204-参-予算委員会-004号 2021年03月04日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 首都圏における緊急事態宣言の取扱いにつきましては明日正式に決まるわけでございますけれども、まず、私は、いずれにいたしましても医療提供体制の構築を再強化していかなければ医療崩壊というものをまた招いてしまうということについてお聞きしたいと思います。
 まず、パネルを御覧いただきたいと思います。(資料提示)
 そもそも論でございますけれども、日本の医療体制というのは国際的に見ましても決して見劣りすることはないとよく指摘されるわけであります。ここにありますように、人口千人当たりのベッド数はOECDで第一位の十三床でございますし、また、医師数につきましても、米国よりはやや少ないわけですが中国よりは多い。また、看護師数につきましても十一・七六人ということでありますので、イギリスや中国よりも上位にある。そして、感染者数は世界的に見ても欧米のような爆発的な感染拡大には至っていないと。にもかかわらず、医療逼迫ということがやはり残念ながら言われることもしばしばでありました。明らかに医療資源の配分というものがうまくいっていないということの証左でもございましょう。医療機関の機能分化、また、その再編や民間病院依存体制の是非など、医療行政の抜本的見直しが必要ではないかというふうに思うゆえんであります。
 そこで、まず総理にお聞きしたいと思うんですが、この医療提供体制の再構築というのは言わば健康の安全保障問題でありまして、厚労省や自治体、医師会や官公労等が一体となって、言わば医療体制改革国民会議のような場において国を挙げて医療資源の最適配分について検討していく必要があるのではないでしょうか。

○内閣総理大臣(菅義偉君) 新型コロナ患者の受入れ体制の確保に向けて、国としては、受入れ病院に対する強力な財政支援を行うとともに、各都道府県と一体となって病床の確保に取り組んできているところであります。私自身、直接医療関係団体の長の方にお会いをし、病床の確保に向けた協力を要請をしたところであります。その後、全国レベルで、医師会や、また病院団体が連携をして病床確保の対策会議を立ち上げていただいているというふうに承知しています。
 その上で、地域の医療提供体制については、地域の実情に応じて様々な患者に対して必要な医療をどのように提供をしていくべきかという、このことについては地域で役割分担を協議し、国と連携をしながら地域全体として支えていくものである、このように考えています。このため、各都道府県においても、医師会や地域の中核病院などの医療関係者も交えた協議会を設け、役割分担を協議した上で受入れ体制の整備を進めているところです。
 引き続き、必要な方が必要な医療を受けられるように、国と地方、そして医療関係者が緊密に連携し、地域の医療資源というものを総動員をして必要な医療提供体制の確保にしっかりと努めていきたい、このように考えています。

○西田実仁君 次の医療計画、地域で検討する際には、この感染症、今後もまた続きますので、是非それの対応を検討していただきたいと思います。
 具体の話に行きたいと思いますので、パネルはもう結構でございます。
 病院逼迫の改善ということには、重症者から回復者まで一体で病床を調整する必要がございます。公明党は、一般病床以外の病床も活用するよう求めてまいりました。その結果、一月二十二日より、後方支援病院に対して診療報酬は三倍に、また九百五十点を九十日間算定できるようになったわけであります。
 医学論文などでは、発症後十日経過した患者からは、免疫が低下している方とごく一部の方を除いて、ウイルスが培養できない、すなわち感染させることはないと整理しております。たとえウイルスがあっても、言わばそれは死にがらのようなものでありまして、人に感染させる力はないという整理だろうと思います。それゆえ、入院して十日経過した場合には検査をせずとも退院できる、そういう退院基準を策定したというふうに理解しております。
 では、この基準を満たして転院してこられた患者さんには感染者としての対応が求められるのか、例えば後方支援病院ではその対応に防護服などを着用する必要があるのかどうか、厚労大臣にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(田村憲久君) 今委員がおっしゃられましたとおり、人工呼吸器を付けていない、そういう患者さんの場合、発症から十日以降、まあ七十二時間、これ症状がなくなってからですね、七十二時間経過している、若しくは十日後、PCR検査を二回やって陰性というようなことであれば、これは退院基準を満たすわけでありまして、そういう方々に対しては、これは感染に対するいろんな心配はございませんので、一般の患者と同じように対応いただいて結構であると。なかなか医療関係者の方々、これに対して十分に情報が伝わっていないということで過度な対応をいただく場合もありますけれども、改めてそういうことを我々としてはお伝えをさせていただいております。
 ただ一方で、アドバイザリーボード、二月二十五日だったと思いますけれども、ここで、人工呼吸器を付けた患者の方々の場合は、これやっぱり、発症後やはり十五日間経過をしないと、なかなかその後、症状がなくなって七十二時間であったとしてもこれはまだウイルス感染のおそれがあるということでありまして、退院基準は満たしておるんですけれども、やっぱり発症後二十日まではしっかりといろんな個室等々で感染を防ぐ対応をいただきたいというような、そういう評価をいただきましたので、人工呼吸器を付けられた患者に関してはそういうことであるということを改めて医療機関等々にしっかりと我々としてはお伝えをしてまいりたいというふうに考えております。

○西田実仁君 この病院の逼迫を改善していくには、まさにそういう具体的な後方支援病院での対応というものをしっかり周知いただくことが大事だと思います。
 今お述べになられましたように、個人が感染した場合の退院基準というものは示されているわけでありますけれども、クラスター、この集団感染、これが発生した医療機関や福祉施設などにおいて、クラスターが収束したとする基準は定められていません。例えば全員一律の検査で陰性を確認するなど、何らかの一定の基準というものを定めていく必要があるんではないでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) クラスターといいますか、お一人でも感染者が介護施設等々で発生した場合には、これはもう全員に検査をいただくようにということを通知をさせていただいて、今そういう体制を組んでおります。
 もちろん、ゾーニングやいろんな対応を組んでいただいて、クラスター化しないように、した場合にはそれ以上長期化しないようにいろんな対応等々を、これ実は厚生労働省だけじゃなくて都道府県においてもそういうような対応チームをつくっていただいてということでお願いをいたしておるわけでありますが、なかなかそのクラスターがこれで収まったという基準というのは、これは状況によって違うわけでございまして、難しゅうございまして、PCR検査をやって全員陰性だったからそれでいいというわけではなくて、もしかすればPCR検査の感度の問題もございますので、一定程度、やはり最終の感染者の方々が出てから、最終どれぐらい、つまり、その症状、潜伏期間がございますので、それを見るというようなことをやっておるような、そういうようなところもあるようでありまして、状況によってそれぞれ変わってまいりますので、これはクラスター班等々、厚生労働省からもお願いをする場合もありますけれども、そういうそれぞれの場合に応じて専門家の方々に対応いただくということで、なかなか一律にPCR検査だけで対応というわけにはいかないということで、それぞれの状況に応じて対応いただいておるということであります。

○西田実仁君 この感染症の収束の要は、医療機関と福祉施設のクラスターをいかにして減らしていくかということですよね。やっぱりそこは一定の基準というものを国としても示す必要があるんじゃないですか。

○国務大臣(田村憲久君) 今申し上げましたとおり、言われるとおり、最後、感染が出てから潜伏期間を考えてという話で、それが過ぎればというのが一般的なんですが、状況によってはその二倍を見ておるような、そういうような場合もあるようでございます。
 委員の言われるとおり、何らかの一定のことは我々としても考えていかなきゃならないと思いますが、ただ一方で、完全に払拭できない中でまたクラスターが発生をし返すということは避けなければならない。そういうことも含めて、委員の御提案等々も踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。

○西田実仁君 その検査についてなんですが、クラスターが発生したある医療機関では幅広く定性検査を実施して陰性と判断しましたが、その後、この医療機関、クラスター収束宣言をするために改めてPCR検査を行いましたところ、実は陽性だったことが判明いたしました。その結果、濃厚接触者が新たに生じてしまいまして、クラスターは収束できずに混乱が起きた事例を聞いております。
 これは、無症状者に対しては、抗原定性検査により陰性の結果が得られても陰性証明にはならないということが徹底されていない事例ではないでしょうか。飲食と並んで今後の感染収束の要となる医療機関や福祉施設には質の高いPCR検査などを用いることが重要であると考えますが、厚労大臣の御所見を伺います。

○国務大臣(田村憲久君) 先ほど申し上げましたとおり、PCR検査でも完全ではないということはこれはあるわけでございまして、ましてや抗原定量検査となりますと、あっ、定性検査となりますと、これは検査キット等々を用いているものだと思いますが、更に感度がやっぱりPCR検査よりかは落ちるという部分がございます。そういう意味では、感染者が出た上で抗原定性検査キット等々で対応するということは我々もお勧めをしているわけではありません。やはりPCR検査をしていただきたいというふうに思っております。
 一方で、そういうような感染者が出ていない介護施設、こういうところをスクリーニング的に、例えば定期的に検査をする場合、こういう場合には抗原定性検査キット、こういうものも一定の効果を示しますし、そもそも検査しなければ何も分からない話でございますので、こういうものを使っていく、若しくは、最近申し上げておりますのは、こういうスクリーニングにはプール検査、要するにPCRに関しても数人をまとめて集合検査やるというようなことも有効であると。
 これは、検査能力、費用、いろいろ、そういう意味で、スクリーニングという意味では意味があるであろうということで、そういうものも含めて、今、各都道府県、特に感染拡大をしておる若しくは先般の緊急事態宣言の対象のエリア、こういうようなところに関しましては、こういうものを三月の末までにお願いしたいと、計画、実施計画を作った上で三月の末までにお願いしたいということで、今それぞれ計画が上がってきておるということであります。

○西田実仁君 次に、マスクの着用についてお聞きしたいと思います。マスクの着用の生活はいずれにしても今後も続くことになると思うんです。
 先日、埼玉県内の子供食堂に地元の草加市長とともにお邪魔をしましたときに、ちょうど放課後デイの子供さんたちが来られていました。その際、市長からこれ知っていますかと聞かれたのがお手元の写真のバッジ、私、今日持ってまいりましたけれども、こういう「マスクをつけられません」ということが書いてあるバッジであります。
 この草加市長から、これ知っていますかと聞かれまして、私、ちょっと不勉強で存じ上げなかったんですが、これは千葉県の松戸市で配布をされているようでして、マスクを着けたくても着けられない発達障害の方や感覚過敏などの方々がマスクを着けられないということを周囲にお知らせするバッジあるいは意思表示カードだそうであります。
 教えてくれた草加市長も、このバッジを是非市内で配布したいという御意向のようでありましたが、同時に、国としても統一的な規格でこうしたバッジや意思表示カードの普及を後押ししてもらいたいと、こういう御要望をいただきました。
 厚労省では既に、マスク等の着用が困難な状況にある発達障害のある方等への理解についてという文書を発出をされておられまして、国民の理解をお願いをしていると承知しておりますけれども、是非、こうしたこのバッジや意思表示カードの規格の統一、またその普及に力を入れてもらえないでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 委員おっしゃられますとおり、発達障害の方、また感覚過敏等々の方、どうしてもマスクが着けられないというような状況にあります。厚生労働省でもホームページで、そういうことを広く国民の皆様方に御理解をいただく、そういう対応をいたしております。
 一方で、言われますとおり、マスクに対する着けられないというような表示、マーク、こういうものをいろんな団体がやられているようであります。それぞれの団体でやられているのでそれぞれの団体の思いもあられるというふうに思いますけれども、委員からもそういうお話ございました。
 統一できるのかどうか、ちょっとこれに関しましては、それぞれの団体ともいろんな話合いをさせていただく中でいろんな検討はさせていただきたいというふうに思います。

○西田実仁君 ありがとうございます。
 続いて、ワクチンについて、その供給からお聞きしたいと思います。
 いろんな自治体から、とにかくワクチンの確実な確保で、自治体の計画に沿って提供してもらいたいという要望がもう連日寄せられております。
 先日は、六月末までに全自治体へ六十五歳以上のワクチン三千六百万人分を供給できるとファイザー社と合意したことが公表をされました。ただ、これにはただし書がございまして、EUによる対日輸出の承認が前提ということであります。
 そこで、このファイザー社のワクチンに関する域外規制とはどういうものなのか、一回一回輸出の許可を取るならば、場合によっては途中で輸入が止まるようなこともあるのか、外務大臣にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(茂木敏充君) EUの制度は、これはファイザー社に限らず、ワクチンの事前購入契約を欧州委員会と締結している製薬会社がEUの域内で生産したワクチンをEU域外に輸出をする場合に、当該企業が加盟国に対して輸出計画を申請して、加盟国と欧州委員会が承認を判断することとなっております。
 このために、長い期間にわたって、まだ輸出が実際行われるかどうか分からないような包括的な輸出の承認を得ることは困難であると考えられますが、重要なことは、EUの域内から日本に対するワクチンの供給が引き続き円滑に行われることであると考えております。この点につきましては、私から、欧州委員会で貿易問題の責任者でありますドンブロウスキス委員に対して直接求めているところでありますし、同時に、現地、ベルギー等の大使館におきましても恒常的に働きかけて、これは関係者に行っているところであります。
 これまでのところ、日本に輸出されているワクチンについては輸出が全て承認をされております。

○西田実仁君 アストラゼネカやモデルナ社の、他社のワクチンの治験の状況と接種の見込みについて伺いたいと思います。
 現状では、自治体がファイザー社のワクチンのみを接種することを前提として計画を立てておりますけれども、他社のワクチン、これが接種できるようになった場合、市町村の計画をどのように見直すのか、その都度見直すことになるのか、河野大臣にお聞きします。

○国務大臣(河野太郎君) 高齢者のワクチン接種はファイザー社のワクチンでやることを想定をしております。
 アストラゼネカ社が二月五日に承認申請をし、モデルナ社が今、国内で治験をやっておりますので近々申請があるんだろうと思っておりますが、両社共に申請はまだ見通せない状況にございますので、もう少し申請の時期が明らかになりつつあるときに、どのようにそうしたワクチン使っていくか検討していきたいと考えております。

○西田実仁君 国内のワクチンの開発状況もお知らせいただきたいと思います。
 厚労省による開発の進捗状況を見ますと、国内のDNAワクチンの開発は遅れているようでありますけれども、何が課題なのでしょうか。また、既存の製法である不活化ワクチン、これの開発状況についてもお知らせいただきたいと思います。

○国務大臣(田村憲久君) 今、主に四つのワクチンが研究開発されております。DNAワクチン、それからメッセンジャーRNAワクチン、組換えたんぱくワクチン、それから不活化ワクチンということでありますが、DNAワクチンはこれはもう治験、臨床に入っておりまして、第三相まで入りつつあるということであります。
 言われました不活化ワクチンに関しては、多分今年度末までには臨床に入るという形でありまして、今、動物試験というような形で、ちょうど今その瀬戸際ぐらいなのかも分かりません。ちょっと私、詳しくまだそこのところ、現状は認識いたしておりませんが。
 なぜ遅いか。これは一つは、SARSだとかエボラ、こういうときに欧米等々の製薬メーカーはワクチン開発のデザインをやり出しておられて、そういう技術というものが今回非常に役に立っておるというのが一つ。それからもう一つは、そもそも日本の国、ワクチンに関しては、感染症に対しても、製薬メーカー、いっときよりかは力の入れ具合、これは実際問題お聞きしますと、やはり何といいますか、いろんな問題があって、製薬メーカーが悪いとかいう話じゃなくて、いろんな問題があってなかなか取り組みづらかったというのがあるんですが、併せて申し上げると、そもそもワクチンというのは、日本はどちらかというと研究機関からの広がりが多いわけで、メガファーマというよりかはそういう小さいところから広がってきたというところがあります。
 ですから、元からその開発企業の母体という問題もあるわけでありますので、そういうところも我々いろいろ考えながら、これからワクチンというのは非常に重要なものでありますから国としても支援をしていかなきゃならないというふうに思っております。
 ちなみに、今も補正予算等々で、研究開発、それから生産、さらには治験に関して、これは三次補正で対応していこうということで支援をしております。

○西田実仁君 様々な課題がありますけれども、とにかくこうした分野もしっかりと進めていかなきゃいけないと思っています。
 次に、薬事承認事項についてお聞きしたいと思います。
 ファイザー社はそのワクチンの有効率を九五%、アストラゼネカ社は同七〇%、それぞれプレスリリースしております。この数字について見解を伺いたいと思います。
 我が国の薬事でもこれらの海外における有効率を評価することになるのか。この数字が独り歩きすると、ファイザー社のワクチンの方が効果が高いと、一般的には九五と七〇と比べれば九五の方がいいというふうに思う国民の皆さんは少なくないと思いますけれども、これをどう今後周知していかれるのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(田村憲久君) ファイザーが海外試験で有効率が九五%でありますとか、今、アストラゼネカ、おっしゃられました、七〇%というふうなプレスリリースがあったりなんかしますが、これは、そもそも試験をやっている環境が違っておりますし、治験の対象者も違うわけでありまして、一概に比較できないということであります。
 いずれにいたしましても、PMDAで審査をした上で承認されるということであればこれは有効であるということでございますので、しっかりとその点は国民の皆様方に周知をさせていただきたいというふうに考えております。

○西田実仁君 一概には比較できないという、そういうお話でした。今後、薬事の中でしっかりと国民に周知をお願いしたいと思います。
 次に、接種体制についてお聞きしたいと思います。いろいろ課題はありますけれども、行政の予約窓口の混乱についての懸念でございます。
 予約する際に、その際に様々な問合せとか疑問が投げかけられる可能性があります。また、予約しても、人は忘れたりあるいは間違ったり、そういうことがあります。こういうことを大前提として、イスラエルでは、例えば一回目のワクチン接種を受けると接種日から二十一日後の予約を自動的に設定し、また、予約した方には、前日と当日に予約が入っているので忘れずに来てくださいと、こういうメッセージをデジタルあるいは録音された音声メッセージで送っております。
 そこで、河野大臣にお聞きしたいんですが、予約を受け付ける窓口において、予約以外の様々な問合せは別の窓口にどう振り分けていかれるのか。また、ワクチン接種日の前日や当日などに、こうした予約が入っているというリマインドのメッセージを届ける必要がないのかどうか。自治体の予約システムの構築に当たりまして、国としてどう助言していくのか。また、そのための体制づくりに必要な財政支援は惜しむことなく是非投入いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) それぞれの自治体が設定しているコールセンターなどで予約を受けたり、あるいは必要な問合せにお答えをできるような、そういう体制を自治体が組んでいただいているところでございます。また、前日にリマインドするシステムを提供している企業とかなり多くの自治体が契約を締結していると聞いております。そうした費用の一切は国が負担をすることになりますので、自治体は必要と思われるそうしたサービスを是非受けていただきたいと思っております。
 先ほど、私、申請が見通せる時期になったらと申し上げたようでございますが、承認を見通せる時期でございます。訂正させていただきます。

○西田実仁君 接種体制については、集団接種も個別接種も、接種する場所へ出向くことを前提としております。移動が困難な方々、高齢者の方や障害者の方々はどうしていくのか。ヘルパーと連携して接種施設に案内したり、あるいは施設において接種、あるいは通所した機会を生かすことも重要と考えますが、制度上可能かどうか。また、その支援の対象になるのかどうかも改めて確認したいと思います。

○国務大臣(河野太郎君) 様々な施設を活用してそうした方々が円滑に接種できるような体制を組んでいただくことは当然支援の範囲内でございますし、積極的にやっていただきたいというふうに思っております。

○西田実仁君 次に、コロナ対応に関連したシステム障害についてお聞きしたいと思います。
 まず、パネルを御覧をいただきたいと思います。
 昨今の、とりわけこの昨年の緊急事態宣言から今日に至るまで、コロナ対応で様々、政府のシステム障害ということを掲げさせていただきました。様々、手続の簡素化、業務の効率化のためにシステムが開始されましたが、誠に残念でありますが、この一年だけでも、雇調金のオンラインシステム休止、再開、再開、また休止とかですね、あるいは持続化給付金も不具合が生じたとか、典型的にはCOCOAでありますけれども、こうした多くのデジタル関連のトラブルが発生しております。
 これを改めて見ていただきまして、こうしたコロナ対応で構築されたシステムの相次ぐ不具合を見て、デジタル庁を創設することを決められました総理の思いについて伺いたいと思います。デジタル庁の創設によりどうこうしたことが変わっていくのか、また変えようとしていくのか、お聞きしたいと思います。

○内閣総理大臣(菅義偉君) 今回の感染症では、行政サービスや民間におけるこのデジタルの遅れ、こうした様々なことが浮き彫りになったというふうに思います。そういう中で、何としてもこのデジタル化を急がなきゃならない、そういう思いを強くいたしました。
 そして、このことが実現をすれば、役所に行かなくともあらゆる手続ができると、地方にいながら都会と同じような仕事、また生活ができる。こうした社会を目指して、デジタル庁が司令塔となって、誰もがデジタルの恩恵を受けることができるように、世界に遜色のないデジタル社会をつくり上げていきたいというふうに思っています。
 デジタル庁は、この改革の象徴として本年九月に創設をいたします。組織の縦割りを排して、強力な権能と初年度は三千億円の予算を持った強力な組織として国全体のデジタル化を主導をしていきます。全国規模のクラウド移行に向けて地方自治体のシステムの統一・標準化、マイナンバーカードの普及、デジタル社会の形成に不可欠なデータの利活用、こうした社会全体のデジタル化というものを進めていきたいと思います。

○西田実仁君 今総理から国全体のデジタル化を主導していくデジタル庁、これについて、平井大臣、お聞きしたいと思います。
 システムの不具合を最初からゼロにするのなかなか難しいわけですけれども、大事なのはこうした障害情報を政府全体で共有して同じ過ちを繰り返さないということではないでしょうか。
 デジタル庁システム、あるいはデジタル庁が各府省と共同でつくるシステムについてはシステム障害の情報は共有されると伺っておりますが、それ以外、すなわち各府省が独自につくるシステムにおいて障害が起きた場合に、それをどう政府全体として共有するのかということが必ずしも明らかになっておりません。どのような方策をお考えでしょうか。

○国務大臣(平井卓也君) デジタル庁は、システムに詳しいエンジニアに参画してもらって、官民問わずに適材適所の人材配置による体制強化を行いたいと考えています。
 そして、デジタル庁では全ての政府情報システムを対象として統括管理を行うということですが、このため、今年度から実施している一元的なプロジェクト管理によって、プロジェクトの方向性、経費の妥当性、仕様どおりの調達、運用が行われているかなどを検証しているが、デジタル庁ではこれを本当に強化していきたいと考えています。
 昨年末に決定したデジタル改革の基本方針では、政府情報システムを三類型、デジタル庁システム、デジタル庁プラス各府省共同プロジェクト型システム、各府省システムに分け、そのうち各府省システムについては、各府省が整備段階、運用段階を通じて責任主体になります。この各府省システムについては、一元的なプロジェクト管理を通じて各府省の情報システム担当部局と連携しながらシステム稼働前後の検証やシステム障害の情報収集やその情報の共有を行うことについて、その都度の対応ではなく、一定のルールをこれから定めていきたいというふうに考えています。
 常に情報を共有しながらデジタル庁は対応していきたいと、そのように思っております。

○西田実仁君 かつてはIPAというところがそうした民間のシステム障害も含めて全て半年に一度情報提供をしておりましたが、今、二〇一九年度でたしか事業は終わっておりますので、デジタル庁の方でそうした全体のシステム障害についても情報をしっかり共有できるような体制をお願いしたいというふうに思います。
 続いて、生活者支援についてお聞きしたいと思います。
 まず、新型コロナウイルス感染症の影響によって住まいに困窮されている方々は若い方々も含めて大変に増えておられます。そうした方々に対して公営住宅の活用は既に進めていただいておりますが、UR、このURの空き家を活用した新たな支援策を是非検討していただけないでしょうか。
 あわせて、既にURにお住まいの方々がこのコロナ禍でも安心して住み続けられる支援策についてもお伺いします。

○国務大臣(赤羽一嘉君) お答えいたします。
 コロナ禍によりましてお住まいに困窮されている方々への支援といたしまして、国土交通省としてこれまで、公明党からの御提案を受けて、セーフティーネット住宅制度におけるいわゆる公募原則の適用を外しまして、困窮者の方が住宅をそのまま住み続けられるようにし、また、家賃も安くするために、その予算、今のこの令和三年度の当初予算にも計上させていただいております。
 また、ただいま御提案のUR賃貸住宅の活用につきましては、これはもう新たな取組になりますが、まず、URが居住支援を行うNPO法人ですとか福祉法人を公募して、そしてその公募された法人に対しまして一定期間低廉な家賃で空き住戸を貸与すると。今のところ二、三年程度、定期借家という形でやろうと思っておりますが、そして、法人はその空き住戸を住宅困窮者の方々に安い家賃でお貸しする、そして、そのお貸しするだけじゃなくて、自立支援ということで就労等を見据えた居住者の自立支援を実施すると。こういったスキームをこの四月から実施できるように今調整中でございます。
 また、URの既存入居者が住み続けられるようにと、これはもう当然の原則と。これまでも実施しておりますが、家賃の支払を猶予した上で、分割支払等々、しっかりと御相談に乗れるように、寄り添った対応ができるようにしっかりと努めてまいりたいと、こう考えております。

○西田実仁君 ありがとうございました。新たなこのURの空き家を活用した支援スキームについて御説明いただきました。
 次に、総合支援資金の再貸付けについて厚労大臣にお聞きしたいと思います。
 二月の十九日から総合支援資金の再貸付けが始まりました。窓口には多くの方々が殺到しております。私の地元さいたま市においても、問合せ件数は五日間で千件と、これまでの約三倍と急増しています。しかし、いまだに償還免除の要件が決まっておりません。
 田村大臣は、返せない方々にまで返せと言わないようにしたいとおっしゃるとともに、免除された場合はその分が所得と認められ課税される問題があるため整理が必要、こう説明されているんですね。大臣は厚労行政に限らず税制も大変お詳しいのでお気持ちは分かりますけれども、税の話は年末までに与党で、私、実は党の税制調査会責任者をしておりまして、しっかり議論いたしますので、まずはここは、債務免除の要件については、返済よりも生活再建、この生活再建を最優先に考えて、償還開始時に返せない方は一括免除する仕組みなどを大胆に実行していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 緊急小口の方は一括償還という形で、これ、住民税非課税、令和三年、四年、どちらかでという話で決めました。
 総合支援資金の場合は非常に金額が、全て借りるとかなり大きくなってまいります。しかも、償還期間が十年ということでございますので、そういうものを考えながら、税の方は今こちらの方でというお話ございましたけれども、どのような形がいいのか、まあ税とも絡んでくるところもございます。
 そういうことも含めて、今実は鋭意やっておりますので、なるべく早くお示しをさせていただきたいというふうに思いますが、言われるとおり、やっぱり返せない方に返せということ、これは言えない話でございますので、そういうことを念頭に置きながらしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

○西田実仁君 しっかりお願いしたいと思います。
 休業手当支援金・給付金の周知についてお聞きしたいと思います。
 大企業の非正規雇用労働者への休業支援金・給付金の申請は先週から始まりました。受付は七月末までということです。
 適用対象の拡大は喜ばしいんですが、やはり気になるのは、用意された休業支援金の予算に比べて支給決定額が非常に少ないということなんです。とりわけ、休業手当を受け取っていない中小企業労働者の方々への直接給付、すなわち休業手当を受け取れない場合に労働者本人から申請できる休業支援金・給付金は、約五千億円の予算に対しまして支給決定額は七百億円程度というふうにとどまっています。
 野村総合研究所では昨年十二月と本年二月に、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金に関する認知状況、利用意向というものを調査されています。グラフを見ていただくと分かるんですが、昨年十二月に比べて本年二月は、この休業支援金・給付金について知らなかったという人が減っています、六二から四九に。これは、国会でも与野党問わず何度も指摘されて、周知の徹底ということで少し減ってきてはいるんですが、それでもまだなお五割の人は御存じないと。じゃ、これ必要ないのかというと、右側ですね、支給を受けたいですかというのを見ていただくと分かるんですけれども、今すぐにでも支給を受けたいというのは、本年二月の調査で四〇%、四割いらっしゃいます。今後の状況によっては支給を受けたいという方も含めると九割の方が求めていると。ニーズは確かにあるんですね。
 これまでも何度もこの周知の徹底はこの国会でまさに多くの議員の皆さんが要請してきたわけですけど、まだ知られていないと。とすれば、やっぱりこれまでとは異なる手法で周知していかなければ、困っておられる方々にこの支援が残念ながら届かない。
 そこで、私の一つの提案ですが、厚労省ではLINEとの間で情報提供に関する協定を締結されていました。新型コロナ対策のための全国調査を実施しておられました。その中で、例えば、新型コロナウイルスの影響でパートやアルバイトのシフトが減っていませんかと、こう問いかけをして、はいと回答された方にはこの休業手当支援金・給付金の申請に導くなど、支援策を求めている方にプッシュ型で情報を提供することを検討していただけないでしょうか。

○国務大臣(田村憲久君) 御承知のとおり、休業支援金ですね、雇調金が受けられない方々、企業等々御理解いただけない方、こういう方々対象にして特例でやっております。
 五千億なのにまだ利用が少ないというのは、逆に言うと、一つは、雇用調整助成金が非常に大きく伸びております。企業が対応していただいている部分は非常に多いという部分が一方にあると思います。ただ一方で、シフトを中心にやはりなかなか受けられていない方々がおられるということで、事業主等々、業界団体も通じてお願いをさせていただいておるというふうな話であります。
 言われたそのLINEでありますが、これはクラスター対策で、発熱者がいたら今感染者が多いんじゃないかだとか、そういうような形で、去年の八月ですかね、やらせていただいたという話でございまして、今現状やっておるわけではないわけでございまして、ちょっとそういう仕組みをつくるとなると、また一から制度設計しなきゃいけないというような話でございますので、どれぐらい時間が掛かるか分からないということも含めて、今の体制の下でしっかりと更にお伝えをさせていただいて、本来受ける権利である方々が休業支援金、対応いただけるように私も更に頑張って情報発信を努めてまいりたいというふうに考えております。

○西田実仁君 大事なことはプッシュ型の情報発信なんです。必要とされている方が誰か分からないから、幾ら言ってもなかなか申請が来ないんです。そのプッシュ型の情報発信、これ検討していただけませんか。

○国務大臣(田村憲久君) 今もSNS、ツイッター、フェイスブック、それからLINE、いろんなものを通じて情報をお伝えをさせていただいております。それをプッシュ型とまで言うのかどうかちょっと分かりませんが、とにかくそういうシフト等々で働く方々がよく目にするようなものを、媒体を通じて、少しでも分かるような形でこれからも努力をしてまいりたいというふうに考えております。

○西田実仁君 新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、特に非正規の労働者の方々への影響が深刻になっています。こうした状況を適切に分析し、政府一体となって政策対応していくことが極めて重要であります。総理にリーダーシップを発揮していただきたいと、これは要請をさせていただきたいと思います。
 次に、ポストコロナに備えてということで、過去の世界的なパンデミック後に起きる変化に日本がいかに備えていくかについて議論したいと思います。ここでは国際秩序の再編及び技術革新による新たな企業群の育成について、歴史を振り返りつつ議論を進めたいと思います。
 まず、国際秩序の変化についてです。
 感染症が世界中に広まった後には必ず国際秩序の再編が起きております。十四世紀に発生したペストは、中世社会システムを崩壊させ、ルネサンス開幕へとつながりました。二世紀前のコレラ第一次パンデミックでは、清朝などアジアが衰退し、世界の中心がアジアから欧州へ、産業革命、西洋文化の開化へと向かいました。百年前のスペイン風邪では、西洋文明が衰退し、世界の中心が欧州から米国へと転換されていきました。そして、今、コロナ後の世界もまた、米国を中心とするパワーバランスが崩れ、ここに来てインド太平洋が浮上していることが目に付きます。
 パネルを御覧いただきたいと思います。
 直近三か月の世界主要国の生産、輸出を見ますと、ベトナム、あるいはシンガポール、インドネシアなど、インド太平洋経済の浮上が顕著です。このダイダイ色のものがインド太平洋地域のものでありますけれども。さらに、下に平均年齢を見ていただきますと、非常に若い、インド太平洋地域においては平均年齢は二十七・九歳。中国や米国などより十歳ほど若く、日本やEUより一回り若い。
 世界秩序が揺らぐ中、日本はインド太平洋と連携を強化し、自由貿易の推進や新しい国際ルールを積み上げることで二十一世紀の世界秩序の形成に主導的な役割を果たすべきときではないでしょうか。
 時あたかも日本は本年、TPP議長国になります。TPP11の加盟国のうち五か国はインド太平洋に属します。何らかの形で参加表明している国、地域も多い。
 菅総理は、最初の外交訪問先としてこのインド太平洋のベトナム、インドネシアを選ばれました。なぜ、ベトナム、インドネシアだったのか。浮上するインド太平洋との連携強化について、日米豪印首脳によるテレビ会談の可能性も含めて総理の思いをお聞きしたいと思います。あわせて、本年議長国であるTPPについても、どうリーダーシップを発揮されていくのかもお伺いします。

○内閣総理大臣(菅義偉君) 私が最初に訪問しましたベトナム、インドネシア、まさにこのASEANは、自由で開かれたインド太平洋、その実現に向けた取組の要となる、そういう思いからであります。
 また、インド太平洋地域において、ルールに基づく自由で開かれた秩序の実現によって、地域、世界平和、繁栄に向けて確保する、連携をすることが大事だと思っています。インド太平洋国家である我が国としては、日米同盟を基軸としつつも、豪州、インド、ASEANなどの、様々なこうした機会を捉えて、自由で開かれたインド太平洋を戦略的に推進していくとともに、今申し上げました国々と基本的価値を共有する、こうした国と連携をしていくということが大事だというふうに思います。
 また、今御指摘をいただきました日米豪印の首脳電話会談については、現時点においては決まっておりません。
 TPPについても、自由で公正な経済秩序を構築していく上で重視をしており、戦略的な観点も踏まえながら、その着実な実施や拡大、こうしたことに積極的に取り組んでいきたい、このように思います。

○西田実仁君 外務大臣にお聞きしたいと思います。
 二月十九日のG7首脳テレビ会議では、菅総理から、ワクチンに関し、公平なアクセス確保や普及の加速が重要と指摘されました。我が党も強く働きかけてまいりましたCOVAXファシリティーの途上国支援枠組みへの拠出を増額し、合計二億ドルの拠出が表明されました。ただ、G7首脳会議の際には四十億ドル以上の資金的コミットメントが増加して、G7全体の支援は総額七十五億ドルに達しております。日本としても、その経済規模からしてCOVAXファシリティーへの資金的コミットメントを増やす必要があるのではないでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君) 新型コロナ感染症の収束のためには、ワクチンへの公平なアクセス、この確保、そして普及、これを加速化していくことが極めて重要であると考えております。
 二月九日の日に、日本として、COVAXファシリティーの開発途上国向けの枠組みへの拠出を増額して、合計二億ドルを拠出することを表明いたしました。また、二月十九日のG7の首脳テレビ会議でもその旨、総理から改めて強調していただいたところであります。
 一方、ワクチンだけではなくて、治療や診断等の分野を含みます新型コロナ感染症対策の国際的な枠組み全体に対するG7としてのプレッジは、委員おっしゃったように七十五億ドル、その他の国を含めると百三億ドルに達しております。これに対しまして、COVAXファシリティーの途上国向けのプレッジ額は五十七・六億ドルでありまして、資金需要に比べますと十二・四億ドルの資金ギャップが現在でも存在しているところであります。
 我が国は、国内のみならず世界全体で安全で有効なワクチン等への公平なアクセスが確保されることが極めて重要であると考えておりまして、引き続き、COVAXファシリティーを含みます国際的な枠組みに対して我が国としてできる限りの貢献をしてまいりたいと考えております。

○西田実仁君 もう一つ、コロナ後の世界は、一世紀前のスペイン風邪のときがそうでありましたように、技術革新により新たな企業群の誕生が期待されます。
 当時は、細菌研究やワクチンの開発、電子顕微鏡の開発や半導体理論など技術革新が進み、ラジオ放送などの情報革命やスーパーマーケットの誕生などにより流通革命も同時進行しました。実際、一九二〇年の日立に続いて、二一年には三菱電機、二四年にはIBM、二五年ベル研究所、クライスラー、そして二八年にはモトローラ等、二十世紀を代表する新しい企業群が誕生しております。
 翻って、新型コロナ後の世界でも、新薬、医療技術の開発や、グリーンエコノミーとデジタル革命で新しいビジネスモデルが誕生することが期待されております。
 そこで、今こそ二十一世紀を代表する新興企業群を育てることが大事になってまいります。中小企業の淘汰による生産性向上よりも、新興企業を育成することで全体として生産性を向上させることが重要ではないでしょうか。既存の中小企業については、更なる資金繰り支援などの生活保障としての支援策、いかに拡充するか、また、新たな企業群を目指す支援策について経産大臣の御所見を伺います。

○国務大臣(梶山弘志君) 西田委員御指摘のとおり、コロナやデジタル化により事業環境が大きく様変わりをしていくという変革期に新たな産業の創出を図っていく必要があると認識をしております。そのため、既存の中小企業には資金繰りを支援するべく、昨年創設しました実質無利子無担保かつ最大五年間元本据置きの融資について、これまで延長及び上限額の引上げにより資金繰りを引き続き支えてまいりたいと思っております。
 雇用の受皿を確保するための雇用調整助成金を拡充、延長するとともに、今回の緊急事態宣言で売上げが大幅に落ち込んだ事業者に一時支援金をお届けするなど、支援策を総動員し、まずは事業者の皆様の事業継続を支えてまいります。
 その上で、中小企業の皆様がウイズコロナ時代を見据えて新分野展開、業態転換などの思い切った取組をしていただくことも重要でありまして、第三次補正予算で一兆円の事業再構築補助金を創設をしたところであります。今月中の公募開始に向けて作業を急がせております。
 加えて、起業の機運を醸成し、事業を起こすことですね、を醸成をし、我が国からベンチャー企業を一社でも多く創出するべく、創業者向けの融資やエンジェル税制などによる資金調達支援を行うとともに、世界に伍するベンチャー企業育成のために、有望ベンチャー企業に対する海外展開等の集中支援、産業革新投資機構によるリスクマネーの供給などを進めているところであります。
 また、今回のグリーンイノベーション基金についても、大企業と併せて、ベンチャーの活用なども含めてしっかりと検討をしてまいりたいと思っております。
 中小企業の事業継続と事業再構築に向けた投資を促すとともに、日本企業のイノベーションを後押しし、二十一世紀を代表するような企業を創出できるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。

○西田実仁君 最後に、防災・減災についてお聞きしたいと思います。
 電波法が改正され、携帯電話の上空利用の規制が緩和されました。この規制緩和を受けて、関東地方整備局と北首都国道事務所、私の地元埼玉県内の市町で、災害時の道路啓開をテーマに、発災現場の映像をドローンから携帯電話を利用して役場等に共有する実証実験を二月四日行いました。住民の生命や財産を守る最前線にいる市長、町長の方たちは小回りの利くドローンの有用性を実感したようで、すぐにドローンの購入を決めた市長もおられました。
 災害時に、大型河川や主要幹線道路、高速道路等の被災状況の確認には防災ヘリや防災行政無線による市町村への映像転送が有用でありますが、この受信機は大変高く、なかなか双方向で映像情報が共有されておりません。その結果、消防庁の調べによれば、府県から映像を受信可能な市町村は千二百三十あるんですが、逆に市町村から都県に映像を送信する、そういう可能な市町村は二百六十七しかないということであります。
 こうしたことを克服すべく様々な今実証実験を地元で行っておりまして、先駆的なこうした自治体の取組については、国から二分の一とかではなく一〇〇%の財政支援を是非お願いしたいと思います。
 多くの災害現場を視察され、地方自治体の現場を、実情をよく御存じの総理のお考えを最後お聞きしたいと思います。

○内閣総理大臣(菅義偉君) 近年頻発化また激甚化する災害により効果的、効率的に対応するためには、自治体においてもICTを始めとする先進技術を積極的に活用していく、このことが大事だと思います。
 政府としては、災害時におけるドローンの利用に関する実証実験を政府が主催をして関係自治体に行うなど、自治体とも連携しながら先進技術の活用に検討しているところであります。また、来年度には、自治体のニーズと先進技術のマッチングを行うプラットフォームを設置し、自治体の先進的な取組の横展開、ここを推進していきたい、このように思います。
 引き続き、自治体への更なる支援の在り方、このことについても検討をしつつ、国と自治体、官民が連携し、先進技術など災害現場で活用し、対応の迅速化、効率化を図るなど、防災・減災に、その対策に万全を期していきたい、このように考えます。

○西田実仁君 ありがとうございました。