208-参-総務委員会-004号 2022年03月16日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 まず、自治体における災害時の情報共有についてお聞きしたいと思います。
 災害対策基本法には、市町村が災害の状況及びこれに対してとられた措置の概要を都道府県に報告しなければならないと定められています。住民に最も近い存在であり、かつ危機管理の最前線に立つ首長に、しかし実際は災害時に情報が自由に見られるようになっていないのではないかという問題意識がございます。さきの参議院予算委員会でも同趣旨の質問をさせていただきました。そのための仕組みづくりの一環として、総務省の補助金も活用して、私の地元埼玉におきまして、5Gを活用したドローン防災システムの実証実験を行ったということを予算委員会でも紹介させていただきました。
 昨年五月の中央防災会議で決定しました防災基本計画におきましては、災害時に都道府県災害対策本部及び市町村災害対策本部は、災害情報を一元的に把握し、共有することができる体制を取ることとされております。しかし、例えばこの私の地元、大宮駅などを思い浮かべていただくと分かるんですが、大規模災害等が起きたときに、一大ターミナルでございますので帰宅困難者がごった返すというようなことが想定をされます。
 こうした事態になった場合に、災害の最前線に立って指揮を執る首長は、例えば駅周辺の防犯カメラ等の映像について、プライバシーにも配慮しながらもアクセスできるかどうか、駅構内防犯カメラ等の画像への自治体からのアクセス並びに防犯カメラ等の情報連携について国交省にお伺いいたします。

○政府参考人(石原大君) お答え申し上げます。
 今般、御指摘を踏まえまして、主な鉄道事業者に確認をいたしました。大規模災害時に地方自治体からターミナル駅の防犯カメラ映像へのアクセスや情報連携を可能とするシステムは整備されていないということでございます。

○西田実仁君 整備されていないんですけれども、しかし、今防災基本計画のことを御紹介しましたけれども、まさに市町村の災害対策本部が災害情報を一元的に把握し共有することができる情報集約の仕組みというものは必要なのではないかというふうに私は思っております。
 総務大臣に、国としてこうした仕組みをつくることに音頭を取っていただくことはできないか、まあ自治体のニーズということを踏まえた上でありますけれども、関係府省に総務省として働きかけをしていただけないか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(金子恭之君) 西田委員には、御地元で総務省の事業も活用していただいておりまして、ありがとうございます。また、現場に即した問題提起をいただきましてありがとうございます。
 発災時に最前線で応急対策を担う市町村には、一一九番通報などから得られる情報に加え、映像を含む現場の情報を収集、把握することが求められております。市町村においては、河川管理者が整備した河川監視カメラ等の画像を活用する取組、地域に密着をして活動する消防団が収集した画像、映像を消防部局内で一元把握する取組など、地域の実情に応じた様々な取組が行われているところでございます。
 お尋ねの災害時の駅の状況などは、市町村において交通事業者へ問合せを行うほか、自ら設置した災害用定点カメラによる映像確認等で把握している例もあると承知をしております。
 今後、駅構内の映像情報も含め、他機関が収集する災害情報を市町村が地域の実情に応じて把握することについて、まずは関係省庁と連携をさせていただきまして課題の整理などに取り組んでまいりたいと思います。

○西田実仁君 次に、自治体におけるデジタル人材の確保についてお聞きしたいと思います。
 令和二年十月に実施されました総務省のデジタル専門人材の確保に係るアンケートによりますと、今日お配りしておりますが、市町村でのデジタル専門人材の確保に当たっての課題では、市町村の八二%が人材が見付けられないと回答しています。一枚目のところですね、右側上、デジタル専門人材の確保に当たっての課題の整理です。二番目が、適切な報酬が支払えないというのが五二%ございます。そして、都道府県が人材の紹介を行う場合の活用意向は、八九・七%活用したいと回答しています。
 しかし、次のページに、都道府県におけるデジタル専門人材の必要性、見ていただきますと、その都道府県でも八三%の方が人材を見付けられないと、そして六六%の団体が適切な報酬が支払えないと、こういうふうに答えておりまして、デジタル人材の確保については都道府県も市町村も共に同様の課題を抱えていることが分かります。また、市町村においては、このシステムの標準化等のDXを進めるに当たっての課題として、八三・九%が財源の確保ということも挙げられております。
 これを踏まえてお聞きしたいと思います。
 まず、自治体DXの推進に向けて、市町村がCIO補佐官等として外部人材を募集、任用した経費の〇・五%を乗じた金額を特別交付税措置をするとされておりますが、これ、複数人を任用した場合にも同様の措置なのでしょうか。

○政府参考人(馬場竹次郎君) お答えを申し上げます。
 自治体DXの推進に当たりましては、CIOのマネジメントを専門的な知見から補佐をするCIO補佐官等を配置することが有効でございますが、その確保に課題を抱えている市町村があることはそのとおりでございます。
 このため、総務省におきましては、令和三年度から、新たに市町村がCIO補佐官等として外部人材を任用する場合などに要する経費について財政措置を講じているところでございます。
 なお、当該措置につきましては、外部人材の確保に課題を抱えている市町村を念頭に置いた措置ということでございまして、財政措置の対象は一名分としているところでございます。

○西田実仁君 しかし、これ、実際現場でお聞きしますと、政策系の人と技術系の人と少なくとも二人は必要、あるいは、その技術系、技術者としてもネットワーク系とかサイバー系とかあるいはデータベース系とか様々な分野があって、全てに通暁しているというのはなかなかいないわけですよね。そういう意味で、ちょっと一人というのはどうなのかなと、実態に合っていないんじゃないかというふうに思います。
 次に、今御指摘した、申し上げたとおり、都道府県も市町村も人材が見付けられない、適切な報酬が払えないという同様の課題がありますので、これはデジタル人材を都道府県と市町村あるいは民間も含めてもう奪い合いになる、その中で人件費が高騰する、こういう現象は起きないんでしょうか、そういう懸念はないんでしょうか。

○政府参考人(馬場竹次郎君) お答えを申し上げます。
 経済産業省の調査によりますと、二〇三〇年に最大七十九万人のIT人材が不足すると試算をされておりまして、デジタル人材の需給は官民を通じて逼迫をしていると認識をいたしております。このため、民間におきましては、高いスキルを持つデジタル人材に対しまして高額の報酬水準を設定する例も見受けられるところでございます。
 今後もデジタル人材の需給が逼迫をしていくという状況に鑑みますと、当面の間、官民問わずにデジタル人材の報酬水準は高止まりをするのではないかと考えられるところでございます。

○西田実仁君 そこで、お配りした三枚目、四枚目見ていただきますと報酬の額が出ておりますので、これを見れば一目瞭然で、団体によってかなりこのデジタル専門人材の報酬についてはばらつきがあります。
 報酬の統一基準、何らかの基準が必要ではないか、あるいは、その財政力ある自治体に人材が、じゃ、どんどん流れていっていいのか、こういう問題についてお聞きします。

○副大臣(田畑裕明君) お答えを申し上げます。
 デジタル人材に係る報酬等につきまして、求める業務内容に応じて異なるということに加えまして、その水準につきまして、各自治体が状況に応じて自主的に設定すべきものであり、国が一律で基準を設定することは現時点では困難だというふうに考えております。
 しかしながら、財政力の大小にかかわらず、デジタル人材を確保していくことは大変重要でございます。先ほど審議官からも答弁しております、令和三年度から、新たに市町村がCIO補佐官等として外部人材を任用する場合に要する経費について財政措置を講じております。また、令和四年度から、来年度からでございますが、募集を行うための経費についても財政措置の対象としているところでございまして、加えて、市町村におきまして充実した採用活動を行っていただけますよう、市町村の募集情報の収集の上、総務省ホームページで公表するとともに、協力企業に対して随時情報提供を実施しているところでございます。
 今後とも自治体のデジタル人材の確保が円滑に進むよう引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 以上です。

○西田実仁君 今申し上げたように、一人じゃ当然足りないし、人件費が高騰している中で財政力の差によってその人材を確保できないというのでは、自治体のDXというのは進まないんだと思いますね。あえて言えば、最初の五年間ぐらいはもう国が全額負担するぐらいに人材集めてやらない限り、自治体のDX、自治体に任せていてはもう到底できないということを指摘しておきたいと思います。
 大臣にお聞きしたいのは、自治体職員がいつでもアクセスして自治体DXの基幹業務等を学習できるような環境を総務省がつくっていくべきではないか、クラウド上でのポータルサイトをつくる予定はあるか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(金子恭之君) 西田委員御指摘のとおり、自治体のデジタル化の推進に当たっては、専門的な知識を持つ職員の育成が重要であると考えております。
 総務省では、J―LIS等と協力し、自治体職員が必要な知識を習得できるよう研修を実施しております。この中では、例えば情報システムの標準化、共通化をテーマにした研修のように、最新の動向を踏まえた研修内容を取り入れるなど、研修の充実を図っております。あわせて、J―LISでは、自治体職員がこれらの研修をいつでも受講することができるよう、クラウドサービスを活用したオンライン研修を自治体に対して提供しているところでございます。
 総務省では、こうした研修情報を取りまとめた上で、自治体に対して積極的な活用を促しております。引き続き、関係機関と連携をしながら、自治体職員の育成にしっかり取り組んでまいります。

○西田実仁君 お配りした最後のページを見ていただくと、民間人材の地方公務員への任用についてというのがございます。営業機密情報の管理についてお聞きしたいと思います。
 ITベンダーの社員がCIOまたCIO補佐官として職務を遂行する際、同業他社の公然とは知られていない価格情報あるいは技術情報に触れる機会も想定されます。そういう意味で、ここにあるように、多くの方が特別職の非常勤職員という形でCIO、CIO補佐官として職務を遂行する、そういう際に、地方公務員法上の信用失墜行為の禁止あるいは守秘義務、職務専念義務等、こうしたものが適用なしとなっているわけでございまして、任用に当たり、情報漏えい防止義務を課す等のガイドラインが必要ではないか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(金子恭之君) 委員御指摘のとおり、外部人材を任用するに当たっては、地方公務員法に規定される特別職非常勤職員として任用される例も多いと承知をしております。この場合においては、地方公務員法上の服務に関する規定が適用されないところでありますが、一方で、その職務の内容を踏まえますと、信用失墜行為を禁止することや守秘義務を課すことは必要なことと考えております。
 そこで、総務省としては、各自治体にお示ししております自治体DX推進手順書において、CIO補佐官等を特別職非常勤職員として任用する場合に、信用失墜行為の禁止や守秘義務を始めとした服務に関する任用規律を定めておくことが必要である旨を記載し、自治体に周知を行っているところでございます。
 自治体DXの推進に当たっては、外部人材の活用を含めた推進体制の構築が重要であると考えており、引き続き適切な助言を行ってまいります。

○西田実仁君 終わります。