183-参-国土交通委員会-003号 2013年05月09日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。早速質問させていただきたいと思います。
今、大臣の御説明、予算の説明でも、三つ目の重点施策として、暮らしの安心、地域の活性化ということがございました。今日は、URの賃貸住宅についてお聞きしたいと思います。
本年の一月の二十四日になりますけれども、前政権の下で進められてまいりましたUR賃貸住宅の分割民営化との閣議決定が当面凍結というふうに改めて閣議決定をされました。これまでUR賃貸住宅にお住まいの皆様からは、前政権の下で進められてきた独立行政法人都市再生機構の在り方に関する調査会の方針について、居住者の居住の安定を損ない、公共住宅としての公団住宅をなくすことにつながるとして撤回を求める声が、全国二百五十団地、二十二万名の署名とともに、当時野党でございました我が党にも寄せられてまいりました。大臣もよく御存じのとおりかと思います。
UR賃貸住宅にお住まいの皆様が居住の安定についてこれほどまでに心配されるのは、例えば、その世帯主の七割はもう既に六十歳を超えている、あるいは収入源が年金だけとの世帯が約四割ある、そして世帯収入が二百五十一万円以下の方々が五割近いと、こういう背景もあろうかと思います。
政権が新たになりまして、前政権下の分割、売却、民営化の方針は当面凍結というふうになりましたけれども、その所管する大臣として真意はどこにあるのかを是非今日お聞きしたいと思っております。もちろんこの件については、UR改革ということは必要であることはもちろんでございますし、また内閣府とも連携しながらの検討が進められているというふうに思いますけれども、今日は大変時間が限られておりますので、この当面凍結の真意について大臣からお聞きをしたいというふうに思います。
なお、明年には家賃改定の季節でございますし、また、これまで国会での審議では、住宅セーフティーネット法における公的賃貸住宅としての位置付け、あるいは衆参での都市機構法附帯決議等の遵守ということも求められておりまして、そういう観点も含めまして、大臣から、この当面凍結の真意、そして今後の改革の方向性について思いをお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(太田昭宏君) URが非常に住宅を提供するということで大事な役割を果たしてきたというのは歴史的に明らかだと思います。
特に私は地元で一番多い賃貸を抱えている地域でございまして、高齢者が多くて、そして住み続けられるかどうかということが大変な不安という中で、財政論というのを中心にした改革案なるものが非常に違和感を持って皆さん方に不安を与えているという状況だったと思います。高齢者も多く住み続けられるUR団地ということを主軸にして、そして全体のこの政権におけるURの改革、独法改革全体の状況を踏まえながら対応していくということが大事だと思います。
なお、このURが抱えている多額の負債ということについては、これは当然その論議の中で考えなくてはならないとは思っております。

○西田実仁君 改めて申し上げると、今住宅セーフティーネット法というのができておりまして、ここにおいてUR賃貸については公的な賃貸住宅と位置付けるという位置付け、また都市機構法の附帯決議でも居住の安定ということが決議されておりまして、その遵守ということもお住まいの皆様から強く求められているわけでございまして、この点に関しましても、もう一度大臣、今の二つの点、住宅セーフティーネット法における公的賃貸住宅あるいは附帯決議の遵守、これについて大臣の思いをお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(太田昭宏君) 今申された二点については私は非常に大事なことだという認識をしておりまして、そのことも含めた論議ということになろうかと思います。

○西田実仁君 このURの賃貸住宅につきましては借り上げ制度というのがございまして、平成八年の公営住宅法の改正によりまして導入されたものであります。これはUR賃貸住宅の空き家対策としても有効なわけでありまして、今全国で百団地、六千八百十四戸の借り上げ公営住宅があると認識しております。これはストックの有効活用策としても大変有効であります。
しかしながら、事業主体の地方公共団体といたしましては、借り上げ期間が終了した後に、お住まいの方としては低所得の高齢者が多い中、その皆様方の居住の安定がどうなるのかということについて大変に心配しておられます。
そこで、改めて確認をさせていただきたいと思いますけれども、借り上げ公営住宅制度を活用している地方公共団体からの求めがあった場合、借り上げ期間が終了しても引き続き公営住宅としての借り上げがなされるのかどうか、ここで確認をさせていただきたいと思います。

○政府参考人(井上俊之君) お答え申し上げます。
借り上げ公営住宅としてUR賃貸住宅を御活用していただいているということはそのとおりでございまして、例えば阪神・淡路の大震災の被災者向けの住宅としての借り上げ、これはまだ期限来ておりませんけれども、近々来る予定でございます。
御指摘のように、二十年という一定の期間はあるわけでございますが、これを過ぎたときの御不安というのは非常に大変なものだと思います。丁寧にそこを公共団体と一緒に説明しながら、かつ、御指摘いただきましたように、期間を延長するという求めがあれば、これはしっかり応じてまいりたいと思います。

○西田実仁君 ありがとうございます。
最後に、このUR賃貸住宅の、お住まいの高齢者の皆様への対応ということについてお聞きしたいと思います。
お住まいの皆様からの声として、切実な声でございますけれども、高齢化が進む中で認知症の高齢者の皆様も大変増えているということで、地域で見守りをし合いながら頑張っているものの、中には認知症で亡くなったことにも気付かれずにいるケースもあるというふうに聞いております。
なかなか高齢者、あるいは認知症を患ってはなおさらなかなか住まいが民間住宅では見付からない中、こうしたUR賃貸住宅の新たな現実を踏まえた新たな住宅政策が必要ではないかという声もありまして、説得力があると私は思っております。
こうしたUR賃貸住宅の実態を踏まえた今後の公共住宅政策について、最後、大臣の思いをお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(太田昭宏君) 高齢者が多くなってきてと、また一方では空き家が多いということも、空き室が多いということもございますものですから、例えば千葉県柏市の豊四季台団地ではURによる団地の建て替え、再生に合わせてサービス付き高齢者向けの住宅と医療施設や福祉サービス施設を民間活力を活用して展開しているということ、あるいはまた介護事業者等の民間企業がこのURの空き家を借り上げるというようなことで、例えば今障害者のグループホームとして活用しているところが全国で十四戸ほどなんですけれども、ありますけれども、そうした障害者のグループホームとしてこの空き家等を活用することに加えて、私は高齢者自体のグループホームということを取り入れていくということが大事なときに来ているなというふうに思っておりまして、それに向けての動きを開始したいと強く思っているところでございます。

○西田実仁君 終わります。