対象事業者の経営状況その他の事情を勘案しつつ、できる限り、当該債権に係る保証人(その保証を受けた法人たる対象事業者の代表者その他これに準ずる者及び保証を業とする者を除く。)に対する保証債務の免除、当該債権に係る物上保証人」、括弧の中でまた「保証を業とする者を除く。」「に対する担保の解除その他の当該対象事業者の債務の保証に係る負担その他これに類する負担の軽減に資する措置をとるように努めなければならない。」ということで、「とらなければならない。」というのが「とるように努めなければならない。」こういうことになったわけです。

○佐々木(憲)委員 これも、措置をとらなければならないとなっていたのが、できる限り措置をとるように努めなければならないと。これも義務規定から努力規定に後退しているんですよ。
これは一体どういうことなんでしょう。参議院では、野党全体が修正協議を行って、統一して、これでいこうということで全部賛成で通ってきたわけです。衆議院に来たら、共産党、みんなの党は入れない形で三党だ、三党でやったら後退してしまう、これは非常に私は問題だと思うんですが、自民党、公明党の提案者はなぜこれを受け入れたのか。もともとこの部分は、修正案の協議に今回参加していなかったみんなの党が入れたものだと聞いていますけれども、みんなの党はこの修正部分についてどう受けとめているのか。それをお聞きしたいと思います。

○谷委員 お答えいたします。
佐々木委員の言われる、まず、三党だけということでございますけれども、できる限り幅広く政党でというのは理想かと思います。ただ、この二重ローン救済法案は非常に大部である、時間的なものもこれあり、とりあえず三党で先行させていただき、情報は逐次お伝えして、そしてまとめてきた、そういう経緯だろうと思います。瓦れき処理法案は全党で、私もやらせていただきましたが、ただ、二重ローン救済法案は、御存じのように、八十条近い新たな法律で、論点も大変多岐にわたり、そういった御事情も御理解を願いたいと思います。
また、衆議院でなぜ修正したか。端的に申しまして、修正しなければ通らなかったからでございます。
実際、政治は、やはり衆議院で圧倒的多数を、議席を有する与党の御理解なしに法律は通りません。そこで、ぎりぎりその中でこの法案も修正して、現在の修正案の形になった。何よりも、ただでさえおくれている二重ローン救済法案を一日でも早く成立させたい、そのことが、ベストではないかもわかりませんけれども、ベストに近いベターの選択であるという最終的な判断をさせていただいたところであります。

○桜内参議院議員 お答えいたします。
みんなの党で窓口をやっておりました。みんなの党といたしましては、まさに御指摘の二十三条そして二十七条、買い取り価格及び買い取り後の債権の管理、処分についての修正を出させていただきました。
そういった意味では、今回の三党合意によります衆議院での新たな修正案、まさに私どもからすれば、理屈のなき言語道断な修正であるというふうに考えております。
また、その手続に関しましても、三党合意と称しまして我々は排除された。我々が参議院で野党皆で力を合わせて通したもの、そして、特に我が党から修正を出した部分について、何の議論もなく、このような修正、特に、内容面からいきますと、本当に後退しております。心臓部分が殺されたような、そういった状態になっております。
被災地のためといいながら、全く被災地の救済にならないようなこういった修正を民主党が行ったということを指摘しておきたいと思います。

○佐々木(憲)委員 みんなの党の憤りは大変よく理解できるわけであります。
先ほど、修正案の提案者の方々からの言いわけのような話を聞きましたけれども、八十条近いから三党でやるんだ、時間がないからと。これはちょっと言いわけにならないと思うんですね。先行したと言うのなら、ちゃんと全党入れてもう一度やればいいわけであって。それは、参議院で全体として、共産党もみんなの党も参加して、全体が多数になって、それで通ったわけですから、それで民主党を説得するというのが本当の野党の役割であって、それを、野党の一部を排除して民主党の言うことを受け入れる、それで後退するというようなこと、それでみんなの党は怒っているわけですから。我々だって怒っているんですよ。
そういうことをやっていいのか。今回のやり方は非常に問題だったと思います。瓦れき処理のやり方はよかったと思いますけれども。そういう意味で、この法案の内容については、我々はいろいろな問題を感じているところであります。
次に、産業復興機構の問題についてお聞きしたいと思うんです。
岩手県で、現に準備が進められている産業復興機構に先立って、県産業復興相談センターというのが十月三日に発足をいたしました。相談センターは、被災事業者の立場に立って事業の再建支援を行うという重要な役割を担うところであります。
参議院の審議ではどのような答弁があったかといいますと、仮に被災事業者が金融機関に融資を断られても、相談センターが被災事業者と金融機関の間に入って親身に交渉や調整を行うといった役割を担うと。こういう認識に変わりがないかどうか、確認をしておきたいと思います。

○鈴木政府参考人 ただいま委員から御指摘ございました産業復興相談センターでございますけれども、私ども、幅広い事業者の方々を御支援の対象といたしまして、できる限り多くの事業者の方を御支援するということで、その体制について構築をしてきたところでございます。
議員が御指摘のとおり、金融機関に行って新規の融資をお願いしました、それで断られてしまいました、そういう方々と金融機関との調整を行うというのが、まずこの相談センターの目的だと思っております。加えまして、金融機関からも相談が来ると思います。そういう相談につきましても、私ども、できるだけ相談に乗りまして、どうすれば新たな、ニューマネーが借りられるか、また金融機関も貸せるか、そういうような相談を親身になって行うようなセンターにしたいと考えているところでございます。

○佐々木(憲)委員 ところが、岩手県の実態を聞いてみたら、相談センターに三十七人の専門家がいまして、そのうち二十九人が金融機関から派遣されたメンバーで構成されている。機構の運営には、企業再生ファンドのルネッサンスキャピタルグループの完全子会社、東北みらいキャピタルというのが内定した。このルネッサンスキャピタルというのは何かというと、BNPパリバの投資会社であります。
こうなりますと、被災事業者が相談センターに相談しても、まず金融機関の意向で債権買い取りの判断を下される、その次に、復興機構に回されると、投資会社の意向で判断される、こういう形になってしまうわけですね。果たしてこれで救われるのかどうか。
これでは、被災者ではなくて債権者の立場から対象を選別するということになって、結局、優良企業に限定されてしまうんじゃないか、この復興機構の対象は。だから、県内の商工会議所とか行政の担当者からも、これは余り期待が持てない、本当に困っている人たちは対象にならないと、非常に冷めた受けとめが出ているわけです。この不安に対して、これをどう払拭するのか、答えていただきたい。

○鈴木政府参考人 岩手県におきまして、私ども、そういうような御懸念があるという点につきましても伺いました。私ども、中小企業庁の職員をできるだけそのファンドといいますか相談窓口の現場に派遣をいたしまして、運営がおかしくならないようにぜひしていきたいと思っております。私どもの目でしっかりと、その相談窓口が先ほど申し上げましたような運営になっているかどうかチェックさせていただきたいと考えているところでございます。

○佐々木(憲)委員 この「(三党合意修正案)のポイント」という文書によりますと、各県の産業復興機構は各県が実情に応じて支援対象を決めており、その整理を尊重するとなっているんですね。最初から優良企業だけを対象にするというふうに決めて、その整理を尊重するというふうになったら、これは、厳しい状況に置かれている中小企業は排除されるんじゃないでしょうか。その上で支援機構が後で対象とするというのは、この産業復興機構が支援対象とすることが困難なもの、つまり、復興機構が排除した中小企業、非常に困難な中小企業、こういうことになってしまうんじゃないでしょうか。

○近藤(洋)委員 お答えをいたします。
我々としては、民主党の立場とすると、当初、産業復興機構のみで十分対応できるという立場でありましたが、より厚みを増すという観点から新たな機構の設立に踏み切り、現在の修正に至っているわけでありますが、産業復興機構の買い取り価格は、いわゆる将来のキャッシュフローを予測して算定を行う、こういう形になっているわけであります。
将来のキャッシュフロー、いずれにしろ、事業再生の意思のある方々を救う、こういうことでありますから、このキャッシュフローというのが一つの算定基準になるわけでありますが、このキャッシュフローの算定がなかなかすぐにはできないという事業者さんもあろうか、このように考えております。
したがいまして、その算定がなかなか難しい、すぐには算定できないといった企業さん、例えば、一つの例ですけれども、町の床屋さんといったような事業者もあろうかと思いますので、こうした事業者の方々に対して新たな機構がきちんと対応するということでございますので、決して排除するのではなくて、双方が連携をして分厚い支援を実行する、こういうことだろうと思っております。

○佐々木(憲)委員 それでは、この新たにつくる支援機構が設立されるのはいつですか。

○近藤(洋)委員 法案が成立をして、定める三カ月以内、こういうことでございます。

○佐々木(憲)委員 これは「遅くとも三月十一日より前」、こういうふうに書かれておりますけれども、それまでの間はどうなるんですか。
各県の復興機構が自分の判断で、対象について、これは再生可能だと。比較的一定規模以上で優良なところが最初は対象になりますよね。後は支援機構がやるんですといったって、支援機構は来年の三月と。こうなると、その間は一体どういう扱いになるのか。
震災から八カ月たって、もう既に意欲を失って、もう再建をやめたと言う人は半分ぐらいいるんですよ。年末年始、この年を越せるかどうかというのは次の問題ですよ。そのときには、復興機構は、いや、もう私のところは対象はこれだけ決めましたと。しかし、それから漏れたところは、すぐ支援機構が支援するかというと、そうじゃないんですよ。来年三月まで待たなきゃいかぬ。その間にばたばたつぶれるんじゃないですか。それをどう助けるのか、どう対応するんですか。これは政府にも聞いておきたいと思います。

○平野国務大臣 もともと、産業復興機構につきましても、できるだけ幅広い事業者を支援するということでこの復興機構を設立するということで全体の制度設計がされております。
岩手県は、相談センター、十一月十一日からは復興機構ができまして、宮城県においても相談センターが設立されると聞いておりますけれども、支援機構の設立を待たずとも、まずできるだけ幅広い事業者の支援をする、そういう考え方でこれを運営していくということでやっていきたいというふうに思っております。

○佐々木(憲)委員 そうすると、産業復興機構は、再建を望む小規模事業者それから農林水産事業者、医療福祉事業者、こういうものも、当然要請があればそれを受け入れて支援していく、これは当たり前のことだと思うんですが、政府としてはっきりそこを答弁していただきたい。

○平野国務大臣 各県に設置する産業復興機構につきましては、小規模事業者、農林水産事業者、医療福祉事業者を含めて幅広い事業者を支援の対象とすることにしておりまして、その方針に変わりはないというふうに承知しております。
ただ、先ほど近藤委員からも御説明がございましたように、この支援に厚みを持たせるという意味においての支援機構が設置されるというふうに理解をしております。

○佐々木(憲)委員 この「(三党合意修正案)のポイント」というのを見ますと、「棲み分け」となっておりまして、産業復興機構、これは「実情に応じて支援対象を決めており、」こうなっているんですよ、「決めており、」と。その整理を尊重するとなっているんですよ。そして、その対象となることが困難なものは、後でつくられる支援機構がやりますよと。そうなると、最初に対象を決めてしまって、まあ優良なところですよ、それでその後は支援機構、こういう二段構えになっている。すみ分けといったって、いいとこ取りをやって、後は支援機構でやってくださいと。これはちょっとおかしいんじゃないでしょうか。
まずは全部対象にする。何とか再建したいんだ、そういう事業者に対して、すべて受け入れて、事業計画を一緒に考える、銀行と交渉する、そういう形で、この年をどう越せるのか、どのようにしたら生きていけるのか、こういうところを支援するというのが、産業復興機構としても当然やるべきだというふうに思いますが、どうですか。

○鈴木政府参考人 ただいまの委員の御指摘に対しまして、私ども少し実績を述べさせていただきたいと思います。
既に岩手県では相談を開始しておりますけれども、食品製造業二十二件、飲食店九件、その他の小売業九件ということで、小規模の方々も御相談に来ていただいております。こういう方々との御相談を親身に私ども調整させていただきまして、何とか再建のめどを立たせたいというふうに考えているところでございます。

○佐々木(憲)委員 今度は支援機構の役割ですけれども、被災事業者の立場に立って金融機関との調整を含めて再生を支援する、こういう相談機能が重要だと考えるんです。
例えば、金融機関が、この企業は支援しても銀行にとってはなかなかもうからないと。しかし、事業者の方は、どうしても再建したいんだ、何とかしてほしい、こう表明する。そのときに、相談センターで親切に相談に乗って支援する、これは大変重要ではないかというふうに思いますけれども、発議者として、この点はどのように考えているか。

○西田(実)参議院議員 まさに、今御指摘いただきましたように、この法律では、特に第十六条の三項におきましては、この機構は、「事業者の依頼に応じて、その事業の再生等に関し必要な助言を行うことができる。」というふうになっております。
この規定におきましては、当然、再生支援を申し込もうとする事業者からの事前の相談を受けるということは想定しておりますけれども、これだけではなくて、ここに「等」とございますように、仮に支援決定の対象とならないような事業者に対しましても、その事業の再生等に関して必要な助言を行うことができるというふうに規定をしております。
ここのところは大変重視しておりまして、例えば、これまでの中小再生支援協議会では、ともすると、協議会の関与の条件として、関係各金融機関、特にメーンバンクの同意が得られる見込みのあることというのが規定されておりまして、それがない場合に門前払いのような形になっているケースが間々見られることは私も承知をしております。
そこで、この支援機構では、まず門をあけてテーブルにのせてお話を伺う、その上で、再建の見通し等について話し合い、債権者に対しても、専門家チームを派遣して、解決の道筋を示して説得する助け船を出す、そこまでやろうということが、この第十六条第三項には立法者の意思として込めさせていただいているところでございます。

○佐々木(憲)委員 参議院から来た法案では、支援機構に対する事業者の再生支援の申し込みに際し、事業の再生計画に加え、債権者である金融機関などが貸し付けや出資を行うことを約束している証明書のようなものが必要だ、こういうふうになっていると思うんですが、これは今の答弁ですと、証明書が必ずしもなくても、当然、その証明書をもらえなかったというところに対しても、再生のために相談に乗って、計画を相談しながら考えて、金融機関と交渉していく。これは当たり前だと思うんですね。そういう立場でやることになるのかどうか、そこをきちっと確認しておきたいと思います。

○西田(実)参議院議員 今、十六条の第三項に込めさせていただいている私どもの思いとしては、まさにそういうことを想定しているわけでございます。

○佐々木(憲)委員 義務規定が若干後退しているという面がありまして、これは全体としてはなかなか、我々が期待したような方向に行くのかなと思っていたら、何かゆるゆるになっちゃって、そして被災者の相談も非常に厳しく扱われるようなことになってしまうと、何のためにこういう法律をつくったのかということになってしまうわけであります。
厚みを増すというのであれば、今動き始めている県の産業復興機構、これがすべて親切に相談に応じて、銀行の証明あるいは銀行の約束などなくても、まずは全部受け入れる、その上で再建の道筋をつけていく、こういうことをやらないと、もう既に現地ではどんどん意欲を失ってきているわけです。
年を越せないような事態になって、今半分ぐらい、もうともかく何とかしたいと思っていても、三分の一になり、四分の一になると、そこを全部助けたって、地域経済は四分の一ということになるわけですよ。これでは本当に意味がなくなってしまう。
そういう意味で、今すぐ政府は前向きに、再建を希望しているすべての事業者を対象にして行うと、もう一度最後に復興大臣の見解を伺って、終わりたいと思います。

○平野国務大臣 相談センター、産業復興機構、支援機構もそうでございますけれども、被災した事業者が、とにかくこの地で復旧するんだ、復活するんだ、そういう思いのある方々に、できるだけ幅広く支援して立ち直っていただく、こういう趣旨で設立されるというふうに理解しております。その趣旨に沿った運用がされるように、しっかり私どもも、背中を後押しなり、現場の運用状況については見ていきたいというふうに思っております。

○佐々木(憲)委員 以上で終わります。

○古賀委員長 次に、吉泉秀男君。

○吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。
震災からきょうまで、多くの震災関連法案が成立をいたしました。そして、被災地にとっては、事業主にとっては大変待ちに待ったこの二重ローン救済の法案、まさに各三党を中心にしながら修正案ができて、そして今審議がなされた。このことについては、本当に敬意を表させていただきます。
私たち議員として、一日も早く震災復興復旧に向けて、それぞれの課題、障壁を一つ一つ取り除く、このことが私たちの任務であるんだろうというふうにも思っております。
そうした中で、七月に出された中小企業の白書によりますと、物すごい事業さらには企業が震災で大きな影響が出ている、このことが如実に出されております。数字的には省かせていただきますけれども、この白書の中で、この現状を踏まえながらも頑張って、そして、現状の中で再建に向けて、事業再開に向けた企業の例も報告をなされております。
そうした中で、今、八カ月経過をした中で、この被災に遭った事業所さらには企業がどのぐらいまで、復旧に向けて、さらには事業再開に向けてなされているのか、この現状についてまずお伺いさせていただきます。

○松下副大臣 お答え申し上げます。
大変厳しい状況の中で、みんな必死に頑張っておられます。これは委員のおっしゃるとおりでございまして、六月それから八月の末と二回調査いたしました。それからまた、今度、第三次補正が成立いたしましたので、それを受けて……(発言する者あり)今週末受けますけれども、今回、もう一度調査をしたいということでございます。
現在、商工会議所や商工会に現状をお伺いしておりますけれども、八月末から九月上旬の数字でございますけれども、宮城県の商工会関係では約八割、それから岩手県の宮古商工会議所、大船渡商工会議所でございますけれども、宮古の方が約八割、大船渡の方が約七割、これがとにかく再開のめどを立てて頑張っているということでございます。福島県の方が、警戒区域や計画的避難区域の商工会でございますけれども、県内外の避難先での営業再開も含めまして約三割と、これは大変苦しい状況になっておりまして、私たちも現状をしっかり把握しながら、激励しながら、とにかく中小企業の声をしっかり受けてやっていきたい、こういうふうに努力しております。
ありがとうございました。

○吉泉委員 今の数字、お聞きをしたわけでございますけれども、これは小規模事業者というとらえ方でいいですか。中小企業の数というものはどういう状況ですか。

○松下副大臣 圧倒的に、九九・九%あるいは一〇〇%、中小企業、非常に小規模の事業者でございまして、約四万社を把握しております。
そして、六月時点から比べまして約二割ほどがまた頑張って、この数カ月再開にこぎつけて、先ほどの約八割、約七割という数字になっております。福島は約三割ということで、まだこれから頑張らなきゃいかぬということでございます。

○吉泉委員 わかりました。
四万社、さらには事業所というふうな数なんだろうと思いますけれども、その中で八割がそれぞれ事業再開をしているという受けとめ方をいたします。
そうすると、この事業主の方々が、これからこの法案が成立をした場合に、二重ローンの救済、この部分の対象になるというふうなとらえ方をしても結構ですか。

○平野国務大臣 本法案の第一条では、支援の対象者を、「過大な債務を負っている事業者であって、被災地域においてその事業の再生を図ろうとするもの」というふうにされております。御指摘のように、事業を再開している事業者も、「事業の再生を図ろうとするもの」から除外されるものではないというふうに考えられております。
いずれにせよ、法案成立後は、政府としては、本法案の趣旨にのっとり、被災事業者の再生支援に向けて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

○吉泉委員 ありがとうございました。
今、それぞれ被災地のところで頑張っているわけでございますけれども、そのときに、国税庁から出された路線価格の調整率、このことがすごく、自分にとっては大変ショックな数字が出されたなというふうに思いました。
確かに、相続税なり贈与税、被災者の方から見ればその軽減にはなるわけでございますけれども、まさに八割も土地の価格が下がった、こういう状況から見ると、被災者から見ると、事業の再建をしていく、そういう部分についても非常に大きな影響があるのではないか、こういうふうに認識もしております。
そしてまた、借入金の担保というものは、やはり多くは土地なんだろうというふうにも思っております。その土地がこれだけ下落をする、こういう状況について、すごく自分としてはショックを覚えたわけでございます。
今回、阪神・淡路に次いで二回目の国税庁からの発表ではございますけれども、今後、被災地において非常に大きな影響が出てくるんじゃないか、こういうふうに自分自身認識をしているわけでございますけれども、この点についてどういう感想を持っているのか、お伺いいたします。

○平野国務大臣 先日、国税庁が公表しました震災特例法、これは相続税、贈与税における土地等の評価に係る調整率でございますけれども、これは、納税者の申告の便宜及び課税の公平等の観点から、被災地における土地等の価額を震災の発生直後の価額として算定するために用いられるものでありまして、震災後の社会インフラ等の復旧あるいは地域経済の回復等々の状況は加味されていないことから、仮に現時点で土地の評価を行った場合の価額とは異なる可能性があるものと考えております。
ですから、まず一日も早い復旧をするということで、それが当該土地価格に反映されるような、そういう状況をつくることが大事ではないかというふうに考えております。

○吉泉委員 今の大臣の答弁でございますけれども、そのことを満額受けとめても、これからこの法案が成立をし、そして、「業務の範囲」のところの三号には「債権の担保の目的となっている財産」、こういう部分の買い取りの問題なりが出てくるわけですね。そのときに、この評価をどうしていくのか、こういう課題があるわけです。そういう八割も下落をしている路線価格が、そういう面からいえば、再建をしていく際に非常に大きな妨げになる、そういう部分につながらないのか、こういうふうに私は思うんです。
ですから、その辺に対して、大臣は、この問題についてどういうふうにとらえて、そしてどう対応していこうとするのか、お伺いさせていただきます。

○平野国務大臣 土地の買い取り価格をどのように設定するかということについては、きょうもさまざまな議論がございました。
これからの価格の設定につきましては、不動産鑑定士等々の鑑定等々も踏まえながら価格の設定はやっていくというふうに考えておりますけれども、先ほど申しましたように、少なくとも、国税庁の調整率、あの考え方には将来の復興とかインフラの復旧等々については加味されていないというふうに理解しておりますので、それがそのまま買い取り価格、不動産価格になるというふうには考えておりません。
繰り返しで恐縮でございますけれども、大事なことは、復旧のめどをつけるということで、それがまた土地価格に、反映させるような仕組みというのは言い過ぎかもしれませんけれども、結果としてそういうふうになっていくような形になることを期待したいというふうに思っています。

○吉泉委員 そうであれば一番いいわけでございますけれども、しかし、なかなか市場はそううまくいくとは限らないというふうに思っています。
その中で、阪神・淡路のときに、最大限、数字的にはそんなに下がらなかったというふうにもお聞きをしているわけでございますけれども、そのときについては、まさにバブル、こういう部分もあって、さらには土地の需要なんかも大きかった、こういうふうに受けとめております。しかし、今回のところについては、まさに、津波等々を含めながら、農地も多いわけでございます。そんな面の中では、今の路線価格を出された段階において、支援の基準等の問題については、やはり政府としてきちっとした見解を出していくべきではないか、こういうふうに私は思うんです。
そのことについて、この出された中においての、今言うように、路線価格が、今の国税庁から出されたその数字が直結するものではないというふうなとらえ方とするならば、その対応について、ひとつ、もう少し突っ込んだ答弁をお願いしたいんですけれども。

○平野国務大臣 いずれ、土地の価格、買い取り価格をどのように設定するかということについては、いわゆる制度全体の根幹にかかわる話だというふうに思っております。
基本的には不動産鑑定士等々の評価を踏まえた適正な時価ということになると思いますが、その時価をどのように設定するかということについては、先ほど言いましたように、さまざまな復興の状況をどのように予想するかとか、さまざまな要素が加わってくるんだろうというふうに思います。
ちなみに、今委員から阪神・淡路等々の例とさまざま違うという御指摘もございましたけれども、その一方で、今回の措置については、奥尻島の例、あるいは阪神・淡路の例を踏まえまして、かなりそれとは違う制度も多々用意させていただいたつもりであります。
復興特区制度、それから復興交付金の制度もそうであります。それからあと、仮設店舗等々については、当時はこういう制度はございませんでした。さらに、これは経産省の中小企業庁がやっておりますけれども、事業の、いわゆるグループ化した企業に対してはその復興そのものに対して補助を出すという、これももう従来の制度にない全く新しい制度でありまして、そういった形から、被災した企業あるいは事業者が再度立ち直れるような状況についてのさまざまな環境づくりというのは、一応今回の三次補正でも盛らせていただいたつもりでございます。

○吉泉委員 どうもありがとうございました。
それぞれの企業から言わせれば、一億も投資をして、そして土地を求めて、そして事業を再開しながら今やっていると。しかし、それがすべて御破算になってしまって、そしてその土地が、もう全くと言っていいほど、三割、四割しかなくなった、七割も下がった。こういうような状況があったときに一番困るのが、それぞれ再建しようと思っても、なかなか気持ちがすさむという状況だというふうに思っております。そんな面の中では、ぜひ、これからの支援の基準等々を含めてやっていく際に、ひとつよろしくお願いを申し上げたい、こう思います。
そして、今大きく出されてきているそのものについて、やはり二重ローンの問題、そして土地の価格の問題が一番大きいものだというふうに思ってはいるわけでございますけれども、これからこの被災地における、先取りする、一つの産業構造の転換を展望しながら、ぜひ大臣の方からは万全の体制をとっていただきたい、こう願うものでございます。
最後になりますけれども、共産党の方から、それぞれ今回の修正案に対する協議の進め方、このことにも質問が出されました。
私たち社民党も、この二重ローンについて大変大きな期待、そして考え方は持っていたわけでございますけれども、その都度、修正案の進みぐあい、このことについては常に報告も受けてきたところでもございます。
しかし、瓦れき法案のその修正をしていく際に、私どもも一緒にはまりながらその法案づくりをさせてもらった、その経過から言わせれば、やはり今回の場合についても、三党だけでなくて、すべての政党が、会派が参加をしながら修正協議をしていく、そういうのが一番妥当なものなんだろう、私はこういうふうに思っております。
最後に一つそういう意見を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○古賀委員長 次に、柿澤未途君。

○柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。
この株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案、もともとは参議院の野党が提出をした議員立法案、それが参議院で可決をして、衆議院に送付をされ、さきの国会冒頭で成立させる約束だったんですけれども、それもできず、きょう、ようやく修正案の復興特での委員会質疑、そして採決を迎えているわけであります。
参議院可決法案には、みんなの党も提出会派に名前を連ねております。ですから、我が党の桜内参議院議員に、きょうの質疑に発議者として答弁席に座っていただいております。
ところが、今回の修正案には、私たちは修正合意にも加わりませんでしたし、提出会派にもなっておりません。そして、まことに残念なことですけれども、後ほどの採決では反対をさせていただきます。それは、この法案のまさに根幹、まさに肝の部分が、今回の民自公の修正合意によって換骨奪胎され、結果、法案そのものがほとんど意味をなさなくなってしまったと言ってもいいと考えているからであります。
まず、原案提出者の桜内議員にお聞きをしたいと思います。
三党合意により、参議院可決法案から、二十三条と二十七条、債権の買い取り価格及びその後の債権の管理、債権放棄に関する規定、こういった部分の要点のほとんどが削除されてしまいました。この部分は、我が党が非常にこだわって、条文に盛り込まれた経緯があるはずでありますけれども、そもそも、この参議院可決法案、原案のような二十三条、二十七条、このような条文として定められていることにはどのような意義があるというふうに考えておられるでしょうか。

○桜内参議院議員 お答えいたします。
二点ポイントがあると考えております。一つ目が、買い取り価格というものを客観的かつ合理的に明確な基準で示すことによりまして、債権買い取りのスピードを上げていくということであります。日々の事業の資金繰りにも関係する重要な事項ですので、これは一日も早く買い取りを進めていく必要があると考えた次第です。
もう一つの目的は、本法案の一条にもありますように、債務負担の軽減ということもありまして、やはり銀行の側から、金融機関の側から債権の売却を促す。売却した瞬間に、今回の場合は、銀行の側に含み損が実現化してしまいますので、資本が毀損をしてしまう。これをなるべく避けて、なるべく高い価格で買い上げていくということと、もう一つは、債務者の側に立って債務免除というものを促していく。こういった、スピードと債務負担の軽減という二つが主な目的でございます。

○柿澤委員 では、続いて、また桜内議員にお伺いをするんですが、今回の民自公の三党合意によって衆議院で修正をされた箇所について、実質的にこれは二重ローン債権の買い取りにどのような影響を及ぼすというふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。

○桜内参議院議員 このままですと、政府案でもともと言っておりました産業復興機構と同じ買い取り条件になってしまいますので、全く買い取りが進まないということになるかと思います。
これまで、震災発生以来八カ月たっております。そして、この与党案の産業復興機構、これも二次補正で一部予算が盛り込まれているにもかかわらず、三カ月たっても一件も買い取りが進んでいない、これと同じ買い取り条件にしてしまう。私は、そういった意味で、被災地、被災者の救済にならない、そのように考えております。
民主党政権は、一体、何を考えてこのような修正案を出してきたのか、そこは私、全く理解できません。民主党政権には数の力という権力はあっても正義はないというふうにここで指摘しておきます。

○柿澤委員 大変思いにあふれた、また大変な御答弁をいただいてしまいましたが、三党合意による今回の修正案では、買い取り価格の設定についての二十三条の規定が、政府案の産業復興機構に合わせられて、「適正な時価を上回ってはならない。」と修正されてしまいました。その上、ロスシェアリング、損害担保の契約を銀行に結ばせることになっている。これでは、銀行は債権放棄できないではないですか。本来であれば九〇%、一〇〇%回収できるはずの貸付金が三〇%に減価している。それを適正な時価、すなわち三〇%で買い取りますよと言ったって、銀行の側から買い取りに出すはずがない、含み損が顕在化しちゃうんですから。
ましてや、将来、八対二とか、こういう高率のロスシェアリングを銀行に求めるのであれば、銀行が債権を機構に出す可能性はほとんどゼロになってしまうんですよ。実際、先ほど答弁でもありましたとおり、政府案の産業復興機構では、債権買い取りの実績が全然上がっていないではありませんか。
一方、修正案提出者の民主党の近藤議員にお伺いをしたいと思いますが、原案を今回のように修正することにどういう意義があるんですか。これで、より一層、二重ローンを抱える被災者、被災企業等のためになる、こういう法案に仕上がったと自信を持って言えるんですか。お伺いをしたいと思います。

○近藤(洋)委員 柿澤委員にお答えをいたします。
我々は、今回の修正に当たって、一つ、大きなポイントを修正しなきゃいかぬという認識を当初から持っておりました。それはすなわち、モラルハザードを犯してはいけない、こういうことであります。事業者の再生を図るのは当然であります。そのためにできるだけ手厚い支援をしたい。と同時に、だからといって、モラルハザードを犯してはいけない。ということは、すなわち、金融機関もしっかりと事業者を支えなければいけない、こういうことであります。
そういう観点に立ちますと、残念ながら、みんなの党さんの修正案は、ある意味では銀行への補助金につながってしまう、こういう懸念を持っていたわけであります。我々が救いたいのは事業者であって、銀行ではありません。債権放棄を義務づけたり、また一定率で買い取りを義務づけるというのは、すなわち、その分だけの銀行への補助金であります。
もちろん、銀行には債権放棄をしてもらわなければいけません。したがいまして、そのためには、さきの国会でも成立したような金融機能強化法によって資本注入をして、銀行には債権放棄をしてもらう、そしてその分は国がちゃんと手当てをとる、こういう手当てをとっているわけであります。
したがって、金融機能強化法によって金融の環境を整え、同時に、銀行への補助金はできるだけ排除したい。すなわち、その分だけ二次ロスが発生すれば、これはみんなの党さんも嫌う、国民の税金を使って穴埋めをするわけでありますから、この税金を使うことはやはり避けなければいけない、こういった趣旨でございます。
何とぞ御理解をいただきたい、このように思います。

○柿澤委員 この点、先ほどの趣旨説明で近藤委員は、より実効性ある形で被災事業者を救済していく、こうおっしゃっていたんですが、この債権買い取り実績がそもそも上がっていないわけです。この政府案の産業復興機構とあわせて、適正な時価を上回ってはならない、こういうことにして、結局これは、一体、より実効性が上がることになるんでしょうか。
今御答弁ありました、政府保証をつける以上、国民負担が生じると国民に理解を得られない、銀行に対する補助金は認められないんだ、こういうお話だったんだと思います。つまりは、三割に減価した債権を六割で買い取ると、事実上、銀行に補助金を与えることになってしまう。
国民負担による銀行への補助金は認められない、これは一見もっともらしいことに聞こえるんですけれども、しかし一方で、御自身もおっしゃっているとおり、震災発生後、金融機能強化法により銀行二行に対して六百五十億円も資本注入しているではありませんか。これは銀行への補助金でなくて何なんでしょうか。
一方で、こっちの債権買い取りの支援機構、産業復興機構、こうしたものについては、事実上、先ほど申し上げているとおり債権買い取りが全く進まないような形の修正が行われている。一体、どっちが銀行への補助金で、どっちが国民負担なんですか。言っていることとやっていることが、私はちょっと違うんじゃないかというように思いますよ。
先ほど来申し上げているとおり、原案について、私たちは提出会派の立場です。ですが、衆議院段階の修正協議については、民自公の三党で行われて、協議に加わったこともなければ、内々に状況を知らされる以上の場は一度も持たれたことはありません。その上で、今月七日に、配付させていただいたような文書が来たわけです、「二重ローン法案修正案提出に向けた会議の開催について」。これは読んでいただくとわかるんですけれども、問題なのは、「修正内容にご同意いただける政党の皆様にご参加をいただければ幸いです。」こういう一文が設けられています。賛成するなら会議にも参加してください、賛成しない政党は原案提出者であっても協議の機会はない、こういう一方的な通告ではありませんか。協議の場も与えず、議論もしない。これを桜内議員はどう思われますか。

○桜内参議院議員 全く言語道断だと思います。民主党の議員の方がよく使われる言い方をすれば、議会制民主主義の否定であるというふうに思っております。
さらに一つつけ加えて言えば、その三党協議の場に役所の側が常に同席しておったと聞いております。議員立法であるにもかかわらず、一体、憲法四十一条、唯一の立法機関、これをどう考えているのか、私は不思議でなりません。
さらに言えば、内容としても、役所の側からミスリードの説明がなされたと聞いております。株式会社だから利益を上げなくちゃいけない、損失を前提にすることはできないと。今回の法案は、株式会社ですけれども認可法人です、第一条も損失の負担をするようになっております。こういった、私も大蔵省の出身ですので、役人がお金を使わないようにという立場はわかりますが、うそをついてはいけない。
それ以上に、民主党政権は一体何をやっているのかと。私は、こういった怒りは国民、有権者の皆さんと共有して、いずれしっぺ返しを、皆さん、ここにたくさんいらっしゃる民主党議員の方が食らうことになるというふうに予言しておきます。

○柿澤委員 ここまで答弁をしていただくつもりもなかったんですけれども、次の質問に移りたいと思います。
昨年の四月、行政刷新会議において、政府は、経産省の所管する中小基盤整備機構の有する二千億円を国庫に返納するように求めています。この二千億円を原資として政府案の産業復興機構がつくられました。しかし、金融機関が新規に融資をすることを条件にして債権を買い取るとか、使い勝手が悪いので、先ほど来出ているとおり、債権買い取りはこれまで一度も行われていない。このような状況が続けば、これはやはり国庫に返納する、こういうことでよろしいでしょうか。

○近藤(洋)委員 柿澤委員にお答えをいたします。
その前に、この場は国会でございますので、議事録にも残りますので、大事な点をきちんと申し上げなきゃいけないと思っております。
先ほど、みんなの党の桜内議員から、三党協議において役所の方がミスリードしたといった風評といいましょうか風説を主張されましたが、現実にはそのようなことはございません。
我々は、きちんと三党で議論をし、もちろん、各党の方々にもあまねく呼びかけるという手法もあったでしょう。しかしながら、国対委員長の三党合意に基づいて、それぞれ、みんなの党さんについては、自公さんから随時みんなの党さんの御意向というのは聞いておりましたし、我々も国民新党と連携をして議論してきたということ。
あと、役所側のミスリードということは全くございません。役所側は確かに、一定の償還確実性は必要だ、こういうことを言いましたが、株式会社云々ということはございませんので、ここは明確に否定をしたい、こう思いますし、我々は議院内閣制であると同時に、行政府がこの新しい機構をつくるわけでありますから、役所が最終的に議論に加わるのは当然かと思います。
さて、御質問でございますけれども、二千億円につきましては、確かに、いわゆる事業仕分け、独法仕分けにおいて二千億円を返還するという形のことが合意をされました。これに基づいて五百億円が国庫に納付されております。しかし、今回の大きな震災を受けて、被災地の中小企業を救わなければいけない、こういう観点から、今回、各県において設立をされた機構に出資するという形になっているわけでございます。
実例が一件もないという話でございましたが、十一月十一日に設立したばかりでございますから、これからどんどん要望が来る、実行されるものと考えておりますので、使い勝手が悪いといった批判は当たらないのかな、今後の動きをぜひ見守っていただきたい、このように思っております。
したがいまして、現在、国庫に納付する考えはございません。

○柿澤委員 この支援機構法及び支援機構というのは、経産省が極めて密接なかかわりを持つ、こういうものになるかと思います。その上で申し上げたいというふうに思うんですけれども、先ほども、産業復興機構が中心になって、それができないところが支援機構に来る、そうすると、いいとこ取りで、支援機構はどうなるのか、こういう話が共産党の佐々木委員から出ておりました。
原案のまま法案が成立し、私たちも賛同する形でこの支援機構が立ち上がった場合、政府案よりも買い取り条件ははるかに上であるわけです。その後の債権放棄等の規定も整備をされているわけでありますので、私は、被災事業者の救済ははるかにスピーディーに、なおかつ踏み込んだ大胆な形で進むだろうと思います。
一方、そうだとすると、使い勝手の悪い政府案の産業復興機構のスキームは使われないままになります。そうなると、先ほど言ったように、二千億円は手つかずになって、そして事業仕分けの国庫返納を免れた二千億円を再度国庫に返せということになる。それが嫌だから、参議院可決法案を修正して、二十三条、二十七条を骨抜きにして、両機構の買い取り条件を並べる、そして融資の機能を限定する。これなら、産業復興機構の方が使われるようになる、経産省が事業仕分けから守り抜いた中小企業基盤整備機構の二千億円を国庫に返さないで済む。さらに、今回の支援機構設立で経産省の権益がさらに拡張するようになる、こういうことじゃないんですか。
こうなると、私、現政権は被災者よりも霞が関の利益を代弁しているのか、こういうふうに言いたくなってしまいます。この件について御答弁がもしあれば、反論で結構ですので、御答弁ください。

○近藤(洋)委員 賢明な柿澤議員の御指摘ですが、そのようなことはないと認識をしております。
現地の中小企業をいかに救うかということは、所管でいえば経済産業省の中小企業政策の大きな柱でありますから、そこに商工会議所、商工会等々と連携をしていくということはごくごく自然のことであろうかと思いますし、したがって、現在、法案の成立を待たずに各県において今準備が進み、岩手ではもう進んでいる、こういうことだろうと思います。
何も、必要がなければ国庫に返納すればよかろうと思いますが、新しい機構においても五千億円、枠を獲得している、こういうことであります。この二千億円についても、ある程度の枠ということで、今ある機構と新たな機構で合計七千億の枠ということであります。公明党さんにおかれては一兆円以上という御主張もございました。そこまではいかなくても、今の二千億と、加えて十分な額が確保された、このように思っておりますし、もちろんこれが使われないということになれば、これはお返しすればよろしいでしょうけれども、少なくともここ一、二年はこの枠を用意して、万全を期すということが現地の被災者の方々にとって心強い柱になるのではないか、このように考えております。

○柿澤委員 三〇%に減価をした債権を三〇%という適正な時価で買い取りますよというと、簿価と時価の差額が損失として顕在化をして、含み損が露呈をしてしまう、こういうことになってしまう以上、私は、銀行が進んでこのローン債権を買い取りに申請をしてくる、こういうことにはならないのではないかということを大変強く危惧しているわけです。結果として、それが影響をして、今の産業復興機構はいまだ買い取り実績ゼロ、こういうことになっているのではないかということも指摘をしているわけであります。
私は、こういう修正を結果としてするわけですから、これは最終的には歴史的な評価になりますけれども、しかし、今、近藤委員が御答弁をされた、この御答弁の重さをよくよく御認識されて、被災者のため、被災事業者のためにこの法案が本当に役に立つんだと、胸を張ってこれからも御主張されるべきだというふうに思います。私たちは、その点について大きな懸念を持っておりますので、これからも警鐘を鳴らし、そしてしっかりと被災者のためになる法案を今後も参議院で提出してまいりたいと申し上げて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

○古賀委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
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○古賀委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木憲昭君。

○佐々木(憲)委員 東日本大震災事業者再生支援機構法案は、もともと参議院で自民党などの野党によって提出されたものであります。その後、参議院で、みんなの党の提案による修正も行われ、我が党も積極的に意見を述べ、原案及び修正案に賛成をいたしました。それが可決されて衆議院に送付されたわけであります。
政府の二重ローン対策は、なりわいの再建を望む多くの被災事業者、とりわけ中小零細業者を救済するには不十分であり、この支援機構法案による抜本的な改善が期待されたのであります。
ところが、衆議院では民主、自民、公明の三党だけで修正協議に入り、参議院で改善した修正部分をもとに戻してしまったのであります。三党だけで決めて国会に押しつけるやり方は、断じて許されません。
以下、本修正案によって後退した部分の問題について述べておきます。
第一に、買い取り価格の問題です。
参議院送付案では、時価との比較で発生する差額の損失部分を債務免除する義務規定であったのが、できる規定に修正され、債務者の負担が残る内容に後退しております。修正案では、そのかわり、関係金融機関による二次ロスのシェアリングが盛り込まれていますが、再生開始の段階で、債務をできる限り減額もしくは免除する方が事業再生に資することは明白です。
第二に、機構の債権買い取りから一定期間がたったときの事業再評価で、返済猶予や債務免除の規定があります。これは、義務規定から努力規定に、明らかに後退していると言わざるを得ません。
その他、新規融資の問題や、産業復興機構と支援機構とのすみ分けの問題など、事業の継続と再建にとって不十分な点が少なくありません。
このような後退はまことに残念であり、今後の運用段階等でさらに改善すべきであります。
本制度が、政府の対策では救済できない事業者を救済する仕組みとして、前向きに活用されることを強く求めるものであります。その立場で、本修正案には賛成をすることといたします。
以上です。

○古賀委員長 次に、柿澤未途君。

○柿澤委員 みんなの党を代表して、ただいま議題となっております株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案に関して、参議院可決法案、原案に賛成、民自公ほかより提出されました修正案には反対の立場で討論をいたします。
この法案、もともとは、みんなの党を含む参議院野党が提出をし、参議院において可決したものであります。みんなの党は当初から、被災地の被災事業者の余りにも過酷な二重債務の負担を国の責任で抜本的に軽減するために、徳政令という言葉まで使って、思い切った策を求めてまいりました。
そして、参議院段階では、きょう答弁者として出席した我が党の桜内参議院議員の粘り強い交渉もあり、機構による債権買い取りに当たって、買い取り価格を、適正な時価によるが、震災直前の債権価額に、被害状況に応じて支援基準で定める割合を乗じて得た額を基本とすると、被災事業者の再生に配慮する二十三条の条文を盛り込むことができました。
加えて、二十七条では、機構による買い取り債権の処分に当たり、買い取り価額が債権額を下回る場合、当該事業者の債務の免除をする債務免除の規定を設ける。そして、保証人の担保の解除や債務保証の負担軽減の規定を設ける。第一条の「機構の目的」にある債務負担の軽減の観点から、非常に踏み込んだ条文を盛り込むことができたわけであります。
ところが、こうした、私たちが被災者、被災事業者の再生に資するような工夫に工夫を重ねた参議院可決法案の条文が、今回すべて、削除されるか、努力規定、できる規定に格下げされてしまいました。特に、二十三条の債権買い取り価額については、今も全く機能していない政府案の産業復興機構と同じように、適正な時価を上回ってはならないとされてしまいました。加えて、将来生じ得る二次ロスについて、銀行に損害担保契約、ロスシェアリングを求める条文まで盛り込まれております。
このような形で仮に株式会社東日本大震災事業者再生支援機構をつくったとしても、同じように機能しない既存の産業復興機構に屋上屋を重ねるだけで、債権買い取りは進まず、被災事業者の救済にならない。このような、原案とかけ離れた、全く骨抜きの内容になってしまっております。
なぜそうなったんでしょうか。結局は、債権買い取りや債務免除が進んで財政負担が膨らむのを恐れる財政当局の利害を優先し、被災者、被災事業者の二重債務の負担軽減を後回しにしている、そういうことなのではないでしょうか。これでは、だれのための法案修正か、全くわかりません。
そして、参議院ではともに提出会派だった自民党、公明党等、野党の皆さんに、この修正案で本当に二重ローン対策になるんですか、債権買い取りが進むんですか、このことを極めて残念に思っております。そのことを付言を申し上げさせていただいて、修正案には反対させていただくことを改めて申し上げまして、討論を終わります。

○古賀委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○古賀委員長 これより採決に入ります。
第百七十七回国会、参議院提出、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、近藤洋介君外七名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕

○古賀委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕

○古賀委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
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○古賀委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、近藤洋介君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党、社会民主党・市民連合、国民新党・新党日本及びたちあがれ日本の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。谷公一君。

○谷委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。
株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
一 本支援機構と各県の産業復興機構とのすみ分けに関し、各県の産業復興機構は各県が実情に応じて支援対象を決めており、その整理を尊重すること。また、支援機構の債権(リース債権及び信用保証協会等の求償債権を含む。)の買取業務の対象は、各県の産業復興機構による支援の対象とすることが困難なものとし、小規模事業者、農林水産事業者、医療福祉事業者等を重点的に対象とし、各県の産業復興機構と相互補完しつつ、支援の拡充を図ること。
二 支援機構は、被災した事業者の事業の再生に資するよう、各県の信用保証協会等が対象事業者の債務の保証に基づき取得した求償権についても、その買取りに努めること。
三 信用保証協会等は、支援機構による買取り申込み等の求めに応じるよう努めるとともに、当該対象事業者に対する新たな資金の貸付けについて、民間金融機関が自らの責任でも貸付けを行う際には、当該対象事業者への資金の供給が円滑に行われるよう、当該対象事業者の資金の借入れに係る債務の保証を行うよう努めること。
四 支援機構は、債権の買取り並びに当該債権の管理及び処分(債務の免除、弁済の猶予等を含む。)に当たっては、被災した事業者の債務の負担を軽減しつつその再生を支援するという本法の目的を十分に踏まえて行うこと。
五 支援機構の本店所在地については、本法の対象事業者が東日本大震災によって過大な債務を負っている事業者であり、その債務負担の軽減と事業の再生支援が早急に求められていることに鑑み、これら事業者にとって利便性の高い地域となるよう検討すること。
六 政府保証枠を含む予算措置については、支援機構の成立までに、予備費の活用などにより責任を持って対応すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

○古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕

○古賀委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。平野国務大臣。

○平野国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。
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○古賀委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十分散会