201-参-総務委員会-015号 2020年05月14日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 早速質問に入らせていただきたいと思います。
 近年、グーグルあるいはフェイスブックなどにおいて、メール機能やメッセージアプリなどのサービス障害のほか、個人情報が外部に流出した事案などが生じておりますが、総務省として、サービス障害の原因や障害の影響を受けた利用者数などを把握することが困難であったというふうに承知をしてございます。
 そして、今回、この電気通信事業法改正案には、外国法人等に対する法執行の実効性の強化として、今もいろいろ議論ございましたけれども、外国法人等の国内における代表者又は代理人の設置義務とともに、総務大臣は、電気通信事業法又は同法に基づく命令若しくは処分に違反する行為を行った者の氏名等を公表することができるという、いわゆる社名の公表制度が設けられることになりました。
 通信の秘密の保護というのは、憲法二十一条第二項に規定されております非常に強い法規範でございます。電気事業通信法におきましても、この憲法規定を受けて、同三条において検閲の禁止、同第四条第一項においては通信の秘密の保護を規定しております。
 また、同法では、この通信の秘密を侵害した場合には、同法第百七十九条第一項において、罰則二年以下の懲役又は百万円以下の罰金を規定しております。さらに、第百八十六条第三号において、通信の秘密の確保への支障があると認められた電気通信事業者に対する業務改善命令、第二十九条第一項に違反した者については二百万以下の罰金、両罰規定の適用ありを規定しているわけであります。
 しかし、外国法人等の場合、プラットフォームサービスに関する研究会最終報告にありますように、刑事罰を実効的に適用することは執行管轄権の観点等から困難であると、その刑事罰に代替する担保措置として、利用者利益の保護の観点も踏まえた法令違反行為に関する公表など一定の措置を講ずることが適当であると最終報告にはなされておりまして、今回は社名の公表制度が設けられたと理解しております。なお、この規定の対象は、外国法人等のみではなく国内事業者等も含まれます。
 そこで、総務省にまずお聞きしたいと思いますが、この電気通信事業法等に違反した場合の社名の公表制度の対象には、今申し上げたとおり、外国法人等のみではなく国内事業者等も含まれます。となりますと、国内事業者の場合には、刑事罰が科せられる前に社名公表という社会的制裁が科せられるという理解でよろしいのでしょうか。

○政府参考人(谷脇康彦君) お答え申し上げます。
 法令等違反行為の公表の制度は、利用者が適切な情報に基づき適切な事業者を選択できる環境を整えるという利用者保護の役割等を果たすものでございます。また、法律の規定上、電気通信役務の利用者の利益を保護し、又はその円滑な提供を確保するため、必要かつ適当であると認めるときに公表することができることとされております。
 公表の必要性やそのタイミングにつきましては、このような公表の制度の趣旨や法律の規定を踏まえまして、個別の事案ごとに利用者保護の観点等から判断することとなります。したがいまして、刑事罰が科せられる前に公表を行うことがありやなしやというふうな点で申し上げますと、それはあり得るということだと考えております。

○西田実仁君 憲法にも規定される大変強い法規範である通信の秘密を侵した場合、国外の事業者には刑事罰の適用はなく社名の公表、それで本当に実効性があるのかということについてお聞きしたいと思いますが、先ほど、総務省のプラットフォームサービスに関する研究会最終報告では、この社名の公表ということについて、申し述べたとおり、これが刑事罰を代替する担保措置と最終報告には位置付けられていますけれども、果たしてそのように位置付けられるのかということをお聞きしたいと思います。
 電気通信事業法第十二条には登録の拒否要件が記されておりますけれども、その第一項には罰金刑の執行から二年を経過していない者とあるわけでありますが、社名を公表されました者というのは、この電気通信事業法第十二条によりますと、必ずしも登録は拒否されないというふうに導かれると思います。したがって、この今回の社名の公表制度というものが、プラットフォームサービスに関する研究会最終報告が言うように、刑事罰を代替する担保措置とは言えないのではないかと思いますけれども、総務大臣の御見解をお聞きします。

○国務大臣(高市早苗君) 外国事業者が法令や処分への違反行為を国内において行ったと評価される場合には、国内事業者と同等に罰則が適用されます。ただし、外国での捜査が必要となる場合など、外国事業者に対する罰則の執行が困難な場合がございます。
 今般の改正によりまして、総務大臣が法令等違反行為を行った者の氏名などを公表できるという制度を設けることによりまして、電気通信事業者による法令等違反行為の是正、抑止を図り、利用者が適切な情報に基づいて適切な事業者を選択できるようになります。違反者を公表するということは、事業者の社会的評判に直接関わるものでございます。多数の利用者にサービスを提供している民間事業者に対する措置としては大きな影響を及ぼすものだと考えております。
 この外国事業者に対する担保措置として、国家主権の観点から罰則の執行には制約がある中で、この氏名の、違反者の名称を公表するということによって、通信の秘密の侵害への是正、抑止の効果は十分に大きいと考えております。

○西田実仁君 執行管轄権の観点等ということも述べられているのだと思いますけれども、今回、情報通信審議会の最終答申案に対するパブリックコメントを拝見いたしますと、在日米国商工会議所から、通信の秘密要件というのはガラパゴスのようなもの、あるいは、総務省は、実質的な域外適用の必要性やその範囲を検証することなく、また、現行の規制下でどのように執行するかを明確にすることなく、当該規制を外国事業者に適用しようとしているとの反対意見が寄せられていると承知しております。
 総務省におきましては、衆議院総務委員会におきまして、外国法人等への電気通信事業法の具体的な適用関係、運用ガイドラインという形で明確化を図っていきたいと答弁をされております。外国法人等に電気通信事業法の適用関係を具体的かつ明確に示すことが必要なことは言うまでもありません。
 そこで、総務省にお聞きしたいと思いますが、運用ガイドラインにどのような内容を盛り込むことを想定しておるのか。また、本来、電気通信事業法上の登録、届出の対象となっているにもかかわらず、現在、登録、届出、行っていない外国法人等に今後どのように法の実効性を確保していくのか。

○政府参考人(谷脇康彦君) お答え申し上げます。
 一般に、行政におきまして予見可能性を確保していくということは極めて重要なことであろうというふうに考えております。
 電気通信事業法の規律は外国事業者が国内の利用者に対して提供する電気通信サービスに適用されますが、具体的にどのような場合が適用対象になるかについてガイドラインにおいてその基準を明確化することを想定をしております。また、外国事業者に対する電気通信事業法の具体的な規律の適用関係につきましてもガイドラインにおいてお示しをするということを想定しております。
 このようなガイドライン等による明確化と積極的な周知を通じまして、外国事業者に対して登録、届出の参入手続を含めた電気通信事業法の遵守を求めてまいりたいと思います、考えております。それでもなお外国事業者が参入手続を行わない場合には、法令違反行為を行ったとして、その名称等を公表し、違反行為の是正を図ることとなるところでございます。

○西田実仁君 今後、電気通信市場におけますグローバル化というものがより進んでいくことは間違いありません。域外適用を認める法領域がどこまでなのか、国際的な議論を活発化させていく必要があるのではないかと私は思っております。
 税制におきましても、いわゆるBEPSプロジェクトというのがございますけれども、国際課税において日本がその国際的な規律の調和という議論をリードして、今、今年中にはある程度の線が出るというところまで来ているわけであります。
 そこで、大臣にお聞きしたいと思いますが、こうしたこのグローバル化の一層の進展がある中で、国外事業者に係る規制について各国が設ける規律が錯綜しかねないという問題があると思います。通信の秘密の保護という我が国の憲法価値を世界標準としていくためにも、日本が主導してそうした規律の国際的な調和の在り方について議論を活発化させていく必要があるのではないでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 今、EUや米国においてもこのプライバシー保護法制の見直しというのが進みつつある状況でございます。今後、更に多様なプレーヤーが国境を越えて多様なサービスを提供すると見込まれていることを踏まえますと、この基本的人権である通信の秘密やプライバシーの保護に係る規律については国際的な調和を図っていくということは一層重要になってきていると感じております。
 総務省では、これまでも欧米諸国を始めとするこの諸外国の二国間の対話や多国間の対話の機会を設けてまいりました。こうした場を更に活用してこういう国際的な調和が図られるように積極的に取り組んでまいりたいと存じます。

○西田実仁君 是非よろしくお願いしたいと思います。
 NTT法について一つお聞きしたいと思います。
 最終答申には、NTT東西に無線の利用を例外的に認めるに当たり、現在のサービス、電話サービスにおいて求められる技術的要件について、緊急通報受理機関への接続を維持するとともに、音声品質等を可能な限り確保することが求められるとしております。無線設備を用いるワイヤレス固定電話の場合、従来のアナログ回線を用いた固定電話と全く同様の通信品質を実現することは技術的には困難であるというふうに承知しております。
 そこで、最後、総務省にお聞きしたいと思いますが、自治体にはこの見守りサービスというのが非常に多くなってきておりまして、緊急通報システムの利用に際しては、例えば単独アナログ回線が基本とする自治体も結構多いわけです。そうじゃないところもありますけれども。今回の法改正後も引き続き同様の自治体の見守りサービスというものが受けられるようになるのかどうか、ワイヤレス固定電話は従来のアナログ回線を用いた固定電話よりどの程度通信品質が下がるのかも含めて、御説明を最後お願いしたいと思います。

○政府参考人(谷脇康彦君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のいわゆる見守りサービスのうちアナログ電話回線を利用したものにつきましては、いわゆるワイヤレス固定電話の導入によりまして利用できなくなる可能性がございます。このため、NTT東西に対しましては、ワイヤレス固定電話の導入に当たりまして、自治体や利用者に対して十分な説明を行うとともに、自治体と協議をし、必要に応じて自治体による見守りサービスの継続提供を確保するための代替手段を提案するよう求めてまいりたいと考えております。
 また、委員御指摘のワイヤレス固定電話の通信品質でございますけれども、ワイヤレス固定電話は、電波を用いるという特性上、遅延などが若干増加すると想定されます。品質に関する具体的な基準は今後省令において定めることとしておりますが、策定に当たりましては、例えば、緊急通報機関に対して発信者の住所情報を通知するといった固定電話と同等の緊急通報機能を確保するなど、固定電話に可能な限り近い品質を確保するべく検討を進めてまいりたいと考えております。

○西田実仁君 終わります。