国交委員会・第16号 2006-05-11

【質疑事項】
1.道路運送法等の一部改正法案について
2.福祉有償運送について
3.福祉輸送モデル事業について
4.障害者等の有料道路の割引制度について
5.二輪の小型自動車の車検の有効期間
6.車体修理の品質保証につき

○西田まこと君 おはようございます。公明党の西田実仁でございます。
本日は、この道路運送法等の一部改正法律案につきまして、特に大きく2つの観点でお聞きしたいと思います。1つは、地域交通の利便性、また安全性の向上という大きな柱、そしてもう1つは安全な車社会という2つ目の柱につきまして、先ほど来藤野先生からもいろいろともうお話がございました。重複するところがもしかしたらあるかもしれませんが、なるべくしないような形で御質問させていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
まず、一番目の柱の地域交通の利便性、安全性の向上ということでございますけれども、これは先般、この委員会でも審議をいたしました交通バリアフリー法、またハートビル法を合体させた新しいバリアフリー法におきましても、実は市町村が高齢者や障害者等が生活上利用する施設を含む地区について基本構想を定めるということが法定化をされました。市町村におけるそうした協議会というものが大変重要な位置付けとして、基本構想を策定する重要な位置付けがなされたわけであります。そして、今回この道路運送法の改正におきましても、従来からございますが、福祉有償運送に関しまして運営協議会というのが市町村を単位として存在しているわけであります。
全体として、先ほど大臣のお話もございましたが、高齢社会に突入していくというこういう時代の流れの中で大変重要な今法案を審議しているわけでございまして、先ほど来審議をしました基本構想を定める市町村における協議会、バリアフリー法における協議会と福祉有償運送における市町村を基本として設置されている運営協議会、この両者の関係も、いずれにしても受皿は市町村なわけでありまして、この関係はどのような形になるのか。
また、私の意見としては、やはり当然のことながら、これは高齢社会に向けた1つの地域社会の在り方を考えていく協議会として大変重要な位置付けがなされておりますので、より連携をしていかなければならないと思っているわけでございまして、この関係性及び連携ということを促していく国としての施策、これをまずお聞きしたいと思います。

○政府参考人(宿利正史君) 今、西田委員からお話がありましたように、バリアフリー法で設けられます協議会、それから今度の道路運送法の方で設置されます協議会、これいずれも安全、安心な社会を構築していくと。道路運送法の方は輸送でございますけれども、バリアフリー法も輸送の話も入っておりますから、そういう意味では安全、安心な社会の構築あるいは福祉輸送の普及促進という目的において共有する部分がかなりあるというふうに考えております。
そういう意味では、双方の協議会につきまして、例えば構成員とかあるいは会議の運営、議論の進め方などを含めて緊密な連携を図るという委員の御指摘のところは私どもも極めて重要、有用なことだと考えておりますので、今後、市町村からのいろいろ相談に応じながら、適切な助言などを通じまして両者の連携が深まりまして、効果的にそれぞれの施策が推進されるように持っていきたいと、このように考えております。

○西田まこと君 是非それはよろしくお願いいたしたいと思います。
福祉有償運送の運営協議会について次にお聞きしたいと思いますが、これはいただいた資料で一月現在ですと、今のガイドラインの枠組みの中で、平成15年度が全国で10地域、16年度は22地域、そして17年度1月現在、今年1月現在ですけれども、212地域ということで、その後、2月、3月とかなり増えているというふうにもお聞きしておりますが、地域にこの運営協議会が設置をされてきている。基本的には市町村が単位、中には、私地元は埼玉でございますが、埼玉は県が主導をして各ブロックごとにこの運営協議会というものを組成しているということであります。とはいいながら、まだなかなかこの運営協議会自体の立ち上げが進んでいないという現状もあるやに聞いておりまして、ここにつきましては今後更にこの運営協議会が大事な役割を果たしていくということであります。
ここでお聞きしたいことは、なかなか市町村がいろんな事情から協議会そのものの設置にやや腰が引けているというか消極的な場合ももしかしてあるかもしれない。その場合に、例えば県とかがリーダーシップを発揮してこの協議会を設置していく、あるいは調整をしていく、そうしたことも私は必要ではないかと地元の埼玉を見ていて思うわけでございまして、こうした県のリーダーシップが発揮できるような促しを国としてもどう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(宿利正史君) まず、現在の運営協議会につきましては、必ずしも委員おっしゃったとおり設置が十分進んでいないという面があると私どもも認識しております、かなり進みつつありますが。今回、法律上の制度にきちっとなるわけでありますから、この機会に是非、地方公共団体の更なる理解、それから協力、具体的な取組というのを求めていきたいと考えております。
今お話がありました県のリーダーシップ、役割の関係でありますが、1つは市町村が基本であると考えておりますけれども、ただ、経済圏、交通圏など、地域の実情によって複数の市町村が主体になるとか、あるいは県がもう自ら主体になるというようなことも決して排除しているわけじゃありませんので、それは地域の実情でそういう選択があると思います。
あるいは、市町村が単独でやろうとする場合になかなか立ち上げが難しいと、あるいはノウハウ、理解その他が不十分だという場合に、都道府県がやはり適切なリーダーシップを取っていただいて指導、助言を市町村に対してしていただくということは私ども非常に重要だと思っておりますから、そういうことも都道府県に配慮していただくように国としても必要な努力をしていきたいと思っておりますし、私ども自身は、協議会に関係の職員を参加させることにいたしまして、適切な運営その他できる限りの努力はしたいと考えております。

○西田まこと君 この運営協議会につきましては、先ほど藤野先生からもお話ございましたが、実際に既にいろんなそういうサービスを、輸送サービスをされているボランティアの方々を始め、もちろんタクシー事業者の方、様々な利害関係者の地域でそのニーズをくみ上げていく、供給をしていく、そういうあらゆる主体がしっかりと加わって話をするということが必要であり、そのことを要望しておきたいと思います。
今回のこの道路運送法の改正で、いわゆるこの輸送サービス、公共交通機関も含めまして、私の理解ではやはり3つの大体サービス供給主体になってくるのかなというふうに理解をしております。
1つは、やはりタクシー業者を始めとした、営利を目的として、正にプロフェッショナルの方々でございます。そして2つ目に、今回きちっと登録をしていただいて、福祉有償運送をしていただく方々、そしてそれのみならず、その中に私はやはり助け合い事業というか、地域の、ある意味で限られた地域においてお互いに助け合って輸送サービスを行っていく、こういう主体もある。私はこの3つというふうに考えなければならないんじゃないかというふうに思っているわけですね。
いわゆる福祉有償運送と言ってひとくくりに全部するのではなくて、それは登録をするところも必要ですし、正に助け合いでやっているところも必要だ。実は私の父もかつて今の3つ目の助け合いの方で運転をしていることがありまして、そういう意味で地域でそうしたニーズが大変に根強くなっているし、また増えてきているという実感も持っております。
そこで、大臣にお聞きしたいと思います。いわゆるこの有償性の範囲ということにつきまして、有償性の判断ということにつきましてお聞きしたいと思っております。
この本改正案におきまして、有償運送として対象とする範囲はどうなのか。例えば、キロ30とか50円とか、こういうガソリン代の程度の謝礼金もらっているような団体の活動もいわゆる登録を義務付けるようなそうした団体になってしまうのか、それとも私が今申し上げたような、ある面で3つの構造というか層というか、3つ目のサービス供給主体として、その登録とはまた違うというふうに考えるのか。この有償性の判断ということにつきまして、是非大臣のお考え方をお示しいただきたいと思います。

○国務大臣(北側一雄君) 3つの類型を示していただきましたが、私も同様の認識をしております。タクシー事業者等々の従来の公共交通事業者の方々が行う福祉輸送と、今回法律できちんと制度化をさせていただきましたNPO等によるボランティア有償運送事業と、そして3番目に、そこにも入らない、逆に言いますと、登録をしなくてもいい、この法律が成立しましても登録の不要なそうした、委員のおっしゃる言葉で言いますと、助け合いによる福祉輸送、この3つの類型に分かれてくるんだろうというふうに私も理解をしているところでございます。
そういう意味では、この登録が必要なのかどうかと。また、登録をしていただいて、一方では、これは多くの利用者の方々、高齢者、障害者の方々を運送するわけでございますので、これ安全、安心を確保していく必要がありますし、万が一事故等があった場合にはきちんと措置ができるように、補償措置ができるような対応もしていただく必要がありますし、そうした様々な要件が、登録をしていただいてボランティア有償運送というふうになりましたら、そうした要件が出てくるわけですね。そういう意味で、本当にその登録が必要なのか、登録を必要とするかどうかの基準になるわけでございまして、そこは非常に大事なところであるというふうに私どもも認識をしているところでございます。
ここの基準なんです。有償とは何なのかという基準でございますけれども、従来より、言葉で言いますと、社会観念上、行為に対する任意の謝礼としての意味にとどまる金銭の授受が行われたにすぎない場合は有償による輸送とは解されないというふうにしているところでございます。
いずれにせよ、この有償性の判断というのは、これ個別具体的な事例に即して行う必要があるというふうに思いますが、しかしやはりその基準はある程度明確にしないと現場で混乱が起こってくる可能性もありますので、やはりそこは制度の運用に当たりまして、よく現在の実態も踏まえつつ、また目的は、これからの高齢社会を考えてやはりできるだけ自由に移動ができるようにしていきましょうというところに趣旨があるわけですから、そこに阻害にならないようにしていかないといけないというふうに思っておりまして、現場で決して混乱することがないよう、実態を踏まえつつ、今後、この法律を通していただきましたならば、省令、さらには通達ということで具体的な基準をより明確に決めていくことになりますので、今私が申し上げた趣旨によくのっとって基準を定めさせていただきたいと考えているところでございます。

○西田まこと君 今、基本的な考え方を大臣から示していただきました。正に今までも、このガイドラインで示されてきているその現状ですね、有償による輸送とみなすかみなさないかという、既にもう今も運用されているわけでございます。法律改正によってそこから逸脱するようなことが基本的にはないと、現状を踏まえてというお話もございました。是非、そうした運用、また現場で混乱が起きないようなしっかりとした基準、これにつきましても、現状を踏まえて、またそうした関係の方々からのいろんな御意見も踏まえて判断をしていただきたいと、こういうふうに思います。
今あわせて大臣からもお話ありましたし、先ほども藤野先生からお話ありました運転者に対する安全運転教育ということにつきましてお聞きしたいと思います。
この安全運転教育につきましては、一定の基準をクリアした講習を実施できる主体が行う講習の受講等ということが言われているわけであります。先ほどもそういう御説明がありました。この一定の基準をクリアした講習という、テキストというか何というんですか、そういうひとつのソフトですけれども、これは国交省が認定あるいは認証とかを与えるものなんでしょうか、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(宿利正史君) これは、これから省令、通達などを定めるときに決めていく話でありますが、やはり二種免許を原則としつつ、一種免許プラス講習でそれを代替するということでありますから、輸送の安全を確保するという観点で適切な内容と認められるものであるかということを確保しなければいけないと思います。それを一々認定をするというような仕組みで確保するのかどうかはちょっと、これから一番、制度の趣旨、目的に照らして適切な仕組みを考えていきたいと思っております。

○西田まこと君 そうすると、今既にNPOとかで安全運転教育を実施しているところもございまして、そうしたところもその内容が一定の基準をクリアした講習ということで、どういう形で認めるのか分かりませんが、認められればそれも引き続きできると、こう考えてよろしいんでしょうか。

○政府参考人(宿利正史君) 結局、要素として、講習の内容とだれが主体として行う講習であるのかという2つの要素が大きいのかなと思いますが、これをどう設定するかと、制度化するかというのをこれから詳細に検討していきますし、そのときに、現状であるとか今後どうあるべきかということについて関係者の意見、それからこれまでの検討結果、昨年来のずっと委員会で議論してきた結論と、そういったものを踏まえて決めていきたいと考えております。

○西田まこと君 今その内容と講師の話がございましたが、地域によっては、なかなか教える側の講師の人がもしかしたら見付からない場合もあるかもしれない。こうしたときに、それがゆえになかなかこのサービスが始められないということがあってもいけないし、あるいは今までやってきているのにできなくなってしまうというのも、これはいかがなものか、こう思うわけであります。
そうした講師を、地域によって必要とあらばですけれども、無理矢理押し付けるというのではなくて、そういう必要があればそれを派遣するような体制というんでしょうか、そういうことはどうお考えになっているんでしょうか。

○政府参考人(宿利正史君) 先ほどの大臣の答弁にもありましたように、今回の制度改正といいますか法律改正の趣旨が、現在行われているようなボランティア有償運送のサービスであるとか、あるいはこれからニーズが急増するそういったものにきちっとこたえていくという方向で考えていきますので、一定の講習の内容と、それから講習が容易に受講できるのかどうかということをやっぱり併せて実現しなければいけませんので、今、西田委員からお話があったようなことがそれに適当であるのかどうかということも含めて、要するに実効性のある、使い勝手のいい、かつ中身がきちっとした講習の体制を考えていきたいと思います。

○西田まこと君 次に、福祉輸送モデル事業についてお聞きしたいと思います。
これにつきましては、先ほど大臣のお話もございましたが、共同配車センター等の初期投資、初期コストを支援するという基本的には枠組みだと思います。例えば大阪の枚方市で、これは国の補助金をもらっていませんけれども、実際に共同配車センターが実施されている。
それぞれ地域の、いずれにしても、輸送サービスを求めるニーズというものにどうこたえていくのかというところで、いろんな主体、先ほどの私の説明であれば、3つの層というか3つの主体が、供給主体がそれぞれの役割をその地域で果たしていくということがその地域におけるニーズ、輸送サービスニーズに対してこたえていくということになるわけで、そのときに、この共同配車センターという在り方というのは、非常に実務のところで私は大事だと思っております。お互いの理念的な利害だけぶつけ合って何も事が進まないということではなくて、そうではなくて、実際にこの共同配車センターを通じて地域のニーズにこたえていく、こういうことが私は大変大事だと思っているわけですけれども、この場合に、この福祉輸送モデル事業は基本的にハードに対する支援のみとなっております。
しかしながら、この共同配車センター等では、やはりコーディネーターと言われるようなソフトの役割というのも大変大きいと思っておりまして、これは、今すぐにこのモデル事業の枠組みを変えるわけにはもちろんいきませんが、今後の課題として、こうしたハードのみならずソフトに対する支援、これも検討すべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。

○政府参考人(宿利正史君) 西田委員御指摘のように、この種の事業が共同配車センターも含めてうまくいくかどうかというのは、これからいろいろな試行錯誤のプロセスもあるかもしれませんが、コーディネーターのような役割を果たせる人がいれば、それは極めて有用だと思います。
このモデル事業につきましては、18年度、今年度予算で初めて制度化したものでありますから、現在はハードの整備に対する補助ということでありますが、今後の検討課題として、そういったソフトについての扱いをどうするかというのは勉強していく必要があろうと考えております。

○西田まこと君 次に、この今回の道路運送法の改正そのもの、直接ではないんですが、テーマとしているところを共通にすることで、移動の制約がある方に対する1つの制度ということで、障害者等の有料道路の割引制度について2つほどお聞きしたいと思います。
今日、お忙しい中ありがとうございました。
現状はもう既に承知しておりますので、2つほどちょっとお聞きしたいと思います。
1つは、障害者のノーマライゼーションを確保するという意味から、今、有料道路の割引制度、障害者について特に設けられております。ただ、例えば介護者運転の場合ですね、介護者が運転する場合、本人ではなくて介護者が運転する場合、これは、今、登録された自動車は1台のみが許されているということであります。
しかし、実態的には、例えば、私もお聞きしましたけれども、御家族や親族で介護をされている場合とか、必ずしもその1台の車だけで使っているわけではなくて、時に応じて何台も使っているケースもある。しかし、余りそれをのべつ幕なし認めると不正も起きるという心配も分かります。ただ、1台というのは、本当に限定しているのは、もう1台どうなのかというのも何か変な質問ですけれども、そういう、もうちょっと柔軟に考えられないのかというのが一点。
そしてもう1つは、精神障害者の方々の割引制度が今除外されているわけでありまして、これは障害者自立支援法でもすべての障害をお持ちの方に対するノーマライゼーションということがもう当然のこととされている今日でございまして、この精神障害者の方々も対象に含める検討を、既にされているとは思いますが、もっと急ぐべきではないかと。
この2点についてお答えいただきたいと思います。

○参考人(青野捷人君) 有料道路における障害者割引制度は、通勤、通学、通院等の日常生活において自家用車を御利用されている障害者の方の社会的自立を支援するため、建設省道路局長及び運輸省自動車交通局長通達を踏まえて、昭和54年に導入されたものでございます。現在においては、全国の有料道路事業者が申し合わせの上、全国で統一的に実施させていただいているところでございます。
当該割引の対象となる自動車の範囲につきましては、障害者の方が自立した日常生活を営む上で通常必要と考えられる御利用を対象とし、障害者御本人又は御親族等の方が所有される自家用車一台を対象としているところでございます。当該割引に伴う減収分につきましては他のお客様が御負担することになりますので、割引の対象となる自動車の範囲については、他のお客様の御理解を得られるものとする必要があるというふうに考えておりまして、現在のところ1台というふうに範囲を指定させていただいております。
また……

○政府参考人(谷口博昭君) よろしいですか。

○委員長(羽田雄一郎君) まだ答弁続いていますから。
どうぞ。

○参考人(青野捷人君) 精神障害者につきましては、道路局長の方からが適当かと思います。

○政府参考人(谷口博昭君) お答えします。私の方から精神障害者の件についてお答えさせていただきたいと思います。
有料道路の障害者割引につきましては、制度創設以来いろいろ制度の改善に努めさせてきていただいておりますが、精神障害者につきましては現在のところその対象とされておらない状況にございます。精神障害者への割引適用の拡大につきましては、精神障害者の方々に対する社会進出を支援すべきという世論があることなどから、これまでもすべての有料道路事業者に対し、精神障害者の実情を把握しつつ、その適用方法等を含めて検討がなされるよう理解と協力を求めさせてきていただいているところでございます。
障害者割引の適用に関しましては、現在、精神障害者保健福祉手帳に写真の貼付がなく、料金所における本人確認をどうするかなどの課題があるということでございますが、委員の御指摘をいただきましたので、会社等の自主性、健全な経営という中ではありますが、有料道路事業者に対し、割引制度の充実が図られるよう改めて働き掛けさせていただきたいと考えているところでございます。

○西田まこと君 いろいろと本人確認の問題があることはよく承知しておりますが、こういう時代ですし、本人確認をするためには別に写真だけじゃなくて、いろいろやり方は多分工夫すればあるんじゃないかと思いますので、是非御検討を急いでいただきたいと思います。
残されましたあと6分、7分ぐらいですが、2つ目の大きな柱、それで今回の道路運送法等の一部改正法律案にも含まれておりますこの安全な車社会ということにつきまして、2点ほどお聞きしたいと思います。
1つは、今回の法律改正におきまして、二輪の小型自動車の車検の有効期間、これが初回に限ってですけれども、2年から3年に延長をされるということでありますし、同時に、省令の改正によりまして、6か月点検もこれまでございましたが、これが廃止される、1年になるということであります。
ここで私は大きなテーマとしてお聞きしたいんですが、こうしたいろんな規制緩和の流れというのは、あるいは車検の初回の延長という流れはよく踏まえているわけでございますが、こうした規制緩和の流れと同時に、当然これは自己責任ということも伴っていかなければいけないというふうに思っております。点検等がなされなくて整備が不備のために事故が起きてしまってはいけないと、こういうことであります。
ここで今日はお聞きしたいのは、この定期点検整備がちゃんとなされているかどうか、つまり自己責任が果たされているかどうかということについて勧告する制度というのが実はあるわけですね。道路運送車両法ですけれども、54条の第1項でそういう整備を命ずることができるとの規定があり、かつ同条第4項では定期点検整備の実施を勧告できるというふうになっております。平成13年度以来、実際に勧告をされた事例というのはどのぐらいあるのか、その推移をちょっとお話しいただきたいと思います。

○政府参考人(宿利正史君) 今、西田委員から御指摘がありました勧告制度でありますが、各年ごとに実績を申し上げますと、平成13年度全国で2件、平成14年度1件、平成15年度は実績ありませんで、16年度1件、17年度が51件ということになっております。
これ、17年度から急増しておりますのは、昨年の12月に、今正に西田委員から御指摘がありました同じ問題意識でありますけれども、この法律の制度をつくっておきながらこれが有効に実施されていなかったという私どもの反省がありまして、昨年の暮れからこの制度を活用するべく地方のそれぞれの部局に指示をいたしまして、その結果が今申し上げましたように17年度51件と出てきておりますので、18年度からは通年になりますからもっと大きな実績が出ると思いますし、こういう制度を十分使っていきたいと考えております。

○西田まこと君 是非そうした、両輪ですね、規制緩和とまた自己責任でしっかり点検をしていくということを促すことも大事だと思っております。
最後に、前回も一般質問のときにさせていただきましたが、事故破損車両の安全確保という観点から、車体修理の品質保証につきましてお聞きしたいと思います。
この車体修理に関しましては、車体修理記録簿というのが実際にございます。しかしながら、これはほとんど手書きとかで対応しておりまして、顧客にこの結果とかデータを書面で合理的に示すことがなかなかできていないというのが現状ではないかと思っております。
しかし、この日本自動車車体整備協同組合連合会というのがあるようですけれども、この協同組合では車体修理記録簿というひな形を作っておられまして、さらに加えて、顧客に対する修理保証書ということも発行をしているわけであります。しかし、その活用実態を国交省さんにもお調べいただきまして知りましたところ、かなり都道府県によってばらばらというか、具体的な数字をもう時間がないんで申し上げますが、平成12年から平成17年度末までの活用累計、こうしたひな形の活用累計は、例えば東京はそうした車体修理の事業者の方が多いと思われますが、東京はこの活用事例が350しかないのに対して神奈川は12625、私の地元埼玉は4110と、かなり、せっかくあるひな形でありますけれども都道府県で随分扱いが違うと、普及度が違うというふうに思います。これは組合員の会員数の問題もあるのかもしれませんけれども。
ここでお聞きしたいことは、前回もお答えいただきましたが、事故損傷車両の終了後に車体がゆがんで大事故になったケースはほとんどないということであります。しかし、ないから、じゃほっといていいのかというと、そういうことでもないと思います。その車体修理技術が本当に確かなのかについて、事故が起きてからそれが証明されるというのはこれあってはならないことでありますし、予防的対応ということが今大事になってきているわけでありますので、ユーザーの不安を解消して、またこの車体修理の品質を保証していくという目的に照らせば、こうした車体修理記録簿とかあるいは修理保証書、こうしたものの普及に国としてももっと努めていくべきではないかというふうに私は思いますが、御見解をお聞きしたいと思います。

○政府参考人(宿利正史君) 今、西田委員から御指摘がありました件は、実は平成8年度に、この車体整備の問題を関係者交えて国土交通省でいろいろ検討いたしましてその報告をまとめたときに、言わば修理記録をユーザーに情報提供をし、かつ修理保証書を作成することによって品質保証を図ろうということで、望ましい取組という方向を出していたわけでありますけれども、現状が残念ながらばらつきがあるということであります。
私ども、こういう取組は非常に意味があると思っておりまして、もっと広く活用していただく必要があると思っておりますが、ちょっと現状が御指摘のようにばらつきがありますので、関係者から、どうして非常に利用されているところと利用されていないところがあるのか、どこに問題があるのかというのをよくちょっと話を聞きまして、利用促進、普及が進むように取組をしてみたいと考えております。

○西田まこと君 目的は安全な車社会という、今回の道路運送法の改正の2つ目の大きな柱がこの安全な車社会ということでありますので、その目的に照らして必要な施策はしっかりと打っていただきたいと思います。
以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。