財政金融委員会・第3号

【質疑事項】
議題 日銀の「通貨及び金融調節に関する報告書」の件
1.日銀の量的金融緩和継続の姿勢について
2.量的金融緩和政策と国債管理政策ついて
3.野菜の高騰、灯油、ガソリンの価格動向について

 

○西田まこと君 公明党の西田実仁でございます。
本日はお忙しいところ、日銀総裁を始め関係各位の皆様、ありがとうございます。
まず初めに、これまでの議論でもございましたけれども、今回の展望レポートに示されております来年度の実質GDPの成長率の見通しでございますけれども、 中心値が2.5%、いわゆる市場のコンセンサス、例えばESPのフォーキャスト調査等見ましても、やや強気の見方をしているという印象が持たれるわけでご ざいます。
成長はそういう意味では強気を見ている中で、消費者物価、CPIにつきましては若干のプラスと。ここが、ちょっとそのロジックを御説明いただければと思いますけれども。

○ 参考人(福井俊彦君) 私どもの展望レポートでお示ししました経済の見通しでございますが、ただいま、少し強気じゃないかというふうなコメントもちょうだ いしたわけでございますが、いろいろ民間でのいろいろな見通しの中身も聞いておりまして、基本的な経済の分析の中身について、余り私どもと大きな相違はな いのかなと。強いて言えば、海外の経済の見通しの置き方などが少し違っているかもしれないと。
私どもは、海外の経済の見通しにつきましては、例 えば、一番新しい時点で、IMFが出しております世界経済見通しと。これは、世界経済全体として今年は5%ぐらいのかなり高い成長ですけれども、来年は 4.3%を中心とする成長に減速しながら、しかし持続可能な拡大パスにたどり着くんではないかと。
こういう展望が世界共通の今見通しになってお りまして、数字はともかく、おおむね、そういうピクチャーと申しますか、構図を前提として我々は国内の経済分析をそれに積み重ねて出しておりまして、海外 の見方をより弱く見るかどうかというのは、今後のリスク要因をどれぐらい考えるかと。私どもも先行きのリスク要因については十分考慮しながらこれから経済 をよくウオッチしていきたいと思っておりますので、結果としてそれほど大きな差はないんではないかと。
そしてまた、今年と来年にかけての坂でご ざいますが、今年は我々の見通し3.6%ぐらい、来年2.5と。しかし、今年につきましては、前年から今年度にかけまして大きないわゆるげたというのがご ざいました。この要因も考慮して考えますと、我々の経済見通しは、確かに今年度よりは来年度少し成長速度は遅くなりますけれども、極めて緩やかな、減速と いう言葉に値しないぐらいのスピード調整で持続可能なパスに移っていけるんではないかと、控え目な見通しをしているつもりでございます。

○ 西田まこと君 先般のこの委員会でも趣旨説明ございましたけれども、この通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、特に先ほどもちょっと議論になり ました物価面につきまして記載がございますのは、企業部門における生産性の向上や人件費の抑制等が商品市況等の上昇の影響を吸収する効果もあり、小幅な下 落を続けていると、このような分析をされているわけでございますけれども、これちょっと素直に読んでいいのか分かりませんけれども、ニュアンス的には、い わゆる前向きの物価下落あるいはいいデフレというようなことを言わんとされているようなニュアンスも感じ取ることもできるわけでございます。
そ の点御確認させていただきたいということと、仮にそうであったとすれば、ではなぜ中堅中小企業の回復が遅れているのか。そして、特に非製造業においてはま だまだ景気回復といってもいまだしの感があるわけでございまして、その前向きの物価下落的なものと、中堅中小が遅れていると、この辺のところをちょっと御 解説をいただければと思います。

○参考人(福井俊彦君) デフレに、いいデフレ、悪いデフレというふうな区別を私どもは基本的に持っておりません。
わずかなデフレであっても、経済の局面が変わりますと、それが非常に大きな桎梏になるリスクというのはやっぱりございますので、やはり物価の面でも安定的 な若干のプラス基調の物価というところにたどり着いた方が、将来の経済の展開を考えますと、人々がより安心して経済活動ができる舞台が用意できるだろう と、こういうふうな考えでございます。
そういう方向で見た場合に、いろんな条件を整えていかなければいけませんが、やはり中央、地方の格差と か、製造業と非製造業の格差とか、それぞれにおいて、また大企業と中小企業との格差とか、そこにタイムラグを置いて自然に解消できるメカニズムが整ってい るかどうか、ここが非常に大事な点でございます。
恐らく、今格差が生じておりますのは、製造業の場合には、こういったグローバル経済の中にもう 非常に組み込まれているものですから、世界経済が回復するときにはおのずとそのリズムを経営の中に取り込みながら、自らも大変苦しい努力はいつも伴います けれども、生産性が最終的に上がるというところにたどり着く、その時間的距離が速いというところになっていると思いますが、非製造業の場合には、そうした メカニズムから少し離れたところで経営が続けられるというふうなこともあって、過去の問題処理といい、新しいビジネスモデルの構築といい、少し製造業に比 べてラグを伴っていると。そして、地方の中小企業の場合には、それに加えまして、やはり日本経済全体としての構造改革上必要なプロセスとはいえ、やはり公 共事業の削減あるいは補助金の削減等による所得還元メカニズムが従来よりは細くなっているという部分の影響は当然出ているということで、その分、当然それ を、何といいますか、補完していく地方経済の自律的な立ち上がりのメカニズムをいかに用意していくかと、そこに重要な課題がもう1つ残っているという点は 存在しているというふうに考えております。

○西田まこと君 大体理解できましたけれども。
続きまして、長期金利、先ほど来から 問題になっておりますけれども、これは今、国債がどのように引き受けられているかという主体別の統計等ございますけれども、市中の金融機関がやはり当然の ことながら非常に多くの国債を引き受けているわけでございまして、それが直接にこのマネーサプライの増加というものにつながっていくわけでございます。
そして、今後の政策を見通したときに、日銀の皆さんが想定されているような前向きな循環というものがこれから引き続いていくということであれば、景気は良 くなり、また物価上昇もそれに伴っていくということになろうかと思いますけれども、この物価上昇期に当たりまして、その国債の引受けをより物価上昇期に対 応して準備をしていく、そしてそれがマネーサプライに直接つながらないようにしていくということも必要になってこようかと思いますけれども、この環境作り としての個人若しくは、先ほどもちょっとお話出ましたけれども、海外の投資家への国債をもっと買ってもらう、こういうような体制作り、物価上昇期における 体制作りについてお伺いしたいと思います。

○参考人(福井俊彦君) 経済が我々が望ましい方向性あるいは展望として持っておりますように 持続可能な回復パスへより近づく、そして物価の面でもデフレから脱却していくというパスをたどりますと、金融市場の方では、金利が従来よりも変動しやすい 環境の中に入っていくと思います。長期金利については、国債の発行残高が非常に大きいという前提で考えますと、ほかの金融指標よりもより振れの大きい現象 を伴うリスクがある、そういう要素が存在するということは、もう今から十分みんなで認識をしておかなければいけないことだというふうに思います。
これまでのところ、各金融機関あるいは地域の金融機関におきましても、その資産側に相当大量の国債を持っておられるわけでありますけれども、将来のことを 考えますと、やっぱり既にもう相当な工夫をなさっておられますが、リスク管理の体制というのはやはり個々の金融機関において、より十分に整えていっていた だく必要があると。これは大前提でございますけれども、マクロの経済の運営の責任を預かります私どもの立場からいえば、将来にわたって、経済や物価に関す るその実態を反映した市場金利の形成ということに一層努力を傾注していかなきゃいけない。その場合に、日本銀行の金融政策の運営が透明性を保っているこ と、そして政府において財政規律という面で国民の皆様から信認を得られるような努力が更に強められることということがどうしても重要な前提条件ということ になってくると思います。
そして、更に加えて、今委員がおっしゃいましたとおり、流動性の高い効率的な市場の整備を図っていくと。日本の場合に は対外黒字だし、どうも日本の市場はホームバイアスの強い市場ということで今まではあり続けたわけですけれども、今後はやはり、より多く非居住者にも国債 が消化されるというふうな形で市場の外枠が広がっていくことが大事だと。しかし、市場の外枠が広がれば、場合によっては情報の非対称性から市場のボラティ リティーを高める要素にもなりかねないと。
そういう意味では、またはね返りますけれども、金融政策の適切な運営で、その我々の政策の方向性とい うものを多くの方に前もってより正しく理解をしておいていただくこと、そして政府において、非居住者の方からごらんになっても財政規律は確かだという認識 を持っていただくような努力と、これはまた重ねて必要になってくるということではないかと思っております。

○西田まこと君 続きまして、 この量的金融緩和のお約束、約束の部分でございますけれども、常々、日本銀行といたしましては、開かれた日銀ということを言っておられますし、また市場と の対話ということも非常に重視をされておられるとは思いますけれども、より重要なことは、今のこの政策につきまして、私は、市場との対話、もちろん大事で すし、先ほど来からの本当に専門家の方々の御議論をお聞きしていても大事なことだというふうに認識はさせていただいておりますけれども、より重要なこと は、やはり国民との対話ということの方がより重要ではないかというふうに思っておりまして、何となく日本銀行の金融政策といいますと非常に高尚で大変に上 品なというか立派なものなわけでありますけれども、やや大企業若しくは大銀行に対する政策という、印象ですけれどもね、あくまでも、そういう印象がござい まして、一般の庶民として今この状態をどう言っているのかというと、いろんな世論調査を見てもよく分かりますけれども、例えば預貯金金利がゼロであると、 こういうことについて一般の国民としては、例えば高齢者の人たちとか様々な形で利子で所得を得ようとしている、あるいは金融資産で1400兆円もあるにも かかわらず、ほとんどそれがゼロ金利であると、こういう状態の中で一体これが日本の経済全体にとってどういう意味を持っているのかという、これこそが正に 国民との対話ということになるんではないかと思っておりまして、是非いい機会ですので、市場との対話も大事ですけれども、国民との対話ということで預貯金 金利がゼロであるということが日本経済にどのような影響、プラスの面の影響はもう大体分かっていますけれども、逆にマイナスの面の影響として今もたらして いるのかということについて御見解をお伺いしたいと思います。

○参考人(福井俊彦君) 金融政策は常にメリットの面とデメリットの面と背 中合わせにそういう要因を伴っている部分がございまして、私ども政策委員会の政策決定会合で議論いたします場合にも、こうやればこういう効果があるという だけの議論ではなくて、逆にこういう御負担を国民の皆様に掛けるとか、あるいはそのほかの面、例えば市場の機能といったような面でかえってひずみをもたら すデメリットがあるとか、メリット、デメリット両方の議論を出しながら総合してよりメリットの多い政策というものを選択するように心掛けております。
今、デメリットの面はどうか、どういうふうに認識しているかというお尋ねでございましたので、あえてこの量的緩和政策のデメリットの面を申し上げますと、 やはり超低金利が非常に長く続いているということでありますので、おっしゃいましたとおり家計を中心にその預貯金の利子収入が極端に減少していると、これ はやはりある意味で非常なデメリットでございます。
我々個人が将来の生活設計を立てる場合に、別に特定水準の金利を前提にするわけではないにし ても、従来の経験則から想定されるある幅の中での金利を想定しながら、やっぱり将来の家計を組んでおられるわけですから、そこを狂わしているというのは非 常に大きなデメリット、それはやはり消費にも影響していることだろうというふうに思います。それからまた、その国民の財産を預かっていろいろ運用している 生命保険会社とか年金などのいわゆる機関投資家、これが、金利が低い環境の中では幾ら上手に運用してもパフォーマンスが上がらないと、その運用益が上がら ないという形でこれまた非常なデメリットになっているというふうに思います。
それだけではなくて、先ほども触れましたように市場の機能の面と。 ほとんど金利がゼロということは、特に短期金融市場では金利がほとんどゼロ水準に近いわけでございますので、取引が極端に減少しています。そして、市場を 通ずる資金の再配分機能と、ひいては資源の再配分機能が著しく低下しているということでございますので、これも経済全体に恐らく目に見えないかなり大きな マイナスの作用をしているだろうということでございます。
これらの作用と、しかし先ほども申し上げましたとおり、流動性の大量の供給と、しかも これを長く、長く続けるというコミットメントの下での企業の将来設計、そして今の困難をブレークスルーしていく力の培養という点でメリットがあると。この メリットとデメリットの比較にいつも苦しみながら判断し続けているわけでありまして、したがいまして、なるべく早く経済の自律的な回復のパスへの到達、デ フレからの脱却の判断に至るということがやはり望ましいんだというふうに思っています。
しかし、これも判断が早過ぎてかえってすべての努力を水泡に帰するということがないようにしなきゃいけませんので、この苦しい判断のプロセス、いましばらく我々は続くと覚悟しているところでございます。

○西田まこと君 再三申し上げますけれども、市場との対話も大事ですけれども、そうした国民生活そのものに、国民との対話ということについても今後いろいろ留意をして分かりやすい説明をなるべくしていただくということが大事ではないかというふうに思っております。
今、総裁のお話の中で、資源、資金の再配分に関しましてゆがみをもたらしているというお話がございました。この意味するところでございますけれども、よく 言われるのはいわゆるゾンビ企業みたいなところがそのまんま生き長らえているんではないかという点、あるいは銀行の仲介機能というものが非常に衰えて中堅 中小企業に資金が行かなくなっているのではないか、こうした点も含まれているというふうに理解すればよろしいんでしょうか。

○参考人(福 井俊彦君) この今おっしゃいましたゾンビ企業の生き残りを助けているかどうかと、これ自身もなかなか難しい問題でございまして、最終的に生き残る企業に 対しても、あるいは場合によっては生き残る可能性が非常に少ない企業に対しても、ともにある程度時間をおかししているということは事実だと思います。現状 非常に極度の困難に陥っているけれども、時間を掛けて結局見事に立ち直るケースだってあるわけで、その場合には持続的な回復パスに時間を掛けた効果があっ たということになると思いますし、しかし、やっぱり最終的に駄目な企業がある時間生き延びたということは、経済全体にはかえってコストを掛けたことになっ てしまったかもしれません。
これもやっぱり、ある時間的な距離感を置いたメリット、デメリットの計算ということになってまいります。単純にゾン ビ企業が生き延びるということではなくて、時間を掛けることによって生き返れる企業は生き返ったという部分もあるわけですので、その両方の計算がなかなか 難しい。全部合わせてみてマクロとしての経済が最終的に持続可能な回復パスにうまくたどり着くかどうかということが最後は決め手になるわけでございます が、途中の経過におきましては、個々の企業の運命がかなりそのプロセスの中で左右されるところがございます。
しかし、これも日本銀行の政策過程というものの透明性があれば、相互にやっぱり納得できる度合いはそれだけ高まるというふうに私どもは理解しているわけでございます。

○ 西田まこと君 まあそういう意味で大変に難しいかじ取りの局面にいよいよ突入してくるわけでございますけれども、いわゆるこの出口戦略のところでお聞きし たいのは、先ほど来総裁がおっしゃっている、ゆとりを持った政策というお話をされました。これは岩田副総裁も前に御発言されておられましたけれども、いわ ゆるのり代論という、いわゆる安定的にをどう解釈するかという話で、1%ぐらいという具体的な数字も出されておられましたけれども、これの真意について副 総裁にお聞きしたいと思います。

○参考人(岩田一政君) ただいまの委員の方から御指摘いただきましたように、私、今の日本銀行の量的緩 和を継続するということについての3つの条件のうちの第2番目の条件でありますけれども、今後再びマイナスに戻らないようという、つまりもう1回デフレに 戻ってしまうということはないんだということをもう少し明確にしていくことが望ましいのではないかと個人的には思っております。
これは委員の間 でもいろいろな、例えば0.3%ならいいのか0.4%ならいいのか、いろいろな御意見あると思いますけれども、私は先行き、これは足下が基調的にゼロ以上 というのは私はこれでいいというふうに思っているんですが、第2番目の条件、経済の先行きがどうなるのか、景気の持続性がしっかりしていて力強いもので あって、1%を先行きは展望できるんだという、つまり再びデフレに戻らないということがはっきり確認できるということが重要じゃないかというふうに思って おります。

○西田まこと君 そうすると、それは、かつてその1%という数字を言われているわけですけれども、そういう水準でしょうか。

○ 参考人(岩田一政君) そうですね。これ、私、先進国を見ましても、例えばアメリカの場合ですと、連邦準備制度理事会ございますが、これやっぱり消費者物 価、具体的にはコアの、個人消費のデフレーターを見ていると私理解しておりますけれども、それが1%になったときにやはりデフレのリスクが相当あるという ことで、連邦準備は実は1%までフェデラルファンドレートを下げて、言わば超緩和政策を取ったということでありまして、国際的にも1%程度ののり代は必要 ではないかというのは多くの御意見がある、そういった御意見をお持ちになる方は多いのではないかというふうに理解いたしております。

○西田まこと君 ということは、来年度の見通しは0.1%、そんな単純じゃないんでしょうけれども、まだ来年はそういう出口戦略なりを考える時期ではないという御見解になるんでしょうか。

○ 参考人(福井俊彦君) 日本銀行全体としては、政策委員会で最終的にはこれで本当に再びデフレに陥るリスクはなくなったのかどうかということはきちんと判 断しなければいけない。先週末にお出ししましたのは、来年度、つまり2005年度の経済が進展していく中で、平均的にいきますと消費者物価の上昇率が 0.1%のプラスになると、これは平均値でございます。つまり、2005年度を走っているうちに、ある月は0.0かもしれない、ある月はマイナス0.1か もしれない。しかし、平均してみると0.1ということは、恐らく経済が自然な運行をしているとすれば、後になればなるほどプラスの確率が高くなり、場合に よっては最終的には0.1よりも高い数字になるかもしれない。平均して0.1でございます。
そういう経過をたどりました場合には、来年度中か、あるいは来年度が終わって更にもう少し先に行ってか分かりませんが、蓋然性としては、我々は安定的にその消費者物価指数が0%以上になるという段階を迎える可能性はあるというふうに、こう思っています。
そして、逆に、どこまで来れば再びデフレに戻るリスクがないかという判断をする場合に、委員によってはある数字を念頭に置いて議論される方もいらっしゃい ますでしょう。しかし、ある人はもっとほかの要素で、もっと経済をいろんな要素を分析しながら断定しようというふうにお考えになる委員もいらっしゃるで しょう。それらを全部持ち寄って我々は最終判断をしたいと。
したがいまして、日本銀行全体としては、今持っております数字は来年度の見通しが平均としてプラス0.1ぐらいというだけでございまして、それを超えていったときに新たな数字、数値的な目標で判断しましょうというふうなコンセンサスには今至っておりません。

○ 西田まこと君 先ほどの専門的なCPIの構成要件についてお話ありましたけれども、庶民の生活からしますと、生鮮食料品を除いた物価というのは本来あり得 ないわけでありまして、金融政策を考えるときにはいろんなことを考えられると思いますけれども、今、普通の生活からして、物価ということで一般の人に聞く と、みんな野菜が高騰していて大変だと、こういうふうに生活をしていれば実感としてあるのは間違いありませんし、またエネルギー価格も上がって生活を圧迫 していると。
最後でございますし、日銀の皆さんではないと思いますけれども、関係の方にお聞きしたいのは、この野菜の高騰、またエネルギー価格の高騰についての対応策、最後にお聞きしたいと思います。

○委員長(浅尾慶一郎君) どなたに聞かれますか。

○西田まこと君 農林水産。

○政府参考人(染英昭君) 野菜の価格政策についてお答えをいたします。
野菜につきましては、この10月に入りまして相次ぐ台風の襲来あるいは長雨、さらには日照不足等によりまして、生育の障害であるとか、あるいは冠水の被害などが生じているところでございます。
こうした中で野菜の価格について見ますと、これ昨日でありますが、11月1日現在では、東京都の中央卸売市場では、キャベツは1キログラム当たり229 円、これ平年比の4.0倍であります。また、レタスは530円、これも同じく3.9倍。白菜は171円で、同じく4.1倍など、極めて依然として高い水準 が続いておるという状況でございます。
現在天候が回復しつつあるという状況でございますので、徐々に出荷量も増加いたしまして、野菜価格が低下していくということでございますが、レタスなどの葉物野菜につきましては、出荷量は平年水準へ回復するには更に時間を要することが懸念されているところでございます。
このために、農林水産省におきましては、国産野菜の消費者に対する供給を緊急的に確保する観点から、この11月から特に年末にかけましてキャベツ、白菜な どの出荷の前倒し、あるいはホウレンソウなどの生育期間の短い野菜につきまして、例えばビニールで被覆して生育を促進する、あるいは通常よりハウスの温度 を上げて管理する、そういうことをやりまして生育の促進を図る、さらには曲がったキュウリであるとか小玉のキャベツなんかにつきまして、通常ではこれは出 荷されないわけでありますが、これの出荷処理を図っていくというようなことで、消費者に対する価格の動向、それと更に消費者の方に対する価格の動向などの 情報提供にも努めていくなど、万全の対策を図ってまいりたいというふうに考えております。
今後とも、生産者あるいは生産者団体の方々の協力も得ながら、早期に価格安定を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

○政府参考人(近藤賢二君) 簡単に御説明をいたします。
御指摘のように、ガソリン価格も上昇しております。例えば、今年1月は105円でございましたけれども、現在では119円で、リッター、でございます。灯 油の価格も48円から55円ということで値が上がっておるわけでございますが、これは原油価格、例えばWTIの価格を見ますと、今年の1月33ドルであっ たものが現在56ドルということで、相当な幅で伸びておるわけでございます。
ただ、私どもといたしましては、この小売価格の影響は非常に大きい ものですから、調査対象給油所の倍増ということ、さらには調査結果の公表区分を非常に細かくしていくといったことで、国民生活に大きな影響を及ぼすもので ございますので、引き続き動向を注視してまいりたいと、このように考えておるところでございます。

○西田まこと君 質問を終わります。