189-参-財政金融委員会-006号 2015年03月31日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
まず、この税関におけます薬物対策、対象は規制薬物、指定薬物に該当する可能性のある全ての物質ということになるわけでありますけれども、そのうち、何が危険ドラッグで、あるいは規制薬物、指定薬物なのかということを見分けるには、まさに時間との戦いという面もあろうかと思います。全国九つの税関、百九十九の官署におきまして、この時間との戦いである水際対策は、備えるべき分析機器、また、それを見分ける人材共に今十分なのかどうか、ただいまも議論がございました。そういう視点でまずお聞きしたいと思います。
最初に、危険ドラッグの疑いのある物質につきまして、税関、厚生労働省、それぞれがどのような役割を果たしていくのか、今回の関税法の改正によって両者の役割分担にどのような変化が生じるのか、財務省にお聞きしたいと思います。

○政府参考人(宮内豊君) 昨年の議員立法によりまして、医薬品医療機器等法の改正がございました。それによりまして、厚生労働省は、指定薬物と同等以上の毒性を有すると疑われる物品に対しても検査命令及び輸入等の停止命令を発出することができるということとなりまして、検査の結果によっては、事後的に指定薬物に指定をし、輸入を禁止することができるようになったわけでございます。
しかしながら、今のところ税関では、まず、薬物の廃棄について申し上げますと、指定薬物と判明した場合でありましても没収、廃棄をすることができず、厚生労働省に対応を要請するというにとどまっております。また、指定薬物の輸入の事実のみでは、税関自らが犯則調査を行うことはできないままでありました。このため、麻薬取締部や警察に税関から連絡を行い、捜査をしていただいていたわけでございます。
今回の関税法の改正によりまして、指定薬物が関税法上の輸入してはならない貨物となることで、まず第一に、税関による指定薬物の没収、廃棄、あるいは迅速な犯則調査が可能になるということがございます。また第二に、指定薬物の輸入に対する罰則が強化されるということにより、その抑止力が高まるということがございます。こういったことから、医薬品医療機器等法の改正により措置した事項と一体となって、水際取締りの効果を更に高めるものと考えております。

○西田実仁君 できる限り速やかに危険ドラッグかどうかということを見分けていくために、百九十九の官署に分析機器やあるいは人材が十分に足りているのかどうか、先ほども少し議論がございましたが、今後の取組も含めまして、大臣の御決意をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) 今の百九十九官署というのは、これはいわゆる出張所や支署やら全部含めて百九十九なんですけれども、この税関においては、その各官署の業務量に応じて必要な人材やら何やら配置したり、情報を集めたり分析したり、また、いわゆる機械を使ってエックス線だ、爆発物探知機だというようなものを使って、いろいろ疑わしい貨物に対して検査を実施しているんですが、この新たに危険ドラッグを含む指定薬物に該当するか否かの判定というのは、新たにこれ仕事が出てくるということになるんですが、各税関の本関の分析部門及び主要空港官署においての、先ほど言いましたガスクロマトグラフのあの質量分析器などを使用した分析を行っているんですが、本関というのは九税関のこと、それぞれの本部のことを言うんですが、こういったガスクロマトグラフの質量分析器等々、複数の成分を有する、何といいますか、ものをガス化して、それぞれの成分を分析するというようなものの機械というのは、そうなかなかたくさん配置できるわけではないんですが、したがって、そういう機器がない官署においても各本関と、税関の本関と密接な連絡を取って迅速な分析を行っているところなんですが、今後ともこの種の話は増えてくるということを覚悟しておかぬといかぬと。先ほど尾立先生からの質問にもあったとおりなので、この税関の現場の状況に応じて、事前の情報というのはもちろんですけれども、定員それから機械等々、両面で体制をしっかり備えていかないと、急激にオリンピックまでの五年間にわあっとということになってくる可能性というのは十分にありますし、事実、外国人というのは、ついこの間まで八百万だったものがもう千三百万というのでここまで来ておりますので。
そういった意味では、台数をあちらこちら増やして、今三十三台までガスクロマトグラフ出てきておりますけれども、今年これを三十五台にするのかな、いろんな意味で努力をしておるところですけれども、こういうものの増え方というのは本当に真剣に取り組まないといかぬものなんだと、私自身はそう思っております。

○西田実仁君 是非、こうした速やかに見分ける能力を高めていくための体制づくりについてお願いしたいと思います。
現行法におきましては、指定薬物につきまして、税関は輸入者に医薬品医療機器等法上輸入が認められている旨の証明がされない限り輸入の許可をしないとなっておりましたのが、改正後は税関は違法な指定薬物であるとの事実をもって輸入の許可をしないとなるわけであります。
そこで、財務省にお聞きしますが、従来、指定薬物に関しまして輸入の許可を行っていた医薬品医療機器等法上輸入が認められる旨の証明がされた場合にどのような対応になっていくのか、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(宮内豊君) 指定薬物につきましては、従来から、税関への輸入申告に際して、輸入者から厚生労働省が医療等の用途に供するものであることを確認したということを証する輸入指定薬物用途誓約書というものの提示を求めておりまして、当該誓約書が提示された場合は輸入を許可することとしておりました。
実は、関税法改正後におきましてもこの取扱いに変更はございませんで、当該誓約書が提示された場合は輸入を許可することとなります。

○西田実仁君 この危険ドラッグに関しましては、原料物質の輸出国側における規制強化も大事であろうというふうに思います。当然、水際対策として入ってくる際の厳しく取締りもしなければいけませんけれども、その物質を輸出する側に対しましてもきちんと規制を強化して、そういうものを輸出しない体制づくりが大事ではないかと思いますが。
厚労省にお聞きしたいと思います。こうした危険ドラッグ原料物質の輸出国側において規制の強化が図られるように日本としてどのような協力あるいはそうした促しをされておられるのか、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(成田昌稔君) 過去の取締り事例から、我が国で摘発されました危険ドラッグの原料物質は中国が輸出国となっているものが複数ございます。
厚生労働省といたしまして、こうした実態を踏まえまして、昨年九月にフランスで開催されました国際麻薬統制委員会の危険ドラッグの対策に関する会合や、昨年十月にタイで開催されましたアジア・太平洋薬物取締機関長会議等の国際会議におきまして我が国の危険ドラッグへの取組を説明させていただくとともに、輸出国に対し危険ドラッグ原料物質の製造、輸出等について国内規制及び取締りを求めてきたところでございます。
今後とも、国際会議等の機会を捉えまして、輸出国に対して取締りの強化を求めていくこととしております。

○西田実仁君 それに関連しまして、危険ドラッグに関して、関税として関税技術協力というのをずっとODAの一環として行ってこられたと思いますけれども、今回こうした危険ドラッグ対策をより拡充をしていくというところで、今後この関税技術協力、予算も含めてどのように取り組んでいかれるのか、財務省にお聞きしたいと思います。

○政府参考人(宮内豊君) 関税技術協力は、対象国における税関行政の近代化を通じて貿易円滑化を図るとともに、安全、安心な社会を実現すること等を目的としております。
御指摘のとおり、危険ドラッグを含む不正薬物対策に向けた技術協力ということも含めて効果的な実施をしてまいりたいというふうに考えております。
〔委員長退席、理事若林健太君着席〕

○西田実仁君 最後にEPAについてお聞きしたいと思います。
EPA税率の適用を受けられる企業をより利用を増やしていこうと、こういうことで、様々な努力を財務省としてもされていることは承知しております。EPAの締結が増えていく中で、その利用企業も増えつつあります。
例えば、特定原産地証明書の発給状況、これを見ますと、私の手元には二〇一三年度の数値ですが、十八万三千件で、前年比で二〇%近く増えております。タイとかインドネシア、インドといったところに対する輸出においてEPA税率等が適用されていると。また、登録業者も首都圏、中部、関西圏で全体の八割以上を占めておりまして、中小企業におきましても七割近くこれを利用しているということで、年々その比率は上昇しているというふうにも承知しております。
とはいいながら、中小企業を中心にこうしたEPA、FTAの利用をちゅうちょする向きも少なくないと。どう利用していいのか分からないとか、そういう人材が中小企業にいないとか、あるいは技術を取られてしまうんではないかと、そういったおそれがあるということでの利用率がなかなか上がっていかないということも承知しておりますが、財務省にお聞きしたいのは、中小企業のこのEPA利用を更に促していくためにどのような工夫をされていかれるのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) いわゆる経済連携協定、エコノミック・パートナーシップ・アグリーメントというのを略してEPAとよく言われるようになっておりますけれども、これは全国津々浦々でこれやらせていただいておるんですけれども、少なくとも現在、豪州を含めまして十四か国がEPAを既に締結しておりまして、交渉中、署名済みのものを足しますと十か国、これが全て発効すると日本の貿易総額の約八五%をカバーということになりますから、もう物すごく大きな意味を持つと思っております。
したがいまして、中小企業を含めまして、輸出業、また製造業、また通関業者等々、金融、いろんな幅広い業種から多数の参加をいただいていて、少なくとも参加者からは結構な評価をいただいておると思っております。
また、商工会議所、ジェトロ等々のセミナーの共催というのもやらせていただいているんですが、税関として、例えば原産地規制などの税関の手続とか、商工会議所からは原産地証明書の発給手続、またジェトロからは実際の企業のEPAの活用事例などの内容等々を説明をいたしているところです。
〔理事若林健太君退席、委員長着席〕
また、ホームページ等々においても、ジェトロのホームページ等々を利用していただいて、税関のホームページとジェトロのホームページとリンクできるようにしたりしておりますので、閲覧が随分可能になってきておりますし、今後とも経産省、商工会議所、ジェトロ等々、省庁横断的な連携を図りながら、いわゆる中小企業にこの経済連携協定をより積極的に、これはこんなに意味があります、利用しやすいものですということを分かっていただけるような後方支援活動というのをこれは引き続きずっとやっていかないといかぬものなんだと、私らはそう思って努力してまいりたいと思っております。

○西田実仁君 終わります。