193-参-内閣委員会-002号 2017年03月09日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 大変長時間になってまいりましたけれども、大臣におかれましては御答弁のほどよろしくお願いいたします。
 まず、私は、犯罪被害者支援について今日はお伺いをしたいと思います。身近なところにも実際に犯罪に遭われた被害者の方から様々お話を伺っておりまして、それに基づいてどんな取組をされているのか、改めてお聞きしたいと思います。
 この犯罪被害者等基本法というのは平成十六年十二月に制定をされております。したがって十年余りということになりますが。昨年四月の一日には第三次、三回目の犯罪被害者等基本計画が閣議決定をされております。そして、これまでこの犯罪被害者等の施策というのは内閣府が担ってこられましたけれども、昨年四月からは警察庁、国家公安委員会に移管をされております。
 なぜ移管されたのかという目的は、よりきめ細やかな取組を図ることができるからと、こういう話であったというふうに思います。この第三次犯罪被害者等基本計画にも記されておりますように、この移管に伴いまして関係行政機関双方の連携や協力に支障が来すようなことがあってはならないと、このようにも強く思います。
 この犯罪被害者、またその御家族、関係者の方々にとりましては、事件発生直後のいわゆる危機介入から中長期の生活支援まで途切れない支援の重要性ということがよく指摘をされているわけでございます。平成二十七年の犯罪被害者週間、京都で大会が開かれたその基調講演では、今から二十年前に起きました神戸児童連続殺傷事件で御次男の尊いお命を落とされましたお父様が、お医者さんでございますけれども、その方の基調講演も拝見をさせていただきました。まさにそのタイトルは「途切れない支援の重要性」と、こういうタイトルだったわけでございます。
 そこで、今日、まず警察庁にお聞きしたいと思いますけれども、警察庁が市町村に要請をしてまいりました犯罪被害者等に適切な情報提供等を行う総合的対応窓口、この現状が全国でどのようになっているのか、特に、その数のみならず、事件発生直後の危機介入から中長期の生活支援までの途切れない支援というそういう観点から、これらの窓口がどのような機能を果たしていくべきなのか、その現状と、また基本計画の最終年度は五年後ですから平成三十二年度末ということになりますけれども、そこに向けてのこの拡充策についてお聞きしたいと思います。

○政府参考人(西川直哉君) お答えを申し上げます。
 平成二十八年四月末現在の数字でございますが、犯罪被害者等に情報提供を行います総合的対応窓口は、全国一千七百二十一市区町村中一千六百六十四市区町村において設置されているところでございます。最新の数値については現在集計中でございますが、若干の増加となる見込みでございます。
 犯罪被害者支援、これは関係機関や団体が緊密に連携をいたしまして、先生御指摘のように、犯罪被害者等に対して途切れない支援を行うことが重要でございます。その中で、この総合対応窓口は、犯罪被害者等からの相談、問合せに対応して、その要望を酌み取り、関係部局や関係機関、団体に関する情報提供や、これら部局、団体に対する橋渡しの役割を果たすことが期待されておるところでございます。
 第三次の犯罪被害者等基本計画におきましては、地方公共団体における総合的対応窓口の設置促進とともに、その充実促進、さらには犯罪被害者等の生活支援を効果的に行うための犯罪被害者支援分野における社会福祉士等の専門職の活用等が盛り込まれたところでございます。警察庁といたしましては、この基本計画に基づきまして、引き続き、市町村における総合的対応窓口の設置及びその充実等の促進を図りますとともに、犯罪被害者等に対する中長期の生活全般にわたる支援の推進に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○西田実仁君 今お話しの総合的対応窓口なんですけど、これちょっと通告していませんけれども、私、地元の埼玉でも各市町村でその総合的対応窓口というのを一覧表が出ていますので見ましたけれども、これ総合的対応窓口とか犯罪被害者という言葉はなかなかないんですね。例えばどういう名前かというと、住民参加推進課というところがそれを担っているとか、健康いきいき課がその犯罪被害者支援を担っている。なかなか、犯罪被害者の窓口ですとやること自体がそもそも問題になるから、なかなかできないのも分かるんですけれども、しかし一方で、そうした、どこに相談に行ったらいいのかという、一番身近な市町村の総合的対応窓口といっても、どこが総合的対応窓口なのかということがなかなか周知されていないんじゃないか、被害を受けられた方がある意味非常に身近なところで相談に行くということが実際なされていないんじゃないかという懸念を持つわけでありますけれども、大事なこの総合的対応窓口の周知についてはどういう工夫をされていこうとしているんでしょうか。

○政府参考人(西川直哉君) 最初に、私、四月末現在と申し上げたようでございますが、四月一日現在でございましたので、訂正させていただきます。
 犯罪被害者窓口、総合的対応窓口の周知徹底でございますが、これは、犯罪被害者に対応する機関としては私ども警察を中心にいたしまして様々な機関がございます。こういった機関が犯罪被害者と直接接触をする機会がたくさんございますので、そういった機会等を通じまして周知徹底に努めてまいりたいというように考えております。
 以上でございます。

○西田実仁君 是非、そういう充実させていくときにちゃんと御案内をしていただくという人が、必要があると思います。ぱっと行ったら多分分からないと思いますのでね。
 今御指摘いただきましたような途切れのない支援というためには、いわゆる事件が起きた直後の裁判をどう乗り越えるのかということでまず大変なハードルがありますけれども、それのみではなくて、その後のあるいはその間の生活支援、医療、福祉から学校、仕事まで、中長期的に寄り添って支援する体制というのが大変必要になってくるというふうに思います。
 そこで、今日は、せっかくですので委員会で皆さんに御紹介したいと思いますけれども、被害者ノートというのがございまして、民間の団体であります途切れない支援を被害者と考える会というのが作成をされておられまして、これ書き込み式になっておりまして、実際に被害に遭われた方が、いろんな事件の裁判、弁護士をどう探すかとか、マスコミにどう対応していくのかとか、裁判所、どう対応するのかという、事件直後の危機介入から始まって、その被害者とその家族、医療や体や心、あるいは手続リストとか、お見舞いなどに来た人を記したりというようなことが事細かに書き込み式になっておりまして、実際に犯罪に遭われた、被害に遭われた方の御家族が中心となって、こういうものが手元にあると、万が一、誰がこういう状態になるか分かりませんので、なったときにでも、すぐにこれによって少しでも心が休まって実際に手続等ができるようにという、そのために作られたのがこの「HIGAISHA NOTE」という、わざわざローマ字にしておりますのも、なかなか自分が被害者であるということを宣伝する人っていないわけでありますので、これをあるいは隠しながら、テープで貼りながら利用するようなカラフルなノートにもなっているわけでございます。
 こういうことが、私は、いざなったときに、準備している人はなかなかいないものですから、なったときにこういう被害者ノートを使って、どうやってこれを乗り越えていくのかということに大変大きな役に立つものではないかということで改めて紹介をさせていただいた次第でございます。この被害者ノートは、平成二十七年度の犯罪被害者白書にも紹介をしていただいております。
 今申し上げましたように、実際、犯罪の被害者の御家族が自らの体験を基にして作成をされました、被害者の歩みの道しるべとなる被害者の方のための教科書、そういうふうに言ってもいいのではないかというふうに思います。
 今日は、大臣にもお見えいただいております。国家公安委員長としてお伺いしたいと思います。
 総合的対応窓口の話がございましたけれども、この窓口、あるいは警察の窓口もそうですけれども、当然事件直後は対応していただくわけですけれども、それを一旦乗り越えた後、しばらく事件となかなか正面から向き合うまでに時間が掛かる、立ち直ってもう一度被害あるいは犯罪に真っ正面から向き合っていこうというふうになるまでに相当の時間が経過する場合も当然あります。
 しかし、そうやって時間が経過した後でも、被害者が立ち直ろうという気持ちが起きたときから、やはりそういうときからでも警察に、あるいは市町村のこの窓口でも支援をしていくべきではないかというふうに思うわけでございまして、こうした事件発生直後から相当の時間を経過した被害者及びその家族に対する寄り添った支援というものについてどのようにお考えかを大臣にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(松本純君) 犯罪被害者等は、被害直後だけでなく、中長期にわたり生活全般に対する様々な支援を必要としているところでございます。
 犯罪被害者等基本法は、国の責務とともに、第五条におきまして地方公共団体の責務を規定しております。地方公共団体は、犯罪被害者等に身近な公的機関として、犯罪被害者等に対する中長期の生活全般にわたる支援において中核的な役割を果たすことが期待をされているところでございます。
 第三次犯罪被害者等基本計画では、中長期的な視点からの生活全般にわたる支援の必要性が明記されておりまして、これを踏まえて、地方公共団体における犯罪被害者支援の促進を図るため、総合的対応窓口の充実等の具体的施策が盛り込まれたところでございます。
 地方公共団体の総合的対応窓口が関係機関、団体と緊密に連携をし、相談を受理した時点における個々の犯罪被害者等のニーズに応じて、犯罪被害者等に寄り添った支援を中長期的にも実施できるよう、政府として、第三次基本計画に基づいて引き続き地方公共団体に対して必要な支援、助言を行ってまいりたいと存じます。

○西田実仁君 その際、被害者の方々がよくおっしゃるのは、身近なところでと先ほど申し上げました、一番今いいなと言われているのは、やっぱり市区町村におけます条例ですね、これが、やはり条例がきちんとできているところについては様々な支援が非常にきめ細かくやられているという話をお聞きします。
 全国で自治体で初めて犯罪被害者等支援条例が制定されたのは、実は私の地元の埼玉の嵐山町というところでございますが、平成十二年四月です。最近では、兵庫の明石市で作られております条例が大変に関係者の間では評判でございます。この中では、市の責務として犯罪被害者等の支援ということが定められ、相談及び情報の提供でありますとか、あるいは日常生活の支援でありますとか、支援金の問題とかが事細かくきちんとこの条例の中に位置付けられております。その条例ができただけではなくて、その条例に基づいて、被害者あるいはその家族に対する支援も大変にきめ細かくなされているというふうに聞いております。
 今大臣がおっしゃっていただきました第三次基本計画におきましても、地方公共団体における総合的かつ計画的な犯罪被害者支援の促進として、警察庁において、犯罪被害者等に関する条例の制定又は計画、指針の策定状況について適切に情報提供を行うと、このようにございます。
 そこで、この問題、大臣にお聞きしますが、市区町村におけます犯罪被害者等に関する条例の制定状況はいかがでありましょうか。また、国としてこの条例制定に関する情報提供は今後どのように行っていかれますでしょうか。二つお聞きしたいと思います。

○国務大臣(松本純君) 平成二十八年四月現在、三百六十九の市区町村におきまして犯罪被害者等に関する条例が制定されていると承知をしております。警察庁では、これまで第三次犯罪被害者等基本計画に基づき、会議や地方公共団体等向けのメールマガジン等を通じまして、地方公共団体に対して犯罪被害者等に関する条例等の制定状況について適切に情報提供を行っていると承知しております。
 今後とも、他の地方公共団体の参考となる先進的な条例等について情報提供するなどいたしまして、地域における犯罪被害者支援の充実促進が図られるよう警察を指導してまいりたいと存じます。

○西田実仁君 ありがとうございました。
 委員長のお許しがございましたら、松本大臣はここで御退席いただければと思います。

○委員長(難波奨二君) 松本大臣、御退席していただいて結構でございます。

○西田実仁君 次に、地方創生と広域連携につきまして、山本大臣にお聞きしたいと思います。
 私は、前にも予算委員会でも申し上げていますが、地方創生には広域連携というのが非常に大事だというふうに思っております。観光におきましても、介護やあるいは防災という点につきましても、一つの自治体でできることはもちろんありますけれども、やはり広域連携することによってより住民やあるいは経済活性化にプラスになると。そういう意味では、広域連携なくして地方創生というのもないのではないかということも申し上げてまいりました。
 全国にも今広域地方計画というのが展開をしております。首都圏の広域地方計画もその一つでございます。この計画に位置付けられました、さいたま市のプロジェクトにおきましては、ちょうど開業一年になります北海道新幹線、あるいは東北、北陸、上越各新幹線、六路線がこの埼玉の大宮に集結をするわけでございますけれども、その地の利を生かして、新幹線の沿線都市など東日本の対流拠点機能、これを整備するとともに、万が一首都直下地震等の大規模災害が襲った場合に、それを支える災害時のバックアップ機能として、その拠点として今取り組んでいるところでございます。
 そこで、まず国交省にお聞きしたいと思います。
 この首都圏広域地方計画におけますさいたま市プロジェクトの位置付けはどのようになっているでしょうか。

○政府参考人(北本政行君) お答え申し上げます。
 平成二十七年八月に閣議決定されました国土形成計画の全国計画を踏まえまして、首都圏を始めとする全国八ブロックについて、国、地方公共団体、経済団体等で構成いたします広域地方計画協議会における検討、協議を経て、広域地方計画は昨年三月に決定されました。
 委員御指摘のさいたま市のプロジェクトでございますが、御指摘のとおり、北海道、東北、上信越、北陸方面からの新幹線が集結するという同市の立地特性を生かしまして、東日本の連携・交流機能の集積、強化等を図る広域連携プロジェクトとして首都圏広域地方計画に位置付けられているところでございます。
 特に、三大都市圏がリニア中央新幹線で結ばれて形成されますスーパーメガリージョンの東日本の玄関口として、さいたま市は、首都圏のみならず国土構造全体の観点から大きな役割を果たすことが期待されていると認識してございます。
 また、さいたま市は、自然災害に強く、国の出先機関が集積しておりますことから、災害時におけるバックアップ拠点として首都中枢機能を支える都市機能の充実等を図ることとしてございます。
 このように、さいたま市は、同プロジェクトを通じまして極めて大きな役割を果たすことが期待されているものと考えているところでございます。

○西田実仁君 このさいたまプロジェクトを始めといたしまして、今全国に八つ展開されております広域地方計画に位置付けられました広域連携プロジェクトというものは関係省庁が団結をして支援していく必要があると考えます。
 そこで、再び国交省にお聞きしますが、広域地方計画に位置付けられましたプロジェクトをどのように推進していかれるのでしょうか。

○政府参考人(北本政行君) お答え申し上げます。
 現在、広域連携プロジェクトは、基本的には地域主導で順次推進されつつあるところでございます。国といたしましては、それぞれの地域において官民の多様な主体が連携して構想を具体化し、取組を加速していくために、例えば先行的な事例の検討などに対する必要な支援を行ってまいる所存でございます。
 委員御指摘のさいたま市のプロジェクトにつきましては、首都圏のみならず国土全体にとって非常に大きな役割を果たすものであることに加えまして、地方創生を実現していく観点からも大変重要なプロジェクトと認識しておりまして、関係府省とも連携しながらしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

○西田実仁君 こうした広域連携の取組を後押しをするためには、地方創生交付金というものが大変重要であると私も認識をしております。
 そこで、内閣府にお聞きしたいと思います。
 今、国としても大事なプロジェクトというふうに言っていただいた、さいたま市のこの東日本の広域連携プロジェクトに関します地方創生交付金による支援の状況はいかがなものでございましょうか。

○政府参考人(奈良俊哉君) お答えいたします。
 地方公共団体が連携し、広域的なメリットを発揮する事業であることを地方創生推進交付金の申請の際の重要な要素としているなど、地方創生の推進に当たり地方公共団体間で広く連携して取り組むことは重要であると、このように考えてございます。
 御指摘のとおり、さいたま市は、東日本連携・創生フォーラムを始めとして東日本の各都市が広域に連携する取組を実施しており、その一環として、地方創生関係交付金を活用してこうした地域間連携を含む広域的な事業が取り組まれていると、このように承知してございます。
 具体的に申し上げれば、例えば昨年十一月の地方創生推進交付金の平成二十八年度第二回募集では、東日本各都市の情報発信等を共同で行う東日本連携支援センターの創設、運営を内容とする東日本交流プラットフォーム創出による東日本の活性化プロジェクトが採択されたところでございます。
 このような地域の実情に応じた広域連携の取組を更に推進するため、今後とも国として、地方創生推進交付金といった財政面に加え、情報面、人材面からも積極的に支援してまいりたい、このように考えてございます。

○西田実仁君 この地方創生加速化交付金事業としては、今日お手元に委員の皆様にもお配りをさせていただきました。
 例えば軒先マルシェというのがありまして、無償で百貨店等の軒先の提供を受けて、今まで百貨店では取り扱うまでに至っていない逸品をテストマーケティングするという、そういう軒先マルシェというものも地方創生加速化交付金事業として行っておりますし、また、東日本連携各市のおいしいものを直接バイヤーが選定して、連携拠点である大宮で初登場の商材が並ぶ催事を百貨店で行ったりというのが真ん中のBツーCの事例でございます。また、BツーBとしては、さいたま市内の飲食店等で東日本エリアの商材をチャレンジで仕入れる際に、その送料をさいたま市が負担をして、それをマッチングするというような、そういうBツーBの交付金事業として行っているものもございまして、様々こうしたことを展開しながらこれからも更に取組を進めていくんだろうというふうに思います。
 その際、大切なことは、私も連携連携と言っていますけれども、単に連携するだけではなくて、最も大事なのは、大臣が所信でも言われております、まさに平均所得の向上、まあ私の言葉で言えば稼ぐ力を身に付けると、稼ぐ力を高めると、これがないと連携だけしてもしようがないわけですね。特に私は、東京オリンピック・パラリンピックというのが二〇二〇年にあります、これに合わせて稼ぐ力をいかに高めていくことが大事かということを指摘したいと思います。
 二〇一二年のオリンピック、ロンドン・オリンピックでございました。実は、この二〇一二年のロンドン・オリンピックは、二千十二個の市民農園というのを造って、それがレガシーとして今も残っております。地産地消による来訪客へのもてなしを念頭に、このロンドン・オリンピック・パラリンピックを契機に、ロンドン市内にある五平米以上の空き地を利用して今申し上げた二千十二か所の市民農園を設置したんですね。地産地消に資する食と農の転換を図る官民一体のプロジェクトが行われました。このプロジェクトには約六万人のロンドン市民が参画をし、コミュニティーの再生あるいは地域活性化を図ったと、こういうふうに言われているんです。それを実施しましたのは、イギリスの食の改善団体であるサステインという団体だそうでして、ロンドン五輪を契機にロンドンにやってくる数百万人の外国人にいかに世界に誇れる食事と文化の多様性を提供するかと。
 まあイギリスに別に私も詳しくはありませんけど、今まで、どっちかというと、イギリス行っておいしいものを食べようという人は余り、どうでしょうか、いないんじゃないかというふうに、まあよく分かりませんけど、いるのかもしれませんが、私は余り詳しくないんですね。しかし、そのロンドンで、地産地消の市民農園を二千十二か所造って、そしておいしいものをみんなに、オリンピックに来られた方に食べていただこうというプロジェクトがこれ大成功しまして、私はまだ飲んだことはありませんけれども、この二千十二か所の農園の中には、ブドウ畑でこのオリパラを契機にロンドン産のワインが製造されて公式の飲料として採用されたということで、まさにオリパラのレガシーとなって今にまた飲み継がれていると、こういう事例もございます。こうした成功体験を是非東京大会でも参考にできるのではないかというふうに思ってございます。
 お配りをさせていただきました二枚目の図表を見ていただきますと、この東京オリンピック・パラリンピックを契機とした東日本との連携の可能性ということで地図を作らせていただきました。
 オリンピックの会場は言うまでもなく東京が主ですけれども、さいたま市でも、また埼玉県でも四か所で今予定をされておりますし、また宮城のスタジアム、サッカーも予定されております。この緑のところがちょうど東日本の新幹線の路線でございますし、先ほど連携フォーラムの話をしていただきましたけれども、その参加した都市は紫色のところ、新幹線の沿線都市が緑のところと、こういうふうになっているわけでございまして、この東京オリパラを契機とした東日本との連携の可能性は大いに高まるのではないかというふうに思っております。
 二〇二〇年に向けて、広域連携、官民連携の東日本連携と東京オリパラの相乗効果によって、東日本の全体のこの稼ぐ力を高めることが私は期待されると思っています。それは同時に、オリンピック・パラリンピックのレガシーに向けた取組にもなるというふうにも思うわけであります。
 そこで、山本大臣にお聞きしたいと思います。
 広域連携、官民連携の下に地域の稼ぐ力を高める取組を支援していくことが重要であり、その際、東京オリパラというタイミングを最大限に活用してその取組を加速させていくということが地方創生の観点から大変に重要になるのではないかと考えますけれども、大臣の御所見を伺います。

○国務大臣(山本幸三君) 全くおっしゃるとおりだと考えております。
 私も、地方創生というのは地方の平均所得を上げることだと定義しておりまして、地域が稼ぐ力を涵養していただかなければ持続的な成長ができないと思って強調してまいりまして、そういう意味で、先ほど御紹介の交付金を使っていただいて地域の連携の下に稼ぐ取組をやっていただいていることは大変有り難く思っておりますし、これこそ地方創生の一番のポイントじゃないかなと思います。
 これは、そういう広域連携、官民連携を図って稼ぐ力を高めていただくということについては、今回のまち・ひと・しごと創生総合戦略の改訂版でも考えておりますし、あるいは推進交付金等においても重視しているところであります。その際に、御指摘のように、オリンピックを活用するということは私も地方創生にとっては非常に大事なことだと、オリンピックを目掛けてたくさんの方が来られるわけでありますし、是非そういう方を、地方にまで足を広げていただく、そして地方の魅力ある食あるいは文化というものを味わっていただいて、そしてそれがレガシーとして継続的につながっていくということが非常に大事なことだと思っております。
 ロンドン・オリンピックのときは市民農園というのがあったというのを初めて聞きまして、大変参考になりますので、これは勉強させていただきたいと思います。
 ロンドン・オリンピックのときに観光を盛り上げるという意味で成功したと言われているのが、文化プログラムをつくって、ロンドンのみならずイギリス全体の美術館、博物館を観光客のために大改革をしたんですね。例えば、大英博物館の中の壁を取っ払って、真ん中に人が集まるところをつくって、そこからいろんな部門に行くというように全部やり替えました。そのときに一番抵抗したのが学芸員でありまして、そのときは観光マインドがない学芸員は全部首にしたというんですね。それぐらいの取組をやって、その後、ロンドンにまさに大英博物館を始め大変な観光客が継続して続くようになりまして、オリンピック終わってもにぎやかさを保っているというようなことであります。
 そういう意味で、この教えていただきました市民農園の取組を是非勉強させていただいて、地方創生につなげていきたいと思っております。
 さいたま市が取り組んでおります東日本連携支援センター、こういうものの設置は、東日本全体のビジネス、観光等の交流人口の滞留拠点となるものでありまして、東日本各地域の稼ぐ力の向上にも資するものと期待しております。こうした取組に対しては、地方創生の三本の矢で強力に支援していきたいと思っております。

○西田実仁君 ありがとうございます。
 このさいたま市、稼ぐ力をどう高めるかということと同時に、先ほど申し上げましたように、首都の中枢機能を支える災害時のバックアップ拠点機能の強化も重要であります。これらを含めた都市基盤の強化をこれから進めていくわけでありますが、まず内閣府にお聞きしたいと思います。さいたま市におけます都市再生緊急整備地域の指定状況はいかがになっているでしょうか。

○政府参考人(頼あゆみ君) お答えさせていただきます。
 現在、さいたま市内では、さいたま新都心駅周辺地域が都市再生緊急整備地域に指定されているところでございます。
 以上でございます。

○西田実仁君 このさいたま市の位置付けとして、特に新都心が災害時のバックアップ拠点としてテックフォースの進出拠点には位置付けられました。これ、国交省ですね。また、広域防災機能を補完するオープンスペース等を整備していく必要も今後はございまして、指定を継続するとともに、必要に応じてそれを拡大していくということを目指していると聞いております。特に、さいたま市では、今申し上げた都市再生緊急整備地域の拡大を検討しておりまして、首都の防災拠点及び東日本の玄関口としての機能が期待されてございます。
 このように、さいたま市の都市機能というのは、首都圏全体、また首都を守っていくバックアップ機能という点からしますと、国全体に役立っていくものであるというふうに私は思っておりまして、都市再生緊急整備地域の拡大につきましては、是非前向きに対応していくべきではないかというふうに考えます。
 都市再生緊急整備地域を所管する山本大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

○国務大臣(山本幸三君) さいたま市におきましては、大宮駅周辺地域を新たに都市再生緊急整備地域に指定したいとの意向を有していると認識しております。
 また、御指摘のとおり、首都圏広域地方計画におきまして、大宮は、大日本のネットワークの結節点として連携・交流機能の集積、強化を図るとともに、災害時のバックアップ拠点機能の強化を図る地域に位置付けられていると認識しております。
 現在、次期新規指定等に向けて自治体からのヒアリングを行っているところでありまして、関係自治体の意向を踏まえて、有識者委員会からの助言もいただきながら、指定地域にふさわしいと認められる地域については適切な指定を実施してまいりたいと思っております。夏頃になると思っております。

○西田実仁君 ありがとうございます。
 続きまして、全く違うテーマですが、天下り対策の在り方についてお聞きしたいと思います。引き続き山本大臣は、今度は国家公務員制度の担当大臣としてお聞きしたいと思います。
 今回の文科省によります天下り問題につきましてどう考えていくべきなのか。文科省におけます問題の全容並びに全省庁における厳格な調査結果はいまだ見ることはかないませんが、そもそも今から十年前の二〇〇七年には国家公務員法の改正におきましてどのような議論が行われ、にもかかわらず今回のような事案が出てきたのかということについては、立法府としてもしっかりと確認をしていく必要があるのではないかというふうに私は思っております。文科省においては前事務次官を筆頭になぜこの公務員法違反事案とされるものが発生したのか、その本質はどこにあるのかということで担当大臣にお聞きしていきたいと思っております。
 これは明らかに国家公務員法違反という異常な事態だというふうに私は思いますけれども、なぜ異常かといえば、これは憲法七十三条に規定されております、内閣の仕事の第一は法律を誠実に執行することということになっているわけでありまして、それに違背するというふうに言わざるを得ないわけであります。しかも、国家公務員法十八条の五におきましては、内閣総理大臣は、職員の離職に際しての離職後の就職の援助を行うというふうに規定しているわけでありますので、当時、十年前にも議事録を見ますとそのような指摘がございますけれども、不当な天下りが蔓延するということは、これは内閣総理大臣にもその責任が及ぶという大変重大な事案になってくるわけであります。
 そこで、まず今回の文科省天下り事案につきまして、国家公務員制度をつかさどる大臣としてどのような認識をお持ちか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(山本幸三君) 今回の文部科学省における再就職規制違反事案につきましては、国民の信頼を揺るがすものでありまして、あってはならないものであると考えております。文部科学省において、全容の解明に向け徹底した調査を行い、再発防止策を講じてもらいたいと思います。
 また、本事案で生じた国民の疑念を払拭するために、安倍内閣総理大臣から私に対し、同様の事案がないかどうか全省庁について徹底的な調査を行うよう指示がございました。現在、内閣人事局に立ち上げた再就職徹底調査チームにおいて全力を挙げて調査を行っているところでありまして、その結果を踏まえて、どのような対策を取れば実効が上がるか、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

○西田実仁君 なぜこういうことが起きるのかということを十年前の議論で、この参議院の内閣委員会で国家公務員制度改革基本法が成立した際の議事録をもう一度読み直しました。本委員会で十五項目にわたります附帯決議が実は平成二十年六月五日の日に可決をされております。その七のところを見てまいりますと、このようなことが書かれているわけです。「キャリアシステムの廃止が法制定の」、つまり国家公務員制度改革基本法ですけれども、「法制定の目的であることを踏まえ、職員の人事管理が採用試験の種類にとらわれてはならない旨の規定を完全に実施するよう最大限の努力を行うこと。」と、この附帯決議の第七にこのように記されております。
 当時、担当大臣はこうも述べています。この「国家公務員法改正による能力・実績主義の導入と併せてこれらの改革を実施していくことによって、まさに採用試験の種類にとらわれず、能力ある多様な人材が能力と実績の評価に基づいて幹部候補として育成され幹部へと登用されていくようになり、現行のキャリアシステムは廃止され、根本的に異なる仕組みができ上がるものと考えております。」と、これ平成二十年六月三日、本参議院の内閣委員会におきまして担当大臣が述べられていたことでございます。
 しかしながら、約十年たちまして、ここで言われているようなキャリアシステムとは根本的に異なる仕組みが何かでき上がったというふうには正直思えない、相変わらずまた天下り問題が発覚をしたという残念な結果にあります。
 そこで、大臣にお聞きしますけれども、この天下りを規制するために作られました約十年前の国家公務員制度改革基本法が施行をされているにもかかわらず、今回のような事案が明らかになったのは、この附帯決議にも示されておりますような、このそもそも法が目的とした、キャリアシステムというものが相変わらず存続し、そのキャリアシステムに基づく機構がこの法律の誠実な執行を妨げているということにならないのか、それについてお聞きしたいと思います。

○国務大臣(山本幸三君) 御指摘の点につきましては、これまでの国家公務員法等の改正によりまして、人事評価に基づく能力・実績主義による人事管理を導入したところであります。これはまさにおっしゃるように、キャリアシステムを少しでも変えていこうということで、そういう人事管理を導入をいたしました。
 また同時に、幹部職員の候補となり得る管理職員としてその職責を担うにふさわしい能力及び経験を有する職員を総合的かつ計画的に育成するための幹部候補育成課程を導入したところであります。これもまたキャリアシステムを何とか打開していこうということで導入したところであります。
 そういう意味で、採用年次とか採用試験にとらわれない、そういう人事をやっていこうということで鋭意努力しているところであります。まだまだ十分ではないというところもありますが、これはしっかり、今後とも、能力・実績主義を踏まえた、採用年次等にとらわれない人事を推進していくように各省にもお願いをしてまいりたいと思って、そして、少しでもキャリアシステムがなくなっていって、こうしたことが二度と起こらないようにしていきたいと思っております。

○西田実仁君 この決議の第八にはこのようなことが書かれまして、内閣委員会で可決をされました。幹部候補育成課程の整備及び運用に当たっては、同課程が現行キャリア制の追認的制度とならないように配慮し、特にその期間、内容等が硬直的なものにならないよう留意すること、また、公務員が憲法第十五条第二項に規定する全体の奉仕者であることを踏まえ、課程対象者に特権的意識を持たせるものとならないよう研修等において十分配慮しなければならない、このように定められております。
 大臣にお聞きします。
 各府省におけます今御指摘のキャリアシステムの実態及び不祥事に関する事例研究や倫理研修の現状について、どのように把握しておられますでしょうか。

○国務大臣(山本幸三君) 内閣人事局におきましてはこれまでにも、再就職規制違反が生じた場合には、関係府省から詳細な状況を聴取するとともに、各府省において同様の事案が生じることのないよう、累次にわたって注意喚起を行ってまいりました。
 また、能力・実績主義の徹底の観点から、各府省の管理職員等の任用の状況について把握するとともに、幹部候補育成課程の運用状況の把握や、国家公務員倫理法の運用状況及び研修の状況などの国会報告を行っているところであります。
 今後とも、各府省が適切な人事管理を行い、再就職規制を遵守してもらえるよう、人事管理の状況の把握や情報提供に努めてまいりたいと思います。

○西田実仁君 今日は、お忙しい中、一宮総裁にもお見えいただいております。お聞きします。
 先般の所信で総裁はこうお述べになられました。人事院は、国民に対し公務の民主的かつ能率的な運営を保障するための人事行政の公正を確保すると、こうおっしゃっておられます。
 人事院には非常に超強力な権限が与えられております。国家公務員法第十七条には、証人喚問あるいは立入検査という調査権限が与えられています。また、同法八十四条二項では、任命権者を越えて職員の懲戒手続を行う権限も与えられています。
 確かに、この天下り、退職管理ということについては現在は内閣総理大臣の権限となっておりますが、今回の文科省天下り事件においては職員のトップである事務次官も直接関与をしているということでありまして、明らかに国家公務員法違反という大変重大な事案であることは先ほども述べました。
 そういう意味では、単に退職管理の側面だけではなくて、職員の採用、任用、研修、倫理といった、まさに人事行政全般の在り方を公務の公正性の確保の観点から改めて考えるべき事態ではないかというふうに思います。
 参議院行政監視委員会は、平成十年六月十七日、国家公務員による不祥事の再発防止に関する決議を可決しております。また、平成十四年十二月十一日には公務員制度改革に関する決議を可決しておりまして、その中でキャリアシステムの弊害について指摘しており、また、先ほども述べましたとおり、十年前の国家公務員制度改革基本法はまさにキャリアシステムの廃止が目的の一つでございました。
 人事院というのは、言うまでもなく、公務の民主的かつ能率的な運営を保障するための機関であり、人事院総裁というのは、人格が高潔で、民主的な統治組織と成績本位の原則による能率的な事務の処理に理解があり、かつ、人事行政に関し識見を有するとして選ばれておられるわけでございまして、改めて今回の天下り事案、またその再発防止に関しまして、人事行政全般をつかさどる総裁としての御認識をお聞きしたいと思います。

○政府特別補佐人(一宮なほみ君) この度の文部科学省における再就職規制違反事案については、あってはならないことであるというふうに認識しております。
 国家公務員の再就職について問題であるのは、官民の癒着につながりかねない公務員OBの口利きや、予算、権限を背景とした再就職のあっせん等の不適切な行為であります。他方、法令に違反することなく再就職し、公務部門で培ってきた能力や経験が社会に活用されるということには意義があると考えております。
 いずれにいたしましても、各府省において再就職等規制が遵守されることが重要であり、人事院といたしましても、行政を運営するに当たっての基盤となる国民からの信頼を回復、確保するために、採用から退職に至るまでの公務員人事管理全般にわたって国家公務員法の趣旨が実現されるよう、引き続き各府省と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

○西田実仁君 ありがとうございます。
 いずれにしましても、こうした再発防止をこの参議院の内閣委員会でも附帯決議もし、もちろん法律も作り、行政監視委員会でも様々提言、提案をしてきて、しかし、これが繰り返されるということであれば、やはり内部統制では限界があるんではないかというふうにも考えなきゃいけなくなってしまいます。そういう意味では、立法府としての、特に行政監視をすべきこの参議院の役割をきちんと明確にしていく必要もあるんではないかというふうに思います。
 この参議院では、これまでこの行政監視ということを日本国憲法下でどのように行うべきかという議論をしてまいりました。その中で、行政監視ということをこのように定義をしました。公共の利益、すなわち全国民に共通する社会一般の利益の実現のために、主権者である国民に代わって国権の最高機関である国会が政府と官僚機構の活動を法の誠実な執行の確保の観点から常時注意して見ることと、まさに常に行政をしっかり立法府、国民の代表として見ていくということがまさに参議院の役割であるというふうにこれまでも議論を重ねてきたわけであります。
 優秀な官僚の皆さんがやる気を失うことなくその実力を存分に発揮してもらうための仕組みづくり、また、それを国民がチェックできる仕組みづくりということが今まさに求められているんだろうというふうに思います。
 そこで、大臣にお聞きします。山本大臣にお聞きします。
 行政の運営を担う国家公務員一人一人の職員がその能力を高めつつ、国民の立場に立って、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行する、これが平成二十年六月五日、やはり参議院内閣委員会でこの基本法の附帯決議にも記されていることなんですね。そのためには、まさに決議をされました各項目について文字どおり万全を期すと、この決議にもそう書かれているんですけれども、万全を期すという以外にないというふうに私は思うわけであります。国民の信頼を取り戻すための担当大臣としての改めての決意をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(山本幸三君) 御指摘のように、累次の国家公務員法の改正あるいは基本法の制定等で、法律制度的には天下り、いわゆるあっせんなどはもう禁止されているわけでありまして、もうきちんと法を守ればこんなことはあり得ないわけでありました。ところが、それが今回文科省でできなかったということで、もう大変残念に思っております。
 これをどういうふうにしたらいいのか。今、全省庁で同じようなものがないかどうか改めて徹底した調査を行いまして、そして、まさに行政に対する国民の疑念を払拭するためにどうしたら実効の上がる対策ができるか、これは全力を挙げて検討してまいりたいと、そして実行していきたいと思っております。

○西田実仁君 ありがとうございます。
 山本大臣、一宮総裁への御質問はここまでですので、委員長のお許しがあれば御退席願えればと思います。

○委員長(難波奨二君) 山本大臣、一宮総裁、御退席いただいて結構でございます。

○西田実仁君 最後に、子供の貧困対策について加藤大臣にお聞きしたいと思います。
 先日、全国に先駆けていわゆる家でも学校でもない第三の居場所として日本財団の皆さんが展開しております第三の居場所へ行ってまいりました。全国で百か所つくるという予定のようですが、第一号が埼玉の戸田市に設置をされました。B&G、ボーイズ・アンド・ガールズということでしょうけれども、B&G戸田という、そういう施設でございます。
 イメージしていただくためには、いわゆる民間の学童だというふうに思っていただければいいということでありました。定員は二十名、夜二十一時まで子供たちを預かっておられます。スタッフは児童指導員等で六名、ソーシャルワーカーの方もおられました。これを主催する日本財団では、子供の貧困対策として、単なる経済支援や預かりではなくて、コミュニティーが弱体化して貧困世帯が地域で孤立してしまい、支援が行き届かない関係性の貧困、この解消を目指しておられます。
 ポイントは三つ。
 一つ目は、子供の社会的相続というふうに言われますが、自立する力の伝達を補完することということで、現金給付、学習支援などの単体のみの支援ではなくて、貧困の連鎖を絶つための自己肯定感や生活習慣、社会規範、学力など自立する力を育む。そのための専門的研修を受けたスタッフが子供一人一人と丁寧に向き合う環境をつくっておられまして、普通の学童とは違って子供三人に一人のスタッフが付くというような手厚い形の居場所になっております。
 二つ目のポイントは、地域チーム体制の構築です。この居場所では、行政や学校、地域住民が連携して地域で子供を見守る環境を整えるということに心掛けておられます。
 三つ目には、こうした支援の効果を科学的な方法で論証すること。お金を掛けてどういう効果があるかということが今までなかなか示されてこなかったので、それをきちんと示していきたいということで、この日本財団では、開設費四千万円、運営費の年間二千万円、これを三年間支援する、その後は自治体に担ってもらいたいという意向は持っているようです。
 実際、こういう第三の居場所をつくるには、例えば文科省の地域未来塾あるいは厚労省の放課後児童健全育成事業など国の補助金を組み合わせていけば実現できるようでありますけれども、しかし、なかなか省庁の壁もありまして補助金の組合せも難しいという話も聞きました。
 そこで、まず加藤大臣に、この子供の貧困対策として不可欠な第三の居場所づくり、これを地域に根付かせ、また地域で自立ができるようにするためには、縦割りの補助金事業の組合せをより容易にして、それによる運営が可能となる、まさに子供に焦点を当てた総合的な支援策というのが必要ではないか。さもないと、細分化された省庁別の補助金に合うような事業がどうしても小ぶりになったり、あるいはNPO同士でそれを奪い合うというようなことによって、その結果、子供の貧困対策というものがなかなか思うように進まないのではないかというおそれを抱きます。ここにつきまして、加藤大臣の御意見をお聞きします。

○国務大臣(加藤勝信君) 貧困の状況にある子供さん方は、単に経済的な困難にとどまるわけではございません。今お話がありました自己肯定感が欠如している、あるいは心身の健康、あるいは健全な生活習慣等様々な困難を抱えております。そうした子供たちにとって、子供食堂のような家でも学校でもなく自分の居場所と思えるような場所を提供する支援は非常に重要であるというふうに思いますし、今のは、食堂というよりも居場所づくりというお話をしていただきました。
 地域における多様な居場所づくりを支援する施策としては、民間の資金による子供の未来応援基金というのが一つございます。それから、一人親家庭等の生活向上事業、あるいは地域未来塾などなど、私も調べてみると、かなりな幾つか指が折れるぐらいのメニューが確かにあるというふうに思っております。
 それぞれにおいてはそれぞれの内数としてそれをやっている、要するに、この事業にお金を掛けているというものではない、そういったところもあるので、どこだけ集めてこれるのかなという点はあるんだろうというふうに思います。
 ただ、それぞれ居場所づくりを行おうとするNPOの運営者、あるいはその間に入る地方公共団体がまさにこうしたそれぞれの補助金等をうまく活用していただくということはこれ大変重要だというふうに思っておりまして、そのためにどのような支援メニューがあるのかということについて的確に把握してその活用を図ってもらうため、地方公共団体の担当者による会議あるいは説明会、そうした様々な機会を捉えて、今申し上げました、どういう支援の施策があるのかということを丁寧に説明させていただいております。これからもそうした対応を取っていきたいというふうに思っております。
 また、加えて、そういうところには行かなくても、今ネット上で検索するということもできるわけでありますから、そうした施策をホームページで一覧的に見られるようにすると。これは正直言って今はできておりません。そういったことも検討していかなければならないというふうに考えております。

○西田実仁君 是非お願いしたいと思います。
 最後に、今お触れになっていただきました子供食堂について一問。
 先日、埼玉の川口市の子供食堂を拝見しました。一年間、公民館の料理実習室で、月に一回、子供食堂と学習支援、イベントなどを実施している団体でした。公民館の使用は三月いっぱいで終了ということで、今はその場所探しに苦労されておられます。この資金はクラウドファンディングでやっておられます。
 最近は、保護者や地域の高齢者も巻き込んで、多世代が交流できる居場所をつくる食堂も出てきてまいりました。これは、今度さいたま市の話ですが、さいたま市でも、来年度のモデル事業として、独り暮らしの高齢者と子供が交流して食事をする、そういう事業にも支援をしていくということが今報道もされております。
 そこで、お聞きしたいのは、この子供食堂をやってみようという人とか、あるいはボランティアに参画しようとか、地域で食材を提供しようとか、いろんなその機運が今高まってきております。既にやっている方々のネットワークがあることは存じ上げておりますが、そういう関心のある人たちを、より気付きを与えたり、また具体的に動くためのノウハウを与えたりするようなそういう仕掛け、どういう形なのか、セミナーなのか何なのか分かりませんけれども、こういうことがあればもっとやりたい人が出てくるんじゃないかと思っておりまして、こういうことに対する支援、どのように行っていかれるのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(加藤勝信君) 今御指摘ありましたように、子供たちが無料化あるいは安い価格で温かな食事、そして団らんを持てる、安心して過ごせる場所としての子供食堂、これは本当にいろんな地域で展開されておりまして、私の地元でもここ一年、二年、ぽつぽつと出てきているというふうに考えております。
 実際、こうした方々のノウハウの共有や先進事例の紹介等、関係者が行うこども食堂サミットとか、あるいは「広がれ、こども食堂の輪!」全国ツアー等の開催にも内閣府としてもいろいろ協力をし、職員を派遣して意見交換などを行い、また、現場でそうした活動に関わっている方々から悩みやあるいは行政に対する要望、こういったこともお聞きをしているところでございます。
 また、企業、NPO等の団体、市民、自治体等が地域の実情を踏まえて連携して支援をしていただく、一歩踏み出していただけるように、子供の貧困対策に係る情報提供や支援をしようとする団体と支援を行っていきたいという企業、これなかなか正直言って、どこへ支援を求めに行ったらいいかよく分からない、あるいは何かしていきたいなと思う企業があっても、じゃ、どこと結び付いてやったらいいか分からないと、こういうことがございますので、マッチング、交流の場づくりとして、子供の貧困対策マッチング・フォーラムというのを今年は三月に三回、来年は予算上八か所、こういうことを考えております。
 また、子供の未来応援基金によって直接支援をしていることもございますけれども、その支援を受けた団体がどういう活動をしてきた、こうしたノウハウといいますか好事例、こういったことの情報発信もしていきたいというふうに思っております。
 いずれにしても、子供の貧困対策、もちろん政府、地方公共団体も取り組むべきでありますけれども、それだけでは十分に手が届かないという問題を抱えております。官公民が連携して推進していくためにも、社会におけるそうした取組をしていこうという機運の高まりが実際の具体的な支援につながっていくことは非常に重要でありますので、マッチングの支援、あるいはそうした思いが具体的に実現できるようなことにつながっていけるように様々工夫をしていきたいというふうに考えております。

○西田実仁君 終わります。
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