180-参-法務委員会-009号 2012年07月26日

○委員長(西田実仁君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、上野ひろし君、江田五月君、溝手顕正君、中村哲治君及び有田芳生君が委員を辞任され、その補欠として桜内文城君、森ゆうこさん、古川俊治君、谷亮子さん及び難波奨二君が選任されました。
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○委員長(西田実仁君) まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(西田実仁君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に丸山和也君及び桜内文城君を指名いたします。
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○委員長(西田実仁君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
裁判所法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務大臣官房司法法制部長小川秀樹君、法務省民事局長原優君、法務省刑事局長稲田伸夫君及び文部科学大臣官房審議官常盤豊君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(西田実仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(西田実仁君) 裁判所法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。

○小川敏夫君 法科大学院の教育の充実という観点から質問させていただきます。
充実させるためには様々な取組があると思いますが、その中で一つだけ今日は取り上げさせていただきます。分かりやすく言いますと、学生の数と指導する先生の数、これは先生の数が多ければやはり教育の質は深まると思うんですが、まず、現状、どのような先生といいますか教員ですか、この配置基準になっているのか、概略説明してください。

○大臣政務官(城井崇君) お答え申し上げます。
法科大学院の教員数につきましては、法令におきまして、通常の修士課程で必要とされる研究指導教員の一・五倍の教員の配置が義務付けられておりますのと、それから専任教員一人当たりの学生の収容定員の算出におきまして、通常の修士課程は二十人までとされているところに対しまして十五人までと少なめにされておりまして、充実した教育体制が求められているというところでございます。

○小川敏夫君 一学年の定員が、生徒が六十人までを基準として教員が十二名と、以後それを超えて学生数十五名ごとに教員が一名というふうに昨日ちょっと聞いたんですが、どうもやはりこれまでの、司法試験受かった後、二年間で司法修習を行うというこの司法修習の期間を、直前は一年半だったんですが、これを更に一年として短くしたと。そうしたことに代わるものとして、ロースクールで十分なトレーニングをしてもらいたいという趣旨からすると、やはり教員の数を増やして、受け持つ学生、教員一人が持つ、受け持つ学生の数は少人数にしてきめ細かい教育をしてもらいたいと思います。
ですから、今言われた基準は、ほかの大学院との比較で云々ということではなくて、やはり法科大学院は法科大学院としてより良き法曹を輩出できる、そうした教育を充実していただきたいと。そういう意味で、学生数に対する教員の比率もより教員が多くなるように努力してもらいたいというふうに私は希望しております。
それについて一言感想をいただいて、今日の質問は終わります。

○大臣政務官(城井崇君) 今委員からもお話しいただきましたけれども、このいわゆる設置基準というところは最低限の基準だというふうに思っています。今、各法科大学院におきましても、自主的にそれを超える専任教員の配置というものが行われておりますけれども、そこだけに甘えられる形ではないというふうにも思っています。特に、中教審の法科大学院特別委員会の提言におきましても、この教員の質という意味では更なる改善も求められておりますので、そうしたところも踏まえまして更に努力をしてまいりたいというふうに思います。

○小川敏夫君 終わります。

○古川俊治君 続きまして、自由民主党、古川俊治の方から質問をさせていただきます。
大臣に伺いたいんですが、現在のこの法曹養成の在り方、法科大学院からの司法試験の合格率の低迷、あるいは志願者の減少、そして新人の弁護士の大変な就職難、様々な問題点が指摘されていることは十二分に御存じだというふうに思っております。
この法曹養成全体の在り方について早急に見直さなきゃいけないというのは、これはもう与野党一致した考え方であると思いまして、今検討がされているところだと思います。平成二十二年十一月二十四日、衆議院の法務委員会の附帯決議で、法曹養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずることとされております。ここにおきまして、大臣も前向きに検討するというしっかりとした御発言をされているということであります。
しかしながら、平成二十二年七月六日、法曹養成制度に関する検討ワーキングチームにおける検討結果というやつで、取りまとめというやつですね、それから本年の五月十日に出ています法曹の養成に関するフォーラム論点整理、取りまとめというやつですね。この二つを比べて、これはもう二年近くたっているんですが、ほとんど同じような意見がただただひたすら羅列してあるだけなんですよ。全くその結論を出そうという向きが見えないんですけれども、私の目からは。これはいつまでに結論を出されるんですか。

○国務大臣(滝実君) 現在行われております法曹養成フォーラムの五月十日の論点整理について御紹介がございました。
これは今まで法曹フォーラムとして議論をしてきたことを論点として網羅的に取りまとめたと、こういうことでございまして、今後の問題としては、衆議院の法務委員会の附帯決議にございますように、新たな体制で合議体制をつくり直して、ここで更に議論を煮詰めると、こういうことでございますので、この附帯決議の趣旨を体して、この参議院の法務委員会におきましても、この裁判所法案との関連で改めて新しい体制を発足させて結論を出していきたい、これが現在の状況でございます。

○古川俊治君 だから、私が言っているのは、いつまでにやるんだと言っているんですよ。いつまでにやるんですか。

○国務大臣(滝実君) 示されているのはおおむね一年以内と、こういうことでございますけれども、基本的にはできるだけ早く、既に第一ラウンドの論点整理がまとまったところでございますので、それを踏まえて新しい合議体制で更に煮詰めていくと、こういうことでございますから、できるだけ早くというふうに考えております。

○古川俊治君 それは本年度内ということでよろしいですね。一年以内ということですから、もう五月の論点整理ですからね。少なくとも本年度内ということでよろしいですね。

○国務大臣(滝実君) 基本的にはそういう方向で認識をさせていただいております。

○古川俊治君 昨年にもこの法曹養成については取りまとめをしておられまして、法曹養成に関するフォーラム第一次取りまとめというやつですね、平成二十三年八月三十一日のものでございますけれども。
それを拝見しますと、最後のところに、法曹養成に関する制度の在り方については、この一番最後のところですけれども、いろいろな意見が述べられているって書いてあるんですよ。これらの意見を踏まえ、法曹の養成に関する制度の在り方について今後も更なる検討を続けるというふうに書いてあるわけですね。それが二十四年になってもまだ続いているということだと思うんですけれども。
私、これを見ていて、実は修習生の給費制か貸与制かの問題ですね、これ実際にいろんな意見が出ているんですよね。貸与制は本人の自己負担である点で奨学金や教育ローンと同種のものであり、貸与制の下で修習専念義務という公務員同様の厳しい規律を課して司法修習への専念を求めることは著しい不正義である、こういう指摘がされていますよね。
それから、司法制度改革審議会の意見書においては、従来からの司法関連予算の枠にとらわれない措置を求められていることからも、財政負担の増大を理由に給費制が廃止されるべきではない、新たな法曹養成制度の様々な問題点が指摘される中で、司法制度改革において議論済みとして終わる課題ではない、平成二十二年に司法試験合格者三千人にするという政策目標や法科大学院の教育及び定員の在り方などの法曹養成全体についての見直しの議論が本フォーラムにおいて結論を見るまでは、経済的支援の在り方には結論を出さないべきだと、給費制維持しろと言っているわけですね。
これはいろんな意見が出ているんですよ、まさに。法曹養成の全体の在り方にはいろんな意見が出ているからまだ先延ばしして議論しますよと。貸与制か給費制の問題については、これは議論、決着を付けるという話ですよ。これはどういうふうに、それはいろんな意見が出ている中でこの取捨選択はどうやって行ったんですか。

○国務大臣(滝実君) 今の貸与制、給費制の問題が急を要すると、こういうことで昨年の八月末に法曹養成フォーラムで貸与制でいくと、こういうような結論が出たことは委員御指摘のとおりでございます。したがって、今の段階では、更にこの裁判所法の改正に関連いたしましてもう一度この問題を国会の中で議論を続けていくと、こういうことに今なっているわけでございまして、したがって、改めて、この貸与制、給費制の問題は次の合議体制の中でも議論を続けていくと、こういうことになろうかと思うんでございます。

○古川俊治君 現に、だけど、この法案は給費制から貸与制にするという法案でしょう。どうなんですか。これは一個、一つの法案としてまとめられているじゃないですか。何でそれだったら法曹養成全体の在り方についての法案が出てこないんですか。同じですよ、いろんな意見があるのは。そこを集約されているでしょう。そのことについて言っているんですよ。

○国務大臣(滝実君) そういうことも含めて、昨年の八月三十日に、当面の問題として貸与制どうするかと、こういうことでもあったものですから、法曹養成フォーラムとしてはそういう観点からの結論を出した。したがって、政府としてはその結論に従って現在の法案をお出ししていると、こういうことでもございます。

○古川俊治君 私が言っているのは、両方ともいろんな意見があったわけですよね。片っ方を結論を出して、片っ方を出していないんですよ。だから、おかしいと言っている。なぜかって合理的な説明をしてくださいよ、ちゃんと。

○国務大臣(滝実君) そこのフォーラムでも指摘しているわけでございますけれども、この貸与制の問題は全体の問題とは一応別問題として切り離して議論をすると、こういう前提を取っているものですから、政府としてはその結論に従って法案の用意をしてきたということでございます。

○古川俊治君 これ、政府の審議会だからあなたに答弁する義務があるわけですよね。何で別問題なんですか。ちゃんと説明してください。私には全く別問題と思えませんし、別問題じゃないと言っている人はたくさんいますよ、このフォーラムの中でも。

○国務大臣(滝実君) 基本的には、繰り返しになりますけれども、衆議院の法務委員会の決議によりまして、昨年の十月のことでございますけれども、必要な措置を講じると、こういうようなこともございますし、そんな中で速やかに検討を行うんだと、こういうようなことが求められてきたものですから現在のような法案を提出させていただいていると、こういうことでございます。

○古川俊治君 説明になっていないんですよ。ここで言っているのは、法曹養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加えろって衆議院言っているんですよね。貸与制か給費制の問題について、とりわけそこだけ結論出せって、何にも言っていないじゃないですか。全体について速やかに結論を出せと言っているんですよ。言っていることが違いますよ。もう一回、説明してください。別問題じゃないですよ、これは。

○国務大臣(滝実君) 委員の御指摘は、別問題ではないと、こういうことでございますけれども、基本的には、貸与制の問題が緊急の課題として取り上げられてきた、こんな経緯がございまして、政府としてもその要請に従って法案の提出をしてきたと、こういうことでございます。

○古川俊治君 何で貸与制か給費制の問題が、これは緊急の問題なんですか。私には法曹養成全体の在り方だって大変緊急の問題に見えますよ。現に司法試験に受かって司法修習終わった人たちの二割が就職できないんですよ。こういう状況にあります。それは緊急じゃないんですか。

○国務大臣(滝実君) もちろん、どれが緊急でどれが緊急でないとも言えない問題でございますけれども、とにかく、出発点として十一月から始まる新たな司法修習生に向かっての時期的な議論がございまして、そういうところで貸与制の問題ということで出発をしたということでございます。したがって、全体の話は引き続きその中で議論をしていくということには変わりはないわけでございます。

○古川俊治君 説明になっていないんですよ、全く。
私が聞いているのは、何で別問題かと言っているんですよ。ちゃんとした説明をしてください。理解できないです、あなたの言っていることは。

○国務大臣(滝実君) 基本的には、昨年の十一月以降は従来の給費制というような問題が切れてしまう、こういうようなことがあってこの貸費制の問題がそこで緊急の課題として浮上してきたと、こういうことでございます。

○古川俊治君 大臣分かっていらっしゃらないんで私は伺いたいんですけれども、この給費制か貸与制の問題って何で出てきたか御理解されていますか。何でこういう話になってきたのか。
元々裁判所法には司法修習生という、これはまさに司法業務というものに就く特殊性に鑑みてこの給費制というものがまず出されたわけですよね。それはまさに修習専念義務と一体のものとして、専念させる以上、給費を払わなければこれはまずいということで出ているわけですよ。しっかりコンメンタールにも書いてありますよ。何でそれなのに貸与制の問題が出てきたのか。何でですか。

○国務大臣(滝実君) これは委員御指摘のとおり、新しい法曹養成の制度設計をする際に、従来の司法修習ということではなしに、基本的には法科大学院によって基本的なことを更に研さんをしてもらう、そういう中で司法修習制度も併用させていく、これが出発点であったかと存じます。その段階で、司法修習制度を併用するについても、その当時の議論としては給費制から貸与制に切り替えるんだと、こういうような制度をその中に新しい制度として仕組んだものですから、これが十一月段階で緊急性を帯びた問題として、現実の問題として浮上したわけでございます。

○古川俊治君 だから何で、私が聞いているのは、それは、問題が浮上したというのは、あなた分かっていないんですよ。
何でかというと、財政負担が大きくなるからなんですね、これ。財政負担にもう耐えられないから困ったという話なんですよ。言ってみると、法科大学院をつくるからそこに支援をすると。今、百億円ぐらい支援しているんですよ。人数が増えるんですよ、修習生の。だからまた財政負担が増えるんですよ。まさにこれ、この司法改革の一体の中で給費制というものが取り扱われているんですよ。本来は給費制にしなければこの特殊性を維持できないんだけれどもしようがないと、財政負担が大きいから。それはまさに全体の話ですよ、これ。今、司法修習生に出されている給費、こちらの方は総額で年間六十億から八十億ぐらいですよ。法科大学院に援助しているのはイーブンかそれより大きいですからね。これ全く切り離して論じられる問題じゃないですよ、どう考えても。そのことについて全く御理解がないというのは今日よく分かりました。
これは話にならないですから、もっと真剣に考えて、早く一元化をした、全て、司法修習の在り方全体について結論を出して、そのときにもう一度貸与制か給費制の問題をしっかり議論してください。このことについて御答弁お願いします。

○国務大臣(滝実君) 当然、この法曹制度を変えるときに財政的な問題からこういうような制度が仕組まれたということでもございます。今委員御指摘のとおり、当然新しい合議制の中でこの問題は改めて議論をしていく、こういうことでございます。その考え方は十分に考慮してやってまいりたいと思っております。

○古川俊治君 それで、これで貸与制にされるということになりますと、いよいよ司法修習生は一銭も給費を受けないという中で修習しなきゃいけないわけですよね。
一般的に考えて、給費制を廃止をするという意見の中に、公務員でなく公務に従事しない修習生に対する給費の支給が異例であるというふうに言われていたということがあるんですね。司法修習生は確かに公務員ではない。それに対して給費をなぜ配るのかということになれば、これについて逐条解説によりますと、これは修習専念義務を課しているからだと、まさに一体のものとして考えられているわけですよね。今回、もし貸与制にするのであれば、これ当然修習義務もまた違ったものと考えなきゃいけないわけですけれども、仮にこれ、兼業を禁止したままということになりますと、大変な不正義になると思います、私はね。
一つちょっと大臣に伺いたいんですが、公務員じゃなく公務に従事しない一般市民に対して一銭の給付もせずに仕事を禁じるというのは、ほかにどういう例がありますか。

○国務大臣(滝実君) 特にほかの例としては、私の方は承知をいたしておりません。

○古川俊治君 これは質問通告して、恐らくお調べになったんでしょうから。これは、だからないんですよ。これ、基本的人権の侵害ですから。それを何でやるんですか。
この場合は、司法修習生、ちゃんとアルバイトもしていいんですね、だって一銭ももらわないんだから。答えてください。

○国務大臣(滝実君) 制度設計としては、アルバイトも禁止をされているというのは従来の給費制の制度をそのまま踏襲しているわけでございます。その代わり、貸与制度で優遇措置を講じると、こういうことでその辺のところを解決しようとしたのが当初の制度設計でございました。

○古川俊治君 先ほどのフォーラムでも言われていますよね。これ、修習専念義務を付けて、全く仕事をせずに、とにかく借りてずっといろというわけですからね。
これ、じゃ、伺いますけれども、修習をしっかりやることは、法曹としての資質を身に付けるというのは私も必要だと思います。ただ、関係ない時間、土日あるいは時間外、これ何でアルバイトをしちゃいけないんですか。合理的な理由を述べてください。

○国務大臣(滝実君) そこまで制度設計をしたときに議論はいたしておりませんので、その辺の理由を合理的に説明するのは、当時から議論をされたというのは私は承知をいたしませんので存じませんけれども、アルバイトをするだけの時間的余裕がなかったということも恐らく判断の理由ではなかったかというふうに推測はいたしております。

○古川俊治君 アルバイトする時間がないんですか。今、司法修習生、何やっているか御存じですか。土日あるいは時間外、何やっているか御存じですか、言ってみてください。

○国務大臣(滝実君) 修習生が土日、何をやっているかということは、私も存じておりません。

○古川俊治君 就職活動ですよ。だって、すぐ就職できるかどうか分からないんだもの。毎日のように事務所に訪れて、私を採ってくださいとお願いしているんですよ。これ修習ですか、関係ないでしょう。それはまさにこの制度の、劣悪な制度がつくり出した弊害なんですよ。そうしなければ自分たちの職場がないんですよ、将来の。そういう環境に置かれているんですよ、修習生は。それで修習専念義務って、アルバイトしちゃいけないってよく言えますね。全く修習なんて関係ないじゃないですか、その時間は。
本来、修習専念義務という下に置かれて修習をしっかり、資質をちゃんと身に付けて、そして試験に受かって、そして巣立っていってちゃんとした仕事をすると、法曹として。そのときに、時間外で何をしていようと関係ないんじゃないですか。

○国務大臣(滝実君) 委員のそういう御指摘はごもっともだと思いますけれども、基本的にそういうことも含めて兼業禁止というのを従来から踏襲していると、こういうことになっているわけでございまして、そこのところの説明というのはなかなか難しさが残っていると思います。

○古川俊治君 先ほどちょっとおっしゃいましたけれども、検討していないという話ですね、そこのなぜかということは。いかがですか。

○国務大臣(滝実君) 制度設計するときの議論が特に設定をされていないということもこれあり、その辺のところはその後も検討をしておりません。

○古川俊治君 だから、検討してこなかったんだから、これだけ不正義になってしまって、そういう指摘もあると。今、実際土日やっていることというのは全く修習と関係ないことだという実態を踏まえてこれは議論してくださいよ、このフォーラムの中で。いかがですか。

○国務大臣(滝実君) 委員の御指摘でございますから、当然そういうここの委員会で出された議論というものを踏まえた議論はこの中でやっていくということになろうかと思います。

○古川俊治君 そうですね。だから、今後の議論については修習専念義務、この在り方を含めて、これがあるかないかも含めてしっかり議論をしてもらう、これは非常に大事なことだと思うんで、是非指摘しておきたいと思います。
それで、一つちょっとこの紙を見ていただきたいんですが、私の資料でありますけれども、実は兼業を認めている例が幾つかあるんですよね。報酬あり、これは予備自衛官、これはもう認められています、報酬ありね。それから、不動産の賃貸借、こういうの認められているんですよね。これ、報酬があってまさに兼業やっているんですけれども、何でこれらは認められているんでしょうか。御説明をお願いします。

○最高裁判所長官代理者(安浪亮介君) お答えいたします。
委員のお求めがございまして、手元にありました資料を取り急ぎおまとめしたのが以上のものでございます。
先ほど来委員の方からお話がありましたとおり、修習専念義務が課せられている下では、兼業、兼職が認められるというのはごく限られた例外でございます。ここにありますものは、例えば修習専念義務に違反しない、あるいは実際の修習に支障のない行為につきまして認めてきているものでございまして、例えば不動産の賃貸ということの例で申し上げますと、これは親族や管理会社にその不動産の賃貸業務を任せておりまして、実際、実質的な業務を行っていないというものでございます。それから、会社の役員の例がございますけれども、これはいわゆる同族会社でございまして、当該修習生のほかに役員となる者がいないなど役員の兼職を必要とする切迫したような事情があったというふうな場合でございまして、個別に必要性を吟味した上で、ケース・バイ・ケースで判断しているものでございます。

○古川俊治君 安浪さんは私が修習しているときに大変お世話になったので言い難いんですけど、私はこの例で、報酬なしで医者として研究をやらせてほしいと言ったら禁止されたんですよね。まさに私が手術したがんの患者さんのフォローアップをしたい、経過観察をしたい、自分が責任を持って手術をしたから、そう言ったときに断られたんです。それは土曜日の午前中にやるということだったんですけどね。これを見ると、何か医療法人の理事やっている方までいらっしゃったんですね。
これは、同族会社とか医療法人の理事なんて、無償報酬って言っていますけど、簡単に、これ同族でやっていますから、将来に給料引き延ばせるんですよ、それだけためておいて後で配付すればいいだけの話ですから。報酬なしといったって何の意味もないんです、こんなの。皆さんだって見ていないわけでしょう、別に土日、時間外何やっているか。一生懸命これに精出しているかもしれないじゃないですか。全く合理性がないんですよ、だから、皆さんが言っている、やっていることが。だから、一部の自分たちの目の掛けている生徒には認めてあとの雑魚は要らないと、私は雑魚だったわけですけれども、そういうふうに思うんですよ。だからこれ出してもらったんですよ。
これ、修習専念義務を掛けている、報酬があっちゃいけないということなら、一部でも報酬があっちゃおかしいんですよ、不動産賃貸だって。ほかのことやっちゃいけないんだったら、無報酬だってこんな理事なんてやる必要ないわけです、理事会出なきゃいけないんですから、理事だったら当然。それから考えれば、どうやったって説明が付かないんですよ、こういう抜け駆けがあるということは。
だから、修習生、禁止しているというのはおかしいですよね。禁止されていないじゃないですか、実際。大臣、どうですか。

○国務大臣(滝実君) 今、最高裁の方から資料とともに御説明がございましたけれども、この辺のところは当初そういうような具体的な例をもって議論した形跡がないものですから、実際の運用の中で少し開いているのかなと、こういうような感じとして受け取らせていただきました。
いずれにいたしましても、これは委員の御指摘のとおり、今後の問題として議論は尽くしていかなければいけない、こういうふうに思います。

○古川俊治君 じゃ、しっかり議論して、これも合理的な結論、まさに司法修習生の人権にかかわることですので、法務大臣として責任を持って議論していただきたいと思います。
もう一つ重要な点を指摘しておきたいんですが、私、法科大学院で現に教鞭を執っております。司法修習の、今の法曹養成の現状について国会議員としては一番理解している一人だというふうに認識しておりますけれども、私が一番懸念しているのは、やはり今司法をつかさどっていく、今後の日本の司法を動かしていく法曹の質の問題であります。やはり、そこでしっかりとした質の高い法曹を生み出してこそ初めて国民の負託に司法界がこたえられると、こう考えておりまして。
ちょっとこの司法修習生考試に関する資料という方を見ていただきたいんですけれども、この不合格数、この司法修習生考試というのは、ここにもたくさん法曹の先生方いらっしゃいますから御経験あると思うんですけれども、いわゆる二回試験と言っていまして、司法修習所の卒業試験のことであります。これに受からないと司法修習を終了したことにならず、法曹としての資格を得られないわけですよね。
一般的には、普通にやっているとほとんど受かります、この試験は。見ていただくと、従来そうだったですね、〇、〇、〇、四、一、一。五百、六百、七百に対してその程度の数字ですから。よっぽどできないと、私も医者でございますけれども、誤って、薬の名前を間違っちゃって人を傷つけちゃうと、こういうような事例が平気で起こらない限りは大丈夫なんですよ、この試験は。
ところが、ずっと見ていくと、一番気になったのは、千を超える辺りから、千百八十三ぐらいに応試者がなった辺りから急増しているんですね、これ、どんどんどんどん。この試験に受からないということは、まさに司法試験もフロックで受かってきたんじゃないか、偶然に受かっちゃったと。そういうことも疑われるような方々なんですね、正直言って。これがこんな割合に増えているということに非常にこれは懸念を持っております。
実際、この考試の不合格者がすごく多いということとともに、司法試験委員の中からは、現に司法試験について、こんな成績で本当に合格させていいのかという意見が出ている。それは法務省が方針で何人受からせるという話にしているからですよ。
この質の問題について、大臣、どう今御理解されていますか。

○国務大臣(滝実君) 私どもは具体的に試験を担当をいたしておりますけれども、今御指摘のように、いわゆる司法修習をして最後の仕上げをする際の第二回の試験、いわゆる二回試験の不合格者がこの新制度になってから数が増えていると、こういうことは大変懸念をしている材料だと思っております。
しかし、そういうことが出てきているということは、少なくとも司法修習を終えて本当に実務に就く人はそこでもってふるいを掛けられているというような最後のとりでは働いているんだろうと、こういうような理解をいたしてきたわけでございますけれども、少なくともこれだけの数字を見ると、制度のやはり何らかの欠陥ということは十分に認識をした上で対応をしていかなければいけないとは思います。

○古川俊治君 大臣、国会議員でも偶然通っちゃった、風でね、そういう人がいるでしょう。試験もそういうものなんですよ。だから、本来なるべきでない人がなっていると、こういう事例がたくさんあるわけですね。それはやっぱり危険なわけですよ。この合格率が落ちているということは、全体としてやっぱり偶然受かった人がいると、それが法曹に実際出ていって弁護をやるわけですよね。そのことを実際思いを致してください。これは政府の責任ですから。これはふるいが掛かっているなんていって、そういう御発言はやっぱり認識不足ですよ、正直言ってね。
現在、就職難の状況があるという中で、まさに就職できないから、都会においては、しようがないから修習終わった瞬間に地方に行って独立開業しようという人が出ています。これは即独というんですけれども。そういう人たちが出ていって、まさに地方で求められているのは広い領域の法務なんですね。だから、全く経験のない、実務経験をまだやったことがない、自分で責任を持って、そういう人が出ていってやっているのが現状なんですよ。
法務省にすれば、それは地方に新しい弁護士が来て開いてくれたんだから、これでニーズにこたえられるというふうに考えているかもしれませんけれども、こういった場合の質の問題というのを大臣考えたことがありますか。

○国務大臣(滝実君) 今、実際の実態の御指摘がございました。少なくとも司法修習のコースの中で、それぞれ裁判所で修習を受ける、あるいは検察庁で修習を受ける、弁護士事務所で修習を受ける、こういうことを経てきた人たちですからそれなりの最低の条件はクリアしていると、こういうことだろうと思いますけれども、今の御指摘の中でありましたように、すぐに単独の事務所を開くということになれば、それはそれなりの長短はあるんだろうというふうに思います。そういうことも含めて、やはり課題として検討をしていくべき話ではないかと思います。

○古川俊治君 弁護士の業務というのを一年とか二年で、それでできると思わないでいただきたい。これも大きな認識不足ですよ。どこでもそうですけれども、専門家というのはやっぱり五年、十年しっかりそこで実務を学んで、まさにトレーニングを仕事をしながらやっていくと、その環境がなきゃ駄目なんですよ。だから、元々法曹界の持っていた教育環境を超えた、これを超えた新人たちをつくり出した、これが元々大きな失敗なんですよ。このことについて全く御認識がないというのは非常に問題ですよ。だから、今の現状として、非常に質の十分でない方々がかなり独立開業しなきゃいけないと、これは大きなやっぱり国民に対しての問題を生じかねない、そういう状況になっている。これは政府がつくり出した本当に大きな失敗の元々なんですよ。
私は、司法界、確かに、合格率の不十分等あります、法科大学院の人数の問題、不合格者が増えている、いろいろ指摘されています。だけれども、一番本当に重要なのは、我々にとって、質の高い法曹をつくり出していくことなんです。これが国民にこたえる前提ですから。それを崩されちゃったことが一番大きいんですよ、皆さんによってですね。
結局のところ、今この二千人という数字をずっと変えていません、法務省は、ここのところ。これでも就職できない方がずっと出ているんですね。昨年度は修習終了の二割の方々が結局弁護士になる、法曹になるのを諦めたわけですよね。ずっと、長くても三年、四年、五年ぐらいはいますよね。だって、未修から入ってきて、そしてそのまま受かったってあと一年半修習するわけですからね。そういう方々がそこまでずっとやってきて、これずっと給料なしですよね、基本的には。まあ、修習生のころはアルバイトやったかもしれませんけれども。それでしているわけですよ、一応。
これ、大臣として、この就職難ということについて今後どうやって対応していくつもりですか。それがどうして効果があると思っていらっしゃるのか、ちゃんと答えていただきたい。

○国務大臣(滝実君) 基本的には、この制度設計するときに法曹人口を増やす一つの条件として、単なる従来の法曹界にとどまらず、社会一般に法曹の資格を持つ人がそれぞれ仕事を拡大していってもらう、これが前提条件であったわけでございますから、そこのところが必ずしも予定どおり迅速に社会全体が法曹を、資格を持っている人たちを受け入れるというところまではまだ成長していなかったと、こういうことだろうと思います。
しかし、当初の考え方はそれなりの考え方があったわけでございますから、こういうような経験をどういうふうに当面生かしていくかということに精力を注いで、当面のあるべき姿、今後のあるべき姿、こういうものについての方向性をきちんと定めていくと、こういうことが今求められているところだろうと思います。

○古川俊治君 具体的に何をやるのかという話をしたんですけれども、全く答えになっていないんですよ。要するに、今の現状はもうしようがないという今お話ですよね、このままほっとくしかないんだと。そういうことなんですか。

○国務大臣(滝実君) 数としてそんなに多くありませんけれども、例えば国家公務員においても、あるいは地方公務員においても、期限限定付きの任用ではございますけれども、少しずつ法曹資格者を受け入れるという方向には出ております。それから、従来、企業におけるスタッフとしても、今まではどちらかというと、当然のことながら大企業に偏っていた状況が、少しずつ中小企業の中にも法曹資格者を入れると、こういうような動きもあるやに見ておるわけでございまして、やはりそれなりに時間が掛かっていく、こういうことを側面で援助しながらやっていくということが当面の問題だろうと思います。

○古川俊治君 いずれにしても、企業で今社内弁護士を持とうなんていう企業はほとんどないんですよ。調査やっても、もう五%以下ですね。ほとんどニーズがないです。
元々公務員になろうと思って法曹になりたいと思うわけじゃないですから。我々が欲しいのは、本当に国民の司法ニーズにこたえていきたいと、そういう正義感を持った法曹ですよ。役人に取りあえずなればいいなんて、申し訳ありませんけれども、そういう方々を私たちは教育したくないです、正直言って。しっかりとしたやっぱり法の考え方に基づいた、そういった本当に志望を持った役人になるんだったらいいですけれどもね。それと、やっぱり最初からそこで少し採用することになると話が違います。
これはしっかりフォーラムで、今日お約束しました、年内に結論を出していただく。速やかに策を講じていただく。そして、その中で司法修習生の兼業の在り方もしっかりと議論をして、もう一度考えていく。このことだけはお約束していただけましたので、大臣、もう一度答弁をして、私の質問を終わりたいと思います。お願いします。

○国務大臣(滝実君) とにかく、新しい法曹が誕生してから、その今までの経緯を踏まえて、その上で今委員も御指摘されたような数々の問題にこたえていく、これが現在の課題ではないかというふうに受け止めさせていただいております。

○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。
この司法修習生に対する給費制また貸与制の話については、もうここ数年ずっとかかわってきているといいますか、やっているなとは思っておりまして、一年一年延ばしながらこの議論を進めてきたというような思いがございます。
今回の法案についても、衆議院の段階で与野党協議を行って成案を得たということは心から敬意を表したいと思いますが、もちろん我が公明党は、一旦給費制に戻して、そしてしっかり一年間議論をしましょうと、こういうような考え方に立った修正案を出させていただきましたけれども、次善の案として今送られてきた法案という形になっているところでございます。
ただ、いかんせん、受験生を含めて多方面に影響のあるこの法律案がこんなにものんびりしているといいますか、審議が余りにも遅れていることについて、心から私は遺憾の意を表明したいと思っております。
これ、衆議院で議論されたのが六月の頭でしたよね。それ自体が随分遅いなとは思いますけれども、そのとき大臣は小川先生だったわけでございますけれども、その後、補充質問でもう大臣が滝先生に替わっていたということもございます。
ここの委員会で、趣旨説明は会期延長前の六月十九日ですよ。もうあれから一か月たっているわけですよね。一体、政治の責任として、早く決めて、どうやっていくか、そして一年間集中して議論をしようという話になっていて、貴重な二か月じゃありませんか。七月、八月がもう目の前ですよ。これで受験生頑張ってくださいと言えるんですか。政治の責任として、私は与野党共にこの点大いに反省しながらこの問題について対処していきたいと、このように思うところでございます。
給費制から貸与制になったことも含めてだと思いますけれども、まず給費制廃止の影響等についてちょっとお聞きしたいと思いますが。
法科大学院への志願者、平成十六年は七万人を超えていたわけですけれども、どんどん減ってきて、今年の二十四年度ですか、もう一万八千人台まで減少しているわけですよね。これは、やっぱり法曹志願者の経済的負担が極めて高くなってきている。あるいは、当初もくろみのような、この司法試験の合格率が推移していないと。あるいは、先ほどもありました就職難だというようなこと。さらには、今も御答弁の中にありましたけれども、任官者の増員あるいは公務員や企業内弁護士等、必ずしも進出が順調に進んでいない。だから、余りにも法曹を目指す、人生懸けて法曹を目指すということは負担と危険が大き過ぎると、そういうふうに感じられているんではないのかなと思っておりますけれども。
まず、この法科大学院の志願者の減少していることについて、やはりこの給費制の廃止が大きいとは思いますが、法務大臣としてどのようにお考えになっているのか、御見解を承りたいと思います。

○国務大臣(滝実君) 基本的には、実際に、平成十六年からですか、やってみて、法曹を志す若い人たちに対して、やっぱり法曹というのはそれなりのリスクが多い、こういうようなことを自分の問題として感じ取ってきたこの十六年以来のことだったろうと思います。当初は大変バラ色の世界を夢見て志願した人たちが、その後の合格率、あるいは最近特に出てきた就職難の問題、こういうことで年々下がってきた。これについては、やはり社会全体がまだ多くの法曹資格者を受け入れるような基盤が日本ではでき上がっていなかったと、こういうことを反省せざるを得ないと思います。
しかし、そうはいっても、できるだけ法曹資格者を社会の隅々までやはり拡大をしていくんだという一つの理念というものは、それは大事にしていかなければいけないんでしょうけれども、やはり現実的な解決ということも考えていかなければいけない、これが受験者数のところに表れているというふうに思っております。

○魚住裕一郎君 それで、せっかく新しい司法試験に合格をしながらも、今度、司法修習に行かないで企業に就職するというような方も増えてきているようでございますけれども、これこそもろに、もろにといいますか、給費制の廃止の影響かなというふうにも思うわけでございますが、これは大臣はどういうふうにお考えですか。

○国務大臣(滝実君) それも今委員の御指摘のように、そういうこともないわけではないかとは思うんでございますけれども、せっかく司法試験、難関を突破して合格した人たちが法曹資格まではやっぱり持ってもらいたいというのが、この制度を考えた以上は当然の話、それがどこかで途切れてしまっているというのは大変残念なことだろうと思います。
昔も、司法試験合格者が実際に法曹資格を取る前に公務員になる、あるいは民間企業の法務スタッフとして就職する例はないわけではなかったと思います。今もそれは多少あると思いますけれども、やはり受かった人たちが法曹資格を持つまでに至っていないというのは、非常に社会的には残念だし、もったいない話だというふうには理解をいたしております。

○魚住裕一郎君 どの社会でも優秀な人材は一定数だと思うんですね。この司法制度改革を始めたころは、やはり事前規制型から事後救済に、もっと本当に融通の利く社会にしていこう、そのためには社会生活上の医者、医師としての法律家がどんどん増えなきゃいけないんだと。だから、優秀な人材が企業とか行政官じゃなくて司法の場に来てくださいと。しかも、一発試験じゃなくて、プロセスとしてしっかり教育を受けて、そういう法的素養がある方がいっぱい来ていただきたいというのが出発点のはずなんですね。
ところが、財政的な観点から給費制をやめてしまうみたいな話になってきて、人材こっちに来てくださいよとやらなきゃいけないのに、いや、金は出せませんよという話になってきちゃったというところが根幹の問題点ではないのかなとは思っておりますけれども、今大臣もおっしゃったように、せっかく合格しながら法曹になっていかないというのは、本当に社会的な人材をうまく活用していけないという、本当に日本にとってはゆゆしき問題だなというふうに思っているところでございますが、結果として、法科大学院、そしてまた司法修習に耐えられるだけの裕福な家庭の子女しか法律家になっていけない実態になってしまうんではないだろうか。
非常にそこを危惧をしておりまして、本来、士業一般そうでございますけれども、本当に困った人をどう手を差し伸べるかというのが、ある意味では専門家の集団ですよね。お医者さんもそうですよね、病気で苦しんでいる人をどう手助けするのかという。まさに法律家もそうだと思っているわけでございますが、そういう社会生活の痛みを本当に分かった人が法律家になっていかなきゃいけない。ある意味では、司法が弁護士を中心にしながら変わってきてしまうんではないのかと非常に危惧をするところでございまして、この点につきまして、大臣の御意見が、御見解があればお伺いをしておきたいと思います。

○国務大臣(滝実君) 委員が御指摘されておりますように、日本の場合には、外国のことはいざ知らず、明治以来、大変苦労をした中で司法試験に合格をして法曹として活躍をする、そういう人たちがかなり日本を支えてきたという歴史がございます。
そういう中で、今回の司法制度改革の中ではこういう法科大学院というところに集中をしてきたために、多少そういうところに配慮が足りなかったかなという問題がございます。そんなことを考えながら予備試験という格好でそれを補おうとしてきたのが現実の話でございますから、そういった日本のこれまでの法曹が果たしてきた役割、そして、今回の司法制度改革によって新しい法曹養成制度ができた中でも予備試験という格好で補充をせざるを得ない、窓口を開かなければいけない、そんなことを考えると、やはりもう少し現実に即した対応の仕方というものを検討していかなければならないというのは仰せのとおりだと思います。

○魚住裕一郎君 この給費制の問題、先ほど修習専念義務の話がございました。もちろん戦前の裁判官あるいは検察官、個別に修習していたところを、そうじゃないよと、一体で統一修習やる必要があるよと、そして専念義務を掛けて、そして給費を払うという形でずっと維持してきたものですよね。これを本当に変えてしまう、大事な制度だというふうに思っているわけでございますけれども、今も話がありましたように、やはり国としてこの司法分野についてしっかり取り組みますよという、その姿勢を表しているのがこの給費制かどうかということだと思うんですよね。
だから、敗戦後日本も、立て直すときに、統一修習やりながら司法の分野をしっかり重点を置いていく、さらに、私は、十年前の司法制度改革のときも、本当に司法国家といいますか、そういうふうに日本を変えていくんだという、そういう輝きといいますか、あったと思うんですが、それがどういうわけかこんなような状況になってしまった。だから、やはりもう一度、私はこの修習における給費制、本当に大事なものだと、もうこれは本来は戻す必要があるんではないかと思いますが、大臣の御見解はどうでしょうか。

○国務大臣(滝実君) 今委員がおっしゃるように、もう一遍給費制に戻したらどうかと、こういうことでもございます。
人材養成というのはお金の問題ではないことは分かっておりますけれども、司法制度改革全体を見ると、かなりの大金をこの司法制度改革につぎ込んできたというようなことも事実でございます。そういうことを考えると、どうするかというのは軽々に言えない分野がやっぱり残っていると言わざるを得ないと思うんですね。
法科大学院をつくることによってその法科大学院のスタッフの給与は国が持っている、負担金、補助金という格好で持っている、それからもう一つは、法テラスのように法律を利用できない人たちにそういう機会をつくっていく、そういうようなことをあれこれ考えますと、かなりの司法制度改革は思い切った国家財政をつぎ込んできたことも事実、そういうことも片や考えながらこれまでの経緯を踏まえた解決策を追求しなければいけないというようなことでもあろうかと思います。
しかし、人材養成というのはお金の問題には代えられないということも事実でございますから、そういう両方を併せた解決策をどこかでやっていかなければいけないというのは御指摘のとおりかと存じます。

○魚住裕一郎君 では次に、修正におきまして、連携法の一部改正ございますけれども、国民の信頼に足る法曹の養成に関する制度について、学識経験を有する者等により構成される合議制の組織の意見等を踏まえつつ、この法律の施行後一年以内に検討を加えて一定の結論を得た上、速やかに必要な措置を講ずる、こういうふうにされたわけでございますけれども、その合議制の組織、今まさにフォーラムというふうになっていますが、どういう関係にあるというふうに考えたらいいんでしょうか、修正案提出者にお聞きしたいと思います。

○衆議院議員(黒岩宇洋君) 今、魚住先生がおっしゃったように、修正案におきましては、新たなこの合議制の組織の意見を踏まえて検討を加えて、一年、一定の結論を得ることとしているとありますけれども、この合議制の組織については、まずは閣議決定に基づくものといたしまして、今先生がおっしゃられました、現在開催されております法曹の養成に関するフォーラムによる検討体制をより強力にして、そして新たに整備することを想定しているところであります。

○魚住裕一郎君 それで、また、修習資金の貸与について、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律附則第二条の規定による法曹の養成に関する制度についての検討において、司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から、法曹の養成における司法修習生の修習の位置付けを踏まえつつ、検討が行われるべきものとするということとされておりますが、要するに、検討する中で給費制に戻すということもあり得るというふうに考えていいわけですよね。提案者に確認したいと思います。

○衆議院議員(黒岩宇洋君) 給費制に戻すことを排除はしておらないと考えております。

○魚住裕一郎君 ありがとうございます。是非そんな観点で、この給費制の重要性に鑑みて議論をしてもらいたいものだというふうに思っておりますが。
仮に給費制に戻すといった場合、既に貸与を受けている修習生についても、これは、既に一方は貸与されて返さなきゃいけないということを考えると、遡及して公平、平等な支援を行うということを検討する必要があるんだと私は思っておりますけれども、この点につきまして、黒岩先生、また法務大臣にも御見解を伺いたいと思います。

○衆議院議員(黒岩宇洋君) 先ほど答弁いたしましたように、この修習資金の貸与制を給費制に戻すことを排除はしておりませんし、また、その場合におきまして、既に実施されている貸与制について遡及的に給費制と同等となるような措置をとることなどについても、これも検討対象から決して排除されるものではないと考えております。

○国務大臣(滝実君) 法務省としてはそういう理念的な排除はしないということでございますけれども、実際にどういう手続をするかというと、それなりの難しさは必ず伴うだろうと思います。
貸与制を全員が受けていて金額も一緒、同じ金額であれば一律に遡及適用ができるかもしれませんけれども、その辺のところが、実際に貸与を受けていない人、あるいは金額がまちまちだというところを具体的にはどう調整するのかなという問題は最後に残る問題としてあるように思います。そういうことも含めて議論をしていかなければいけないと思います。

○魚住裕一郎君 終わります。

○森ゆうこ君 国民の生活が第一の森ゆうこでございます。
法務省及び最高裁とは結構関係があるかなと思っていたんですが、法務委員会で質問をさせていただくのはこれが初めてでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、法務大臣にお聞きをいたします。
目指すべき法曹人材について、法務大臣はどのような御見解をお持ちでしょうか。今既に法曹資格を持っていらっしゃる、もちろん法務省の方たちの中にも法曹資格を持っている人と持っていない人がいるわけですけれども、多くの方が法曹資格を持っていらっしゃるわけでございまして、今何が一番欠けているというふうに思われますでしょうか。目指すべき法曹養成のために、養成機関に対して何を求められるのでしょうか。また、既に法曹資格を持っていらっしゃる人たちに対して、資質向上のために法務省としてはどのように取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

○国務大臣(滝実君) これは文科副大臣をやっておられた委員の恐らく法科大学院教育に対する理念と一緒のものがあると思うんですけれども、基本的に法科大学院教育で求められる教育理念というのは三つぐらい掲げられていると思います。
一つは、もちろん専門的な資質あるいは豊かな人間性の涵養とか、そういうようなことが法の担い手としては当然求められるというのが第一点だろうと思います。それから二番目には、法的な分析能力あるいは法的な議論の能力、こういうことが二番目の問題。三番目には、やはり社会に対する責任感、倫理観、こういうものをどうやって涵養するか。こういうことが法科大学院の教育の理念でもありますから、それとやはり法曹のあるべき姿というのは共通の問題だろうというふうには認識をいたしております。
現実に現在の法曹にどういうことをやっているかといえば、それは、弁護士さんについては弁護士会を通じていろんな勉強会をやっていただいている。これが実際の弁護士会としての活動でございます。それからあと、裁判官、検察官については、それぞれの職場を通じて、いろんな会議を通じてそのときそのときの問題点をお互いに共通認識として持つ、そんなことを職場の中で具体的に進めているというふうに理解をいたしております。

○森ゆうこ君 滝大臣とは、今お話がございましたように、副大臣当時、法曹養成フォーラムのメンバー、私もそうでしたし、滝大臣も法務副大臣としてメンバーだったということもございまして、法科大学院にも授業の参観というか視察に参りまして、大学院生の皆さんとも様々意見交換をさせていただいたところです。
今の私の質問について一つお答えが抜けていたんですけれども、既に法曹資格を持って御活躍をいただいている皆さん、裁判所あるいは法務省、検察庁、弁護士会、様々でございますけれども、その資質として今一番欠けているというふうに大臣が思われるもの、また国民から法曹の資格を持つ人々にこれが欠けているというふうに今指摘されているものについての御認識、これについてはちょっとお答えいただかなかったようなのですけれども、これについてはいかがでしょうか。

○国務大臣(滝実君) 私は法曹でありませんから自分の経験から申し上げるわけにはまいりませんけれども、法曹を志した人たちはいずれも、言わば強い正義感、社会にどう法律の専門家として貢献していくかという理念はみんなそれぞれ持ちながら法曹を志したと思います。
したがって、そういう面で、今の法曹、具体的な法曹言わば三者に欠けている問題というのは特段のことは私はないと思う。ただ、具体的な場面場面でそういう意識が希薄になるような事件があったかと思いますけれども、共通してどういうことが欠けているかというようなことを私の口から言えるような話ではないというふうに思います。

○森ゆうこ君 大臣から、私ちょっと別の御答弁を期待していたんですけれども。
というのは、言うまでもなく、郵便不正事件、捜査を担当した検察官が証拠を改ざんする。捜査する側が証拠を改ざんしたら、これはもう何でもできるわけですね。証拠を改ざんしてしまう。そして、そのことについて、これはもう大変なことであると、検察改革待ったなしということで、最高検の検証チーム、そして検察の在り方検討会議ということで改革について検討をされてきた。ところが、それと時を同じくして今度は捜査報告書の捏造事件というのが起きたわけでございます。
様々な具体的な事象をとらえてその時々で対処していくというふうなお話もあったんですけれども、この二つの事件は、検察あるいは裁判所、つまり法曹資格を持つ人々に対する国民の信頼を根底から揺るがした事件であったというふうに思います。そういう意味で私はもっと別な御答弁を御期待していたところなんですけれども、言い忘れたのではないかと思うので、もう一遍、いかがですか。

○国務大臣(滝実君) もちろん、今御指摘のような大変問題のある事件はございました。ただ、法曹全般について欠けている、何が欠けているかといえば、私は、当然初志が、そういう正義を社会に求めていくと、こういう観点から志した人たちだけですから、その点については特段のことを申し上げるものではないと。
ただ、具体的に一つ一つの事件の中では、そういうような本来の志とは違うことをやってしまったということは、それはあるわけでございますから、謙虚に反省をして、裁判官もあるいは検察官も謙虚にこういう事件を一つの教訓として受け止めていかなければいけないということは当然のことだろうと思います。

○森ゆうこ君 大変残念でございます。一つの事件として教訓を得てというような程度のものなんでしょうか。
捜査する側が証拠を捏造する。そして、密室の検察審査会の審査の材料として捏造した捜査報告書を提出する。これは、裁判所の判決にあるまでもなく、あってはならないことなのではないんですか。これは、一つ一つの事象というにはもう問題が大き過ぎる。だからこそ、小川先生いらっしゃいますけれども、小川前法務大臣は大変な危機感を抱かれてこの問題に対処するその対応が生ぬるいということで自ら乗り出そうとされていたというふうに思いますし、私は、滝大臣が副大臣のときに、むしろもっと積極的に政治主導で、この前代未聞の、そして絶対あってはならないことであると裁判所に指弾されたこの問題について厳しく政治主導で対処すべきであるというふうに進言されたというふうに伺っておりましたけれども、それはちょっと違ったんでしょうか。よく分かりました。
結局、今回、「捜査報告書の作成・提出事案に係る関係者の人事上の処分について」、これが六月二十七日付けで発表されました。また同時に、最高検の方から、この捜査報告書の捏造問題についての報告書が提出されたところでございます。ほとんどおとがめなしという信じられないような対応でございましたけれども、今の大臣の御答弁をお聞きしますと、そのような認識だったということであれば、このような事務方の提示に対してそのまま了としたというのも何となくうなずけるのかなというふうに思いますが、本当はこの問題を契機に検察という組織自体が自浄作用を発揮して、本当に検察、郵便不正事件で信頼が失墜した検察、これを根本から立ち直らせる最大の機会であったというふうに思いますが、この報告書からはそういう意識が全く感じられませんでした。
ちょっとこの報告書についてお聞きをします。細かいところ、大臣がお答えになれないところは事務方でも結構でございますので、ちょっと確認したいんですけれども。
まず、四月二十六日の東京地裁の判決におきまして、事実と全く違う捜査報告書が提出されたと、こういうことがあってはならないと厳しく指摘されたわけですが、この報告書を見ますと、六ページでございますけれども、最高検の方の報告書、六ページを見ますと、ほかにも同じ記述が何回か出てくるんですが、結局、田代報告書の記載と石川衆議院議員の録音記録との間には、実質的には相反するものではないと認められるというふうに書いてあるんですけれども、ということは、最高検及びこれを承認した法務省、そして法務大臣としては、東京地裁の判決が間違いだったと、そういうふうな御認識ですか。

○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほどの御指摘の点は、最高検察庁の報告書の中に、確かに、やり取りの趣旨とは実質的に相反するものではないと見ることができるというふうに書かれているところを取り上げておられるのだろうと思います。
ただ他方で、その報告書におけるやり取りをこのような問答式かつ口語調で具体的かつ詳細に記載している点をとらえて、読み手に対して田代検事と当該石川氏との間で実際にそのような具体的なやり取りがあったという点で誤解を与えかねないという面において不正確であるというふうにも述べているところでございます。

○森ゆうこ君 質問にお答えいただきたいと思うんですけれども、裁判所は事実と反する報告書を作ったことについて、これはあってはならないことであると大変厳しく指弾しているわけですけれども、まあ注釈付きですが、結局、結論的には実質的には違わないと。実質的にというのは何を意味するのか、この報告書を読んでもいま一つ分かりませんが。つまり、裁判所が指摘したように、捜査報告書とそして石川さんの取調べ状況を録音したその反訳書、この中身は同じなのである、同じなのであると、違わないんだというふうにここには書いてあるわけですけれども。
ということは、さっきの質問もう一回戻りますけれども、裁判所の判決を否定されるわけですね。裁判所の判決では、違ったものを提出した、虚偽のものを提出したということについて、これはあってはならないと厳しく指摘しているわけですけれども、法務省、最高検はそれを認めなかった、つまり裁判所は言い過ぎだと、厳し過ぎたと、裁判所の指摘は事実ではないんだというふうに反論したと、否定したということでよろしいんですか。その点だけお答えください。

○政府参考人(稲田伸夫君) 今の点につきましては、更にその後の部分で、虚偽に当たるとの法的、虚偽公文書作成罪の故意の点は否定をしておりますけれども、虚偽の公文書に当たり得るということについてまで否定しているものではございません。そういう意味で、裁判所の御指摘について否定をしたものであるというふうには考えておりません。

○森ゆうこ君 つまり、全く違うものであるということについてはお認めになるということですか。いろいろ言い換えているので、いろんな言い訳をされているんですが、捜査報告書と石川さんの取調べの反訳書、録音の記録というのは全く違うものであるというふうなことはお認めになるということですか。そこを確認させてください。

○政府参考人(稲田伸夫君) 先ほど申し上げましたように、虚偽公文書であるのかという点については認めているところでございまして、そういう意味で否定をしているつもりはないということを申し上げているところでございます。

○森ゆうこ君 虚偽公文書であるということは認めたということでよろしいですね。イエスかノーかでもう一回。

○政府参考人(稲田伸夫君) 虚偽公文書に当たり得るということは否定はいたしておりません。認めているということでございます。

○森ゆうこ君 虚偽公文書を作成したということは認めていて、しかしほとんどおとがめなし、その責任者についてもほとんどおとがめなしというような処分内容でございますけれども。
じゃ、その虚偽公文書だということは認めているが、結局は郵便不正事件のときと同じように厳しく対応しない理由は何ですか。

○政府参考人(稲田伸夫君) 大阪地検のフロッピーディスクの改ざん事件とこの事件とは事実関係が相当異なりますので、これを一概に比較するのは困難でございますが、まず、今申し上げた点に関連して申し上げれば、虚偽公文書の作成に関する故意の点について刑事事件として嫌疑を認めるには十分でなかったという事情があるということを御理解いただきたいと思います。
その上で、全体の事実関係を見た上で、最終的に大臣の御判断としてこういう懲戒処分になったというふうに理解をしているところでございます。

○森ゆうこ君 そうしますと、滝大臣は、この報告書に何度か出てくるんですけれども、田代政弘検事が、これは故意ではないと、記憶が混同したんだと。これ何度か出てくるんですけど、記憶がごっちゃになってしまい、このフレーズが何度か出てくるんです。ですから、田代検事がこのようにおっしゃっているんだというふうに思いますけれども、記憶がごっちゃになってしまって、先ほどお認めになりました事実と全く反する虚偽の報告書を提出した、それは記憶がごっちゃになったからだと。そういうことを、それは仕方がないと、そういうこともあると、これは故意ではないと、そういう報告書を大臣はそれは認めたということですね。

○国務大臣(滝実君) 少し順を追って申し上げさせていただきますと、こういうことだろうと思うんですね。
田代検事が石川さんと、二回目にですかね、五月に最終的に確認の取調べをしました。そのときは、お互いに今までの要するに取調べの経緯を念頭に置いているものですから、五月段階での取調べは禅問答のような格好でおやりになっている、それが録音された反訳書に出てくるという問題だろうと思うんですね。あのときとか、あれはあれでしたよねという、そういうような言葉遣いで、具体的な事実をきちんとお互いにしゃべり合っているんじゃなくて、昔というか前にいろいろ取調べをした結果を、お二人の間ではもう分かっている話として、あのときはとか、あれはこうでしたとか。そういうことだけではこれはよく分からないから、上司がもう少し分かりやすくしろと、こういうふうに指示されたということがそもそもの発端だったというふうに理解をいたしております。
そういう中でやっていくと、前に取調べをしたときの流れというものと五月の段階での最終的な確認の段階とが大筋としては、ずれていない、こういうことが今刑事局長が申し上げたところだろうというふうに私は理解をいたしておりまして、そういう流れの中で、確かにその五月の段階で取り調べたことは、そのときにお互いにしゃべった事柄ではなかった、前にしゃべったことをそこで分かりやすく、言わば判じ物みたいな禅問答を具体的なしゃべり、やり取りの中で表したと、こういうような理解をいたしますと、大筋としては別にそれほど事実とそれたわけではない、こういうような理解をいたしたところでございます。
細かいことはここに文書を持っていませんから申し上げられませんけれども、私は大宗としてそういう理解をいたしたところでございます。

○森ゆうこ君 今のが禅問答みたいな感じですけれども。
記憶がごっちゃになってしまった。ちょっと確認しますけど、局長、東京地検特捜部というのは五時間の取調べをメモも取らずにやって、そしてその報告書を記憶がごっちゃになっている中で書いてしまうということは、これはよくあることなんですか。

○政府参考人(稲田伸夫君) 東京地検特捜部のみならず、個々の検察官が取調べをする際にどのようなやり方でやっているかというのは、まさに個々の検察官がそれぞれの判断の下でやっておりますので、今先生の御指摘のようなものがよくあるのかというふうにお尋ねいただきましても、ちょっと私、何ともお答えいたしかねるところはございますが、少なくとも本件において、田代検事においてはそのように対応していたというふうに本人が供述しているというところでございます。

○森ゆうこ君 それで、減給処分だけで、自主的に退職したのかさせられたのか、よく分かりませんけれども、記憶がごっちゃになって全く事実と違う虚偽の報告書を提出したと、それでもほとんどおとがめなしと。信じられない事態でございますけれども、この件については更に一般質疑等で詳しく調べさせていただきますので、ここに書いてある、報告書に書いてあることについては、法務省、責任を持っていらっしゃるということで、ここについての全ての質問にお答えになれるように準備をしておいていただきたいというふうに思いますけれども、一つだけ、捜査報告書は結局何の目的で作られたんですか。

○政府参考人(稲田伸夫君) 田代検事は、上司から指示を受けて、当時の供述状況について記録に残すようにということがあったので作成したというふうに言っているものと承知しております。

○森ゆうこ君 報告書にはちょっと違うことが書いてありますよ。よく調べて、次回答えられるように整理しておいてください。私の方も今整理をしております。今御説明になったことと違う目的で作られたというふうに書いてあります。
それでは、次の質問に移りたいというふうに思います。
文部科学省に来ていただいております。ちょっと質問しにくいんですけれども、法科大学院、問題点が様々指摘されております。既に文科省としてその問題を分析し、そしてその課題に対して取り組んでこられたというふうに思います。この七月十七日でしたでしょうか、その対応策というものをまとめられました。この点について、課題の認識、そしてその改善策について簡潔にお答えください。

○政府参考人(常盤豊君) お答えを申し上げます。
法科大学院の現状につきましては、これまで入学定員の適正化、競争倍率の確保などの改善の取組を促進してまいりました結果といたしまして、入学定員や実入学者数が大きく減少し、標準修業年限修了率も厳格な成績評価等によりまして約七割というような状況になっております。一方で、卒業後の司法試験合格状況でございますけれども、合格者が二千人をやや上回る数で推移をしておりまして、受験者数の増加によりまして各年ごとの合格率ということは低迷をしている状況にございます。
こうした状況の中、現在明らかになってきた主な課題といたしましては、法科大学院ごとの、その間の、法科大学院相互間の差が拡大をしているということ、それから法学未修者と既に習った法学既修者、この両者が入学をしているわけでございますけれども、その間の差が拡大をしているというふうな状況があるというふうに認識をしているところでございます。
文部科学省といたしましては、政府全体でフォーラムにおいて検討を行っているわけでございますけれども、その検討を待たずに、速やかに対応すべき実施上の課題については速やかな施策の検討、実施が必要であるというふうに考えておりまして、先日、中央教育審議会法科大学院特別委員会で提言を取りまとめたところでございます。そして、それを受けて、文部科学省といたしまして、法科大学院教育改善プランというものを策定、公表しております。
このプランにおきまして、法科大学院修了生が法曹のみならず社会の様々な分野で活躍できるように支援体制を整えることや、司法試験の合格率を大幅に増加させることを目指しまして、四点ございます、簡潔に申し上げますが、一点、法科大学院教育の成果を積極的に発信をする、二点目といたしまして課題を抱える法科大学院を中心として入学定員の適正化、教育体制の見直し等の取組を加速する、三点目といたしまして未修者教育を充実をする、そして四点目として法科大学院教育の質の改善ということを促進をすると、こういうことに取り組むこととしておりまして、これを通じて法科大学院教育の質の向上ということに努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

○森ゆうこ君 今議論され、審議されております法案の中に、この法律の施行後一年以内に検討を加えて一定の結論を得た上、速やかに必要な措置を講ずるものとするということで、法科大学院における教育、司法試験及び司法修習生の修習の実施状況等の見直し等があるわけでございますけれども、そうしますと、その一年以内の検討を待たずに、文科省としてはこの法科大学院特別委員会の検討の結果、その提示された改善方策を着実に実施していくということでよろしいんでしょうか。
あわせて、数字まで昨日通告しなかったんですけれども、今ある法科大学院、適正化を加速するというふうにおっしゃいましたけれども、具体的に、法科大学院の淘汰が進むと思うんですけれども、適正な定員というか大学院数といいますか、そういうことまではお答えになれますか。

○政府参考人(常盤豊君) 政府における検討との関係につきましては、先ほども申し上げさせていただきました。繰り返しになって恐縮でございますけれども、中教審の特別委員会におきましては、一方で政府の法曹の養成に関するフォーラムにおいて、これは制度の在り方に関する検討を行っていただいていると理解をしておりますけれども、その検討を待つまでもなく対応できる、いわゆる実施上の課題ということにつきまして速やかに具体策を検討、実施していくということが提言されておりますので、今回の中教審の提言を踏まえて、文部科学省として対応できる部分については速やかに実施をしていくということで考えております。
それから、組織の見直しでございますけれども、具体的にどのぐらいの数のという御質問であったかと思いますけれども、組織の見直しにつきましては、文部科学省としては、あくまでも各大学の自主的な組織の見直しを促進するという観点に立っておりまして、公的支援の見直し等を通じてそういうものを促してまいりたいという、そういう立場でございます。

○森ゆうこ君 おっしゃりにくいんでしょうけれども、要するに補助金は切るということで、自主的に大学院として成果の出ていない、法科大学院として成果の出ていないところには御退場いただくことになるということなんだというふうに思います。
先ほど司法修習の話の中で、この法科大学院の教育が充実すれば、そもそも司法修習ということについて必要かどうか、この点についても見直すべきであるというふうに考えます。
滝大臣とも御一緒に伺いましたけれども、法科大学院、非常に先駆的な取組をしていらっしゃるところでは教育も充実してまして、ソクラテス・メソッドを入れて、そしてエクスターンシップなんかも充実をしてやっていらっしゃるということで、本当にすばらしい人材が育っている。そういう方たちが法曹資格を持つ持たないにかかわらず御活躍をいただける、そういう社会になるべきであるというふうに思っておりますし、私は、弁護士会とかはもう余りこだわらずに、もっと広く法曹資格を持った人々の活躍の場を開拓していくべきであるというふうに思います。
最後に、司法試験の改革について確認をさせていただきたいと思います。
司法試験の内容によって、それが結局は法曹養成機関のカリキュラムを規定することになるかと思うんですね。そういう点での改革の方針、それから、最初、この改正といいますか改革の当初示されました三千人の法曹資格ということの数字そのものも見直されるのかどうかについて、大臣の御方針を最後に伺いたいと思います。

○国務大臣(滝実君) なかなか一言では申しにくい大きな問題だろうと思います。
ただ、言えることは、司法試験の在り方についてもいろんな声があることは承知をいたしております。例えば、予備試験は難し過ぎるんじゃないかとか、そういうような一つ一つの意見はそれなりに現実の実態を踏まえた上での意見だと思っておりますので、そんな意見も当然、大至急この議論の議題にしていかなければいけない、こういうふうに思いますし、三千人云々の問題も、今現実に二千人台で推移している中では、三千人といってもなかなか現実味のない数字だけが当初設定されてきたなと、こういうような認識をいたしておりますので、こんな点も当然議論をして、きちんと対応をし、方向付けをしていかなければいけない、そんな時期になっていると思っております。

○森ゆうこ君 終わります。

○桜内文城君 みんなの党の桜内文城です。
この給費制あるいは貸与制という問題、この二、三年、こういった法案の形で何度も出てきておるわけですけれども、私は大変違和感を持って見ております。
といいますのは、やはり、今回、法曹の養成の在り方そのものについて考えなくちゃいけないときに、この給費制、貸与制という意味でいえば、もちろん当事者にとっては大きな問題かもしれませんけれども、ちょっとやはり論点がずれてしまっているんじゃないかなということを常に感じております。
やはりロースクールという新しい制度ができた中で、まず大臣にお尋ねいたしますけれども、そもそもこういった司法修習という制度を残す意味がどこまであったのか、そこがまず問われなくちゃいけないと思うんですけれども、その辺、大臣、どういうふうにお考えになるでしょうか。

○国務大臣(滝実君) 今委員の御指摘のとおり、法科大学院という問題と司法修習との関係について当時の議論を思い出しますと、それほど密接な関連性を持った詰めた議論というものがあったかどうかというのは、なかなか把握しにくいところがございます。恐らく、文科省は文科省でどうあるべきかという議論はしていたと思います。それから、当時の司法制度改革審議会ですか、そこでも議論はあったと思います。
ただ、それぞれの部門ごとに議論をしていた、その結果が法曹養成の一つの制度として成り立ってきたわけでございますから、実際に踏み切ったときにそれぞれの部門で議論をしてきたことがかなり優先的に選択をされてきた嫌いがあるんじゃなかろうかなというようなことを今になっては反省材料として持っているところでございます。
したがって、当時言われていたのが、アメリカのロースクールのような格好でどうだとか、そういうような言葉は飛び交っておりましたけれども、それじゃアメリカのロースクールがどういうようなものであったかということは余り詰めた議論がなかったようにも思いますし、当時はそれぞれの部門で議論してきたことがそれぞれ実施段階でそのまま採用されていった嫌いがなきにしもあらずというのが今の反省材料でございます。

○桜内文城君 率直に反省を述べていただきまして、その点は評価したいと思いますけれども、やはり文部科学省と法務省との間でうまく議論の連携がなされていなかったということは否めないかと思います。
アメリカのロースクールを見てみますと、もちろんその後の修習というのはないわけでして、そもそもこういった司法修習の必要性そのものを本来踏まえた上でロースクールの設計も行うべきであったのではないかということは指摘しておきます。逆に言いますと、そういったそもそも必要性があるのかないのか、存在意義がどうなのかというのを問われなければならないときに、修習生に対する貸与制なのか給費制なのかというところはその次の問題になってくる話ですので、やはり議論の順番としていかがなものかなという違和感は申し述べておきます。
そして、二つ目ですけれども、これは法務大臣にお聞きしても答えられないことだとは思うんですが、とにかくロースクールに入学する前に一定の試験を行いますよね。これ、日弁連さん等がやっている部分もあるとお聞きしますけれども、今回こうやって問題になりますのは、やはりロースクールにいる間の経済的な負担、恐らくこれが最も大きいことだと思いますし、また、経済的な負担がありながらも、なかなかみんながみんな合格できるわけではない。
こういった点で、大変リスクをしょいながらロースクールに在籍する学生さんは日々一生懸命勉強していると思うんですけれども、例えばロースクールに入る際の試験を日弁連が実施するというのであれば、例えば将来の法曹を志願する者について日弁連さんが奨学金制度をつくるですとか、いろんな対応の仕方があるかと思います。もちろん政府が対応するというのもありますし、そういった意味で日弁連がもうちょっと自主的にやるべきじゃないかと私は思うんですけれども、大臣、どのようにお考えになりますでしょうか。

○国務大臣(滝実君) 基本的に、今委員が御指摘のように、それぞれの団体がいろんなことを検討していただけるのは大変有り難いことだろうと思います。
ただ、法務省の立場から日弁連さんにお願いしますよとか、そういうようなことはなかなか制度として仕組めない話ではないだろうかなという感じがあります。日弁連は日弁連としていろんなことをお考えいただいていると思います。しかし、それを今先生が一つの例として御提案されたような格好で、法務省が今、日弁連の意見も聞かずに、それでどうだろうかということで、その可能性というものについて言及するというのは少し行き過ぎだろうと思いますけれども、いろんな意見が出てきて、そしてこの制度を盛り上げていく、あるいは守っていただく、そういうような方向ができれば有り難い話だと考えております。

○桜内文城君 そういった議論をする前提として、まず確認させていただきたいんですけれども、これまでロースクールで司法試験の受験資格を得た者の累積の数と、その中で実際に合格していった人の数、そしてその割合についてお聞きしたいと思います。──どなたでももちろん。これ、通告しておりますので、昨日のうちに。数、割合、お願いいたします。

○国務大臣(滝実君) 今までの新司法試験の合格者数、現在は二千人台でございますけれども、この二千人台が続いておりますのは平成二十年、二十一年、二十二年、これが三年続けて大体同じような数字が合格者として挙がっております。そして、合格率は、しかし一方では年々下がっていると。例えば、平成二十年は合格率が三三・〇%、二十一年は二七・六%、二十二年は二五・四%と、こういうように合格率そのものは下がってきているというのが現状でございます。

○桜内文城君 受験資格を得た者の累積数も昨日のうちに通告しておるんですが、それは法務省の方で調べていないんでしょうか。──ないならないで結構なんですが、しっかり、これ通告していますので、このぐらい準備してもらわないと困ります。これは言っておきます。
とにかく、こういった数、なぜお聞きしているかといいますと、ロースクールに進学して法曹を目指しながらもなかなか合格できない、そういったリスクが高い、かつ、その間の経済的負担も非常に大きいという不安に悩む学生さんが多い中、言わば晴れて司法試験に通って修習生になった人に対して、貸与制なのか給与制なのか、これは申し訳ないんですけれども、やはり優先順位からすれば次の問題だと私は感じております。もちろん、修習生の皆さんからすれば自分自身の大きな問題とは思いますけれども、もっと大きな問題が、その前のロースクールの段階でもっと多くの人が悩んでいるということは指摘しておきたいと思います。
そこで、先ほど、例えばということで、日弁連さんなりが奨学金制度を設けて、後進の経済的負担を軽減させるですとか、負担をなるべく緩和する、そういった仕組みもあろうかという提案をしたわけですけれども、もちろん、常に日弁連さんの話になりますと、法務省あるいは法務大臣としては、弁護士自治という大原則からいってなかなか物が言いにくいということは常におっしゃるところでありますが、私、やはりこの弁護士自治の在り方そして範囲というのも、やはり問い直すべき時期に来ているんじゃないかというふうに思っております。
元々のこの弁護士自治、弁護士法の趣旨にもあると思うんですけれども、弁護士自治の趣旨に基づいて、その弁護士自治が適用される範囲というのもおのずと決まってくることかと思います。もちろん、解釈いろいろあろうかと思いますけれども、今の法務省のお立場、お考えについて、弁護士自治について、趣旨それから範囲についてお尋ねいたします。

○国務大臣(滝実君) 基本的に、弁護士会の存在理由というのは、弁護士法に基づいて設立する団体でございますし、弁護士の業務を行うためにはどこかの地域の弁護士会に加入すると、こういう建前でございますから、そういう意味では、大変、弁護士会の仕事というのはそれなりの公的な側面を持っているということは事実だろうと思います。ただ、そこでやっていただくのは、弁護士の中の言わば倫理規制でありますとか、あるいは研さん、研修の実施主体になってもらうとか、そういうような言わばパブリックに近い仕事を弁護士会はおやりいただいているというのが実態だろうと思います。
そういう意味では、今委員が仰せのとおり、この法曹養成という中では圧倒的に弁護士さんの数が多いわけですから、弁護士会もそれなりの法曹養成の財政的な負担はどうなのかと、こういう御提案だろうと思います。しかし、そこまで財政問題が深くかかわる問題について私の方から弁護士会にいろんな提案をしていくというのは、それはいささかどうなのかというのが先ほど申し上げたところでございます。
しかし、今の御提案については、弁護士会にもこの場の雰囲気をお伝えするということはさせていただきたいとは思いますけれども、具体的な財政問題が掛かってくる、しかも金額的にはそれなりの金額、まとまった金額でございますから、そういう意味でも、弁護士会というのは別にどこからもお金が入ってくるわけではございませんで、会員の会費ということが前提でございますから、その辺のところも併せて考えていかなければいけない問題だろうと思います。

○桜内文城君 私は会計士補として日本公認会計士協会の準会員でもあるわけですけれども、もちろん、それぞれの仕事の内容によってその自治の在り方というのは変わってきてしかるべきだと思いますけれども、例えば今回のこの給費制云々の話についても大変なロビー活動を日弁連さん、されております。そのような自由は謳歌しながら、一方で、例えば過払い金訴訟に関係したような弁護士さんの脱税の事例も大変多く報道されておったりします。
私の考えを述べますと、やはり弁護士自治の元々の趣旨というのはどこにあるかといえば、まさに国家からの自由、国民の自由権を守るために国家と対峙しなければならない、そういった人権、基本的人権を守っていくというその社会正義を実現していくという中で、そのような仕事をされるという意味で政府から干渉を受けないということが私はやっぱり趣旨だと思います。
しかし、それは何をやってもいいという趣旨ではなくて、特に弁護士の報酬ですとか活動の範囲ですとかというものはおのずとその趣旨に照らして限定されなければならないと思います。例えば、今申し上げました、大変悪い事例ですけれども、脱税の自由なんかありません。ただ、残念ながら、日弁連さんに脱税の事例、金額、一体幾らあるんですかと言っても、開示もしない。
そういった経済的活動に関する部分までも、これ二重の基準で言っているつもりもないですけれども、やはり国民の自由権を守るという大事な仕事の傍ら、一般の多くの弁護士さんはやはりお金もうけに走る場合もあります。それが悪い、お金もうけが悪いとは言いませんけれども、度を越す場合も、もちろんこれはどの職業の人だってあるわけですけれども、そういった方々に一切法務省なり政府が口が出せないという論法は、今の時代、通用するのかなというふうに思っております。
特にこの給費制に限らず、大変なロビー活動を彼らしております。私はそれ苦々しく見ておる次第ですけれども、もちろん重要な仕事とはいえ、やっぱり節度を持って、倫理観を持ってやっていただきたいなということは、まあ法務大臣に言ってもしようがないんですけれども、この場で申し上げておきたいと思います。
そして、次に法曹養成制度全般についてお尋ねいたしますが、先ほども指摘されましたけれども、修習専念義務、これはいち早く取り外すことが必要かと思います。
先ほど会計士の事例を申しましたけれども、会計士も実務補習というのが合格の後あります。ただ、その間、彼ら、基本的には監査法人なりに勤めて、その補習も夕方から始めるとか土日にやるとか、そういう仕組みで、最後の修了考査というのは、これはその単位を取得したらば受けなさいという形を取っておりまして、修習、仮に続けるとすればですよ、私は修習制度そのものに疑問を感じるものでありますけれども、修習を続けるのであれば、せめて修習専念義務は外してあげるということが必要かと思います。これは意見として述べておきます。
一方で、就職難ということも言われたりしておりますけれども、それは私は修習生の立場から言うべきことではないと思っております。あるいは、我々が制度を構築していく上で、余り考慮すべきものではないというふうに思っています、ちょっと言い方は厳しいかもしれませんけれども。
というのは、やはり弁護士にしろ、これは独立資格ですよ。自分でいずれは人を雇って雇用をつくっていくぐらいの気概がない人が、単に、例えば国家公務員試験に受かって役所に行くみたいな話じゃないんですから。これは公認会計士も同じことが言えます。今、就職難と言われていますけれども、そういう若い人が大きな組織に入りたいというのは分からぬでもないですけれども、それで終わっちゃいかぬのですよ。そのための資格であり、試験であり、そして彼らの人生が、そこから切り開いていってもらうということが必要だと思います。
その上で申し上げますけれども、よく質の確保ということも言われますけれども、やはりもっと私は数を増やすべきだと思います。もちろん最低限の質というのは必要だと思いますけれども、こういうふうに就職難だからって合格者の数を減らすというのは、むしろ今既に法曹資格を持っている人たちの既得権益を守るということにつながりかねないと思っておりまして、それが法曹養成フォーラムの中でも、申し訳ないんですが、また日弁連の名前出しちゃいますけれども、日弁連さんがそういう主張を強くしている。また、それが法務大臣から何も言えない。こういった形はいかがなものかと思うんですけれども、質の確保とそして数について、法務大臣、どのようにお考えになるでしょうか。

○国務大臣(滝実君) 基本的に、法曹制度を新しくするときの議論がやっぱり先行したものですから、今のような格好で、数がどうかという議論がやはり前提条件になって付いて回ってきたというのが実態だろうと思いますね。
従前の司法試験であれば、合格率などということは始めから問題にしていない試験であって、毎年毎年の合格者が、いや二百人から五百人などとか、そういうことはありましたけれども、合格率を幾らにするなんということは、試験でございますから当然なかった。ところが、この新しい制度にするときに、法科大学院のメリットを強調する余り、将来は七割から八割合格者が出るんだというような前提でこの制度が出発したところにこの問題の不幸なところがあるように思います。
やはり試験制度でございますから、それにふさわしい人をどうやって合格させるかというのが前提条件として考えられた制度でもありますので、その辺のところは、やはりこれは大きな問題として議論の中で、今、反省材料も含めて決着をしていかなければいけない、そんな感じをいたしております。

○桜内文城君 最後に重ねて言っておきますけれども、やはりロースクールの在り方、そして法曹養成の在り方に絡む話でもあります。ですので、先ほども話ありましたが、一年以内にということでもありますので、このロースクールの在り方、修習制度の在り方そのもの、そして法曹の数、私はこれ制限すべきじゃないと思います。会計士の関連資格でいいますと簿記一級とか二級とかありますが、別にあれ、数で制限しているわけじゃないんですね。一定の水準を超えれば皆合格するというものでして、そこから先は、本当にプロフェッションとして仕事をやってみて、出来のいい人は稼ぐ、あるいは稼げる、出来の悪い人は稼げない。その新規参入を規制するということが、それも合格者の数で規制するということが日本のこれまでの法曹界の既得権益というのをやはり強めてきた原因じゃないかなと私は感じますので、できるだけ開かれた議論をお願いしたいと思います。
これで終わります。ありがとうございました。

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
法案に入ります前に、法務局の登記乙号事務を市場化テストにより受託してきたアイエーカンパニーとATGカンパニーの問題について質問いたします。
両社が様々な違法行為を繰り返してきたということを私は一昨年の十一月以来五回にわたって質問をしてまいりました。ついに法務省は今月の十七日に両社を契約解除にしたわけでありますが、まず、その経緯と対応について当局からお聞きいたします。

○政府参考人(原優君) お答えいたします。
今委員から御指摘のありました、ATGカンパニー株式会社とアイエーカンパニー合資会社に対しましては、今月の十七日に両社との業務委託契約を解除する旨の通告をいたしました。これは、本年二月に法務大臣から両社に対し、健康保険法等に定める手続の適切な履践等の改善指示を発していたにもかかわらず、今般、この指示に違反して、両社において多額の健康保険料等を滞納している事実が判明いたしましたことから、いわゆる公共サービス改革法所定の契約解除事由に該当すると判断したことによるものであります。
契約解除後の措置につきましては内閣府の官民競争入札等監理委員会の議を経る必要がございますが、本件につきましては、今月の十二日、同委員会におきまして、近隣県等で登記簿等の公開に関する事務を受託している他の事業者から新たな受託事業者を選定の上、委託契約を締結するという措置をとることが了承されましたので、現在、該当の法務局におきまして当該契約の締結手続を行っているところでございます。
なお、新たな受託事業者の決定に約一か月程度の期間を要することから、本年七月二日から八月三日までの間は、両社の委託業務の全部の停止を命じた上で国が当該業務の実施をしているところでございます。

○井上哲士君 両社は破産の申立てをしておりますが、五月分の賃金の二割、六月分賃金の全てが未払となっております。労働者の皆さん、大変な不安の中で、今ありましたように、法務省の直接雇用で今法務局で働いていらっしゃるわけですね。
私は過去の質問の中で、両社が虚偽申告によって保険料などをごまかしているという具体的な証拠も示してただしてまいりました。こういう企業に委託をすることになると、労働者の権利もそうですし、登記乙号事務に対する国民的な信頼も失われるということも指摘をして、契約解除も含めた毅然たる対応をするべきだということも繰り返し申し上げてきましたけれども、結局それは行われませんでした。その結果、この保険料の滞納が累積をする、そして税金の滞納も累積をしてきたわけですね。
結局、日本年金機構、国税局から差押えを受ける、法務省が払う委託費が差押えの対象になっているという、もう異常な事態ですよ。そして、賃金も未払という最悪と言えるような結果にもなっているわけでありまして、やはりこの間の私は法務省の責任は重大だと思いますが、その点、法務大臣、どうお考えでしょうか。

○国務大臣(滝実君) 基本的に、委員が度々御指摘をされてきたことは、当然この委員会で私も拝聴してまいりました。しかし、そのたびに、言わば社会保険料の未払の問題については担当の部局の方からも督促をするとか、そういうことをずっとやってきたわけでございます。
今委員の仰せでは、もっと早くこの契約を解除すべきじゃないかということかもしれませんけれども、解除するには法律に基づく要件がありますので、その解除する要件に該当しない限りなかなか解除には動き難い、これがこれまで法務省の置かれた立場でございます。

○井上哲士君 一旦業務停止にしてそれを元に戻した際に、コンプライアンス体制が改善をされたと、こういう評価をしたわけですね。しかし、それ自体が間違っていたということが今回もう明らかになったわけですよ。その後もずっと滞納を続けてきた。
六月二十九日に両社は解雇通知を出しているんですね。これ、回覧なんですよ。回覧で解雇通知を出して、この度、自己破産のために全ての業務を停止いたしました、よって全従業員の皆様を解雇させていただきます、今まで業務に従事していただきましてありがとうございました、以上ですと。こんなものを回覧で出すような企業が法務省の法務局の業務を委託したということ、それ自体が私は間違いだったと思うんですね。そういうこの市場化テストの法律そのものが問題があったと、そのことも繰り返し指摘をしてまいりました。
両社で働いてきた皆さんからもたくさんのメールが寄せられておりますけれども、法務省が業務委託している会社がこんなことをするなどまさか思っていなかったというのが多くの皆さんの声なんですね。当然だと思うんです。これまでこの二つの会社で働いてきた皆さんのほとんどが法務省の直接雇用に応じて今窓口業務を担っていらっしゃるので、大きな混乱が起きずに来ていますけれども、もしそうなっていなかったら大変なことになってきたわけですね。
果たして賃金が払われるのか、そして今後の雇用はどうなるか、大変な不安の中でも、何としても法務局のこの業務をやらなくてはいけないということでやられているわけですから、私はやっぱり、労働者の賃金、今後の雇用の問題について法務省がやはりしかるべき責任を果たすべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

○国務大臣(滝実君) 基本的には、この会社を業務委託したのは法律に基づいて公募という格好でやっているわけでございますから、それに対して法務省がその条件に超えていろんな面からあれこれ言うというわけにはまいらない。これが公共サービスによって委託している一連の手続であることは、委員が元々御案内のとおりでございます。
その上で申し上げれば、今の段階では取りあえずこの旧委託をしていた二社に雇用されていた人たちをこの八月初めまでそのまま業務をやっていただく、これは直接法務省としてやっていただくと、こういうように当面の措置として切り替えたわけでございますけれども、その後の問題については改めて公共サービス法に従って新たな事業者を決めていくと、こういうことになってくるわけでございまして、それ以上に法務省がこの問題に改めて関与するというわけにはいかない性質のものだろうというふうに思っております。
こういう事態になったことについては大変法務省としても残念なことでございますし、公共サービス法の言わば限界かというようなことを痛感しているわけでございますけれども、それはそれとして、この問題が法務省の業務にもスムーズに解決しますように、そしてまた、これまで雇用されていた皆さん方が何とかこの不払の問題を乗り越えて円満に解決されますことを心から期待をさせていただいている次第でございます。

○井上哲士君 不安を持ちながら今も現に働いている皆さんがどういう思いを持って今の答弁を聞いたのかなと私は思うんですね。
一連の経過を見れば、私は、法務省の社会的責任、道義的責任は大変重いものがあります。これを踏まえてしっかりと対応していただきたいと、そのことを改めて強く申し上げておきます。
法案の方に入りますが、我が党は、二〇〇四年にこの司法修習生の給費制を貸与制に移行する法案については反対をいたしました。公的な役割を担う法曹の養成に受益者負担主義を持ち込むべきでないし、経済的な理由で法曹を断念することになれば、多様な人材を取り込むという司法制度改革の趣旨にも反するという理由からでありました。
その後、司法修習生の経済的な困難性、弁護士の就職難、それを原因の一つとする法曹志望者の減少などなどの問題が起こる中で、貸与制については一年間延期をして、そして全体の議論をしようじゃないかということになったわけでありますが、結局、設置された法曹養成フォーラムでは、全体の議論がまとまる前に給費制の打切りだけが決められるということになったわけであります。
法案は貸与制への移行を前提に一定の改正をするものでありますけれども、給費制の打切りという点では変わりませんし、その復活を保証するものではないということで、私どもとしては賛成をできません。
しかしながら、この維持、復活へということで様々な努力がされてきたということがあるわけで、新しくつくられる合議体も生かしながら、その復活のために一緒に力を尽くすという点では共通でありまして、その立場で質問をしたいと思いますが、修正案では、この合議体で、結論として、給費制の復活も排除しないということが先ほども答弁でありました。衆議院で公明党さんが提出された修正案ではこの検討の間は給費制を続けるという中身であったんですが、私どもこれには賛成という立場でした。残念ながら否決をされ、今回の修正になっているわけですが、新たな合議体で給費制の復活も含めて議論をすると、排除されないということであるならば、その間は維持をするべきだったと私は思うんですが、その点、提案者、いかがでしょうか。

○衆議院議員(辻惠君) お答えいたします。
元々、法案の成立の時点で給費制は二〇一〇年まで延長するということに、廃止をそれまで見守るということになっていて、一昨年の改正の時点で昨年十一月まで延長をされたということでありますから、給費制を存続させて議論を深めるというのももちろん選択肢としては十分あり得ただろうというふうに思っておりますし、ただ、全体的な合意が得られない状況の中で、元々貸与制への移行が前提にされていたという現実に踏まえて、適切な経済的措置を早急に抜本的な法曹養成制度全体の見直しの中で図るという、やむを得ない選択として今回修正案を提出させていただいております。

○井上哲士君 全体の合意にならなかったということでありますが、大変残念であります。
その公明党修正案では、法曹になろうとする者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう法曹の養成に対し適切な財政支援を行う観点からと、こういう文言があったわけですが、これは否決をされて、修正されたものでは、司法修習に対する適切な経済的支援を行う観点からということに変わっておりますが、これはどういう違いがあり、どういう理由からこうなったんでしょうか。

○衆議院議員(辻惠君) 法曹になろうとする者全体についての経済的理由の支援ということと司法修習生に対する支援ということと対比して、前者を否定するという意味で否決されたものではないというふうに私は理解しておりまして、文言上、裁判所法では、司法修習生、修習について規定するというくだりになっておりますので、それに合わせた表現になっているにすぎないものであって、趣旨は全く変わらないものであるというふうに考えております。

○井上哲士君 趣旨は全く変わらないということであります。
次に、給費制の復活を排除しないと。先ほどやはり提案者から、その際に、遡って、現在貸与制の方にも給費制が実質的に適用されるという方向について、これも排除されないという答弁がございました。法務大臣からは、全員が貸与を受けているわけでもないのでいろいろ難しい問題があるというような答弁はあったんですが、給費制の復活という場合に結果として不公平が生じないようにきちっとした措置がとられるようになると、そういう貸与制を受けた方、受けていない方も含めて、こういうことはきちっと手当てをする必要があると、この点では確認してよろしいでしょうか。法務大臣。

○国務大臣(滝実君) その辺のところは、要するにこれからの、仮に給費制に戻るとした場合の議論の一つのポイント、そんなに大きなポイントというわけにはまいりませんけれども、一つのポイントであることは先ほども御指摘を申し上げたところでございます。

○井上哲士君 きちっとそういうことを議論をしていくということでありますが。
この修正案では、経済的支援について、司法修習生の修習の位置付けを踏まえて検討するとされております。その趣旨について、衆議院では提案者から、戦前の分離修習ではなく、戦後の法曹養成については、法曹三者はそれぞれ司法の担い手であり、職業としての法曹は一体であるべきとして統一修習がされてきた、この意義を踏まえるべきだという答弁がございました。
やはり、国の土台とも言える司法権の強化とか人権保障の観点から、法曹三者を統一して国が養成をするということと、その修習に専念する義務を課すということと、そしてその生活を保障する給費制というのは、私は一体だったと思います。
私は、弁護士会が、会としても個人でも非常に旺盛に公益活動取り組んでこられたと思うんですね。先ほども議論ありました。個々にいろんな問題を起こす方はもちろんいらっしゃいます。しかし、全体として見れば、大変そういう活動取り組んでこられたと思いますが、やはりそれを醸成してきたのが、一つがこの給費制の意味があると思うんです。
先日の質問でも、例えば日弁連の少年保護事件の付添援助事業を取り上げましたけれども、それぞれ皆さんが基金に拠出をして、こういうことも取り組んでいらっしゃいますし、東日本大震災の復興活動でも重要な役割をしてこられました。
私は、いわゆるロビー活動という問題も、現場でいろんなやはり立法上の問題があるということを国会にしっかり届けられるということは、この公益活動の一つとして大変重要な役割も果たしてこられたと思っております。
こういう給費制が法曹の公共心であるとか強い使命感、その醸成に大きな役割を果たしてきたと考えますけれども、この点は法務大臣としてはどう評価をされているでしょうか。

○国務大臣(滝実君) その点は、私は実際の経験者じゃありませんから何とも言いようがありませんけれども、そういうような指摘があるとすれば、それはそれなりの役目を果たしてきた、一つの公務員の一形態として自覚をそれによってされた人は、一生涯そういうつもりで法曹として取り組んでくれているというような人があるとすれば、それはもう大きな役割を果たしたということは否定できないと思います。

○井上哲士君 貸与制になった修習生の方のいろんな声なんかも私ども聞くんですが、例えば、大ベテランの先生から、修習のときに国のお世話になって育ててもらったという意識が残っているからいまだに少年事件なんかもやっているんだよなという話を聞いて、自分もそういう弁護士になりたいと強く思ってきたけれども、今現実に貸与制になって、国に育ててもらっているという意識が生まれようがないということを言っているんですね。もちろん、こういう方もいろんなことを通じて公益活動に旺盛に取り組んでいただけるとは私は思っておりますけれども、やはりそういう思いを持たせている、これがいろんな点で今後どういうことになっていくのかなと思いますと、そういう角度から今後議論も深めるべきだと思うんですね。
同時に、当然経済的な問題があります。衆議院での当時の小川大臣の答弁なんですが、修習中に経済的な支援を受けられるということでは、給費制も貸与制も実質的には同じではないかと、ただ、法曹になったときに、返還できるという経済力を付けた段階ではお返しいただきたいということなんだと、こういう答弁がありましたけれども、私はちょっと現実とは違うと思うんですね。
現に、先ほどもありましたけれども、貸与制になったということで、司法試験に受かりながら経済的な事情によって修習を辞退をしたという方のお話も直接私は聞く機会もありました。やっぱり実質的に同じではなくて、現に貸与制になったことで法曹の道が遠のいてしまう人がいる、経済的理由でと、こういうことについては大臣はどういう認識でありましょうか。

○国務大臣(滝実君) 貸与制と申しましても、国が全く負担をしないわけではございませんで、貸与制としても返還年限は十年という大変長い時間を設定しているということもあるわけでございますから、貸与制は国が全然何もやっていないんだというわけにはいかないと思います。
私も学生時代、奨学金を数々受けました。その受けた奨学金の主宰者には今でも感謝をいたしております。そんな状況でございまして、別に給費生として給付を受けたわけじゃありません、ちゃんと後返したんでございますけれども、それでもやはり奨学金を受けたという恩恵は、これは残るんですよね。そういうものだろうと私は思っております。
それがたまたま公務員に準じた格好で給費生として存在したということが一生涯の支えになっているという方がおいでになれば、それは大変良かったなということは評価しなきゃいけないとは思いますけれども、そういうような国の財政の中でどう考えるかということが、この給費制か貸与制かという議論の中では一つの判断材料としてあるんじゃなかろうかな、しかしこれはここで私が言うことじゃなくて、これから新しい体制の中で十分に議論をして決めていくという、改めて議論していく問題だろうと思っています。

○井上哲士君 時間ですので終わりますが、戦後初めて貸与制で修習を受けている人たちがいるわけですね。そういう人たちに実際何が起きているのか、よく、合議体でもそうですし、法務省としても話を聞いて、特に当面の実費負担の問題など直ちに解決すべき問題があります。そういうことも含めてしっかり対応していただきたい、そのことを申し上げまして、質問を終わります。
─────────────

○委員長(西田実仁君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、古川俊治君が委員を辞任され、その補欠として溝手顕正君が選任されました。
─────────────

○委員長(西田実仁君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
裁判所法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕

○委員長(西田実仁君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○委員長(西田実仁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十分散会