177-参-文教科学委員会-011号 2011-08-18

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
もう今民主党の議員の方々や、また自民党の議員の方々からも様々な御指摘がございましたので、時間も短いですから、基本的なことを端的にお尋ねをしたいと思います。
現行法におきましては、公立学校、私立学校等では災害復旧事業に関しましていわゆる格差というか差を設けているわけでありますけれども、まず大臣の方にお聞きしたいのは、こうした、改めてでございますけれども、公立学校と私立学校の災害復旧事業に関しまして現行で差が設けられているその理由ということについてお尋ねしたいと思います。

○国務大臣(高木義明君) 西田委員にお答えをいたします。
現行の災害復旧制度におきましては、学校の設置者、また学校教育に係る制度上の位置付けなどを踏まえまして、施設災害復旧に係る国庫補助率等に関し、公立学校と私立学校等とでは異なる取扱いとなっております。
一方、今般、震災による被害が甚大であることを勘案いたしまして、施設災害復旧費補助に加えまして、一つには、私立学校については教育活動復旧のための補助を行っております。また、私立学校と専修学校等については、日本私立学校振興・共済事業団による五年間の無利子、その後の低利金利の長期融資の利用を可能にするなどしまして、できる限りの措置を講じまして学校の設置者への支援に努めているところでございます。

○西田実仁君 発議者にお聞きいたしますけれども、そうした今政府側からの答弁に対しまして、新たに法律を作ってこの差を解消していかなければならない理由につきましてお尋ねしたいと思います。

○草川昭三君 西田委員にお答えを申し上げたいと思いますが、今回のこの大震災に伴う被害によって被災地域での教育再建が大変喫緊の課題になっている現状は、先ほどの議論の中からも明らかになっておるわけであります。
それで、教育インフラを早急に整備することが非常に必要である。そのために過日衆議院でいろいろな御議論があったやに聞いておるわけであります。しかし、現行制度では、災害復旧事業に関し公立学校と私立学校との間に格差が非常にあるわけであります。私立学校も公立学校とともに我が国の学校教育を支える存在であるにもかかわらず、大震災からの復興に当たり、このような格差が放置をされていることを認めることはできないのではないだろうかということがそもそものこの発議をしたスタートであります。
さらに、私立学校振興助成法による助成は経常経費補助が中心でありまして、これは児童生徒数の数に応じてその額が決定されるものであるために、このまま施設の復旧のめどが立たなければ、その間、児童生徒数の減少により震災前と同じような助成を受けることができないということになりまして、先ほども議論がございましたように、将来の見通しということについて学校経営をなされる方は大変苦悩を持ってみえるわけでありまして、せっかくの、被災した施設を復旧するということ自身を諦めてしまうというような悪循環を生じさせないためにも今回のこの提案になったということをお答えを申し上げておきたいというように思います。

○西田実仁君 本法律案の附則第二項には、「政府は、私立の学校等の用に供される建物等の災害の予防及び災害が発生した場合における復旧に関し必要な財政上の措置その他の措置に係る制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」という検討規定がございますけれども、これを設けられました立法者の意思についてお聞きしたいと思います。

○草川昭三君 附則第二項において検討という項を設けたことはもう皆さん御存じのとおりであります。
この法案は東日本大震災により被害を受けた私立学校等に対し補助率のかさ上げを行うということを目的にしたことは、もうくどくどと申し上げる必要はないと思うんです。
しかし、災害が起きた場合に、被害を受けた私立学校等がその復旧等に当たって困難に直面することは東日本大震災による被害に限ったことではないわけでありまして、耐震改修等に関する国の助成が私立学校等においては非常に不十分でないかというのをかねて来公明党は主張をしておったわけでありまして、特に耐震化要求ということを野党時代から、あるいはまた与党時代になりましても強く主張をしてきたところであります。
残念ながら、いろいろとその後の経緯で仕分の対象にこれがなったりして、後退をしたようなこともあるわけでありますが、改めて必要な措置を講ずることが必要だということを検討条項としてこの第二項に設けたわけでございます。
以上でございます。

○西田実仁君 ありがとうございます。
最後に、時間もないんで恐縮ですが、大臣にお聞きしたいと思いますが、この法律、直接関係ないんですけれども、日本語学校におけます生徒が辞退したりあるいは退学をしたということについてお尋ねしたいと思います。
私、地元は埼玉でございますけれども、埼玉又は千葉といった首都圏における日本語学校の福島原発によるいわゆる実害的風評被害ということについて実際に調べてまいりましたところ、埼玉、千葉合わせて十四校の日本語学校を調べました。そうしましたところ、入学辞退あるいは退学をしてしまったという、この四月—七月の時点で調べますと、約一億五千万円ほどのいわゆる直接的な営業損害というのが生じているわけであります。
原発の審査会の中間指針を見ますと、この中には、風評被害につきまして、商品以外の無形のサービスも含まれるというふうに記載され、そこには観光業を例示しております。当然、私はこうした日本語学校の直接的な風評被害についても損害賠償の対象となってしかるべきだというふうに感じておりますけれども、大臣のこの日本語学校についての認識、また今私がお尋ねいたしましたこの対象に含まれるか否かという見解、これをお聞きしたいと思います。

○国務大臣(高木義明君) この度の東京電力福島原子力発電所の事故による損害につきましては、相当因果関係が認められるものについては適切に賠償が行われることになっております。私どもとしましてはこの賠償紛争審査会を設置をしまして、御承知のとおり八月五日に損害の範囲の判定に関する中間指針の策定をいただいたところでございます。
外国人留学生の入学辞退など外国人語学研修学校で生じた損害については、中間指針におきまして、まず一つ、政府による避難指示等の対象区域内で事業の全部又は一部を営んでいた者については、現実に生じた減収分及び追加的費用、二つ目には、それ以外の区域で生じた被害、いわゆる風評被害につきましては、全国的に、本件事故の前に既に契約をなされた場合であって、少なくとも平成二十三年五月末までに解約が行われたことにより発生をした減収分及び追加的費用が賠償の対象と認められております。
なお、中間指針で類型として示されていない損害であっても、個別の事情を勘案をいたしまして事故との相当因果関係が認められるものにつきましては、東京電力から適切な対応がなされるものと考えております。

○西田実仁君 終わります。