196-参-内閣委員会-010号 2018年04月17日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 本日、加計問題を始め文書問題等々についてもこの後お聞きしますが、まず、昨日行われました日中ハイレベル経済対話についてお聞きしたいというふうに思います。
 もう報道等でも御覧のとおり、昨日、約八年ぶりにこの日中のハイレベル経済対話が再開をされました。私自身のことを言って恐縮ですが、昨年、二回ほど与党の日中交流がございまして、その際にもこのお話をさせていただきましたし、また、昨年の十一月三十日に行われました参議院の予算委員会におきましても、総理に対しまして、この日中の経済対話、日米とかあるいは米中よりも先んじてつくられてきたものでございまして、それを早く再開していくことが、日中双方のみならずアジアまた世界の経済の安定にとっても大事だという御指摘をさせていただきました。総理からも大変に前向きな御答弁もいただいたその質問の晩に、夕刻から山口代表を団長とする訪中団に参りまして、先方では習近平氏に総理の親書をお渡しするとともに、七人の常務委員の一人であります汪洋常務委員、今、政治協商会議の議長になられましたけれども、その方にこの日中ハイレベル経済対話の話もさせていただきました。
 当時、汪洋氏、約八年前は中国側の議長で訪日もされていたということもありまして、その会見の中では、私の後継者が私より幸運であって、日中ハイレベル経済対話が再開できることを期待すると、そういう強い意向も昨年段階でも示されていました。それだけに、今回正式にハイレベル経済対話が再開されたということは感慨深いし、また、これをより発展させていくことが大事だというふうに思っております。
 今日は、お忙しい中、佐藤副大臣にもお越しをいただきまして、まず、この意義についてお聞きしたいと思います。

○副大臣(佐藤正久君) お答えいたします。
 西田委員におかれましては、一議員としても、そしてまた公明党の幹部としても、日中交流、とりわけこの日中経済対話の再開に向けて御尽力いただいたことをまず感謝申し上げます。
 昨十六日、八年ぶりに第四回目の日中ハイレベル経済対話が開催されました。日本側は河野大臣、中国側は王毅国務委員が議長となって、双方の経済関係の閣僚が参加をして行われました。
 今回のこの対話の開催は、日中関係の改善の大きな一歩であり、日中経済関係を今後更に強固なものにしていくために極めて大事な契機であるというふうに認識しております。

○西田実仁君 実際にどんな議論がなされたのか、またどういう成果があったのか、余り性急に成果を求めてはいけないと思いますけれども、昨日の段階でどういう議論がなされたのかお聞きしたいと思いますが、中国側は毎度言っておられる一帯一路の問題、また、日本側はインド太平洋戦略について中国側の反応がどうだったのか、あるいは対米摩擦、貿易摩擦の件、こうしたことについてその中身をちょっと御紹介いただきたいと思います。

○副大臣(佐藤正久君) 今般の経済対話では、マクロ経済政策、日中間の経済分野における協力と交流、第三国における日中協力、東アジアにおける経済連携及び地球規模課題への対応等について大所高所から議論をいたしまして、様々なレベルで協力と交流を拡大していくこと、及び大局的観点から、国際経済の発展、そしてグローバルな課題の解決に責任ある役割を果たすということで一致をいたしました。
 一帯一路関係でございますけれども、中国側からは、その現状説明、そして日本との協力についての希望が示されました。また、自由で開かれたインド太平洋戦略につきましては、我が国の取組等について説明した後、インフラの開放性、透明性、経済性、対象国の経済健全性等の国際スタンダードに適合した取組の重要性を強調したところであります。
 その上で、第三国における協力という観点からは、お互いに両国の経済分野での協力の拡大、さらには対象国の発展にとって有益であるという点で一致をし、今後、官民の関係者による議論の場及び具体的な協力案件を検討することで一致をいたしました。
 また、米中の追加関税措置等に関してでございますけれども、御指摘の件につきましては中国側から提起がございました。そして、先方の立場について発言がございました。日本側からは、一般論としまして、WTOを中心とするルールに基づく多角的貿易体制をしっかり守っていく必要性がある旨を述べた上で、不公正な貿易慣行とか恣意的な国内手続があればWTOルールに基づく形で改善されていく必要性がある旨を述べました。
 また、知財法についても、日本側からビジネス環境改善の観点から大変重視しているという旨を述べた上で、技術移転についてもより公平かつ自由な形で行われるよう中国側に求めたところでございます。

○西田実仁君 今後、この日中ハイレベル経済対話を開かれる頻度、またどういう対話を重ねていきたいのか、お聞きしたいと思います。

○副大臣(佐藤正久君) 今回の日中間の間では、双方の都合が付く適切な時期に次回会合を中国で開催することで一致をいたしました。日本側としては、本年、再来年と、毎年一回のペースで開催できることを期待しております。

○西田実仁君 ありがとうございました。
 では、副大臣、もし委員長のお許しが出れば、御退室をなさってください。

○委員長(榛葉賀津也君) 佐藤外務副大臣は御退席いただいて結構でございます。

○西田実仁君 次に、加計問題についてお聞きしたいと思います。
 先日、農水省におきまして、愛媛県職員が作成した首相官邸での面会の様子を記した文書が確認されました。面会の相手先とされます当時の総理秘書官柳瀬氏は、私の記憶をたどる限り今治市の方とお会いしたことはないと国会で答弁しておられます。会ったのかどうか、当人しか分かりません。
 また、同文書には、安倍総理と加計学園理事長が会食した際に、下村文科大臣、当時が、加計学園は課題への回答もなくけしからぬと言っているとの発言があったとの記載もございました。
 愛媛県職員と柳瀬氏が総理官邸で二〇一五年四月に会っていたのかどうか、総理が加計学園の特区申請を知ったのはいつかという疑問がこれまで国会でも取り上げられてまいりましたが、加計学園の獣医学部新設に当たり、理事長と友人関係にある総理が特別な便宜を図ったのかどうか、これが本来の疑惑だろうというふうに思います。権力を持つ総理が便宜を図ったために加計学園は獣医学部の新設に至ったのか、これが解明されなければなりません。
 愛媛県職員による文書にある首相案件、あるいは昨年六月の文科省の内部文書にある総理の御意向という言葉が独り歩きしておりますけれども、これまでの国会での議論を聞いている限り、加計学園の申請を許可するよう総理から指示を受けた、働きかけを受けたと証言する人は一人も出てきていないのも事実であります。一方、総理は、構造改革特区においても国家戦略特区においても、いずれも本部長あるいは諮問会議議長と、すなわちその責任者、旗振り役でもあり、岩盤規制改革を全体としてスピード感を持って進めていくよう指示しております。その総理の意思の伝わり方がどうだったのかという疑念も湧いております。
 そこで、まず梶山大臣にお聞きしたいのは、愛媛県、今治市は、構造改革特区において十五回、獣医学部の新設を提案したものの、これまで実現してまいりませんでしたが、国家戦略特区としての申請は通りました。なぜこうなったんでしょうか。

○国務大臣(梶山弘志君) 今治市の獣医学部新設の規制改革提案は、平成十九年の福田政権下で構造改革特区に最初の提案があって以降、自民党政権下で対応不可とされてきました。これが、民主党政権下、当時の民主党政権下で速やかに検討と格上げをされ、これを第二次安倍政権において更に前進させて、長年実現できなかった岩盤規制改革の実現に至ったものであります。
 昨年夏の閉会中審査で加戸参考人からも御説明がありましたとおり、近年、鳥インフルエンザなどの感染症が国際的に拡大をし、あるいは創薬をめぐる国際競争が激化する中で、地域での水際対策の強化や新薬の開発などの先端ライフサイエンス研究の推進など、獣医師が新たに取り組むべき分野の具体的需要が高まってきているというのが一つ状況としてあります。
 このように、獣医師を取り巻く状況が近年大きく変化をし、新たな獣医学部の新設が喫緊の課題になってきたことも議論が進展をした一つの要因であり、また、国家戦略特区は、構造改革特区と比べて適用地域の範囲を絞り込むことで関係者の合意を得やすくし、困難な規制改革を迅速に行うことが可能なことが獣医学部新設の改革実現に寄与した面もあると考えております。

○西田実仁君 総理からのもちろん働きかけがあったという答弁にはなっていないわけですけれども、しかし、総理からの便宜や働きかけがなかったとしても、結果として不公平、不公正、不透明なプロセスにより獣医学部の新設が決まったのではないかと不審に思っている国民の皆さんが残念ながら多いのも、これ認めざるを得ないというふうに思います。直近の世論調査を見ても、やはりどうしてもこの手続が適切ではなかったという人が七割近くいるという世論調査もあります。
 総理御自身もかつての国会審議におきまして、岩盤規制を進める御自身の意思の伝わり方がどうだったかということについていろいろな議論があるところであろうと、このようにも述べておられます。
 例えば、昨年六月、文科省の内部で見付かりました文書には、国家戦略特区諮問会議決定という形にすれば、総理が議長なので総理からの指示に見えるのではないかというようにあります。つまり、内閣府が文科省に対して、首相の指示であるように取り繕ってはどうかと促す形にも見えるわけでありまして、逆に言えば総理からの指示はなかったのではないかということを証明しているようにも見えます。
 首相案件、総理の御意向と、こういう言い方をしたのかどうかの真偽のほどは知れませんけれども、仮にそうだとすればこれは虎の威を借りるようなことになってしまいかねない問題になっていくと。総理が便宜を図ったから加計学園の獣医学部が新設されたとの証拠や証言は当然今のところ出てきていないわけで、そうであればこれは当然大臣規範に明確に違背していることになります。しかし、総理からの便宜がなくても、総理の意思の伝わり方、受け止め方として、結果的に不公平なプロセスに見られてしまっているという現状、これが大変に今不幸な状態になっています。
 そこで、お手元にお配りをしました平成二十四年十二月の閣僚懇談会申合せ、これは初閣議のたびに配られているものでございますが、ここに、政は、行政が公正かつ中立的に行われるよう国民を代表する立法権者として監視責任を果たし、官を的確に導き得る体制を構築する、官は、国民全体の奉仕者として中立性、専門性を踏まえて、法令に基づき、主に政策の実施、個別の行政執行に当たるというふうにあります。
 加計問題をめぐりまして国民の間に広まる不信感がいまだに拭い切れていない現状に関しまして、この申合せにある政と官の在り方についてもう一度再認識をしなきゃいけないんじゃないか。特に、政は監視責任、そして官は国民全体の奉仕者としての自覚、このことが申合せになっているわけでありますが、官房長官に御所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(菅義偉君) 今御指摘いただきました政と官の在り方は、まさに政と官の適正な役割分担と協力関係、こうしたことを内閣が取り組むべき方針として取りまとめたものであります。第二次安倍政権発足の際にも閣僚懇談会において申合せを行いました。
 基本認識として、政は、行政が公正かつ中立的に行われるよう国民を代表する立法権者として監視責任を果たし、また、国務大臣、副大臣、大臣政務官等として行政を担うとともに、官を的確に導き得る体制を構築する、官は、国民全体の奉仕者として中立性、専門性を踏まえ、法令に基づいて、主に政策の実施、個別の行政執行に当たる、このように定めているところであります。
 「政・官の在り方」については組閣や内閣改造のたびに確認をしているところでありますが、国民の皆様方から厳しい目を向けられていることを重く受け止め、この申合せが再認識されるよう改めて徹底してまいりたい、こういうふうに思います。

○西田実仁君 加計学園、もう既に入学式が行われ、学生さんが学んでおられます。
 文科省にお聞きしたいと思います。
 ちょっと質問飛ばしますが、そもそも大学設置審におきまして、昨年の八月、加計学園の申請については判断が留保されました。そして、同年十一月、昨年十一月に新設を認めるべきと答申をされて今に至っているわけですが、そもそも最初、その判断留保せざるを得なかった課題は今どう克服され、また、何か残された課題はあるのか、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(信濃正範君) 加計学園の獣医学部設置計画につきましては、大学設置・学校法人審議会におきまして、実習計画に関して修正を求める是正意見、これが付されましたために、昨年八月の段階では最終判定を保留として審査を継続するというふうにされております。
 その後、加計学園から提出されました補正申請書におきまして、実習科目の時間数を増加して必要な実習時間数を確保すること、実習指導に当たる教員を数多く配置し学生への指導を充実すること、それから個別の科目の授業内容や授業スケジュールを改善することなど、是正意見に対する対応を適切に行うとされたことから、昨年十一月に審議会は留意事項を付した上で設置を可とする答申を行ったところでございます。

○西田実仁君 財務省の決裁文書の改ざん問題、また防衛省の日報問題についてお聞きしたいと思います。
 これにつきましては、主権者の国民に対しまして法が誠実に執行されているのか、公共の利益の実現のためにきちんと力が尽くされているのかどうかという観点からお聞きしたいと思います。
 先ほど閣僚懇談会申合せ、「政・官の在り方」、この下の方の(4)ですね、2の対応方針(4)、ここには、大臣等に報告すべき情報を秘匿したり偏った情報提供を行うことのないよう、報告責任を全うし、国家公務員法の精神にのっとり云々という言葉がございます。
 また、添付をさせていただきました国家公務員制度改革基本法第五条第三項には、やはり同様の規定が置いてありまして、特にこの二号のところ、一号はちょっとまた別の経緯でできたものですが、二号のところには、各般の行政過程に係る記録の作成、保存その他の管理が適切に行われるようにするための措置その他の措置を講ずるものとすること、これで公文書管理法というふうにつながるわけであります。
 こうした規定がありますけれども、そもそもこの国家公務員制度改革基本法ができたときというのは、その経緯というのは今とはまたちょっと異なりまして、その背景というのが違うわけでありますけれども、そもそも今回の森友の財務省によります決裁文書の改ざん、あるいは防衛省の日報問題、こうしたことは、今申し上げたような既存の法律、これが守られているのかどうか、守られていないとすればその原因は何なのか、そして、じゃ、どう変えていけばこれが守られるようになるのか、これをまず梶山大臣にまとめてお聞きしたいと思います。

○国務大臣(梶山弘志君) 委員御指摘のとおり、国家公務員制度改革基本法第五条第三項第二号では、行政過程における記録の作成、保存その他の管理が適切に行われるようにするための措置を講ずることとされており、この規定を受けて平成二十一年に公文書等の管理に関する法律が制定をされたところであります。
 その上で、公文書管理法を所管する立場として申し上げますと、一連の公文書をめぐる問題により、公文書への信頼、そして行政全体への信頼が損なわれたことに対して、極めて重く受け止めているところであります。
 現在、財務省及び防衛省において行われている事実関係の調査、解明を踏まえて、更に問題点を洗い出した上で、それを受けて、取り組むべき点が明らかになると考えており、現時点であらゆる可能性を排除せずに公文書管理の在り方について政府を挙げての見直しを行ってまいりたいと考えております。

○西田実仁君 この申合せ、特に(4)について、同様に官房長官にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(菅義偉君) 今、梶山大臣から答弁ありましたように、私どもはここについてはしっかりと対応していく必要があるというふうに思っています。

○西田実仁君 国家公務員の倫理に関しましては国家公務員倫理法というのがあって、この後お聞きしますけれども、そもそもこの国家公務員倫理法ができた背景、制定の経緯と今起きていることというのは当然異なるわけでありまして、当時は倫理法制に関しては、利害関係者からの贈与とか供応等が起きないようにということでできております。今起きている様々な問題とはまた背景が違うこともありまして、倫理法制そのものを見直していくということも考えなきゃいけないんではないかというふうに私は思っております。
 官房長官への御質問はここまででございますので、もし委員長のお許しがありましたら、どうぞ御退室を。

○委員長(榛葉賀津也君) 菅官房長官は御退席いただいて結構でございます。

○西田実仁君 この国家公務員倫理法の第一条、添付をさせていただきました。もう既に同じようなことが書かれております。第十条には、国家公務員倫理規程遵守のための体制整備に関し、各省各庁の指導及び助言を行うことという倫理審査会の規定もございます。三十九条には各省庁に倫理監督官を一人置くとなっておりまして、各省大体事務次官がこの倫理監督官というふうになっているわけでございます。
 しかし、この国家公務員倫理法は、今申し上げましたように、そもそもその制定過程においては、利害関係者からのいろんなサービスの提供とか金品の授受とかそうしたことが、そういう不祥事が相次いでできたという背景があって、今回とは異なるわけであります。
 しかし、森友のこの決裁文書の改ざんとかあるいは日報問題とかこうしたことを鑑みるときに、こうした不祥事について人事院としてはどう対応し、また行おうとしておられるのか、これをまず総裁にお聞きしたいと思います。

○政府特別補佐人(一宮なほみ君) 国民の公務に対する信頼は行政運営の基盤であり、人事院としても、公務員一人一人が国民全体の奉仕者として高い使命感、倫理観を持ち、国民本位の公正な行政の実現に尽力することが不可欠であると考えております。
 このような考え方に立って、人事院としましては、研修において、公務員の在り方や公務員倫理を考えさせる内容を充実したり、公務員としての倫理保持に関する様々な形の周知啓発を行うなどをしております。
 人事院といたしましては、公務員としての信頼を損なうような事態が繰り返されないよう、今後とも、研修内容の充実に加え、あらゆる機会を捉えて各府省に対し職員の使命感、倫理観の醸成に向けて働きかけるなど、一層の対応に努めてまいります。

○西田実仁君 そもそも、まず人事院総裁に、今までやってきたことも今お話ありましたけど、今回の一連の相次ぐ不祥事としか言いようがないと思いますけれども、これについてどういう受け止めをされているのか、お聞きしたいと思います。

○政府特別補佐人(一宮なほみ君) 一連の不祥事について、詳細はまだ明らかになっていない部分もございますが、明らかになっている部分だけを捉えましても、公務員としてあってはならないことだというふうに考えておりますので、今後ともこのような信頼を損なうような事態が繰り返されないように各省庁に周知徹底してまいりたいというふうに考えております。

○西田実仁君 こうしたことが起きないようにするにはどうするかという点では、例えば公文書管理法をどう改めていくのかというようなことも与党内でも、各党でそれぞれ議論をしていることだろうというふうに思います。そうした、しかし、法改正を、じゃ、すれば防げるのかというと、果たしてどうなのかという疑問も正直湧きます。
 そもそも、法を誠実に執行していくという、あるいは全体の奉仕者という公務員としての在り方、これはまさに倫理に関わることでもあろうと思います。その倫理について様々な研修を行っているというのが人事院のお仕事だろうというふうにも思います。
 そこで、国家公務員の倫理研修について、改めてどういうことを具体的にこれまで行ってきたのか。少なくとも、昨日今日起きた相次ぐ不祥事ではないわけで、最低でもこの国会の議論でいくと一年余り議論しているわけですから、さすがにその間何も、例えば一年前と今やっていることが何も変わらないというのであれば、それは別に倫理と関係なく起きている不祥事だというふうに理解された人事院の対応としか言いようがなくなってしまいます。
 そこで、国家公務員の倫理研修について、以前とどこをどう変えて今取り組んでおられるのか、もちろん全容がまだ分からないというのはそのとおりだと思いますけれども、今の段階で少なくとも一年前とはこういうふうに変えているんだというようなことを御説明いただきたいと思います。

○政府特別補佐人(一宮なほみ君) まず、人事院では、新規採用者に対する研修において、遵守すべき服務、倫理についてまとめた冊子を配付しております。また、全府省の職員を対象に役職段階別に行う研修において、公務員倫理を考えさせるため、具体的な政策事例を用いながら、公務員としてのより良い意思決定について研修員自らが考え、議論するというカリキュラムなどを盛り込んでおります。あわせて、有識者、行政経験者等を講師として、これまでの行政事例も踏まえつつ、行政官の在り方について考えさせる講義も行っております。さらに、現在、全ての研修において倫理の研修を導入するように進めているところでございます。
 今後とも、更なる研修内容の充実を図ることによって、公務員一人一人に対し、その趣旨、内容の理解の徹底に努めてまいります。

○西田実仁君 ちょっと分かりにくいんですけれども、これまでとはどこをどういうふうに変えたのかという点をもうちょっと分かりやすく御説明いただけますでしょうか。

○政府特別補佐人(一宮なほみ君) 各研修に、全ての研修について倫理の、何らかの形で倫理について周知徹底するようなカリキュラムを入れるということにいたしました。

○西田実仁君 要するに、こういうことはもう二度と起こしてはいけないという決意を我々立法府も行政府も皆である意味共有していかないと、大切なこの国会の審議が大変生産的ではなくなってしまうわけでありますので、あえてお聞きしております。
 さらに、この倫理研修については、様々倫理週間というのも設けているようですけれども、もうちょっと広く国民の皆様にも知っていただくということがやっぱり必要ではないかというふうに思うんですね。その点も今後様々検討いただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、ルールを変えても実際にはそれが守られなければ意味がないわけでありまして、公文書管理法の改正とかあるいは会計検査院の権限強化もこれまでも何度かされているわけですけれども、その法律自体を誠実に執行するという体制が整備されない限りは何も変わりません。問題の本質は、やはり法律を誠実に執行する政府と官僚機構をつくるという行政監視機能、この強化にあると私は思っておりまして、それを脇に置いていれば、幾らいろいろ変えても、結局、何というか、申し訳ないですけど、パフォーマンスにしかならなくなってしまうんではないかという危惧を持っております。
 現在、参議院におきましては各党各会派の皆さんで改革協議会を行っておりまして、これは衆議院にはない、参議院にしかない行政監視委員会という、単独でですね、これは参議院のみでありまして、その抜本的な活性化策を練っております。是非とも、参議院の役割としてこの行政監視機能の強化を図り、政と官が良い緊張感を持った関係に再び再構築できるように努力していくことをお誓い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。