192-参-内閣委員会-005号 2016年11月10日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、私は、経済統計の改善ということにつきまして御質問をしたいと思います。
 経済統計につきましては、内閣府に山本大臣を中心とした改善策を議論する研究会が設置をされ、より実態に反映したデータの作成が期待をされております。なぜ見直しが必要なのかといえば、言うまでもなく、統計が正確ではないと様々な経済対策あるいは金融政策等に問題が生じるからでありまして、特に昨今は日本経済が一%を上回るか上回らないかというようなところで大変に競っているところでありますので、ちょっとした誤差による、データがですね、成長率、それによってプラスになったりマイナスになったりするぐらいのところにあります。また、景気マインドの好転ということからいたしましても、その環境整備に統計の見直しは急務だと私は思っております。
 今日、お手元に日銀のワーキングペーパーを用意させていただきました。御覧いただきますと、これは本年七月に日銀がワーキングペーパー、一つの論文としてホームページ上に掲載をしているものでございます。GDP統計で、税務データを用いた分配側のGDP試算ということを発表されているわけであります。
 これを見ていただきますと、名目GDP、二〇一四年度、赤線が試算値、すなわち日銀の試算でありますけれども、五百十九兆円、青線は内閣府の現行値、支出側GDPで四百九十兆円と、これだけ大きく違ってきております。その要因が下に書いてございまして、ピンクが雇用者報酬分で十四・四兆円、そして営業余剰分で十二・六兆円違うと、こういう分析をされております。裏には実質GDPを試算したものが出ておりまして、これも赤線、日銀では五百五十六兆円、そして内閣府では五百二十五兆円と。それを前年比でいわゆる成長率にいたしますと、日銀でいえば二〇一四年度はプラス二・四%の成長、しかし内閣府の統計ではマイナス一・〇の成長、マイナス成長と。まさにプラスとマイナスが全く違うという、こういう状況でございます。
 これは、やはりいろんな政策を打ち立てる際に、マイナス成長から先どうするのかと考えるのとプラス成長から先どうするのかと考えるの全然質が違ってくるわけでありまして、なぜこうも違うのかということについて、まず、今日は政務官にお忙しいところお越しいただきました、御説明いただきたいと思います。

○大臣政務官(武村展英君) お答え申し上げます。
 御指摘の論文につきましては、日本銀行の職員が個人として作成をされているものであるというふうに認識をしております。個人の論文の試算値と内閣府の公表値の違いにつきましては、計算の方法や基となるデータ、基となる一次統計が異なること、そうしたことが背景にあるというふうに考えます。
 日本銀行の職員が個人として作成されたものにつきましては、税務情報や法人企業統計等を基に年次の分配側GDPを試算したという一つの試みであるというふうに承知をしています。
 一方で、内閣府のGDP統計につきましては、国連の定める国際基準を踏まえました標準的な手法にのっとって、工業統計等の各種の詳細な一次統計を活用しまして、できるだけ精緻な形で支出側や生産側のGDPの推計を行っているところでございます。

○西田実仁君 個人ということを強調されておりますけれども、しかし、別に個人のホームページに出ていたわけじゃないんですよ。日本銀行という中央銀行のホームページに掲載をされているワーキングペーパーであります。
 もちろん、手法が違ったり、基づく統計が違うわけでありまして、違うということを殊更強調するのではなくて、どこが、どういう手法が違って、何を使っているのか、それでなぜこんなに違ってくるのかというところをきちんと見詰めるということが私は生産的ではないかというふうに常々思っておりまして取り上げさせていただきました。
 今、様々、基礎統計の見直しをされている中で、例えば家計調査、これはサンプル調査でして、家計簿から取り上げておりますけれども、これが偏りがあるんじゃないか、捕捉率が低下しているんではないかとか、あるいは昨今のネット販売等の実態にそぐわなくなってはいないか、こういう問題も指摘されております。
 私も税制調査会で党内でやっているときにも、家計簿を使っていろいろ計算すると、身の丈がそもそも経済全体と違っているものですから、家計簿から推計すると違う答えが出てきて、軽減税率の導入の際の議論では大変に物議がいろいろ出ました。そういう経験もございました。
 また、設備投資におきましても、法人企業統計を使ってまいりますと、中小零細企業のデータが十分に反映されていないんではないかということがもう前から指摘をされておりますし、研究開発投資あるいはソフト投資が反映されにくいという問題点も指摘をされております。
 政務官には、もう一つ、この家計調査や法人企業統計など基礎統計をどう見直してより実態にそぐうように改善していくのか、今後のスケジュールも含めましてお聞きをしたいと思います。

○大臣政務官(武村展英君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の経済統計につきましては、経済運営に当たって大変重要なものでありまして、不断の改善が必要であるというふうに認識をしております。
 現在、経済財政諮問会議におきまして、GDP統計を軸としました経済統計の改善について議論が行われているところでございます。このため、内閣府におきまして、より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会で専門家による議論を行っているところでございます。先生御指摘のGDP統計以外にも、家計調査や法人企業統計などもございます。こうした各種経済統計の精度向上やビッグデータなどの新たなデータ源の活用等について検討をしております。
 スケジュールにつきまして、本年十月二十一日の経済財政諮問会議におきまして、安倍総理から石原大臣に指示がなされております。各種統計の改善方策やその工程などにつきまして、年内をめどに政府としての基本方針を諮問会議において取りまとめるよう御指示があったところでございます。

○西田実仁君 山本大臣におかれましては、確かな根拠に基づく政策立案の定着ということで検討を行っておられるとお聞きしております。より実態に近い統計手法の見直しについての御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(山本幸三君) 私どもの下の研究会は、財政が厳しくなった下で、政府の政策をより説得力あるものにするためにはしっかりしたエビデンスに基づいた政策立案でなければいけないと、そういう観点から、その立案の基礎となる最たるものが統計でありますので、これをちゃんとしたものにしなければいけないというユーザー側の方からアプローチしたいと考えているわけであります。
 その意味では、今の、最近の議論の中でちょっと気になっておりますのは、景気判断のためだけにその統計を考えるような感じがありまして、それでは本質を見失うと私どもは考えています。つまり、GDP統計というのも、景気判断だけ考えて、あるいは四半期のGDP統計だけを見ていたら、本質的な日本経済の構造問題は分析、理解ができないと思います。私どもは、その意味で、景気判断という部分的な考え方じゃなくて、本当の意味での日本経済の構造をしっかりと分析して理解し評価をするという必要のための統計の改革が必要だと思っているわけであります。
 その意味で、例えば成長戦略を考えるときに、今の統計では産業別の生産性上昇率の統計はありません。あるいは産業別のGDPデフレーターもありません。そういうものをしっかりとしていかなければならないと思っておりまして、その意味では、GDP統計も今、日本の場合は支出面が中心でありますけれども、国際的な基準は生産面に移っておりまして、むしろそういう方向で考えていく必要があるし、そうすることによって、今ない統計のサービスとかあるいは各産業別の生産性とか、そういうものが出てくるんじゃないかというふうに思っておりまして、そういうユーザーの立場からしっかりとした統計に直していく必要があると、そういう問題意識でやっていきたいというふうに思っております。

○西田実仁君 そういう試みは大変大事だと思います。
 一方で、私の常々の問題意識ですけれども、行政府の方にはそうした統計は当然出されて議論していただいておりますけれども、諸外国にありますように、立法府の方にもそうした経済統計を分析をするあるいは長期推計をする機関なり機能というものがやはりなければ、行政府と立法府の間で生産的な議論ができないのではないかというふうに思っておりまして、こうしたことは私の問題意識としてまた進めていきたいというふうに思っております。
 次に、財政投融資の運用残と行政改革ということの観点からお聞きしたいと思います。
 二枚目のページを見ていただきますと、財政投融資計画と実績ということで、過去十年にわたりまして様々、この財政投融資の運用残というのがどうなのかというのを調べてまいりますと、大体、計画に対する実績は八割に満たないというふうに過去十年なっているわけであります。折しも今日から秋のレビューが開催をされて、山本大臣の問題意識には、より成長戦略を深く議論する方針というふうにも伺っておりますので、あえてお聞きしたいと思って今日は取り上げました。
 財務省の方に今日来ていただいておりまして、財務省理財局が出しております報告、財政投融資資金運用報告というのがありますが、この説明資料を読みますと、なぜその計画に対して実績が過去私が言う十年で八割を切っているのかという中に、例えば平成二十一年から二十三年の間の、リーマン・ショックによって厚めにセーフティーネットだから計画を立てたけれども実績が及ばなかったとか、あるいは東日本大震災という特殊事情を挙げられたりということで、毎年、毎年度なぜこれだけ運用残が出ているのかという理由は述べられております。それはつぶさに拝見をしました。しかし、そうした特殊事情の期間を除いても、実はこの計画に対する実績率というのは八割に満ちていないという実態がございまして、つまり巨額の運用残額というのは恒常的になっているというふうに言わざるを得ないというふうに思います。
 考えられる原因としては、計画そのものが大変に高いと、実態と懸け離れているんじゃないか、まあそれはいろんなセーフティーネットとか理由があると思います。一方で、実際に融資をする側の地方公共団体でありますとかあるいは日本政策金融公庫等の融資機関の融資能力あるいは融資支援能力というものが不足していてなかなか計画に達しないんじゃないかという理由も考えられるし、あるいは双方かもしれません。
 いずれにいたしましても、これだけ恒常的に巨額の運用残額が続く現状は正常とは言えないと私は思いまして、財政政策と金融政策は経済運営の両輪であります。財政政策の重要な一部を成す財政投融資の運用が、もし、財政再建の要請の高まりを背景に、恒常的な運用残額を是認するということではいけないのではないかという問題意識も一方でございます。是非、今日は財務省から、まずこの現状、なぜこうなっているのかを簡潔に述べていただきたいと思います。

○政府参考人(北村信君) お答えいたします。
 財政投融資計画の執行率は、議員御指摘のとおり、近年では八〇%程度となっております。執行されなかった部分について申し上げますと、まず、日本政策金融公庫における中小・小規模事業者の資金繰り支援のためのセーフティーネット貸付けに十分な融資枠を確保するなどの万全の対応を取った結果、執行されなかった枠があるということ、それから、地方公共団体における工事入札に伴う事業費の減額等によるものなどなどが約二〇%であるというものでございます。
 財政投融資計画の編成に当たりましては、過去に運用実績の少なかったものに対してはその実績を勘案して財投計画枠を減額するなど、適切な編成に努めてまいりたいと存じます。
 他方で、財投の活用を図る観点から、平成二十七年度より財務局において、地方自治体や地域金融機関に対して財投施策の説明会を実施しておりまして、こうした機会を活用して財投施策の更なる周知を図ってまいりたいと存じます。
 なお、財投につきましては、議員御承知のこととは存じますけれども、財投機関の執行状況に応じて財投債を発行しており、運用残部分について財投債は発行していないため、無駄な財投債の発行や利払いが生じているわけではないことは申し添えておきたいと思います。

○西田実仁君 今年度におきましては、この間、第二次補正予算でも財投、補正計画をいたしまして、上積みしました。昨年の実績が約十二兆に対して、第二次補正予算も含めますと、プラス約七兆円の財投計画になっているんですね。
 この七兆円という額は、そのまま一〇〇%もし実施すれば、それだけの景気刺激効果があるわけです。もちろん無駄は必要ありませんけれども、七兆円という額は、今年第二・四半期のGDPギャップが約五兆円のマイナスでありますから、これをちゃんと執行すると、そのGDPギャップを解消するほどの効果があるということになるわけであります。
 まず、今お話しの、御説明のように、今年度、二次補正までわざわざ組んだわけでありますから、きちんとそれを実行できるようにして景気を浮揚していただかなければならないと。そして、来年度以降については、おっしゃったような立案の適正化をしていくということが必要でしょうし、あるいは融資能力や融資支援能力をもっと向上させるということも必要だと思いますし、参議院での決算審議ということもより強化をしていかなければならないというふうに思います。
 山本大臣に、こうした行政改革を所掌する大臣として、今の議論を聞いての御感想をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(山本幸三君) 財投としての特殊性もあると思いますが、安全性を見ておくという必要があるということもありますが、しかも、実質的なコストの負担というのはないようにしているということでありますが、ただ、恒常的に余りに差があるというのは好ましいことではないというふうに考えておりますので、これは、返済、執行の両面から適切な財投計画を編成して、効果的な運用が行われるように工夫を是非してもらいたいと思っております。

○西田実仁君 今、山本大臣からも御説明いただきました。
 ここまでが大臣のところですので、もし委員長のお許しが出れば、山本大臣は御退席いただいて結構でございます。

○委員長(難波奨二君) 山本大臣は御退席していただいて結構でございます。

○西田実仁君 時間がちょっと限りがありますので、建設業の技能労働者の働き方改革について質問したいと思います。
 特に、技能労働者の担い手確保ということで、かなり過酷な労働環境になっております。特に夏場、昔はまだ鉄板とか敷き詰められていませんでしたので照り返しもそうなかったわけですけれども、今はもう体感としては四十度近くある。熱中症で亡くなられる方も全国で十一人と、他産業に比べると多いのが建設産業の技能労働者でございます。
 この熱中症対策、どう国交省進めているのか、また、安全対策の指針を実効性を担保するためにどのような工夫をされるのか、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(五道仁実君) お答えいたします。
 建設産業は、社会資本や住宅の整備、維持等を通じて我が国の社会経済の発展を支え、地域を守る国民に不可欠な産業である一方、その労働環境については、きつい、汚い、危険、3Kと言われるなど、その改善は急務でございます。
 このため、国土交通省においては、熱中症対策として、これまでも現場において安全管理活動として朝礼やミーティング等による作業員の健康チェック、また注意喚起を行ったところでございます。さらに、今後、熱中症対策の事例集を取りまとめるとともに、今年度中に安全指針を改定し、熱中症対策を盛り込みたいというふうに考えてございます。国土交通省としては、このような取組のほか、i—Constructionの導入等を進めながら、担い手の確保に努めてまいりたいというふうに思います。
 また、実効性の担保ということでございますけれども、国土交通省では、契約図書においてこの改定いたします安全指針の遵守を求めるとともに、工事成績の評定時に取組の内容に応じて厳しい作業環境の改善に関する工夫として評価をするなど、熱中症対策が建設現場に浸透するよう適切な措置を講じてまいります。

○西田実仁君 時間になってしまいました。終わりたいと思います。済みません、大臣。