177-参-文教科学委員会-003号 2011-03-25

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
本日は、さきの東北関東大震災以降、私も初めての質問でございます。
埼玉にもたくさんの避難民の方が来られておられまして、さきの大地震でお亡くなりになられました皆様方には心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、今もなお懸命に生きようということで頑張っておられる皆様にもお見舞いを申し上げさせていただきたいと思います。
今回、福島原発の問題、特に埼玉には多くの双葉町の皆様を始め、集団で疎開もなさってこられております。福島原発の事態についてはなかなか収拾への道筋が見えない、そういう中にありますが、今後のステップを考えても、放射性物質の完全冷却あるいは風向きによる放射性物質の飛散を防止し、最終的にはコンクリート等での封じ込め等々が一般的に言われておりますけれども、それには大変長きにわたる時間が掛かるということは残念ながら覚悟しなければならないということと聞いております。
私も、この震災以降、先週から埼玉のスーパーアリーナはもちろんでありますけれども、各市に来られている、避難されている方々から直接いろいろなお話を承ってまいりました。本日は、そのお話を基にいたしまして、文部科学行政にかかわるところ、また生活全体を支えていくために必要な御要望等についても申し上げさせていただきたいと思います。
埼玉に来られた被災者の皆さんの一番の不安というのは、いつまでここにいられるのかという問題と、そしていつになったら故郷に帰れるのかという、そのことをまた異口同音に皆さん言われるわけでありますが、今申し上げましたとおり、事態収拾の道筋がなかなか見えない中、避難が長期化するということも否定することはできないわけであります。そうなりますと、ふるさとあるいはコミュニティーの維持、そして避難者同士のネットワークということを考えますと、いわゆる集団疎開方式というのは有効ではないかというふうにも考えられます。
今、今月末まで、そして四月からは廃校となりました高校に移る予定でありますが、埼玉県のスーパーアリーナに一時避難しておられる双葉町の皆様、双葉町方式という言い方もされているようでありますけれども、これが万が一、今後避難が長期化していく場合にも一つの有効なモデルになり得るのではないかというふうにも思っております。
実は、埼玉で最初に福島を中心とする今回の震災の被災者の皆様を受け入れたのは三郷市というところでございました。この三郷市は広野町というところと災害協定を結んでおりまして、三郷市においては廃校になりました小学校を広野町の町民の皆さんが集団で利用できるように開放されておられます。
こうした、集団で疎開をしようと思うと、その場所、どこに避難するのかといったときには、やはり福島県の周辺、埼玉も含めてでありますけれども、少子化により廃校となった学校施設も大変多いということもございます。そうした施設を活用して、今申し上げました、避難が長期化するとすれば、集団疎開方式による避難を、そうした施設を活用した形での避難ということが大変有効ではないかというふうに私自身は考えておりますけれども、まず初めに、大臣にこうした廃校となりました学校施設を利用した集団疎開方式、この有用性、有効性についての御認識をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(高木義明君) 西田委員にお答えします。
西田委員からは、福島県の双葉町の例が出されて、この町の教育についてのお尋ねがございました。私どもとしましては、この災害の甚大性、広域性、これまでとはかなり違った、また強い対応が必要であろうと。中でも、子供たちの教育環境が早急に復元できるような、そのような気持ちを強く持っておりますものの、まだまだ災害の全体的な状況、またこれからの長期化においてのいろいろなニーズ、たくさんあるのであります。
特に、集団疎開方式として今例がありました。我々もいろいろな検討も進めておりますが、例えば集団疎開でよく知られておりますのは東京都の三宅島であります。三宅島の火山災害の際、平成十二年の九月でありますけれども、三宅村としては、それぞれ被災者保護者や児童生徒の意向について三つの選択肢を示しております。
まず一つは、閉校予定であった都立学校に子供が集団で避難すること、二つ目には、保護者とともに避難し近くの学校に通う、三つ目は、親戚等の自宅から近くの学校に通うと、この三つの選択肢を示した上で、保護者やあるいは児童生徒の意向を確認をして決定をしたと、このように伝わっております。
今回の震災においても一つのこれは事例になるわけでありますけれども、被災地の教育委員会として、地域のコミュニティーがどうこれから維持されていくのかと、そういう観点が非常に大事でございます。そういうことも含めて、子供たちへの教育をどのようなことで正常に戻していくのかと、こういう在り方についても、私どもとしましては、保護者あるいは地域住民等の意向を総合的に考えて対応する必要があろうと、また決定されるものであろうと、このように考えております。

○西田実仁君 そうした地域のいろんな御要望、また今例示されました三宅島の件も含めまして、こういうときでありますので、国として強力にそうしたことをバックアップしていく体制を、もう今も御努力いただいていると思いますけれども、更にお願い申し上げたいと思います。
その中にあって、こうした埼玉に今来られている方は今のようなお話を進めていくわけでありますけれども、特に屋内退避指示が出ました半径二十から三十キロ圏の方々についてお聞きしたいと思います。
これはもう報道もされておりますし、私自身のところにもいろんなメールや手紙等も、また電話でもいただいておる件ですが、人も食料も来なくなってしまって、餓死する人が出るかもしれないというような声すら訴えとしてあるわけでありますが、こうした二十から三十キロ圏内で屋内退避がこのまま続きますと、もう間もなく四月になるわけであります。四月から学校に通う児童生徒にはどう対応するという方針をお持ちなのか。家庭内で学習をするのか、それとも三十キロ圏外に退避させていくのか。教育行政としては、この二十から三十、屋内退避という指示が政府から出た、こういうそこに住んでいらっしゃる児童生徒に対してはどのように臨むつもりなのか。もう来週からは四月になります。是非お答えいただきたいと思います。

○国務大臣(高木義明君) 福島の第一原発、第二原発の今の状況はまだまだ予断が許されない状況でございます。今のところ二十キロから三十キロの域内には小中高校二十八校あると承知をいたしておりまして、現在、御指摘のとおり、この中にある児童生徒がこれからどのようなことになっていくんであろうかと、非常に心配なところであります。
今は、域内の学校は学年末の休業に入っております。児童生徒は、家族とともに区域外に避難をしておられるのか、あるいは屋内で退避しているか、いずれかであろうと考えられております。
このうち、二十キロから三十キロの域外に避難をしておられる方、その市町村での就学を希望する児童生徒については、既に三月十四日に被災児童生徒の就学機会の確保について指導を通知をしておりまして、新学期に向けて受入れが進んでいくものだと考えております。
また、屋内退避指示の区域におきましては、外出は極力避けることが望ましいと、政府として一応対応ガイドラインとしては、ここは外出禁止ではなくて、外出する場合はなるべく短時間にする、また外出する場合は徒歩よりも車を利用する、またマスクを掛ける、またできるだけ肌を出さないような長袖等の着用をする、また雨降りには傘を差して雨にぬれないように心掛ける、こういうことを私たちとしてもお願いをしております。このため、屋内退避している児童生徒については、四月以降の新学期についても、例えば入学式を遅らせるなど弾力的な取扱いが必要になろうかと思っております。授業を行う場合においても、被災地域の教育委員会において児童生徒の健康、安全に十分配慮しなきゃなりませんので、例えば通学バスを出すとか、あるいは通学方法、授業の実施の工夫を図っていくことが必要であろうと思っております。
いずれにいたしましても、子供の置かれた状況について我々は弾力的にしっかりと対応しなきゃなりません。文部科学省としても、そういう市町村の取組を支えていくこと、これは物心両面の面で必要になってくると、このように思っております。

○西田実仁君 この屋内退避という政府のガイドライン、方針を出したわけでありますけれども、そういう一つの方針を出したら、それがきちんと完遂できるような環境づくりをしないと、方針だけ出してそれを履行できないんであれば、それは本当の意味での方針ということにならないというふうに思うんですね。
今おっしゃったような二十から三十キロ圏内の方々の児童生徒に対する教育行政、こういうふうにしたらどうだという提案的なものもございましたけれども、今日の報道なんか見ていても、例えば南相馬市の市長さんが、結局現場で何が起きているのかというのは何にも国に対して伝わっていないんだと、こういうふうに言われているんですよ。現場で起きていることを、この市長さんが言うには、これはインタビューで答えていらっしゃるんですが、職員を例えば張り付かせて現場で起きていることを国に対して発信してほしい、そしてその対応策を現場に即して考えてもらいたいと、こういう大変強い訴えがあって、これは既におやりになっていると思いますけれども、しかしまだこういう首長さんが二十から三十キロ内で発言されているということは、十分にできていないということを示しているわけでありまして、ここはもう早急に手を打たないと、本当にこの二十から三十の人たちは大変なことにもう既になっているわけです。
今言われたいろんな大きな方針はいいんですけれども、じゃ、本当にどうするのかということを、現場に即して国に対して要望を出すなり、こうしてもらいたいというようなことを言う機会をどうつくっていくのかということを、やっているとは思いますけれども、さらにどうするのかということを是非お答えいただきたいと思います。

○国務大臣(高木義明君) 言われることはもっともなことでございまして、災害において最も重要な役割を果たす立場にあるのは言わずもがな市長さんや町長さんであろうと思っております。
私どもも、市長さん、町長さんを全面的にバックアップする、そういうことがまず何よりも大事。それは、私も先ほど申し上げましたように、物心両面にわたってそれを支える、同時に広く周知徹底を図る、そして情報がなかなか錯綜しておるとか、あるいは全く情報が伝わっていないということもよく私たちも承知をしておりますので、その点については更に改めて点検をして、そういうことがないように努力をしなきゃならぬと思っております。

○西田実仁君 是非、今までの体制では十分ではないということを訴えているわけですから、更に強化をするようにしてもらいたいと思います。
この双葉町方式のような集団疎開方式を取るための環境整備について一応確認をしたいと思います。今日は、厚生労働政務官も来ていただきましてありがとうございます。
一つは、まず、もう既に始まっております生活保護の申請についてでございますけれども、この今の法律の下では、現に住所のある人のみが申請できるということになっておりますけれども、例えばこうした埼玉に避難をされて長期化する方々、こうした方々の生活保護の申請についてはどのような取扱いになっているのか、また確定をしているのかということを確認したいと思います。

○大臣政務官(小林正夫君) 生活保護申請についての御質問でございます。
今般の地震により遠方に一時避難した方が生活保護の適用を求める場合については、避難先の自治体が責任持って保護することになる、こういうことでございます。先ほど先生からお話があった埼玉のスーパーアリーナの場合についてはさいたま市と、このようになります。具体的には、避難先の場所を所管する福祉事務所に生活保護の申請をしていただく、このような手続になります。

○西田実仁君 それで、その後、報道等でもありますが、最終的には、さいたま市なんですけれども、財政的には国がバックアップするということでいいんでしょうか。

○大臣政務官(小林正夫君) 避難先で保護を受けた場合の生活保護費の地方負担分については、生活保護法に基づき、保護を実施する自治体ではなくて避難先の都道府県、指定都市、中核市に負担していただくこととなっております。ただ、この地方負担分については、総務省の地方交付税により所要額が措置されるものとなっております。また、年度途中に生活保護受給者の数が変動してもその翌年度に精算されている、こういう実態でございます。
今回の震災に伴う地方の財政負担については様々な御論議があるところでございます。現在は、関係省庁等において被害状況等の把握に努めております。今後、被害状況等を踏まえた中で、被災者の方々の生活再建に必要な対策について政府全体で対応を検討をしてまいりたい、このように考えております。

○西田実仁君 避難が長期化するとすれば、なおさらそうした生活、もう目の前に差し迫っている、生活資金の問題もありますけれども、こうしたことを安心して受けられるような体制を早くお願いしたいと思います。
あわせて、既に御要望として、避難をされている方々の、短期でもいいから就労あっせん窓口を例えば国として、あるいは県なら県の労働局として設けてもらいたいと、こんなような話も出ておりますけれども、これについてはどんな検討がされていますか。

○大臣政務官(小林正夫君) 現在、被災地地域で一時的な避難所を設置しているほか、全国各地の地方自治体が被災者の受入れを表明しておりますので、避難が長期化すれば避難先での就労を希望する方も増えてくる、このようにとらえております。
このため、被災者に対するきめ細かな相談、援助を行うために特別相談窓口を、被災地域を中心としたハローワーク、今百三十五か所に設置をしているところでございます。避難先においても、既に二千名余りの方が避難されているさいたまスーパーアリーナ、先ほど先生がおっしゃった、スーパーアリーナにおいても昨日よりハローワークの出張相談窓口を設けて御本人の状況に応じた相談を進めているところであります。三月の二十三日には、既に百六十三人の方が相談に来られている、こういう報告を受けております。
今後、避難先を含む全国のハローワークにおいて特別相談窓口の設置と避難所への出張相談、こういうことを行うとともに、住宅とか寮が付いている、こういうところへ就職できるような求人開拓をしていきたい、このように考えております。さらに、被災者を対象とした合同就職面接会、こういうものも企画をしていきたい、このように考えております。
先生御指摘のとおり、引き続き被災者の方が一日も早く就職できますように全国のハローワークが一丸となって取り組んでまいる所存でございます。

○西田実仁君 是非、取組を強化をお願い申し上げたいと思います。
次に、放射性物質の被曝につきまして、ジェー・シー・オーの事故の後、再発防止ということで定められました様々な法律がございますけれども、それがどう機能したのかということについてもお聞きしたいと思います。
こうした埼玉にも来られている、避難されている方々から異口同音におっしゃっておられますのは、震災当日の夜、政府は原子力緊急事態宣言を発令をしたものの、私がお聞きしたのは、福島原発から十キロ強の富岡町民の方でありますけれども、その当日、町役場には二度も行っているけれども、その非常事態宣言がそもそも政府から発令されたことを一度も聞かされず、一夜を知らずに過ごしたという話でございました。また、先ほどの南相馬の市長さんも今日の新聞報道のインタビューにもお答えされておりますけれども、原発の事故はテレビで初めて知ったと、東電だけではなく、国や県から何の情報もなかったというふうに言われているわけであります。
そもそも、ジェー・シー・オーのこの事故の後、原子力災害が発生した場合に国の対策本部が設置されて、オフサイトセンター等ができ、そして情報が住民の方にも速やかに伝えられるという体制を原子力災害対策特別措置法によってつくられていたと思いますが、結局これが機能してないということになるのではないかというふうに思います。
そして、東電と官邸の対策統合本部なるものができましたけれども、そもそもこの法律では、オフサイトセンターで原子力災害合同対策協議会というのをつくって、そこから様々な情報が発信されるということに仕組みとしてなっていたわけでありますが、こうした対策統合本部をつくらなければならなかったということは、ジェー・シー・オーの事故で教訓としてつくられたこのオフサイトセンターが全く機能してないということも併せて意味しているのではないかと思いますが、こういう状況になぜなってしまうのかということについて、今日お見えの経済産業省にお伺いしたいと思います。

○政府参考人(中村幸一郎君) お答え申し上げます。
先生の方からは、まずジェー・シー・オーの事故を受けてのその原子力防災対策について、その教訓というのがどういうふうに生かされたのかということと、それから地元住民の方々へのその情報連絡の在り方、それからオフサイトセンターについてのその機能の点、その三点について御質問を承ったというふうに理解をします。
まず、ジェー・シー・オーの事故の反省がどのように生かされたかという点でございますけれども、平成十一年九月に発生をいたしました、ジェー・シー・オー、ウラン加工施設の臨界事故での様々な反省や教訓を踏まえまして、平成十二年六月でございますけれども、原子力災害対策特別措置法が施行されております。この法律に基づきまして、迅速な初期活動の確保、国と地方公共団体との連携の確保、国の緊急時対応体制の強化、原子力事業者の責務の明確化というものが図られております。その結果として、内閣総理大臣を原子力災害対策本部長とする原子力防災対策が構築されたところでございます。
今回の地震、津波の災害におきましては、この法律に基づきまして、電力会社の方から事象発生につきまして通知がなされることに加えまして、内閣総理大臣におきます原子力緊急事態宣言の発出というものがなされております。そういった意味から、ジェー・シー・オー、ウラン加工施設の臨界事故の教訓が生かされているというふうには思っております。
しかしながら、当初、現地対策本部が設置をされましたオフサイトセンターと東京との間、あるいはオフサイトセンターと福島県あるいはその関係自治体との通信機能がこの地震、津波によって大幅に阻害されたということも事実でございます。その結果として、東京それから県、市町村とのその情報共有に支障を来したということでございます。
また、二点目の情報連絡のところでございますけれども、このような事故の対応に当たっては、御指摘のとおり、地元の住民の皆様に情報をタイムリーにお伝えをし、少しでも不安を解消していただけるように努めることは大変重要だというふうに認識をしております。
事象発生以降、緊急事態が宣言され、また避難、退避の指示というものが自治体の方に対して行われております。そして、自治体の方におかれましては、防災無線等あるいは広報車等を通じまして、こうした情報につきまして住民の皆様に情報提供を行っていただいたところではございます。しかしながら、このような大きな地震、津波の災害の下で、原子力災害について住民の皆様方に情報提供がどのように行われたのかというところについては、その他の防災対策も含めて今般のその事例を検証し、原子力防災体制の一層の改善に努めてまいりたいと思います。
それから、情報提供のところでございますが、政府としても、総理、官房長官が自らメディアを通して情報を伝えられておるほか、原子力安全・保安院におきましても、震災当日にはおおむね一時間、二時間をめどに記者会見を行い、タイムリーな情報伝達を行っております。また、現在も一日数回にわたって定期的な会見を行っているところでございます。
三つ目のオフサイトセンターの機能のところでございますけれども……

○委員長(二之湯智君) 審議官、もっと手短に言ってください。時間がありません。

○政府参考人(中村幸一郎君) はい。恐縮でございます。
オフサイトセンターにつきましては、現在、事故の発生後直ちに現地対策本部が設けられ、事業者との連絡調整、情報収集に努めているところでございます。
いずれにしましても、今回の教訓を踏まえまして、更に防災対策の充実に努めてまいりたいと思っております。

○西田実仁君 終わります。