208-参-予算委員会-003号 2022年02月25日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 今朝、総理から対ロ制裁について公表がなされました。力ずくで現状を変更しようとすることはもう断固として許されません。そして、他国に対して間違ったメッセージを送らないためにも、まさに断固とした措置というものを取らなければならないと思っております。
 昨日、我が党は官房長官に申入れをさせていただきました。それは、ガソリンや軽油に加えて、特に寒冷地で重要な灯油、中小企業者も活用する重油を対象として実施している激変緩和事業について、国民生活や事業活動に及ぶ影響を抑えられるよう抜本的に拡充すべきと、こういう提案でございました。
 これに対してどのように対応するのか、まずお聞きしたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) エネルギー価格の急騰から国民生活、日本経済を守るために実効ある措置が必要であると政府としても認識をしております。
 ガソリン、軽油、灯油、重油を対象とする激変緩和措置による支援、これを深掘りするとともに、農業、水産業など業界、業種ごとの支援、あるいは自治体への支援、こうしたものを重層的に講じていきたいと思います。特に、ウクライナ情勢を受けて、中小企業向けの対策として、相談窓口の設置や資金繰り支援や価格転嫁の配慮要請、こうしたものを実施していきたいと考えております。

○西田実仁君 先ほど総理は、石油の備蓄は二百四十日、LNGも二週間から三週間あるということでしたが、これ、日本の短期的な足下のエネルギーの供給計画を見直す必要があるのかどうか、また国民の皆様に対してこうした状況で一層の省エネ等を呼びかける必要があるのかどうか、これをちょっとお聞きしたいと思います。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、原油については今我が国においては二百四十日分の備蓄があり、LNGにおいても電力会社、ガス会社合わせて二週間から三週間の備蓄がある、こうしたことであり、今たちまちすぐに大きな需給において逼迫した状況が起こるということではないと認識をしております。
 ただ、御質問は、要は備蓄のありようそのものを考える必要があるのではないかということでありますが、まずは、今のこの備蓄の状況の中で、先ほども申し上げたような価格対策、これをしっかり実効あるものとして進めていくことが重要であると思います。
 ただ、ウクライナ情勢を始め、これ先についてはまだまだ不透明なものがあります。大きな変化も起こる可能性はなしとしないというのが認識でありますので、先の状況を見ながら、この基本的に備蓄についてどう考えるべきなのか、さらには追加の様々な対策が必要なのか、こうしたことは絶えず検討し、機動的に対応していく、こうした姿勢は重要であると認識をいたします。

○西田実仁君 これ、LNGを欧州にその一部融通するという話がありました。これは現状どおり進めるんでしょうか、あるいは追加で必要なんでしょうか、経産大臣にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(萩生田光一君) 現在、これまで申し上げていた予定どおり、日本企業が自由に販売先を決めることができるLNGについて、数隻が到着済み、あるいは二月中に着くように既に欧州に向かっております。三月についてはそれ以上の隻数が欧州に向かう予定であります。四月以降についても既に情勢を見ながら可能な限り対応できるよう各社に検討をお願いしておりますが、これはあくまで日本でのLNGの安定供給に万全を期した上で余剰分を欧州に振り向けるというものでありまして、日本の電力、ガス需給に影響を及ぼさない範囲での協力であります。昨日からフェーズが変わりましたので、そこは慎重に見ながら対応していきたいと思います。

○西田実仁君 このウクライナへの侵攻を受けて国際金融市場が非常に荒れています。株価も為替も、また国際商品価格も非常に大きく変動しています。こういう危機のときには金融政策というのはより柔軟に対応していかなければならないと私は思います。
 是非、総理、日銀総裁とこの危機対応について早急に協議をすべきではないでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、市場の安定、これは極めて重要であると認識をいたします。政府として、この穀物、エネルギー等の国際商品市況も含め、足下の市場動向や経済動向を引き続き注視するとともに、御指摘のように、政府と日銀一体となって経済財政運営に万全を期していかなければならないと認識をしております。

○西田実仁君 近々話し合う予定ございますか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 日銀総裁を始め日銀の関係者とは経済財政諮問会議を始め様々な場面で絶えず情報交換をし、意思疎通を図っているところであります。こうしたこの状況の変化を考えますときに、より緊密に連携を図っていく必要は感じているところであります。

○西田実仁君 総理、繰り返しG7、また国際社会と連帯して対応するということをおっしゃっています。そのうちアメリカはですね、いわゆるロシアをこの国際の金融システム、SWIFTから外すということは選択肢としては排除していないというふうに言っています。
 日本も同様でしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 各国の制裁の内容につきましてはそれぞれ明らかにしているところでありますが、我が国の制裁については、既に米国あるいは欧州諸国ともしっかり緊密に調整をした上で我が国の制裁の内容を決定いたしました。
 まずは、本日発表した措置を速やかに実施すべく必要な手続を進めていくことが重要であると思います。その上で、引き続き、今後の状況を踏まえつつ、G7を始めとする国際社会と連携して適切に対応するということであります。
 御指摘の点につきましても、今後の状況をしっかり踏まえた上で、この米国あるいは欧州諸国との連携、国際社会との連携をしっかり考えながら適切に判断をしていきたいと考えます。

○西田実仁君 じゃ、SWIFTからロシアを外すということは排除はしていないという日本国政府の立場ですね。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今申し上げたように、まずは我が国が明らかにした制裁の措置を実行してまいります。そして、今後については、状況の変化をしっかりと注視しながら、国際社会との連携を考えた上で対応を考えていくということであります。

○西田実仁君 このインフレの兆しにどう対処するかという御質問をさせていただきたいと思います。
 原油が下がり続けたデフレの十年から、今や原油が上がり、そして金利も上昇していくというインフレの局面に移りつつあるというふうに思います。
 現在の物価上昇の背景は様々あると思います。例えば、世界景気が底入れして需給が逼迫していること、二つ目にはコロナ感染が長期化して人手不足になっていること、さらには米中対立によるサプライチェーンが混乱していること、四つ目にウクライナ情勢などの地政学的リスク、さらに五つ目には異常気象による農産物の価格高騰、そして六つ目にはカーボンニュートラル対応によるエネルギー需給のミスマッチと、こういう様々な要因、短期的な要因もあるし、中長期的な要因が絡み合った私は複合インフレの様相を呈しているのではないかというふうに思っています。
 複合インフレでありますので、仮に一時的要因が解消して価格急騰が一巡したといたしましても、エネルギー価格の価格転嫁というのは普通二、三年掛かるわけでありますので、しばらくこの価格上昇、物価上昇という傾向は続く可能性が高いのではないか。
 今日は、お手元に消費者物価指数、パネルにはしておりませんが、お配りをしておりますけれども、これを見ていただいても明らかですが、一月、総合で〇・五%という消費者物価指数が上がっておりますけれども、その中身は、携帯料金が随分下がっていますので、二九・三%も下がっているんですね。これを除くと、実は、総合で〇・五といいますけれども、その寄与度を逆算すると約二%なんですね。携帯料金の要するに引下げを除くと、二%もう既に消費者物価は上がっている。そして、エネルギーはもちろん一八%近く上がっていますけれども、光熱水道料金一二・七%、生鮮食品が六・五%、物価上昇は非常に広がっているわけであります。
 この原油価格が続くと、携帯料金の引下げという影響がなくなる今年四月にはもう二%消費者物価指数が上がる可能性があります。こうしたエネルギーとか食料品とか光熱水道料金というのはまさに生活必需品でありまして、所得が少ない方ほど大変にこれは重い負担になってまいります。
 そこで、まず総理に、今日のこの物価上昇については、エネルギーや食品、光熱費など生活必需品を直撃しています。とりわけ中間層以下の生活が大変苦しくなっている。今指摘したように複合インフレの様相を呈しておりますけれども、総理としてはどういう御認識でしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今委員から御指摘がありましたように、今の物価高騰の背景には様々な要因があると認識をいたしますが、しかし、その中にあっても、特にこの原油を始めとする世界的な原材料価格の上昇、これはこの物価高騰の背景として大きな要素であると認識をしています。
 そして、特に消費者物価については、ガソリン価格や電気代、さらには食料品の上昇、こうしたことが家計に与える影響、家計にどのような影響を与えるか、こうしたことを注視していかなければならないと思います。これらの品目は生活に必要不可欠な必需品であり、消費を減らすことが難しく、御指摘のように、特に低所得者の方々にとって相対的に負担感が増加していく、こうしたことが考えられると認識をしています。
 こうしたことでありますので、まずは先ほど申し上げましたようなエネルギー価格の高騰に対して激変緩和措置の深掘りを始め、しっかり取組を進めていかなければならないと思いますし、さらにはこうした物価高騰の中で賃上げについてもしっかりと取り組んでいかなければならない、そして企業間の価格転嫁が適正に行われるよう、中小企業においてもしっかり賃上げが行えるような環境整備を行っていかなければならない、このように認識をいたします。

○西田実仁君 今消費者物価指数の話をしましたが、企業物価指数はもう八%を超えて上がってきています。そして、輸入物価指数というのを見ると、この契約している通貨ベースでは二八%増なんですよ。しかし、円ベースにしますと三七・五%上昇している。つまり、契約通貨ベースというのはドルとか元とか様々な、ユーロとか、そういう契約している通貨で上がっているよりも円ベースの方が上がっているという、この差額は、まさに円安によって輸入物価指数が上がっている、物価指数を上げているというふうに見れると思います。
 円安を、逆に言えば、是正をすることでこの物価、輸入物価の上昇というものを抑えられるという認識でよろしいでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 具体的な為替の水準について申し上げることは控えなければならないかとは思いますが、一般論で申し上げるならば、為替の変動が経済に与える影響について申し上げると、為替の円安方向への動きにより、輸出企業の収益は改善する一方、輸入物価の上昇を通じて中小企業や消費者の生活にも負担増となり得る、こうしたことであると思います。
 そして、足下の輸入価格の上昇については、為替の影響、もちろんこれもあるとは思いますが、先ほど申し上げたような世界的な原材料価格の上昇、これが特に大きな要素としてあると思います。
 こうした点に着目をして、先ほど申し上げましたような様々な取組、しっかり進めていかなければならない、このように認識をしております。

○西田実仁君 このエネルギーというのは、日本はもうほとんど輸入しているわけですね。資源価格高騰を抑えるためには、今、為替の影響ももちろんあるとおっしゃいました。この資源価格の高騰を抑えるためには、和らげるためには、この円安是正ということも課題の一つであるという認識でよろしいですね。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 円安について私の立場から何か評価するのは控えなければならないと思います。為替というものが様々な物価にも影響しているということは一般論として申し上げることはできると思っております。

○西田実仁君 この決して一時的現象とは見られない今の物価上昇に賃上げが追い付かずに生活がますます苦しくなるということは是非とも避けなければなりません。企業が、輸入価格が上がっている、それを価格に転嫁をし、そして転嫁ができなければ収益が圧迫されますので、賃上げ余力も出ません。何とかその企業が新たな価格体系に移行をしつつも、これまでの生産性上昇に見合った賃上げというものを是非ともやっていく必要があるというふうに思います。
 パネルをちょっと御覧いただきたいと思うんですけれども、これは私自身が計算した過去十年間の資本金規模別の生産性の上昇と賃金の増加率を比較したものであります。(資料提示)青が生産性の上昇、そしてダイダイのところが賃金の増加であります。
 これ見るともう明らかでありますけれども、一番、その資本金がですね、十億円以上のところ、大企業になりますけれども、生産性はこの十年間で一・八六%上昇しておりますけれども、賃金の方は〇・二一%しか上昇していないと。ほかの資本金のところもそうですけれども、特に大企業でですね、生産性の伸びがなければ賃金上げられないとよく言うんですけれども、こんなに十年間で伸びているのに、賃金にはこれだけしか分配されていないということであります。
 私は、やはり生産性の向上に見合った賃金というものをしっかりと、大企業には特に賃金政策は見直していただかなければならないというふうに思っています。特に一人当たりの付加価値が伸びた分はしっかり賃金にお返しをするというふうにしていくようなことが必要であり、そうなっているかどうかを総理肝煎りで進めているこの人的資本の様々な情報開示というところにも盛り込んでいくべきではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、成長の果実を賃金あるいは設備投資など次の新たな成長につながるようなこの分配にしっかりつなげていく、こうしたことは重要であると認識をしています。
 そして、そのためにも、政府としても環境整備をしていかなければいけないということで、賃上げ税制ですとか、あるいは補助金、あるいは公共調達における賃上げに前向きな企業の優遇ですとか、価格転嫁の促進ですとか、そうした環境整備、政策を進めているということであります。そして、そうした取組がしっかりと評価されるように、この非財政情報の開示ルールということもしっかりと整備をしてこの見える化を図っていく、こうしたことは重要な取組であると認識をいたします。

○西田実仁君 では、ウイズコロナ社会の実現に向けてという次のテーマに移りたいと思います。
 国産ワクチン、また国産の治療薬を実用化していくというために、公明党では、去る二月の八日の日に、総理にワクチンの三回目接種加速化に関する提言並びに国産ワクチン及び経口治療薬確保の早期実施を求める緊急要請というものを提出をさせていただきました。
 この今のオミクロン株が収束をしたとしても、その後にまたウイルスが変異をしていくことも予想されます。いつまでも外国産ワクチンに依存しているわけにもまいりません。国産ワクチンの早急な開発がもう待ち望まれていると思いますけれども、総理、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 新型コロナの国産ワクチンの開発については、今委員の方から御紹介がありましたように、公明党の皆様からも御提言をいただいておりますが、政府としても、国内で開発、生産ができる体制を確立していくことは危機管理上も極めて重要であると認識をしております。
 このため、PMDA、医薬品医療機器総合機構において後発ワクチン向けの評価に関する新たなガイドラインを策定したほか、開発、生産に取り組んでいる国内企業に対し、生産体制の整備への補助や有効性を検証する臨床試験の実施費用に対する補助、こうした支援を行っているところであります。
 引き続き、国内でのこの開発、生産の基盤整備をしっかり後押しをしていきたいと考えます。

○西田実仁君 この国産ワクチンや治療薬を開発するに当たって、国が買い取った後に新たな変異株等が出てきたことで使用が推奨されなくなる場合等、当初の買取り合意はしっかり維持していかないとこの研究開発の意欲というのもそがれていってしまうんではないかと言われています。
 この点、いかがでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君) 新型コロナを始めとした予期せぬ感染症に対するワクチンや治療薬を国内で開発、生産できる体制を確立しておくことは危機管理上も極めて重要でございます。
 新型コロナワクチンに関しては、国内企業が開発に成功した場合の買上げに必要な予算として、令和三年度補正予算において約千三百億円を措置をいたしました。具体的な買上げの方針については、有効性、安全性が確認されたワクチンの供給が可能となった場合に、その時点の感染状況やワクチンの中長期的な安定確保等を踏まえてしっかり検討してまいります。また、ワクチンの買上げについては、そうしたことで買取り合意を維持して、しっかりと安定的な対応をして進めたいと思います。
 また、経口治療薬につきましても、これまでも、臨床試験の結果によって安全性、有効性が示された場合には、その後の承認を条件とした購入契約を行い、必要量を確保してまいりました。
 引き続き、新たな変異株への対応についても念頭に置きながら、新型コロナの治療を受けられるようなしっかりとした体制準備に入るように努めていきたいと思います。

○西田実仁君 国産ワクチンや治療薬を開発、実用化していくには、国内企業が感染者の減少を理由に海外で治験に要した費用についても支援していくべきでありますし、また、中長期的には国内で質の高い治験ということが行えるような環境づくりというものも行っていかなければならないと思います。塩野義製薬によれば、国産治療薬の開発に当たり、デルタ株の収束により治験に協力者が集められず、海外の治験が必要になったとお聞きしました。
 政府は、国内で実施するこの治験に対しては支援をしております、のみ支援しておりますけれども、やっぱり状況の変化に応じて海外での治験についてももっと積極的に支援をしていくべきではないでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君) 国内企業が開発している経口治療薬の実用化は大変重要でございます。治験等の費用補助を行っておりまして、この補助対象には海外での治験経費も含めることが可能でございます。しっかりと、国内における治療費への補助など、二十億円の支援を行っております。

○西田実仁君 じゃ、一旦終わります。

○委員長(山本順三君) それでは、残余の質疑は午後に譲ることといたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会

○委員長(山本順三君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 令和四年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。西田実仁君。

○西田実仁君 午前中に引き続き、公明党の西田実仁をよろしくお願い申し上げます。
 国産のワクチン、また治療薬を実用化していくためには、その治験を、国内で質の高い治験を行える環境づくりが必要だと思います。オミクロン株が流行をして治験に協力する方は増えてきているとはお聞きしますけれども、そもそも保健所のこの入院調整というものには治験の実施は余り考慮を今されておりません。国民が治験に接する機会は非常に限定的であります。
 国民の皆さんが治験に参加しやすい環境づくりとして、例えばでありますが、治験実施施設に入所、入院させるといった協力を知事等に要請してはいかがかと思いますが、厚労大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(後藤茂之君) 厚生労働省では、国内外の企業が行う治験を推進するため、コロナ患者の発生状況を最もよく把握している自治体に対しまして、コロナ患者への治験の案内など治験の症例数の確保に向けた協力を依頼するとともに、積極的に治験を推進する自治体が効果的に取組を進められるよう、相談、助言を行っております。
 今後、委員御指摘のように、コロナ患者の受入先を調整する場面において、治験を実施するための病床等を確保している医療機関や宿泊療養施設への入院、入所に向けた対応をいただくことも含めて、自治体に対して更なる協力を要請するなど、引き続き必要な取組を進めてまいりたいと存じます。

○西田実仁君 コロナ対策には様々な支援策がありますが、なかなか本当に必要な方に届いていないというもどかしさがあります。利用者に歩み寄った情報提供の仕組み、在り方というものが問われていると思います。ホームページとかを見れば書いてありますということでは済まないわけでありまして、どうしたら文章を読まなくても必要な人に必要な情報が届いて、実際に行動に移していただけるかという視点が私は必要であるというふうに思っております。
 そこで、非常によくできた民間のサイトで、お悩みハンドブックというのを紹介したいと思います。これは、その監修者に依存症や孤立対策の識者を入れるなど、困っている人にどう寄り添えるかという視点で開発がされております。質問に答えていくだけで二百八十八にも上る公的支援を中心とした解決手段にたどり着くことができるという仕組みです。
 例えば、会社員でコロナに感染し、自宅で療養されている方にどのような支援金があるのかという情報提供について、これもよくできているんですが、内閣官房で困り事に対する支援策が探せる支援情報ナビというのがありますけれども、これとお悩みハンドブックをちょっと比較をしてみたわけでございます。よくできてはいるんですが、内閣官房のこの支援情報ナビでは、こういうふうに質問が、会社員で疾病手当金を探すと厚労省のQアンドAに飛ぶようになっているんです。これをざっと見ていただくと、これだけ読んで自分がその対象になるかどうかをすぐさま分かる人というのはそうはいないんじゃないかというふうに正直思います。
 しかし、片やこのお悩みハンドブックを見てみますと、疾病手当金は病気やけがで仕事を四日以上休むときお金がもらえる制度というふうに、まず自分の疑問に答えてもらえる、回答を得ることができ、大事なのはその後でして、じゃ、それを利用するにはどうしたらいいかということを具体的な手順まで書いてあるわけでございます。単に知識の提供とか、あるいは関連ページを紹介するだけでは、特にその先が行政のページであればあるほど、文章としては行政文書というのは正しいんですけれども、利用する立場に立ちますと、なかなか具体的なこの行動に移すことが難しいと思います。
 そこで、山際大臣にお聞きしたいと思いますけれども、コロナ対応で困っている方に寄り添うワンストップの情報提供の仕組みとして、例えば、あくまでも例示ですけれども、こういうお悩みハンドブックのような民間のサイトとよく連携をして、もっと寄り添うその情報提供の在り方、難しい文章を読まなくても質問に答えていけばたどり着けるような、そういう仕組みを是非御検討いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(山際大志郎君) 御礼申し上げます。
 見て本当に分かりやすいですよね。ですから、政府の出す情報としても、民間のその情報サイト等々を参考にさせていただきながら、まさに先生がおっしゃったような、利用者に寄り添うような、利用者目線で使いやすいかどうかということを基準にしてつくっていくということをやらせていただきたいと思っております。

○西田実仁君 ありがとうございました。
 事業復活支援金、事業再構築補助金について経産大臣にお聞きします。
 既に事業復活支援金、順調に進んできておりますが、公明党の提案で、この申請の手続のいわゆる登録確認機関に生活衛生同業組合や商店街振興組合などが追加されました。
 そこで、今日お聞きしたいのは、この事業復活支援金で、一次支援金や月次支援金でもよく相談受けましたけれども、その書類の不備が何度も何度も指摘され、出しても指摘され出しても指摘されという、いわゆる不備ループと言われるものですね、これがどう改善をされているのかということをまず経産大臣にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(萩生田光一君) 月次支援金では、提出書類から給付要件を満たすことが確認できない一部の申請者に対して、事前の同意をいただいた上で追加の書類提出を依頼してまいりました。公明党の先生方からも御指摘いただいていますが、一部の申請者に御不便をお掛けしたという事実を真摯に受け止めた上で、事業復活支援金においては改善を行ってまいりました。
 具体的には、追加の書類提出を求める際に求める書類や不備の内容を一層明確化にすること、現金取引の場合などにおいて事業実態を確認するための提出書類の例をあらかじめ示しておくこと、また、不備解消相談窓口の体制を充実し、審査部署との連携を強化するなど、申請者の御負担にも配慮しながら更なる改善を行うことを進めてまいりました。
 引き続き、中小企業庁からも事務局をしっかりと指導し、支援を必要とする方々に迅速かつ正確に支援金をお届けできるように取り組んでまいりたいと思います。

○西田実仁君 事業再構築補助金、三月に第六回目の公募が始まります。ここでは新たにグリーン成長枠というものが設けられました。公明党の提案で、これについては、通常は一事業者につき支援を受けることができる回数は一回ですけれども、グリーン成長枠については二回目も採択していいんじゃないかと、こういうふうに提案しておりますけれども、その後どうなったか、お聞きします。

○国務大臣(萩生田光一君) 事業再構築補助金につきましては、コロナによって売上げが減少した事業者をできる限り多く支援するため、これまでは二回目の採択を認めてきませんでした。
 他方、令和三年度補正予算では、ポストコロナ社会を見据え、今後成長が期待されるグリーン分野について重点的な支援を行うため、グリーン成長枠を創設し、グリーン関連の案件についてはコロナによって売上げが減少していない事業者の申請も認めることとしました。
 公明党の皆さんからの御提案をいただいたことも踏まえ、このような政策的重要性などに鑑み、体制や資金力などについて確認した上で、グリーン成長株に限って二回目の採択を可能とする予定でございます。グリーン成長株など事業再構築補助金を御活用いただくことで、中小企業の新事業展開を後押ししてまいりたいと思います。

○西田実仁君 パンデミック条約の作成に向けてお聞きします。
 昨年十二月のWHOの特別総会で、今後のパンデミックに備えた国際ルール、すなわちパンデミック条約を策定するために、全加盟国に開かれた政府間交渉会議が全会一致で採択されました。新型コロナへの対応をめぐる教訓を踏まえまして、ワクチンの公平な分配あるいは情報の共有といった対応について、あらかじめ条約あるいは協定のような形で明文化することを目指しております。
 昨年六月のG7サミットにおきましても、保健分野の脅威には国境がないことが首脳宣言でも強調されました。G7の担うべき特別の役割と責任として、将来のパンデミックにおける共同の行動のひな形となるような世界的な手順を作成することにより、対応の速度を改善することが掲げられました。G7として、WHOで決議されたパンデミック条約のような国際ルールの制定をリードしていくべき責任があると存じます。
 二〇二三年にはG7の議長国となる日本の首相として、パンデミックへの対応に関する新たな法的文書の作成に向けてどのような認識をお持ちか、お聞きします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 新型コロナ感染症のような世界に甚大な影響を与える感染症に対しては、G7を始め国際社会が一致して対応する必要があります。
 我が国は、パンデミックへの対応に関する新たな法的文書の作成に関して、感染症危機への対応を強化するとの目的に賛同し、我が国の経験や知見を踏まえつつ、国際的な議論に貢献していきたいと考えております。

○西田実仁君 次に、中小企業の事業再生についてお聞きします。過剰債務問題です。
 宿泊あるいは飲食といったいわゆる対人サービスで、かなりこのコロナの影響は深刻です。国はこれまで、いわゆるゼロゼロ融資という金利なし又は無担保の支援、資金繰り支援で支えてきましたけれども、結果として企業債務が大幅に増加しているのも事実であります。その返済は年末にかけて本格化してまいりますが、とりわけ対人サービスの業種の中には債務返済困難な水準に達する例ももう既に見られております。
 これは野村総研が試算したものです。宿泊業や飲食業など対人サービス業四業種では、金融機関の債務者区分で言うところのいわゆる破綻懸念先あるいは要注意先と既になっている業種もございます。
 今既存の私的整理ガイドライン、法的な整理ではなく私的整理ガイドライン、つまり金融機関と企業との話合いによって債務の返済を猶予したり、あるいはその減免をしたりするようなこの私的整理ガイドラインというものについて、既存のものとは違う中小企業版を早期に策定すべきだと思いますけれども、総理の御認識をお伺いします。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、中小企業が増大する債務に苦しむ状況が長引けば、経済の回復、成長の遅れにつながる恐れがあるところ、委員御指摘の中小企業の事業再生等に関するガイドラインの策定、これは非常に重要であると認識をいたします。
 本ガイドラインは、現在、全国銀行協会を中心に策定作業が進められているところですが、平成十三年に策定した私的整理に関するガイドラインに比べ、債務超過解消までの年数に関する要件を緩和するなど、中小企業の方々により使い勝手の良いものとする方向で検討をいただいていると聞いております。
 中小企業再生支援協議会の取組に加え、こうしたガイドラインの策定による支援を通じて、事業再生に向けた関係者間の共通認識を醸成し、より一層円滑に取組を進めていきたいと考えます。

○西田実仁君 これせっかく作るんですから、是非利用していただかなければならないと思いますが、過去のいわゆる不良債権処理ということを鑑みますと、例えば観光業とかあるいは観光業が主体の自治体からしますと、概して金融機関などが持ち込む再生案件というのでは、経営権が失って、結局金融機関だけがもうかっただけじゃないかというような余りよくない印象を持っているのが実際現実なんですね。
 ですから、最初からそうした不信の目で入ってこられてしまうと、なかなかこのせっかく作った中小企業版の私的整理ガイドラインも活用されない、機能されない、できないではないかというふうに思っております。ましてや、今回のこのコロナ禍による経営不振というのは、社長さん、経営者の側からすると、自らの経営努力というよりもかなり外的な要因によってこうなっているという思いが強いわけであります。そういう中で、経営責任あるいは株主の責任ということが余りその明確化というものが前面に出されますと、事業者の方からすると大変抵抗が強いんではないかと思います。
 コロナの影響下での経営責任の取り方をどう考えていくか、また、個別事案に応じた柔軟な経営責任の取り方もあり得るのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(萩生田光一君) 今ほど総理から中小企業の円滑な事業再生のために必要なルールについてお話をさせていただきました。
 四十七都道府県に設置されている中小企業再生支援協議会では、経営者の退任を原則とせず、経営者、経営責任が明確化されれば役員報酬の削減や経営者が法人に対して有する債務の放棄などの対応も認めています。
 現在、金融業界では、このような再生支援協議会の実務なども踏まえ、中小企業の事業再生等に関するガイドラインを検討していると承知しておりまして、経産省としては引き続き、中小企業の声も丁寧にお聞きした上で、金融庁や関係者とも連携しながら中小企業の実態に沿った再生支援に取り組んでまいりたいと思います。
 その上で、中小企業の事業再生は、債務者たる事業者が金融機関等の債権者と当事者間で協議し、その具体的な内容などを決定するものです。その際、当然、経営者自身が自社の置かれた状況に真摯に向き合い、地域経済や従業員のことも考え、再生計画を作成することが重要です。実際、中小企業再生支援協議会がこれまでに支援した再生計画では、従業員のリストラを伴わない計画が全体の八割となっているなど、従業員の扱いについても多様な再生計画が認められてきております。
 例えば、温泉街の老舗旅館の事案では、新会社に事業を譲渡した上で旧会社の債務を整理する手法で事業承継した後継社長が、地域や従業員のために再生するという覚悟で自ら事業改善のプランを作成し、雇用を維持したまま再生するなど、事業承継と事業再生を組み合わせたケースもございますので、引き続き中小企業の声を丁寧に聞いた上で積極的な支援を進めてまいりたいと思います。

○西田実仁君 このデット・エクイティー・スワップという、債務、これを株式に変換をすることで債務負担を軽減するという手法を取る場合がありますけれども、実際にこの事業再生を進めていって、金融機関がその保有した株式をどう処理することを想定しているのか、金融担当大臣にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(鈴木俊一君) 金融機関が、先生今御指摘になりましたデット・エクイティー・スワップ、いわゆるDESにより再生支援を行った場合でありますが、その出口といたしましては、事業者から取得した株主を、株式を、経営者や企業が買い戻したり事業を承継する第三者に売却をする、また、当該事業者の了承の下、取引先等地域の関連企業に売却するといった対応があり得るのではないかと考えております。

○西田実仁君 先ほどの経営責任の一つとして私財の提供や経営者貸付けの放棄という、いわゆる経営者の余裕資産のカットが想定にある一方で、今、金融担当大臣がおっしゃった再生の出口では、その株を経営者自ら買い取るというのも一つの出口だというお話がございました。しかし、余裕資産がなくなっている経営者がその自分の株をどうやって買うのかという問題があると思います。
 したがって、私は、この事業の再生の出口というものはいろいろな形をやはり入口の段階から示していかないと、単にこれまでと同じようなことになってしまわないか。金融機関の論理だけで進んでしまうということが印象を持たれると、中小企業もなかなかこれ参画をしません。
 そうした意味で、例えば、この経営者の関与が何らかの形で残るというんであれば、運営権と所有権を分離するとか、あるいは観光地全体の再生というような、いろんなバラエティーに富んだその再生の出口というものをお示しいただく必要があるんではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(鈴木俊一君) 西田先生御指摘のとおり、事業者の再生支援に当たっては、事業者の経営状況に加えまして、地域やサプライチェーンにおける位置付け、地方創生への貢献状況など、事業者や地域の特性を踏まえて金融機関も積極的に様々な観点から再生の絵を描き、それを早い段階から事業者と共有して支援を進めていくことが重要であると、そのように考えております。事業者の身近な支え手である地域金融機関には、こうした再生支援によりまして地域経済の維持発展に一層貢献していくことを期待をいたしております。
 今後は、現在検討中の中小企業の事業再生等に関するガイドラインも活用しながら、再生支援を主導する金融機関が様々な支援機関と連携しつつ、新型コロナの感染状況を見据えて、早め早めに多様な選択肢の中から個々の事業者に最適な出口を描くことができるよう、私からも金融機関の取組をしっかりと促してまいりたいと思っております。

○西田実仁君 やはり、日本の再生は中小企業の再生なければないと私は思っております。そういう意味で、今回できる中小企業版の私的整理ガイドラインをやはり使っていただくように政府を挙げてしっかりと支援をしていただきたいと思います。
 総理には、こうしたこの中小企業版の私的整理ガイドラインによって重点的に支援すべき事業者像を明確化し、そこへの集中的支援を金融機関に依頼するなど強い働きをお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今後、金融機関には、取引先の業況、地域経済への影響を丁寧に把握し、重点的に支援が必要な先を特定した上で、ガイドラインを積極的に活用し、事業者の再生支援に一層注力いただくことが必要であると考えます。
 増大する債務に苦しむ多くの中小企業の再生支援等を力強く進めるため、御指摘も踏まえ、関係大臣が連携の上、ガイドラインの活用を促すための公的支援、すなわち第三者支援専門家や債務者を支援する外部専門家に係る費用を国費で補助するなどの措置を行うとともに、金融機関への働きかけ、その取組状況のフォロー、これをしっかりと行っていきたいと考えます。

○西田実仁君 最後に、地元ですが、DXを活用した地域防災力の強化についてお聞きしたいと思います。
 災害対策基本法の五十三条には、市町村は当該災害の状況及びこれに対してとられた措置の概要を都道府県に報告しなければならないと、こういうふうにあるんですね。被災の状況、またそれに対する措置、これを報告しなければならないとあります。住民に最も近い存在であり、また危機管理の最前線に立つ首長なわけですけれども、実際は災害時にこの情報が自由に見られるようにはなっていません。
 国が情報集約の仕組みをつくり、それを市町村の首長の皆さんが共有できる、こういう仕組みを是非ともやりたいという思いで、先月、一月二十九日、私の地元埼玉におきまして、国道四号、越谷市レイクタウンにおいて、ローカル5Gを活用した災害情報の伝送に関する実証実験というものを視察をさせていただきました。
 この実証実験は、ここに概要図がありますけれども、模擬的な道路の被害想定をドローンあるいは小型スキャナーで高精細な映像やあるいは点群データというデータを取得し、ローカル5Gにより現地から伝送するものです。この精細な映像とか点群データというのは十ギガバイトあるいは二十ギガバイトと大容量のデータとなりますので、通常の携帯電話では一ギガバイト当たり五十分超も掛かるところもあるんですが、ローカル5Gではたった二分で伝送できます。また、データを取得している状況や送信されたデータをテレビ会議システムによりリアルタイムに確認できますので、今後起き得る首都圏、首都直下地震や台風などの災害への対応を考える上で極めて有意義だと思います。
 そこで、国土交通大臣にお聞きしたいと思いますが、災害時において、全国各地の地方整備局や河川国道事務所が最新のICT技術を活用して道路や河川の被災映像や被災の程度を示すデータを速やかに取得し、関係する地方自治体へ伝送した上でテレビ会議システム等を用い被災状況を共有するほか、これらの取組を実現しようとしている市町村への技術的な支援や助言など、河川や国道事務所と市町村との情報共有、連携を積極的に行うべきと考えますけれども、御認識をお伺いします。

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 西田委員おっしゃるとおり、国と地方自治体が災害時に情報共有するということは極めて大事だと思います。特に映像情報は情報量も多いし、分かりやすいし、非常に大事だと思います。
 国土交通省においてはこれまでも河川の水位情報やCCTVカメラ画像などをウエブサイトで公表してきており、市町村において活用されているところです。また、被災状況の全容把握に有効なヘリコプターの映像についてもリアルタイムで配信していますが、現状では専用回線で接続されている一部の市町村にとどまっており、今後全ての市町村に配信できる方法について検討してまいります。さらに、浸水状況を迅速に把握するための浸水センサーなどについても、新たな技術開発を進めた上で情報の共有に努めてまいります。
 なお、西田委員御指摘の実証実験、埼玉県で行われた実証実験では、高速大容量の5G通信により鮮明な現場映像が共有できることを確認したとお聞きしております。
 国土交通省としては、こうした取組を通じて、デジタル技術を活用した市町村との更なるデータの共有、国と市町村とのデータの共有、しっかり努めてまいります。

○西田実仁君 大事なのは災害時における通信回線の確保です。どう進めるか、総務大臣にお聞きします。

○国務大臣(金子恭之君) お答え申し上げます。
 災害時において、住民の安否確認や現場の被災状況の把握など、国民の生命、財産を守るための情報伝達手段として通信回線の確実な確保は必要不可欠でございます。
 総務省におきまして、通信経路の複数ルート化や停電対策などの通信事業者が遵守すべき基準を定めており、これに基づき、通信事業者において災害時に臨時に基地局を開設できる車両や移動電源車などの配備を進めているところでございます。
 引き続き、通信事業者を始め関係者とも連携しながら、情報ネットワークの強靱化にしっかりと取り組んでまいります。

○西田実仁君 ある庁舎内、幾つか市町村で調べたら、庁舎内で、ローカル5Gでは二分で送れるんですけれども、庁舎内では九倍から十倍このデータのやり取りに違いがあるんですね。ですから、これだけ受け手の方の市町村の庁舎の回線速度が遅いと、せっかく5Gで送っても情報自体が伝わりません。災害対応にも時間を要してしまいます。
 こうしたことには、例えば緊急防災・減災事業債といったものを庁舎内の回線を太くすることに使えるとか、そういう財政的な支援も是非してもらいたいと思いますけれども、最後、総務大臣にお聞きします。

○国務大臣(金子恭之君) 委員御指摘のとおり、災害時においても自治体が迅速に情報共有できることが必要であります。
 総務省ではこれまでも、災害発生時において関係機関間で通信が確実に確保されるよう、国、都道府県、市町村において消防防災通信ネットワークの整備を進めてまいりました。また、庁舎内でのネットワークについても、災害発生に備えた対策の考え方を示すなどの取組も行ってまいりました。一方で、情報の高度化、大容量化が進む中で市町村の回線の速度が十分かという御指摘がございました。
 災害時においても情報共有を円滑に進められるような自治体のネットワーク環境の在り方について、総務省としても現状をしっかりと把握するなど、関係省庁とも連携して検討してまいります。

○西田実仁君 終わります。