186-参-財政金融委員会-003号 2014年03月13日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。午前中に引き続きまして、質問をさせていただきたいと思います。
まず、今予算委員会では来年度予算の審議が進んでいるわけでございますけれども、麻生大臣にお聞きしたいのは、平成二十六年度予算、これが経済に対してどういう影響を与え得るのかということについてお聞きしたいと思います。
さきに成立を見ました補正予算、また四月から消費税が引上げになりますし、よく言われる駆け込み需要による反動減、あるいは復興特別法人税の減税等々、いろんな要素が絡んでいると思いますけれども、全般的にこの新年度予算が経済に対してどういう影響をするのかということについて、見通しをお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) おかげさまで、さきの選挙で衆参におきまして自公で過半数を取らせていただいたこともこれあり、いろんな形で事が決められて進みつつあるという状況になってきておりますので、予算、またそれに関連する経済施策等々も基本的には同じところだとまず頭に入れておかなければならぬところだと思っております。
その上で、いわゆるこの予算の中において一番の問題は、やはり四月に行われます消費増税に伴います反動減、また日本にとりましては海外における不安要素として、いわゆる中国の問題もありますし、新興国の財政の問題もありますし、また日本にとりましては輸入の石油価格、いわゆる鉱物資源というか、ガス等々のエネルギー資源の高騰等々いろんなものがありますので、基本的には、この四月の消費税率引上げに当たりまして駆け込み需要というものが今起きていると思われますけれども、その反動減を緩和して、成長軌道というものに基本的に七—九には戻す。そういったためには、平成二十五年度の予算を去る二月の六日に成立させていただいておりますけれども、これを早期に施行、実施に移すためには、この六月までに七〇%、九月までには九〇%というものを実施ということにしたいと思っております。
また、二十六年度の当初予算では、科学技術とか農業とか、いろいろ経済成長を促すと思われる部分への施策やインフラの老朽化対策というものなど、これは安心、安全のための施策として重点化いたしておりますのですが、これを成立後、早期かつ円滑な実施というものを図っていかねばならぬところだと思っております。
さらに、これを促進していくために、平成二十六年度の税制改正におきましては、所得拡大促進税制というものの拡充、また生産性の向上につながります設備投資等々につきましては、いわゆる一括償却を認める等々、投資減税の創設などを行うことにいたしておりますので、いずれにしても、政府としては、デフレ不況、正確には資産デフレ不況というものの脱却というものに目的を置いておりますので、その上で経済再生というものを図りつつ、正確には経済再生によって、結果として財政の再建も併せて目指していきたいということを基本としてこの予算編成をさせていただいたつもりでおります。

○西田実仁君 ありがとうございます。
そういう経済の再生と財政の再建、両立できるように、また経済の好循環と言われるいい循環が賃金引上げ、これが全国津々浦々まで行き渡る、こういう流れを是非つくってまいりたいと私も与党の一員として決意をしているところでございます。
その中で一つ、一番気になることは最近の貿易収支の悪化でございます。お手元にも、貿易赤字ショックというふうに言わせていただいて、その実相ということをまとめさせていただきましたけれども、一月の貿易統計は市場に貿易赤字ショックを与えるほどの巨額なものでございました。原数値で見ておりましたけれども、輸出から輸入を引きました赤字は二兆七千九百億円。駆け込み需要とか寒波といった一時的な要因がございますので、それを排除するために私の表では三か月移動平均を取って見ておりますが、これで見ましても、直近、すなわち昨年の十一月から今年の一月までの貿易統計の原数値の三か月移動平均ですが、年率十七兆円余りの貿易赤字となっていることが見て取れると思います。
日本の貿易収支は、東日本大震災以降でございますけれども、赤字に転落して、以来三十四か月連続の赤字ということで、しかもその赤字額が月を追って拡大し続けております。その累計赤字額は二十三・五兆円に達しているということでございます。今後もこの三か月移動平均でこの直近三か月のような十七兆円余りの貿易赤字が続くと仮定いたしますと、国際収支も試算すれば経常赤字は恐らく四兆円ぐらいになるんだろうというふうに思われます。
ここにありますように、東日本大震災以前、すなわち二〇一〇年の暦年の貿易収支は六兆六千四百億円の黒字でございまして、現在、この三か月移動平均の十七・二兆円の赤字との差額は二十三・九兆円という、これが東日本大震災以来の三十四か月にわたります貿易収支の悪化という数字になるわけでございます。
その要因がどこにあるかということは、まず輸出に比べて輸入が増えているという、これはよく指摘されていることでございますが、輸出は六十七・四兆円、東日本大震災以前ですね、これが七十二・一六兆円というふうに増加をしておりますが、輸入が六十・七七兆円から八十九・四三兆円と二十八・六七兆円も増えているということからもすぐ見て取れますように、東日本大震災からの貿易収支の赤字の主要因は輸入が急増していることであると。
じゃ、輸入は何が増えているのかということで商品別と地域別に比較をしておりますが、これももうよく御存じのとおり、輸入で増えているのはまず燃料の輸入でございます。十七・四から三十一・三六と、この間、十三・九六兆円の貿易収支の悪化ということでございまして、貿易赤字増加の六割近くはこの燃料輸入ということになるわけでございますが、大事なのは、これ以外にも電算機とか通信機、半導体の輸入が四・九四兆円から八・二六兆円、また消費財輸入も十三・九一兆円から十七・一四兆円へとそれぞれ三兆円余りの貿易収支の悪化を招いているということでございまして、燃料輸入が確かに六割近いことは事実でありますけれども、それ以外の消費財でありますとか産業用機器の輸入増、貿易収支の悪化ということも見逃すことはできないだろうというふうに思っております。
表で地域別輸入を見ますと、下に中国、中東、米国、EUというふうに割り振ってございますが、貿易収支の地域別の悪化の中身を見ますと、米国を除いて全ての地域で貿易収支が悪化しているということもこれまたすぐ分かることでございますが、後ほど質問でも触れますが、特に留意すべきなのは、中東からの輸入による貿易収支の悪化は七・三七兆円であることに対して、中国からの輸入増による貿易収支の悪化は七・五五兆円と。つまり、この地域別輸入を見ると、輸入燃料が増えているのは事実ですから、中東からの輸入増による貿易収支の悪化というのはすぐに誰でも分かりますけれども、しかし、実は中東からの輸入増よりも中国からの輸入増が多い、貿易収支の悪化要因は中東よりも対中国との方が大きいというこの事実にも留意しなければならないと思います。
そこで、まず大臣には全体として見た場合の御所見をお伺いしたいと思いますが、円高が是正をされました。しかし、輸出がその分だけすごく増えているわけではなく、逆に輸入増加で、アメリカを除きます全ての地域で貿易収支が悪化をしているということは、必ずしも一時的な要因ということではなくて、日本産業の国際競争力の低下という構造的な要因があるのではないかというふうに私は大変懸念をしております。
これ本会議での、参議院においての総理の御答弁でも、日本の貿易収支は燃料輸入の増大で赤字が続いているが、政府としてはこの状態が恒常化するとの見通しは持っていないという御答弁が自民党の溝手会長の御質問に対してあったかと思いますけれども、その後、事態も動いてきていると思いますし、一時的要因として片付けられない構造的な要因があるのではないかというふうに私自身は懸念し、それに対してどう手を打っておられるのかということも含めてお聞きしたいと思っておりますが、まず、私が今申し上げました全体としてのこの御所見をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) 基本的には新興国、これ新興国、定義が難しいので一概に新興国と申し上げますけれども、ここの需要が弱含んでいるということによって輸出数量が横ばいになっているということはもう間違いないんだと思いますが、世界経済全体として見ますと、アメリカの景気等々も弱いとはいえ間違いなく大きくなってきて成長し始めてきている、膨らんできておりますので、次第に持ち直しに向かっていると思っております。
加えて、日本の輸出依存度というのは、かつての三十何%が今一四%ぐらいまでになっておりますので、GDPの中に占める日本の輸出依存度というものは一四%ではとても貿易立国と言えるような数字ではございませんので、いわゆる経常収支含めまして経済全体として見ますと、いわゆる稼ぎ方が変わってきているということなんだと思いますが。
所得収支、いわゆるGNIとかいろんな表現がありますけれども、所得収支というのは、もう間違いなくこの東北大震災以後もずうっと所得収支は伸びてきておりますので、日本経済の稼ぎ方自体が構造的に変化しておりますし、またGDPに占める約六割が消費ということだと思いますが、この内需が、貿易の収支は輸入が急激に増えておりますのも、これはGDPの伸び方も内需が伸びている、すなわちそれが輸入の増加につながってきておりますので、そういった意味では、個人消費が増加するということで内需は堅調に消費をしておりますし、堅調な内需の背景として輸入の増加ということになっているんだと思いますが。
いずれにしても、私どもとしては、持続的な経済成長というものを我々は継続をさせていくためには、これは日本の産業の国際競争力というのを高めていくということも重要な課題でもありまして、戦略というものを一層考えていかにゃいかぬところだと思って、人口減がありますので、その中にありましてはしゃにむに設備投資の内容というものも考えて投資をしていかにゃいかぬところであって、これまでの老朽化したものを造り直すということによって、物流、また人の交流、金の流れ、情報の流れ等々が速やかになるような形にしていかねばならぬと思っております。
今、この中で中国の貿易統計というお話があっておりましたけれども、確かに平成二十五年度の中国向け輸出というものを見ますと、輸出額では対前年比プラスの九・七%、輸出数量ではマイナスの二・七ということになっておりますので、私どもとしては、輸出額の伸び率というものが二桁となっておるところ等々いろんなことを考えにゃいかぬとは思いますが、いずれにしても、内外の経済動向、為替のレート、企業戦略など様々な要因の影響を受けるものであるとは認識しておりますけれども、この日中貿易の内容が最近の外交関係によって、結果として日本の貿易赤字に影響を与えるというような感じは私自身は持っておりません。事実、経済関係は極めて、いろいろな方が訪問されるのを見ていても、私どもにはそのように見えております。
いずれにいたしましても、今後こういったものが、我々として、今までと変わってきた情報として、一番やっぱりエネルギーに掛かっておりますコストの部分というのは、今後、日本の産業が日本国内で投資するに当たって、エネルギーが安価で安定的にきちんと支給されるか、与えられるか否かにつきましては、これは企業の設備投資に最も大きく影響するところだと思いますので、この点に関しましては一番の関心を持って進んでまいらねばいかぬところだと思っております。

○西田実仁君 ありがとうございます。
日本側の今貿易統計から私は申し上げましたが、中国の貿易統計も逆に見てまいりますと、中国が明らかに対日輸入を減らしていて、韓国、あるいはASEAN、あるいは米国や欧州からの輸入が増えているというのも事実でございまして、これは日中関係等の外交の影がどの程度、貿易収支の悪化に影響しているのかというのは、なかなか定量的には分からないと思いますけれども、そうした中国側から見た対日輸入を減らしているということについても、ちょっと懸念を持って私は見ているということは申し添えておきたいというふうに思います。
貿易統計に加えまして、三月十日には国際収支統計も発表になりました。これもかなり巨額の経常赤字ということで、経常赤字に転落すると、先ほど大臣もおっしゃった所得収支のことからも、対外投資の原資そのものがなくなるというマクロの状況があるわけですから、これはやはり放置もできないんではないかというようにも思っておりまして、こうしたマーケットに対しましても、巨額の経常赤字、これを脱却するための明快な道筋を示していく必要があるんではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 一月の貿易収支の赤字の主な背景として、これは基本的には、例年一月というのは、日本の場合、正月休みというのが入りますものですから、輸出が一年のうちで一番少なくなる月であることも間違いないんですが、加えて、原油とか液化天然ガスなどの輸入額の増加により貿易収支の赤字が大きくなってきておるということであろうというのは、経常収支が減少する傾向にあるということははっきりしていると思っております。
したがいまして、政府としては、これは日本の産業の競争力を強化して、いわゆるアジアを始めとする国際マーケットにおいて成長力を取り込んでいくということが貿易収支の改善を目指す上でも大事なところだと思って、政府として今この面に関しましては、インフラの輸出等々を官と民と一緒になってやるというような政策が今いろいろなところで進められて、その成果が水道とかいろんな形で出始めつつあるというような感じを持っております。
また、貿易収支のいわゆる収益であります所得収支の黒字というものが拡大していくことで、経常収支の黒字の増加につながっておりますので、過去投資した資本の回収、金利また配当等々が非常に大きなものになってきているということも、日本の政府として経済、貿易全体を考える意味で大事なところだと思っております。
他方、エネルギーを輸入するに当たりましては、その稼いだ金をすべからく石油、ガスの輸入エネルギーの代金に充てるということは、それは丸々海外にその金が散るということを意味しますので、できるだけ自国でエネルギーを賄えるようにするということは大事なことだと思いますし、エネルギーを輸入するに当たりましても、できるだけ低コストで輸入ができるようにというようなことを考えていくというようなことも考えないと、今までですと、足りないものですから、わんわんわんわんといって何かと値段をつり上げてきたこともありますけど、シェールガスが出る、中近東のガスが余ってきている、ロシアもというようなことを考えて、買手市場の部分というのもある程度十分に考えて、きちんとした対応をしていくという配慮も今後必要になってくるであろうと思っております。

○西田実仁君 ありがとうございます。
エネルギーにつきましては一番大きなわけでございますので、この基本計画等についてもしっかり議論をして、日本としての過たない方向を求めていかなければならないというふうに思っております。
続きまして、消費税関連で、輸入事業者との関係をお聞きしたいと思います。
商品の国内への輸入に際しましては、当然関税が必要でありますけれども、加えて消費税の支払をしなければなりません。輸入商社の多くは小規模な零細企業でございまして、四月から消費税が引き上げられますと、その資金繰りにも大変大きく懸念を持たれてございます。
私ども公明党では、特に浜田昌良参議院議員が質問主意書等を出しておりまして、信用保証協会などによる公的な直接保証制度の創設を含めて、また消費税納税猶予に係る保証担保制度を改善するなど、小規模事業者の負担軽減策ということについてこれまでも政府に求めてまいりました。
財務省におきましても、小規模事業者による輸入品に関する消費税の納期限延長制度、こういう制度があるようでございますけれども、その利用を円滑にするために税関に提供される担保の種類を土地や建物などの金銭的な負担の少ない物品を加えていくべく検討しているというふうに聞いております。
お手元にお配りをさせていただきました表がまさにそれでございまして、消費税を延納するために税関で担保として認められる物品というものが個別担保と据置担保と両方ございますが、一回一回の輸入のたびに担保として認められるものが上側でございまして、これは全てがマルとなってございます。しかし、据置担保といって、ある一定期間、一回一回の輸入のたびではなくて一定期間、その担保の範囲内で何度でも輸入ができるというそういう据置担保という制度があるようですが、これは工場財団あるいは土地、建物、立ち木、船舶等はバツと、担保として認められていないと、こういう問題点を指摘してきたわけでございます。
この四月の消費税引上げということから、輸入事業者には小規模零細のところが多いということも考えまして、このバツのところを是非マルにしていただいて、小規模な輸入事業者が資金繰り等に困らないように是非していただきたいと、こういう要望を出してきたわけであります。この際でございますので、この消費税を延納する制度のあらましとともに、私が申し上げましたこのバツをマルにしていただく措置を速やかに行っていただきたいと思いますので、御質問をさせていただきます。

○大臣政務官(山本博司君) 関税及び消費税につきましては、担保の提供を条件として納期限の延長が認められております。その取扱いといたしましては、今委員からもお話ございましたように、担保の範囲内で一か月分の輸入申告に係る納期限をまとめて延長することが可能になっているところでございまして、これを包括的な納期限延長というふうにも言っておる次第でございます。
こうした包括的な納期限延長に関しましては、税関に提供されております担保の大半、お手元の資料でもございますように、銀行等の納税保証でございまして、こちらにございますが、一般的に手元資金に限りのある小規模輸入業者にとりましては銀行等に保証料を先払いすることに負担感があるものと考える次第でございます。そういう意味で、今まで公明党の浜田議員の質問主意書の問題提起を含めまして検討をさせていただきました。
その意味で、この四月、消費税率の引上げに際しまして、包括的な納期限延長を利用する際の担保の種類として、今までバツとなっておりましたこの内容に関しまして、新たに土地や建物等を加えることといたしまして、本年四月から実施をすべく関連事業者への周知を含め、必要な作業を進めているところでございます。具体的には、三月十二日、昨日付けの税関ホームページに掲載をし、また税関窓口にもチラシを置き、通関業者の方々とか関連事業者への周知を努めておる次第でございます。
今後とも包括的な納期限延長の円滑な実施の確保に向けて取り組んでまいりたいと思います。

○西田実仁君 ありがとうございます。早速準備もいただき、もう周知徹底にも努めていただいているということでございます。
この延納制度の利用状況というのも教えていただいたことがございますが、やはり資本金が一億円以下の小規模零細のところについては、一億円超の企業に比べますと相当利用状況が低いという、利用されていないという問題点があろうかと思いますので、この度措置をとっていただきましたことで、この消費税引上げとともに小規模の輸入事業者がこれを利用できるように、更に周知徹底も是非お願いをしたいと思っております。
以上で終わります。